【実施例】
【0051】
以下に本発明の実施例および比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0052】
<金属材料>
実施例および比較例で使用する金属材料を、以下に示す。
・溶融亜鉛めっき鋼板(GI)板厚=0.8mm、目付量=90/90(g/m
2)
・電気亜鉛めっき鋼板(EG)板厚=0.8mm、目付量=30/30(g/m
2)
・アルミ亜鉛合金めっき鋼板(GL)板厚=0.8mm、目付量=90/90(g/m
2)
【0053】
<金属材料の清浄>
中アルカリ脱脂剤{ファインクリーナーE6406、日本パーカライジング(株)製}建浴濃度:20g/lを用い、処理温度:60℃、処理時間:20秒の条件で、上記金属材料の表面をスプレー処理し、表面に付着しているゴミや油を除去した。次いで、表面に残存しているアルカリ分を水道水により洗浄し、金属材料の表面を清浄化した。
【0054】
<金属材料用表面処理剤の調製>
(合成例1:反応生成物A1の合成)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを684質量部、エピクロルヒドリンを370質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物272質量部に対して、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを46質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a1)を得た。
この反応生成物(a1)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=150/130/14.4の質量割合の混合物を740質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水1200質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A1を得た。
この反応生成物A1の重量平均分子量は27000、エポキシ当量は13500、水酸基価は185mgKOH/g、酸価は34mgKOH/g、ガラス転移温度は90℃であった。
【0055】
(合成例2:反応生成物A2の合成)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを205質量部、エピクロルヒドリンを93質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物784質量部に対して、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテック製、EX−821)を60質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a2)を得た。
この反応生成物(a2)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=150/91/14.4の質量割合の混合物を790質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水1200質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A2を得た。
この反応生成物A2の重量平均分子量は75000、エポキシ当量は37500、水酸基価は156mgKOH/g、酸価は39mgKOH/g、ガラス転移温度は60℃であった。
【0056】
(合成例3:反応生成物A3の合成)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンを100質量部、エピクロルヒドリンを56質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物534質量部に対して、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテック製、EX−821)を60質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a3)を得た。
この反応生成物(a3)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=300/130/14.4の質量割合の混合物を241質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水700質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A3を得た。
この反応生成物A3の重量平均分子量は83000、エポキシ当量は41500、水酸基価は133mgKOH/g、酸価は24mgKOH/g、ガラス転移温度は60℃であった。
【0057】
(合成例4:反応生成物A4の合成)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを114質量部、エピクロルヒドリンを56質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物590質量部に対して、グリシジルメタクリレートを43質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a4)を得た。
この反応生成物(a4)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=900/390/72の質量割合の混合物を1230質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水1800質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A4を得た。
この反応生成物A4の重量平均分子量は44000、エポキシ当量は22000、水酸基価は138mgKOH/g、酸価は38mgKOH/g、ガラス転移温度は80℃であった。
【0058】
(合成例5:反応生成物A5の合成)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを114質量部、エピクロルヒドリンを56質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物590質量部に対して、グリシジルメタクリレートを43質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a5)を得た。
この反応生成物(a5)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=1200/390/384/36の質量割合の混合物を1800質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水4500質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A5を得た。
この反応生成物A5の重量平均分子量は63000、エポキシ当量は31500、水酸基価は96mgKOH/g、酸価は13mgKOH/g、ガラス転移温度は80℃であった。
【0059】
(合成例6:反応生成物A6の合成)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを456質量部、エピクロルヒドリンを278質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物312質量部に対して、アクリルアミドを28質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a6)を得た。
この反応生成物(a6)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=800/390/640/36の質量割合の混合物を2200質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水5000質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A6を得た。
この反応生成物A6の重量平均分子量は78000、エポキシ当量は39000、水酸基価は91mgKOH/g、酸価は14mgKOH/g、ガラス転移温度は70℃であった。
【0060】
(合成例7:反応生成物A7の合成)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを114質量部、エピクロルヒドリンを56質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物590質量部に対して、グリシジルメタクリレートを43質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a7)を得た。
この反応生成物(a7)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=2500/13/1280/72の質量割合の混合物を3500質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水5000質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A7を得た。
この反応生成物A7の重量平均分子量は119000、エポキシ当量は59500、水酸基価は10mgKOH/g、酸価は14mgKOH/g、ガラス転移温度は75℃であった。
【0061】
(合成例8:反応生成物A8の合成方法)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを114質量部、エピクロルヒドリンを56質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物590質量部に対して、グリシジルメタクリレートを43質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a8)を得た。
この反応生成物(a8)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=100/1300/36の質量割合の混合物を680質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水1000質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A8を得た。
この反応生成物A8の重量平均分子量は49000、エポキシ当量は24500、水酸基価は362mgKOH/g、酸価は17mgKOH/g、ガラス転移温度は50℃であった。
【0062】
(合成例9:反応生成物A9の合成)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを456質量部、エピクロルヒドリンを278質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物187質量部に対して、グリシジルメタクリレートを29質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a9)を得た。
この反応生成物(a9)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=200/130/22の質量割合の混合物を212質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水800質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A9を得た。
この反応生成物A9の重量平均分子量は10400、エポキシ当量は5200、水酸基価は135mgKOH/g、酸価は32mgKOH/g、ガラス転移温度は80℃であった。
【0063】
(合成例10:反応生成物A10の合成)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを114質量部、エピクロルヒドリンを56質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物590質量部に対して、グリシジルメタクリレートを43質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a10)を得た。
この反応生成物(a10)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=500/260/128/3.6の質量割合の混合物を800質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水1200質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A10を得た。
この反応生成物A10の重量平均分子量は30000、エポキシ当量は15000、水酸基価は147mgKOH/g、酸価は2.8mgKOH/g、ガラス転移温度は75℃であった。
【0064】
(合成例11:反応生成物A11の合成)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを114質量部、エピクロルヒドリンを56質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物590質量部に対して、グリシジルメタクリレートを43質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a11)を得た。
この反応生成物(a11)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=500/260/128/72の質量割合の混合物を870質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水1200質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A11を得た。
この反応生成物A11の重量平均分子量は32000、エポキシ当量は16000、水酸基価は138mgKOH/g、酸価は52mgKOH/g、ガラス転移温度は85℃であった。
【0065】
(合成例12:反応生成物A12の合成)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを456質量部、エピクロルヒドリンを278質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物187質量部に対して、グリシジルメタクリレートを28質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a12)を得た。
この反応生成物(a12)100質量部に対して、メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=3000/2560/144の質量割合の混合物を5150質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート20質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水6000質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A12を得た。
この反応生成物A12の重量平均分子量は175000、エポキシ当量は87500、水酸基価は1.6mgKOH/g、酸価は19mgKOH/g、ガラス転移温度は20℃であった。
【0066】
(合成例13:反応生成物A13の合成)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを114質量部、エピクロルヒドリンを56質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物590質量部に対して、グリシジルメタクリレートを43質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a13)を得た。
この反応生成物(a13)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=100/2600/72の質量割合の混合物を2500質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水4000質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A13を得た。
この反応生成物A13の重量平均分子量は86000、エポキシ当量は43000、水酸基価は402mgKOH/g、酸価は19mgKOH/g、ガラス転移温度は−30℃であった。
【0067】
(合成例14:反応生成物A14の合成)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを46質量部、エピクロルヒドリンを278質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物250質量部に対して、グリシジルメタクリレートを43質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a14)を得た。
この反応生成物(a14)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=20/26/25.6/7.2の質量割合の混合物を71質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水150質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A14を得た。
この反応生成物A14の重量平均分子量は5700、エポキシ当量は2850、水酸基価は128mgKOH/g、酸価は30mgKOH/g、ガラス転移温度は90℃であった。
【0068】
(合成例15:反応生成物A15の合成)
冷却管を備えたフラスコに、ジプロピレングリコールを670質量部、エピクロルヒドリンを560質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物400質量部に対して、グリシジルメタクリレートを43質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a15)を得た。
この反応生成物(a15)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=500/260/128/72の質量割合の混合物を870質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水2400質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A15を得た。
この反応生成物A15の重量平均分子量は32000、エポキシ当量は16000、水酸基価は138mgKOH/g、酸価は52mgKOH/g、ガラス転移温度は30℃であった。
【0069】
(合成例16:反応生成物A16の合成)
冷却管を備えたフラスコに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを228質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミドを17質量部加え、70℃で24時間反応させた。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液に20%の水酸化ナトリウム水溶液を12質量部加え、室温で5時間程度反応させ、クロロホルムで抽出し反応生成物を得た。
この反応生成物228質量部に対して、グリシジルメタクリレートを284質量部、ジメチルベンジルアミンを7質量部加え、130℃で4時間反応させ、反応生成物(a16)を得た。
この反応生成物(a16)100質量部に対して、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=500/260/128/72の質量割合の混合物を870質量部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量部とからなる混合物を2時間かけて滴下して4時間反応させた。その後、反応溶液を80℃に冷却し、トリエチルアミン5質量部および脱イオン水2400質量部を順に反応溶液に添加混合することにより、反応生成物A16を得た。
この反応生成物A16の重量平均分子量は32000、エポキシ当量は0、水酸基価は108mgKOH/g、酸価は52mgKOH/g、ガラス転移温度は80℃であった。
【0070】
(合成例17:ウレタン樹脂A17の合成)
ビスフェノールA型ジオール、ネオペンチルグリコールおよびイソフタル酸から得られるポリエステルジオール、イソホロンジイソシアネートおよび2,2−ジメチロールプロピオン酸を反応させた後、トリエチルアミンで中和し水分散化させることで、ウレタン樹脂A17を得た。この反応生成物A17の重量平均分子量は100000、エポキシ当量は0、水酸基価は0mgKOH/g、酸価は15mgKOH/g、ガラス転移温度は40℃であった。
【0071】
(合成例18:アクリル樹脂A18の合成)
エチレン−メタクリル酸共重合樹脂をジメチルエタノールアミンで中和し水分散化させることで、アクリル樹脂A18を得た。この反応生成物A18の重量平均分子量は200000、エポキシ当量は0、水酸基価は0mgKOH/g、酸価は250mgKOH/g、ガラス転移温度は25℃であった。
【0072】
(合成例19:エポキシ樹脂A19の合成)
市販品のエポキシ樹脂であるナガセケムテックス株式会社製のデナコールEX−313を、表1に示すエポキシ樹脂A19として使用した。この反応生成物A19の重量平均分子量は206、エポキシ当量は141、水酸基価は424mgKOH/g、酸価は0mgKOH/g、ガラス転移温度は40℃であった。
【0073】
上記合成例で製造された反応生成物(重合体(A))の各種特性は、以下の方法で特定した。各種特性を表1にまとめて示す。
【0074】
(反応生成物の性状測定:水酸基価)
上記合成例で製造された反応生成物の水酸基価は、JIS K 0070-1992に準ずる電位差滴定法で測定した。
【0075】
(反応生成物の性状測定:重量平均分子量)
上記合成例で製造された反応生成物の重量平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算値で測定した。
【0076】
(反応生成物の性状測定:ガラス転移温度)
上記合成例で製造された反応生成物のガラス転移温度は、JIS K 7121−1987に規定した示差走査熱量測定にて測定した。
【0077】
(反応生成物の性状測定:酸価)
上記合成例で製造された反応生成物の酸価は、JIS K 0070−1992に準ずる電位差滴定法で測定した。
【0078】
(反応生成物の性状測定:エポキシ当量)
上記合成例で製造された反応生成物のエポキシ当量は、JIS K7236−2001に定められる測定によって算出した。
【0079】
【表1】
【0080】
次に、上記合成例で製造された重合体(A)を用い、表2および表3に示す組成の金属材料用表面処理剤を調製し、実施例1〜41、比較例1〜15、および、比較例17〜20の試験片を作製した。
【0081】
加えて、6価クロムを含有する処理剤{ジンクロム−3360H(登録商標)、日本パーカライジング(株)製}を用い、30mg/m
2のクロム付着量となるように、クロム含有皮膜を形成させた比較例16の試験片を作製し、さらに6価クロムを含有する処理剤{アルクロム(登録商標)−1300AN、日本パーカライジング(株)製}を用い、50mg/m
2のクロム付着量となるように、クロム含有皮膜を形成させた比較例21の試験片を作製した。
【0082】
表2および表3中、「(A)(%)」〜「(E)(%)」は、上述した重合体(A)、化合物(B)、珪素化合物(C)、有機酸(D)、金属化合物(E)の各成分の全固形分質量に対する質量%を示す。なお、全固形分とは、金属材料用表面処理剤中に含まれ、皮膜を形成する成分を意図し、溶媒は含まれない。
「(A)/{(A)+(B)+(C)}(%)」は、重合体(A)と化合物(B)と珪素化合物(C)との合計質量に対する、重合体(A)の質量%を示す。
「(B)/(A)」および「(C)/(A)」は、それぞれ重合体(A)の全質量に対する、化合物(B)および珪素化合物(C)の質量の質量比を示す。
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
表2〜3に記載の金属塩(B)は下記のものを用いた。
B1:塩基性炭酸ジルコニウム(関東化学株式会社製)
B2:炭酸ジルコニウムアンモニウム溶液(キシダ化学株式会社製)
B3:塩化ジルコニウム(関東化学株式会社製)
B4:ジルコン酸カルシウム(昭和化学株式会社製)
B5:チタンエトキシド(昭和化学株式会社製)
B6:ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム(関東化学株式会社製)
B7:チタン酸ナトリウム(昭和化学株式会社製)
B8:ジルコニウムエトキシド(純正化学株式会社製)
B9:ジルコニウムヘキサフルオロアセチルアセトナート(純正化学株式会社製)
B10:炭酸亜鉛(関東化学株式会社)
【0087】
表2〜3に記載の珪素化合物(C)は下記のものを用いた。
C1:コロイダルシリカ(スノーテックスC 日産化学工業株式会社製)
C2:コロイダルシリカ(スノーテックスN 日産化学工業株式会社製)
C3:コロイダルシリカ(スノーテックスPS−MO 日産化学工業株式会社製)
C4:コロイダルシリカ(スノーテックス30 日産化学工業株式会社製)
C5:コロイダルシリカ(アデライトAT−20A株式会社ADEKA製)
C6:気相シリカ(アエロジル50 日本アエロジル株式会社製)
C7:気相シリカ(アエロジル200 日本アエロジル株式会社製)
C8:気相シリカ
(CAB−O−SIL M−5 キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製)
C9:2号珪酸カリウム(富士化学株式会社製)
C10:四塩化珪素(昭和化学株式会社製)
C11:酸化アルミニウム(関東化学株式会社)
【0088】
表2〜3に記載の有機酸(D)は下記のものを用いた。
D1:クエン酸一水和物(関東化学工業株式会社製)
D2:タンニン酸(関東化学株式会社製)
D3:酒石酸(関東化学株式会社製)
D4:フィチン酸(純正化学株式会社製)
D5:リンゴ酸(純正化学株式会社製)
D6:エチレンジアミン四酢酸(関東化学株式会社製)
D7:酢酸(関東化学株式会社製)
D8:ラウリン酸(関東化学株式会社製)
【0089】
表2〜3に記載の金属化合物(E)は下記のものを使用した。
E1:メタバナジン酸アンモニウム(関東化学株式会社製)
E2:メタタングステン酸アンモニウム(昭和化学株式会社製)
E3:バナジウムアセチルアセトネート(純正化学株式会社製)
E4:モリブデン酸アンモニウム(昭和化学株式会社製)
E5:水酸化コバルト(和光純薬株式会社製)
【0090】
(試験板の作製:表面処理 一時防錆処理として)
清浄化された金属材料の表面(片面)に、表2に示した組成の処理剤を、ロールコーターを用いて塗布した。続いて、熱風乾燥炉にてそれぞれ表2に示す皮膜量および到達板温度となるように加熱乾燥し、試験片1を得た。
【0091】
(試験板の作製:表面処理 塗装鋼板用下地処理として)
清浄化された金属材料の表面(片面)に、表3に示した組成の処理剤を、ロールコーターを用いて塗布した。続いて、熱風乾燥炉にてそれぞれ表3に示す皮膜量および到達板温度となるように加熱乾燥し、試験片2を得た。
【0092】
(試験板の作製:表面処理 塗装鋼板用下塗り処理として)
表面処理を施した各種試験片2に、市販の下塗り塗料(Vニット#200 大日本塗料株式会社製)を、バーコーターを用いて塗布し、200℃で乾燥および焼付けを行い、乾燥膜厚5μmの下塗り皮膜を表面処理皮膜の上に形成させた試験片3を得た。
【0093】
(試験板の作製:表面処理 塗装鋼板用上塗り処理として)
下塗り処理を施した試験片3に、市販の上塗り塗料(Vニット#500 大日本塗料株式会社製)を、バーコーターを用いて塗布し、220℃で乾燥および焼付けを行い、乾燥膜厚15μmの上塗り皮膜を下塗り皮膜の上に形成させた試験片4を得た。更に、試験片4をシャーリングで切断し、無処理の端面が形成された試験片5を得た。
【0094】
<<試験および評価方法 一時防錆処理として>>
(裸耐食性:塩水噴霧試験)
作製した試験片1に対し、JIS−Z2371−2000に規定された塩水噴霧試験を240時間実施した。評価は下記基準に基づいた。
[評価基準]
◎:白錆発生率5%未満
○:白錆発生率5%以上、10%未満
△:白錆発生率10%以上、50%未満
×:白錆発生率50%以上
【0095】
(加工後耐食性:塩水噴霧試験)
作製した試験片1に対し、エリクセン試験機を用いて、7mm押出加工を施した後に、JIS−Z2371に規定された塩水噴霧試験を240時間実施した。評価は下記基準に基づいた。
[評価基準−端面]
◎:白錆発生率5%未満
○:白錆発生率5%以上、10%未満
△:白錆発生率10%以上、50%未満
×:白錆発生率50%以上
【0096】
(加工後密着性:一次折曲げ密着性)
作製した試験片1に対し、JIS−G3312の試験法に準じて内側間隔板を挟まない0T折曲げ試験を20℃で行い、テープ剥離後の折り曲げ加工部の皮膜剥離状態を肉眼で観察し、下記の判定基準に準じて評価を行った。
[評価基準]
◎:剥離なし
○:剥離面積0%超10%未満
△:剥離面積10%以上50%未満
×:剥離面積50%以上
【0097】
(加工後密着性:二次折曲げ密着性)
作製した試験片1に対し、60℃の温水に24時間浸漬させた。その後1日放置した後に、一次折曲げ密着性試験と同様の加工を施し、同様の評価基準で評価した。
【0098】
<<試験および評価方法 塗装鋼板処理として>>
(耐食性:塩水噴霧試験)
カット部耐食性は、作製した試験片4の塗膜に対し、金属素地に達する傷をカッターで入れ、JIS−H8502(JASO M609−91)に規定された複合サイクル試験を200サイクル実施した後に、カット部からの塗膜膨れ幅(片側最大値)を測定した。また、端面部耐食性は、作製した試験片5に対し、上記複合サイクル試験を200サイクル実施した後、端面からの塗膜膨れ幅(最大値)を測定した。評価は下記基準に基づいた。
[評価基準−カット部および端面部]
◎:2mm未満
○:2mm以上4mm未満
△:4mm以上10mm未満
×:10mm以上
【0099】
(塗装密着性試験:一次折曲げ密着性)
作製した試験片4に対し、JIS−G3312の試験法に準じて、内側間隔板を挟まない0T折曲げ試験を20℃で行い、テープ剥離後の塗膜剥離状態を肉眼で観察した。評価は下記基準に基づいた。
[評価基準]
◎:剥離なし
○:剥離面積0%超5%未満
△:剥離面積5%以上20%未満
▲:剥離面積20%以上50%未満
×:剥離面積50%以上
【0100】
(塗装密着性試験:二次折曲げ密着性)
作製した試験片4を沸騰水中に2時間浸漬した後、1日放置し、一次折曲げ密着性試験と同様の試験を行った。判定基準も一次折曲げ密着性試験と同様である。
[評価基準]
◎:剥離なし
○:剥離面積0%超5%未満
△:剥離面積5%以上20%未満
▲:剥離面積20%以上50%未満
×:剥離面積50%以上
【0101】
(塗装密着性試験:冷熱サイクル試験)
作製した試験片5に対し、−30℃に2時間、その後60℃に2時間曝す(1サイクル4時間単位)サイクル試験を連続で100サイクル行った。その後、端面のテープ剥離を行い、塗膜剥離幅(最大値)を測定した。評価は下記基準に基づいた。
[評価基準]
◎:2mm未満
○:2mm以上5mm未満
△:5mm以上10mm未満
×:10mm以上
【0102】
試験の評価結果を、表4および表5に示す。
なお、各評価項目においては、「◎」または「○」であることが実用上好ましい。ただし、冷熱サイクル試験では、「△」〜「◎」であることが実用上好ましい。
【0103】
【表5】
【0104】
【表6】
【0105】
表4より、本発明の処理剤を用いて形成された皮膜を有する金属材料である実施例1〜34は、優れた耐食性と加工後の密着性を有し、6価クロム処理が施された比較例16と同等以上の皮膜性能を示した。
なかでも、実施例1と9および10との比較より、有機酸(D)及び金属化合物(E)を使用したほうがより効果が優れることが確認された。
また、実施例13〜17の比較より、皮膜量が0.5g/m
2以上の場合、より効果が優れることが確認された。
また、実施例24と25との比較より、重合体(A)の水酸基価が200mgKOH/g以下の場合、より効果が優れることが確認された。
また、実施例26と27との比較より、重合体(A)の重量平均分子量が20,000以上の場合、より効果が優れることが確認された。
また、実施例24、28および29の比較より、質量比(B/A)が0.2〜6.0の場合、より効果が優れることが確認された。
また、実施例21、30および31の比較より、質量比(C/A)が0.3〜8.0の場合、より効果が優れることが確認された。
【0106】
一方、本発明の範囲外である比較例1〜15は、いずれかの項目が劣っていた。
また、本発明の処理剤を用いて形成された皮膜を有する金属材料は、表5に示す実施例35〜41のように、塗装鋼板用としても優れた耐食性と塗装密着性を有しており、6価クロム処理が施された比較例21と同等の皮膜性能を示した。
しかしながら、本発明の範囲外である比較例17〜20は、皮膜性能のいずれかの項目が劣っていた。