特許第6085063号(P6085063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ネットプラザ栃木の特許一覧

<>
  • 特許6085063-自走式搬送車両用センサ配置構造 図000002
  • 特許6085063-自走式搬送車両用センサ配置構造 図000003
  • 特許6085063-自走式搬送車両用センサ配置構造 図000004
  • 特許6085063-自走式搬送車両用センサ配置構造 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6085063
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】自走式搬送車両用センサ配置構造
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20060101AFI20170213BHJP
【FI】
   G05D1/02 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-233854(P2016-233854)
(22)【出願日】2016年12月1日
【審査請求日】2016年12月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515274826
【氏名又は名称】株式会社ネットプラザ栃木
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】木村 正樹
【審査官】 川東 孝至
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0184924(US,A1)
【文献】 特開2011−43947(JP,A)
【文献】 特開2013−117838(JP,A)
【文献】 特開昭62−109105(JP,A)
【文献】 特開2000−330635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導線に沿って自動走行する自走式搬送車両の軌道修正を自動的に行うためのセンサ配置構造であって、
前記自走式搬送車両の先端所定箇所に前記誘導線を検知可能な所用のセンサ検知領域を有する一基の先行センサが設置されると共に、該先行センサに対し少なくとも一方の斜め後方線上に前記誘導線を検知可能な所用のセンサ検知領域を有する少なくとも一基以上の補足センサが所定間隔を空けて設置されて成り、
前記補足センサのセンサ検知領域の端部が直前方に設置された前記先行センサ若しくは補足センサのセンサ検知領域の端部と進行方向線上で重複する状態で該先行センサ及び補足センサが配置されて成ることを特徴とする自走式搬送車両用センサ配置構造。
【請求項2】
前記補足センサが、前記先行センサに対して両方の斜め後方線上に配置されて成ることを特徴とする請求項1記載の自走式搬送車両用センサ配置構造。
【請求項3】
前記先行センサ及び前記補足センサが、磁気センサ、光センサ、赤外線センサ、色センサ並びに電流センサのうち選択される何れか一方式から成るセンサであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の自走式搬送車両用センサ配置構造。
【請求項4】
前記先行センサ及び前記補足センサが一のセンサ取付プレートに取り付けられ、該センサ取付プレートを介して該先行センサ及び補足センサが前記自走式搬送車両に設置されて成ることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載の自走式搬送車両用センサ配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導線に沿って自動走行する自走式搬送車両の軌道修正を自動的に行うためのセンサ配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、敷地内やゴルフ場に埋設される誘導線に沿って自動走行する自走式の搬送車両やゴルフカートの軌道修正を自動的に行うシステムが数多く提案されている。
【0003】
上記自走式搬送車両における軌道修正を自動的に行うシステムの提案としては、例えば、港湾等のコンテナヤード、あるいは倉庫内におけるコンテナの荷役作業には、ストラドルキャリア、トランスファークレーン、RTG(Rubber Tyred Gantry Crane)等といった誘導線に沿って自動走行を行うクレーン式の荷役搬送車両が提案されている。
また、手動操作式の指示手段の指示情報に基づいて、走行装置の発進・停止制御、及び、操向装置の操舵制御を実行する制御手段が設けられ、ゴルフコースに敷設された電磁コイルレールや電流を通電した誘導線に沿って自動走行させるようにしたゴルフカートなどが提案されている。
【0004】
上記クレーン式の荷役搬送車両の具体的な提案としては、軌道修正を自動で行うことにより、作業員の労力の軽減ならびに軌道復旧完了までに要する時間を短縮することができる「搬送車両および搬送車両の自動走行制御方法」(特許文献1)が提案されている。
【0005】
かかる「搬送車両および搬送車両の自動走行制御方法」の提案は、ガイドラインに沿って自動走行する搬送車両であって、車体の走行方向に沿って間隔をおいて配置されるとともに、ガイドラインに対する位置ズレ量を検出するための複数のセンサと、車体の走行方向に沿って設けられた第1車輪と、第1車輪に対して走行方向と平行に設けられた第2車輪と、センサの検出結果に基づきガイドラインに対する車体の位置ズレ量およびズレ角を推定し、推定した位置ズレ量およびズレ角に基づいて第1車輪および第2車輪の少なくとも一方を駆動制御する制御手段とを具備して自動走行する搬送車両の提案である。
しかしながら、該提案によれば、片側の第1車輪に対して走行方向と平行に設けられた第2車輪の間に多数のセンサをガイドラインに沿って平行に且つ精度良く配置する必要があることから、構造的に複雑になると共に、製造コスト的に高騰に成りがちになるといった問題点があるものだった。
【0006】
また、上記電磁コイルレールや電流を通電した誘導線に沿って自動走行させるようにしたゴルフカートの具体的な提案としては、指示手段による発進、停止、及び操舵の操作が可能であると共に、ホール間においては所定の軌道上を自動走行することができる「ゴルフカート」(特許文献2)が提案されている。
【0007】
かかる「ゴルフカート」の提案は、手動操作式の指示手段の指示情報に基づいて、走行装置の発進・停止制御、及び、操向装置の操舵制御を実行する制御手段が設けられたゴルフカートにおいて、隣合うホール間に亘って敷設された誘導線の存否及びそれからのずれを検出する追従センサが設けられ、その追従センサが誘導線の非存在を検出する状態から誘導線の存在を検出する状態になるに伴って、制御手段が、追従センサのずれ検出情報に基づいて操向装置の制御を実行する提案である。
しかしながら、該提案によれば、ゴルフカートの前方と後方に複数のセンサを配置する必要があることから、構造的に複雑になると共に、製造コスト的に高騰に成りがちになる上、起伏や曲線が多いゴルフコースを走行するゴルフカートが誘導線から大きくズレた場合、手動操作によって軌道修正しなければならないといった問題点があるものだった。
【0008】
本出願人は、以上のような従来から提案されている自動走行する荷役搬送車両ならびにゴルフカートの操向装置の操舵制御を実行する検知手段に着目し、簡単構造且つ安定的な手段でもって確実性の高い軌道修正機能を備えた自動走行手段を実現することができないものかという着想の下、誘導線に沿って自動走行する自走式搬送車両の軌道修正を自動的に行うためのセンサ配置構造を開発し、本発明にかかる「自走式搬送車両用センサ配置構造」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−59059号公報
【特許文献2】特開平5−346817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、誘導線に沿って自動走行する自走式搬送車両の軌道修正を自動的に行うための自走式搬送車両用センサ配置構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、誘導線に沿って自動走行する自走式搬送車両の軌道修正を自動的に行うためのセンサ配置構造であって、自走式搬送車両の先端所定箇所に誘導線を検知可能な所用のセンサ検知領域を有する一基の先行センサが設置されると共に、該先行センサに対し少なくとも一方の斜め後方線上に誘導線を検知可能な所用のセンサ検知領域を有する少なくとも一基以上の補足センサが所定間隔を空けて設置されて成り、補足センサのセンサ検知領域の端部が直前方に設置された前記先行センサ若しくは補足センサのセンサ検知領域の端部と進行方向線上で重複する状態で該先行センサ及び補足センサが配置された構成となっている。
【0012】
また、本発明は、前記補足センサが、前記先行センサに対して両方の斜め後方線上に配置された構成を採用し得る。
【0013】
さらに、本発明は、前記先行センサ及び前記補足センサが、磁気センサ、光センサ、赤外線センサ、色センサ並びに電流センサのうち選択される何れか一方式から成るセンサである構成を採用し得る。
【0014】
またさらに、本発明は、前記先行センサ及び前記補足センサが一のセンサ取付プレートに取り付けられ、該センサ取付プレートを介して該先行センサ及び補足センサが前記自走式搬送車両に設置された構成を採用し得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造によれば、少なくとも先行センサと補足センサが各一基づつ取り付けられていれば自走式搬送車両の軌道修正が可能であるため、構造的に軽量簡易であると共にコスト的に低廉に製造できる、といった優れた効果を奏する。
【0016】
また、本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造によれば、走行中において先行センサと補足センサの少なくとも何れか一方で誘導線が常時感知されているため、走行精度が安定的に得られる、といった優れた効果を奏する。
【0017】
さらに、本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造によれば、補足センサのセンサ検知領域の端部が直前方に設置された先行センサ若しくは補足センサのセンサ検知領域の端部と進行方向線上で重複する状態で該先行センサ及び補足センサが配置されているため、自動走行許容範囲に対してズレ量並びにズレ角の度合いを正確に検知することができると共にズレ角の軌道修正を瞬時に行うことができる、といった優れた効果を奏する。
【0018】
またさらに、本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造によれば、センサ取付プレートに予め先行センサと補足センサが取り付けられると共に、該センサ取付プレートを自走式搬送車両に取り付けることで、該自走式搬送車両に対する先行センサ及び補足センサの設置を容易に行うことができる、といった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造の一の実施形態を示す説明図である。(実施例1,3)
図2】本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造の作動状態を示す説明図である。(実施例1,3)
図3】本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造の他の実施形態を示す説明図である。(実施例2,3)
図4】従来の自走式搬送車両用センサ配置構造の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造は、自走式搬送車両22の先端所定箇所に誘導線30を検知可能な所用のセンサ検知領域20aを有する一基の先行センサ20が設置されると共に、該先行センサ20に対し少なくとも一方の斜め後方線上に誘導線30を検知可能な所用のセンサ検知領域21aを有する少なくとも一基以上の補足センサ21が所定間隔を空けて設置されて成り、補足センサ21のセンサ検知領域21aの端部が直前方に設置された前記先行センサ20若しくは補足センサ21のセンサ検知領域20a,21aの端部と進行方向線L上で重複する状態で該先行センサ20及び補足センサ21が配置された構成を採ったことを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0021】
尚、本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状や寸法等の範囲内で、適宜変更することができる。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造の第一の実施形態を示しており、(a)は自走式搬送車両用センサ配置構造における各センサの取り付け状態を示す模式的側面図、(b)は自走式搬送車両用センサ配置構造における各センサの取り付け状態を示す模式的平面図、(c)は自走式搬送車両用センサ配置構造における各センサのセンサ検知領域20a,21aを示す模式的拡大平面図である。
【0023】
本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造は、誘導線30に沿って自動走行する自走式搬送車両22の軌道修正を自動的に行うためのセンサ配置構造であり、自走式搬送車両22の先端所定箇所に誘導線30を検知可能な所用のセンサ検知領域20aを有する一基の先行センサ20が設置されると共に、該先行センサ20に対し少なくとも一方の斜め後方線上に誘導線30を検知可能な所用のセンサ検知領域21aを有する少なくとも一基以上の補足センサ21が所定間隔を空けて設置されて成る。
なお、本実施例では、一基の補足センサ21が先行センサ20に対し一方の斜め後方線上に設置された態様となっている。
【0024】
自走式搬送車両22は、敷地内のレール上を自動走行する搬送車両や、ゴルフ場内のカート道路上を移動するゴルフカートなどが相当する。
【0025】
誘導線30は、工場敷地やゴルフ場内のカート道路にルートに合わせて貼設や埋設等により敷設されるもので、各センサ(先行センサ20及び補足センサ21)のセンサ方式に対応する素材の誘導線30が使用される。すなわち、各センサとして磁気センサ方式を採用した場合、誘導線30として例えば磁性金属素材(鉄板など)や磁界を発する導電素材(電磁コイルなど)が用いられ、また、各センサとして光センサ方式を採用した場合には、誘導線30として例えば鏡面素材(ステンレス,鏡など)が用いられ、また、各センサとして赤外線センサ方式を採用した場合は、誘導線30として例えば発熱素材(電熱線など)が用いられ、また、各センサとして色センサ方式を採用した場合には、誘導線30として例えば着色素材(色テープなど)が用いられ、各センサとして電流センサ方式を採用した場合は、誘導線30として例えば導電素材(銅線など)が用いられる。
【0026】
先行センサ20は、自走式搬送車両22の先端所定箇所に一基のみ設置されるもので、例えば図示のように、自走式搬送車両22の先端略中央箇所に設置されて成り、下方に存する誘導線30を検知可能な所用のセンサ検知領域20aを有している。該センサ検知領域20aとは、先行センサ20から略同心円状に拡がる誘導線30を検知可能な領域である。該先行センサ20の具体的なセンサ方式については特に限定はないが、例えば磁気センサ、光センサ、赤外線センサ、色センサ並びに電流センサのうち選択される何れか一方式から構成されている。
【0027】
補足センサ21は、自走式搬送車両22における前記先行センサ20に対して少なくとも一方の斜め後方線上に間隔を空けて一基乃至複数基設置されるもので、図面では、本実施例に合わせて、先行センサ20に対し一方の斜め後方線上に一基のみ設置した場合について示している。該補足センサ21は、前記先行センサ20と同様、下方に存する誘導線30を検知可能な所用のセンサ検知領域21aを有しており、該センサ検知領域21aとは、補足センサ21から略同心円状に拡がる誘導線30を検知可能な領域である。該補足センサ21の具体的なセンサ方式については特に限定はないが、例えば磁気センサ、光センサ、赤外線センサ、色センサ並びに電流センサのうち選択される何れか一方式から構成されている。
【0028】
先行センサ20及び補足センサ21の配置(位置関係)につき、図面に示すように、補足センサ21のセンサ検知領域21aの端部が直前方(一つ前方)に設置された先行センサ20若しくは補足センサ21のセンサ検知領域20a,21aの端部と進行方向線L上で重複する状態で各センサ20,21が配置されることとなる。
【0029】
本発明にかかる自走式搬送車両22には、前記先行センサ20及び補足センサ21の外、23及び操向装置24が内蔵されている。該23は、自走式搬送車両22の発進や停止、スピード制御、軌道修正等といった操舵制御を行うための制御装置であって、特に各センサ20,21からの検知信号に基づき、ズレ量並びにズレ角の度合いに合わせて自動走行許容範囲内へ軌道修正を行うべく、操向装置24へ軌道修正信号による操舵指令を送信するものである。
また、操向装置24は、自走式搬送車両22の軌道修正を行うための操舵装置であって、23からの軌道修正信号による操舵指令に基づき、操舵ハンドルの方向変換や両輪の駆動回転数制御などにより軌道修正を行うものである。
【0030】
本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造は、以上の各要素で構成され、本発明を採用した自走式搬送車両22は、概ね次のように操舵制御されながら自走する。
すなわち、自走式搬送車両22が直進する状態においては、誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域内20aに位置することによって、誘導線30上に沿って直進走行する。
自走式搬送車両22が補足センサ21の取付け方向にズレた状態においては、誘導線30がダイレクトに先行センサ20のセンサ検知領域20a外に位置することによって、その検知信号が23に送信され、該23から操向装置24へ軌道修正信号による操舵指令が送信されることによって、該誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20a内にのみ位置するよう軌道修正される。
自走式搬送車両22が補足センサ21の取付け方向と反対側にズレた状態においては、誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20aの一部と補足センサ21のセンサ検知領域21aとに重複した状態で位置し、あるいは、補足センサ21のセンサ検知領域21a内に位置し、あるいは、補足センサ21で検知された状態を経て該補足センサ21のセンサ検知領域21a外に位置することによって、その検知信号が23に送信され、該23から操向装置24へ軌道修正信号による操舵指令が送信されることによって、該誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20a内にのみ位置するよう軌道修正される。
【0031】
かかる本発明を採用した自走式搬送車両22における操舵制御の態様については、図2において具体的に示されている。すなわち、図2は、本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造の作動状態を示す説明図である。
【0032】
図2(a)は、自走式搬送車両22の直進走行状態を示す模式的説明図である。
直進走行時においては、ルートに合わせて敷設された誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20a内に位置した状態にあり、これにより自走式搬送車両22は、誘導線30上に沿って安定的に直進走行する。
【0033】
図2(b)は、自走式搬送車両22が補足センサ21の取付け方向と反対側(右寄り)に多少ズレた場合の軌道修正状態を示す模式的説明図である。
敷設された誘導線30が先行センサ20と補足センサ21の両センサ検知領域20a,21aに同時に掛かる状態にあり、このとき両センサ20,21の検知信号が23に送信され、該23から操向装置24へ軌道修正信号による操舵指令が送信される。これにより自走式搬送車両22は、該誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20a内にのみ位置するよう、軌道が左方向へ微修正される。
【0034】
図2(c)は、自走式搬送車両22が補足センサ21の取付け方向と反対側(右寄り)にズレた場合の軌道修正状態を示す模式的説明図である。
敷設された誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20aを外れて補足センサ21のセンサ検知領域21a内にのみ位置する状態にあり、このとき両センサ20,21の検知信号が23に送信され、該23から操向装置24へ軌道修正信号による操舵指令が送信される。これにより自走式搬送車両22は、該誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20a内にのみ位置するよう、軌道が左方向へ修正される。
【0035】
図2(d)は、自走式搬送車両22が補足センサ21の取付け方向と反対側(右寄り)に大きくズレた場合の軌道修正状態を示す模式的説明図である。
敷設された誘導線30が補足センサ21で検知された状態を経て該補足センサ21のセンサ検知領域21a外に位置する状態にあり、このとき補足センサ21の検知信号が23に送信され、該23から操向装置24へ軌道修正信号による操舵指令が送信される。これにより自走式搬送車両22は、該誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20a内にのみ位置するよう、軌道が左方向へ大きく修正される。
【0036】
図2(e)は、自走式搬送車両22が補足センサ21の取付け方向(左寄り)にズレた場合の軌道修正状態を示す模式的説明図である。
敷設された誘導線30が補足センサ21で検知された状態を経ることなくダイレクトに先行センサ20のセンサ検知領域20a外に位置する状態にあり、このとき先行センサ20の検知信号が23に送信され、該23から操向装置24へ軌道修正信号による操舵指令が送信される。これにより自走式搬送車両22は、該誘導線30が先行センサ20のセンサ検知領域20a内にのみ位置するよう、軌道が右方向へ修正される。
【0037】
図2(f)は、自走式搬送車両22の停止状態を示す模式的説明図である。
敷設された誘導線30が先行センサ20及び補足センサ21の何れにも検知されず、大幅に両センサ検知領域20a,21aの外に位置する状態にあり、このとき両センサ20,21の検知信号が23に送信され、自走式搬送車両22は停止状態となる。
【0038】
以上の通り構成される本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造は、自走式搬送車両22において、補足センサ21のセンサ検知領域21aの端部が直前方(一つ前方)に設置された先行センサ20若しくは補足センサ21のセンサ検知領域20a,21aの端部と進行方向線L上で重複する状態で各センサ20,21が配置されていることから、少なくとも先行センサ20と補足センサ21が必要最小限の各一基づつ設置されていれば自走式搬送車両22の軌道修正が可能であるため、構造的に軽量簡易でコスト的にも低廉に製造できると共に、走行精度が安定性が図られ、さらには、自動走行許容範囲に対してズレ量並びにズレ角の度合いを正確に検知することができ、ズレ角の軌道修正を瞬時に行うことが可能となる。
【0039】
図4は、従来の自走式搬送車両用センサ配置構造の実施形態を示す説明図である。
従来の自走式搬送車両22におけるセンサの配置構造は、先行センサ20の両側に補足センサ21が配置されることで両センサ20,21が横並び状に配置されて成り、自走式搬送車両22が左右何れかにズレた場合、左右に取り付けられた補足センサ21によってズレた方向が認識される態様となっている。したがって、従来の自走式搬送車両22は、先行センサ20に対し補足センサ21を少なくとも左右一対以上配設しなければズレ量を認識することができないものであった。また、左右に取り付けられた補足センサ21間に誘導線30が存在するか、先行センサ20上に誘導線30が存在するかの何れかの状態が直進可能な状態となることから、補足センサ21間に誘導線30が存在する場合には、その間の検知遊び空間が存在することによって、安定的な走行ができないと共にズレ角の軌道修正を瞬時に行うことができない構造となっていた。
【実施例2】
【0040】
図3は、本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造の他の実施形態を示す説明図である。
本実施形態にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造は、前記補足センサ21が、前記先行センサ20に対して両方の斜め後方線上に配置されて成る態様となっており、すなわち、平面視において先行センサ20を頂点に補足センサ21が逆V字状に配列されて成る態様である。
【0041】
図3(a)は、一基の先行センサ20の両斜め後方に二基の補足センサ21が進行方向に対して左右対称に配置された構成を示している。このように、補足センサ21が左右対称に配置されることによって、瞬時に自走式搬送車両22の軌道修正が可能であって、安全且つ安定的な自走に資することとなる。
【0042】
図3(b)は、一基の先行センサ20の両斜め後方に夫々二基以上の補足センサ21が進行方向に対して左右対称に配置された構成を示しており、図面では、夫々三基、計六基の補足センサ21が配置された場合について示している。このように、補足センサ21が夫々複数基且つ左右対称に配置されることによって、自走式搬送車両22の進行方向のズレに対し軌道の細かい微修正が可能であると共に瞬時に軌道修正が可能であって、より安全且つ安定的な自走に資することとなる。
【0043】
本実施形態における自走式搬送車両用センサ配置構造の他の構成についていは、上記第一の実施形態(実施例1)と同様であるため、説明は省略する。
【実施例3】
【0044】
図1乃至図3に示すように、先行センサ20及び補足センサ21の自走式搬送車両22への設置に関し、センサ取付プレート25による設置態様が可能である。すなわち、一のセンサ取付プレート25に予め先行センサ20及び補足センサ21を取り付け、該センサ取付プレート25を自走式搬送車両22の所定箇所に取り付けることで、それを介して両センサ20,21が自走式搬送車両22に設置される態様である。
【0045】
センサ取付プレート25は、先行センサ20と補足センサ21が取り付けられる例えば金属製の平板状プレートで、一枚の平板状プレートに予め必要数の先行センサ20と補足センサ21が取り付けられているため、自走式搬送車両22への各センサ20,21の設置に際し、該センサ取付プレート25を取り付ければ足りることから、各センサ20,21の設置を簡単に行うことが可能となる。
【0046】
なお、図1及び図2で示すように、補足センサ21が先行センサ20に対し一方の斜め後方線上に設置される場合には、センサ取付プレート25が略I字状の形態を採り、図3で示すように、先行センサ20に対して両方の斜め後方線上に補足センサ21が配置される場合は、センサ取付プレート25が略ハ字状の形態を採ることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明にかかる自走式搬送車両用センサ配置構造は、構造的に軽量簡易であると共に、コスト的に低廉に製造できることから、従来使用されてきた港湾等のコンテナヤード、あるいは倉庫内におけるコンテナの荷役作業やゴルフ場のゴルフカート以外に病院、ホテル、介護施設、製造工場、農地などあらゆる施設において利用することが可能である。したがって、本発明にかかる「自走式搬送車両用センサ配置構造」の産業上の利用可能性は極めて大であるものと解する。
【符号の説明】
【0048】
20 先行センサ
20a センサ検知領域
21 補足センサ
21a センサ検知領域
22 自走式搬送車両
23 操舵制御装置
24 操向装置
25 センサ取付プレート
30 誘導線
L 進行方向線
【要約】
【課題】誘導線に沿って自動走行する自走式搬送車両の軌道修正を自動的に行うためのセンサ配置構造の提供を図る。
【解決手段】自走式搬送車両の先端所定箇所に誘導線を検知可能な所用のセンサ検知領域を有する一基の先行センサが設置されると共に、該先行センサに対し少なくとも一方の斜め後方線上に誘導線を検知可能な所用のセンサ検知領域を有する少なくとも一基以上の補足センサが所定間隔を空けて設置されて成り、補足センサのセンサ検知領域の端部が直前方に設置された先行センサ若しくは補足センサのセンサ検知領域の端部と進行方向線上で重複する状態で該先行センサ及び補足センサが配置された構成となっている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4