特許第6085183号(P6085183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ GKNドライブラインジャパン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6085183-油圧制御装置 図000002
  • 特許6085183-油圧制御装置 図000003
  • 特許6085183-油圧制御装置 図000004
  • 特許6085183-油圧制御装置 図000005
  • 特許6085183-油圧制御装置 図000006
  • 特許6085183-油圧制御装置 図000007
  • 特許6085183-油圧制御装置 図000008
  • 特許6085183-油圧制御装置 図000009
  • 特許6085183-油圧制御装置 図000010
  • 特許6085183-油圧制御装置 図000011
  • 特許6085183-油圧制御装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6085183
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】油圧制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20170213BHJP
   F15B 11/00 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   F16H61/00
   F15B11/00 D
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-15779(P2013-15779)
(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公開番号】特開2014-145461(P2014-145461A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000225050
【氏名又は名称】GKNドライブラインジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 浩司
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−072849(JP,A)
【文献】 特開2004−150639(JP,A)
【文献】 特開2008−128371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/00
F15B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケーシング部材と、この第1ケーシング部材に結合する第2ケーシング部材と、前記第1ケーシング部材と前記第2ケーシング部材とで区画されたバルブ収容室と、流路内を流通する圧油の流量を制御するソレノイドバルブを有し前記バルブ収容室内に配置され前記第2ケーシング部材に組付けられるバルブボディとを備えた油圧制御装置であって、
前記流路に連通し前記圧油の一部を前記バルブ収容室に開放する開放部が設けられ
前記流路は前記第2ケーシング部材と前記バルブボディとの合わせ面に形成され、前記開放部は前記流路から分岐して形成されていることを特徴とする油圧制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の油圧制御装置であって、
前記第1ケーシング部材と前記第2ケーシング部材との少なくともいずれか一方には、前記バルブ収容室内に開放された前記圧油の貯留油面を規定する規定部が設けられていることを特徴とする油圧制御装置。
【請求項3】
請求項記載の油圧制御装置であって、
前記開放部は、前記第2ケーシング部材と前記バルブボディとの前記合わせ面間に微小隙間を形成する平面部であることを特徴とする油圧制御装置。
【請求項4】
請求項記載の油圧制御装置であって、
前記開放部は、前記第2ケーシング部材と前記バルブボディとの少なくともいずれか一方に形成された連通部を有することを特徴とする油圧制御装置。
【請求項5】
請求項2記載の油圧制御装置であって、
前記規定部は、前記ソレノイドバルブの鉛直方向の上部側に位置されていることを特徴とする油圧制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の油圧制御装置であって、
前記バルブボディ内には、前記圧油を生成するオイルポンプが配置されていることを特徴とする油圧制御装置。
【請求項7】
請求項記載の油圧制御装置であって、
前記オイルポンプを駆動する回転軸の一端が前記第1ケーシング部材を貫通し前記バルブ収容室に配置されていることを特徴とする油圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に適用される油圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧制御装置としては、第1ケーシング部材としてのハウジングと、このハウジングに結合する第2ケーシング部材としての蓋部と、ハウジングと蓋部とで区画されたバルブ収容室と、流路内を流通する圧油の流量を制御するソレノイドバルブを有しバルブ収容室内に配置されハウジングに組付けられるバルブボディとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような油圧制御装置では、バルブ収容室内に配置されたソレノイドバルブを冷却するため、バルブ収容室内にオイルを充填する必要がある。このため、上記特許文献1の油圧制御装置では、ハウジングに収容された回転軸の近傍にバルブ収容室を設け、回転軸の回転によって飛散されるオイルをバルブ収容室内に取り込むために、ハウジング内とバルブ収容室とを連通するオイル流通穴を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−106176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のような油圧制御装置では、回転軸の回転によって飛散されるオイルをバルブ収容室内に充填しているので、バルブ収容室の配置位置が回転軸のような回転部材の近傍に限られてしまい、装置の設計の自由度が低下していた。
【0006】
そこで、この発明は、設計の自由度を向上することができる油圧制御装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1ケーシング部材と、この第1ケーシング部材に結合する第2ケーシング部材と、前記第1ケーシング部材と前記第2ケーシング部材とで区画されたバルブ収容室と、流路内を流通する圧油の流量を制御するソレノイドバルブを有し前記バルブ収容室内に配置され前記第2ケーシング部材に組付けられるバルブボディとを備えた油圧制御装置であって、前記流路に連通し前記圧油の一部を前記バルブ収容室に開放する開放部が設けられ、前記流路は前記第2ケーシング部材と前記バルブボディとの合わせ面に形成され、前記開放部は前記流路から分岐して形成されていることを特徴とする。
【0008】
この油圧制御装置では、流路に連通し圧油の一部をバルブ収容室に開放する開放部が設けられているので、開放部から流路を流通する圧油の一部によってバルブ収容室内にオイルを充填することができ、装置の配置位置が回転部材などの配置に依存することがない。
【0009】
従って、このような油圧制御装置では、バルブ収容室内に充填されるオイルが流路を流通する圧油の一部であるので、装置の配置位置を自由に設計することができ、設計の自由度を向上することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設計の自由度を向上することができる油圧制御装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る油圧制御装置の正面図である。
図2図1のX−X断面図である。
図3】(a)は本発明の第1実施形態に係る油圧制御装置の第2ケーシング部材の背面図である。(b)は本発明の第1実施形態に係る油圧制御装置のバルブボディの背面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る油圧制御装置の第1ケーシング部材の正面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る油圧制御装置の第2ケーシング部材の正面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る油圧制御装置の第2ケーシング部材とバルブボディとを組付けたときの側面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る油圧制御装置の第2ケーシング部材とバルブボディとを組付けたときの背面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る油圧制御装置のストレーナの斜視図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る油圧制御装置のストレーナを第1ケーシング部材に組付けたときの断面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る油圧制御装置の第2ケーシング部材の背面図である。
図11】(a)〜(c)は図10のY−Y断面図であり、連通部の形状を例示するものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図11を用いて本発明の実施の形態に係る油圧制御装置について説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1図9を用いて第1実施形態について説明する。
【0014】
本実施の形態に係る油圧制御装置1は、第1ケーシング部材3と、この第1ケーシング部材3に結合する第2ケーシング部材5と、第1ケーシング部材3と第2ケーシング部材5とで区画されたバルブ収容室7と、流路9内を流通する圧油の流量を制御するソレノイドバルブ11を有しバルブ収容室7内に配置され第2ケーシング部材5に組付けられるバルブボディ13とを備えている。
【0015】
そして、流路9に連通し圧油の一部をバルブ収容室7に開放する開放部15が設けられている。
【0016】
また、流路9は第2ケーシング部材5とバルブボディ13との合わせ面17,19に形成され、開放部15は流路9から分岐して形成されている。
【0017】
さらに、第1ケーシング部材3には、バルブ収容室7内に開放された圧油の貯留油面L1を規定する規定部21が設けられている。
【0018】
また、開放部15は、第2ケーシング部材5とバルブボディ13との合わせ面17,19間に微小隙間を形成する平面部23,25である。
【0019】
さらに、規定部21は、ソレノイドバルブ11の鉛直方向の上部側に位置されている。
【0020】
また、バルブボディ13内には、圧油を生成するオイルポンプ27が配置されている。
【0021】
さらに、オイルポンプ27を駆動する回転軸29の一端が第1ケーシング部材3を貫通しバルブ収容室7に配置されている。
【0022】
図1図9に示すように、第1ケーシング部材3は、例えば、エンジンや電動モータなどの駆動源(不図示)の周辺に配置され、内部に駆動源からの駆動力を減速させる回転軸29を有する減速機構、減速機構で減速された駆動力が伝達される差動機構などの分配機構、減速機構に設けられ駆動源と分配機構との間の動力伝達を断続する油圧式アクチュエータ31を有するクラッチ機構などが収容されている。
【0023】
この第1ケーシング部材3には、内部の摺動部やギヤの噛み合い部などを潤滑・冷却するオイルが収容されている。このオイルは、第1ケーシング部材3の内部において、各機構が作動していない初期状態では静的な油面高さとして静的油面L2が規定され、各機構が作動した場合の最低限確保できる動的な油面高さとして動的油面L3が規定されている。
【0024】
このような第1ケーシング部材3には、減速機構の回転軸29がベアリング33を介して回転可能に支持されている。この回転軸29の端部は、第1ケーシング部材3の外壁である底壁部35を貫通し、バルブ収容室7内に配置されている。この底壁部35の縁部には、外方に向けて延設された周壁部37が設けられ、この周壁部37の端面に底壁部35を閉塞するように第2ケーシング部材5が結合されている。
【0025】
第2ケーシング部材5は、蓋状に形成され、外形に沿って設けられた固定部39が第1ケーシング部材3の周壁部37の端面に固定手段としての複数のボルト41を介して固定されている。また、第2ケーシング部材5の中央部には、第1ケーシング部材3側の内壁面である合わせ面17に圧油が流通する流路9が形成された回路部43が設けられている。この回路部43の流路9には、第1ケーシング部材3の周壁部37と第2ケーシング部材5とに設けられたオイル吸入路45,45から吸入されたオイルが流通される。
【0026】
オイル吸入路45は、第1ケーシング部材3の動的油面L3より鉛直方向の下部側に位置されたオイルを貯留する貯留部47にストレーナ49を介して連通されている。このオイル吸入路45は、オイルポンプ27の作動により、ストレーナ49を介してろ過されたオイルが吸入され、圧力を付与されたオイルが流路9を流通する。
【0027】
このような第2ケーシング部材5は、固定部39を第1ケーシング部材3の周壁部37の端面に結合させることにより、第1ケーシング部材3と第2ケーシング部材5との間にバルブ収容室7が形成される。
【0028】
バルブ収容室7は、第1ケーシング部材3の底壁部35と、第1ケーシング部材3の周壁部37と、第2ケーシング部材5の内壁面とで覆われた部分に形成されている。このバルブ収容室7内には、バルブボディ13が配置される。
【0029】
バルブボディ13は、筐体状に形成され、第2ケーシング部材5の回路部43に対して互いの合わせ面17,19を合わせ、固定手段としての複数のボルト51を介して第2ケーシング部材5に固定されている。また、バルブボディ13の合わせ面19には、圧油が流通する流路9が形成され、第2ケーシング部材5とバルブボディ13との合わせ面17,19を合わせることにより、互いに形成された流路9,9が閉塞される。このバルブボディ13には、配置部53にソレノイドバルブ11が設けられている。
【0030】
ソレノイドバルブ11は、第2ケーシング部材5とバルブボディ13との流路9のうち油圧が制御された制御流路55を流通するオイルを断続制御し、制御流路55から第1ケーシング部材3に設けられた油圧式アクチュエータ31への圧油の供給を断続制御する。このソレノイドバルブ11は、リード線57やコネクタ59を介して外部に設けられた通電を制御するコントローラ(不図示)に接続されている。
【0031】
このようなソレノイドバルブ11は、バルブボディ13において、一端部が閉塞部材61によって閉塞された孔63に連通されている。この孔63の他端部は、回転軸29に設けられた径方向孔65と連通されており、径方向孔65は回転軸29に設けられた軸方向孔67と出力孔69とを介して油圧式アクチュエータ31の油圧室71に連通されている。
【0032】
なお、バルブボディ13には、孔73に連通され油圧を調整するレギュレータ75、孔77に連通されオイルの逆流を防止する逆止弁79、孔81に連通されオイルの圧力の異常な上昇を防止するリリーフバルブ(不図示)などが設けられている。これらは、流通路83,85やオイル吸入路45と連通されている。なお、バルブボディ13に設けられた流路9には、オイルの流量を求めるオリフィス87が設けられている。
【0033】
このようなバルブボディ13は、中央部に回転軸29の端部が挿通される挿入孔89が設けられ、回転軸29の端部に配置される。この挿入孔89の周囲には、オイルポンプ27が配置される凹部91が設けられ、オイルポンプ27が回転軸29によって駆動される。
【0034】
オイルポンプ27は、ポンプギヤ93,95を有するギヤポンプからなる。このオイルポンプ27は、回転軸29の端部に配置され、回転軸29の回転よって作動される。このようなオイルポンプ27は、第1ケーシング部材3の貯留部47に貯留されたオイルをストレーナ49を介して吸入し、オイル吸入路45からオイルに圧力を付与して生成された圧油を流路9などに流通させる。
【0035】
このように構成された油圧制御装置1では、バルブボディ13に設けられたソレノイドバルブ11などを冷却するために、バルブ収容室7内にオイルを充填する必要がある。このため、油圧制御装置1には、流路9に連通し圧油の一部をバルブ収容室7に開放する開放部15が設けられている。
【0036】
開放部15は、第2ケーシング部材5とバルブボディ13との合わせ面17,19において、第2ケーシング部材5とバルブボディ13とを固定するボルト51,51間の距離が最も長い低面圧領域Aに設けられた平面部23,25となっている。なお、低面圧領域Aは、ソレノイドバルブ11が配置されるため、ボルト51を配置することができず、ボルト51,51間の距離が最も長く設定されている。
【0037】
この低面圧領域Aでは、ボルト51を固定した際に、ボルト51,51間の距離が最も長いので、平面部23,25の密着面圧が合わせ面17,19における他の平面部の密着面圧より低くなり、平面部23,25間に微小隙間が形成される。この微小隙間は、流路9から分岐して流路9とバルブ収容室7とを連通する。このため、流路9を流通する圧油の一部は、流路9から分岐して開放部15を介してバルブ収容室7内に流出され、バルブ収容室7内にオイルを充填することができる。なお、開放部15は、ソレノイドバルブ11が配置された部分に限らず、他の部分に合わせ面17,19の面圧が低くなるように設定して設けてもよい。
【0038】
このような開放部15によってバルブ収容室7内に開放された圧油は、貯留油面L1を規定する規定部21によってバルブ収容室7内での貯留量が規定される。
【0039】
規定部21は、第1ケーシング部材3の底壁部35に設けられ、バルブ収容室7と第1ケーシング部材3の内部とを連通する孔部97となっている。この規定部21は、バルブ収容室7において、ソレノイドバルブ11の鉛直方向の上部側に位置され、油圧制御装置1が作動した場合の動的な油面高さとして貯留油面L1を規定する。なお、貯留油面L1は、バルブボディ13の機能を損なわない範囲で、少なくともバルブボディ13の一部が浸るような位置であってもよい。
【0040】
このような規定部21は、開放部15からバルブ収容室7内に貯留されるオイル量を規定し、規定量を超えるオイルがバルブ収容室7に貯留されると、第1ケーシング部材3の内部にオイルを流出する。この流出されたオイルは、第1ケーシング部材3の貯留部47に貯留され、油圧制御装置1の作動により、ストレーナ49を介して再び流路9などを流通される。
【0041】
このようにバルブ収容室7内に充填させるオイルに流路9を流通する圧油の一部を適用することにより、バルブ収容室7内に充填されたオイルに金属片などの混入物がなく、バルブ収容室7内に配置されたバルブボディ13などの高寿命化を図ることができる。
【0042】
このような油圧制御装置1では、流路9に連通し圧油の一部をバルブ収容室7に開放する開放部15が設けられているので、開放部15から流路9を流通する圧油の一部によってバルブ収容室7内にオイルを充填することができ、装置の配置位置が回転部材などの配置に依存することがない。
【0043】
従って、このような油圧制御装置1では、バルブ収容室7内に充填されるオイルが流路9を流通する圧油の一部であるので、装置の配置位置を自由に設計することができ、設計の自由度を向上することができる。
【0044】
また、流路9は第2ケーシング部材5とバルブボディ13との合わせ面17,19に形成され、開放部15は流路9から分岐して形成されているので、バルブ収容室7外に配置され流路9とバルブ収容室7とを連通する別体の配管などを用いる必要がなく、装置の大型化を抑制することができる。
【0045】
さらに、第1ケーシング部材3には、バルブ収容室7内に開放された圧油の貯留油面L1を規定する規定部21が設けられているので、バルブ収容室7内にバルブボディ13の機能を維持するためのオイル量を確保し、無駄にバルブ収容室7内にオイルが充填されることを防止することができる。
【0046】
また、開放部15は、第2ケーシング部材5とバルブボディ13との合わせ面17,19間に微小隙間を形成する平面部23,25であるので、別体の配管や流路9に連通する連通孔などを設ける必要がなく、開放部15の構造を簡易化することができる。
【0047】
さらに、規定部21は、ソレノイドバルブ11の鉛直方向の上部側に位置されているので、バルブ収容室7内でソレノイドバルブ11を確実に冷却させることができ、圧油の断続制御を安定化させることができる。
【0048】
また、バルブボディ13内には、圧油を生成するオイルポンプ27が配置されているので、バルブボディ13とオイルポンプ27とを連結する流路を縮小させることができ、装置の大型化を抑制することができる。
【0049】
さらに、オイルポンプ27を駆動する回転軸29の一端が第1ケーシング部材3を貫通しバルブ収容室7に配置されているので、オイルポンプ27を駆動させるための外部電源を用いる必要がなく、装置の大型化や重量化を抑制することができる。
【0050】
(第2実施形態)
図10図11を用いて第2実施形態について説明する。
【0051】
本実施の形態に係る油圧制御装置101は、開放部103は、第2ケーシング部材5に形成された連通部105を有する。
【0052】
なお、第1実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して説明を省略するが、第1実施形態と同一の構成であるので、構成及び機能説明は第1実施形態を参照するものとし省略するが、得られる効果は同一である。
【0053】
図10図11に示すように、開放部103は、第2ケーシング部材5の合わせ面17に設けられ、流路9とバルブ収容室7とを連通する連通部105となっている。この連通部105は、例えば、図11(a)に示すような角溝105a、図11(b)に示すようなU溝105b、図11(c)に示すようなV溝105cなどで形成され、その形状はバルブ収容室7内に流出する圧油の流量によって適宜選択される。
【0054】
なお、連通部105のみを開放部103として設けてもよいが、第1実施形態の油圧制御装置1の開放部15(例えば、図3参照)のように、平面部23,25間の微小隙間で十分な油量を得られない場合には、平面部23,25に連通部105を設ける、或いは平面部23,25と異なる部分に連通部105を設けるなど、開放部として平面部23,25と連通部105とを併用してもよい。
【0055】
このような油圧制御装置101では、開放部103が第2ケーシング部材5に形成された連通部105を有するので、開放部103からバルブ収容室7内に開放される圧油の流量を調整することができる。
【0056】
なお、本発明の実施の形態に係る油圧制御装置では、開放部が第2ケーシング部材とバルブボディとに設けられているが、これに限らず、第2ケーシング部材とバルブボディとのうちいずれか一方に開放部を設ける、第2ケーシング部材とバルブボディとの間に開放部を設ける、或いは流路とバルブ収容室とを連結する配管を開放部として設けるなど、流路に連通し圧油の一部をバルブ収容室に開放するものであれば、開放部はどのような構造であってもよい。
【0057】
また、規定部は、第1ケーシング部材に設けられているが、これに限らず、例えば、第2ケーシング部材に規定部としての外部と連通する孔を設け、この孔と第1ケーシング部材の内部とを配管などによって連結するなど、バルブ収容室内のオイル量を規定できるものであれば、第1ケーシング部材と第2ケーシング部材とのうちどちらに規定部を設けてもよい。加えて、規定部を第1ケーシング部材と第2ケーシング部材との両方に設けてもよい。
【0058】
さらに、開放部としての平面部は、互いの密着面圧が低く設定され、微小隙間が形成された部分となっているが、これに限らず、例えば、第2ケーシング部材とバルブボディとのうち少なくともいずれか一方の剛性が低く設定され、流路を流通する圧油を受けて剛性の低く設定された部分が変形して微小隙間を形成させる部分など、微小隙間を形成させるものであれば、平面部はどのような構造であってもよい。
【0059】
また、開放部としての連通部は、第2ケーシング部材に設けられた溝となっているが、これに限らず、例えば、流路とバルブ収容室とを連通する孔など、流路とバルブ収容室とを連通するものであれば、連通部はどのような構造であってもよい。加えて、連通部をバルブボディに設ける、或いは第2ケーシング部材とバルブボディとの両方に設けてもよく、連通部を複数箇所に設けてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1,101…油圧制御装置
3…第1ケーシング部材
5…第2ケーシング部材
7…バルブ収容室
9…流路
11…ソレノイドバルブ
13…バルブボディ
15,103…開放部
17,19…合わせ面
L1…貯留油面
21…規定部
23,25…平面部
27…オイルポンプ
29…回転軸
105…連通部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11