(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は交差積層物、即ち少なくとも二つのフィルムが一軸配向又は不均衡に二軸配向し、これらフィルムの一つの主配向方向が他フィルムの主方向と交差するフィルム積層物に関する。
【0002】
合成ポリマー物質の配向フィルム交差積層物は、主に1955年5月23日の英国特許Aー0792976(ラスムッセン)に記載のように、1968年以来商業生産されてきた。本発明者の知る限り今日の全世界の年間生産量は約30,000トンに達する。交差積層物は特に工業用袋、表紙、防水シート、池の中敷き及び類似製品に使用される。
【0003】
通常の非配向フィルムに比べ交差積層物は、平方メートル重量に関して見ると非常に改善された強度を示し、原材料価格が原価の最重要部であるので交差積層技術は減量によるコスト削減に役立つ。二軸配向フィルムに比べ、類似ポリマーで(適切条件下で)作成された交差積層物は、格段に改善された引き裂き伝播抵抗を示す。
【0004】
それにもかかわらず年産30,000トンという数量が示すように、市場での交差積層技術の成功は限られてきた。これに関する重要な理由は、特に主な利点の減量の可能性の必然性はあるが、比較的薄い積層物で高い引き裂き伝播抵抗と同時に十分な
融着力を維持するのが困難なことである。適切に製造した交差積層物での高い引き裂き伝播抵抗は、引き裂きが広がる場所で付近での層剥離に基づく。各フィルムの不均衡な配向と主配向方向の交差により、一つのフィルムは一方向に引き裂きを伝播し易いが、他フィルムは他方向に伝播しやすい。その結果力が集中した場所の
融着が除去されやすく、この傾向が十分顕著な場合引き裂きは局所的層剥離で“枝分かれ”し、引き裂きの“ノッチ効果”はほぼ除去される。その結果一般的に言えば層剥離に逆らおうとする
融着力と、破断又は主配向方向と平行でないいずれかの方向への流動を回避しようとする各フィルムの凝集力の間で“競争”が起こる。該
融着力は(一般論ではあるが)フィルム厚さとは無関係であるが、該凝集力は他の全パラメーターが変わらなければ主としてフィルム厚さに比例する。この“競争”の結果、“薄い”交差積層物は比較的低い引き裂き伝播抵抗を示すか、又は比較的高い層剥離傾向を示す。これは“厚い”層の交差積層物では遙かに小さな問題である。ゲージが一平方メートル当たり60から70g以上の工業用袋では、充填袋は通常層剥離力を受けず、低
融着強度が選べることを意味するので、この“競争”は重大な問題を起こさないが、例えば使用時に、例えば風でひっくり返る反復屈曲を受ける防水シート、表紙及び類似製品に関しては非常に重要な問題である。実際の経験の問題として本発明者とそのライセンシーは、LLDPE型、HMWHDPEの組み合わせに基づく2プライ交差積層物で出来た防水シートでは、各フィルムは少なくともゲージ45から50gm−
2の必要があり、さもなければ
融着強度又は引き裂き伝播抵抗のいずれかは使用者には受け入れられない。これらの経験は風によりあまりはためかない“静的”用途用の防水シートに関連する。防水シートが強い反復のはためきを受けるトラックや貨物車両のカバー用の“動的”用途では必要ゲージは遙かに高い。低ゲージフィルム(例えば最終消費者向けで約15から50gm
−2の間)では、この引き裂き強度が消費者が容易に評価できる物性であるので、良い
融着と組み合わされた高引き裂き伝播抵抗が必要である。このようなフィルムの例としては消費財包装用フィルムと他種の家庭用フィルムがある。
【0005】
交差積層フィルムで適切な組み合わせの
融着強度と引き裂き抵抗を得る幾つかの方法が示唆された。それらの全てはWO03/074264に記載され、全ては点や線での強い
融着又は比較的強い
融着と、残りのフィルム領域での弱い
融着又は非
融着の組み合わせに関する。本公知技術のうち該WO03/074264に請求の方法と構造のみが工業的重要性を有した。
【0006】
本発明の主目的は交差積層物の引き裂き伝播抵抗の改良であり、特にゲージ減少が出来るだけではない。
【0007】
プラスチックフィルムとプラスチック袋についての平均的消費者の判断は、殆どが非常に初歩的強度試験と美的印象に基づき、客観的に確立された強度とは関係なしに通常薄いフィルムは“安物プラスチック”と偏見をもつので、第二の目的は、この積層物の審美性改良である。それ故本発明の目的は、とりわけ技術的機能を有する手段により配向フィルム交差積層物に織物様外観を与えてその審美性を改良することである。
プラスチック製製品の目視効果の重要性に関しては、モダーンプラスチック(Modern Plastics)、2002年、12月号、50頁の、“外装を単に部品カバーと考える代わりに、メーカーは製品を差別化し独自化できるマーケティング手段として用いている”と述べた“目視効果はビジネスを意味する”(Visual Effects means Business)と言う記事を参考にできる。
【0008】
本発明の第三の目的はラミネーション後、加熱により屈曲や不規則なしわ(通常収縮力が発生すると交差積層物で起こりやすい)を生ずることなしに大きい収縮が可能なことである。収縮した交差積層物は延伸前の配向状態について一定の記憶を有するので、この収縮は更に引き裂き伝播抵抗を強め又破壊強度を高める。
【0009】
本発明の重要な特徴は特許請求項1に明記した条件下で、近接して間隔をおかれた「線」のパターンを有する一軸配向プライの交差
積層された薄い二軸配向材料を供給することである。これらの“線”の部分は以後“より薄いウエブ”と呼ばれ、各プライの残りの領域を“隆起部”と呼ぶ。より薄いウエブを間に挟む隆起部のパターンは、プライの主配向方向に直角な方向への部分延伸、好ましくは請求の範囲で明記するように溝付きロール間での延伸により得られる。このエンボス模様は好ましくは現実的に可能な限り微細に作られ、この目的のために溝付きロール延伸の改良法と改良装置が発明された。より薄いウエブ模様を持つ一つ又は二つのプライを交差積層物に提供することは新規ではないが、それは他の条件、即ち以後に検討されるWO02/102592及びWO04/054793で開示されるフルートを有する(波形)の交差積層物の製造により行われた。
【0010】
より薄いウエブが、隣接プライと非
融着であるかまたは弱くしか
融着していない場合、引き裂き伝播抵抗が驚くほど改良されることが今回見いだされた。これはこれらの二軸配向された狭い“線”の引き裂き力が作用した状態でのプライの配向を変化する能力により説明できる。この配向の変化は引き裂きを停止する働きをし、狭い“線”は再配向の開始部分として働く。それ故実際に可能な限り細かな模様を与えることが又重要である。
上記のように本発明の第二の目的は審美性の改良であり、これはエンボスした交差積層プライの織物様外観により得られる。各プライは“半解繊”していると言え、交差積層物を表面的に観察すると、特に目視効果が顔料混和により強調された場合、あたかもパイル織物が本当に解繊されているように見える。又目視効果の目的で隆起部とウエブパターンを実際に可能な限り細かくすることは重要である。
【0011】
上記の本発明の第三の目的は、即ち積層物の大きい後収縮発生の助けにより、他の態様のしわ又は屈曲傾向を生じる圧縮力をいわば“吸収”して、より薄いウエブの微細模様により得られる。これは非常に顕著な改善である。
【0012】
本発明理解のための背景として既存の交差積層技術に関する簡単な概論は有用であろう。これは主として本発明者の以前の出願に関する。
【0013】
交差積層物用のポリマー物質料は今までも現在も主としてブレンドによりしばしば変性した異なるタイプのポリエチレンとポリプロピレンであり、新旧の工業化製造工程はドローダウンにより主に長さ方向に配向するチューブを押し出し、このチューブを主配向方向に対して斜めに切断してウエブとし、二つ以上のこのウエブを主配向方向に対して十字に連続的にラミネートすることを含む。これは主として長さ方向に配向されたフィルムを積層することを含む。
【0014】
これらの原理に基づく最初の工業化技術では、主として長さ方向に溶融配向された押し出しチューブ状フィルムを、更にらせん状切断の前にこの方向に冷延伸する。例えば米国特許A−4,039,364に開示されるより最近の工業化技術では、主として積層物の引っ張り強度に寄与する層と、少なくとも一部が熱と圧力で起こるフィルム
融着を助けるのに用いる少なくとも1つの表面層を有するそれぞれのチューブ状のフィルムを共押し出しする。
【0015】
又積層物外側になる特別層をフィルム上に共押し出しする。これら特別層は特に改良熱融着のために、積層物の表面物性を改良するために使用される。この最近の技術ではらせん状切断が、冷延伸なしにこの共押し出し直後に別の生産ラインで行われる。
融着又はまだ未
融着の状態のフィルムがサンドイッチ状態にされ、積層物を形成し、追加の延伸が実施される。このフィルムは比較的低温で二軸延伸される。この二軸延伸の横成分は溝付きロール間で生じる。米国特許A−5,028,289と米国特許A−5,626,944では溝付きロール間の延伸が更に開発された。
【0016】
らせん状切断を実施する実際的な方法は米国特許A−5,248,366に開示されている。本特許は又代替えの切断法、即ちダイ出口とドローダウン手段間で相対的な回転を起こして共押し出しダイから引き出しながららせん状に延伸溶融配向をチューブ状フィルムに与え、続いてその軸と平行或いは主配向方向とある角度で切断することを記載している。このプロセスを調整して溶融配向の主方向がウエブ長さ方向に垂直になるウエブも生産出来る。
【0017】
完全性のために非常に初期の特許では、長さ方向に配向したポリマーフィルムを非連続的に交差ラミネートしプレス機で
融着出来る可能性を開示している。
【0018】
上記のものと完全に異なるプロセスでは、非常に硬い特性の交差積層物が高度な製品で用いるために作られた。これらは溶融又は半溶融状態では液晶であり、異方向回転ダイ部品を用いる押し出しダイ内で既に配向し交差ラミネートしたポリマーからなる。しかしこの形のプロセスと製品は本発明の主題ではない。
【0019】
より日用品であるか又は技術的製品である他の形の交差積層物に戻ると、積層物表面層に適切な低融点ポリマーを選んだ場合には、剪断型融着での熱融着強度は十分であるが、この熱融着を受けた工業用袋で通常必要なように、剥離型熱融着において良好な熱融着衝撃強度が必要な場合、非常に特別な予防措置をとる必要がある。これらの予防措置は米国特許A−5,205,650とWOA−98/23434に開示されている。
【0020】
交差積層物に関する最近の発明としては、本発明者の5つの出願、WO02/102592、WO04/54793、WO03/033241、WO04/094129及びWO05/102669があげられる。最初の二つでは、段ボール板紙の波のような波構造を持つが通常は板紙において普通である波長より短く、波が各プライの分子配向方向に延びた2プライ交差積層物の一つ又は二つのプライを提供する。
【0021】
この出願はより薄い二軸ウエブパターンの形成を開示し、特許請求している。WO02/102592ではプライの一つだけに関し、これは8頁以後の明細書全体と特許の請求項に記載され、WO04/054793では一つ又は二つのプライに関し、12頁19行からの明細書全体と特許の請求項に記載されている。両者とも一組の細い薄い二軸線形配向ウエブに関し、実質的に各フルートの
融着された土台の一組の狭く薄い二軸配向ウエブと、それぞれがフルートのクレストを形成する。
【0022】
これらの波形交差積層物の引き裂き伝播抵抗は非常に高く、この積層物でのこの点での改善の必要はない。しかし細かいプリントや特殊模様のエンボス加工が必要な用途のように、溝付き積層物が適用できない多方面の用途があることが指摘される。
【0023】
WO03/033241及びWO04/094129は特に押し出しに関連する特殊アテヌュエーションおよび配向工程に関し、これにより高温での強度、熱融着物性、降伏張力及び/又はバリアー性が改善できる。
【0024】
交差積層物製造の最善法はテンターフレーム手段により横配向プライを生産し、これを長さ方向配向プライにラミネートすることであると信ずるのは当然であるが、既存テンターフレームの機能は非常に高温、例えば80℃以上での延伸に限定される。これは少なくともHDPE又はPPの場合、交差積層物に十分な物性をプライに与えない。これは遙かに低い温度で延伸するのに適した改良型テンターフレームを特許請求するWO05/102669に詳細に説明されている。この公知技術は本発明の幾つかの実施態様に関して直接に重要であり、これらの実施態様と関連して以下に説明する。
【0025】
本発明の製品は特許請求の範囲請求項1に記載され、その製造法は請求項
2に記載される。プライAとプライB間の
融着についての記載条件が満たされる場合、より薄い二軸配向ウエブ又は“線”が引き裂き伝播抵抗に驚くべき影響を与える。この場合これらの十分な割合の“線”は上記の引き裂き阻止再配向プロセスの開始部分として働くに十分な“自由”を有し、引き裂きが広がる場所での局部的な剥離後に得られる柔軟性により又引き裂き阻止効果を得る。実施例2と3の比較試験が参考にされる。
【0026】
上記のように二つの出願WO02/102592とWO04/54793の両者は、段ボール板紙のように溝を作った交差積層物を取り扱い、又より薄い二軸配向ウエブ又は“線”の形成を開示しているが、これらの開示では大部分のウエブ領域は隆起と隆起部を
融着する隣接プライとより強く
融着される。実際には隆起部は殆どが
融着していない。これら製品での薄いウエブの目的は溝形成を容易にし、溝の硬さを増強することである。これらの公知の波形交差積層物は非常に良い引き裂き伝播抵抗を示すが、これは波形によるもので、本発明で薄いウエブが発揮する作用によるものではない。
【0027】
上記の波形交差積層物の溝の“緩み”効果は、引き裂き伝播位置での力の集中(“ノッチ効果”)を最小限にするのを助ける。
【0028】
本発明で幾分かの“緩み効果”は、又特にエンボス模様に対する印刷性又は受容性の必要性を妨害しない限り好ましい。この関係での実際的な制限は
実施態様7に記述する。
【0029】
プライAとプライBは一つ以上のラミネーション層を介して一緒に熱融着される。これは押し出しラミネーションまたは共押し出しラミネーション層により可能である。“熱融着”と言う用語はこの融着が事実上超音波が生ずる局所熱によるので、プライを超音波的に一緒に融着する可能性も含まれる。
【0030】
請求項1に示した弱い
融着の試験、即ち手による繰り返し屈曲摩擦は、フィルム積層物を取り扱う全ての者が不十分な
融着のための迅速試験としておおかた知っている実際的試験である。“非
融着”と“除去された
融着”は断面を顕微鏡下で調べることで正確に検出できる。隆起部と間のウエブのパターンは隆起部に垂直に切り取られ、続いて選択した隆起部が切り取られるようにした異なるマイクロトーム切断試験品を比べた場合ほぼ均一に見える。隆起部と薄いウエブのパターンはしばしば、例えば
図3に関して説明するようにラミネーション用ロール上の溝により決定される結合のパターンと重複するが、十分な数の積層物薄切り片を調べることで、薄いウエブ全領域の何パーセントが非
融着又は弱い
融着(定義のように)をしているかを検出できる。
【0031】
最も弱い
融着より強い
融着の剥離強度は、いくらかの疑問が生じた場合、例えばマイクロトームで切り出した十分細い切片を剥離することで決定できる。
【0032】
より薄い各該ウエブの平均厚さは好ましくは隣接する隆起部の最大厚さの80%以上でなく、より好ましくは通常25から50%の間である。更に隆起部の幅は好ましくは通常約1mm以上でなく、より好ましくは通常0.5mmを超えず、最も好ましくは通常約0.05から0.2mm程度である。最後に、より薄い各ウエブの幅は二つの隣接隆起部の最大厚さの少なくとも約50%、より好ましくは二つの隣接する隆起部の平均幅の25%より小さくない。
【0033】
より薄い二軸配向ウエブ又は“線”の重要な機能は、引き裂き伝播時のプライ再配向開始部位として働くことである。従って隆起部の一軸配向度とこれが確立された温度により、好ましくは遅い引き裂き伝播時にプライAとプライBそれぞれが引き裂きが広がる場所で解繊する代わりに再配向するように制限される。しかし隆起部の延伸比が高すぎるか又はこの延伸温度が高すぎることで再配向の代わりに解繊がたまたま起こっても、二軸配向ウエブにより引き裂き伝播部位をより柔軟する効果により、引き裂き伝播抵抗の増加をなお助ける。
【0034】
上記から分かるように全面にわたる弱い
融着は、通常比較的重い交差積層物や袋には十分かもしれないが、たいていの場合
融着と非
融着の交互パターン、又は比較的強い
融着と弱い
融着の交互パターンが好ましい。請求項1と請求項
2では“弱い”が繰り返し屈曲摩擦による
融着解消の可能性を意味するが、剥離力の値はゲージ、延伸比、原料及びその用途で変わるので、剥離力値の形で示唆することは出来ない。
【0035】
しかし既に述べたように、この
融着パターンの幅広い原理は最新の技術であり、更に
融着力の選択は個別的な日常的な実験により行われる。
【0036】
請求項1と請求項
2の特性的な部分で規定される結合は、
実施態様2から6で明記したように主に異なるパターンで達成できる。
実施態様5の構造は
図2に示され、この図面との関連で説明するが、これらの
実施態様に従う他様態の
融着システムが
図3との関連で説明する。
【0037】
より薄いウエブが非
融着のままである
融着システムは、より薄いウエブが弱く
融着されていること以外は全ての点でこれに等しいシステムに比べ、通常より高い引き裂き伝播抵抗を示す。しかし非
融着システムには欠点があり、即ち薄いウエブが形成する通路を通して空気がその内部からプライに接近でき、その結果積層物が長期にわたり強い太陽光線の影響下にあるような積層物の使用では、積層物はより紫外線分解されやすくなる。
【0038】
主な製品とプロセスの
実施態様(
実施態様1と18)では、プライAとプライBがそれぞれの製造段階のいずれで部分延伸(通常溝付きロール延伸)によりエンボスされ、隆起部とより薄いウエブパターンを形成するかについては記載していない。しかし
実施態様19と20で記載されるように、この部分延伸は好ましくはプライ全体の延伸前又は延伸の後、或いはプライ全体の延伸の二段階の間に実施する。これらの二つの
実施態様は異なるルートの交差積層物製造に関する。
図5の工程図で示したルートでは、出発フィルムはインフレーションチューブ状フィルムであり、支配的配向方向はチューブの長さ方向であり、部分延伸は横方向に、即ち通常ロール半径に比べ非常に小さなピッチの円形溝又はらせん状溝を有する溝付きロールを用いて行う。続いて二つのプライを斜めに切断し連続的に交差ラミネートする。
【0039】
この横方向の延伸を実施するための装置は新規と考えられ本発明の他様態を形成し、
実施態様43に記載される。好ましい実施態様は
実施態様44から51で規定され、更に以下に検討する。横方向の延伸装置を含むラミネーション装置は、
実施態様18及び/又はこの
実施態様に依存する請求項の方法の他工程の実施手段を含む。
【0040】
図6の工程図で示された他ルートでは、一プライの支配的配向方向は機械方向に直角な方向であり、部分延伸は機械方向に平行か殆ど平行であり、即ち好ましくは溝付きロールで行われる場合、後者は軸方向又はらせん形に延びる溝である必要があり、後者の場合軸方向に殆ど平行である。第二のプライは最初に述べたルートで実施する延伸と同様に延伸される。
【0041】
第二のルートは工程図に示すように全工程段階が直列で出来る利点を与えるが、この機械はテンターフレームが必要なため第一のルート用の機械より遙かに高価である。このテンターフレームは好ましくはプライをひだが横方向に延びたプリーツ状にし、横方向の延伸時に長さ方向収縮が出来るWO05/102669に記載のタイプのものである。このテンターフレームのプロセスは、各通過位置での配向プロセスがこの装置の横方向に見られる長く狭い加熱手段によりそれぞれ制御される一つ又は二つの狭いネック区域に実質的に制限される。該加熱装置は狭い空間で働き、フィルムが摩擦無し又は低摩擦下で通過し、実質的にこの一つ又は複数区域をゆっくり通過して配向されるまで、各フイルム断面が一つ又は複数の狭いネック区域をフィルム幅で進むようにフィルム進行に対して装置の長さ方向が角度を付けて配置される。
【0042】
二つの工程図では部分延伸(溝付きロール延伸)が他の一つ又は複数の延伸工程に続いて起こることを示す。しかしこれは製造方法のより早い工程でも又良い。他の延伸完了後又は後者の後段階での部分延伸実施により、ウエブ配向に最大の二軸特性を与え、最も有効な引き裂き阻止効果を与えるが、より早い工程、特に固体状態での任意の他の延伸前の部分延伸は、より微細なピッチのエンボスパターンとそれによる改良審美性をもたらすことが出来る。
【0043】
これはプライが延伸方向に垂直に殆ど自由に収縮出来る条件下である。これはテンターフレーム延伸では上記のひだ付けにより得られ、長さ方向の延伸ではこれは又延伸前のひだ付けにより得られ、後者は本発明の先の特許である米国特許3,233,0299に開示のように狭い間隔のロール間で起こる。更に初期段階の配向プロセスとしての部分延伸と引き続くプリーツ状の延伸により、より薄いウエブに緩み形を与える傾向を促進する。これについては後に説明する必要がある。
【0044】
部分延伸実施において、通常溝付きロール使用下では、生じる延伸部分のピッチは好ましくは出来るだけ小さい必要があり、本目的のために改良された延伸法とこのための装置を発明した。本発明方法は通常熱可塑性ポリマー物質からなるフィルムを通常その融点範囲以下で一つ以上の工程で、通常一軸に長さ方向に延伸し、この延伸の前又は続いて或いはこの二つの工程の間で、ロール半径に比べ小さいピッチの円形溝又はらせん状溝を有するインターメッシュ溝付きロール間でフィルムを部分的に横方向に延伸することに関する。本発明方法はロールの溝表面の各クレストが二つのエッジを有し、それぞれはプライ中により薄い該線形ウエブを生ずるに十分に鋭利であると言う特徴を持つ。これが最も良く得られるよう二つの該エッジは、好ましくはプライと溝付きロール間の接触をクレストのエッジ部に限定するように突き出される。即ち溝付きロールのクレストは好ましくは凹型を有する必要があり、
図8が参照される。
【0045】
これに関連して更に溝付きロールは、例えば約60から80℃に加熱し、ウエブをより低い温度、例えば約20から45℃でロールに導入し、溝付きロールのクレストのエッジ部のプライを選択的に加熱するのが好ましい。加熱によりウエブ厚さ制御の提供を助ける。本実施態様は更に
図9との関連で説明される。
【0046】
いずれの場合も溝付きロールのピッチは好ましくは約0.8から1.2mmの間であり、クレストの二つの該エッジ間の距離は好ましくは約0.3から0.5mmの間であるべきである。
【0047】
フィルムが最も細かいエンボスパターンピッチを得るには、幾つかの部分延伸プロセスは、特に(
図10に示すように)部分延伸が円形溝付きロール(これについては第一の溝付きロールと呼ぶ)間での横方向の延伸である場合、互いに位置を合わせて実施する。延伸法の本実施態様は第一の溝付きロール間の部分延伸前又は続いて、プライを第二の円形溝付きロール間で第二の部分延伸にかけるという特徴を有する。該第二の溝付きロールは、
a)各クレストに一つだけの延伸帯域を作り、
b)操作条件下で第一の溝付きロールと正確に同一のピッチを有し、且つ
c)第二の溝付きロールが形成する各延伸帯域が、第一の溝付きロールの1つのクレストのエッジに形成された二つの延伸帯域間に収まるか加わるように、第一の溝付きロールと正確に位置合わせする。
【0048】
工業生産のためにローラーの長さは通常少なくとも約1mかそれ以上でなければならず、長さ2から3mが必要な場合がある。それ故ロール表面の機械加工は非常に高い精度が必要であり、各ロールはコアに取り付けたセグメントから構成される必要がある。ロール図面の記述では、精度達成と溝付きロール表面のクレストのエッジの正確な鋭さの程度を詳細に取り扱う。
【0049】
少なくとも一部分が溝付きロールの平坦なクレスト又は凹型のクレストのエッジで作られる上記の部分延伸法は、請求項1に従う製品製造に限らないことが強調される。これらの方法はフルートピッチはこの記載手段を用いてより微細にすることが出来るので、例えば上記のWO02/102592とWO04/054793で取り扱ったフルート付き交差積層物製造で有利に使用できる。更にこれらの方法で製造した二軸配向フィルムは、多くの場合ラミネーション工程なしで単一プライとして、例えば特にこのフィルムの平均ゲージが約0.05mm以下の場合、包装或いは衛生目的用の包装フィルムとして使用できる。
【0050】
本発明の主様態に戻ると、二つのプライAとBは前述のようにまっすぐに伸びても良いし、または一つ又は両者が緩みを含んでも良いが、好ましくは緩みの全長が
実施態様7に記述のように限定される。二つの異なるタイプの緩みが
図1の顕微鏡写真と
図2の図面で示される。この緩みは上記のWO02/102592とWO04/054793に開示されるフルートとは全く異なる。これらは引き裂きが広がる場所付近の引き裂き力を分配しその結果ノッチ効果を減少するので、引き裂き伝播抵抗に好ましい影響を有する。更に交差積層物に織物様の外観および/または感覚を与え、必要ならば光沢を除去出来る。代わりに例えば印刷目的、後続の装飾的エンボス又は機能的エンボスのために、この緩みの全くない交差積層物を作る必要があることもある。
【0051】
ラミネーション工程時又は高温での後収縮工程時での積層物収縮により緩みが形成される。プライAが収縮すると、ウエブが同一方向に収縮しない限りプライBの隆起部は互いに近づき、ウエブBに緩みを形成する。プライBが収縮するとプライAのウエブでも同じ効果が起こる。上記のように配向工程の初期段階で部分延伸を実施し、続いてプリーツ状で延伸することにより緩みが促進される。これはこの延伸によりプライ全体が延伸の起こる方向に直角に収縮する可能性があるので、より薄いウエブの配向での二軸性を減少すると説明され、同一方向への更なる収縮に対して安定化することを意味する。
【0052】
より薄いウエブを安定化し、その結果ラミネーション時又は後収縮工程時での緩み形成を促進する他の手段としては、隆起部を冷却表面、通常はロール表面との接触によりより低温に維持しながら薄いウエブを熱風で選択的に加熱することである。ウエブと冷却表面間にはいくらかの空隙があるのでの選択的加熱が可能である。この熱処理はより薄いウエブの一部が溶融する程度でさえも実施できる。
【0053】
上記のように緩みを望まない場合もある。緩みがラミネーション時又は後収縮工程時に誤って形成された場合、隆起部を冷却表面、通常は冷却ロール表面と接触しながら熱風で緩みを加熱して、最初に積層物の片側を次いでその反対側の緩みを除くことが出来る。この場合隆起部の一部は冷却表面で断熱されているので、加熱条件を注意深く調節する必要がある。
【0054】
交差積層物の主要材として最適の材料は、強度物性、剛性及び比較的低価格という理由からHDPE又は高分子量又は中高分子量の結晶性PPである。
【0055】
引き裂き時での再配向の可能性という観点から少なくともポリマー物質がPP又はHDPEに基づく場合には、50℃付近又はそれ以下の温度で配向の支配的方向に延伸することが有利である。次いで例えば約80から90℃での後続熱処理が製造工程の誤った段階での収縮を避けるために必要である。
【0056】
好ましくは交差積層物の少なくとも一方向、通常は全方向での最大引っ張り強度が約25MPa以下ではなく、より好ましくは40MPa以下ではない程度にプライ配向を実施する。断面積当たりの力として表すこの強度の決定においては、厚さは圧縮状態での平均厚さと考える必要がある。実際にはフィルム成分の密度が公知の場合には、これは平方メートル重量から計算する。
【0057】
融着層は好ましくは有意に異なる融点範囲を有する二つ以上の相溶性ポリマーブレンドとして選択され、該ブレンドポリマーの内の低融点のポリマーが、各プライ主要部で最小の乱れ又は配向を生ずる温度で溶融し始めるようにされる。ブレンド比とラミネーション温度は層剥離抵抗と引き裂き伝播抵抗間で好ましいバランスが生ずるように選択する必要がある。例えばHDPEベースの交差積層物の場合、1つ又は複数のラミネーション層は、LLDPE及びメタロセンLLDPE又はLLDPEとEVAとのブレンドからなるのが有利である。
【0058】
例えば審美的効果と言う観点からプライA及び/又Bは好ましくは微少空洞を有する。これは適切な粉末(例えばタルク)の混合及び/又延伸段階条件の選択により得られることは公知である。又HDPE及びPPは配向を50℃付近又は以下の温度で行うと、粉末混合物なしに微少空隙が形成されることは公知である。上記のように又HDPE又はPPベースの交差積層物の強度物性には、大部分の延伸をこのような比較的低温で実施することが有利であることが分かった。しかしより薄いウエブ内の空隙がウエブ中で連続するように延伸段階の条件及び/又は混合粉末の選択を調節して、通気性の交差積層物を作成する可能性のほうが審美的効果より重要である。微孔通気性薄フィルムは通常織物に積層して十分な強度を与えるが、本発明の本様態では補強要素、即ち一軸配向された隆起部は微孔性薄フィルム材と一体化される。本発明に従うこのようなより大きなゲージ、例えば平均ゲージ約0.05から0.15mmの通気性交差積層物は、“家庭用ラップフィルム”、屋根下張り、通気性袋及びレインコートに使用でき、小さいゲージ、例えば約0.01から0.03mmのものは種々の医療目的と衛生目的に使用できる。
【0059】
代わりに本発明に従う積層物は微少穿孔を有していても良い。
本発明はその実施態様として以下のものを含む。
実施態様1: 少なくとも二つの配向したプライAおよびBを含む交差積層物で、それぞれのプライが熱可塑性ポリマー物質からなり、それぞれが一方向に支配的に二軸配向され、Aが一つ以上のラミネーション層を介してBに熱融着され、それにより全体が弱い接着、接着と非接着との交互パターン、或いは比較的強い接着と比較的弱い接着の交互パターンが存在し、それによりAとBそれぞれはフィルム表面に分布した約2mmより大きくない分画の直線状に並んだ隆起部を含み、それぞれが二つの隣接する隆起部の平均の体積が50%以下の体積を有するより薄い線形ウエブ(4)、(9)で一体に連結され、隆起部と隣接の薄い領域の間は該隆起部の最も厚い部分と該ウエブの最も薄い部分間のプライ厚さ平均の場所であり、それにより各隆起部の主断面部は十分一軸に配向し、Aの優先的な配向方向を達せいするが、より薄いウエブは二軸配向し、積層物領域での均一分布においてAとBのより薄い線形ウエブ領域の少なくとも50%が、接着を手による屈曲摩擦繰り返しで除去できるように接着しないか弱く接着し、且つ大部分の各隆起部と隆起部との接着が室温剥離測定による最も隣接する薄ウェブと薄ウエブとの接着で最も強力なものと少なくとも同じに強い、交差積層物。
実施態様2: 接着が隆起部のみに限定されるか、又は隆起部と隆起部との接着が、隣接するより薄いウエブ間の接着より強いかのいずれかである、実施態様1記載の交差積層物。
実施態様3: 該接着系はそれぞれが幾つかの隆起部とより薄いウエブを含む領域に限定され、積層物の残りの領域が接着されていない、実施態様2記載の交差積層物。
実施態様4: より薄いウエブが全体にわたり接着されず、且つ隆起部が全体にわたり接着されるが、この隆起部と隆起部との接着が、幾つかの隆起部とより薄いウエブを含む領域内で、これらの領域外の隆起部と隆起部との接着強度より強い、実施態様2記載の交差積層物。
実施態様5: 隆起部Xが隆起部Yより厚い二系列の隆起部XとYがあり、これによりより薄い各ウエブ(4)が一つの隆起部Xと一つの隆起部Yに隣接し、接着が隆起部Xのみに限定されるか、または隆起部Xと隆起部Xとの接着が隆起部Yと隆起部Yとの接着より強い、実施態様2又は3記載の交差積層物。
実施態様6: 積層物領域全体に均一分布し、幾つかの隆起部と幾つかのより薄いウエブを含む領域内において、プライはその接着部分が繰り返し屈曲摩擦後に別々に引きはがされないほど強く接着するが、積層物AとBの残りの領域では、接着されないかまたは接着がこの処理により除去出来るほど弱く接着する、実施態様1記載の交差積層物。
実施態様7: 積層物が緩みを形成する非接着領域を含み、緩みの程度が隆起部とウエブ伸長部に対する垂直部から見て実際のフィルム表面に沿って計った緩み幅が、緩み境界間の直線距離より最大0.5mm、好ましくは最大0.3mm、より好ましくは最大0.2mm大きいように制限される、実施態様1から6のいずれか1項記載の交差積層物。
実施態様8: 該各より薄いウエブの平均厚さが隣接隆起部の最大厚さの80%以上でなく、好ましくは25から50%の間である、実施態様1から7のいずれか1項記載の交差積層物。
実施態様9: 隆起部の幅が約1mm以上でない、好ましくは約0.5mm以上でない、更に好ましくは約0.05から0.2mmの範囲である、実施態様1から8のいずれか1項記載の交差積層物。
実施態様10: それぞれの、より薄い領域の幅が二つの隣接する隆起部の最大厚さの少なくとも約50%であり、好ましくは二つの隣接する隆起部の平均幅の25%以下でない、実施態様1から9のいずれか1項記載の交差積層物。
実施態様11: 隆起部の一軸配向度と配向した温度が、遅い引き裂き伝播時に引き裂きが伝わる場所で、プライAとBが解繊する代わりに再配向するように制限する、実施態様1から10のいずれか1項記載の交差積層物。
実施態様12: 平均厚さが約0.05mm以上でない実施態様1から11のいずれか1項記載の交差積層物。
実施態様13: ラミネーション層がA及び/又はBへの共押し出し層である実施態様1から12のいずれか1項記載の交差積層物。
実施態様14: ラミネーション層が押し出しラミネーションにより適用される、実施態様1から13のいずれか1項記載の交差積層物。
実施態様15: A及び/又はBが主に高分子量又は中高分子量HDPE又は高分子量又は中高分子量結晶性PPからなる、実施態様1から14のいずれか1項記載の交差積層物。
実施態様16: AとBに、より薄いウエブ中でプライに穴を開け交差積層物を通気性にする微少空隙が与えられる、実施態様1から15のいずれか1項記載の交差積層物。
実施態様17: 交差積層物に微細穿孔が与えられ、好ましくはより薄いウエブに限って微細穿孔が与えられる、実施態様1から16のいずれか1項記載の交差積層物。
実施態様18: それぞれが熱可塑性ポリマー物質からなる少なくとも二つの配向プライAとBを含む交差積層物の製造法で、それぞれのプライを数段階で一方向に優勢に二軸配向し、Aをラミネーション層を介してBと熱融着し、それにより全体が弱い接着、接着と非接着とのパターンまたは比較的強い接着と比較的弱い接着の交互パターンを形成し、それによりAとBそれぞれはフィルム表面に分布した約2mmより大きくない分画の直線状に並んだ隆起部を含み、それぞれが二つの隣接する隆起部の平均体積が50%以下の体積を有するより薄い線形ウエブと一体に連結され、延伸操作終了により二軸配向が得られた後、隆起部と隣接の薄い領域の間は該隆起部の最も厚い部分と該ウエブの最も薄い部分間のプライ厚さ平均の場所であり、各隆起部の主断面部は十分に一軸配向され、Aの優先的な配向方向を得て、積層物領域での均一分布においてしたAとBのより薄い線形ウエブ領域の少なくとも50%が、接着が手による屈曲摩擦を繰り返すことで除去でき、且つ大部分の各隆起部と隆起部との接着が室温剥離測定による最も隣接する薄ウエブと薄ウエブとの接着で最も強力なものと少なくとも同じに強い、交差積層物製造法。
実施態様19: ラミネーション前にプライAをほぼ一軸の形で全体に長さ方向に延伸する一方、プライBを通常一軸の形で全体に横方向に延伸し、プライAを好ましくは円形溝を有するか又はロール半径に比べ低ピッチのらせん形溝を有するインターメッシュ溝付きロール間で部分的に横方向に延伸し、プライBを好ましくは軸又は僅かにらせん形状に延びる溝を有するインターメッシュ溝付きロール間で部分的に長さ方向に延伸し、AとBの該部分延伸をプライ全体の延伸前又は以後、又はプライ全体の延伸の二段階の間に行い、任意にプライA及び/又はBをラミネーション前に熱的に安定化する、実施態様18記載の方法。
実施態様20: ラミネーションの前に、チューブ形又はインフレーションチューブ形のプライAとBのそれぞれを、通常一軸の形で長さ方向に延伸し、インフレーションチューブ形プライをロール半径に比べ低ピッチの好ましくは円形溝を有するか又はらせん形溝を有するインターメッシュ溝付きロール間で部分的に横方向に延伸し、該部分延伸を全体延伸前、後又は全体の延伸の二段階の間に行い、延伸段階終了後任意にプライA及び/又はプライBを熱的に安定化し、次いでプライAとBをらせん状に切断して主配向方向がその長さ方向と角度を持つウエブを形成し、最後にAとBの主配向方向が互いに角度を持つように連続的にAとBのラミネーションを実施する、実施態様18記載の方法。
実施態様21: より薄い直線状のウエブがプライの長さ方向又は横方向へプライの部分延伸を行うインターメッシュ溝付きロールにより作成され、ロール溝表面の各クレストがプライのより薄い該直線状ウエブ生成に十分な鋭い二つのエッジを有する、実施態様18、19及び20のいずれか1項記載の方法。
実施態様22: 二つの該エッジがプライと溝付きロール間の接触をクレストエッジ部分に限るように突き出る、実施態様21記載の方法。
実施態様23: 溝付きロールを好ましくは約60から80℃に加熱し、ウエブをより低い温度、例えば20から45℃でこのロールに供給して溝付きロールクレストエッジ部分上のプライを選択的に加熱する、実施態様22記載の方法。
実施態様24: 溝付きロールのピッチが5mm以下、好ましくは約0.8から1.2mmの間であり、クレストの二つの該エッジの相互間距離が好ましくは約0.3から0.5mmの間であり、鋭いエッジの曲率半径が好ましくは20から50μmの範囲である、実施態様21,22及び23のいずれか1項記載の方法。
実施態様25: 部分延伸が第一の円形溝付きロール間での横方向の延伸であり、この部分延伸前か以後にプライを第二の円形溝付きロール間で第二の部分延伸にかけることを含み、該第二の溝付きロールが
a)各クレストに一つだけの延伸区域を作り、
b)操作条件下で第一溝付きロールと全く同じピッチを有し、
c)第二溝付きロールが第一溝付きロールの一つのクレストのエッジに形成の二つの延伸区域間に収まるか、又は連結するように第一溝付きロールと正確に位置合わせする、
実施態様21から24のいずれか1項記載の方法。
実施態様26: 各点又は直線状領域内でAとBのいずれかが互いに全体にわたり均一に接着するか、又は隆起部/より薄いウエブパターンに対応して、接着/非接着又は強い接着/弱い接着パターンに互いに全体にわたって接着する一方、積層物の残りの領域が非接着であるか又は20℃での剥離試験に基づく点又は直線状領域内での平均接着より弱く接着するように、ラミネーション装置、ラミネーション圧力及びラミネーション温度を点又は線形領域で接着が生じるように用いる、実施態様18から25のいずれか1項記載の方法。
実施態様27: 一つ又は複数の該接着層をA及び/又はBに共押し出しする、実施態様18から26のいずれか1項記載の方法。
実施態様28: 該接着層が押し出しラミネーションプロセスにより適用される、実施態様18から26のいずれか1項記載の方法。
実施態様29: ラミネーション層をプライAとプライBに一列に近接した間隔をおかれた並ぶ密集した細長い断片形に共押し出しし、任意に該断片とプライ残部の間に第二の連続ラミネーション層と共に共押し出しすることで、点又は直線状領域の接着パターンを得、それにより最終積層物でA断片がB断片と角度を持つ一方、ラミネーション装置を用いてプライを全体にほぼ均一な温度でラミネートし、各点又は直線状領域内でAとBのいずれかが互いに全体にわたり均一に接着するか、又は隆起部/より薄いウエブパターンに相応して、接着/非接着又は強い接着/弱い接着パターンに接着する一方、ラミネートの残りの領域が非接着であるか又は20℃での剥離試験に基づく該点又は直線状領域内での平均接着より弱く接着するように、一つ又は複数の該ラミネーション層、ラミネーション温度及びラミネーション圧力が適用される、実施態様27記載の方法。
実施態様30: 一軸配向を行う温度で、隆起部での一軸配向度が、最終交差積層物の遅い引き裂き伝播時にプライAとBのそれぞれが、引き裂きが伝わる場所で解繊する代わりに再配向するように制限する、実施態様18から29のいずれか1項記載の方法。
実施態様31: 加熱ラミネーション時又は以後に、積層物を主配向方向の少なくとも一つに沿って収縮させるかまたは収縮を許容する、実施態様18から30のいずれか1項記載の方法。
実施態様32: 延伸段階とラミネーション段階の間でAとBのより薄いウエブを熱風加熱により選択的に安定化し、隆起部を冷却表面と接触してより低い温度を維持し、安定化が、該収縮時に緩みを生ずるかまたは強めるように、例えばウエブが加熱中に一部溶融する程度に行う、実施態様31記載の方法。
実施態様33: 熱風で加熱し、積層部を冷却ロールと接触して積層物の残りの領域を冷却して、積層物に生じた緩みを除く、実施態様18から31のいずれか1項記載の方法。
実施態様34: プライA及び/又はプライBに適切な粉末を混合するか及び/又は延伸段階の条件選択により内部微少空隙を与えることを含み、空隙により、より薄いウエブに孔を開け交差積層物を通気性にする程度に与えられる、実施態様18から33のいずれか1項記載の方法。
実施態様35: プライA及び/又はプライBが主として高分子量又は中高分子量のHDPE又はPPからなり、一つ又は複数の該プライ隆起部方向の大部分の固相での配向を50℃付近又はより低い温度で実施する、実施態様18から34のいずれか1項記載の方法。
実施態様36: 微細穿孔を持つ積層物を供給する、実施態様18から35のいずれか1項記載の方法。
実施態様37: 接着層が溶融範囲が大きく異なる二種以上の相溶性ポリマーブレンドとして選択され、該ブレンドポリマーのより低い溶融が各プライ主要部で生ずる配向を妨げない温度で溶融を開始し、ブレンド比とラミネーション温度を層剥離抵抗と引き裂き伝播抵抗の間の望ましいバランスが得られるように選択する、実施態様18から36のいずれか1項記載の方法。
実施態様38: 一つ以上の段階で融点範囲以下で熱可塑性ポリマー物質からなるフィルムを、延伸前又は以後或いはこれの二つの段階の間に、各ロール半径に比べ低ピッチの円形溝又はらせん状溝を有するインターメッシュ溝付きロール間でこのフィルムを部分的に横方向に延伸し、ほぼ一軸方向で長さ方向に延伸する方法で、溝付きロール溝表面の各クレストが二つのエッジを有し、そのエッジがプライ中のより薄いウエブ材の一つの直線状部分を延伸することにより生成するのに十分鋭い、フィルムの長さ方向の延伸方法。
実施態様39: プライと溝付きロール間の接触をクレストのエッジ部分に限定するために、2つのエッジが突き出ている、実施態様38記載の方法。
実施態様40: 溝付きロールを例えば約60から80℃に加熱し、ウエブをより低い温度、例えば約20から45℃でこのロールに導入して、溝付きロールのクレストエッジ部分上のプライを選択的に加熱する、実施態様39記載の方法。
実施態様41: 溝付きロールのピッチが5mm以下、好ましくは約0.8から1.2mmの間であり、クレストの二つの該エッジの相互間距離が好ましくは約0.3から0.5mmの間であり、鋭いエッジの曲率半径が好ましくは20から50μmの範囲である、実施態様38,39及び40のいずれか1項記載の方法。
実施態様42: 部分延伸が第一の円形溝付きロール間で横方向に延伸する方法で、この部分延伸前または後にプライを第二の円形溝付きロール間で第二の部分延伸にかけ、該第二の溝付きロールが、
a)各クレストに一つだけの延伸区域を作り、
b)操作条件下で第一の溝付きロールと全く同じピッチを有し、
c)第二の溝付きロールにより形成された延伸区域が第一の溝付きロールの一つのクレストびエッジに形成された二つの延伸区域間に収まるか又はそれと連結するように、第一の溝付きロールと正確に位置合わせをする、
実施態様38から41のいずれか1項記載の方法。
実施態様43: 機械方向にほぼ直角な方向に材料を延伸するための、円形溝又はらせん形溝を有する一対のインターメッシング延伸溝付きロールを含む熱可塑性プライの部分的横方向の延伸装置であって、延伸溝付きロールの少なくとも一つの溝表面の各クレストが二つの鋭いエッジを有し、その上でプライが延伸される、部分的横方向の延伸装置
実施態様44: 両方のインターメッシング延伸溝付きロールのクレストが二つの鋭いエッジを有する、実施態様43記載の装置。
実施態様45: 二つのエッジが突き出ている実施態様43又は44記載の装置。
実施態様46: 延伸ロールを好ましくは表面温度約60から80℃に加熱する実施態様43又は44記載の装置。
実施態様47: 延伸溝付きロールのピッチが0.8から1.2mmの範囲であり、クレストの二つの該エッジ間の距離が0.3から0.5mmの範囲である、実施態様43から46のいずれか記載の装置。
実施態様48: 一対の第二の横方向の延伸インターメッシュ溝付きロールをさらに含み、各クレストに単一延伸帯域を作り、操作条件下で一対の第一の溝付きロールの溝と全く同一ピッチを有し、一対の第二の延伸溝付きロールを通るプライの延伸帯域が、一対の第一の溝付きロールにプライの通過により形成される延伸帯域間に収まるか、又はそれと連結するように、一対の第一の延伸溝付きロールと正確に位置合わせする、実施態様43からから47のいずれか1項記載の装置。
実施態様49: 各ロールが少なくとも長さ1mから好ましくは長さ3m迄であり、各溝付きロールが同軸に取り付けられたサブロールから形成される、実施態様43から54のいずれか1項記載の装置。
実施態様50: 鋭いエッジが電解研摩工程を含む方法で処理される、実施態様43から49のいずれか1項記載の装置。
実施態様51: 鋭いエッジが曲率半径約20から50μmの範囲である、実施態様43から50のいずれか1項記載の装置。
本発明の更なる詳細は付随図面と図面についての以下の説明に見られる。
【0060】
図1では二つの“半解繊”プライの最初の一つに隆起部(1)を形成する。第二の“半解繊”プライで隆起部(2)が形成され、破線(3)によりこの二つのプライ間の境界を示す。隆起部(1)に垂直な面から見た場合、第一プライは通常本顕微鏡写真の第二プライのように見られること理解する必要がある。全ての隆起部はその長さ方向に比較的強く配向する。実施例で現されるように各プライは、中間がHDPE、積層物表面を形成する表面がLLDPE、
融着層を形成するメタロセンLLDPEと標準的LLDPEからなる共押し出しの三層フィルムである。しかし顕微鏡写真では二つのフィルムが三層であることは示されず、又破線(3)で示した
融着相も示されない。この顕微鏡写真が示す四領域(4)の内三つは緩み又はループを形成し、上に記載して請求したように本特性は交差積層物の引き裂き伝播抵抗に重要で好ましい効果を有する。しかし必要ならより薄いウエブを選択的に加熱して緩み効果を除去できる。
【0061】
図2では非
融着空間が幅広くなっている。これはより薄いウエブの過剰延伸により都合よく行える。幅広くすることはウエブ(4)より厚いが隆起部Xより薄い隆起部Yを用いて得られる。各ウエブ(4)は1つの隆起部Xと1つの隆起部Yに隣接する。
図10に関連して説明するように異なる厚さの線形パターンが得られ、積層物の残留領域は実質的に非
融着に保ちながら、プライAのほぼ全隆起部XのプライBの隆起部Xへの
融着が、ラミネートロール表面硬度の適切な選択と適切なロール圧により得られる。緩み状態のウエブ(4)と隆起部Yが示されているが、熱処理により真っ直ぐにできる。
【0062】
図3の有利な
融着系の略図では、縦線はプライAの隆起部/より薄いウエブ間の描写を示し、横線はプライBの同様の描写を示す。これらの線は交差積層物の機械方向/横方向に従う必要はないが、例えばこれら方向に対して角度45度であっても良い。更にここに示すようにプライAのウエブと隆起部はプライBのウエブと隆起部に垂直に延びる必要はない。反対にエンボスパターンの2方向、その結果AとBの主配向方向が互いに角度約55から65度をなす場合、通常最も良い全方向引き裂き伝播抵抗が見られる。ここでは単純化のために2配列の直交配列パターンを選んだ。隆起部と隆起部との交点は黒塗り四角(101)と点印付き四角(102)を含む。残りの四角は以下に説明するようにウエブとウエブとの配置又はウエブと隆起部との配置を現す。
【0063】
融着系1:
ラミネーションロールの表面硬度とロール圧の調節で得られる、四角(101)と四角(102)との
融着と、残りの四角での非
融着。実施例1(
図1参照)と実施例2で構築。
【0064】
融着系2:
ラミネーションロールの表面硬度とロール圧の調節で得られる、四角(101)と四角(102)との
融着と、残りの四角でのより弱い
融着。実施例4で構築。
【0065】
融着系3:
四角(101)での
融着と残りの四角での非
融着。これはプライAとBがそれぞれ隆起部間で幾つかの交点を含むような突起部を加熱加圧して、一つ又は両方のラミネーションロール上で適切なエンボスパターンを得るか、又はWO03/074264に開示のようにプライAとプライB上へ近接して間隔がおかれた細長い断片配列形状のラミネーション層を共押し出しすることにより得られる。実施例3で構築。
【0066】
融着系4:
四角(101)での比較的強い
融着、四角(102)でのより弱い
融着及び残りの四角での類似の
融着又は非
融着。これは又好ましくはWO03/074264に開示の上記の共押し出し法で得られるが、この場合共押し出しフィルムは(該出願で又開示されるように)、細長い断片形状の強く
融着した層と、細長い断片と共押し出しフィルムの主要層間の弱い
融着の
融着した連続ラミネーション層の二つのラミネーション層を含む必要がある。
【0067】
融着系5:
実施例5に於ける、四角(101)とこれら四角に直接隣接した四角のみの
融着。これは
融着系3と同様の方法で得られるが、ラミネーションロール表面硬度及び/又はロール圧は四角(101)に隣接する薄いウエブを
融着するように適合される。
【0068】
本主要略図では
融着又は強い
融着の各グループ内で交点(101)の九つだけが示されている。しかしプライAとB上の各隆起部幅は最も好ましくは約0.05から0.2mmで、これらグループでのそれぞれの直線寸法は目安としては約1から5mmなので、各グループでの交点(10)の数は示したより遙かに多いことが明らかである。例えば各グループ内のこの交点は約500以上であっても良い。
【0069】
特にプライの厚さが非常に小さい、例えば約0.01mmであり、同時により薄いウエブ全てが
融着されないままにする必要がある場合、ラミネーションロール表面硬度とロール間圧の選択が多くの場合重大であることが上記のことから分かる。このような場合両ロール上に鋼鉄表面をラミネートする必要さえある。この場合や他の場合に通常1m以上のプライ全幅に均一ロール圧を印加することは又解決すべき問題である。
図4にこれに対する実際的な解決を示す。一つの中央ロール(104)を用い、これの反対側に軸(107)で連結した部分からなる二つのロール(105)を設置する。例えばここで矢印(109)で示した圧縮空気手段又は油圧手段により中央ロールに付勢されたベアリング(108)を各軸が備える。熱水又は油(図示していない)の循環手段を又備えても良い。
【0070】
図5と6の工程図に従う工程は既に一般的な説明において説明した。
図7を参考にして部分横方向延伸をもたらす相互インターメッシュ溝付きロール(112)と(113)は、比較的鋭いエッジ(115)を有する円形歯(断面では平面に見える)上に平なクレスト(114)を有する。部分延伸はこれらのエッジで始まり薄い連続ウエブ(116)に広がる。より厚い材料、隆起部が円形歯の平らなクレスト(114)に維持されるようにこのインターメッシングを制限する。
【0071】
非常に高いロール表面製造の精度が必要であり、ロール外側部分を短い部分で作成することが非常に望ましい。“鋭いエッジ”の曲率半径も重要である。曲率半径は共押し出しフィルムの物性に依存するが、通常約20から50ミクロメーター範囲内である必要がある。この曲率を比較的正確に調節できる適切な工業的方法は、先ずそのエッジを非常に鋭く作成し、次いで電解研摩により丸くし、最後に電解クロムメッキを行うことである。これらの電解プロセスはもちろん正確に決められた条件下で行う。
【0072】
図7に隆起部幅にほぼ等しいより薄いウエブ幅が示されている。常とは限らないが、通常最終製品のより薄いウエブは製品に良好な安定性を得るには隆起部より狭い必要があることが好ましい。しかし
図7にはインフレーションチューブ状フィルム断面が示され、テンターされ、溝付きロールを離れた時には薄い領域幅が減少する。
溝付きロールの円形歯上に比較的鋭いエッジを作成する目的は、エンボスパターンを特に微細にするためである。このエンボスの精度は
図8に示す歯のプロフィルにより高められる。ここでクレストは断面で分かるように平らではない凹型を有し、そのエッジはエッジ間のクレストの一部を超えて半径方向に突き出す。
【0073】
図9では
図9の二つのロールと類似の二つの溝付きロール(112)と(113)を加熱して、突き出しエッジ(115)上でより薄いウエブ形成を容易にし、且つその厚さがより良く制御出来るようにされることが理解される必要がある。滑らかな丸いクレスト(111)を有する第三の溝付きロール(110)を加える。三つの溝付きロールを小型形状で示し、各ローラーの対角線上の二つの部分とその中心線(112a)、(113a)及び(110a)のみを示す。
ロール(112)及び(113)は例えば70から90℃に加熱され、ロール(110)はもっと低温、例えば約20℃に維持する。三つの溝付きロールは操作条件下では正確に同一ピッチ、即ち室温ではロール(112)と(113)はロール(110)のピッチより小さいピッチを有する必要がある。このローラー配置は以下のように操作する。
【0074】
プライは暖かい突き出しエッジ(115)と接触するプライ部を部分延伸に選んだ温度に加熱するに十分な距離だけロール(112)上を移動する。ロール(112)の溝表面がロール(113)溝表面とかみ合った場合にこれが起こる。この時点でロール(113)の突き出しクレストのエッジと接触するプライ部分は加熱されていないので延伸されないか、又は僅かだけ延伸される。これらプライ部分はロール(113)に続き加熱され、ロール(113)クレストがロール(110)の冷たい滑らかなクレストとかみ合った場合に延伸される。ロール(112)と(113)及びロール(113)と(110)間のかみ合わせは全ウエブ幅に出来るだけ等しくなるように調節する必要がある。
【0075】
図10に二つの“位置あわせ”された組の溝付きロールを
図9の三つのロールと同様にコンパクトに示す。ロール(112)と(113)は
図8の二つのロールと同様であるが、ロール(119)は各円形歯クレストに、即ち歯中央に一つの比較的鋭いエッジ(120)のみを有する。ロール(118)と(119)の歯は互いにかみ合い、それぞれが一つの延伸領域(薄ウエブ)を形成し、二対の溝付きロールはロール(119)の各歯中央がロール(112)の歯中央と殆ど接触するように“位置あわせ”されている。
図8bでは位置あわせは破線(121)で示す。後者の製造における溝付きロール間の正確な位置あわせ確保手段はWOA02−102592で公知である。この位置あわせされた横方向の延伸の結果、フィルムはロール(112)と(113)の各クレストに対応する二つの隆起部(122)を形成し、その結果更に微細なエンボスパターンが得られる。
【0076】
ロール(112)と(113)はロール(118)と(119)下流に設置でき又その逆に、即ち前者を後者の上流に設置できる。これは二つの選択肢の内一つを選んだ押し出し溶融配向フィルムの物性に依存する。
【0077】
しかしロール(118)と(119)クレストの先端(120)が滑らかな円形に出来ている場合、溝付きロール配置を用いて
図2に示す構造物を製造できる。比較的薄い隆起部Yが円形先端(120)に形成される。
【0078】
実施例1
以下の構成の60ミクロメーター厚さの三層チューブ状フィルムを押し出す。
中間層、全体の80%;HDPEでメルトフローインデックス(m.f.i.)= 0.2、密度=0.994gml
−1
外面層−ラミネーション層、全体の10%:50%アフィニティ(Affinity)8770(メタロセンでメルトフローインデックス=1.0)
内面層=全体の10%:LLDPEでメルトフローインデックス=1
ブロー比=1:1:1
長さ方向ドローダウン比=30:1
【0079】
一軸溶融配向チューブ状フィルムを
図7に示すように、ピッチ1.2mmでクレストの鋭いエッジと鋭いエッジの間の距離0.3mmの溝付きロール間で40℃(室温)で半解繊する。下流の溝付きロールは上流の溝付きロールより5%速く動く。このような僅かな速度差によりエンボス(部分延伸)を均一に出来ることがごく一般的に見いだされた。これら溝付きロールに直ぐ続いてチューブ状フィルムを丸いクレストを有する一対のピッチ15mmで、いずれの追加部分延伸を行うことなしに微細ひだをより粗いひだに移行するように調節した、インターメッシング運転溝付きロールを通す。部分延伸が長さ方向の延伸前に起こる場合、これが又製品が均一になるのを一般に助けることが分かった。一般的な説明で記載したように、長さ方向の延伸は好ましくはプリーツ状で開始されるが、非常に微細なひだは延伸ロールへのルートで変化し、より不規則で粗いひだを形成しやすいことが分かった。
【0080】
粗いが均一なひだ付きチューブ状フィルムが、上記温度40℃に保ちフィルム延伸比を2:4:1に調節した一連の円滑運転ロール上を進行する。このユニットから一連の安定化ロールに進み、何らの追加延伸なしで90℃で安定化し、水冷ロールで約20℃に冷却し、最後に巻き取る。
【0081】
別のプロセス系列では隆起部と薄ウエブを有する配向チューブ状フィルムを角度45度でらせん状に切断し、第三の別プロセス系列では、このらせん状に切断されたフィルム2枚を約100℃で加圧下に交差ラミネートする。ロール間隙上流での収縮は避けられ、積層物がこのニップから離れると許容される。ラミネーション圧を構造物を崩壊することなしに最大引き裂き伝播抵抗を得るように低い値に調整する。これにより積層物は全体にわたり比較的強く隆起部と隆起部で
融着する。
【0082】
又主として長さ方向に配向したフィルムの一部を用いて、プライAが機械方向に配向し、プライBが横方向に配向した形の交差積層物が作られた。このプライBを実験用目的で簡単に作成するには、主として長さ方向配向フィルムを比較的短い長さに切断し、幾つかのこの長さのものを一緒に熱融着して横配向にする。プライAとプライBを一緒にラミネートし、次いで上記の45度の切断フィルム試料と同じ装置と同じ処理条件で収縮させる。生成構造物は
図1の顕微鏡写真に見られる。
【0083】
ラミネーションと収縮を
図11に示す実験室装置で実施した。次に更に詳細に説明する。
【0084】
プライAとBはアイドルロール(10)上を一緒に移動し、ラミネーションロール(12)と(13)へ輸送中でしわが寄るのを避ける機能を有するアイドリングトランスファーロール(11)を通り越す。ロール(12)は鋼鉄ロールであるが、ロール(13)はショアA硬度約70のゴムでコーティングされる。両ロールを加熱し、AとBの“サンドイッチ”を所望ラミネーション温度、本実施例では前述のように約100℃で与える。AとBはロール(12)と(13)間のニップでラミネーション圧を受ける前にロール(12)に進むまでの距離を調節して、ニップに至る前に最小収縮により弱く
融着させる。ラミネーション後、AとBは比較的長い距離にわたって熱ロール(12)を進み、更に加熱され両方向に収縮する。積層物はアイドリングトランスファーロール(14)を通りリール(15)に巻き取られる。巻き取り張力は出来るだけ低くし、所定の加熱条件で最大限の収縮を可能にする。
融着系は
図3の記載で
融着系1と呼ばれるものである。
【0085】
実施例2
以下の構成の約0.15mm厚さの二層チューブ状フィルムを押し出す。
主層、全体の約80%
HDPEのメルトフローインデックス(m.f.i.)=約0.2、密度=約0.95gml
−1
外面層=ラミネーション層、全体の約20%:溶融開始が約95℃のエチレンコポリマー、
ブロー比=1:2:1
【0086】
インフレーションチューブ状フィルムを、加熱による緩和および安定化の後に測定した比で、約3:1に約30℃で長さ方向に延伸する。この延伸は公知の技術により非常に狭い間隔の延伸ロール間で数段階で行う。延伸後のフィルムゲージは0.040mmと測定された。この冷延伸チューブ状フィルムは本実施例と実施例3で作成された全ての交差積層物試料に用いる。
【0087】
比較実験を以下のように行う。
a) 長さ方向に延伸インフレーションチューブ状フィルムを“半解繊”し、角度45度にらせん状に切断し、次いで交差ラミネートする、
b) フィルムが“半解繊”していない以外はa)と同じ手順、
c) 手順a)のようではあるが、切断角度は本発明者が通常好む63度、
d) フィルムが“半解繊”していない以外はc)と同じ手順。
【0088】
“半解繊”(溝付きロール間の部分延伸)は実施例1に記載のように実施するが、実施例1では半解繊を長さ方向冷延伸の前に実施し、本実施例および次の実施例では長さ方向の冷延伸の後に実施する。ラミネーション時のフィルム温度が少し高い、即ち1050℃である以外は、ラミネーションと収縮を実施例1で説明したように実施する。
融着系は本明細書で
融着系1と呼ばれるものである。
【0089】
処理条件と試験結果の詳細は実施例5の後に記載した表に見られる。ここで“半解繊”された試料と“非半解繊”の試料の比較は、修正タング引き裂き試験で測定した引き裂き伝播抵抗に基づく。ASTM法に比べての修正点は、より高速な引き裂き速度(表参照)と試験片サイズの相違である。即ちサンプルの大きさは、100mmx100mmで切り込み深さ30mmである。表に見られる引き裂き試験結果は、“半解繊”で作成したより薄いウエブに顕著な好ましい効果を示す。これに加えて“非半解繊”試料は非常に強いカーリングの傾向を示すが、“半解繊”試料は実質的にこの傾向を示さない。最後に“半解繊”試料は隆起部とより薄いウエブとで微少空隙が異なる外観を示すため、洗練された織物様模様を示す。この織物様外観は比較的弱いのが好ましいかもしれないが、顕著な織物様を望む場合には押し出し工程で顔料を添加することにより得られる。
【0090】
顕微鏡で断面を調べると、薄ウエブの厚さは隣接隆起部厚さの平均で30%であり、薄ウエブの幅は隣接する隆起部の幅の平均で30%であり、その結果ウエブ
断面積は隆起部
断面積の約9%であることが示される。
【0091】
実施例3
これは
図3の記載で“
融着系3”と呼ばれる点
融着によりラミネーション工程が行われる以外、実施例2のように実施する。角度63度で切断したフィルムだけを張り合わせる。実施例2のように“半解繊”プライとの交差積層物と“非半解繊”プライとの交差積層物を比較する。
【0092】
ラミネーション/収縮工程及び装置は
図11が参照され、ロール(12)と(13)が点
融着するように適合される点で実施例1に記載のものと異なる。ラミネーションロール(12)はピッチ1.5mm、厚さ0.5mmで平らなクレストを持つ円形溝を有する溝付きロールである。ゴムでコーティングされたラミネーションロール(13)は溝付きロールであるが、ピッチ約1.5mm、厚さ約0.7mmで平らなクレストを持つ軸方向に伸びた溝を有する溝付きロールである。これらの歯の硬度はショアA硬度で約70である。
【0093】
ラミネーション時のプライ温度は105℃に調節する。ラミネート圧とラミネートフィルムがロール(13)で惹かれる力は低く保つ。
【0094】
比較実験は以下のように選ぶ。
e) 長さ方向配向インフレーションチューブ状フィルムを“半解繊”し、63度にらせん状に切断し、次いで交差ラミネーションする。
f)フィルムが“半解繊”されていない以外はe)と同じ手順。
【0095】
プロセスの更なる詳細と、高速引き裂きでの引き裂き伝播抵抗の形での比較試験結果は、実施例5の後に示した表に見られる。又本実施例では“半解繊”試料は、この点で“非半解繊”物より明らかに非常に強い。薄ウエブと隆起部の大きさを顕微鏡で調べると、実施例2で見られる大きさに等しい。
【0096】
実施例4
本実施例では本発明に従う非常に薄い交差積層物の製造を示し、
図3の記載で“
融着系2”と呼ばれる
融着系を用いる。
押し出しチューブ状フィルムの厚さは0.015mmにしか過ぎない。
組成
主層、全体の60%;
HDPEの密度(d)=0.95及びメルトフローインデックス(m.f.i)= 0.2
内面層=(熱融着層)全体の20%:LLDPEのメルトフローインデックス=1.0
外面層(ラミネーション層)、85%;LLDPE(m.f.i=1.0)+15%メタロセンLLDPE(m.f.i=1.0)
【0097】
このメタロセンLLDPEは融点範囲約50から60℃を有する。押し出し時のブロー比は約2:1でドローダウン比は約40:1である。インフレーションチューブは最初微細プリーツが供給されるラインで長さ方向に延伸される。この“ひだ延伸”は一般説明で記述した。より重いロールで支えられた直径約30mmに過ぎないゴムでコーティングされたロール間で延伸される。
この延伸後このチューブ状フィルムは実施例2と3そのままに“半解繊”し、次いで角度63度でらせん状に切断する。
【0098】
図12に示す装置を用いて別の第一ラミネーション工程として収縮なしのラミネーションを実施し、
図11に示す装置を用いて後ラミネーションと収縮工程を実施する。
【0099】
図12の装置は
図11のものとは、空気取り込みを避けプライが熱ロール(12)と良く接触するように作用するゴムでコーティングされた非加熱の第一ラミネーションカウンターロール(16)を有する点で異なる。ロール(16)は圧縮空気手段(17)でロール(12)に穏やかに押圧される。
【0100】
積層物の最終ゲージ:19μm
本実施例ではラミネーション時のフィルム温度は不規則な収縮を避けるために70℃に過ぎない。
図11の装置によるラミネーション(即ち強い
融着)後、積層物を約90℃に加熱する。この工程の更なる詳細は表に見られる。製造した交差積層物は平均ゲージ19μmを有する。
【0101】
顕微鏡で断面を調べると薄織物の厚さは隣接する隆起部の厚さの平均で25%であり、薄いウエブの幅は隣接する隆起部の幅の平均で20%で、従って薄ウエブの
断面積は隆起部
断面積の約5%である。
【0102】
実施例5
本実施例では本発明に従う同様の薄い交差積層物の製造を示し、
図3の記載で“
融着系5”と呼ばれる
融着系を用いる。
フィルム組成、押し出し条件及び“半解繊”に関しては、本実施例は実施例4と同様であるが、ラミネーションを
図11の装置で実質的に収縮なしで約70℃で実施した。
【0103】
後ラミネーションと後収縮は用いなかった。あまり強くないがあまり弱くもない適切な
融着強度を得るために、実施例4では15%の共押し出しラミネーション層のメタロセンLLDPE含量を、本実施例では30%に増加した。
積層物の最終ゲージ:19μm
薄いウエブと隆起部の大きさを顕微鏡で調べると、実施例4で見られる大きさと等しかった。
【0104】
引き裂き結果の表
m.d.=機械方向、 t.d=横方向. d.d.=対角線方向
a)切断角度45度、非“半解繊”、平坦なラミネーションロール、最終ゲージ0.08mm
b)切断角度45度、“半解繊”、平坦なラミネーションロール、最終ゲージ0.06mm
c)切断角度63度、非“半解繊”、平坦なラミネーションロール、最終ゲージ0.08mm
d)切断角度63度、“半解繊”、平坦なラミネーションロール、最終ゲージ0.06mm
e)切断角度63度、非“半解繊”、波形ラミネーションロール、最終ゲージ0.08mm
f)切断角度63度、“半解繊”、波形ラミネーションロール、最終ゲージ0.06mm
引き裂き速度:一秒当たり15cm
改良%の計算は“半解繊”によるゲージ減少の25%が考慮された。
【0105】
【表1】
【0106】
延伸および収縮測定の表
パーセントは記載処理段階前の延伸フィルムの大きさに対する。
収縮延伸測定の表
【0107】
【表2】