(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分離部材が、前記デバイスに枢動可能に装着され、前記第1位置および前記第2位置間において、前記雄型コネクタ先端部に沿って移動可能な前面を有する1以上のレバー部材を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
前記レバー部材が、前記側面が前記流体室に向かって枢動すると、前記前面が前記第1位置から前記第2位置へ移動するように、枢動可能に装着される、請求項7から10のいずれか一項に記載のデバイス。
前記レバー部材が、雌型ハブを前記雄型コネクタ先端部に接続させて前記前面を前記第1位置へ移動させると前記側面が前記流体室から遠ざかるように枢動するように、枢動可能に装着される、請求項7から12のいずれか一項に記載のデバイス。
前記前面が、前記第1位置および前記第2位置間において、前記雄型コネクタ先端部の軸に対して略直線的に移動するように配置される、請求項6から14のいずれか一項に記載のデバイス。
対応する雌型ハブに挿入した際に摩擦嵌合を形成するように前端から後端にかけて外側に向かってテーパ状となった流体移送先端部を含む流体移送デバイス用の分離機構であって、
前記機構を、前記先端部の後端に取り付けるための取り付け留め輪と、
弾性的付勢に逆らって、前記留め輪と離隔した第2位置および前記先端部の前端に向かって、前記留め輪に対して移動可能な分離部材と、
前記第2位置に向かって移動する前記分離部材によって前記摩擦嵌合から解放された後の前記雌型ハブを保持するように配置された捕捉手段と
を含み、
前記分離部材が前記第2位置にある場合、前記捕捉手段は、前記雌型ハブを保持し続け、
使用者が前記分離部材を解放すると、前記弾性的付勢の下、前記分離部材が前記第2位置から第1位置に戻るように移動し、前記分離部材の移動と対応するように、前記捕捉手段が移動することで、前記捕捉手段による前記雌型ハブの保持が解除され、前記雌型ハブが、前記流体移送用デバイスから分離される、機構。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前記デバイスは、バイアルからシリンジ室内への流体の移送から、IVポートへの注入、静脈または動脈からの採血、ワクチン接種等の注射、カフ膨張、および流体の抽出または投与のためのカテーテルの接続に至る、多種多様な用途が見出せる。よって、前記流体室は、シリンジ用外筒、流体輸送/抽出パイプ、またはホースの形態としてもよい。前記流体室は、堅固であっても柔軟であってもよい。移送される前記流体は、液体および/または気体を含んでもよい。
【0013】
前記分離部材の効力を最大限とするためには、前記雄型先端部が、対応する雌型ハブに摩擦嵌合のみによって接続されることが好ましい。これは、前記テーパ状雄型先端部を、これを包囲するねじ部を有する留め輪なしで設けることが好ましいことを意味する。したがって、前記デバイスは、ルアーロック先端部ではなく、ルアースリップ先端部を備えることが好ましい。
【0014】
前記分離部材は、前記第1位置および前記第2位置間において、手動で移動可能であることが好ましい。一般的に、使用者は、例えば、シリンジのプランジャーを操作することで、前記流体移送デバイスを取り扱うため、上記構成により、前記分離部材を手動操作しやすくできる。前記分離部材の操作に他方の手を使用してもよいが、前記部材は、前記流体室上またはその近傍に位置し、前記デバイスの使用者が、前記流体室の保持と同時に、前記分離部材を移動させることができれば好ましい。いくつかの異なる分離機構の手動操作について、以下により詳細に説明する。
【0015】
前記分離部材、もしくは前記流体移送デバイスを分離するよう働く部材の少なくとも一部は、前記雄型コネクタ先端部に近い前記第1位置および第2位置間で移動可能としてもよい。例えば、前記分離部材は、前記雄型コネクタ先端部を囲む空間内で移動可能としてもよい。前記雄型コネクタ先端部および対応する雌型ハブ間の摩擦嵌合を解放する前記分離部材の効果を確実なものとするため、前記分離部材を、前記第1位置および前記第2位置間において、前記雄型コネクタ先端部の表面に沿って移動するように配置することが好ましい。この構成は、前記摩擦嵌合から前記ハブを解放するために加えられる力を最大限とするのに役立つ。
【0016】
出願人は、前記分離部材の材料および/または構造が、前記雄型先端部に接続されるハブへの分離力の加わり方を制御する上で重要となりうることを見出した。特に、前記分離部材の移動により分離力が効果的に伝達されるように、前記分離部材は、比較的剛性であることが好ましい。強固な摩擦嵌合の解放には、高効率の力の伝達が必要となることがある。前記分離部材の運動エネルギーが、解放される前記ハブの運動エネルギーへと効率的に変換されることが理想的である。前記分離部材が剛性でない場合、前記分離部材が、前記先端部に接続される雌型ハブに接触して、前記先端部に対して移動するに従い、前記分離部材が変形し、その運動エネルギーを位置エネルギーとして蓄えるよう変換してしまうことがある。前記位置エネルギーが蓄積され、最終的に急激に放出される運動エネルギーへと変換され、これにより、前記コネクタ先端部から前記ハブが制御不能に勢いよく外れたり、または飛び出したりするリスクがある。特に、前記雌型ハブが針を備える場合があることから、これは極めて不都合であり、よって、前記分離は、円滑かつ制御された状態で行うことが好ましい。この問題の一解決方法として、前記分離部材を、本質的に剛性の物質(例えば、ステンレス鋼)で形成することが挙げられる。
【0017】
前記分離部材の材料として柔軟性を備えたものを選択するために、別の解決方法として、前記分離部材を剛性のある構造とすることが挙げられる。これにより、前記分離部材をプラスチックで形成する自由度が与えられ、廃棄可能性、リサイクル性、無菌性、製造容易性、およびコストの観点から好ましい。出願人は、前記分離部材が、前記雄型コネクタ先端部の軸に略直角な表面と、前記雄型コネクタ先端部の軸と略平行方向に延びる1以上の他の表面とを含む、新規な構造を考案した。前記1以上の表面は、前記雄型先端部から前記流体室に向かって延びる覆いを形成することが好ましい。したがって、前記分離部材は、異なる方向に延びる複数の表面によって補強された三次元構造を有するものと理解される。
【0018】
このような構造は、それ自体で新規であり、かつ進歩性を有すると考えられ、それゆえ、第2の態様では、本発明は、対応する雌型ハブに挿入されると摩擦嵌合を形成するようにテーパ状に形成された雄型コネクタ先端部と連通する流体室と、さらに、前記雄型コネクタ先端部の軸に略直角な前面と、前記雄型コネクタ先端部の軸と略平行方向に延びる1以上の側面を含む分離部材を含み、前記前面が、前記流体室に近接した第1位置および前記第1位置から前記雄型コネクタ先端部の末端に向かって離隔した第2位置の間において、前記雄型コネクタ先端部に沿って移動可能である流体移送デバイスを提供する。
【0019】
このような分離部材は、実質的に二次元(例えば、平面)の部材よりも剛性が高く、したがって、より効果的に運動エネルギーを伝達できる。このことは、前記分離部材をプラスチック材料で形成することが望ましい場合に、特に有利となりうる。前記分離部材の構造を、最適な剛性となるように、さらに設計してもよい。前記側面(1以上)が、前記前面から後方に、前記流体室に向かって延びる覆いを形成することが好ましい。前記覆いは、前記雄型先端部を少なくとも部分的に包囲してもよく、さらに、前記流体室も少なくとも部分的に包囲することが好ましい。前記部材の三次元的な広がりは、種々の実施形態で好まれるように前記部材をプラスチック材料で形成した場合にも、十分な剛性を確保するのに役立つ。一連の実施形態では、前記分離部材は、前記雄型コネクタ先端部の軸に対して略平行に延び、実質的に筒状である側面(1以上)を含み、実質的に筒状の形状を有する。もちろん、前記分離部材は、部分的に筒状の形状となるように形成してもよい。前記側面(1以上)は、前記雄型コネクタ先端部の軸を完全に包囲する必要はない。しかしながら、少なくとも一連の実施形態においては、前記分離部材の前面が、前記雄型コネクタ先端部を包囲する1以上の側面に接続され、好ましくは、前記流体室も少なくとも部分的に包囲している。前記包囲側面は、筒状または他の好適な形状(例えば、長方形状)としてもよい。これにより、前記分離部材を補強することができ、前記分離部材を雌型ハブに接触して移動させた場合でも、前記前面が、好ましくは屈曲することなく、前記前面の運動エネルギーを前記ハブに伝達する。
【0020】
これに代えて、あるいはこれに加えて、前記分離部材の前面および側面(1以上)を、一体的に形成することが好ましい。例えば、少なくとも前記分離部材のこれらの部分を、単一のプラスチック成形品として形成してもよい。これに代えて、あるいはこれに加えて、前記前面が、前記雄型先端部を少なくとも部分的に包囲することが好ましい。前記前面は、例えば、前記雄型先端部が前記前面の開口から突出していることにより、前記雄型先端部を完全に包囲してもよい。これにより、前記分離部材をよりコンパクトにでき、および/または、前記前面が、摩擦嵌合で前記雄型先端部に装着された雌型ハブをより効果的に押すことが可能となる。
【0021】
前記1以上の側面が、例えば、前記前面から後方に向かって延びる覆いの形態で、前記流体室を少なくとも部分的に包囲する実施形態においては、前記分離部材は、突出させるよりも、前記流体室の近くに配置する方が有利である。これにより、前記デバイスを、包装、輸送、保管等の目的のため、よりコンパクトにすることができる。特に、前記分離部材は、より詳細に後述するように、レバー部材を含むことが好ましく、これにより、前記側面(1以上)は、前記レバー部材を枢動させるよう前記流体室に向かって、もしくは前記流体室から遠ざかるように移動し、前記前面を前記雄型先端部に沿って移動させる入力部を提供できる。前記側面(1以上)が前記流体室を概ね包囲している場合、このようなレバー部材は、前記流体室に向かって前記入力部を圧迫する(例えば、引き金を引くのと同様の方法で)ことにより、容易に片手で操作できる。さらに、前記三次元(例えば、覆い状の)構造によって付与された剛性により、前記入力部に加えられた力が、前記前面を前記雄型先端部に沿って移動させ、雌型ハブを摩擦嵌合から分離させる枢動運動として効率よく伝達されることが保証される。
【0022】
本発明の上記態様のいずれの実施形態においても、前記分離部材は少なくとも1つの分離部材、例えば、前記雄型コネクタ先端部に対して移動する1以上の部材を含んでもよい。以下の説明は、分離部材の個数にかかわらず適用されることが理解されるであろう。前記雄型コネクタ先端部に対する前記分離部材の移動は、あらゆる好適な形態とすることができる。いくつかの実施形態では、前記分離部材は、前記第1位置および前記第2位置間において前記先端部に沿って移動する際、前記雄型コネクタ先端部の軸を中心に回転してもよい。例えば、前記分離部材は、前記流体室に回転可能に取り付けられてもよい。しかしながら、このような回転運動は、好ましさの程度が低い場合がある。なぜなら、前記先端部が押しやられるに従い、ハブにねじれ力が付与されるおそれがあり、前記ハブは生きた対象に取り付けられているため、これにより、前記対象の皮膚もしくは他の組織が引っ張られるか、または引き裂かれる場合があるからである。これを回避するために、使用者が、このような分離機構を操作する間、前記ハブを動かないように保持する必要が生じることがある。上述の通り、これは、前記ハブに接続された針に手が近づくことを意味し、よって、前記使用者は、鋭利物損傷および/または汚染を被りやすくなる。あるいは、前記分離操作により、前記ハブおよび/または前記雄型先端部の両方において、望まれず、かつ認識されない汚染が生じることがある。
【0023】
一連の好ましい実施形態において、前記分離部材、もしくは少なくともその前面は、前記第1位置および前記第2位置間において、前記雄型コネクタ先端部に対して(例えば、回転しながらではなく)略直線的に移動するように配置されている。これにより、前記雄型先端部に接続されたハブに対して前記分離部材によって加えられる力が、実質的に直線方向の力となるか、または、少なくとも前記軸を中心としてねじれないことが保証される。前記雄型コネクタ先端部の表面に沿った直線運動は、例えば、前記テーパが比較的小さい(例えば、10%未満、好ましくは6%未満)である前記先端部の軸と、略一直線としてもよい。前記分離部材の直線運動は、角度成分、好ましくは、前記雄型コネクタ先端部の軸に対する方位角成分を含んでもよい。例えば、枢動運動は、前記雄型コネクタ先端部の軸を中心とする回転を伴わない、略直線的な運動を生じる。前記分離部材は、前記雄型コネクタ先端部に沿って直線的に移動するように配置されるが、もちろん、前記分離部材は、回転部分を含む機構の一部として操作されてもよい。例えば、前記分離部材は、前記流体室に対して枢動および/または回転してもよい。重要なのは、前記雄型先端部に接続されているハブと接触する前記分離部材の前部は、前記ハブから前記デバイスを押しやるために、前記先端部の軸に沿って略直線的な力を加えることが好ましいということである。前記分離部材が、前記雄型コネクタ先端部の軸に略直角な前面を含む場合には、この前面が、前記雄型コネクタ先端部の軸に沿って略直線的に移動することが好ましい。
【0024】
前記流体移送デバイスは、前記分離部材を装着するための手段を含んでもよい。前記分離部材が前記雄型コネクタ先端部の軸と略平行方向に延びる、例えば、筒状もしくは長方形状の1以上の側面を含む場合、前記側面(1以上)を、前記デバイスの少なくとも一部に沿って延在させ、前記装着手段に係合させるという便利な構成とするとができる。よって、前記流体移送デバイスは、使用時に、ハブから前記雄型先端部の分離を補助する準備が整った状態で装着された前記分離部材を備えた便利な構成とすることができる。したがって、本発明の実施形態は、使用準備が整った分離部材が予め装着された状態で製造および/または販売される、シリンジ等の流体移送デバイスの新しいカテゴリを提供しうるものである。前記分離部材を別個に包装し、必要に応じてデバイスに装着することも可能ではあるが、前記デバイスを、当該デバイスに装着された前記分離部材を含む単一のユニットとして包装、販売する方が有利である。
【0025】
一連の実施形態において、前記分離部材は、前記デバイスに着脱可能に装着されることが好ましい。これは、前記分離部材が不要である場合、あるいは、前記分離部材による干渉を受けることなく前記デバイスを操作することが好ましい場合に、使用者が前記部材を取り外し、廃棄できることを意味する。前記分離部材を双安定位置に装着し、前記分離部材を装着位置から解放するためには、ある閾値を超える力および/またはある方向に作用する力が加えられなければならないようにすることが好ましい。これにより、前記部材が予期せず前記デバイスから外れることを防止できる。
【0026】
前記分離部材は、特に、従来の流体移送デバイスに後付けする場合(詳細は後述)には、前記雄型コネクタ先端部に装着すればよい。しかしながら、これにより、対応するハブとの摩擦嵌合の形成に使用した方がよい前記雄型コネクタ先端部周辺のスペースを、前記分離部材に取られてしまうか、そうでなければ、前記分離部材が前記デバイスの接続に干渉するというリスクが伴う。したがって、前記分離部材は、前記流体室に装着することが好ましい。前記分離部材が、前記雄型コネクタ先端部の軸と略平行方向に延びる、例えば、円筒状または長方形状の1以上の側面を含む場合、前記側面(1以上)は、装着のため、前記流体室と平行に延在してもよい。前記側面(1以上)は、前記流体室を少なくとも部分的に包囲し、前記流体室が提供する装着手段と係合する、前記雄型先端部から延びる覆いを形成することが好ましい。
【0027】
一連の実施形態において、前記分離部材は、前記第1位置および前記第2位置間において、前記雄型コネクタ先端部に対して移動可能な前端または前面の摺動により、前記流体室に装着されてもよい。摺動部材は、直線運動を提供し、上記で概説した回転力に関連するリスクを回避する。前記雄型コネクタ先端部に沿って移動する前記摺動部材の前端または前面は、前記雄型先端部に嵌合された雌型ハブに対して力を加え、前記流体移送デバイスを押しやる押出し器の形態としてもよい。前記摺動部材は、例えば、前記流体室の側方に延びる帯状の長方形状、あるいは、例えば、前記流体室を包囲するスリーブ状の円筒形状であってもよい。上述の通り、前記摺動部材の構造は、前記摺動部材をプラスチック材料で形成した場合であっても、剛性が確保できるものを選択すればよい。
【0028】
一連の実施形態において、上述の構成に代えて、またはこれに加えて、前記分離部材が、前記第1位置方向に弾性的に付勢されるように前記流体室に装着されてもよい。前記弾性的な付勢に逆らうように前記分離部材に圧力をかけることで、前記分離部材を前記第2位置へと移動させてもよい。弾性手段が前記スリーブの前進に逆らうように作用しても、前記雄型コネクタ先端部に対する直線運動が確保されるように、前記分離部材を、前記流体室と同軸的に装着された(例えば、上述のように摺動によって装着された)スリーブの形態としてもよい。
【0029】
一連の実施形態において、ここでも上述の構成に代えて、またはこれに加えて、前記分離部材を、前記流体室に枢動可能に装着してもよい。前記分離部材は、前記流体室の軸を中心に枢動または揺動するように配置してもよい。前記部材の枢動に伴い、前記部材の表面の1つ、特に、カム状表面が、前記雄型コネクタ先端部に沿って移動しうる。しかしながら、枢動または揺動は、手動、特に片手では、容易に起こせないことがある。これは、前記部材をその第1位置および第2位置間で枢動させる間、前記デバイスを手で安定に保持する必要がある場合があるためである。
【0030】
前記分離部材を、前記雄型先端部に沿って、軸を中心とするねじりを生じることなく、略直線的な力を加えるように配置した場合でも、摩擦嵌合の解放の際、使用者がやはり、対応するハブを保持しなければならない場合がある。典型的なルアースリップ接続は、特に、前記接続が前記流体の移送によって加圧されている場合、容易に解放されない強固な摩擦嵌合を提供しうる。前記分離部材が剛性であったとしても、前記摩擦嵌合の克服に十分な力を伝達することが、やはり困難な場合がある。したがって、針刺し損傷が発生するリスクを伴っても、両手操作が必要となる場合がある。一連の好ましい実施形態において、前記分離部材は、前記第1位置および前記第2位置間において、前面等の一端が、前記雄型コネクタ先端部に対して枢動可能に前記デバイスと接続されたレバー部材を含む。前記分離部材は、レバー機構の一部としてもよい。実際、前記デバイスは、流体室をも含まない構成とすることもできる。これは、例えば、前記流体室が取り外し可能であるか、または流体が前記先端部に直接移送される場合に、このようなレバーを、流体移送を行う前記雄型先端部と直接連動させることが可能なためである。
【0031】
この特徴は、それ自体で新規であり、かつ進歩性を有すると考えられ、それゆえ、本発明の第3の態様では、本発明は、対応する雌型ハブに挿入されると摩擦嵌合を形成するように前端から後端にかけて外側に向かってテーパ状となった流体移送先端部と、さらに、前記先端部の後端近くの第1位置および前記第1位置から前記先端部の前端に向かって離隔した第2位置の間において、前記先端部に対して移動するように枢動可能に装着されたレバー機構とを含む流体移送デバイスを提供する。
【0032】
対応するハブからの前記先端部の分離にレバー機構を使用する利点は、入力された力を増幅し、より大きな出力を提供できること、すなわち、前記先端部をハブから押しやるてこの作用(leverage)を提供できることである。レバー機構の機械的利点は、加えられる力を増加でき、必ずしも前記ハブを保持しなくとも前記デバイスを解放することができ、これにより、片手での操作が可能となることである。したがって、レバー機構は、前記分離部材の特に好ましい構成を表すものである。先に述べた通り、前記レバー機構は、前記第1位置および前記第2位置間を手動で移動可能であることが好ましい。
【0033】
流体移送デバイスを片手で分離できれば、看護師または麻酔科医が、例えば、IVポートに5個、10個、20個、またはそれ以上の異なる接続がある状態で、異なる投薬用シリンジを交換するような外科的処置において、特に有用となりうる。同時に、このような医療関係者は、バイタルサインおよびモニターを確認するのに忙しく、IVラインまたは同様のものを分離するため両手を使用することで、気を散らさないことが好ましい。しかしながら、レバー機構は、片手、例えば、親指/人差し指で操作でき、IVハブへのシリンジの接続から、注入、シリンジの取り外しまでの作業の流れを円滑に行える。この技法は、同じ手を用いて繰り返し行え、前記レバー機構は、前記使用者が右利き、左利きのいずれでも操作できる。
【0034】
さらに、片手での操作は、安全かつ迅速な方法で、針からデバイスを分離するのにも役立つ。例えば、「血液ガス」検査を行う際、臨床医は、手首または鼠径部の動脈を触診し、シリンジに接続された針を前記動脈に刺し、前記動脈血を採取しなければならない。動脈血管は、(例えば、静脈と比べて)高圧下にあるため、動脈壁からの過剰な出血を防止するため、前記針を抜いた直後は、しばらくの間、前記動脈を強く圧迫する必要がある。同時に、前記針を分離し、前記シリンジを分析のため研究室に送ることができれば望ましい。レバー機構を使用すれば、動脈を片手で圧迫し、他方の手で安全に針を分離し、鋭利物用のゴミ箱に入れることができる。これにより、針刺し損傷のリスクを、低減または完全に回避しうる。
【0035】
シリンジを用いてバイアルから薬剤を吸入する際、前記針ハブからの分離を片手で行えば、他方の手で前記薬剤を注入する容器を同時に保持することが可能となる。これは、作業の流れの観点から非常に実用的であると共に、前記ハブおよび/または前記シリンジの前記雄型先端部の汚染を低減または完全に回避するための重要な工程である。
【0036】
レバー機構によってもたらされる力増幅を活用するため、対応するハブから前記先端部を分離する力を伝達する前記レバー機構の部材(1以上)は、比較的剛性であることが好ましい。上述の通り、前記レバー機構は、前記先端部の軸に略直角な前面と、前記先端部の軸と略平行方向に延びる1以上の側面を有し、前記前面が、前記第1位置および前記第2位置間において、前記先端部に沿って移動可能であるレバー部材を含んでもよい。
【0037】
本発明の第3の態様の実施形態において、前記流体移送先端部は、流体室に、着脱可能に接続されてもよいし、一体的に接続されてもよい。例えば、前記流体移送先端部は、シリンジの外筒に接続されてもよい。前記レバー機構によって加えられる力は、大部分が、いずれの上流流体室からも独立しているが、ハブへの前記摩擦嵌合の強固さに依存しており、前記先端部内の流圧の影響を受けるだけではなく、前記流体移送先端部(例えば、雄型先端部)を前記ハブに接続して前記摩擦嵌合を形成する時に使用者が加える前記力によって決定されてもよい。もちろん、移送される前記流体は、液体および/または気体を含んでもよい。以下の各特徴は、前述の本発明の態様のいずにれに対しても同様に適用してもよい。
【0038】
既に述べたように、前記レバー機構は、前記デバイスに回転可能に装着された1以上のレバー部材を含むことが好ましい。前記レバー機構は、前記流体移送先端部に回転可能に装着された部材を含んでもよいが、前記部材(1以上)は、前記流体室(それが、デバイスによって提供される場合)に回転可能に装着されることが好ましい。前記分離部材が、例えば、筒状もしくは長方形状の、前記雄型コネクタ先端部の軸と略平行方向に延びる1以上の側面を含む場合、前記側面(1以上)は、前記流体室への回転可能な装着に便利なように提供されてもよい。これは、前記流体室を少なくとも部分的に包囲し、前記流体室が提供する装着手段と係合する、前記雄型先端部から延びる覆いを形成する前記側面によって、補助されうる。
【0039】
前記レバー部材(1以上)(または、少なくともその入力部)は、前記第1位置から前記第2位置へ移動する間、前記デバイスから持ちあがって離れるように、回転可能に装着されてもよい。しかしながら、一連の好ましい実施形態において、前記レバー部材(または、少なくともその入力部)は、前記第1位置から前記第2位置へ移動するに従い、前記デバイスに近づくように、回転可能に装着されている。これにより、使用者は、前記デバイスをハブから分離する際、前記レバー機構、または、少なくともその入力部を、引き金のようにより簡単に圧迫することができる。特に、レバー部材が、前記デバイスの側面に装着される場合、前記レバー部材を引き上げるよりも前記レバー部材を押し下げる方がより簡単である。そのため、特に、前記デバイスがシリンジの形態をとる場合、片手操作が容易になる。前記レバー機構は、例えば、回転部材の連結等、多数のレバー部材を含んでもよい。連結機構は、前記機構の移動範囲を最小限に抑えつつ、機械的利点を最大限とするように設計してもよい。したがって、連結機構は、ワクチン接種の注射に一般的に使用される容積の小さい(例えば、1ml)シリンジ等、小型の流体移送デバイスに理想的に適している。
【0040】
連結機構の一部であっても、そうでなくても、前記機構の各レバー部材(1以上)は、その枢動点の前方に、前記第1位置および前記第2位置間において、前記先端部に沿って移動するように配置された出力部を含むことが好ましい。前記出力部は、上述のような、三次元部材の前面を含んでもよい。前記出力部が、先端部の軸から例えば6%の角度のテーパ状先端部に沿って移動し、特に、前記テーパ状先端部の面に沿って移動する場合、前記先端部の軸と正確には一直線でない力を加えることになり、その結果、少なくとも小さい回転モーメントが、前記テーパ状先端部に接続されたハブに加えられる可能性がある。
【0041】
前記レバー機構は、前記ハブに対して対称的に作用するように、枢動可能に装着された2以上のレバー部材を含んでもよい。このような対称的な配置により、前記分離部材の枢動による回転力を、概して前記ハブに加えないことを保証できる。さらに、出願人は、多数の部材であっても、単一のレバー部材であっても、前記先端部の軸と略一致する全体的な移動を達成することができるレバー部材の配置はいずれも、回転モーメントを加えることなく対応するハブを押しやるという点で、有利だと理解している。したがって、前記レバー機構は、前記部材(1以上)の枢動によって、前記第1位置および前記第2位置間において、前記テーパ状先端部の軸と略一直線の方向へ全体的に移動するように配置された、1以上の部材を含むことが好ましい。
【0042】
この特徴は、それ自体で新規であり、かつ進歩性を有すると考えられ、それゆえ、第4の態様では、本発明は、対応する雌型ハブに挿入されると摩擦嵌合を形成するように前端から後端にかけて外側に向かってテーパ状となった流体移送先端部と、さらに、前記先端部の後端近くの第1位置および前記第1位置から前記先端部の前端に向かって離隔した第2位置の間において、前記先端部に対して移動するように枢動可能に装着されたレバー機構とを含み、前記レバー機構が、その枢動によって、前記第1位置および前記第2位置間において、前記先端部の軸と略一直線の方向へ全体的に移動するように配置された部材(1以上)を含む流体移送デバイスを提供する。
【0043】
前記レバー機構の部材(1以上)は、全体として直線移動し、これにより、ハブを押しやって摩擦嵌合を解放するよう作用する略直線的な力を達成するのに好適な任意の方法で配置すればよい。上述の通り、一連の実施形態では、このような直線移動は、前記テーパ状先端部の軸に対して前記ハブに対称的に作用するよう枢動可能に装着された2以上のレバー部材を含むレバー機構によって達成しうる。例えば、1対以上のレバー部材を、各対のレバー部材が反対方向に枢動するように配置し、回転モーメントが打ち消され、前記機構によって加えられる全体的な力が直線的な力となるようにしてもよい。しかしながら、後述するように、レバー部材の動きが前記先端部と一直線に保たれるように枢動できる単一のレバー部材を備えた実施形態を含む、その他の実施形態も想定されている。
【0044】
レバー部材を枢動可能に装着した場合は必ず、前記レバー部材の出力部(例えば、前面)が先端部の表面に沿って、または、前記先端部の軸に沿った方向に移動するに従い、前記部材がハブに対して回転力を付与するリスクがある。前記面が、前進と同時に回転する場合、前記移動は、直線でない成分を含むことになる。このことは、固定枢動軸に装着された1以上の部材を含むレバー機構において、特に問題となる。対称的に移動するようにレバー部材が対をなしている場合でも、各対のレバー部材間で入力が等しく分配され、これらレバー部材が均等に移動し、前記先端部の軸と一直線の方向への全体的な移動が確実に生じるように、前記機構を慎重に設計しなければならない。少なくともいくつかの実施形態では、前記機構が、可動軸によって枢動可能に装着された1以上のレバー部材を含むことが好ましい。前記枢動軸が移動可能な場合、前記レバー部材を、前記雄型コネクタ先端部の軸に対し常に略一直線の方向へ、前記レバー部材の出力部(例えば、前面)が全体的に移動するように、配置することができる。例えば、一連の実施形態では、前記レバー機構、またはそのレバー部材を、前面が、前記先端部の軸に対して略接線方向の状態を維持しつつ、前記第1位置および前記第2位置間を移動するように、枢動可能に装着する。
【0045】
この特徴は、それ自体で新規であり、かつ進歩性を有すると考えられ、それゆえ、さらに別の態様では、本発明は、対応する雌型ハブに挿入されると摩擦嵌合を形成するように前端から後端にかけて外側に向かってテーパ状となった流体移送先端部と、さらに、前記先端部の後端近くの第1位置および前記第1位置から前記先端部の前端に向かって離隔した第2位置の間において、前記先端部に対して移動可能な面を含むレバー部材とを含み、前記レバー部材が可動軸によって枢動可能に装着される流体移送デバイスを提供する。
【0046】
上述の通り、可動枢動軸は、前記レバー部材の前面が、前記先端部の軸に対して略接線方向の状態を維持しつつ、前記第1位置および前記第2位置間において、移動することを可能にする。さらに、出願人は、レバー部材を可動軸によって枢動可能に装着することにより、レバー部材を、その操作の際、より柔軟かつ触知しやすくできることを見出した。レバー部材を固定軸に枢動可能に装着した場合、レバー部材が何らかの偶発的な接触に反応してしまい、時期尚早に前記先端部を対応するハブから分離しようとするリスクがある。一方、可動軸を備えたレバー部材に力を加えた場合、前記部材の出力部に入力が伝達される前に、前記力は、前記レバー部材の枢動軸を適合させ、移動させることができる。したがって、前記レバー部材は、「穏やかな」反応を提供し、前記レバー部材が前記デバイスに向かって押されるか、または遠ざかるかに応じ、適切な枢動位置に落ち着くことができる。よって、使用の際の柔軟性が向上する。これに対し、固定枢動軸を備えたレバー機構においては、前記固定軸の位置により、前記レバーの動作の仕方が設定されるため、前記レバーの移動動作は、常に前記デバイスに向かうか、または前記デバイスから遠ざかるかである。
【0047】
前記可動軸は、使用者の入力に反応して自在に移動するものとしてもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、前記枢動軸の移動は、前記レバー部材と前記デバイスの間の係合領域内に限られる。前記可動軸が係合領域によって提供される場合、回転軸は、あくまでも前記領域の制限範囲内において、動的自由度を有してもよい。前記係合領域は、前記デバイスもしくは前記レバー部材によって、またはこれら両方によって提供されてもよい。一連の実施形態において、前記レバー部材は、前記デバイス上の(1以上の)固定枢動点と係合する前記レバー部材上の領域によって枢動可能に装着されているか、またはその逆である。前記枢動軸は、前記枢動点(1以上)によって設定されるが、前記枢動点(1以上)が前記係合領域内で移動してもよいため、固定されてはいない。別の一連の実施形態では、前記レバー部材は、前記デバイス上の領域と係合する前記レバー部材の領域によって、枢動可能に装着されていてもよい。前記各係合領域は、互いに係合するように形成された複数の表面であってもよい。前記係合領域の前記表面は、前記レバー部材の枢動中、互いに対して移動することから、前記各表面の形状および形態は、移動可能な範囲を決定しうる。したがって、前記枢動軸は、前記係合領域の相互作用によって設定される一定の制限範囲内で移動可能としてもよい。例えば、前記レバー部材の表面領域は、前記デバイスの表面領域、例えば、シリンジの外筒等の流体室の表面と係合してもよい。
【0048】
レバー機構のさらに別の特徴をいくつか説明する。これらの特徴は、中心移動(centric movement)および/または可動枢動軸に加えて(または代わりとして)提供される。
【0049】
一連の実施形態において、前記レバー機構は、前記デバイス、例えば、前記シリンジの外筒または他の流体移送デバイスに枢動可能に装着された1以上の概ねL字型の部材を含んでもよい。前記(または各)レバー部材は、その枢動点の後方に入力部を、その枢動点の前方に出力部を含むこと好ましい。L字型のレバー部材の利点は、手動操作を容易にするために、その入力部を前記デバイスの流体室に隣接させて配置しうることである。前記レバー部材の前記枢動点は、前記先端部の後端もしくはその近傍に配置してもよい。このようなL字型のレバー部材は、上述したような略円筒状または略長方形状であってもよい。特に、前記L字型のレバー部材は、前記先端部の軸に略直角な前面と、前記先端部の軸と略平行方向に延在する1以上の側面を含み、例えば、前記先端部から前記流体室に向かって延びるL字型の覆いを形成してもよい。このようなL字型の部材は、少なくとも部分的に前記流体室を包囲する覆いの形態であってもよい。上述の通り、これは、使用者が、例えば、前記L字型の外筒を片手で前記流体室に押し付けることにより、前記レバー部材を容易につかめるよう便利に配置することができることを意味する。さらに、前記レバー部材は、針または他の鋭利な器具を備えたハブに接続される可能性がある前記先端部から安全な距離を置いて操作してもよい。
【0050】
他の実施形態において、前記レバー機構は、出力部を枢動点の前方に含む、枢動可能に装着された1以上の部材を含んでもよい。前記出力部は、前記枢動軸を中心とする回転力を提供する入力部を使用するのではなく、単に直接力を加えて移動させてもよい。例えば、前記出力部(1以上)を押す、もしくは圧迫することにより枢動させ、全体として前記先端部に沿って直線運動させてもよい。このようなレバー機構は、上述のように、よりコンパクトであり、小型のデバイスにより好適となりうる。さらに、前記レバー機構の大きさは、必要な包装資材(特に、滅菌された医療機器用のもの)の量、ならびに保管および配送時のデバイスの充填密度に影響を与えうる。使用者の安全が最重要ではあるが、特に発展途上国においては、医療機器の配送にかかるコストは常に懸念される事項である。
【0051】
前記機構の前記レバー部材(1以上)は、例えば、手動力下で枢動することから、前記出力部は、第1位置および第2位置の間において、前記先端部に沿って略直線的に移動するように配置されることが好ましい。テーパが小さい(例えば、6%)ため、前記先端部表面に沿ったこのような移動は、前記先端部の軸に対して厳密に一直線ではないが、略一直線である。前記出力部は、前記先端部に接続されたハブを押す表面(例えば、前面)を提供することが好ましい。前記出力部の前記表面は、平面であってもよい。平面は、前記レバーが枢動し、前記出力部を前記先端部に沿って移動させる際、一定の押す力を提供する。しかしながら、出願人は、前記出力部は、可変力を提供することが望ましい場合もあることを見出した。少なくともいくつかの実施形態では、前記表面を曲面とし、前記曲面を調整して前記レバー部材の操作中に所望の力の変化を提供できるようにすることが好ましい。特に、前記レバー部材の移動中に力を増減できるように、前記出力部の前記表面は、楕円形であることが好ましい。
【0052】
前記出力部が前記先端部の軸に沿ってX方向に移動するように(あるいは、実質的に前記先端部の軸に沿って、例えば、前記先端部のテーパ面に沿って移動するように)枢動可能に装着されたレバー部材に関しては、前記出力部の前記表面は、xy平面またはxz平面において曲線形状を有する、すなわち、その移動方向に対する接線方向に力成分を加えることが好ましい。このような力成分は、前記先端部の軸に対して、回転方向ではなく、方位角方向であると見なすことができる。全体的なねじり力が前記ハブに作用するのを回避するため、曲がった出力面を有する2以上のレバー部材を、前記先端部の軸を中心として対称的に作用するように、例えば、対向する点を中心に向かい合って枢動するよう配置してもよい。さらに、前記レバー部材が前記第1位置から前記第2位置へと移動するに従い、前記先端部の軸に対する前記出力部の曲面の曲率が増加することが好ましい。前記曲率が増加し、前記先端部の軸に対する前記表面の接線方向への作用が弱まるに従い、前記出力部によって加えられる力が弱まる。前記加えられる力を、前記第1位置からの前記レバーの移動開始時に最高となり、前記レバーが前記第2位置に向かって移動するに従って減少するようにすれば、前記先端部に接続されたハブは、減速下で押しやられるため、前記デバイスが乱暴に、もしくは強制的に分離されることがない。これにより、流体移送デバイスを円滑かつ正確に分離する特に優れた機構を提供できる。雌型ハブが前記デバイスから強制的に分離され、勢いよく外れる可能性があるという問題に対する追加または代替の解決策について、以下に述べる。
【0053】
前記レバー機構の部材(1以上)は、前記第1位置方向に弾性的に付勢されるように、枢動可能に装着されてもよい。これによって、前記レバー機構または少なくともその出力部が、常時、前記流体移動先端部の末端から離れた状態にあることを確実にできるので、前記流体移動先端部の末端は、干渉を受けることなく対応する雌型ハブと接続できる。そして、前記ハブの取り外しおよび前記デバイスの分離が望まれる時、前記レバー機構の手動操作によって、前記付勢力を克服し、前記レバーを前記第1位置から第2位置へ移動させることができる。
【0054】
少なくとも一連の実施形態において、前記レバー機構は、前記第1位置および前記第2位置の間において、枢動自在に装着されていることが好ましい。これにより、使用者が、付勢力を克服する必要がなくなり、前記機構の出力を最大化できる。さらに、前記レバー機構が自在に枢動する場合、これは、前記流体移送先端部と対応するハブを接続すれば、前記レバー機構(または、少なくともその出力部)が自動的に前記第1位置に向かって押され、弾性手段を必要とすることなく、使用準備が整った「チャージ」状態とすることができることを意味する。同じ原理をより一般的な条件にも適用することができ、このため、あらゆる分離部材を、その移動形態に関わらず、移動自在に前記デバイスに装着することが好ましい。これにより、使用者は、前記部材の移動および前記デバイスの分離の制御を、手動操作で俊敏に行えるようになる。
【0055】
前記分離部材を前記デバイスに移動自在に装着するさらなる利点は、前記分離部材の動きを使用して、前記先端部に雌型ハブを接続する際に、使用者に視覚的および/または触覚的なフィードバックを与えられることである。前記雌型ハブを、例えば、前記先端部が設けられている前記流体室に向かって移動させて前記先端部に押し付けた場合、移動自在に装着された分離部材は、例えば、前記先端部の後端に向かって移動することで、自動的に前記第1位置へと戻る。この移動の程度には、摩擦嵌合の強固さが関連する場合がある。使用者が、前記第2位置および前記第1位置間を移動する前記分離部材を視認および/または感知できれば、前記使用者に、前記ハブが、前記先端部に適切に接続されたかどうかの表示が与えられる。少なくともいくつかの実施形態では、これにより、ねじ接続等の追加の接続手段を必ずしも要することなく、強固な接続の形成を保証することができる。したがって、このような特徴は、前記流体移送デバイスとの接続不良という問題に対し、極めて単純な解決策を提供するものである。
【0056】
前記分離部材が、前記デバイスに枢動可能に装着されたレバー部材、好ましくは、前記先端部の軸に略直角な前面と、前記先端部の軸と略平行方向に延びる1以上の側面とを含むレバー部材を備えた実施形態においては、前記側面(1以上)が前記流体室に向かって枢動すると、前記前面が前記第1位置から前記第2位置へ移動するように(例えば、前記側面を前記流体室に押しつけると、前記レバー部材の前記前面が、前記先端部と接続されたハブを押しやるように)、前記レバー部材を枢動可能に装着することがさらに好ましい。一連の実施形態では、上述の通り、前記レバー部材は、前記第1位置方向に弾性的に付勢されるように枢動可能に装着されてもよい。このため、使用者が、弾性的な付勢力に逆らって、前記側面(1以上)を前記流体室方向に押しつける必要が生じる場合がある。別の一連の実施形態では、前記レバー部材は、(例えば、前記流体室に)枢動自在に装着されている。ハブとの接続前および/またはハブからの分離後、前記レバー部材は枢動自在となり、例えば、保管のため前記デバイスを小さくすることが所望される場合には、前記側面(1以上)を前記流体室に係合させることができる。好ましくは、前記レバー部材は、例えば、雌型ハブを前記雄型先端部に接続することによって前記前面が(前記流体室と近接した)前記第1位置へと移動すると、前記側面(1以上)が枢動により前記流体室から遠ざかるよう、枢動可能に装着されていることが好ましい。したがって、前記レバー機構は、例えば、採血完了等の医療処置後に前記デバイスの分離が所望される場合、自動的に使用準備が整った「チャージ」状態となる。この構成によれば、前記レバー部材の枢動が強固な摩擦嵌合の達成を示すことで、前記ハブが適切に接続されたこと示す視覚的な表示を提供することもできる。使用者は、前記レバー部材の枢動運動から、触知可能および/または聞き取り可能なフィードバックを受けてもよい。例えば、一連の実施形態において、前記レバー部材は、前記側面(1以上)が枢動して前記流体室から遠ざかると、聞き取り可能な「クリック音」が発生するように配置されてもよい。
【0057】
追加で、または代替として提供される別の一連の実施形態について、以下に述べる。前記レバー機構の部材(1以上)は、例えば、1以上の枢動点またはシャフトに嵌合することで、固定した状態で枢動可能に装着されてもよい。前記レバー機構は、このような枢動点またはシャフトにスナップ嵌合してもよい。これにより、前記レバー機構の前記デバイスへの安全な(例えば、簡単に外れない)取り付けを保証できる。固定取り付けは、固定枢動軸および可動枢動軸の両者を含んでもよい。後者の場合、前記枢動点(1以上)と係合領域間(または、2つの係合領域間)の係合は、前記領域内での移動は許容するが、不変としてもよい。しかしながら、上述のように、一連の実施形態において、前記レバー機構は、着脱可能な状態で枢動可能に装着されることが好ましい。例えば、前記レバー機構(または、前記レバー機構の部材の少なくともいくつか)は、1以上の枢動点またはシャフトに、着脱可能に装着されている。このような実施形態の利点は、使用者が、前記レバー機構を、必要に応じて(例えば、前記レバー機構が不要な時、または前記デバイスの他の操作に干渉すると分かった時)取り外すことができる点である。したがって、前記デバイスは、様々な臨床(およびその他の)用途および環境に適用できる。
【0058】
追加で、または代替として提供される別の一連の実施形態について、以下に述べる。前記レバー機構または前記分離部材の移動が起こった際、これを選択的に制御できることが望ましい場合がある。例えば、デバイスの供給または輸送中に前記先端部がハブに接続されている間、前記分離機構を動作不可状態とすることが望ましい場合がある。特に、ワクチン接種等の注射に用いられる皮下注射シリンジは、しばしば、前記シリンジの先端部に既に針ハブが接続された状態で供給されることが多い。前記デバイスは、前記レバー機構または前記分離部材を前記第1位置または前記第2位置にロックする手段を含むことが好ましい。このようなロック手段は、前記分離部材を、前記先端部に対して前記第1位置または前記第2位置のいずれかに保持してもよい。前記分離部材が、前記デバイスに枢動可能に装着されたレバー部材、好ましくは、前記先端部の軸に略直角な前面と、前記先端部の軸と略平行方向に延びる1以上の側面とを含むレバー部材を備えた実施形態においては、前記ロック手段は、前記側面(1以上)が前記流体室方向に向かって枢動した状態で、前記レバー部材を前記第2位置にロックすることがさらに好ましい。したがって、前記デバイスを、例えば、保管、輸送等のために、コンパクトな状態でロックしてもよい。
【0059】
ロック手段が前記分離部材を前記第2位置に保持するように配置されている実施形態では、前記先端部へのハブの接続が、前記ロック手段を解放し、かつ前記部材を前記第1位置へと戻す働きをしてもよい。この構成を、先に述べた、前記ハブが十分に強固な摩擦嵌合で接続されていることを保証する視覚的および/または触覚的なフィードバックと併用してもよい。例えば、前記ロック手段の解放に伴い、前記ハブが、前記先端部に沿って強固な摩擦嵌合の形成に十分な程度に押しやられ、前記ロック手段が解放されたことを示す、聞き取り可能なクリック音を発生させてもよい。前記分離部材が、前記デバイスに枢動可能に装着されたレバー部材、好ましくは、前記先端部の軸に略直角な前面と、前記先端部の軸と略平行方向に延びる1以上の側面とを含むレバー部材を備えた実施形態では、前記ロック手段が、例えば、雌型ハブを前記雄型先端部に接続することにより前記前面が第1位置へ移動すると克服され、前記側面(1以上)が前記流体室から遠ざかるように枢動するように配置されることがさらに好ましい。そして、前記レバー部材は、上述のように、自動的に「チャージ」状態となる。前記分離部材を前記第2位置にロックする手段は、前記デバイスが、前記ハブからの分離後に再利用されるのを防止する、すなわち、使い捨てデバイスとするために使用してもよい。
【0060】
このようなロック手段は、可動ブロッキング部材の形態としてもよい。前記ブロッキング部材は、摩擦で保持されるくさび、または、蝶番式に開閉できるか、もしくは折れやすい(frangible)留め具としてもよい。一連の好ましい実施形態において、前記ブロッキング部材を、針キャップによって提供してもよい。これは、前記デバイスが、前記先端部と接続された針ハブ、および前記針に前記キャップが装着されている限り、前記第1位置から動かないようにブロックされる前記レバー機構/分離部材を備えてもよいことを意味する。前記針から前記キャップを外すと、前記分離機構のブロッキングが解除され、使用後に前記針ハブから前記デバイスを解放するために使用できるようになる。したがって、一連の実施形態において、皮下注射針と、前記分離部材または前記レバー機構のためのブロッキング部材を備えた針キャップとを含む対応する雌型ハブに、前記先端部を接続してもよい。
【0061】
本発明の一態様は、対応する雄型コネクタ先端部とのテーパ状摩擦嵌合部を含む針ハブであって、前記針ハブが、皮下注射針および針キャップを含み、前記針キャップが、使用時に前記雄型コネクタ先端部に沿って突出したブロッキング手段を含む針ハブにも及んでいる。前記キャップが前記針に嵌まっている限り、前記ブロッキング手段は、あらゆる分離機構が前記先端部に沿って移動し、前記ハブを押すことを防止できる。したがって、前記分離機構は、前記針キャップの存在により、動作不可状態とされる。
【0062】
上述の通り、前記レバー機構または前記分離部材を装着する手段は、前記デバイスにより一体的に提供されてもよい。いくつかの実施形態において、前記レバー機構または前記分離部材は、前記流体室(例えば、前記流体室と一体化された装着手段)に、着脱可能に装着されてもよい。前記流体室(シリンジの外筒等)は、前記分離部材を装着するよう設計してもよく、これにより、前記デバイスに、使用可能な状態の前記分離部材を供給することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、レバー機構または分離部材を、従来の流体移送デバイスに後付けすることが望ましい場合がある。例えば、レバー機構または分離部材を標準的なシリンジまたはその他のデバイスに装着し、前記デバイスの設計を変更することなく、上記で概説した様々な利点を享受することが望ましい場合がある。前記分離部材は、単独で、または分離機構もしくはレバー機構の一部として、任意の好適な手段により、流体移送デバイスに取り付ければよい。分離部材は、前記雄型コネクタ先端部への干渉を避けるため、前記先端部の後端に取り付け留め輪により取り付けてもよい。
【0063】
このような後付け機構は、それ自体で新規であり、かつ進歩性を有すると考えられる。さらに別の態様では、本発明は、対応する雌型ハブに挿入した際に摩擦嵌合を形成するように前端から後端にかけて外側に向かってテーパ状となった流体移送先端部を含む流体移送デバイス用の分離機構を提供するものであり、前記機構は、前記機構を前記先端部の後端に取り付けるための取り付け留め輪と、前記留め輪と離隔した第2位置および前記先端部の前端に向かって、前記留め輪に対して移動可能な分離部材とを含む。
【0064】
前記分離部材の動作が前記先端部の対応するハブからの分離を補助するあらゆる状況において、このような機構を、流体移送デバイス(シリンジ等)の前記テーパ状先端部の周囲に取り付けてもよいことが理解されるであろう。前記機構は、前記先端部のハブへの挿入前または挿入後に取り付ければよい。このような機構は、摩擦嵌合が強固過ぎて前記デバイスを引っ張るだけでは簡単に分離できない、または、少なくとも損傷やけがの危険を伴わずに分離できないと判断される場合に、使用者によって、前記流体移送デバイスに任意に取り付けることができる。また、前記機構は、前記デバイスが針を備えたハブに接続され、針スパイクからの保護が所望される場合にも、任意に取り付けることができる。前記分離機構は、分離部材またはレバー機構に関して先に述べたいずれの特徴を有していてもよい。したがって、本発明のこの態様にかかる実施形態では、前記分離機構は、前記取り付け留め輪に枢動可能に装着されたレバー部材を含んでもよい。上記で概説した他の好ましい特徴もまた、このような後付け機構に同様に適用できる。
【0065】
追加で、または代替として提供される別の一連の実施形態について、以下に述べる。上述のように、分離部材が、前記先端部とそれに接続されたハブとの間の摩擦嵌合を解放するように、前記第1位置から前記第2位置へ移動する際に、前記ハブが、前記先端部から勢いよく外れる恐れがある。これは、前記ハブが、針またはその他の鋭利な器具を備えている場合に、特に危険になりうる。レバー部材による力増幅が、望まれるより激しく前記ハブを押しのけうるため、前記レバー部材が摩擦嵌合を解放するために使用される際に、この問題は顕著になるかもしれない。したがって、前記デバイスは、さらに、前記第2位置に移動する前記分離部材によって前記雄型コネクタ先端部との摩擦嵌合から解放された後の前記雌型ハブを捕捉するように配置された捕捉手段含むことが好ましい。前記分離部材が1以上のレバー部材を含む実施形態において、捕捉手段は、前記前面が前記第2位置に向かって移動するように枢動する前記レバー部材(1以上)によって前記摩擦嵌合から解放された後の前記雌型ハブを、捕捉するように配置されていることが好ましい。このような捕捉は、前記分離部材の性質に関わらず、有利に採用されてもよい。
【0066】
これは、それ自体で新規であり、かつ進歩性を有すると考えられ、それゆえ、さらに別の態様では、本発明は、対応する雌型ハブに挿入されると摩擦嵌合を形成するようにテーパ状に形成された雄型コネクタ先端部と連通する流体室と、前記流体室に近接した第1位置および前記第1位置から前記雄型コネクタ先端部の末端に向かって離隔した第2位置の間において、前記摩擦嵌合を解放するように前記雄型コネクタ先端部に対して移動可能な分離部材と、前記第2位置に向かって移動する前記分離部材によって前記摩擦嵌合から解放された後の前記雌型ハブを捕捉するように配置された捕捉手段とを含む流体移送デバイスを提供する。本発明は、さらに、雌型ハブに接続された流体移送デバイスであって、摩擦嵌合を形成するよう雌型ハブに挿入されているテーパ状雄型コネクタ先端部と連通する流体室と、前記流体室に近接した第1位置および前記第1位置から前記雄型コネクタ先端部の末端に向かって離隔した第2位置の間において、前記摩擦嵌合を解放するように前記雄型コネクタ先端部に対して移動可能な分離部材と、前記第2位置に向かって移動する前記分離部材によって前記摩擦嵌合から解放された後の前記雌型ハブを捕捉するように配置された捕捉手段とを含む流体移送デバイスにも及んでいる。一連の実施形態において、前記雌型ハブは、カニューレまたは皮下注射針を含み、前記流体移送デバイスはシリンジを含む。しかしながら、以下に概説するように、様々な他のデバイスが本発明の恩恵を受けてもよい。
【0067】
このようなデバイスによれば、前記先端部に対して、好ましくは、ねじ接続のような追加の接続手段を使用することなく、従来の摩擦嵌合、特に、標準的な「ルアースリップ」接続の利点を活用できることが理解されるであろう。前記捕捉手段は、前記先端部と対応するハブ間の接続をロックするように配置されているのではなく、単に、前記ハブが、前記摩擦嵌合から緩められた後に前記先端部から飛び出さないようにするため、前記ハブを捕捉するように配置されている。もちろん、前記捕捉手段は、必ずしも前記ハブが前記先端部との摩擦嵌合から完全に解放された後に、前記ハブを捕捉するように作用するものでなくともよい。むしろ、前記捕捉手段は、前記雌型ハブが少なくとも部分的に解放された後、例えば、前記分離部材により、前記捕捉手段によって捕捉されなければ前記ハブが前記先端部から外れる程度に前記接続が緩められた後に、前記雌型ハブを捕捉するように配置されてもよい。
【0068】
前記捕捉手段は、あらゆる好適な方法で前記デバイスにより提供されればよい。雌型ハブは、前記第2位置に向かって移動する前記分離部材により、前記雄型コネクタ先端部の末端に向かって移動させられるので、前記捕捉手段は、前記雌型ハブを捕捉するため、前記雄型コネクタ先端部に対して配置することが好ましい。前記捕捉手段は、自動的に、すなわち、使用者による始動操作なしで、動作するよう配置されることが好ましい。前記捕捉手段は、前記ハブに係合して引き戻すよう作用する(例えば、機械的な噛み合い、摩擦、接着等を利用)任意の部材を含んでもよい。例えば、前記捕捉手段は、少なくとも1つの把持部材、例えば、前記雄型コネクタ先端部の末端に向かって延びる(1以上の)指状部材を含んでもよい。他の例では、前記捕捉手段は、例えば、前記分離部材の前記第2位置への移動によって前記雌型ハブが前記流体室から押しやられた後に、前記雌型ハブを捕捉するように配置された、少なくとも1つの把持パッドまたは粘着面を含んでもよい。例えば、前記ハブがIVポートであり、生理食塩水のシリンジが前記ハブに接続されている場合、前記捕捉手段は、単純に前記ハブの表面に係合すればよい。前記ハブが、リム(例えば、針ハブ)を備えていれば、これにより、前記捕捉機構を補助できる。
【0069】
一連の実施形態において、前記捕捉手段は、前記分離部材から独立した形で、例えば、前記流体室および/または前記雄型コネクタ先端部により提供されてもよい。しかしながら、前記捕捉手段は、前記分離部材の動きに干渉しないことが望ましい。別の一連の実施形態では、前記捕捉手段は、前記分離部材によって提供されることが好ましい。これにより、前記捕捉手段が、前記分離部材の移動中に、または前記分離部材が前記第2位置まで移動して摩擦嵌合を解放した場合にのみ動作することを、より簡単に保証できる。例えば、前記捕捉手段は、少なくとも1つの把持部材、例えば、前記分離部材から前記雄型コネクタ先端部の末端に向かって延びる(1以上の)指状部材を含んでもよい。
【0070】
前記分離部材が1以上のレバー部材を含む場合、前記捕捉手段を前記分離部材により提供すれば特に便利である。これは、前記摩擦嵌合が緩めば、前記レバー部材(1以上)の枢動運動が、前記捕捉手段が前記ハブと係合することを助けることができるからである。したがって、一連の好ましい実施形態では、前記分離部材は、前記デバイスに枢動可能に装着された前記レバー部材を含み、前記捕捉手段が、前記レバー部材によって提供されている(例えば、前記レバー部材と一体化されている)。前記レバー部材が、前記先端部の軸に略直角な前面と、前記先端部の軸と略平行方向に延びる1以上の側面を含むことがさらに好ましい。少なくともいくつかの例では、前記捕捉手段は、前記レバー部材の前面に設けられてもよいし、前記前面と前記側面(1以上)の接合部に設けられてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態において、使用者は、前記捕捉手段からの前記ハブの解放を、手動操作の介入、例えば、前記ハブをつかんで前記捕捉手段から引き抜くことによって行ってもよい。これには使用者による前記ハブの取り扱いが必要となるが、前記分離部材により既に接続が緩められており、前記使用者は、前記摩擦嵌合から解放するのと同じ程度の力によらず、前記ハブを引き抜くことができるという利点がある。しかしながら、前記使用者が、一方の手で前記デバイスをつかみ、他方の手で前記ハブを引き抜く必要があるため、この方法は理想的ではない。さらに、前記ハブが、針または他の鋭利なデバイスを含む場合、損傷のリスクが高くなる。このため、前記デバイスは、前記捕捉を解放する手段を含むことが好ましい。前記捕捉手段の前記雌型ハブの捕捉動作が完了すれば、前記摩擦嵌合の解放後に、前記ハブを前記デバイスから分離できるよう捕捉解放を作用させてもよく、これにより、例えば、使用済みの針を、鋭利物用のゴミ箱等に入れることが可能になる。前記捕捉が解放されてしまえば、前記ハブを、前記分離部材の移動によって加わる力によってではなく、重力により、前記先端部から落下させてもよい。この構成によれば、前記ハブが前記デバイスから分離されるため、前記ハブの制御がはるかに改善される。
【0072】
いくつかの実施形態において、前記デバイスは、前記分離部材から独立した形で、捕捉解放手段を含んでもよく、例えば、前記分離部材の動作後に使用者が操作できる捕捉解放アクチュエータを含んでもよい。これにより、例えば、前記分離部材を動作させて摩擦嵌合を緩め、(それと同時に、またはその後で)前記ハブを廃棄ユニットに向けてから、前記捕捉解放アクチュエータを動作させる、といった、前記ハブの解放における柔軟性を使用者に提供できる。しかしながら、円滑な作業の流れを保証するため、一人の使用者の操作により、前記捕捉を行い、そして、解放させることが望ましい。前記摩擦嵌合を緩め、前記ハブを捕捉し、そして前記デバイスから前記ハブを分離することを、前記分離部材の操作のみによって行うことが最も便利である。これは、使用者が前記分離部材のみを操作すればよいこと、ならびに、前記デバイスを、片手操作に適したものとすればよいことを意味する。よって、一連の好ましい実施形態において、前記捕捉手段は、前記分離部材の移動によって解放されるように配置される。いくつかの実施形態において、前記捕捉手段は、前記第2位置に向かうか、またはこれを通過する前記分離部材のさらなる移動によって、例えば、前記分離部材が前記ハブを前記捕捉手段に押し込み、そして通過させることによって、解放されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、前記捕捉手段は、前記第2位置から前記流体室に近接する前記第1位置へと戻るように移動する前記分離部材によって解放されることが好ましい。前記分離部材が前記デバイスに枢動可能に装着されたレバー部材を含む実施形態において、前記捕捉手段は、前記第1位置へと戻るように枢動する前記レバー部材によって、解放されてもよい。前記レバー部材が、前記先端部の軸に略直角な前面と、前記先端部の軸と略平行方向に延びる1以上の側面を含むことが好ましい場合、前記捕捉手段は、前記前面を前記流体室に近接する前記第1位置へと戻すように枢動する前記レバー部材によって解放されてもよい。
【0073】
前記分離部材(例えば、レバー部材)が前記デバイスに自在に装着される実施形態において、使用者は、例えば、前記レバー部材を後方へ引くことにより、前記分離部材を前記第1位置に戻すように積極的に移動させて、前記前記捕捉を解放してもよい。しかしながら、この移動は、上述の通り、前記第1位置方向に弾性的に付勢されるように枢動可能に装着された前記レバー部材(1以上)により、補助されてもよい。あらゆる分離部材が前記第1位置方向に弾性的に付勢されていることが好ましいかもしれない。これは、使用者が前記摩擦嵌合を緩めた後に前記分離部材(例えば、レバー機構)を解放すると、前記捕捉手段が、前記弾性的付勢の下、前記第1位置へ戻るように移動する前記分離部材(1以上)によって自動的に解放されることを意味する。前記弾性的付勢は、前記捕捉手段の一部として、および/または前記捕捉手段とは独立した形で提供されてもよい。例えば、前記分離部材を前記第1位置方向に弾性的に付勢するように、ばね部材を配置してもよく、前記ばね部材は、前記分離部材に一体化されていることが好ましい。これにより、一人の使用者の操作により、前記摩擦嵌合を緩め、前記ハブを捕捉し、そして、前記ハブを解放して、それを前記デバイスからそっと落下させる効果を得ることができる。例えば、使用者は、レバー部材を圧迫し、そして、離すだけでよい。上述の、本発明のあらゆる態様の実施形態において、前記分離機構は、情報担体としての追加機能を提供してもよい。したがって、前記分離部材または前記レバー機構は、情報担体を含んでもよい。一連の実施形態において、情報担体は、前記分離部材または前記レバー機構と一体化されていてもよい。例えば、前記情報担体は、前記デバイスの種類および/または移送される前記流体に関する刻印情報、エンボス情報、または印字情報の形態としてもよい。前記情報担体は、使用者が、前記デバイスにより移送される流体に関する情報(例えば、医薬および/または投与量の指定)および/または対象に関する情報(例えば、患者識別)を追加できる書き込み可能な面の形態としてもよい。これにより、患者の安全性を高めることができる。前記情報は、バーコード、QRコード、EANコード、印刷メモリ、または他の形態の近傍場識別システム(near field identification system)の形態としてもよい。色分けを、情報伝達に使用してもよい。
【0074】
別の一連の実施形態において、前記分離部材または前記レバー機構は、情報担体を受け入れる手段を含んでもよい。前記情報担体は、例えば、接着による取り付け、機械的取り付け(スナップまたはクリップ嵌合、または面ファスナ(例えば、ベルクロ)等)、または磁力による取り付け等の任意の好適な手段により、選択的に前記受け入れ手段に取り付けてもよい。前記情報担体は、前記デバイスのライフサイクルの適切な時期に前記受け入れ手段に取り付けてもよい。従って、製造業者は、供給前に、デバイスに前もって情報のラベルを貼ることもできる。これに代えて、前記デバイスは、例えば、1以上の情報担体(例えば、取り付け可能なラベル)を備えるキットの一部として提供され、そして、最終使用者が、受け入れ手段の恩恵を受けて、前記デバイスに情報を取り付けてもよい。最終使用者は、例えば、患者固有のラベル等を取り付けることもできる。さらにこれに代えて、情報担体は、移送される医薬品またはその他の流体と一緒に提供され、そして、前記流体が摂取される時に、前記デバイスに取り付けてもよい。例えば、情報担体は、各流体容器(薬剤のバイアル等)に対してオーダーメイドでき、例えば、薬剤がシリンジ内に引き込まれた時に前記デバイスに取り付けできる状態で、製造者から使用者へ、前記容器についていくこともできる。
【0075】
分離部材またはレバー機構は、シリンジ等のデバイスに対し、情報を担持する新たな機会を与えることが見出されたが、流体移送デバイスに情報担体を受け入れる専用手段を設けるという特徴は、それ自体で新規であり、かつ進歩性を有すると考えられる。よって、さらに別の態様では、本発明は、流体室と、前記流体室の外表面に設けられた、情報担体を受け入れるための手段とを含む流体移送デバイスを提供する。前記受け入れ手段は、受け入れのための空洞、くぼみ、窓、またはスリーブの形態とすることができる。一連の好ましい実施形態において、前記受け入れ手段は、情報担体を前記デバイスにクリップで留めることを可能にする。
【0076】
上述の通り、情報担体は、接着剤による取り付け、機械的取り付け、または磁力による取り付けの1以上により、選択的に前記受け入れ手段に取り付けることができる。前記情報担体は、印字情報、エンボス情報、刻印情報、または書き込み情報の1以上を含んでもよい。前記情報は、色分け、バーコード、QRコード、EANコード、印刷メモリ、または他の形態の近傍場識別システム(near field identification system)の1以上の形態としてもよい。
【0077】
本発明の利点は、前記デバイスの前記先端部を、接続用部品のねじ留めを要することなくハブと接続できること、すなわち、ルアーロック接続ではなく、いわゆるルアースリップ接続で接続できることである。前記流体移送デバイスの前記テーパ状先端部および対応する雌型ハブ間の摩擦嵌合は、安全な流体密封式の接続を提供するためだけに依拠されることが好ましい。
【0078】
出願人は、特に医療現場における流体移送デバイスの接続と分離は、汚染および感染の伝播のリスクと密接に関係しうるものと認識している。流体移送デバイスを使い捨ての設計とし、使用後に廃棄することが、一般的に好ましい。流体と接触しない前記デバイスの部品(例えば、前記分離部材)を着脱可能とした場合でも、前記部品はもはや殺菌された状態ではないため、再使用は望ましくない。このような部品は、再使用前に洗浄し、殺菌する必要がある。前記デバイスを、使用者の再使用を阻止するように設計することが有利である。したがって、一連の実施形態では、前記分離部材は、前記第1位置から前記第2位置への移動後は、前記部材が使用不可となるように配置される。これは、様々な方法により達成できる。例えば、前記分離部材または分離機構の一部を、前記第2位置へと移動した時点で破壊してもよい。他の例としては、前記分離部材を、前記第2位置へ移動した時点でロックしてもよい。前記デバイスは、前記分離部材が前記第2位置へと移動して前記先端部からハブを分離させた後に、前記分離部材を、例えば、破壊、ロック等により動作不可とする好適な手段を含んでもよい。これにより、使用者は、前記デバイスを使用後に廃棄せざるを得なくなる。
【0079】
これに代えて、あるいはこれに加えて、前記デバイスは、前記分離部材が前記雄型コネクタ先端部または流体移送先端部との摩擦嵌合からハブを解放するように動作した後は、当該先端部を使用不能とすることにより、使い捨ての設計としてもよい。一連の実施形態において、この構成を、前記分離部材が前記第2位置に向かって移動すると、前記先端部を少なくとも部分的に破壊するように、前記分離部材を配置することによって達成してもよい。前記分離部材は、前記デバイスの使用後に前記先端部が別のハブに接続できないよう前記先端部にダメージを与える任意の好適な手段により、屈曲、せん断、破砕、切断、穿孔等によって前記先端部を破壊するよう作用してもよい。一連の好ましい実施形態において、前記分離部材は、前記デバイスに枢動可能に装着された1以上のレバー部材を含み、前記レバー部材(1以上)の前記第2位置への移動が前記先端部に回転力を与えるように配置されている。この回転力は、例えば、前記先端部が成型プラスチック材料で形成されている場合に、前記先端部を変形させるか、または折る(snap)のに十分なものであればよい。前記先端部に前記レバー部材の作用を受ける脆弱な領域を形成することにより、前記効果を向上させてもよい。前記レバー部材が、前記先端部の軸に略直角な前面と、前記先端部の軸と略平行方向に延びる1以上の側面を含むことが好ましい場合、前記先端部は、前記前面における溝穴または開口を通過するように配置してもよい。前記溝穴または開口の側部は、前記レバー部材が枢動して前記前面を前記第2位置に移動させるに従い、前記先端部、特に、前記先端部の脆弱領域を圧迫し、前記先端部を破壊できる。このような実施形態では、前記デバイスがハブから分離されると同時に前記先端部が確実に破壊され、再使用が不可能となる。これは、前記デバイスが、例えば、発展途上国で使用される、ワクチン等の医薬を注入するための針を備えたハブに接続されたシリンジを含む場合に特に望ましい。
【0080】
前記流体移送デバイスは、流体(液体および/または気体)の、流体の入れ物からの移送または流体の入れ物への移送に使用されるあらゆる種類のデバイスを含んでもよい。前記流体の入れ物は、無生物であってもよいし、または生きた対象の一部、例えば、体腔、臓器、または静脈もしくは動脈等の血管であってもよい。本発明は様々な用途を見出すことができるが、前記流体移送デバイスは、医療器具であることが好ましい。前記流体移送デバイスは、シリンジ、薬剤充填済みシリンジ、IV送達デバイス(例えば、「点滴」)、輸液デバイス、流体ポンプ、活栓、アスピレーター、または吸引デバイス等の1以上のデバイスを含んでもよい。前記デバイスは、関連する医療規格、例えば、殺菌した皮下注射シリンジに関するISO7886に適合させてもよい。一連の実施形態において、前記先端部は、カニューレまたは皮下注射針を備えた対応する雌型ハブに接続される。このような実施形態では、前記デバイスは、シリンジの形態としてもよい。前記流体移送デバイスがシリンジの場合、前記雄型先端部は、前記流体室、例えば、前記シリンジの外筒の中心であってもよいし、中心でなくともよい。前記流体室の容積は、0.5ml、1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、10ml、20ml、30ml、50ml、100ml、またはそれ以上であってもよい。より小さいシリンジ(例えば、5ml以下)は、中心先端部を有する傾向があり、一方、より大きいシリンジ(例えば、10ml以上)は、非中心先端部を有する場合がある。分離部材のタイプおよび/または前記デバイスへの前記分離部材の装着方法は、前記先端部が前記シリンジの中心であるか否かによって異なるものであり、前記シリンジの中心とするかどうかは、前記シリンジの容積/直径に左右されうる。一連の実施形態において、非中心先端部を有するシリンジは、分離のためのレバー部材を備える。これは、てこの作用を発生させるのに十分な空隙を備えた前記先端部の一方の側に、前記レバーをより容易に装着しうるためである。別の一連の実施形態では、中心先端部を有するシリンジは、分離のための摺動部材を備えている。もちろん、これに代わり、中心先端部を有するシリンジに、分離のためのレバー部材を備えてもよい。
【0081】
前記流体室、例えばシリンジの外筒は、直径および容積が一様でなくてもよいが、前記先端部は、シリンジ、針、および特定の他の医療器具における6%(ルアー)テーパとの円錐状嵌合に関する規格ISO594(1986)、EN20594−1(1993)、またはEN1707(1996)に適合することが好ましい。よって、前記摩擦嵌合は、シリンジまたは他のデバイスの大きさにかかわらず、同一の直径およびテーパを有する前記先端部について標準化されていることが好ましい。本発明の全態様にかかる好ましい特徴は、前記先端部が、6%テーパの標準的なルアースリップ先端部の形態とすることである。好ましさの程度が低い実施形態では、前記テーパ状雄型コネクタ先端部は、前記摩擦嵌合に加え、ハブをしっかり把持するねじ山に包囲されてもよいが、これにより、前記分離部材の操作が困難になることもある。前記ハブの解放を容易にするため、前記ねじ山または他の把持留め輪を標準より弱くした場合でも、摩擦嵌合を上回る接続が存在することは理想的ではない。前記先端部は、摩擦嵌合のみによって対応する雌型ハブに接続されることがさらに好ましい。換言すれば、ルアーロック留め輪等は、前記接続の一部をなすものではない。
【0082】
前記第1位置および前記第2位置間における前記分離部材の移動範囲は、2mm以上、3mm以上、4mm以上、5mm以上、6mm以上、7mm以上、8mm以上、9mm以上、または10mm以上であることが好ましいことが見出された。前記移動の範囲は、5mmまで、6mmまで、7mmまで、8mmまで、9mmまで、10mmまで、11mmまで、12mmまで、13mmまで、14mmまで、15mmまで、またはそれ以上としてもよい。このような移動であれば、ルアースリップ先端部の摩擦嵌合を、前記接続が流体の移送によって加圧された場合でも、十分に解放できる。
【0083】
本発明を、「雄型」テーパ状先端部を含む流体移送デバイスとの関連において説明したが、デバイスおよび対応するハブ間の摩擦嵌合は、前記接続の前記雄型部と雌型部を逆にした場合でも、同様に達成できることが理解されるであろう。したがって、本明細書中に開示の発明の態様および実施形態のそれぞれにおいて、前記雄型先端部の代わりに、ハブが提供する対応する雄型部が挿入された際に摩擦嵌合を形成するテーパ状雌型部とすることもできる。前記分離部材は、この場合には、前記雌型部に沿って移動し、前記雌型部に挿入された前記雄型部を押しやることで、やはり前記摩擦嵌合を解放するよう作用する。このような実施形態は、シリンジ等の流体移送デバイスのためのルアースリップ接続の標準的な設計からは逸脱しているが、ここで概説したように逆転させた雄型部および雌型部により、新たな標準が実現されることを想定している。
【0084】
したがって、本発明は、対応するハブに対するテーパ状摩擦嵌合部を備えた流体移送先端部と連通する流体室を含み、さらに、前記摩擦嵌合を解放するように前記流体移送先端部に対して移動可能な分離部材を含む流体移送デバイスにも及んでいる。一連の実施形態において、前記分離部材は、前記デバイスに枢動可能に装着されたレバー部材を含む。前記レバー部材は、前記先端部の軸に略直角な前面と、前記先端部の軸と略平行方向に延びる1以上の側面を含むことが好ましい。前記前面は、例えば、前記レバー部材が枢動して前記前面を前記流体移送に近接する第1位置から前記流体移送先端部と離隔した第2位置へと移動させるに従い、前記ハブを押して前記摩擦嵌合を解放するように配置してもよい。これに加えて、あるいはこれに代えて、前記デバイスは、前記摩擦嵌合が解放された後に前記ハブを捕捉するよう配置された捕捉手段をさらに備えていてもよい。これに加えて、あるいはこれに代えて、本明細書中で上述した他の特徴の1以上を、このようなデバイスと併用してもよい。
【0085】
本発明のいくつかの好ましい実施形態について、あくまでも例示目的で、添付図面を参照しながら説明する。
【0086】
図1〜
図41は、シリンジ2の形態をとる流体移送デバイス用の様々な異なる分離機構を示す。シリンジ2は、概ね、雄型先端部6と連通する流体用外筒4を含む。先端部6は、外筒4に近接するその後端からその前端へ、標準のルアースリップ設計、すなわち6%のテーパ(およそ3.43°に相当)にしたがってテーパ状に形成されている。外筒4内の流体は、外筒4内に挿入されたプランジャー8を押すまたは引くことにより、先端部6を介して移送することができる。しかしながら、便宜上、各実施形態においてシリンジ2が示されているが、このようなルアースリップ先端部は、点滴等の他の流体移送デバイスにも同等に連通しうる。
【0087】
図1〜
図18を通して分かるように、雄型先端部6は、流体を針12または他のカニューレに移送するために、対応する雌型ハブ10に接続されてもよい。図示はないが、針12は、例えば、様々な流体の注入および/または除去用のIVポートを提供するハブ10を用いたIV療法のために、生きた対象に既に挿入されていてもよい。テーパ状先端部6は、ハブ10内に挿入され、流体密封式の摩擦嵌合を形成する。各実施形態において、ハブ10を押すように、シリンジ外筒4に近接した第1位置と前記第1位置から雄型先端部6の前記前端に向かって離隔した第2位置との間で、雄型先端部6に対して移動するよう手動で操作可能な分離機構が提供される。したがって、前記機構の操作は、前記ルアースリップ接続の摩擦嵌合を解放するために使用者が前記シリンジを引くまたは強く引く必要なく、ハブ10からシリンジ2を自動的に分離するように作用する。好ましい実施形態は、先端部6を、ハブ10から遠ざかるように押すレバー機構を提供する。
【0088】
図1の実施形態において、レバー14は、シリンジ2の外筒4に枢動可能に装着されている。レバー14は、概ね、外筒4の外側に沿って延びる入力アーム16(外筒4に適合するように平面でも曲面でもよい)および雄型先端部6に隣接する出力アーム18を備えたL字型である。出力アーム18は、先端部6の片側に配置されるか、または、先端部6が通過するための開口が設けられている場合には、先端部6を包囲してもよい。第1位置(実線)において、レバー14の入力アーム16は、外筒4に対して同一平面であり、出力アーム18は、外筒4に近接する先端部6の前記後端に配置される。この位置において、シリンジ2は、いかなる干渉も受けることなく、ハブ10に接続できる。シリンジ2の分離が望まれる場合、レバー14は、入力アーム16を外筒4から遠ざかるように押すことにより、第2位置(点線)へ枢動できる。そして、レバー14の出力アーム18は、コネクタ先端部6に沿って前方へ移動してハブ10を押し、前記摩擦嵌合を解放する。レバー14は、入力アーム16に加えられる力を増幅するよう作用し、それにより、使用者は、強い力を必要とせずに前記シリンジを容易に分離できる。ハブ10を保持する必要はない。自身で分離機構を備えるシリンジ2は、片手で操作できる。したがって、ハブからシリンジを引きぬく場合よりも患者にとってより円滑に分離できる上、使用者は、針負傷のリスクから守られる。
【0089】
図2は、シリンジ2に枢動可能に装着されたレバー24の別の実施形態を示す。本実施形態において、第1位置(実線)において、出力アーム28が先端部6の前記後端において外筒4に対して着座している状態で入力アーム26が外筒4から離隔しているように、レバー24は、入力アーム26と出力アーム28との間の位置25に枢動可能に装着されている。この位置において、シリンジ2は、いかなる干渉も受けることなくハブ10に接続できる。シリンジ2の分離が望まれる場合、レバー24は、外筒4に入力アーム26を押しつけることにより、第2位置(点線)へ枢動できる。そして、レバー24の出力アーム28は、コネクタ先端部6に沿って前方に移動してハブ10を押し、前記摩擦嵌合を解放する。レバー24は、前記分離機構を操作する際にトリガのように圧迫できるため、特にシリンジ2を片手で把持する際に、操作が容易となるかもしれない。
【0090】
図3および
図4に、
図2に示す基本的な実施形態の変形例である、好ましいレバー機構を示す。本実施形態において、レバー34は、シリンジ外筒4の円筒面に適合するように成形され、シリンジ2の前方の点に装着されている。レバー34の前記円筒形状は剛性を付与するため、屈曲せずに効率よく力を伝達できる。レバー34は、プラスチック材料から成形されてもよい。レバー34は、外筒4の前記前端で軸35に枢動可能に装着されている。レバー34は、シリンジ2の先端部6を収容するための溝穴を備え、かつ、加えられた力を変化させるように曲がった出力面38を有する。シリンジ2がハブ10に接続されると、
図4aから分かるように、出力面38は、先端部6の前記後端に押し戻され、レバー34は枢動し、それにより、その入力アーム36は外筒4から離隔される。レバー34のこの移動は、前記ハブが先端部6に押つけられ、強固な摩擦嵌合であることを保証することに役立つ視覚的および触覚的フィードバックを前記使用者に提供する。シリンジ2のハブ10からの分離が望まれる場合、レバー34は、第1位置(
図4a)から、外筒4に入力アーム36を押しつけることにより、
図4bに示される第2位置へ移動する。入力アーム36を下方に枢動すると、出力面38は、先端部6に沿って前方に枢動し、ハブ10を押す。面38の楕円曲率は、前記シリンジが強制的に押し出されないように、ハブ10との係合時に低減した力を与える。
【0091】
図5に、レバー34が取り外されたシリンジ2の外筒4を示す。
図5から分かるように、外筒4は、その前端に一体成形された2本の軸35を有し、それにより、レバー34は、軸35により定義された固定軸によって枢動可能に装着できる。
図6に、
図5に示す外筒4に枢動可能に装着できる別のレバー34’の透視図を示す。レバー34’が前記外筒にクリップされると、内部ソケット35’は、軸35を受ける。レバー34’が、自身を前記外筒の前方に押して前記ソケットから軸35を解放することにより取り外すことができるように、軸35は、双安定的にソケット35’内に配置されている。レバー34’は、さらに、その表面に情報担体を受け入れるための空洞32を有する。
図7a〜
図7dに、書き込み可能なストリップ32a(
図7a)、予め書かれたラベル32b(
図7b)、予め印刷されたラベル32c(
図7c)、または患者IDラベル32d(
図7d)等、空洞32に受け入れられる情報担体の種類のいくつかの例を示す。前記情報担体は、薬剤/投与量、および/または患者固有の詳細等、前記シリンジに入れて携帯される前記流体の詳細を表示するために用いることができる。レバー34’の追加情報携帯機能は、患者の安全性を高めることができる。
【0092】
レバー34、34’は、複数の異なる様式でシリンジ外筒4に枢動可能に装着できると理解される。
図8a〜
図8cに、いくつかの例を示す。
図8aにおいて、軸35は、外筒4により提供される。
図8bにおいて、軸35’は、レバー34、34’により提供され、外筒4上のソケットにより受けられる。
図8cにおいて、外筒4は、軸35’用の固定係合位置を提供するのではなく、係合領域37を提供することがわかる。これは、レバー34、34’が可動軸によって枢動可能に装着されていることを意味する。
【0093】
図9および
図10に、可動軸によって枢動可能に装着されたレバー134を有するレバー機構の実施形態を示す。
図9a〜
図9cに、組み立て前の部品を示す。シリンジ102は、針ハブ10接続用のテーパ状先端部106と流体連通する外筒104を有する。シリンジ102は、さまざまな点で標準的な物と異なる。第1に、先の実施形態に記載のように、外筒104は、その前端部の近くに軸または枢動係合点135を備える。外筒104の前面105は、レバー134がシリンジ102と係合している時にレバー134と相互作用するように、曲面になっている。
図9aおよび
図9bに示すように、レバー134は、シリンジ先端部106用開口を包囲する前面107を有する。
図9cに、前面107に略直角に延びるレバー134の側壁109を示す。レバー134は、円筒状というよりもむしろ長方形であるが、側壁109に接続された前面107を有する三次元構造は、補強効果も達成する。側壁109の内部表面において、係合領域137は、レバー134が外筒104の前端部に係合して重なる際に枢動係合点135を受ける凹部により定義される。
図9d及び
図9eに、シリンジ102と組み立てられたレバー134を示す。任意の特徴として、外筒104はレバー134用ロックシステム140aを提供する。レバー134は、側壁109の内面に、前記ロックシステムに対応する特徴140bを有する。
【0094】
図10に、シリンジ102およびレバー134の使用中の様々な段階を示す。
図10aに示すように、レバー134は、横からスライドさせて装着され、輸送用にロックできる。
図10bに、針ハブ10の装着によって、前記ロックを押し開けてレバー134を解放する様子を示す。
図10cに、レバー134を押しつけることにより、ハブ10を押してテーパ状先端部106からハブ10を分離する様子を示すが、前記枢動軸は、略中心力(substantially centric force)が常に加わるように係合領域137内を移動する。
図10dは、レバー134が押し下げられると、さらなる使用を防止するためにロックできることを示す。
図10eに、針ハブ10がシリンジ102に装着されたときの前記可動枢動軸の反応の詳細を示す。
図10fに、レバー134を持ち上げることによってもまた、ハブ10を押してテーパ状先端部106からハブ10を分離する様子を示すが、ここでも、前記枢動軸は、略中心力が常に加わるように係合領域137内を移動する。
【0095】
レバー用またはその他の種類の分離部材用のロックシステムの特徴は、前記レバー機構(またはその他の分離機構)の形態にかかわらず、一般的に適用可能である。
図11に、
図6に示したものと類似のレバー34’を備えるシリンジ102’の別の実施形態を示す。上述の通り、レバー34’は、情報担体(図示しない)を受け入れ可能な空洞32を有する。本実施形態において、シリンジ102’の外筒104’は、
図11aの一方の側から見て、一対のラッチ部材140’を含むロックシステムを提供する。
図11cは、レバー34’が、外筒104’の前面105に係合されるまで先端部106’の軸方向にスライドすることにより、シリンジ102’に装着される様子を示す。この時点で、ラッチ部材140’はレバー34’と係合し、梱包および輸送用に、レバー34’はシリンジ外筒104’に対してロックされる。針12を備えたハブ10は、通常、別々に梱包される。
図11dは、シリンジ102’に針ハブ10を装着することによって、レバー34’が枢動するようにレバー34’の前面107’を押し、その接続の力によって前記2個のラッチ部材140’からレバー34’を解放する様子を示す。前記ロックシステムは、ラッチ部材140’が解放され、レバー34’の使用準備が整ったときに、聞き取り可能な「クリック音」またはその他の音がでるように弾力的であってもよい。
図11eは、シリンジ102’からの針ハブ10の分離に関与する段階を示す。レバー34’は、シリンジ外筒104’に対して押しつけると枢動し、それにより、その前面105’は、先端部106’に沿って移動し、ハブ10を押しやる。レバー34’は、シリンジ外筒104’に対して最後まで押しつけるとラッチ部材140’と係合し、それにより、再びロックされる。聞き取り可能な「クリック音」またはその他の音で、レバー34’がロックされたこと示してもよい。
【0096】
ロックシステム140、140’は、複数の異なる形態を取ってもよいと理解される。
図12a〜
図12cに、いくつかの例を説明する。
図12aにおいて、一対のラッチ部材140’は、レバー34’との係合のために、シリンジ外筒104’の外側に設けられる。
図12bにおいて、一対のラッチ部材140’’は、シリンジ外筒104’’の外側の対応する一対の凹部141に係合するようにレバー34’’の内側に設けられる。
図12cは、明確なラッチ部材を持たない別の例を示す。その代わりに、レバー34’’’の形状は、シリンジ外筒4に対して押し下げられると、シリンジ外筒4の外側面を把持して、前記2つの部分が弾性的にロックされるような形状を有する。
【0097】
図13および
図14に、レバー機構のいくつかの別バージョンを示す。
図13に示す実施形態において、曲面ではなく角度のついた出力面48を備えるレバー44は、シリンジ外筒4に枢動可能に装着されている。
図14は、2つの角度付レバー44を用いる別の実施形態を示す。前記レバーの数および前記出力面の形は、特定の流体接続を解放するためにハブ10に加えることが望まれる力に応じて設計されてもよい。各L字型のレバー44は、外筒4の片側の枢動点45に装着されている。
【0098】
図1〜14に示す各実施形態において、レバー14、24、34、34’、34’’、44は、自在に枢動するように装着されている。前記分離機構は、シリンジ2の先端部6を対応するハブ10内に押し入れるだけで、自動的に準備される。ハブ10は、前記レバーの前記出力アームを押して、前記レバーが、使用準備が整った第1位置へ戻るように移動させる。上述の通り、これにより、ハブ10が充分な摩擦嵌合で適切に係合されたことを示すフィードバックを使用者に有利に提供できる。しかしながら、他の実施形態において、前記レバー(または他の分離部材)は、ハブ10にシリンジ2が接続されると、その出力アームが先端部6から自動的に離れるように、第1位置(準備位置)方向に弾性的に付勢されていることが望ましいかもしれない。
図15および
図16は、それぞれ、
図13および
図14の前記実施形態の別バージョンを示すが、レバー54は、弾性部材60により前記シリンジ外筒4に枢動可能に装着されている。各レバー54は、第1位置(実線)方向に弾性的に付勢されているが、前記弾性的付勢は、レバー54を外筒4に押しつけて前記第2位置(点線)に移動する際に克服されなければならない。
【0099】
図17に、枢動可能に装着されるレバー64のさらなる実施形態を示す。L字型レバー64は、レバー64の入力部66および出力部68間の角度が変更できるように、弾性材料またはヒンジ付きで形成されている。レバー64は、その前端に、外筒4に近接して設けられた曲面(または傾斜面)69に沿って円滑に動くように配置された曲面68を有する。拡大図に示すように、面69の傾斜が先端部6の末端に向かって増加するに従い、“マイクロレバーアーム”(micro lever arm)効果が生まれる。レバー64の前記入力部に直角な距離が減ると、レバー64の前記入力部と出力部の間の角度は大きくなり、前記出力部は前方へ付勢されて増強した力でハブ10を押す。このような配置は入力される力を増幅し、強固な係合接続を解放するのに役立つ。
【0100】
図1〜
図17を参照して説明した前記様々なレバー機構は、広範囲のシリンジの先端部の摩擦嵌合を解放するよう設計されていてもよい。特に、
図3〜
図6および
図8〜
図12に示す前記レバー機構は、容積が1mlまたは2mlと小さいシリンジ用に設計されてもよい。加えて、他の機構設計は、操作性、材料の用法、梱包コスト、およびシリンジ(またはテーパ状先端部を有するほかの流体移送デバイス)の大きさを含む(しかしこれらに限られない)様々な要因に応じて検討されてもよい。
【0101】
図18に、揺動運動するように外筒4に枢動可能に装着されたレバー部材74を示す。レバー部材74は、雄型先端部6の外面形状に適合するように成形され、楕円形状の出力面78を有する。近接詳細図に示すように、部材74が先端部6の軸周りを揺動すると、その面78はハブ10と係合してハブ10を先端部6から取り外す。上記で概説した原理と同じ原理によって、レバー部材74の面78は、分離中にハブ10に加わる力を変化できるように、曲面(例えば、楕円)としてもよい。このようなレバー機構は、比較的大きい径を有する(例えば、容積が10ml以上)シリンジ2と一緒に使用してもよい。
【0102】
図19aおよび
図19bに、ワクチン接種やその他の少量の医薬の投与に一般的に使用される、小容量の(例えば、1mlまたは2ml)シリンジに特に好適と思われる別の実施形態の側面図および正面図をそれぞれ示す。本例において、分離機構は、摺動スリーブ94と外筒4の前端に枢動可能に装着された2つ(またはそれ以上)のレバー98を含み、レバー98は、スリーブ94が雄型先端部6に向かって、さらに、それに沿って摺動すると、ハブ10を押す。各レバーは、リビングヒンジによって枢動可能に装着されてもよい。
図19aから分かるように、2つのレバー98は曲面を有するが、対称的に装着されているため、総合的な力は直線的に、つまり、先端部6の方向に前記ハブに作用する。レバー面98は、上述の通り、移動中に望ましい加速または減速を提供できるように、楕円外形としてもよい。
図19cは、さらなる詳細を、特に、テーパ状先端部6の面に90°で装着されているレバー98を示す。スリーブ94は、単に把持されている状態で、外筒4に沿って前方へ押されてもよい。実際には、枢動可能に装着されたレバー98は、例えば、
図1または
図2に示すようなシリンジ外筒4に沿って動く任意の摺動および/または枢動レバーと併用されうる。
【0103】
上述の通り、シリンジの外筒に枢動可能に装着されたレバーは、比較的径の小さい、容積の小さな(例えば、1ml)シリンジには適していないかもしれない。シリンジ外筒の流体室を用いることなく装着でき、例えば、ホース、パイプ、カニューレ等の端の流体移送先端部に装着可能な分離機構も必要かもしれない。
図20および
図21は、前記雄型先端部に沿って移動して前記雄型先端部に接続されたハブを押す、前記シリンジ外筒の前端に設けられた枢動アームの連結機構124を使用する2つのさらなる実施形態を示す。
図20の機構124において、前記アームは前記ハブに直接作用するが、
図21の機構124’においては、前記アームは前記ハブを押すリングを移動させる。
【0104】
もちろん、上述のような本発明の様々な実施形態は、シリンジの形態の流体移送デバイスに限定されない。
図22に、(シリンジの代わりに)流体輸送ホース2’とハブ10との間の接続に適用される
図20の分離機構124を示す。同様に、このようなホースまたはその他の流体移送デバイスは、上述した他の実施形態いずれに示すシリンジとも置き換えることもできる。
【0105】
さらに、ここまで、本発明は、対応する「雌型」ハブに挿入されると摩擦嵌合を形成する外側がテーパ状の「雄型」コネクタ先端部を有する他の流体移送デバイスのシリンジに関して説明されたが、上記で概説した様々な分離機構は、同様に、「雌型」コネクタ先端部と「雄型」ハブの接続の分離に使用してもよい。
図23に、対応する雄型ハブ210が挿入されると摩擦嵌合を形成する内側がテーパ状の雌型コネクタ先端部206を有する別のシリンジ202を示す。このような設計は、ルアースリップ接続の標準的設計から外れるが、摩擦嵌合の分離の原理は同じであり、それゆえ、本発明の範囲に包含されると理解される。
【0106】
ここで、上記の様々な実施形態と共通する要素を持ち、追加のまたは代替の特徴を提供するためにとられてもよい、更なる実施形態をいくつか説明する。
図24a〜
図24fに、シリンジ用分離捕捉機構の第1実施形態を示す。
図24aおよび
図24cに示す第1シリンジ302’は、より容積の小さい(例えば、2〜3ml)流体用に設計されてもよく、
図24bおよび
図24dに示す第2シリンジ302は、より容積の大きい(例えば、10ml)流体用に設計されてもよい。シリンジ302および302’は、大きさ以外は同一である。
図24aおよび
図24bは、シリンジ302および302’の自然な状態を示す。例えば
図24bから分かるように、シリンジ302は、テーパ状雄型先端部306と連通する流体用外筒304を有する。レバー部材314は、レバー部材314の前面318の開口320を通って突出する雄型コネクタ先端部306によって外筒304に枢動可能に装着されている。この位置において、前面318は、雄型コネクタ先端部306の軸に略直角である。レバー部材314は、プラスチック材料から一体成形され、前面318から後方に延びて外筒304の少なくとも雄型コネクタ先端部306付近を包囲する覆いを形成する側面316を有する。側面316は、外筒304に沿ってさらに延び、レバー部材314を外筒304に対して枢動するように使用者が掴むことができる入力面を提供する。
【0107】
レバー部材314は、側面316の1つの面から切り取られたばね舌片322によって第1位置(
図24aおよび
図24bに示す)方向に弾性的に付勢されると理解される。さらに、レバー部材314の前面318は、この第1位置において、雄型コネクタ先端部306から遠ざかるように枢動される捕捉部材324を備えると理解される。ばね舌片322の弾性的付勢に逆らって、レバー部材314がシリンジ302の外筒304に向かって圧迫されると、前面318は、
図24cおよび
図24dに示す第2位置へ雄型コネクタ先端部306に沿って前方へ移動する。
図24eにおいて、レバー部材314はシリンジ外筒304から離して示される。
図24fから分かるように、シリンジ外筒304は、その前端に一体成形された2本の軸335を有し、レバー部材314は、軸335により定義された固定軸によって枢動可能に装着できる。
【0108】
前記分離捕捉機構の操作は、
図25aおよび
図25bを参照して理解されてもよい。
図25aに、皮下注射針312を備えた雌型ハブ310が雄型コネクタ先端部306に、摩擦嵌合(例えば、標準ルアースリップ接続)で接続されるとレバー部材314が第1位置方向に弾性的に付勢されるシリンジ302を示す。この第1位置において、レバー部材314の曲面状の前面318は、雌型ハブ310を押しておらず、捕捉部材324は雌型ハブ310と接触していない。この第1位置において、シリンジ302は、例えば、移送される流体を含む外筒304内へプランジャー308を押し入れることで、または、流体を抜き取るために外筒304からプランジャー308を引き抜くことで操作されてもよい。注射等の流体移送工程が完了すると、レバー部材314は、雌型ハブ310および雄型コネクタ先端部306間の前記摩擦嵌合を解放するように、外筒304へ圧迫して下げられてもよい。レバー部材314が、そのばね舌片322の弾性的付勢に逆らって下方へ枢動すると、前面318は、雌型ハブ310を押すように、雄型コネクタ先端部306に沿って前方へ移動する。さらに、
図25bから理解されるように、レバー部材314が前面318を第2位置に向かって移動させるに従い、捕捉部材324は枢動して、雌型ハブ310の片側と係合する。これは、捕捉324がリム311を把持できるように、ハブ310の底縁周辺のリム311によって補助されてもよい。しかしながら、このようなリム311なしでも、ハブ310の側面に対する摩擦係合の恩恵を受けて、捕捉324は、雌型ハブ310が雄型コネクタ先端部306から遠ざかるように押されることを防いでもよい。
【0109】
この第2位置(
図25b)において、ルアースリップまたはその他のテーパ接続の摩擦嵌合は緩められるが、雌型ハブ310は、捕捉部材324の恩恵を受けて、解放されていない。シリンジ302が鋭利物用のゴミ箱また廃棄ユニットの上に位置する間、使用者は、この位置(第2位置)でシリンジ302を保持してもよい。使用者が雌型ハブ310を捕捉から解放する準備が整うと、単にレバー部材314を放すだけでよく、それにより、レバー部材314は、ばね舌片322の前記弾性的付勢の下、その第1位置に向かって枢動して戻る。レバー部材314の前面318がその第2位置から枢動して戻ると、捕捉部材324は、雌型ハブ310から遠ざかるように移動し、それにより、ハブ310および針312はシリンジ302から自由に落下することができ、安全に鋭利物用のゴミ箱に入れられる。このような捕捉部材324を備えたレバー部材314を提供する利点は、針312を備えた雌型ハブ310が、レバー部材314の操作によってシリンジ302から強制的に押し出され得ないということである。しかしながら、レバー部材314は、ルアースリップ接続の前記摩擦嵌合を緩めるのに非常に効果的な増幅力を依然として提供する。
【0110】
図26a〜
図26dに、シリンジ402および402’用分離捕捉機構の第2実施形態を示す。
図26aと
図26bの唯一の違いは、シリンジ402が容積10ml用に設計されているのに対し、シリンジ402’が容積2〜3ml用に設計されていることである。シリンジ402および402’は、
図24および
図25を参照して既に説明されたシリンジと極めてよく似ており、それゆえ、同様の参照番号が付された構成要素に関しては、再び説明しない。しかしながら、レバー部材414がばね舌片を有する代わりに、
図26cから分かるように、シリンジ外筒404にばね部材422が装着されていることが分かる。ばね部材422は、シリンジ外筒404と一体成形さてもよいし、シリンジ外筒404に接続される、別部材でもよい。いずれの場合も、ばね部材422は、レバー部材414をシリンジ外筒404から遠ざけるように弾性的に付勢するのと同じ効果を持つ。
図26dに、透明プラスチック材料から成形されたレバー部材414を示すが、一対のソケット435’が、
図26cに示す軸435に装着されるようにレバー部材414の内面に成形されていることが分かる。レバー部材414はその前面の捕捉部材424を備え、
図25aおよび
図25bに関する上記説明と同じように動作する。
【0111】
前記捕捉機構は、様々な異なる形態をとり、ここまでで説明した突出部材のタイプに限定されないと理解される。
図27に示されるレバー部材414’の第3実施形態において、前記捕捉機構は、単一の捕捉部材ではなく一対の指状部材424aおよび424bを含む。これらの指状部材424aおよび424bは、剛性(例えば、プラスチック材料)であってもよいし、弾性(例えば、プラスチック材料)であってもよい。
【0112】
図28〜
図41に、異なる分離捕捉機構のさらなる実施形態をいくつか示す。これらの全ての実施形態は、例えば、針を備えた対応する雌型ハブとの摩擦嵌合を解放させるためにその前面が前記外筒に近接した第1位置と前記雄型コネクタ先端部の末端に向かって離隔した第2位置との間で移動可能となるように、レバー部材をシリンジ外筒に枢動可能に装着して、前記第2位置に向かって移動するレバー部材により前記摩擦嵌合から解放された後の前記雌型ハブを保持するように捕捉機構を配置する、という、操作の基本原理を共有する。したがって、上記で説明した特徴とは異なる各実施形態の特徴についてのみ詳細に説明する。
【0113】
図28a〜
図28cに、レバー部材514が、雌型ハブ510に対して係合するように前方に延び、例えば、ハブ510のリム511を引きずる捕捉部材534を含むさらなる実施形態を示す。
図29a〜
図29cに、レバー部材514が、前方へ延びてハブ510のリム511に引っ掛かる捕捉部材544を含むさらなる実施形態を示す。これにより、前記捕捉が係合すると、より信頼性の高い捕捉および/または聞き取り可能な「クリック音」が提供され、例えば、緩んだハブ510が、レバー部材514を解放するまでは落下しないという安心感を使用者に与える。
図30a〜
図30cに、レバー部材514が、前方に長く延びない捕捉部材554を含むさらなる実施形態を示す。捕捉部材554は、短くても、雌型ハブ510と物理的に接触し、それゆえ、レバー部材514が第2位置にある限り、前記ハブを摩擦によって保持する。
図31a〜
図31cに、摩擦保持を強めるために、レバー部材514が、雌型ハブ510に対して係合する圧縮可能な(例えば、スポンジ)パッドを備えた捕捉部材564を含むさらなる実施形態を示す。
【0114】
図32a〜
図32cに、粘着性の前面518を備えたレバー部材514によって捕捉機構が提供されるさらなる実施形態を示す。レバー部材514がその第1位置(
図32a)から第2位置(
図32b)に向かって枢動すると、前面518はハブ510に押し付けられ、さらにハブ510に粘着するため、ハブ510は、前記摩擦嵌合が解放されても前記シリンジから落下できない。
図32cに示すように、ハブ510は、その後、手動でレバー部材514から引き抜かれてもよいし、(例えば、弾性的付勢の下)その第1位置に向かって戻るように枢動する前記レバー部材の作用によって粘着性捕捉を解放できるようにしてもよい。
【0115】
図28〜
図32に示す前記実施形態のいずれにおいても、レバー部材514は、シリンジ外筒504に対して自在に枢動するように装着されてもよいし、レバー部材514は、前記捕捉機構がハブ510と係合しない前記第1位置に弾性的に付勢されてもよい。これにより、使用者がレバー部材514を押し下げなくなるとすぐに、前記捕捉を自動的に解放することができる。
図33a〜
図33dに、弾性的に付勢されたレバー部材514のいくつかの異なる配置を示す。
図33aにおいて、レバー部材514は、
図24および
図25を参照して説明した上記タイプの、すなわち、外筒504に向かって後方に曲がっているタイプのばね舌片522を有する。
図33bにおいて、レバー部材514’は、外筒504とは反対の方向に曲がっているばね舌片522’を有する。
図33cにおいて、レバー部材514’’は、外筒504に向かって前方に曲がっているばね舌片522’’を有する。
図33dにおいて、シリンジ外筒504は、
図26を参照して説明したものと同様に、レバー部材414’に向かって曲がっているばね舌片422’を備える。これらレバー部材514、514’、514’’および414’のいずれも、前記
図24〜
図32に示す前記捕捉機構の1つと併用してもよい。
【0116】
図34および
図35に、前記捕捉機構がそれ自身の弾性的付勢から解放される、いくつかの別の実施形態を示す。
図34aおよび34bにおいて、捕捉部材574は、前記捕捉がハブ510に対して係合すると圧縮されてレバー部材514を押す、エラストマー等の弾性材料からできている。使用者が、レバー部材514に加える力を弱めると、捕捉部材574は緩んでハブ510への把持を解放することができる。
図35において、捕捉部材584は同様に作用する弾性ヒンジの形態をとる。
【0117】
図36〜
図38に、レバー部材514が、針ハブ510を接続することによって準備される、いくつかの実施形態を示す。
図36aおよび
図36bにおいて、レバー部材514が、破壊性タブ540によってシリンジ外筒504に最初からロックされていることが分かる。ハブ510が先端部506に接続されると、ハブ510が摩擦嵌合を形成してレバー部材514の使用準備が整ったことを聞き取り可能におよび/または視覚的に示すために、レバー部材514は、強制的に外側へ枢動されてタブ540を折る。
図37aおよび37bにおいて、レバー部材514は、捕捉594の下に配置された破壊性タブ540’によってシリンジ外筒504に最初からロックされている。かさねて、針ハブ510を先端部506に接続する動作により、レバー部材514が枢動し、捕捉594がタブ540’を破壊する。
図38aおよび
図38bにおいて、レバー部材514は、捕捉594に耐える可変部材550によって最初からロックされている。
【0118】
図39および
図40に、レバー部材514が第2位置に向かって枢動して前記摩擦嵌合を解放すると、雄型先端部506が破壊される、いくつかの実施形態を示す。先端部506が貫通する溝穴520は、レバー部材514が回転するに従い先端部506を押すように設計される。前記先端部は、レバー部材514によって加えられる圧力が、少なくとも部分的に前記先端部を破壊するように、材料の薄膜領域を備えて形成されている。これにより、例えば、ワクチンの注射の後、前記シリンジが1回以上使用できないことが保証される。
図39a〜
図39dは、レバー部材514が前記第1位置と前記第2位置の間で枢動して捕捉534が係合すると、先端部506が破壊される様子を示す。
図39eは、前記破壊された先端部506が、ハブ510が前記捕捉機構から解放される間、半装着状態におかれてもよいことを示す。
図39fは、先端部506が完全に破壊されて、ハブ510とともに落下してもよいことを示す。
図39gは、先端部506およびハブ510が一緒に落下するように、先端部506が破壊されてもハブ510に半装着されたままでいる別の状態を示す。
図40a〜
図40cは、先端部506を破壊する際に、ハブ510をより強固に把持して、てこの作用を加える、異なる捕捉機構534’を示す。
【0119】
図24〜
図40に示す実施形態において、前記捕捉機構は、ここまで、前記分離機構の一部、例えば、前記レバー部材に設けられた捕捉部材として説明されてきた。しかしながら、前記捕捉機構は、前記シリンジ外筒によって提供されてもよいと理解される。
図41a〜
図41cに、例示的な実施形態を示す。シリンジ602は、雄型コネクタ先端部606と、例えば、針612を備えた雌型ハブ610の間の前記摩擦嵌合を解放するように外筒604に枢動可能に装着されたレバー部材614を有する。捕捉部材624は、先端部506に接続された際に、ハブ610と接触しない為に充分な程度、外筒604から前方へ延びる(
図41a)。レバー部材614がその第2位置に向かって枢動して前記摩擦嵌合を解放すると(
図41b)、ハブ610は、前方へ押されて定常捕捉624と係合する。捕捉624は、針ハブ610が力によって前記シリンジから勢いよく外れることを防ぐ。その代わりに、ハブ610が完全に自由になる前にハブ610が減速するように、前記レバーの力は捕捉624を克服する為に使用される(
図41c)。
【0120】
本発明は、様々な実施形態に関連して説明されてきたが、これらは単なる例にすぎず、一実施形態の特徴を他の実施形態の特徴と組み合わせてもよく、逆もまたしかりである。さらに、前記実施形態の全てにおいて例示してはいないが、ロックまたはブロック部材は、前記分離機構が操作可能になるのを望まれるまで、分離レバー、スリーブ等がその第1位置から動き出すのを防ぐように設けられてもよい。前記分離機構は、例えば、前記シリンジ針(設けられている場合)のキャップとのブロック相互作用によって無効にできてもよい。さらなる変形および好適な特徴は、当業者にとって明白である。本発明の範囲は、下記の請求の範囲によって定義される。