特許第6085177号(P6085177)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6085177
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】無線端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20170213BHJP
   H04W 72/12 20090101ALI20170213BHJP
【FI】
   H04W72/04 111
   H04W72/12 150
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-6773(P2013-6773)
(22)【出願日】2013年1月17日
(65)【公開番号】特開2014-138337(P2014-138337A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
(72)【発明者】
【氏名】秋元 陽介
(72)【発明者】
【氏名】王 暁秋
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊明
(72)【発明者】
【氏名】小西 聡
【審査官】 石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−501454(JP,A)
【文献】 特開2011−142638(JP,A)
【文献】 NTT DOCOMO, INC.,Necessity of C-plane architecture enhancements for dual connectivity[online],3GPP TSG-RAN WG2#81 R2-130488,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_81/Docs/R2-130488.zip>,2013年 1月18日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数帯域を利用して無線基地局装置と同時に通信する無線端末装置において、
前記無線基地局装置ごとに、送信される予定のパケット量を報告するバッファ状態レポートを作成するバッファ状態レポート作成部を備え
前記無線基地局装置ごとに送信バッファを設け、
前記各無線基地局装置に対応するバッファ状態レポートは、前記各無線基地局装置に対応する送信バッファに溜まっているパケット量を示
上位レイヤから受信したパケットを、制御プレーンのパケットか又はユーザプレーンのパケットかで区別して所定の前記送信バッファへ振り分けて出力するパケット振り分け部をさらに備える、
無線端末装置。
【請求項2】
複数の周波数帯域を利用して無線基地局装置と同時に通信する無線端末装置において、
前記無線基地局装置ごとに、送信される予定のパケット量を報告するバッファ状態レポートを作成するバッファ状態レポート作成部を備え
前記無線基地局装置ごとに送信バッファを設け、
前記各無線基地局装置に対応するバッファ状態レポートは、前記各無線基地局装置に対応する送信バッファに溜まっているパケット量を示
上位レイヤから受信したパケットを、前記各送信バッファに滞留しているパケット量に応じて、適応的にいずれかの前記送信バッファへ振り分けて出力するパケット振り分け部をさらに備える、
無線端末装置。
【請求項3】
複数の周波数帯域を利用して無線基地局装置と同時に通信する無線端末装置において、
前記無線基地局装置ごとに、送信される予定のパケット量を報告するバッファ状態レポートを作成するバッファ状態レポート作成部を備え
前記無線基地局装置ごとに送信バッファを設け、
前記各無線基地局装置に対応するバッファ状態レポートは、前記各無線基地局装置に対応する送信バッファに溜まっているパケット量を示
上位レイヤから受信したパケットを、無線レイヤの無線チャネル品質に応じて、適応的にいずれかの前記送信バッファへ振り分けて出力するパケット振り分け部をさらに備える、
無線端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準化作業が進められているLTE(Long Term Evolution)と呼ばれる無線通信方式では、多元接続方式として、基地局から端末へ向かう方向の回線(下りリンク)にOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式を用い、端末から基地局へ向かう方向の回線(上りリンク)にSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)方式を用いる。その伝送速度は、1.4MHz〜20MHzの帯域を用いて、下りリンクで最大300Mbps程度を、また上りリンクで最大75Mbps程度を実現できる。
【0003】
そして、更なる周波数利用効率及びピークデータレートの向上などを目的として、LTEアドバンスト(LTE-Advanced)と呼ばれるLTEの後継のシステムが検討されている。LTEアドバンストシステムでは、LTEシステムが使用可能な帯域幅のコンポーネントキャリア(CC:Component carrier)を複数同時に使用するCA(Carrier aggregation)が採用されている。
【0004】
また、図3に例示される無線通信システムが検討されている(例えば、非特許文献1参照)。図3の無線通信システムでは、無線端末装置300が、異なる場所に設置された複数の無線基地局装置100、200との間で、異なる周波数f0、f1を使用して同時通信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】NTTドコモ、RWS-120010、“Requirements, Candidate Solutions & Technology Roadmap for LTE Rel-12 Onward”、3GPP Workshop on Release 12 and onwards、2012年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した図3に例示される無線通信システムにおいては、無線端末装置300の送信バッファの状態を無線基地局装置100、200に報告する方法が課題である。無線端末装置300の送信バッファには、無線基地局装置100に送信するパケットと無線基地局装置200に送信するパケットとが格納される。この送信バッファに格納されているパケット量を無線基地局装置100、200の両方に報告する場合、各無線基地局装置100、200では実際に自己に送信されるパケット量とは異なるパケット量が報告される可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、複数のCCを利用する無線通信システムにおいて、複数のCCを利用して無線基地局装置と同時に通信する無線端末装置の送信バッファの状態を効率的に無線基地局装置に報告することができる無線端末装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る無線端末装置は、複数の周波数帯域を利用して無線基地局装置と同時に通信する無線端末装置において、前記無線基地局装置ごとに、送信される予定のパケット量を報告するバッファ状態レポートを作成するバッファ状態レポート作成部を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る無線端末装置においては、前記無線基地局装置ごとに送信バッファを設け、前記各無線基地局装置に対応するバッファ状態レポートは、前記各無線基地局装置に対応する送信バッファに溜まっているパケット量を示す、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る無線端末装置においては、前記各無線基地局装置に共通の送信バッファを設け、前記各無線基地局装置に対応するバッファ状態レポート作成部は、前記共通の送信バッファに溜まっている、前記各無線基地局装置に対応するパケット量を示す、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のCCを利用する無線通信システムにおいて、複数のCCを利用して無線基地局装置と同時に通信する無線端末装置の送信バッファの状態を効率的に無線基地局装置に報告することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る無線端末装置1の概略構成図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る無線端末装置2の概略構成図である。
図3】無線通信システムの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態では、無線通信方式の一例としてLTE及びLTEアドバンストを挙げて説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線端末装置1の概略構成図である。図1において、無線端末装置1は、パケット振り分け部11とバッファ部12と無線パケット振り分け部13とバッファ状態レポート作成部14を備える。
【0015】
無線端末装置1は、複数のCCを利用して無線基地局装置と同時に通信することができる。バッファ部12は、無線基地局装置に対応して設けられる。バッファ部12は、一無線基地局装置に対して、一つだけ設けられてもよく、又は複数設けられてもよい。一無線基地局装置が複数のCCを利用可能である場合には、無線基地局装置とCCの組に対応してバッファ部12を設けてもよい。
【0016】
パケット振り分け部11は、上位レイヤ(図示せず)から受信したパケットを、所定の振り分け規則に従って、いずれかのバッファ部12へ出力する。振り分け規則の例(1)〜(4)を以下に示す。
【0017】
(1)制御プレーン(C-Plane:Control-Plane)のパケットか、ユーザプレーン(U-Plane:User-Plane)のパケットかで区別して、パケットを所定のバッファ部12へ振り分ける。
【0018】
(2)パケットが属するベアラサービス(bearer service)が要求するQoSに応じて、パケットを所定のバッファ部12へ振り分ける。
【0019】
(3)各バッファ部12に滞留しているパケット量(パケットのサイズ)に応じて、パケットを適応的にいずれかのバッファ部12へ振り分ける。
【0020】
(4)無線レイヤの無線チャネル品質に応じて、パケットを適応的にいずれかのバッファ部12へ振り分ける。例えば、無線レイヤの無線チャネル品質で達成される無線チャネルごとの通信速度に応じてパケットを配分するように、パケットの振り分けを行う。
【0021】
パケット振り分け部11は、一つの振り分け規則を用いてもよく、又は、複数の振り分け規則を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
バッファ部12は、パケット振り分け部11から受信したパケットを格納する。バッファ部12は、スケジューラ(図示せず)から受信したスケジューリング指示に従って、自己で保持するパケットから無線パケットを生成し、該無線パケットを無線パケット振り分け部13へ出力する。バッファ部12は、自己のバッファ状態を示すバッファ状態情報Aをバッファ状態レポート作成部14へ出力する。バッファ状態情報Aは、バッファ部12に溜まっているパケット量を示す情報を含む。
【0023】
無線パケット振り分け部13は、バッファ部12から受信した無線パケットを、宛先の無線基地局装置に対応する下位レイヤ(図示せず)に出力する。
【0024】
バッファ状態レポート作成部14は、各バッファ部12から受信したバッファ状態情報Aを用いて、バッファ状態レポート(BSR:Buffer status report)を作成する。BSRは、無線基地局装置ごとに作成される。一無線基地局装置が複数のCCを利用可能である場合には、無線基地局装置とCCの組ごとに、BSRを作成してもよい。
【0025】
バッファ状態レポート作成部14は、バッファ状態情報Aが示すパケット量を示すBSRを作成する。バッファ状態レポート作成部14は、一無線基地局装置に複数のバッファ部12が対応する場合には、該複数のバッファ部12のBSRを用いてBSRを作成する。バッファ状態レポート作成部14は、作成したBSRを、宛先の無線基地局装置に対応する下位レイヤ(図示せず)に出力する。
【0026】
[第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態に係る無線端末装置2の概略構成図である。図2において、無線端末装置2は、パケット振り分け部21とバッファ部22と無線パケット振り分け部23とバッファ状態レポート作成部24を備える。無線端末装置2は、複数のCCを利用して無線基地局装置と同時に通信することができる。バッファ部22は、各無線基地局装置に共通に設けられる。
【0027】
パケット振り分け部21は、上位レイヤ(図示せず)から受信したパケットを、バッファ部22へ出力する。
【0028】
バッファ部22は、パケット振り分け部21から受信したパケットを格納する。バッファ部22は、スケジューラ(図示せず)から受信したスケジューリング指示に従って、自己で保持するパケットから無線パケットを生成し、該無線パケットを無線パケット振り分け部23へ出力する。バッファ部22は、自己のバッファ状態を示すバッファ状態情報Cをバッファ状態レポート作成部24へ出力する。バッファ状態情報Cは、バッファ部22に溜まっているパケット量を示す情報を含む。
【0029】
無線パケット振り分け部23は、バッファ部22から受信した無線パケットを、所定の振り分け規則に従って、いずれかの宛先の無線基地局装置に対応する下位レイヤ(図示せず)に出力する。振り分け規則の例(1)〜(3)を以下に示す。
【0030】
(1)無線パケットの元のパケットが制御プレーンのものか否かで区別して、無線パケットを所定の宛先の無線基地局装置に対応する下位レイヤへ振り分ける。
【0031】
(2)無線パケットの元のパケットが属するベアラサービスが要求するQoSに応じて、無線パケットを所定の宛先の無線基地局装置に対応する下位レイヤへ振り分ける。
【0032】
(3)無線レイヤの無線チャネル品質に応じて、無線パケットを元のパケットの単位で適応的にいずれかの宛先の無線基地局装置に対応する下位レイヤへ振り分ける。例えば、無線レイヤの無線チャネル品質で達成される無線チャネルごとの通信速度に応じてパケットを配分するように、パケットの振り分けを行う。
【0033】
バッファ状態レポート作成部24は、バッファ部22から受信したバッファ状態情報Cを用いて、BSRを作成する。BSRは、無線基地局装置ごとに作成される。一無線基地局装置が複数のCCを利用可能である場合には、無線基地局装置とCCの組ごとに、BSRを作成してもよい。
【0034】
バッファ状態レポート作成部24は、バッファ状態情報Cを用いて、所定のBSR作成方法に従ってBSRを作成する。BSR作成方法の例(1)〜(4)を以下に示す。
【0035】
(1)制御プレーンのパケットか、ユーザプレーンのパケットかで区別して、該プレーンごとに、パケット量を示すBSRを作成する。この場合、バッファ状態情報Cは、制御プレーンのパケット量とユーザプレーンのパケット量を示す情報を含む。
【0036】
(2)パケットが属するベアラサービスが要求するQoSごとに、パケット量を示すBSRを作成する。この場合、バッファ状態情報Cは、各QoSのパケット量を示す情報を含む。
【0037】
(3)無線レイヤの無線チャネル品質に応じてパケットを適応的にいずれかの宛先の無線基地局装置に振り分けるとし、宛先の無線基地局装置ごとに、パケット量を示すBSRを作成する。例えば、無線レイヤの無線チャネル品質で達成される無線チャネルごとの通信速度に応じてパケットを配分するように、パケットの振り分けりとする。
【0038】
バッファ状態レポート作成部24が使用するBSR作成方法は、無線パケット振り分け部23が使用する振り分け規則に対応する。
【0039】
バッファ状態レポート作成部14は、作成したBSRを、宛先の無線基地局装置に対応する下位レイヤ(図示せず)に出力する。
【0040】
上述した実施形態によれば、各無線基地局装置に応じたBSRを作成することができる。これにより、複数のCCを利用する無線通信システムにおいて、複数のCCを利用して無線基地局装置と同時に通信する無線端末装置の送信バッファの状態を効率的に無線基地局装置に報告することができる、という効果が得られる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0042】
なお、上述した実施形態では、無線通信方式の一例としてLTEを挙げたが、他の無線通信方式にも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1,2…無線端末装置、11,21…パケット振り分け部、12,22…バッファ部、13,23…無線パケット振り分け部、14,24…バッファ状態レポート作成部
図1
図2
図3