(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6085441
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】遮断器用コンタクト
(51)【国際特許分類】
H01H 33/70 20060101AFI20170213BHJP
H01H 33/915 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
H01H33/70 G
H01H33/915
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-215529(P2012-215529)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-71973(P2014-71973A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229173
【氏名又は名称】日本タングステン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上野 智行
(72)【発明者】
【氏名】龍 邦慶
(72)【発明者】
【氏名】清水 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】馬場 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】松尾 繁
【審査官】
関 信之
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−245839(JP,A)
【文献】
実開昭63−192637(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/70
H01H 33/915
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス遮断器に用い、対をなす棒状のコンタクトの抜き差しにより電流を遮断もしくは接続する遮断器用コンタクトであり、
円筒形状に円筒の長さ方向の複数のスリット部と、
前記スリット部により隔てられた複数の端子部を有し、
前記端子部は隣り合う端子部との間に、円筒の直径方向の厚さが薄い部分である突起部を有する遮断器用コンタクト。
【請求項2】
前記突起部が、前記スリット部のコンタクト先端部を除く全長に設けられた、請求項1に記載の遮断器用コンタクト。
【請求項3】
前記突起部と隣り合う端子との最も近い距離、
または
前記突起部と隣り合う端子の突起部の最も近い距離
のいずれかが、0.03〜0.4mmである、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の遮断器用コンタクト。
【請求項4】
前記突起部と隣り合う突起部、または、前記突起部と隣り合う端子部との接触面の幅が、円筒形状の直径方向に対して0mmを超え1mm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の遮断器用コンタクト。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の遮断器用コンタクトを用いた遮断器用可動型コンタクトと、
前記遮断器用可動型コンタクトと対をなす棒状の遮断器用コンタクトとを有するガス遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路のガス遮断器に使用する電気接点(コンタクト)に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の送配電や受配電網などの高圧大電流回路に使用する遮断器は、一般に2対の電気接点(以下「コンタクト」とも言う)を有する。うち1対は主な導電経路であるメインコンタクトである。もう1対はアーク処理を行なうアークコンタクトである。電流の開閉においてアークが発生する作業は、後者のアークコンタクトにて行なう。
【0003】
大電流の開閉時には、開閉する二つの電気接点間にアーク(電弧)が生じる。
【0004】
大電流を開閉する装置は、導通時に、電流は主としてメインコンタクトを通して流れる。電流の遮断(開極)の際にはメインコンタクトはアークコンタクトより先だって開極し、アークコンタクトのみに通電する状態とする。この状態でアークコンタクトを開極すると、アークコンタクト間にアークが発生する。
【0005】
投入(閉極)の際には先にアークコントクトを接続し、次にメインコンタクトを接続する。いずれの動作でもアークはアークコンタクト間に発生する。
【0006】
前記の遮断および投入の手順を行なえば、メインコンタクト間にアークは発生せず、アークはアークコンタクト間にだけ発生する。
【0007】
この仕組みにより、メインコンタクトはアークの影響を考えず導電性を追及した材質を選定できる。一方、アークコンタクトは交換を前提とした耐アーク性の高い構造や材質とする。しかし、アークコンタクトも安価ではない。アークコンタクトの長寿命化が望まれている。
【0008】
アークコンタクトの開閉により生じたアークは、消弧までに時間を要する。発生したアークの放置は、アークコンタクトの消耗を促進する。よって、可能な限り早いアークの消滅(消弧)が必要である。早く消弧させる手段は、消弧ガスをアークに吹き付けることである。この消弧ガスは、アークの遮断能力が高く、高温での性質も安定的なガスである。六弗化硫黄SF
6を多く用いる。消弧ガスを用いる遮断器を、ガス遮断器と呼ぶ。
【0009】
図1に、一般的なガス遮断器のアークコンタクト部要部の模式図を示す。アークコンタクトの遮断の際は、固定側アークコンタクト1と可動側アークコンタクト2間にアークが発生する。一方、消弧ガス4は、圧縮状態でバッファシリンダ3内に蓄えられる。遮断の際には可動側(右手側)アークコンタクト2の固定側(左手側)アークコンタクト1からの開極に伴い、消弧ガスが開放され、両アークコンタクト間に吹き付けられる。その後にアークは消滅する。
【0010】
この動作での重要な点は、多量の消弧ガスをアークに向け、十分量を的確に吹き付けることである。
【0011】
可動側のアークコンタクトは、一般に「チューリップ型」と呼ばれる形状を有している。引用文献1、特許文献2はチューリップ型のアークコンタクトを使用した文献の例である。いずれの文献も可動側アークコンタクトはチューリップ型のアークコンタクトである。
【0012】
チューリップ型のアークコンタクト模式図を、
図3に示す。チューリップ型のアークコンタクト2は、先端(固定アークコンタクトに最も近い部分)付近に内側に膨らんだ部分を持つ円筒を、先端から長さ方向に一定距離伸びた複数のスリット8により、長さ方向に裂いた形状を有している。裂かれた先端部を「端子7」と表現する。この形状は、アークコンタクトの弾性変形を利用して、アークコンタクトを径方向に開閉可能とする。この構造は、円柱状の固定側アークコンタクトを、チューリップ型コンタクトの内径側に密着した状態で挿入することを可能とする(
図1、
図7(I))。
【0013】
可動側アークコンタクトをチューリップ型とすることは、アークコンタクト2を径方向に開閉可能とする。一方で、前記消弧ガスはバッファシリンダ3よりアーク発生部に向かって噴き出す。その際に、消弧ガスの一部は、チューリップ型コンタクトのスリット8からチューリップ型コンタクトの円筒内に侵入する(
図2)。
【0014】
そのために消弧ガスの流速は下がり、アーク発生部分に対する吹き付け圧力が低下する。それは消弧を遅らせる。消弧が遅れることは、両アークコンタクトの蒸発による消耗を進める。
【0015】
可動アークコンタクトのスリット幅を狭くすることにより、消弧ガスの可動コンタクト内部への移動を制限することが可能である。通常、スリット幅は0.8〜1.5mm程度である。スリット8の幅を狭くすることにより(極端には0mm)、可動側アークコンタクト内への消弧ガスの流量は少なくなり、消弧までの時間が短縮される。この対策は、開極時には特に有効である。
【0016】
しかし、チューリップ型の可動アークコンタクト2は、前述のように、その径方向に向かって柔軟性を有する(開閉可能)。固定側アークコンタクト1が、可動側アークコンタクト2から抜ける開極の瞬間には、その柔軟性のために、完全に開極している状態(可動側アークコンタクトと固定側アークコンタクトが全く接触していない状態)と比較して可動アークコンタクトの先端がしぼんだ状態となる(
図6−2)。開極の際には両アークコンタクト間にはアークが発生し、両コンタクトの温度が上がっている。そのため、隣り合う可動アークコンタクトの端子7同士が溶着するという問題が発生する。通常、可動アークコンタクトの先端部分には、Cu−W複合材料などの溶着が発生しにくい材料を使用する。ところが、表面近傍のCuは融点以上に温度が上昇する。この溶着は、Cu−W複合材料であっても防ぎにくい。一旦、隣り合う端子7間に溶着が起きると、次回の閉極の際には
図7(J)に示すように可動側アークコンタクトがスムースに開かず、両アークコンタクトの密着性が低下し
図7(K)、最悪の場合は両アークコンタクトが衝突して、破損する。そのために、従来技術のチューリップ型アークコンタクトは、端子7間に0.8〜1.5mm程度の幅のスリット8を有している。
【0017】
特許文献1は上記の現状に対しての対策のひとつを述べている。特許文献1は、チューリップ型の可動側アーク接点の筒内に、消弧ガスの吹き付けタイミングに併せて可動側アーク接点から突出する絶縁ノズルを設けることにより、消弧ガスの進入を防ぐ技術が開示している。この手段は絶縁ノズルの形状や突出タイミングを調整することにより一定の効果を得るものと考える。しかし、この方法は、部品点数を増やす必要があり、製造費用面では望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特公平07−9779号公報
【特許文献2】特開平08−180772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、チューリップ型のアークコンタクトの構造を変更することにより、従来の構造と比較して、消弧ガスをアークに向かって効率的に吹き付けることを目的とする。この目的が達成されれば、アークコンタクトの交換頻度を下げることができ、費用面で有利である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは上記の課題に対策をした。
【0021】
本発明者らは、スリットにて分岐した複数の端子を同心円状に持つチューリップ型のアークコンタクトの前記スリット部に、各端子から隣の端子に向かってアークコンタクトの長さ方向に伸びた突起部を設けた。なお、チューリップ型のアークコンタクトは、遮断器の構造による固定側か可動側かは問わない。遮断器の開閉の際に径方向に弾性変形するアークコンタクトを「チューリップ型コンタクト」と呼ぶ。前記「チューリップ型コンタクト」と対になり、変形しない棒状のアークコンタクトを「棒型コンタクト」と呼ぶ。
【0022】
前述のように、通常のチューリップ型コンタクトのスリット幅は0.8〜1.5mm程度である。本発明では、この通常のチューリップ型コンタクトのスリット部の一部にコンタクトの母材を突起形状で残し、隣り合う端子と幅の狭くなる部分を設けた。この狭い部分は、隣り合う端子との距離が最も狭い部分で0.03〜0.4mm程度、さらに好ましくは0.03〜0.2mmである。突起部以外の距離は通常のスリット幅である0.8〜1.5mm程度でよく、0.5〜3mmでも構わない。
【0023】
突起部を設けた理由は、遮断器開閉の際に、消弧ガスがスリットを通過してチューリップ型コンタクトの円筒内に侵入する量を減らすためである。その消弧ガスは、バッファシリンダなどのガス元から供給される。
【0024】
設けられた突起により、端子間のスリットを通過する消弧ガスの量は著しく少なくなる。その減少分は、両アークコンタクト間に発生したアークの消弧に充当される。つまり、従来の技術と比較して、多くの割合の消弧ガスを、アーク発生部分に集中できる。
【0025】
突起部はこの効果の実現のために、スリット部の全長に渡って伸びていることが好ましい。スリット部の隙間が大きく開いていれば、そこから消弧ガスがチューリップ型コンタクト内に容易に進入するからである。
【0026】
突起部の形状の例を
図5の(A)〜(F)に示す。
図5は端子およびスリット部を断面方向から見た模式図である。断面が単純な円弧状の突起でもよいし、明確な段差を有していてもよいし、連続的に寸法が変化してもよい。また、スリットに対して片方の端子からのみ突起が伸びていてもよいし、両側から伸びていてもよい。突起は直線で構成されていてもよいし、曲線で構成されていてもよい。両者の複合でもよい。重要な点は、スリットの最も間隔の狭い部分の幅である。
【0027】
突起6先端の直線部(例として
図5の(C)10)を設ける場合はその幅は1mm以下、より望ましくは0.2mm以下がよい。
【0028】
前述のように、チューリップ型コンタクトの端子間スリットの隙間が極めて狭い場合は、両コンタクトの閉極の際に隣り合った端子が溶着を起こす危険性がある。広い面積にわたり溶着した場合は、次の閉極の際にスリット部分が溶着したままとなり、径方向の開閉がスムースでなくなるだけでなく、両アークコンタクトの密着性が悪化したり(
図7(J)(K))、最悪の場合は棒型コンタクトの進入によりアークコンタクトが破損したりする危険性がある。
【0029】
そのために、溶着する可能性のある直線部分を設ける場合には、溶着の可能性がある先端部分(隣り合う端子との接触面)は1mm以下がよい。この幅が1mm以下であれば、仮に隣り合う端子同士が溶着したとしても、開極時(棒型コンタクトの挿入時)の棒型コンタクトの圧力により、溶着部分が容易に破断する。より望ましい範囲は0.2mm以下である。
【0030】
両アークコンタクトは、多くは例えばCu−W複合材料のような複合材料からなる。この材料は、両コンタクトの開閉時のアーク熱にて溶融、蒸発しにくい耐弧成分(この場合、タングステンW)と、熱伝導性、導電性および加工性に優れた低融点金属(この場合、銅Cu)との複合材料である。特にアークが発生する両コンタクトの先端付近はこのような複合材料からなる。先端から遠い部分はCuなどの金属材料で作製する。
図1および
図2では一般的に前記複合材料からなる部分を着色している。
【0031】
また、先行技術文献1に示すようなチューリップ型コンタクトの筒内から絶縁体が突出する形態の対策は、本発明の構成と両立することにより、より効果を増幅させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の遮断器のアークコンタクトは、遮断器の開閉極の際にアークに対して吹きつけられるSF
6などの消弧性ガスの流れをアーク発生部に集中させることができる。また、それに伴う新規の部品や装置なども不要である。そのために、アークコンタクトの消耗を抑制できる。さらに、必要な消弧性ガスの量を少なくでき、消弧性ガスを蓄えるバッファシリンダなども小型化できる。経済的な遮断器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図4-1】本発明のチューリップ型コンタクトの模式図
【
図4-2】本発明のチューリップ型コンタクトの模式図
【
図5】スリット部の突起部の複数の例。チューリップ型コンタクトの径方向の断面模式図
【
図6-1】開極時のチューリップ型コンタクトの模式図
【
図6-2】開極直後のチューリップ型コンタクトの模式図
【
図7】チューリップ型コンタクトを棒方コンタクト側から見た模式図(H)開極時 (I)正常な閉極時 (J)端子の一部が溶着した開極状態 (K)端子の一部が溶着した閉極状態
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に示す遮断器用のチューリップ型のアークコンタクトの模式図を
図4に示す。
図4は
図3に示したチューリップ型アークコンタクト2の内面側から先端側(棒型コンタクト1側)を見た模式図である。視点は
図3の点線部断面から左方向を見た。
【0035】
チューリップ型コンタクト2は円筒形状を基本としており、棒型コンタクト1と接触する側である先端部から、円筒の長さ方向に複数のスリット8を有している。スリット8により分けられた部分を端子7と呼ぶ。複数の端子7は円形に配列しており、それぞれは前記スリット8にて隔てられている。長さ方向でスリット8の延びていない部分は円筒形を維持している(
図3の11)。
【0036】
耐熱性と耐アーク性が、アークコンタクトの先端部(両コンタクトの接触部分およびその近傍)に求められる。そのために、一般にアークコンタクトの先端部および近傍はCu−W複合材料、Cu−WC複合材料などの耐アーク性に優れる材料が用いられる。その他の部分はCuやAg金属や合金が用いられる。
【0037】
チューリップ型のアークコンタクトにおけるスリットの長さは先端部より80mm、最大幅は1.2mmとした。
【0038】
スリット部の詳細を
図4−2および断面
図5(C)に示す。
図5では図面下方がアークコンタクトの中心である。コンタクトの長さ方向の断面は、チューリップ型コンタクトの外径側から内径側に向かって1.2mmのスリット部8が伸び、内径側に近い部分に凸状に隆起した突起部6を有している。突起部6は隣り合った端子の両方から延びており、その最狭部の隙間は0.2mmである。
【0039】
全てのスリット部8の先端部を除く全長にわたり、前記突起部を持つ構造とした。この先端部とは、棒型コンタクトと接触する部分を指す。
図2に示すように、消弧ガス4はチューリップ型コンタクトの側面より吹出するので、先端部のスリット幅は殆ど消弧ガスの流れに影響しない。
【0040】
以上に述べた本発明のチューリップ型コンタクトを可動側アークコンタクトとして、遮断器に組み込んだ。遮断器の主要部は、閉極状態で
図1に示す構造を有する。可動側アークコンタクト2の先端部に、固定側アークコンタクト1を挿入した状態である。可動側アークコンタクト2の周囲にはバッファシリンダ3が配置され、開極時には内部の消弧ガス4がアークに向かって吹き付けられる。消弧ガスの吹き付ける方向を制限し、消弧の効率を上げるために消弧ガス用ノズル5を可動コンタクト側に設けている。
【0041】
以上に説明した遮断器で、電流の開閉による試験を行った。
【0042】
試験では、12kボルト、25kアンペアの電流を遮断(開極)、接続(閉極)を5回ずつ行った。これを実施例とする。
【0043】
また、他の条件や構造は同様で、スリット部8に突起部6がないチューリップ型アークコンタクト2を用いた試料を比較例とする。比較例は従来の遮断器である。
【0044】
試験後に棒型アークコンタクト、チューリップ型アークコンタクトを試験機より外した。外した両コンタクトの消耗重量(試験前−試験後)を比較した。実施例の消耗重量は4.2(g)であり、比較例の消耗重量6.0(g)の70%に留まっていた。
【0045】
これは、消弧ガスの吹き付けがアーク発生箇所に的確に行なわれたからと推測する。一方の比較例では、消弧ガスの一部が、チューリップ電極のスリット部をとおり円筒内部に向かったために、消弧が遅れ、その結果コンタクトの消耗が進んだと考える。
【0046】
次に、実施例1と他の要件は同様で、チューリップ型コンタクトのスリット部にある突起の形状のみを変更した試験をした。
【0047】
突起の形状は
図5(D)に示すように、内径側に近い部分と、外径側に近い部分とから徐々にせりあがった鈍角三角形状を有する。前記隆起部分は隣り合った端子の両方から伸びており、その最狭部の隙間は0.05mmである。
【0048】
前記試験と同様の試験を行ったところ、前記実施例1と比較してさらに3%ほど消耗重量が低かった。鈍角三角形の両頂点にあたる部分は、スリット長さ方向に沿って一部面荒れを起こしていた。これは、開極時のチューリップ型コンタクトの弾性変形により、隣り合う端子同士が溶着した形跡と考える。試験において開極、閉極時の可動コンタクト移動の際の機械的抵抗の増加は認められなかった。そのため、溶着部分はごく小さく、可動コンタクトの移動により、溶着部分が容易に破断して、問題なく使用できたと考える。
【符号の説明】
【0049】
1 固定側アークコンタクト
2 可動側アークコンタクト(チューリップ型コンタクト)
3 バッファシリンダ
4 消弧ガス(SF
6ガスなど)
5 消弧ガス用ノズル
6 突起部、隆起部
7 端子
8 スリット部
81 開極直後の変形したスリット部
9 端子同士の溶着
10 突起先端の直線部