(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数に対する、前記イソシアネート基含有化合物(B)に含まれるイソシアネート基の合計モル数の比(イソシアネート基/チオール基)が0.2以上かつ0.78以下である、請求項1又は2に記載の接合体の製造方法。
前記ポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数に対する、前記ラジカル発生剤(C)の合計モル数の比(ラジカル発生剤(C)/チオール基)が0.025以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の接合体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用することができ、好ましいとされている規定の組み合わせは、より好ましいと言える。
「ゴムと被着体との接合体の製造方法」
本発明は、後述する特定の組成物を含む接着剤を用いてなる接着シートの少なくとも1種を用い、該接着剤又は接着シートに加熱及び光照射の少なくとも一方を施すことによる、ゴムと被着体との接合体の製造方法である。
まず、本発明の接着方法に用いる組成物及び該組成物を含む接着剤の成分について以下に説明する。
【0009】
[組成物]
本発明で用いる組成物は、ポリチオール化合物(A)、イソシアネート基含有化合物(B)、及びラジカル発生剤(C)を配合してなり、配合されるポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数に対する、配合されるイソシアネート基含有化合物(B)に含まれるイソシアネート基の合計モル数の比(イソシアネート基/チオール基)が0.2以上かつ0.78以下である、組成物である。
【0010】
該組成物によると、未加硫ゴムに限らず、加硫ゴムをも容易に強力に接着することができる。その理由は、次のとおりであると推測される。
ポリチオール化合物(A)の一部とイソシアネート基含有化合物(B)とがウレタン化反応を起こすことにより、組成物が強固に硬化すると考えられる。また、ポリチオール化合物(A)の他の一部が、ラジカル発生剤(C)と反応してチイルラジカルが生じ、このチイルラジカルが、ゴム中に存在する炭素−炭素二重結合と反応すると考えられる。このようなチオール・エン反応により、組成物がゴムに化学的に結合することにより、組成物がゴムに強力に接着すると考えられる。特に、未加硫ゴムのみならず加硫ゴムにも炭素−炭素二重結合が存在するため、本発明の組成物によると、ゴム特に加硫ゴムを強力に接着することができると考えられる。
また、ゴム中に存在する炭素-炭素結合主鎖からの水素引き抜き反応により、ポリチオール化合物(A)のチオール基の硫黄原子と炭素−炭素結合の炭素原子とが化学的に結合すると考えられる。したがって、必ずしもゴム中に炭素-炭素二重結合が存在しなくてもよい。
なお、本明細書において、ポリチオール化合物(A)、イソシアネート基含有化合物(B)、ラジカル発生剤(C)、ウレタン化触媒(D)及び表面調整剤(E)を、それぞれ、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)及び成分(E)ということがある。
【0011】
<ポリチオール化合物(A)>
本発明において、ポリチオール化合物(A)とは、1分子中にチオール基を2つ以上有する化合物のことをいう。
ポリチオール化合物(A)には特に制限はないが、接着性を向上させる観点から、1分子中にチオール基を2〜6個有するものが好ましい。
また、ポリチオール化合物(A)には、1級、2級及び3級のものが含まれるが、接着性を向上させる観点から、1級がより好ましい。
ポリチオール化合物(A)の分子量は、接着性を向上させる観点から、好ましくは3000以下であり、より好ましくは2000以下であり、更に好ましくは1000以下であり、より更に好ましくは900以下であり、より更に好ましくは800以下である。なお、ポリチオール化合物(A)がポリマーの場合、分子量とは、スチレン換算の数平均分子量のことをいう。
【0012】
ポリチオール化合物(A)としては、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族ポリチオール及びヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族ポリチオールが挙げられ、接着性を向上させる観点から、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族ポリチオールが好ましい。
ここで、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族ポリチオールとは、1分子中にチオール基を2つ以上有する、ヘテロ原子を含んでもよい脂肪族化合物のことをいう。また、ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族ポリチオールとは、1分子中にチオール基を2つ以上有する、ヘテロ原子を含んでもよい芳香族化合物のことをいう。
ヘテロ原子は、接着力の向上の観点から、好ましくは酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン原子、ケイ素から選択される少なくとも1種であり、より好ましくは酸素、窒素、硫黄、リン及びハロゲン原子から選択される少なくとも1種であり、更に好ましくは酸素、窒素及び硫黄から選択される少なくとも1種である。
【0013】
ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族ポリチオールとしては、例えば、炭素数2〜20のアルカンジチオール等のようにチオール基以外の部分が脂肪族炭化水素であるポリチオール、アルコールのハロヒドリン付加物のハロゲン原子をチオール基で置換してなるポリチオール、ポリエポキシド化合物の硫化水素反応生成物からなるポリチオール、分子内に水酸基2〜6個を有する多価アルコールとチオグリコール酸とのエステル化により得られるチオグリコール酸エステル化物、分子内に水酸基2〜6個を有する多価アルコールとメルカプト脂肪酸とのエステル化により得られるメルカプト脂肪酸エステル化物、イソシアヌレート化合物とチオールとを反応させてなるチオールイソシアヌレート化合物、ポリスルフィド基を含有するチオール、チオール基で変性されたシリコーン、チオール基で変性されたシルセスキオキサン等が挙げられる。
なお、上記の分子内に水酸基2〜6個を有する多価アルコール類としては、炭素数2〜20のアルカンジオール、ポリ(オキシアルキレン)グリコール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0014】
これらの中で、接着性の向上の観点から、チオール基以外の部分が脂肪族炭化水素であるポリチオール、アルコールのハロヒドリン付加物のハロゲン原子をチオール基で置換してなるポリチオール、ポリエポキシド化合物の硫化水素反応生成物からなるポリチオール、チオグリコール酸エステル化物、メルカプト脂肪酸エステル化物、及びチオールイソシアヌレート化合物がより好ましく、メルカプト脂肪酸エステル化物及びチオールイソシアヌレート化合物が更に好ましく、メルカプト脂肪酸エステル化物がより更に好ましい。同様の観点から、ポリスルフィド基やシロキサン結合を含有しないチオールがより好ましい。
【0015】
(チオール基以外の部分が脂肪族炭化水素であるポリチオール)
チオール基以外の部分が脂肪族炭化水素であるポリチオールの例としては炭素数2〜20のアルカンジチオールがある。
前記炭素数2〜20のアルカンジチオールとしては、1,2-エタンジチオール、1,1-プロパンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,3-プロパンジチオール、2,2-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、2,3-ブタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,8-オクタンジチオール、1,10-デカンジチオール、1,1-シクロヘキサンジチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール等が挙げられる。
【0016】
(チオグリコール酸エステル化物)
チオグリコール酸エステル化物としては、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、1,6-ヘキサンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート等が挙げられる。
【0017】
(メルカプト脂肪酸エステル化物)
メルカプト脂肪酸エステル化物としては、接着性の向上の観点から、1級チオール基を有するメルカプト脂肪酸エステル化物が好ましく、分子内に水酸基2〜6個を有する多価アルコールの、β−メルカプトプロピオン酸エステル化物がより好ましい。また、1級チオール基を有するメルカプト脂肪酸エステル化物は、接着性の向上の観点から、1分子中におけるチオール基の数が4〜6個であることが好ましく、4個又は6個であることが好ましく、4個であることがより好ましい。
【0018】
上記の1級チオール基を有するβ−メルカプトプロピオン酸エステル化物としては、好ましくはテトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)(EGMP−4)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(TMMP)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PEMP)、及びジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)(DPMP)が挙げられる。これらの中で、PEMP及びDPMPが好ましく、PEMPがより好ましい。
【0019】
なお、2級チオール基を有するβ−メルカプトプロピオン酸エステル化物としては、分子内に水酸基2〜6個を有する多価アルコール類と、β−メルカプトブタン酸とのエステル化物が挙げられ、具体的には、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等が挙げられる。
【0020】
(チオールイソシアヌレート化合物)
イソシアヌレート化合物とチオールとを反応させてなるチオールイソシアヌレート化合物としては、接着力の向上の観点から、1級チオール基を有するチオールイソシアヌレート化合物が好ましい。また、1級チオール基を有するチオールイソシアヌレート化合物としては、接着性の向上の観点から、1分子中におけるチオール基の数が2〜4個であることが好ましく、3個であることがより好ましい。
上記の1級チオール基を有するチオールイソシアヌレート化合物としては、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート(TEMPIC)が好ましい。
【0021】
(チオール基で変性されたシリコーン)
チオール基で変性されたシリコーンとしては、商品名KF-2001、KF-2004、X-22-167B(信越化学工業)、SMS042、SMS022(Gelest社)、PS849、PS850(UCT社)等が挙げられる。
【0022】
(芳香族ポリチオール)
芳香族ポリチオールとしては、1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3-トリメルカプトベンゼン、1,2,4-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,3-ジ(p-メトキシフェニル)プロパン-2,2-ジチオール、1,3-ジフェニルプロパン-2,2-ジチオール、フェニルメタン-1,1-ジチオール、2,4-ジ(p-メルカプトフェニル)ペンタン等が挙げられる。
【0023】
<イソシアネート基含有化合物(B)>
イソシアネート基含有化合物(B)としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート、これらの変性体等が挙げられる。
【0024】
芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、フェニレンジイソシアネート(PPDI)、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、メチルシクロへキサンジイソシアネート(水素化TDI)、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート(水素化MDI)、シクロへキサンジイソシアネート(水素化PPDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロへキサン(水素化XDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、へキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ブタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルへキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルへキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0025】
配合されるポリチオール化合物(A)が、メルカプト脂肪酸エステル化物及びチオールイソシアヌレート化合物である場合、配合されるイソシアネート基含有化合物(B)は、へキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の1種又は2種以上が好ましい。また、これらの中では、へキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロへキサン(水素化XDI)及びトリレンジイソシアネート(TDI)の1種又は2種以上がより好ましい。
【0026】
また、芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネートの変性体としては、トリメチロールプロパンとイソシアネートとの反応により得られるTMP(トリメチロールプロパン)アダクト型変性体、イソシアネートの3量化により得られるイソシアヌレート型変性体、ウレアとイソシアネートとの反応により得られるビューレット型変性体、ウレタンとイソシアネートとの反応により得られるアロファネート型変性体、ポリオールとの反応で得られるプレポリマー体等が挙げられ、適宜、使用することができる。
【0027】
なお、TMPアダクト型変性体、イソシアヌレート型変性体、ビューレット型変性体、アロファネート型変性体としては、接着性の向上の観点から、次の変性体が好ましい。
すなわち、TMPアダクト型変性体としては、TMPとTDIとの反応により得られるTMPアダクト型変性体、TMPとXDIとの反応により得られるTMPアダクト型変性体、TMPと水添XDIとの反応により得られるTMPアダクト型変性体、TMPとIPDIとの反応により得られるTMPアダクト型変性体、TMPとHDIとの反応により得られるTMPアダクト型変性体、及びTMPとMDIとの反応により得られるTMPアダクト型変性体が好ましい。
また、イソシアヌレート型変性体としては、HDIの3量化により得られるイソシアヌレート型変性体、IPDIの3量化により得られるイソシアヌレート型変性体、TDIの3量化により得られるイソシアヌレート型変性体、及び水添XDIの3量化により得られるイソシアヌレート型変性体、が好ましい。
また、ビューレット型変性体としては、ウレアとHDIとの反応により得られるビューレット型変性体、が好ましい。
また、アロファネート型変性体としては、ウレタンとIPDIとの反応により得られるアロファネート型変性体が好ましい。
【0028】
上記TMPアダクト型変性体、イソシアヌレート型変性体、ビューレット型変性体及びアロファネート型変性体の少なくとも1種と組み合せて使用されるポリチオール化合物(A)としては、好ましくは1級チオール基を有するβ−メルカプトプロピオン酸エステル化物及び1級チオール基を有するチオールイソシアヌレート化合物の1種又は2種である。
ここで、1級チオール基を有するβ−メルカプトプロピオン酸エステル化物としては、好ましくはペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PEMP)及びジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)DPMPの少なくとも1種である。また、この1級チオール基を有するチオールイソシアヌレート化合物としては、好ましくは1分子中におけるチオール基の数が3個である1級チオール基を有するチオールイソシアヌレート化合物であり、より好ましくはトリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート(TEMPIC)である。
【0029】
<ラジカル発生剤(C)>
ラジカル発生剤(C)としては、熱ラジカル発生剤及び光ラジカル発生剤の少なくとも1種を用いることができる。これらの中で、接着力の向上の観点及び透明ではない(光を通さない)ゴムを接着できるという観点から、熱ラジカル発生剤が好ましく、過酸化物からなる熱ラジカル発生剤がより好ましく、有機過酸化物からなる熱ラジカル発生剤が更に好ましい。
ラジカル発生剤(C)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0030】
有機過酸化物からなる熱ラジカル発生剤としては、例えば、t-ブチル-2-エチルペルオキシヘキサノアート、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノアート、1,1−ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサノン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ(t-ブチル)パーオキサイド、過酸化ベンゾイル1,1'-ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、過酸化ベンゾイル、1,1'-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジクミルパーオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、t-ブチル-2-エチルペルオキシヘキサノアート、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノアート、1,1−ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサノン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、及びt-ブチルクミルパーオキサイドの少なくとも1種である。有機過酸化物からなる熱ラジカル発生剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0031】
無機過酸化物からなる熱ラジカル発生剤としては、過酸化水素と鉄(II)塩との組み合わせ、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ、等の酸化剤と還元剤の組み合わせからなるレドックス発生剤が挙げられる。無機化酸化物からなる熱ラジカル発生剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0032】
光ラジカル発生剤としては、公知のものを広く用いることができ、特に制限されるものではない。
例えば分子内開裂型の光ラジカル発生剤が挙げられ、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル系光ラジカル発生剤;2,2−ジエトキシアセトフェノン、4'−フェノキシ−2,2−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン系光ラジカル発生剤;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4'−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4'−ドデシル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン系光ラジカル発生剤;ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−エチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン等のアントラキノン系光ラジカル発生剤;アシルフォスフィンオキサイド系光ラジカル発生剤等が挙げられる。
【0033】
また、その他水素引き抜き型の光ラジカル発生剤としてベンゾフェノン/アミン系光ラジカル発生剤、ミヒラーケトン/ベンゾフェノン系光ラジカル発生剤、チオキサントン/アミン系光ラジカル発生剤等を挙げることができる。また未反応光ラジカル発生剤のマイグレーションを避けるため非抽出型光ラジカル発生剤を用いることができる。例えばアセトフェノン系ラジカル発生剤を高分子化したもの、ベンゾフェノンにアクリル基の二重結合を付加したものがある。
これらの光ラジカル発生剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0034】
<任意成分>
本発明の組成物は、更に任意成分が配合されてもよい。任意成分としては、ウレタン化触媒、表面調整剤、溶剤、バインダー、フィラー、顔料分散剤、導電性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、乾燥防止剤、浸透剤、pH調整剤、金属封鎖剤、防菌防かび剤、界面活性剤、可塑剤、ワックス、レベリング剤等が挙げられる。
【0035】
(ウレタン化触媒(D))
ウレタン化触媒(D)としては、任意のウレタン化触媒を用いることができる。該ウレタン化反応用触媒としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズチオカルボキシレート、オクテン酸スズ、モノブチルスズオキシド等の有機スズ化合物;塩化第一スズ等の無機スズ化合物;オクテン酸鉛等の有機鉛化合物;ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン(TEDA)、ベンジルジメチルアミン、2,2’-ジモルホリノエチルエーテル、N−メチルモルフォリン等のアミン類;p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロ硫酸等の有機スルホン酸;硫酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸;ナトリウムアルコラート、水酸化リチウム、アルミニウムアルコラート、水酸化ナトリウム等の塩基類;テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のチタン化合物;ビスマス化合物;四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは上記アミン類であり、より好ましくはトリエチレンジアミン(TEDA)である。これら触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0036】
(表面調整剤(E))
表面調整剤(E)としては、任意の表面調整剤を使用することができる。該表面調整剤としては、アクリル系、ビニル系、シリコーン系、フッ素系などが挙げられる。これらの中でも、相溶性と表面張力低下能の観点からシリコーン系が好ましい。
【0037】
(溶剤)
溶剤としては、他の配合成分と反応しないものであれば特に制限はなく、芳香族溶媒や脂肪族溶媒が挙げられる。
芳香族溶媒の具体例としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。脂肪族溶媒としては、ヘキサン等が挙げられる。
【0038】
<各成分の配合量>
配合されるポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数に対する、配合されるイソシアネート基含有化合物(B)に含まれるイソシアネート基の合計モル数の比(イソシアネート基/チオール基)は、好ましくは0.2以上0.78以下である。当該比(イソシアネート基/チオール基)が0.2以上であれば、組成物が十分に強固に硬化し、接着強度が大きくなる。また、当該比(イソシアネート基/チオール基)が0.78以下であれば、チオール基が十分な存在量となるために、例えばチオール基とゴム部材の炭素−炭素二重結合との間でのチオール・エン反応が十分に行われて、組成物をゴム部材に強固に接着させることができるようになり、接着強度が大きい。従って、当該比(イソシアネート基/チオール基)は、より好ましくは0.3以上であり、更に好ましくは0.7以下であり、より更に好ましくは0.4〜0.7である。
ここで、配合されるポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数は、配合されるポリチオール化合物(A)のモル数に、ポリチオール化合物(A)の1分子が有するチオール基数を乗じることにより算出することができる。
また、配合されるイソシアネート基含有化合物(B)に含まれるイソシアネート基の合計モル数は、JIS K1603−1 B法により測定することができる。
更に、上記モル数の比(イソシアネート基/チオール基)は、上記のようにして得られる、配合されるイソシアネート基含有化合物(B)に含まれるイソシアネート基の合計モル数を、配合されるポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数で除することにより求めることができる。
【0039】
配合されるポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数に対する、配合されるラジカル発生剤(C)の合計モル数の比(ラジカル発生剤(C)/チオール基)は、0.025以上であることが好ましい。これにより、接着性が向上する。この観点から、当該比(ラジカル発生剤(C)/チオール基)は、好ましくは0.03以上であり、より好ましくは0.035以上であり、更に好ましくは0.04以上である。また、接着性の向上の観点から、当該比(ラジカル発生剤(C)/チオール基)は、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.45以下であり、更に好ましくは0.4以下である。
【0040】
任意成分として、炭素−炭素二重結合を含む化合物を配合してもよい。ただし、この炭素−炭素二重結合を含む化合物の配合量が多くなると、ポリチオール化合物(A)がこの炭素−炭素二重結合を含む化合物と反応してしまう。これにより、ポリチオール化合物(A)とゴム中の炭素−炭素二重結合との間のチオール・エン反応が生じ難くなり、ゴムに対する組成物の接着力が低下するおそれがある。または、これにより、ゴムの炭素-炭素結合主鎖からの水素引き抜き反応により、ポリチオール化合物(A)のチオール基の硫黄原子と炭素−炭素結合の炭素原子とが化学的に結合する反応が生じ難くなり、ゴムに対する組成物の接着力が低下するおそれがある。したがって、配合されるポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数に対する、配合される炭素−炭素二重結合を含む化合物に含まれる炭素−炭素二重結合の合計モル数の比(炭素−炭素二重結合/チオール基)が、0.4未満であることが好ましく、0.1未満であることが好ましく、0.08以下であることがより好ましく、0.05以下であることが更に好ましく、0.01以下であることがより更に好ましい。
ここで、配合される炭素−炭素二重結合を含む化合物に含まれる炭素−炭素二重結合の合計モル数は、配合される当該化合物のモル数に、当該化合物の1分子が有する炭素−炭素二重結合の数を乗じることにより求めることができる。
また、上記モル数の比(炭素−炭素二重結合/チオール基)は、上記のようにして得られる、炭素−炭素二重結合の合計モル数を、配合されるポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数で除することにより求めることができる。
【0041】
上記のとおり、本発明に係る組成物は、必須成分である成分(A)〜(C)の他に、任意成分を含有してもよい。しかし、ゴム特に加硫ゴムを強力に接着するという観点から、組成物中における成分(A)〜(C)の合計含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上である。
同様の観点から、成分(A)〜(E)の合計含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上、更に好ましくは100質量%である。
【0042】
[接着剤]
本発明で用いる接着剤は、上記の組成物を含む。この接着剤は、本発明の目的を阻害しない範囲内において、上記の組成物以外の成分を含んでもよい。しかし、本発明の効果を良好に発現させる観点から、接着剤中における組成物の含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上、更に好ましくは100質量%である。
塗布する際の接着剤の厚さは、接着する対象や要求される接着強度に応じて適宜選択することができるが、例えば、1〜1000μmであり、好ましくは20〜300μmであり、より好ましくは30〜200μmである。
【0043】
[接着シート]
本発明では、前記接着剤を接着シートにしてから用いることもできる。該接着シートは、前述した組成物又は該組成物を含む接着剤を用いてなるものである。
この接着シートは、剥離紙や剥離フィルム等の剥離シート上に前記組成物又は前記接着剤を塗布し、シート形状を保持することにより、好適に製造することができる。または、張り合わせたい部材の表面に前記接着剤を塗布し、保持することで製造することができる。この保持により、組成物中のチオール基とイソシアネート基の少なくとも一部がチオールウレタン反応することにより、シート形状になるものと考えられる。
なお、塗布後、常温で放置することにより、接着シートを好適に製造することができる。また、塗布後、ラジカル発生剤によるラジカル反応が開始しない程度に加熱することにより、接着シートを製造してもよい。以上の観点から、塗布後の放置温度又は加熱温度は、好ましくは−30〜60℃であり、より好ましくは−20〜40℃、更に好ましくは0〜40℃である。
また、保持時間は、ウレタン化触媒の量により調整することができる。シート化形成の作業性及び接着作業時にシート形状を維持し得る程度に保形させる観点から、好ましくは30分以上であり、より好ましくは60分以上である。
【0044】
剥離シートの材料としては特に制限はないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂;ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルスルフォン等のケトン系樹脂;ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン等のスルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする透明樹脂基板を好適に用いることができる。
接着シート(但し、剥離シートを除いた部位)の厚さは、接着する対象や要求される接着強度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、1〜1000μmであり、好ましくは20〜300μmであり、より好ましくは30〜200μmである。
言うまでもなく、接着シートを用いる際には、剥離シートを剥離してから又は剥離しながら用いる。
【0045】
本発明の接合体の製造方法では、前記接着剤をそのまま用いることもできるし、前記接着シートを用いることもできる。具体的には、以下の2態様が挙げられる。
(1)前記接着剤をゴム及び被着体の少なくとも一方に塗布し、塗布された接着剤を介して該ゴムと該被着体との重ね合わせて重ね合わせ体を得た後、該重ね合わせ体に加熱及び光照射の少なくとも一方を施すことによる、ゴムと被着体との接合体の製造方法。
(2)前記接着剤の接着シートを形成し、該接着シートを介してゴムと被着体との重ね合わせ体を得た後、該重ね合わせ体に加熱及び光照射の少なくとも一方を施すことによる、ゴムと被着体との接合体の製造方法。
ここで、「重ね合わせ体」とは、前記接着剤又は前記接着シートが、ゴムと被着体とに挟持された構造体であり、該接着剤又は該接着シートを加熱又は光照射する前の構造体のことを言う。該接着剤又は該接着シートは、ゴムの少なくとも1部と被着体の少なくとも1部の両方と接している。一方、「接合体」とは、前記重ね合わせ体に加熱及び光照射の少なくとも一方を施すことによって得られる構造体のことを言う。
また、上記の通り、重ね合わせ体及び接合体のいずれにおいても、接着剤又は該接着シートはゴムの少なくとも1部及び被着体の少なくとも1部と接していればよく、接する態様については特に制限はない。
【0046】
<ゴム>
ゴムは、加硫ゴムであっても未加硫ゴムであってもよい。本発明の接着方法によれば、ゴムがたとえ加硫ゴムであっても、被着体と強力に接着させることが可能である。
また、ゴムは炭素−炭素二重結合を有することが好ましい。この場合、前記接着剤又は前記接着シートに接するゴムが有する炭素−炭素二重結合の炭素原子が、前記接着剤又は前記接着シートが有するポリチオール化合物(A)のチオール基の硫黄原子と炭素−硫黄結合を形成すると推測される。
ただし、ゴムが炭素−炭素二重結合を有しなくても、ゴムと被着体とを接着することができると推測される。この場合、ポリチオール化合物(A)による、ゴム中に存在する炭素-炭素結合主鎖からの水素引き抜き反応により、ポリチオール化合物(A)のチオール基の硫黄原子と炭素−炭素結合の炭素原子とが化学的に結合すると推測される。しかし、接着力の向上の観点からは、ゴム層を構成するゴムが、炭素−炭素二重結合を有することが好ましい。
また、ゴムの材料は特に限定されず、例えば天然ゴム;ポリイソプレン合成ゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)等の共役ジエン系合成ゴム;エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、ポリシロキサンゴムなどが挙げられるが、これらの中では天然ゴム及び共役ジエン系合成ゴムが好ましい。また、ゴムは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
<被着体>
上記製造方法(1)及び(2)に記載の被着体は、ゴム、金属又は樹脂のいずれであってもよい。
被着体がゴムである場合、接着するゴムと同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
被着体が金属又は樹脂である場合にも、前記接着剤と強力に接着する。チオール基は塩基として作用して金属化合物と強い結合を作りやすいためと推測され、また、樹脂化合物とは水素引抜反応により結合を形成するためと推測される。
【0048】
本発明の接合体の製造方法においては、ゴム、被着体、そして接着剤又は接着シートの組み合わせに特に制限はないが、以下の態様の場合には、より一層、容易且つ強力にゴムと被着体とを接着させることができるため好ましい。
例えば、ゴムとの接着性がより良好な接着剤又は接着シート(接着剤(A)又は接着シート(A)と称する)と、被着体との接着性がより良好な接着剤又は接着シート(接着剤(B)又は接着シート(B)と称する)がある場合、次の接合体の製造方法が好ましい。
(1−1)接着剤(A)をゴムに塗布し、かつ接着剤(B)を被着体に塗布し、塗布された接着剤(A)及び(B)を介して該ゴムと該被着体との重ね合わせて重ね合わせ体を得た後、該重ね合わせ体に加熱及び光照射の少なくとも一方を施すことによる、ゴムと被着体との接合体の製造方法。
(2−1)前記接着剤の接着シート(A)及び(B)の積層シートを形成し、接着シート(A)をゴムへ接触させ、かつ接着シート(B)を被着体へ接触させ、接着シート(A)及び(B)の積層シートを介してゴムと被着体との重ね合わせ体を得た後、該重ね合わせ体に加熱及び光照射の少なくとも一方を施すことによる、ゴムと被着体との接合体の製造方法。
これらの中でも、ゴムとの接着性がより良好な接着剤(A)又は接着シート(A)と、被着体との接着性がより良好な接着剤(B)又は接着シート(B)がある場合は、接着力の観点から、前記製造方法(1−1)が好ましい。
【0049】
(接合体の製造方法(1):接着剤を用いる場合)
接着剤の塗布後に所定時間放置する場合、放置時間は、硬化時に接着剤が重ね合せ体から漏れ出ないように接着剤を保形する観点から、好ましくは0〜30分であり、より好ましくは1〜15分である。
得られた「ゴム−接着剤−被着体」の重ね合せ体にプレス圧を加える場合、接着力を向上させると共に積層体から接着剤が漏出することを防止又は抑制する観点から、プレス圧は、好ましくは0〜5MPaであり、より好ましくは0〜2.5MPaであり、更に好ましくは0〜1MPaである。また、同様の観点から、プレス時間は、好ましくは5〜120分であり、より好ましくは10〜60分であり、更に好ましくは15〜45分である。
【0050】
接着剤がラジカル発生剤として熱ラジカル発生剤を含んでいる場合、硬化は加熱により行うことが好ましい。加熱温度は熱ラジカル発生剤が効率よくラジカルを発生する温度を適宜選択することができるが、好ましくは熱ラジカル発生剤の1分間半減期温度±30℃付近である。
接着剤がラジカル発生剤として光ラジカル発生剤を含んでいる場合、硬化は光照射により行うことが好ましい。光としては、紫外線、可視光線、赤外線、X線などの電磁波;α線、γ線、電子線などの粒子線から選択される少なくとも1種を好ましく用いることができる。これらの中でも、光としては、紫外線が好ましい。接着力の向上及びコスト低減の観点から、光源としては、紫外線ランプを好適に用いることができる。また、同様の観点から、光照射時間は、好ましくは数秒〜数十秒であり、より好ましくは1秒〜40秒、更に好ましくは3秒〜20秒である。
加熱及び光照射のいずれの操作においても、接着剤に熱エネルギー又は光エネルギーが伝達すれば、加熱する部位又は光照射する部位に特に制限はなく、重ね合わせ体のどこへ加熱又は光照射してもよい。つまり、接着剤を直接加熱又は光照射してもよいし、ゴム及び/又は被着体を介して接着剤が加熱又は光照射されてもよい。
なお、加熱によって硬化させた場合にも強力な接着力が得られることは、接着剤へ十分な光照射をし難い場合に、加熱する方法を採用できる点で有益であり、かつ、重ね合わせ体のどの部位へ加熱及び/又は光照射をしても強力に接着させられる点で、操作が容易となり好ましい。
【0051】
(接合体の製造方法(2):接着シートを用いる場合)
ゴムと被着体との重ね合わせ体は、接着シート1枚を介して得られたものであってもよいし、接着シート2枚以上を介して得られたものであってもよい。
コスト及び作業性の観点からは、接着シート1枚又は2枚を介していることが好ましい。特に、ゴムとの接着性がより良好な接着シート(A)と、被着体との接着性がより良好な接着シート(B)とを用いることが好ましい場合においては、接着シート2枚を介していることが好ましい。
接着シートを介したゴムと被着体との重ね合せ体にプレス圧を加える場合、接着力を向上させる観点から、プレス圧は、好ましくは0.1〜5MPaであり、より好ましくは0.2〜4MPaであり、更に好ましくは0.3〜3MPa、より更に好ましくは0.4〜3MPaである。
なお、それ以外のプレス条件(プレス時間)や、硬化条件(加熱温度、加熱時間、光源、及び光照射時間)は、前述した接着剤を用いる場合と同様である。
加熱及び光照射のいずれの操作においても、接着シートに熱エネルギー又は光エネルギーが伝達すれば、加熱する部位又は光照射する部位に特に制限はなく、重ね合わせ体のどこへ加熱又は光照射してもよい。つまり、接着シートを直接加熱又は光照射してもよいし、ゴム及び/又は被着体を介して接着シートが加熱又は光照射されてもよい。
なお、前述のとおり、加熱によって硬化させた場合にも強力な接着力が得られることは、接着剤へ十分な光照射をし難い場合に、加熱する方法を採用できる点で有益であり、かつ、重ね合わせ体のどの部位へ加熱及び/又は光照射をしても強力に接着させられる点で、操作が容易となり好ましい。
【0052】
[接合体]
本発明は、前記接合体の製造方法により、以下の接合体を提供する。
本発明の接合体は、少なくとも2層の少なくとも1部が接着されてなる接合体であって、少なくとも1つの層がゴム層からなり、前記ゴム層のうちの少なくとも1つの層が、前記接着剤又は前記接着シートを介して、隣接する層に接着されてなるものである。
接着剤又は接着シートを介して隣接する層に接着する方法は、前記接合体の製造方法の通りである。
複数の層は、すべてゴム層でもよく、ゴム層以外の層(例えば、金属層や樹脂層など)が含まれていてもよい。
各層の寸法や層数は、目的に応じて適宜選択することができる。
ゴム層を構成するゴムは、前記ゴムの説明と同じである。ゴム層以外の層としては、前記説明の通り、金属層や樹脂層が挙げられる。
本発明の積層体においては、前記接着剤又は前記接着シートと接するゴム層が有するゴム中の炭素原子が、該接着剤又は該接着シートが含有するポリチオール化合物(A)のチオール基の硫黄原子と炭素−硫黄結合を形成することによって、強力な接着力を発現しているものと推測する。
この炭素−硫黄結合は、ポリチオール化合物(A)の他の一部が、ラジカル発生剤(C)と反応してチイルラジカルが生じ、このチイルラジカルが、ゴム中に存在する炭素−炭素二重結合と反応して形成されたものであるか、または、ゴム中に存在する炭素−炭素結合主鎖からの水素引き抜き反応により、ポリチオール化合物(A)のチオール基の硫黄原子と炭素−炭素結合の炭素原子とが化学的に結合して形成されたものと推測する。
【実施例】
【0053】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0054】
[原料等]
原料等としては、次のものを用いた。
<ポリチオール化合物(A)(成分(A))>
ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート) (PEMP):SC有機化学株式会社製、チオール基4個
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート) (DPMP):SC有機化学株式会社製、チオール基6個
トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート (TEMPIC):SC有機化学株式会社製、商品名「TEMPIC」、チオール基3個
【化1】
【0055】
<イソシアネート基含有化合物(B)(成分(B))>
HDIビューレット変性型イソシアネート:住友バイエルウレタン(株)製、商品名「デスモジュールN3200」、NCO含有率:23.0質量%
HDIイソシアヌレート変性型イソシアネート:日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHXLV」、NCO含有率:23.2質量%
IPDIイソシアヌレート変性型イソシアネート:住化バイエルウレタン(株)製、商品名「デスモジュールZ4470BA」、NCO含有率:11.9質量%
IPDIアロファネート変性型イソシアネート:住化バイエルウレタン(株)製、商品名「デスモジュールXP2565」、NCO含有率:12.0質量%
TDI TMPアダクト変性型イソシアネート:住化バイエルウレタン(株)製、商品名「デスモジュールL75(C)」、NCO含有率:13.3質量%
TDIイソシアヌレート変性型イソシアネート:三井化学ポリウレタン(株)製、商品名「D-204」、NCO含有率:7.5質量%
XDI TMPアダクト変性型イソシアネート:三井化学ポリウレタン(株)製、商品名「D-110N」、NCO含有率:11.5質量%
H
6XDI TMPアダクト変性型イソシアネート:三井化学ポリウレタン(株)製、商品名「D-120N」、NCO含有率:11.0質量%
H
6XDI イソシアヌレート変性型イソシアネート:三井化学ポリウレタン(株)製、商品名「D-127N」、NCO含有率:13.5質量%
IPDI:エボニックデグサジャパン(株)製、商品名「VESTANAT IPDI」、NCO含有率:37.6質量%
【0056】
<ラジカル発生剤(C)(成分(C))>
t−ブチル−2−エチルペルオキシヘキサノアート:日本油脂株式会社製、商品名「パーブチルO」
ジラウロイルパーオキサイド:日本油脂株式会社製、商品名「パーロイルL」
1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノアート:日本油脂株式会社製、商品名「パーオクタO」
1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサノン:日本油脂株式会社製、商品名「パーヘキサHC」
ジ−t−ブチルパーオキサイド:日本油脂株式会社製、商品名「パーブチルD」
t−ブチルクミルパーオキサイド:日本油脂株式会社製、商品名「パーブチルC」
【0057】
<ウレタン化触媒(D)(成分(D))>
トリエチレンジアミン(TEDA): Air Products社製、商品名「DABCO 33LV catalyst」
【0058】
<表面調整剤(E)(成分(E))>
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとポリエーテルの混合物:ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−307」、含有量100%
【0059】
[チオール基数の測定]
配合されるポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数は、配合量を理論分子量で除し、ポリチオール化合物(A)の1分子が有するチオール基数を乗じることにより算出することにより求めた。
【0060】
[イソシアネート基数の測定]
配合されるイソシアネート基含有化合物(B)に含まれるイソシアネート基の合計モル数は、JIS K1603−1 B法により測定した。
【0061】
[ゴム部材の製造]
下記の表1の配合に従い、150mm×270mm×厚さ3.4mmに圧延したシートを製造し、このシートを3枚重ね、150mm×270mm×10mmモールド中で、150℃、45分の条件で加硫を行った。次いで、モールドから取り出した加硫シートを縦100mm、幅25mmにカットして、引張試験用サンプルとしてのゴム部材(縦100mm×横25mm×厚さ10mm)を製造した。
【0062】
【表1】
【0063】
なお、表1中の各成分の詳細は、次のとおりである。
天然ゴム(NR):RSS#3
ポリブタジエンゴム(BR):JSR社製、商品名「JSR BRO1」
スチレン・ブタジエン共重合体ゴム(SBR):JSR社製、商品名「JSR 1500」
ポリイソプレン合成ゴム(IR):JSR社製、商品名「JSR IR2200」
カーボンブラック:旭カーボン株式会社製、商品名「旭#70」
老化防止剤:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
加硫促進剤1:1,3−ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーD(D−P)」
加硫促進剤2:ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーDM−P(DM)」
【0064】
(鋼板)
鋼板としては、株式会社テストピース社製の「SPCC−SD」(型番)を利用した。
【0065】
[接着剤の硬化体についての接着力の測定方法]
接着剤を、厚さが30μmになるように2枚のゴム部材に塗布し、塗布面を貼り合せて硬化させた。硬化は、温度150℃にて、0.05MPaのプレス圧を加えながら30分保持することにより行った。該ゴム部材を、引張速度50mm/分の条件で、180度の方向に引っ張り、剥離強度(N/25mm)を測定して接着性の指標とした。
[接着シートの硬化体についての接着力の測定方法]
厚さ30μmの接着シートを、ゴム部材同士で挟み、硬化させた。硬化は、温度150℃にて、2.5MPaのプレス圧を加えながら30分保持することにより行った。該ゴム部材を、引張速度50mm/分の条件で、180度の方向に引っ張り、剥離強度(N/25mm)を測定して接着性の指標とした。
接着力の値としては100N/25mm以上の力であればゴム基材が破壊されるレベルの十分な接着力を有する。好ましくは300N/25mm以上である。また、50N/25mm以上100N/25mm未満の場合でも、部分的にゴム破壊が観測されるレベルの接着力を有し、用途によっては十分使用することが可能である。一方、50N/25mm未満の力では基材と接着剤の反応が十分でなく界面で剥離している状態あるいは接着力の凝集力が十分でなく、接着剤自身が凝集破壊してしまう。そのような状態では、いずれも接着力は十分とは言えない。
【0066】
[実施例1〜9及び比較例1〜2並びに実施例10〜18及び比較例3〜4]
実施例1〜9及び比較例1〜2(接着剤)では、配合されるポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数に対する、配合されるイソシアネート基含有化合物(B)に含まれるイソシアネート基の合計モル数の比(イソシアネート基/チオール基)を変えることにより、当該比(イソシアネート基/チオール基)と接着力との関係を検討した。
また、実施例10〜18及び比較例3〜4(接着シート)では、上記実施例1〜9及び比較例1〜2(接着剤)の接着剤を接着シートにしたこと以外は同様にして、当該比(イソシアネート基/チオール基)と接着力との関係を検討した。
次に、これら実施例及び比較例について具体的に説明する。
【0067】
<実施例1〜9、比較例1〜2(接着剤)>
下記表2に示すとおり(各成分の数値は質量部を示す。)に各成分を配合して組成物を得、当該組成物を接着剤とした。
得られた接着剤を、上記のとおりに硬化し、上記のとおりに接着剤の硬化体についての接着力を測定した。ゴム部材としてはNR/BRを用いた。その結果を表3に示す。
なお、表2並びに後述する表4、表6、表8、表10及び表12において、チオール官能基濃度とは、接着剤又は接着シートの各構成成分の合計量に対するチオール基の濃度(mmol/g)のことをいう。また、NCO官能基濃度とは、接着剤又は接着シートの各構成成分の合計量に対するイソシアネート基の濃度(mmol/g)のことをいう。更に発生剤濃度とは、接着剤又は接着シートの各構成成分の合計量に対するラジカル発生剤の濃度(mmol/g)のことをいう。但し、各構成成分は相互に反応したり分解したりすることがあるため、いずれの値も、各構成成分が反応又は分解する前において算出した値、換言すると、実際に配合する直前の各構成成分の量から算出される理論値とした。
【0068】
<実施例10〜18、比較例3〜4(接着シート)>
表2に示すとおり、実施例10〜18及び比較例3〜4では、それぞれ、実施例1〜9及び比較例1〜2と同様の接着剤を用意した。
当該接着剤をPET製剥離シート上に塗布し、室温で30分間保持することにより、縦100mm、横25mm、厚さ30μmの接着シートを得た。
得られた接着シートを、上記のとおりに硬化し、上記のとおりに接着シートの硬化体についての接着力を測定した。ゴム部材としては、実施例1と同様にNR/BRを用いた。その結果を表3に示す。
【0069】
[実施例19〜24及び比較例5並びに実施例25〜30及び比較例6]
実施例19〜24及び比較例5(接着剤)では、主に配合されるポリチオール化合物(A)に含まれるチオール基の合計モル数に対する、配合されるラジカル発生剤(C)の合計モル数の比(ラジカル発生剤(C)/チオール基)を変えることにより、当該比(ラジカル発生剤(C)/チオール基)と接着力との関係を検討した。
また、実施例25〜30及び比較例6(接着シート)では、上記実施例19〜24及び比較例5(接着剤)の接着剤を接着シートにしたこと以外は同様にして、当該比(ラジカル発生剤(C)/チオール基)と接着力との関係を検討した。
次に、これら実施例及び比較例について具体的に説明する。
【0070】
<実施例19〜24及び比較例5>
表4に示す配合としたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表5に示す。
【0071】
<実施例25〜30及び比較例6>
表4に示す配合としたこと以外は実施例10と同様の操作を行った。その結果を表5に示す。
【0072】
[実施例31〜36及び実施例37〜42]
実施例31〜36(接着剤)では、接着対象物であるゴムの種類を変えることにより、接着対象物であるゴムの種類と接着力との関係を検討した。
また、実施例37〜42(接着シート)では、上記実施例31〜36(接着剤)の接着剤を接着シートにしたこと以外は同様にして、接着対象物であるゴムの種類と接着力との関係を検討した。
次に、これら実施例について具体的に説明する。
【0073】
<実施例31〜36>
表6に示す配合とし、表7に示すゴム部材を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表7に示す。
【0074】
<実施例37〜42>
表6に示す配合とし、表7に示すゴム部材を用いたこと以外は実施例10と同様の操作を行った。その結果を表7に示す。
【0075】
[実施例43〜44及び実施例45〜46]
実施例43〜44(接着剤)では、配合されるポリチオール化合物(A)の種類を変えることにより、ポリチオール化合物(A)と接着力との関係を検討した。
また、実施例45〜46(接着シート)では、上記実施例43〜44(接着剤)の接着剤を接着シートにしたこと以外は同様にして、ポリチオール化合物(A)の種類と接着力との関係を検討した。
次に、これら実施例について具体的に説明する。
【0076】
<実施例43〜44(接着剤)>
表8に示す配合とし、表9に示すポリチオール化合物(A)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表9に示す。
【0077】
<実施例45〜46(接着シート)>
表8に示す配合とし、表9に示すポリチオール化合物(A)を用いたこと以外は実施例10と同様の操作を行った。その結果を表9に示す。
【0078】
[実施例47〜55及び実施例56〜64]
実施例47〜55(接着剤)では、配合されるイソシアネート基含有化合物(B)の種類を変えることにより、イソシアネート基含有化合物(B)の種類と接着力との関係を検討した。
また、実施例56〜64(接着シート)では、上記実施例47〜55(接着剤)の接着剤を接着シートにしたこと以外は同様にして、イソシアネート基含有化合物(B)との関係を検討した。
次に、これら実施例について具体的に説明する。
【0079】
<実施例47〜55(接着剤)>
表10に示す配合とし、表11に示すイソシアネート基含有化合物(B)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表11に示す。
【0080】
<実施例56〜64(接着シート)>
表10に示す配合とし、表11に示すイソシアネート基含有化合物(B)を用いたこと以外は実施例10と同様の操作を行った。その結果を表11に示す。
【0081】
[実施例65〜69及び実施例70〜74]
実施例65〜69(接着剤)では、配合されるラジカル発生剤(C)の種類を変えることにより、ラジカル発生剤(C)の種類と接着力との関係を検討した。
また、実施例70〜74(接着シート)では、上記実施例65〜69の接着剤を接着シートにしたこと以外は同様にして、接着対象物であるゴムの種類と接着力との関係を検討した。
次に、これら実施例について具体的に説明する。
【0082】
<実施例65〜69(接着剤)>
表12に示す配合とし、表13に示すラジカル発生剤(C)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表13に示す。
【0083】
<実施例70〜74(接着シート)>
表12に示す配合とし、表13に示すラジカル発生剤(C)を用いたこと以外は実施例10と同様の操作を行った。その結果を表13に示す。
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
【表7】
【0090】
【表8】
【0091】
【表9】
【0092】
【表10】
【0093】
【表11】
【0094】
【表12】
【0095】
【表13】
【0096】
[評価]
表2〜表13に示すとおり、実施例1〜74では、成分(A)〜(C)を含んでいるため、接着力が非常に高く、特に実施例2〜8、11〜17及び19〜74では、成分(A)に含まれるチオール基の合計モル数に対する、成分(B)に含まれるイソシアネート基の合計モル数の比(イソシアネート基/チオール基)が0.2以上かつ0.78以下であるため、接着力が極めて高かった。
一方、比較例1〜4は、ポリチオール化合物(A)又はイソシアネート基含有化合物(B)を用いていないため、接着力が低かった。
また、比較例5及び6は、ラジカル発生剤(C)を配合していないため、接着力が低かった。
このように、本発明の製造方法では、接着剤又は接着シートと接するゴム層が有するゴム中の炭素原子が、該接着剤又は該接着シートが含有するポリチオール化合物(A)のチオール基の硫黄原子と炭素−硫黄結合を形成することによって、強力な接着力を発現するために、手間をかけずに容易に強力に接着させて接合体を製造できたものと推測する。