特許第6085198号(P6085198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6085198
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】掘削孔の段差処理装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 10/32 20060101AFI20170213BHJP
【FI】
   E21B10/32
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-51601(P2013-51601)
(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公開番号】特開2014-177793(P2014-177793A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2016年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(73)【特許権者】
【識別番号】515277300
【氏名又は名称】ジャパンパイル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591137363
【氏名又は名称】大洋基礎株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000207780
【氏名又は名称】大豊建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391039829
【氏名又は名称】東洋テクノ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 治
(72)【発明者】
【氏名】佐野 大作
(72)【発明者】
【氏名】中村 保則
(72)【発明者】
【氏名】森 利弘
(72)【発明者】
【氏名】飯田 努
(72)【発明者】
【氏名】服部 圭将
(72)【発明者】
【氏名】藤木 秀則
(72)【発明者】
【氏名】川西 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】小林 公次
(72)【発明者】
【氏名】榎本 武
(72)【発明者】
【氏名】矢島 淳二
(72)【発明者】
【氏名】中沢 楓太
(72)【発明者】
【氏名】宮本 和徹
(72)【発明者】
【氏名】山田 正毅
(72)【発明者】
【氏名】新井 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 孝二
(72)【発明者】
【氏名】宮田 勝利
(72)【発明者】
【氏名】松木 和彦
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−249791(JP,A)
【文献】 特開昭61−186617(JP,A)
【文献】 特開平05−179880(JP,A)
【文献】 実開平03−029591(JP,U)
【文献】 特開2009−007835(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0108143(US,A1)
【文献】 米国特許第04971163(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00−49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケリーバーに吊持されたロッドと、
前記ロッドの下端部に設けた掘削用バケットと、
前記ロッドに設けられ、前記掘削用バケットの直径範囲内に収納時には揺動して収まるとともに、拡張時には前記掘削用バケットの直径範囲から突出して揺動し前記ケリーバーの回転によって孔壁の段差部を斜めに掘削するテーパ用の拡大翼と、
該拡大翼を揺動させるべく前記ロッドに設けられた揺動駆動装置と、
前記拡大翼の下面に着脱自在に固定され前記ケリーバーの回転により前記段差部において前記拡大翼で斜めに掘削された孔壁面に溜まるスライムを掻き出すスクレーパーとから構成されていること、
を特徴とする掘削孔の段差処理装置。
【請求項2】
ロッドと掘削用バケットとは、連結用手段にて着脱自在に分離できる構成であること、
を特徴とする請求項1に記載の掘削孔の段差処理装置。
【請求項3】
揺動駆動装置は、油圧装置と該油圧装置に一端部をリンクされ他端部を拡大翼にリンクされた揺動バーとでなること、
を特徴とする請求項1または2に記載の掘削孔の段差処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば場所打ちコンクリート杭の形成において、拡頭杭の構築の際に生じる段差や、中間部に節部を形成して構築する際において生じる段差を解消させる、掘削孔の段差処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤に場所打ちコンクリート杭を構築する際に、地震時の耐震性を考慮して杭頭部を拡径した拡頭杭や支持力および引抜き抵抗力の増大効果を期待して、中間部に節部を設けた多段杭等が提案され、その杭中間部で杭径が上位置よりも小さくなる掘削孔を形成することが知られている。
【0003】
この掘削孔の杭径が変化する境界部には、図10に示すように、段差部4が生じてそこにスライム9が溜まりやすくなり、打設したコンクリートも回りにくくなり充填不足となる。また、段差部には地震時に応力集中によってコンクリートのひび割れが生じやすいので、スライム9を巻き込んだコンクリートの充填不足によって、一層境界部が弱点となる。更に、段差部4の施工不良によって、適正な摩擦抵抗力および水平抵抗力が得られない可能性がある。
【0004】
そこで、この段差部と該段差部に溜まるスライムを解消すべく、拡径掘削用スライム処理装置が提案されている(特許文献1参照)。例えば、従来例(1)に係るこの拡径・スライム処理装置13は、図11(A)に示すように、旋回する掘削シャフトに揺動自在に取り付けられた拡径掘削用バケットと、該拡径掘削用バケットを前記掘削シャフトから離間拡径させる拡径駆動手段と、前記拡径掘削用バケットの下部に装着され、安定液が充たされた杭孔の中間部分の拡径部の底面に接触して、前記中間部分の拡径部の底面に溜まったスライムを掻き落とし可能な板材と、を有するものが知られている。これによって、掘削した杭孔を拡径させつつ、図10に示すような直交した段差とならないようにテーパ部に形成し、その拡径部に溜まったスライムを、直接掻き出すものである。
【0005】
このほか、従来例(2)に係るスライム処理装置として、図11(B)に示すように、拡径部に対して地上から供給される安定液を噴射管の噴孔から噴射させてスライムを拡散させ、下部に備えた水中ポンプで前記スライムを吸い上げるスライム処理装置14が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−227136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の掘削孔の段差部を処理するスライム処理装置は、例えば、前記従来例(1)では、図7−B(C)に示すように、中間拡径部専用の拡径(節部)用バケットが別途必要であって、場所打ちコンクリート杭の構築に必要なバケットの種類が多くなり汎用性に欠けることと、スライム処理を行う時に、一度掘削した部分で再度拡翼すると上記テーパ部分を拡翼するため、上部テーパ部分の孔壁を乱してしまう可能性がある。
【0008】
更に、前記掘削歯によって下部テーパ部分を乱さないように、歯の部分よりも突出させてスイーパーを設置するため、スライム処理時のバケットのレベル管理が難しく、拡径部孔壁を乱す可能性が高い。更に、掻き出されたスライムが杭孔先端まで落下するので、先端部分のスライム処理に時間を要する。
【0009】
また、前記従来例(2)では、安定液を噴射した時に、孔壁を乱す可能性がある。噴射によって、拡散したスライムが再度テーパ部に落下して溜まる可能性もある。本発明に係る掘削孔の段差処理装置は、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る掘削孔の段差処理装置の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、ケリーバーに吊持されたロッドと、前記ロッドの下端部に設けた掘削用バケットと、前記ロッドに設けられ、前記掘削用バケットの直径範囲内に収納時には揺動して収まるとともに、拡張時には前記掘削用バケットの直径範囲から突出して揺動し前記ケリーバーの回転によって孔壁の段差部を斜めに掘削するテーパ用の拡大翼と、該拡大翼を揺動させるべく前記ロッドに設けられた揺動駆動装置と、前記拡大翼の下面に着脱自在に固定され前記ケリーバーの回転により前記段差部において前記拡大翼で斜めに掘削された孔壁面に溜まるスライムを掻き出すスクレーパーとから構成されていることである。
【0011】
前記ロッドと掘削用バケットとは、連結用手段にて着脱自在に分離できる構成であることである。
【0012】
前記揺動駆動装置は、油圧装置と該油圧装置に一端部をリンクされ他端部を拡大翼にリンクされた揺動バーとでなることを含むものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る掘削孔の段差処理装置によれば、スライムが拡大翼で掻き出され、すぐ下部位置の掘削用バケットに受け取られるので、スライムが孔底に沈降することがない。また、段差部が解消されて、コンクリートの充填不足が解消される。それにより、図9に示すように、段差部を面取りしたテーパ部7aにも、十分な水平抵抗力および摩擦抵抗力が期待できる。
拡大翼が掘削用バケットの直径の範囲内に収納されるので、段差部の面取りを行った後に、連続して下部の掘削作業を続行することが可能である。
【0014】
段差処理装置を、上部側のロッドと下部側の掘削用バケットとに着脱自在に2分離できるようにすることで、その運搬や保管が容易になる。更に、揺動駆動装置が、簡易な構成であり確実な動作が保証される、と言う数々の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る掘削孔の段差処理装置1の、拡大翼を閉じた状態の縦断面図である。
図2】同本発明に係る掘削孔の段差処理装置1の、拡大翼を開いた状態の縦断面図である。
図3】同本発明に係る掘削孔の段差処理装置1の、拡大翼を開いた状態で側方から見た縦断面図である。
図4】同本発明に係る掘削孔の段差処理装置1の、拡大翼を開いた状態の平面図である。
図5】同本発明の掘削孔の段差処理装置1において、拡大翼の段差用歯を拡大して示す詳細側面図(A)と、その段差用歯にスクレーパー8を取り付けた状態の拡大側面図(B)と、スクレーパー8の一部斜視図(C)とである。
図6】同本発明の掘削孔の段差処理装置1における、拡大翼5の平面図(A)と、段差用拡張歯5eを接続用プレート5dを介して任意に追加した状態の平面図(B)と、段差用拡張歯5eを拡大翼5に組み付けて固定する様子を説明する説明図(C)とである。
図7-A】同本発明の掘削孔の段差処理装置1の使用方法を示す説明図(A)〜(D)である。
図7-B】従来例において、掘削用バケットが3種類必要であったことを示す説明図(A)〜(C)である。
図8】拡大翼5のスクレーパー8によりスライム9を掻き落とす様子を示す説明図である。
図9】段差部を解消したことによるテーパ部7aにおいて水平力や摩擦力を受けることを示す説明図である。
図10】従来工法における段差部4の水平力や摩擦力を受ける様子を示す説明図である。
図11】従来工法における、拡径・スライム処理装置13の使用状態を示す断面図(A),スライム処理装置14の使用状態を示す断面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る掘削孔の段差処理装置(以下、単に段差処理装置という)1は、図1に示すように、掘削用バケット3の上部に段差解消用の揺動可動翼である拡大翼5を拡張自在に設けるものである。
【実施例1】
【0017】
前記段差処理装置1は、図1乃至図4に示すように、ケリーバー10でケリーソケット2aを介して掘削機に吊持されるものであって、間隙をおいて平行な鋼材を組立てなるロッド2と、そのロッド2の下端部に設けた掘削用バケット3とがある。
【0018】
前記掘削用バケット3の上部に設けられ、当該掘削用バケット3の直径範囲内に収納時には揺動して収まるとともに、拡張時には前記掘削用バケット3の直径範囲から突出して揺動し、前記ケリーバー10の正回転によって孔壁の段差部4を斜めに掘削するテーパ用の拡大翼5がある。
【0019】
前記拡大翼5を揺動させるべく前記ロッド2に設けられた揺動駆動装置6と、図5に示すように、前記拡大翼5の下面に着脱自在に固定され前記ケリーバー10の正回転及び逆回転により前記段差部4において前記拡大翼5で斜め(例えば、角度12°〜60°程度)に掘削されたテーパ部7a(図8参照)に溜まるスライム9を掻き出すスクレーパー8とから構成されている。
【0020】
前記掘削用バケット3は、全体が円筒体であり、バケット下部に掘削歯3a、サイドカッター3bが設けられ、バケット上部の周壁外側には、振止め3cが設けられている。
【0021】
前記掘削用バケット3は、その上部に常時開口された開口部が設けられている。該開口部は少なくとも拡大翼5が拡張して使用されるときには開口されているものであり、図5(B),(C)に示すスクレーパー8が掻き出すスライム9を受け入れるように構成されている。
【0022】
この段差処理装置1において、前記掘削用バケット3と、これを吊持するロッド2(揺動駆動装置6を含む)とは、図示する実施例では、一体的に固定してあるが、全体をコンパクトにして移動、運搬、若しくは、保管、管理するために、連結用ボルト等の連結手段にて、着脱自在に分離できる構成とするのが好ましいものである。
【0023】
前記拡大翼5は、図1に示すように、支点軸6eを中心にして揺動するものである。そして、図5乃至図6(A)に示すように、拡大翼5には、複数の段差用歯5aが設けられ、翼部の先端側には拡張取着部5bが形成され、そこには固定用ネジ孔5cが刻設されている。
【0024】
この固定用ネジ孔5cに、図6(B)に示すように、径拡張用の段差用拡張歯5eが接続用プレート5dを介して、ボルト5fで取り付けられる。このように、径拡張用の段差用拡張歯5e等を適宜に追加することで、段差部4の孔径に応じて、段差を解消できるものである。
【0025】
前記径拡張用の段差用拡張歯5eのボルト5fによる取付け固定方法には、図示したものに限らず、他の着脱自在な固定方法を採用することができる。また、図6(A),(B)に示すように、符号5gは、基部に回転軸を挿通させるための貫通孔を示し、符号5hは、揺動バー6dとリンクさせるためのボルト等を貫通させるための貫通孔を示している。
【0026】
前記拡大翼5の段差用歯5a、段差用拡張歯5e等には、図5(B),(C)に示すように、金属製で所望厚さのスクレーパー8が、ボルト8aを取付孔8bに挿通させてネジ締めされ、着脱自在に取り付け固定される。このスクレーパー8は、段差用歯5a等の歯形状に沿って、その歯を覆うように略「J」字型に屈曲され、ケリーバー10の正回転・逆回転に対応できるように形成されている。
【0027】
このスクレーパー8は、図8に示すように、段差部4を拡大翼5でテーパ部7aに掘削した後、スライム9を掘削用バケット3に落とすために、前記掘削用バケット3とともに掘削時と同方向若しくは逆方向に回転させて使用するものである。
【0028】
前記揺動駆動装置6は、図1に示すように、駆動装置として、油圧装置である油圧シリンダー6aと、該油圧装置のシリンダーロッド6bの先端に設けた水平な平板の駆動バー6cを介して、一端部を前記駆動バー6cにリンクされ他端部を拡大翼5にリンクされた板状の揺動バー6dとでなる。前記駆動バー6cは、その下端面6gが、ストッパー6fに当接するまで降下する。
【0029】
前記揺動駆動装置6における駆動装置は、この実施例では油圧シリンダー6aを用いたが、これに限らず、例えば、電動モータとボールネジとの組み合わせ、ジャッキとの組み合わせなどの、公知の手段が採用できる。
【0030】
前記掘削用バケット3の上部に設けられた開口部により、段差部のスライムが9前記掘削用バケット3の中に落下し収容されて、掘削孔の下部にスライム9が落下するのを防止するものである。
【実施例2】
【0031】
本発明に係る段差処理装置1において、前記ロッド2の部分(拡大翼5及び揺動駆動装置6を含む)と、掘削用バケット3とは、連結用手段である、例えば連結ボルトにて着脱自在に2分離できる構成とするのが好ましい。その分離構造は図示していないが公知の連結・分離手段を採用でき、そのようにすることで、段差処理装置1の運搬・保管が容易となるものである。
【0032】
以上のように構成される段差処置装置1を使用して、掘削孔の段差部4を処理する方法を説明する。図7−A(A)に示すように、地盤に掘削用バケット3(段差処理装置1において、拡大翼5を撤去したものであり、この実施例では図示してないが、拡大翼5を装備していても良い)によって掘削孔を掘削でき、掘削孔の途中の拡径部である節部は、拡底部掘削用バケット12で掘削を行って形成する。
【0033】
図7−A(B)に示すように、掘削孔の途中で、拡底部掘削用バケット12で拡径した中間の節部を形成した後、前記掘削用バケット3に拡大翼5及び揺動駆動装置6を装着する。そして、前記拡大翼5を縮退させた(閉じた)状態にして掘削孔に投入する。
【0034】
前記中間の節部に到達したら、前記掘削用バケット3を正回転させることで前記節部の底を掘削する。この時は、掘削用バケット3のバケット深さ分だけ掘削する。そして、掘削用バケット3内に溜まった土砂を地上に出して、開閉レバー11(図4参照)によって掘削用バケット3の底部を開けて前記土砂を取り除く。
【0035】
次に、図7−A(C)に示すように、前記掘削用バケット3の拡大翼5を、揺動駆動装置6によって最大に拡径させる。即ち、前記揺動駆動装置6において、油圧シリンダー6aを駆動させて下方向にシリンダーロッド6bを伸長させる。図2に示すように、駆動バー6cが降下してその下端面6gがストッパー6fに当接して停止する。
【0036】
前記シリンダーロッド6bに連結された駆動バー6c及び揺動バー6dにより、図1乃至図2に示す状態に拡大翼5が、一例として、約斜め45度に傾斜する。こうして、掘削する正方向に掘削用バケット3が回転すると、図9に示すように、拡大翼5によって段差部4が掘削されてテーパ部7aになる。
【0037】
そして、前記拡大翼5を揺動駆動装置6で元の位置に縮退させて収納し、そのまま、掘削用バケット3を掘削方向に回転させて掘削作業を続行する。なお、掘削用バケット3を一旦地上に上げて、拡大翼5を掘削用バケット3から外しても良い。
【0038】
前記掘削用バケット3による所定の深さまでの掘削終了後に、地上に上げる。そして、図7−A(D)に示すように、拡底部掘削用バケット12で拡底部を形成する。その後、前記先端拡底部の底浚いと前記節部におけるテーパ部7aの底浚いを行い、更に、一次スライム処理を行った後に孔壁の測定を行うものである。
【0039】
これには、図5(B),(C)に示すように、前記掘削用バケット3の拡大翼5にスクレーパー8を取り付ける。そして、この掘削用バケット3を中間の節部に投入する。その後、スクレーパー8を有する拡大翼5を揺動駆動装置6で拡径させて、前記掘削用バケット3を掘削時と同方向若しくは逆方向に回転させる。こうすることで、図8に示すように、拡大翼5の裏面に取り付けたスクレーパー8によって、スライム9が掘削用バケット3内に収納される。
【0040】
その後、前記段差処理装置1の掘削用バケット3を地上に上げて、当該バケット3内に溜まった前記スライム9を取り除く。このようにして、掘削孔が形成されるものである。
【0041】
本発明に係る掘削孔の段差処理装置1により、図7−A(A),(C)に示すように、掘削用バケット3の上部に拡大翼5を伸縮自在に設けて、軸部掘削と中間の節部の段差処理とを兼用させて行うことができるので、掘削孔において太い孔径から下へ細い孔径となっている箇所の、中間部の段差処理に関して特別な掘削用バケットを必要としない。
【0042】
よって、図7−Bに示す従来工法では、軸部掘削の掘削用バケット以外に、中間の節部に対する専用の掘削用バケットが必要であって、バケットの種類が増えていたが、本発明に係る掘削孔の段差処理装置1により、掘削用バケットの種類が減るものである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る段差処理装置1は、段差部が生じる掘削孔に広く適用できるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 段差処理装置、
2 ロッド、 2a ケリーソケット、
3 掘削用バケット、 3a 掘削歯、
3b サイドカッター、 3c 振止め、
4 段差部、
5 拡大翼、 5a 段差用歯 、
5b 拡張取着部、 5c 固定用ネジ孔、
5d 接続用プレート、 5e 段差用拡張歯、
5f ボルト、 5g 貫通孔、
5h 貫通孔、
6 揺動駆動装置、 6a 油圧シリンダー、
6b シリンダーロッド、 6c 駆動バー、
6d 揺動バー、 6e 支点軸、
6f ストッパー、 6g 下端面、
7 孔壁面、 7a テーパ部、
8 スクレーパー、 8a ボルト、
8b 取付孔、
9 スライム、
10 ケリーバー、
11 開閉レバー、
12 拡底部掘削用バケット、
13 拡径・スライム処理装置、
14 スライム処理装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-A】
図7-B】
図8
図9
図10
図11