【実施例1】
【0022】
図1は、本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造の第一の実施形態を示しており、(a)は自走式搬送車両用センサ配置構造における各センサの取り付け状態を示す模式的側面図、(b)は自走式搬送車両用センサ配置構造における各センサの取り付け状態を示す模式的平面図、(c)は自走式搬送車両用センサ配置構造における各センサのセンサ検知領域20a,21aを示す模式的拡大平面図である。
【0023】
本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造は、誘導線30に沿って自動走行する自走式搬送車両22の軌道修正を自動的に行うためのセンサ配置構造であり、自走式搬送車両22の先端所定箇所に誘導線30を検知可能な所用のセンサ検知領域20aを有する一基の先行センサ20が設置されると共に、該先行センサ20に対し少なくとも一方の斜め後方線上に誘導線30を検知可能な所用のセンサ検知領域21aを有する少なくとも一基以上の補足センサ21が所定間隔を空けて設置されて成る。
なお、本実施例では、一基の補足センサ21が先行センサ20に対し一方の斜め後方線上に設置された態様となっている。
【0024】
自走式搬送車両22は、敷地内のレール上を自動走行する搬送車両や、ゴルフ場内のカート道路上を移動するゴルフカートなどが相当する。
【0025】
誘導線30は、工場敷地やゴルフ場内のカート道路にルートに合わせて貼設や埋設等により敷設されるもので、各センサ(先行センサ20及び補足センサ21)のセンサ方式に対応する素材の誘導線30が使用される。すなわち、各センサとして磁気センサ方式を採用した場合、誘導線30として例えば磁性金属素材(鉄板など)や磁界を発する導電素材(電磁コイルなど)が用いられ、また、各センサとして光センサ方式を採用した場合には、誘導線30として例えば鏡面素材(ステンレス,鏡など)が用いられ、また、各センサとして赤外線センサ方式を採用した場合は、誘導線30として例えば発熱素材(電熱線など)が用いられ、また、各センサとして色センサ方式を採用した場合には、誘導線30として例えば着色素材(色テープなど)が用いられ、各センサとして電流センサ方式を採用した場合は、誘導線30として例えば導電素材(銅線など)が用いられる。
【0026】
先行センサ20は、自走式搬送車両22の先端所定箇所に一基のみ設置されるもので、例えば図示のように、自走式搬送車両22の先端略中央箇所に設置されて成り、下方に存する誘導線30を検知可能な所用のセンサ検知領域20aを有している。該センサ検知領域20aとは、先行センサ20から略同心円状に拡がる誘導線30を検知可能な領域である。該先行センサ20の具体的なセンサ方式については特に限定はないが、例えば磁気センサ、光センサ、赤外線センサ、色センサ並びに電流センサのうち選択される何れか一方式から構成されている。
【0027】
補足センサ21は、自走式搬送車両22における前記先行センサ20に対して少なくとも一方の斜め後方線上に間隔を空けて一基乃至複数基設置されるもので、図面では、本実施例に合わせて、先行センサ20に対し一方の斜め後方線上に一基のみ設置した場合について示している。該補足センサ21は、前記先行センサ20と同様、下方に存する誘導線30を検知可能な所用のセンサ検知領域21aを有しており、該センサ検知領域21aとは、補足センサ21から略同心円状に拡がる誘導線30を検知可能な領域である。該補足センサ21の具体的なセンサ方式については特に限定はないが、例えば磁気センサ、光センサ、赤外線センサ、色センサ並びに電流センサのうち選択される何れか一方式から構成されている。
【0028】
先行センサ20及び補足センサ21の配置(位置関係)につき、図面に示すように、補足センサ21のセンサ検知領域21aの端部が直前方(一つ前方)に設置された先行センサ20若しくは補足センサ21のセンサ検知領域20a,21aの端部と進行方向線L上で重複する状態で各センサ20,21が配置されることとなる。
【0029】
本発明にかかる自走式搬送車両22には、前記先行センサ20及び補足センサ21の外、23及び操向装置24が内蔵されている。該23は、自走式搬送車両22の発進や停止、スピード制御、軌道修正等といった操舵制御を行うための制御装置であって、特に各センサ20,21からの検知信号に基づき、ズレ量並びにズレ角の度合いに合わせて自動走行許容範囲内へ軌道修正を行うべく、操向装置24へ軌道修正信号による操舵指令を送信するものである。
また、操向装置24は、自走式搬送車両22の軌道修正を行うための操舵装置であって、23からの軌道修正信号による操舵指令に基づき、操舵ハンドルの方向変換や両輪の駆動回転数制御などにより軌道修正を行うものである。
【0030】
本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造は、以上の各要素で構成され、本発明を採用した自走式搬送車両22は、概ね次のように操舵制御されながら自走する。
すなわち、自走式搬送車両22が直進する状態においては、誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域内20aに位置することによって、誘導線30上に沿って直進走行する。
自走式搬送車両22が補足センサ21の取付け方向にズレた状態においては、誘導線30がダイレクトに先行センサ20のセンサ検知領域20a外に位置することによって、その検知信号が23に送信され、該23から操向装置24へ軌道修正信号による操舵指令が送信されることによって、該誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20a内にのみ位置するよう軌道修正される。
自走式搬送車両22が補足センサ21の取付け方向と反対側にズレた状態においては、誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20aの一部と補足センサ21のセンサ検知領域21aとに重複した状態で位置し、あるいは、補足センサ21のセンサ検知領域21a内に位置し、あるいは、補足センサ21で検知された状態を経て該補足センサ21のセンサ検知領域21a外に位置することによって、その検知信号が23に送信され、該23から操向装置24へ軌道修正信号による操舵指令が送信されることによって、該誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20a内にのみ位置するよう軌道修正される。
【0031】
かかる本発明を採用した自走式搬送車両22における操舵制御の態様については、
図2において具体的に示されている。すなわち、
図2は、本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造の作動状態を示す説明図である。
【0032】
図2(a)は、自走式搬送車両22の直進走行状態を示す模式的説明図である。
直進走行時においては、ルートに合わせて敷設された誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20a内に位置した状態にあり、これにより自走式搬送車両22は、誘導線30上に沿って安定的に直進走行する。
【0033】
図2(b)は、自走式搬送車両22が補足センサ21の取付け方向と反対側(右寄り)に多少ズレた場合の軌道修正状態を示す模式的説明図である。
敷設された誘導線30が先行センサ20と補足センサ21の両センサ検知領域20a,21aに同時に掛かる状態にあり、このとき両センサ20,21の検知信号が23に送信され、該23から操向装置24へ軌道修正信号による操舵指令が送信される。これにより自走式搬送車両22は、該誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20a内にのみ位置するよう、軌道が左方向へ微修正される。
【0034】
図2(c)は、自走式搬送車両22が補足センサ21の取付け方向と反対側(右寄り)にズレた場合の軌道修正状態を示す模式的説明図である。
敷設された誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20aを外れて補足センサ21のセンサ検知領域21a内にのみ位置する状態にあり、このとき両センサ20,21の検知信号が23に送信され、該23から操向装置24へ軌道修正信号による操舵指令が送信される。これにより自走式搬送車両22は、該誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20a内にのみ位置するよう、軌道が左方向へ修正される。
【0035】
図2(d)は、自走式搬送車両22が補足センサ21の取付け方向と反対側(右寄り)に大きくズレた場合の軌道修正状態を示す模式的説明図である。
敷設された誘導線30が補足センサ21で検知された状態を経て該補足センサ21のセンサ検知領域21a外に位置する状態にあり、このとき補足センサ21の検知信号が23に送信され、該23から操向装置24へ軌道修正信号による操舵指令が送信される。これにより自走式搬送車両22は、該誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20a内にのみ位置するよう、軌道が左方向へ大きく修正される。
【0036】
図2(e)は、自走式搬送車両22が補足センサ21の取付け方向(左寄り)にズレた場合の軌道修正状態を示す模式的説明図である。
敷設された誘導線30が補足センサ21で検知された状態を経ることなくダイレクトに先行センサ20のセンサ検知領域20a外に位置する状態にあり、このとき先行センサ20の検知信号が23に送信され、該23から操向装置24へ軌道修正信号による操舵指令が送信される。これにより自走式搬送車両22は、該誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20a内にのみ位置するよう、軌道が右方向へ修正される。
【0037】
図2(f)は、自走式搬送車両22の停止状態を示す模式的説明図である。
敷設された誘導線30が先行センサ20及び補足センサ21の何れにも検知されず、大幅に両センサ検知領域20a,21aの外に位置する状態にあり、このとき両センサ20,21の検知信号が23に送信され、自走式搬送車両22は停止状態となる。
【0038】
以上の通り構成される本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造は、自走式搬送車両22において、補足センサ21のセンサ検知領域21aの端部が直前方(一つ前方)に設置された先行センサ20若しくは補足センサ21のセンサ検知領域20a,21aの端部と進行方向線L上で重複する状態で各センサ20,21が配置されていることから、少なくとも先行センサ20と補足センサ21が必要最小限の各一基づつ設置されていれば自走式搬送車両22の軌道修正が可能であるため、構造的に軽量簡易でコスト的にも低廉に製造できると共に、走行精度が安定性が図られ、さらには、自動走行許容範囲に対してズレ量並びにズレ角の度合いを正確に検知することができ、ズレ角の軌道修正を瞬時に行うことが可能となる。
【0039】
図4は、従来の自走式搬送車両用センサ配置構造の実施形態を示す説明図である。
従来の自走式搬送車両22におけるセンサの配置構造は、先行センサ20の両側に補足センサ21が配置されることで両センサ20,21が横並び状に配置されて成り、自走式搬送車両22が左右何れかにズレた場合、左右に取り付けられた補足センサ21によってズレた方向が認識される態様となっている。したがって、従来の自走式搬送車両22は、先行センサ20に対し補足センサ21を少なくとも左右一対以上配設しなければズレ量を認識することができないものであった。また、左右に取り付けられた補足センサ21間に誘導線30が存在するか、先行センサ20上に誘導線30が存在するかの何れかの状態が直進可能な状態となることから、補足センサ21間に誘導線30が存在する場合には、その間の検知遊び空間が存在することによって、安定的な走行ができないと共にズレ角の軌道修正を瞬時に行うことができない構造となっていた。