【文献】
Surface-enhanced Raman Spectroscopic-Encoded Beads for multiplex Immunoassay,J comb Chem,米国,American Chemical Society,2007年 2月14日,9,p.237-244
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光硬化性物質、及び前記光硬化性物質と重合可能な官能基とアルコキシシリル基を共に具備したリンカーの混合物を提供する段階と;パターン化されたエネルギーを印加して前記混合物を硬化し、コード化することによってコード化された高分子微粒子コアを得る段階と;及び前記コード化された高分子微粒子コアにシリカ前駆体を処理して前記コード化された高分子微粒子コア上にシリカシェルを形成する段階を含み、
前記コード化された微粒子コアの表面にグラフトされた前記アルコキシシリル基と前記シリカ前駆体の反応によって、前記コアと前記シリカシェル界面に−Si−O−Si−結合が形成される
ことを特徴とするコード化された高分子微粒子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明の多様な実施例についてより詳細に説明する。次に紹介する実施例は、当業者に開示された思想が十分に伝えられるように例として提供するものである。したがって開示された技術は以下に説明した実施例に限定されず、他の形態に具体化されることもある。また、図面において、構成要素の幅、長さ、厚さなどは便宜のために誇張して表現されることもある。一構成要素が異なる構成要素「上に」あるとき、これは他の構成要素「真上に」ある場合だけでなく、その中間にまた別の構成要素がある場合も含む。
【0010】
図1は本発明の一実施例によるコード化された高分子微粒子を示している。
図1において、
図1A,図lB及び
図1Cの下の図はそれぞれA−A’、B−B’、及びC−C’線に沿って切断した断面図である。
図1のAを参照すれば、コード化された高分子微粒子(100)はコード化された高分子微粒子コア(110)とこれを取り囲むシリカシェル(120)を含む。コア(110)は公知された多様な方式でコード化することができる。たとえばコード化された高分子微粒子コア(110)は、グラフィカルコード、蛍光コードまたはカラーコードを具備することができる。
【0011】
一方、高分子微粒子コア(110)をなす前記高分子は、光学的リソグラフィによって多様にパターニングすることができるという面で、光硬化性高分子であることが好ましい。前記光硬化性高分子は、アクリル系硬化性物質を主に含有することができる。好ましくは、前記光硬化性高分子はアクリル系光硬化性物質のほかにも、前記光硬化性物質と反応及び光硬化可能な官能基とシリカ形成が可能な官能基を同時に具備したリンカー物質を混合することができる。
【0012】
光硬化によって生成された高分子微粒子コア(110)の形態はディスク型、球型を含む多様な形状を有することができる。コア(110)の大きさは数μmないし数mmの範囲を有することができる。
【0013】
コード化された高分子微粒子(100)は、磁性物質をさらに具備することができる。具体的に微粒子コア(110)は内部に磁性ナノ粒子(130)をさらに含むことができる(
図1のB)。他には微粒子コア(110)とシリカシェル(120)の間に磁性ナノ粒子(130)の層を介在させることができる(
図1のC)。コア(110)とシェル(120)の間に磁性ナノ粒子(130)の層が介在する場合、相対的に磁性ナノ粒子(130)の量が少なく、後に微粒子(100)制御時にさらに強い磁場を必要とするが、コア(110)内部に磁性ナノ粒子(130)が含まれる場合に比べて光硬化を通したパターニング過程で磁性ナノ粒子(130)による光散乱影響がないため、微細構造パターニングに有利な長所がある。コード化された高分子微粒子(100)が磁性ナノ粒子を具備することにより、外部磁場で微粒子(100)を制御することができる。その結果、後にバイオアッセイの溶液交換過程に効率的に利用することができ、微粒子(100)の分離が可能でバイオアッセイの正確度及び利便性を向上させることができる。
【0014】
シリカシェル(120)は微粒子コア(110)を取り囲んで保護し、検出したい外部物質が微粒子コア(110)の高分子内に吸収され、分析エラーが発生するのを防止する。シリカシェル(120)はコード化された高分子微粒子(130)の化学的、機械的安定性を付与し、微粒子(130)が多様な環境及び溶液で使用できるように助ける。コード化された高分子微粒子コア(110)とシリカシェル(120)は−Si−0−Si−結合で連結することができる。また、コア(110)とシェル(120)の間の固い化学結合によって安定した構造を形成することができる。シリカシェル(120)の存在によって高分子微粒子(100)の表面は不特定物質の結合性が低く、バイオ物質との結合特性が向上する。また、シリカシェル(120)表面にカルボキシル基(carboxyl group)またはアミノ基(amine group)のような官能基を導入することができる。前記官能基の導入によって生物医学分野や臨床診断分野で広範囲に使用される多様な生体分子と共有結合することができる。たとえば、シリカシェル(120)表面に抗原、抗体、DNA、RNA及びオリゴヌクレオチドからなる群中から選択されるいずれか一つのバイオ物質を導入することができる。
【0015】
本発明の一実施例によるコード化された高分子微粒子は、下記の方法で製造することができる。
図2はコード化された高分子微粒子の製造方法を示した工程フロー図である。
図2を参照すれば、段階Slで光硬化性物質、及び前記光硬化性物質と重合可能な官能基とアルコキシグリセロールを共に具備したリンカーの混合物を提供している。
【0016】
前記光硬化性物質は、エネルギーの印加による硬化によって微粒子の基本骨格構造を作る物質である。前記光硬化性物質は、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸メチル、アクリルアマイド、アリラミン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート及びこれらの組合せとすることができる。たとえば、光硬化性物質であるポリエチレングリコールジアクリレートは、ポリエチレングリコール両末端にポリエチレングリコール官能基があり、フリーラジカル重合が起こった場合、3次元構造のハイドロゾルで架橋できる。その他、光硬化性物質は外部光によって液体から固体に変えることができるいかなる形態の物質も可能である。
【0017】
前記リンカーは、光硬化性物質と反応して共重合体を形成しながら、微粒子の骨格をなすと同時に前記コード化された微粒子コアの表面にアルコキシシリル基がグラフトされるようにする。光硬化性物質でのみ微粒子を製造する場合、後にシリカコーティングによるシリカシェルの形成が容易ではない。一方、本発明の一実施例による製造方法のように光硬化性物質と重合可能な官能基とアルコキシシリル基を同時に具備したリンカーを前記光硬化性物質と混ぜて混合物を作ってこれを硬化させれば、微粒子コアの表面にグラフトされたアルコキシシリル基によってシリカシェルをコーティングすることが可能になる。
【0018】
前記リンカーはたとえば、下記の化学式1で表現される化合物であることができる。
【0020】
前記化学式1でR
1は水素、メチルまたはエチルであり、R
2はC
1ないしC
8の直鎖または分枝鎖のアルキルであることができる。また、LはC
1ないしC
12を有するアルキレンまたはアリレンであるか、前記アルキレンと前記アリレンが任意に連結された構造であることができる。具体的に前記化学式1は、
3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート(TMSPA)であることができる。
【0021】
前記混合物は、開始剤をさらに含めることができ、外部のエネルギー源によってフリーラジカル重合を誘発することができる。開始剤は、アゾ系化合物または過酸化物とすることができる。前記混合物は適当な架橋剤をさらに含むことができ、たとえば、
N,N
1−メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド及びジメタクリル酸テトラエチレングリコールなどがあげられる。
【0022】
コード化された高分子微粒子を制御するため、必要に応じて前記混合物に磁性ナノ粒子を追加する段階をさらに含むことができる。その結果、前記高分子微粒子コア内部に磁性ナノ粒子を導入することができる。
【0023】
段階S2でパターン化されたエネルギーを印加して前記混合物を硬化し、コード化することによって、コード化された高分子微粒子コアを得る。前記パターン化されたエネルギーとして紫外線、可視光線、赤外線及び電子ビームなどを制限なしに含めることができる。たとえば、前記パターン化されたエネルギーの照射は紫外線を利用して物理的マスクまたはデジタルマイクロミラー装置(DMD)によって遂行することができる。
【0024】
前記コード化は、多様な方式で遂行することができる。一実施例によると、前記微粒子コアをコード化する方法は一例として、光学的リソグラフィ方法を適用してグラフィカルコードをパターニングする方法を適用することができる。グラフィカルコードの形態は、微粒子自体の形状(たとえば、星型、円型など)であることもでき、微粒子に刻まれたバイナリーコード形態であることもできる。グラフィカルコードのコード化は上述したとおり、前記粒子の製造に光硬化性高分子を適用し、これを光学的リソグラフィ方法でパターニングする方式で遂行することができる。
【0025】
一例として、特許文献1の光流体リソグラフィ方法、特許文献2の流体リソグラフィ法及び重合法を適用できるが、これに限定されず、公知の多様なリソグラフィ法を適用することができる。前記微粒子コアをコード化する方法は一例として、前記光硬化性高分子上に、光硬化の程度に応じて互いに区分されるように「1」及び「0」を意味する表示をそれぞれパターニングすることによって、前記粒子上にコードを形成することができる。上述した光学的リソグラフィ方法は一例として、マスクを使用しないデジタルマイクロミラー装置などを利用する場合、前記ターゲット物質を含む粒子については多くて百万個以上の多様な種類のコードを形成することができる長所を有することができる。
【0026】
別の実施例によれば、前記微粒子コアのコード化は互いに区分される多様な色の蛍光物質を前記微粒子コア内に含ませることによって、達成することができる。多様な蛍光物質を前記微粒子コア内に含ませるために、公知された多様な技術を適用することができる。
【0027】
また別の実施例によれば、前記微粒子コアをコード化する方法は磁性インクを利用してカラーコードを形成する方法を適用することができる。前記磁性インクを利用する方法は一例として、特許文献3に以下のとおり開示されている。まず、磁性ナノ粒子を含む光硬化性物質を提供して外部磁場を印加し、前記光硬化性物質内の前記磁性ナノ粒子を整列させる。また、外部から光を印加して前記光硬化性物質を硬化させることによって遂行することができる。前記外部磁場の硬度によって磁性ナノ粒子の間の配列が変化し、互いに異なる色を発現することができる。このような技術を適用して光硬化性高分子からなる微粒子コア内に磁性ナノ粒子を互いに差別されるように配列することによって前記微粒子コアをカラーコード化することができる。前記特許の内容は本明細書に引用することによって併合することができる。
【0028】
一実施例で、コード化された高分子微粒子を制御するために前記コード化された高分子微粒子コアに親水性高分子がコーティングされた磁性ナノ粒子を付着させる段階をさらに含むことができる。
次の段階S3で、前記コード化された高分子微粒子コアにシリカ前駆体を処理して前記コード化された高分子微粒子コア上にシリカシェルを形成することによって、コード化された高分子微粒子が製造される。前記シリカシェルの形成は多様な公知された方法によって遂行することができ、たとえば修正されたStober方法を使用することができる。
【0029】
まず、アルコキシシリル基がグラフトされた前記微粒子を蒸溜水、エタノール及びNH
4OHの溶液に投入する。次にシリカ前駆体として、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を前記溶液に注入して反応させてシリカシェルを形成する。その結果、前記微粒子コアの表面にグラフトされた前記アルコキシシリル基と前記シリカ前駆体の反応によってコア−シェル界面に−Si−0−Si−結合を形成することができる。
【0030】
高分子微粒子は、フレキシブルで(flexible)軟質であり(soft)、多様な構造及び形態で製作しやすい。しかし、同時に機械的、化学的に簡単に損傷する。また、バイオアッセイで小さな分子が高分子マトリックスに吸収される場合、検出エラーとなることがある。これとは対照的にチタニアやシリカのような無機物質は、一般的に高分子有機物に比べてはるかに丈夫で耐化学性に優れている。しかし、これもまた壊れやすく多様な形態で成形するのが難しいという問題を有している。したがって、高分子微粒子上にシリカシェルをコーティングすることによって二つの物質の長所が合わさり、強く、丈夫で化学的に安全で耐久性に優れていると同時に、多様な形態で成形しやすい特長を一度に有することができる。
【0031】
上述したシリカコーティングされたコード化された高分子微粒子を多重化(multiplexed)バイオ分析に利用することができる。最近の多重化生体分析(バイオ分析)分野で、コード化された高分子微粒子がDNAやタンパク質のような生体分子(biomolecules)分析に使用されている。この方法はほとんど無制限にコードを使用することができ、高い分析処理量を提供するため、強力で適用性が高い方法である。したがって、本発明の一実施例によれば、このような多重化バイオ分析の応用のために前記シリカシェル表面を改質し、カルボシル基またはアミノ基を導入することができる。このような官能基の存在で、多様なバイオ物質と共有結合することができる。また、上述した製造方法には、バイオ物質を前記シリカシェル表面に結合させる段階をさらに含むことができる。
【0032】
図3は、本発明の一実施例によるコード化された高分子微粒子を生成する過程を示している。
図3を参照すれば、グラフィカルコード(graphical code)を有する高分子微粒子を製作するために、まず光硬化性物質であるETPTA(ethoxylated trimethylopropane triacrylate)とリンカーであるTMSPA(3−(trimethoxysilyl)propylacrylate)、及び光開始剤として(2−hydroxy−2−methylpropiophenone)を適正比率(ex.10:1:1)で混ぜて光硬化性混合物を作る。TMSPAのアクリレート基は、高分子マトリックスを形成する光硬化反応に参加する。TMSPAはこれだけでなく、シリカを形成することができるシリコンを具備したシラン(silane)基を有しており、後にシリカをコーティングするためのシード(seed)の役割を果たす。この化合物に
図3の光流体マスクレスリソグラフィを含む公知された多様なリソグラフィの方法を使用してパターン化されたUV光を照射することによって、グラフィカルコードを有するアルコキシシリル含有共重合体(copolymer)微粒子を作る。光流体マスクレスリソグラフィ(OFML)を利用すれば、微細流体チャネルを通して原料物質を導入し、パターン化されたエネルギーを印加することによって、イン−シチュー光重合によって連続的にフリーフローティング粒子を製造することができ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を利用したマスクレス方式によって、マスクを使用する他のリソグラフィ方法に比べて手軽に多様な形状のコード化された粒子を得ることができる。
【0033】
形成された共重合体微粒子に修正されたストーバー法(Stober method)を適用し、シリカコーティングをしてシリカシェルを形成する。この簡単なコーティング過程は非常にはやく、シラン基含有の微粒子にシリカを直接的かつ効率的にコーティングする方法である。また、この方法は数百万のシリカコーティング微粒子を一度に処理することができる方法である。前記シリカシェルの厚さは反応速度またはシリカ前駆体の濃度を調節することによって数百ナノメートルから数マイクロメートルまで調節が可能である。このように生成されたシリカシェルを具備した微粒子に既存の多様なシリカ表面処理方法をそのまま使用し、各種の官能基の導入が可能である。
【0034】
図4は、実際に粒子表面にシリカシェルが成長する過程を示す走査型電子顕微鏡(SEM)のイメージである。
図4を参照すれば、コーティングが進行する程度によって、シリカが表面を覆っている程度が異なる。初めはシードになるシリカナノ粒子が表面に生成される。以後、シリカナノ粒子が表面に連続的なシリカ殻を形成する時まで合わさる。
図4のDが完全にシリカ殻を形成したイメージである。ここでシリカ層の厚さは約150nmである。
【0035】
図5は、EPMA(electron probe micro−analyzer)でシリカコーティングされた微粒子とシリカコーティングされていない微粒子のスペクトルを比較分析したものである。
図5を参照すれば、シリカコーティングされていない高分子微粒子はTMSPA(シード物質)なしにETPTAと光開始剤だけで製作された。コーティングされていない微粒子のEPMAスペクトルの結果、強いCと弱いOのみ検出され、純粋有機高分子であることが確認される。Pt信号も若干検出されたが、これはスパッタでPtコーティングをしたためである。
図5の下の図を見れば、純粋なシリカ殻が高分子微粒子上にきちんと生成されたことを確認することができる。ここでは、Si、O、Cの三つ信号が捕えられ、シリカ(SiO2)のためにO信号がCよりはるかに大きく捕えられる。C信号が捕えられた理由は、EPMAのビーム透過の深さはlμmで、シリカ殻の厚さはそれ未満であるためである。
【0036】
図6は、シリカシェルを具備していない高分子微粒子(星型)とシリカシェルを具備した高分子微粒子(円型)の特性を比較した写真である。
【0037】
シリカコーティングされた微粒子の耐化学性をテストするために、0.lMのローダミン(Rhodamine)B水溶液(赤色蛍光)を使用した。
図6のAはローダミン水溶液がコーティングされていない高分子微粒子(星型)とシリカコーティングされた高分子微粒子(円型)にそれぞれどのように吸収されるかを示している。
図6のAを参照すれば、星型の高分子微粒子の場合、蛍光イメージで明確に見えるようにローダミン水溶液が微粒子をなす高分子ハイドロゲル物質によく吸収された。高分子ハイドロゲル物質は、いかなる化学的物理的処理をしなくても、液体をよく吸収することは十分に知られている。しかし、シリカシェル(shell)を具備した円型の微粒子の場合、ローダミン水溶液が高分子ハイドロゲル内部に吸収されるのをシリカシェルが妨げることを確認することができる。これはシリカコーティングされた微粒子がバイオ分析に応用されるとき、さらに安定的かつ正確な結果を提供することができるという証拠である。なぜなら、抗原やオリゴヌクレオチドのような物質が高分子マトリックス内に吸収されてしまった場合、これが分析結果のエラー原因となることがあるためである。また、コーティングされた粒子のイメージで蛍光が全く出ないこのような結果で、シリカ表面の低い非特異的結合性(non−specific binding)のために、若干の染料(dye)の吸収もシリカ表面で起こらなかったことを確認することができる。
【0038】
一方で、二種類(コーティングされた、コーティングされていない)の微粒子の膨張と収縮特性を水と空気に対する接触実験で確認してみた。一般的に高分子ハイドロゲル物質は多くの量の水を吸収するため、水中で膨張することになる。
図6のBで見ることができるように、コーティングされていない微粒子は水中から空気に出てきた時に大きく収縮するが、シリカコーティングされた微粒子は水中から空気に出てもその構造と体積を維持することが確認できる。
【0039】
二種類(コーティングされた、コーティングされていない)の微粒子の化学的安定性を確認するために、微粒子をlMの酢酸水溶液に入れて撹拌した。24時間が経過した後、シリカコーティングされた微粒子の表面は安定した状態を維持したが、コーティングされていない微粒子の表面は酸性溶液によって深刻に損傷を受けた(
図6のC)。一般的に高分子ハイドロゲルはpH、温度などの外部環境に非常に敏感である。これとは反対にシリカは一般的に有機高分子よりはるかに上部で良い化学的安定性を有している。そのため、このシリカコーティングされた微粒子は有機溶剤や乾燥環境を含む多様な化学反応で高分子微粒子よりもよく耐えることができる。したがって、粒子に多様な官能基を適用するのに制限要素が少ない。
【0040】
シリカコーティングされた高分子微粒子の表面を適切に改質することで、特異的官能基を導入し、バイオ物質と共有結合させることができる。その結果、微粒子が高い安定性を有しながらも、低い非特異的結合性を有するようにすることができる。
【0041】
図7は、シリカコーティングされた高分子微粒子表面上にオリゴヌクレオチドを固定し、多重化DNA混成化アッセイを行う過程を示している。
図7を参照すれば、シリカコーティングされた微粒子が末端のヒドロキシ基の縮合によって、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)と一次アミンと容易に反応する。このようなアミンをすぐにコハク酸と反応させてカルボキシル化された表面に作ればDNAのアミノ基と反応が可能になる。5’アミノ末端のDNAはカルボキシル化されたシリカ表面上にDNAを固定させるのに使用される。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)とN−ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウム(sulfo−NHS)を使用した架橋結合によってシリカ表面のカルボキシル基とアミノ−末端のDNAのアミノ基の間にアマイド結合が形成される。
【0042】
本発明の一実施例によるコード化された高分子微粒子は、多重化バイオアッセイ(multiplexed bioassay)に流用した利点を提供する。これを確認するためにシリカコーティングされた微粒子を使用、10個の構成単位を有する(10−plex) in vitroヒトパピローマウイルス(human papillomavirus,HPV)ジェノタイピング(genotyping)を実証した。ターゲットHPV遺伝子を2段階PCRプロセスで準備した。
図8は、シリカコーティングされたコード化された高分子微粒子を使用した多重HPVジェノタイピングを示す。
図8のAは、増幅及びレベリングPCRの概略図である。増幅PCR以後、ビオチン(biotin)付着したdCTPを使用してラベルプローブ−相補的HPV遺伝子シークエンスをラベリングするためのラベリングPCRを遂行する。
図8のBは、プローブ付着した微粒子を使用した10−plexed HPVジェノタイピングの概略図である。10種類のタイプのHPVタイプ特異的オリゴヌクレオチドプローブを微粒子のシリカ表面にカップリングさせる。それぞれのターゲットHPV遺伝子は、互いに異なるプローブのうち一つに相補的である。微粒子構造物内の重合されていない穴からなるグラフィカルコードは、微粒子のシリカ表面上のプローブを識別するためのものである。多重化分析容量(multiplexing capacity)は、グラフィカルコードを変更することによって容易に増加させることができる。ターゲットHPVシークエンスで混成化アッセイ後、蛍光染料ラベルリングされたストレプトアビジン(streptavidin)を導入して蛍光シグナルを得る。
【0043】
磁性物質を前記微粒子に導入すれば、キャリア溶液から好ましい粒子を磁場を利用して容易に分離することができる。
図9は、シリカコーティングされたコード化された「磁性」微粒子の製造及び取り扱いを示している。
図9のAは、シリカコーティングされた磁性微粒子の製造段階を示している。
図9のBはシリカコーティング工程前(Bl)及び後(B2)の磁性微粒子の電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)のイメージである。
図9のA及びBを参照すれば、前記磁性微粒子はシラングラフトされた微粒子の表面上にポリアクリル酸(PAA)コーティングされたFe
3O
4ナノ粒子を付着して得られる。PAAコーティングされたFe
3O
4ナノ粒子は、たとえば80±10nmの大きさを有することができる。
【0044】
図9のCは、キャリアの磁性分離を通した溶液交換工程を示す。外部磁場を溶液に印加することによって、シリカコーティングされた磁性粒子及びこのようなシリカコーティングされた磁性粒子に結合された生体分子を含有した混合物を溶液混合物から選択的に分離することができる。
【0045】
図9のDは、磁性粒子の磁気的取り扱いを示す光学顕微鏡のイメージである。フリーフローティングする磁性微粒子が印加された外部磁場の方向に応じて容易に動くのが分かる。したがって、フリーフローティング(free−floating)する磁性微粒子の磁気的取り扱いは溶液交換を含むバイオアッセイに有用である。さらに磁気的分離は、粒子に結合されていた分離されたターゲットの洗浄及び濃縮を可能にする。
【0046】
本発明の一実施例による上述した製造方法によれば、光硬化性物質とこれと重合可能でアルコキシシリル基を有するリンカーの混合物を使用してコード化された高分子微粒子を製造する。このように製造されたコード化された高分子微粒子をシリカ前駆体溶液に入れる方式で、数百万個のコード化された高分子微粒子を簡単な工程で一度にシリカコーティングすることができる。また、上述した磁性ナノ粒子を高分子微粒子に導入することによって、バイオアッセイ時に粒子の取り扱いが容易になる。本発明の一実施例によるコード化された微粒子は、シリカシェルを具備することによって化学的及び物理的安定性を有し、外部生体分子を吸収しないため、正確な分析を可能にする。したがって、上述したコード化された高分子微粒子はDNAやタンパク質に基づいた診断などを含む多様な適用分野に有用に利用することができる。
【0047】
以上、本発明の多様な実施例について詳細に記述したが、当業者であれば本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明を様々に変形して実施することができる。