特許第6085461号(P6085461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6085461医療用容器包装体および医療用容器管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6085461
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】医療用容器包装体および医療用容器管理方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20170213BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   A61J3/00 300A
   A61J1/05 313N
【請求項の数】5
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-269855(P2012-269855)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-113332(P2014-113332A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】三橋 正文
(72)【発明者】
【氏名】村上 貴一
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/142969(WO,A1)
【文献】 特開2010−112870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
A61J 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用液体の提供者ごとに割り当てられる提供者識別情報が付された識別情報媒体と、
前記医療用液体を収容するための医療用容器と、
前記医療用容器を収容する容器本体と、
前記容器本体の開口部を覆う蓋材と、を備え、
前記識別情報媒体は、第一接着剤層と、中間シートと、第二接着剤層と、印字用表面シートとを、この順に有し、
前記印字用表面シートに前記提供者識別情報が印字され、
前記蓋材には、前記識別情報媒体の前記第一接着剤層が貼着され、
前記識別情報媒体は、前記中間シートと前記第二接着剤層との間で剥離可能であり、
前記医療用容器には前記識別情報媒体に付された提供者識別情報と同内容の提供者識別情報が付されている
ことを特徴とする医療用容器包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用容器包装体において、
前記中間シートの前記第二接着剤層と接する面には剥離処理がなされている
ことを特徴とする医療用容器包装体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の医療用容器包装体において、
前記第一接着剤層は、前記蓋材側から蓋材側接着剤層、芯材、および疑似接着層が、この順に積層されて構成されている
ことを特徴とする医療用容器包装体。
【請求項4】
医療用液体を提供する提供者ごとに割り当てられる予め生成された提供者識別情報を、前記医療用液体が収容される医療用容器に付し、
前記提供者識別情報が付された医療用容器と、前記医療用容器を収容する容器本体と、前記容器本体の開口部を覆う蓋材と、前記医療用容器に付された提供者識別情報と同内容の提供者識別情報が付された識別情報媒体と、を備え、前記識別情報媒体は、第一接着剤層と、中間シートと、第二接着剤層と、印字用表面シートとを、この順に有し、前記印字用表面シートに前記提供者識別情報が印字され、前記蓋材には、前記識別情報媒体の前記第一接着剤層が貼着され、前記識別情報媒体は、前記中間シートと前記第二接着剤層との間で剥離可能である医療用容器包装体を用いて、
前記提供者ごとに前記医療用容器を管理する
ことを特徴とする医療用容器管理方法。
【請求項5】
予め医療用液体の提供者ごとに割り当てられる提供者識別情報が付された第一の医療用容器と、前記第一の医療用容器を収容する容器本体と、前記容器本体の開口部を覆う蓋材と、前記提供者識別情報と同内容の提供者識別情報を印字した識別情報媒体を備え、前記識別情報媒体は、第一接着剤層と、中間シートと、第二接着剤層と、印字用表面シートとを、この順に有し、前記印字用表面シートに前記提供者識別情報が印字され、前記蓋材には、前記識別情報媒体の前記第一接着剤層が貼着され、前記識別情報媒体は、前記中間シートと前記第二接着剤層との間で剥離可能である医療用容器包装体を用い、
前記第一の医療用容器に付された前記提供者識別情報を読み取らせる工程と、
読み取られた前記提供者識別情報と前記提供者に関する情報とを関連付けて記憶させる工程と、
前記識別情報媒体を第二の医療用容器に貼付する工程と、を有する
ことを特徴とする医療用容器管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用容器包装体および医療用容器管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、提供者から提供された血液等の医療用液体を、血液バッグ等の医療用容器に収容し、医療用液体の提供者と、採取した医療用液体が収容された医療用容器との整合性を図るために、提供者ごとに識別可能な提供者識別情報(バーコード等)が記された識別情報媒体(ラベル等)が用いられている。例えば、バーコードが記されたラベルは、病院、献血車、献血ルーム等で血液の提供者(供血者)から採血する際に、血液バッグ、採血管、カルテなどに貼着される。採血後、所定の病院内(血液センター)で血液分離処理や血液検査等が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された血液採取容器は、採血針と、バッグ状の血液採取容器本体(血液バッグ)と、減圧採血管とを備え、血液採取容器本体上に1枚の容器本体用ラベルおよび3枚の減圧採血管用ラベルが貼着されている。そして、血液採取時に、両ラベルに必要事項を記入し、減圧採血管用ラベルを剥がして減圧採血管に貼着する。特許文献1には、このようなラベルの貼着、および減圧採血管用等の管理を行うことで、供血者と、当該供血者から採取された血液採取容器本体および減圧採血管内の血液との整合性を高めることができると記載されている。
【0004】
また、特許文献2に記載された血液バッグ管理方法では、患者のカード上のバーコードをバーコードリーダーにより読み取り、読み取られた患者に関する情報に対応したバーコードが印刷された複数のラベルを製造し、これらラベルを血液バッグや保管容器に貼着する。そして、患者の血液を当該血液バッグ内に採血した後、カード上のバーコード、血液バッグ上のバーコード、保管容器上のバーコードを読み取って、これらの一致性を確認した上で、保管容器内に血液バッグを収納して、施錠する。また、保管容器内の血液バッグを取り出す際には、カード上および保管容器上のバーコードの一致性が確認されるとロックが開錠され、収納されている血液バッグを取出し可能となる。特許文献2には、このような血液バッグ管理方法によれば、血液バッグの取り違えを容易かつ確実に防止することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−71728号公報
【特許文献2】特開平6−343679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、1枚の容器本体用ラベルと3枚の減圧採血管用ラベルに、血液を採取する度に、必要事項を記入する必要があり、一人の供血者に対して4回記入するために、誤記入や記入忘れ等を招く恐れがあり、作業負担が大きいという問題がある。
また、上記特許文献2では、血液バッグや保管容器に貼着する複数のラベルを、血液バッグとは別に準備する必要があり、血液採取する度に複数のラベルを一つずつ貼着しなくてはならないため、作業負担が大きく、貼り間違いや貼り忘れ等のミスを招く恐れがある。
【0007】
本発明の目的は、医療用液体の提供者を識別するための提供者識別情報が付された識別情報媒体を、医療用容器に付する作業負担を軽減することができる医療用容器包装体および医療用容器管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の医療用容器包装体は、医療用液体の提供者ごとに割り当てられる提供者識別情報が付された識別情報媒体と、前記医療用液体を収容するための医療用容器と、前記医療用容器を収容する容器本体と、前記容器本体の開口部を覆う蓋材と、を備え、前記識別情報媒体は、第一接着剤層と、中間シートと、第二接着剤層と、印字用表面シートとを、この順に有し、前記印字用表面シートに前記提供者識別情報が印字され、前記蓋材には、前記識別情報媒体の前記第一接着剤層が貼着され、前記識別情報媒体は、前記中間シートと前記第二接着剤層との間で剥離可能であり、前記医療用容器には前記識別情報媒体に付された提供者識別情報と同内容の提供者識別情報が付されていることを特徴とする。
また、本発明の医療用容器包装体において、前記中間シートの前記第二接着剤層と接する面には剥離処理がなされていることが好ましい。
また、本発明の医療用容器包装体において、前記第一接着剤層は、前記蓋材側から蓋材側接着剤層、芯材、および疑似接着層が、この順に積層されて構成されていることが好ましい。
【0009】
本発明の医療用容器管理方法は、医療用液体を提供する提供者ごとに割り当てられる予め生成された提供者識別情報を、前記医療用液体が収容される医療用容器に付し、前記提供者識別情報が付された医療用容器と、前記医療用容器を収容する容器本体と、前記容器本体の開口部を覆う蓋材と、前記医療用容器に付された提供者識別情報と同内容の提供者識別情報が付された識別情報媒体と、を備え、前記識別情報媒体は、第一接着剤層と、中間シートと、第二接着剤層と、印字用表面シートとを、この順に有し、前記印字用表面シートに前記提供者識別情報が印字され、前記蓋材には、前記識別情報媒体の前記第一接着剤層が貼着され、前記識別情報媒体は、前記中間シートと前記第二接着剤層との間で剥離可能である医療用容器包装体を用いて、前記提供者ごとに前記医療用容器を管理することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の別の形態に係る医療用容器管理方法は、予め医療用液体の提供者ごとに割り当てられる提供者識別情報が付された第一の医療用容器と、前記第一の医療用容器を収容する容器本体と、前記容器本体の開口部を覆う蓋材と、前記提供者識別情報と同内容の提供者識別情報を印字した識別情報媒体を備え、前記識別情報媒体は、第一接着剤層と、中間シートと、第二接着剤層と、印字用表面シートとを、この順に有し、前記印字用表面シートに前記提供者識別情報が印字され、前記蓋材には、前記識別情報媒体の前記第一接着剤層が貼着され、前記識別情報媒体は、前記中間シートと前記第二接着剤層との間で剥離可能である医療用容器包装体を用い、前記第一の医療用容器に付された前記提供者識別情報を読み取らせる工程と、読み取られた前記提供者識別情報と前記提供者に関する情報とを関連付けて記憶させる工程と、前記識別情報媒体を第二の医療用容器に貼付する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の医療用容器包装体は、提供者識別情報が付された識別情報媒体と、この提供者識別情報と同内容の提供者識別情報を予め付された医療用容器と、を備える。そのため、血液等の医療用液体を採取する者(採取者)は、医療用液体を採取する度に、医療用容器ごとに識別情報媒体を付する必要がない。
ゆえに、本発明の医療用容器包装体によれば、識別情報媒体を医療用容器に付する作業負担を軽減することができる。
従来、採取者は、医療用液体を採取する度に、識別情報媒体を医療用容器ごとに付する必要があったため、作業が煩雑で作業負担が大きかった。そのため、採取者によるラベルの貼り間違えや貼り忘れ等が発生し、提供者と、医療用容器との整合性が取れなくなるおそれもあった。
しかしながら、本発明によれば、識別情報媒体を医療用容器に付する作業負担が軽減される結果、貼り間違えや貼り忘れ等が抑制され、提供者と、医療用容器との整合性が取れなくなるおそれも低減し、採取した医療用液体の管理精度が向上する。
【0012】
本発明の医療用容器管理方法では、提供者識別情報が予め付された医療用容器を、識別情報媒体と共に備えた医療用容器包装体を用いて、提供者毎に医療用容器を管理する。そのため、採取者は、医療用液体を採取する度に、医療用容器包装体から医療用容器を取り出して識別情報媒体をそれぞれの医療用容器に付する必要がない。
ゆえに、本発明の医療用容器管理方法によれば、識別情報媒体を医療用容器に付する作業負担を軽減することができる。さらに、作業負担が軽減する結果、貼り間違えや貼り忘れ等が抑制され、提供者と、医療用容器との整合性が取れなくなるおそれが低減し、採取した医療用液体の管理精度が向上する。
【0013】
また、本発明の別の形態に係る医療用容器管理方法は、医療用容器包装体を用いる方法であって、この医療用容器包装体には、予め医療用液体の提供者ごとに割り当てられる提供者識別情報が付された第一の医療用容器が収容されている。さらに、医療用容器包装体は、第一の医療用容器に付された提供者識別情報と同内容の提供者識別情報を印字した識別情報媒体を備えている。採取者は、前記第一の医療用容器に付された前記提供者識別情報を読取装置等に読み取らせる工程を実施する。また、採取者は、読み取られた前記提供者識別情報と前記提供者に関する情報とを関連付けて制御装置の記憶部等に記憶させる工程を実施する。さらに、採取者は、前記識別情報媒体を第二の医療用容器に貼付する工程を実施する。
ゆえに、本発明の医療用容器管理方法によっても、識別情報媒体を医療用容器に付する作業負担を軽減することができる。さらに、作業負担が軽減する結果、貼り間違えや貼り忘れ等が抑制され、提供者と、医療用容器との整合性が取れなくなるおそれが低減し、採取した医療用液体の管理精度が向上する。その上、本発明では、提供者識別情報と提供者に関する情報とを関連付けて記憶させておくので、採取した医療用液体の管理精度や追跡可能性(トレーサビリティ)が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一実施形態に係る医療用容器包装体の構成を示す概略図である。
図2】前記医療用容器包装体の斜視図である。
図3】医療用液体を収容する採取容器を収納する採取容器収納ケースの斜視図である。図3(A)には、採取容器を収容する前の状態の斜視図が示され、図3(B)には、識別情報媒体をケース底面部に載置した状態の斜視図が示され、図3(C)には、識別情報媒体がケース底面部に載置された採取容器収納ケース内部に、採取容器が並べて配置された状態の斜視図が示され、図3(D)には、採取容器を並べて配置した後、識別情報媒体を採取容器の上に載置した状態の斜視図が示されている。
図4】第一実施形態に係る医療用容器管理システムの概略構成を示すブロック図である。
図5】第二実施形態に係る医療用容器包装体の斜視図である。
図6】蓋材に貼着された第二実施形態に係る識別情報媒体の断面概略図が示されている。
図7図7(A)は、医療用容器包装体の蓋材に貼着される第三実施形態に係る識別情報媒体が連結された第一ラベル連結体の平面図であり、図7(B)は、蓋材に貼着された第一ラベル連結体の断面概略図である。
図8図8(A)は、識別情報媒体を採取容器に貼着する際の手順の一部を示す平面図であり、図8(B)は、その断面概略図である。
図9】第四実施形態に係る第二ラベル連結体の平面図が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第一実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の第一実施形態を説明する。
第一実施形態では、医療用液体が血液である場合を例に挙げて説明する。本発明は、医療用液体が血液である場合に限定されない。
【0016】
図1には、本実施形態に係る医療用容器包装体10の概略構成が示されている。また、図1には、採取容器としての採血管30(第二の医療用容器)が複数本収納された採血管ケース40(採取容器収納ケース)の概略構成が示されている。
医療用容器包装体10は、供血者から提供される血液を収容する血液バッグ20(医療用容器)と、採血管30に付される識別情報ラベル50(識別情報媒体)と、を備える。なお、血液バッグ20は、本発明の医療用容器の管理方法における、第一の医療用容器に相当する。
【0017】
血液バッグ20は、本実施形態では、第一バッグ21と、血液検査用バッグ22と、第二バッグ23と、第三バッグ24と、第四バッグ25と、血液フィルタ26とで構成される。
第一バッグ21の上流側には、チューブT1を介して採血針27が接続されている。チューブT1の途中には分岐して血液検査用バッグ22が接続されている。血液検査用バッグ22の下流側には採血管30へ血液を供給するための針28が接続されている。
第一バッグ21の下流側には、チューブT2を介して血液フィルタ26が接続され、血液フィルタ26の下流側には、チューブT3を介して第二バッグ23が接続されている。第二バッグ23の下流側には、チューブT4を介して第四バッグ25が接続されている。チューブT4の途中には分岐して第三バッグ24が接続されている。
【0018】
血液バッグ20を構成する各バッグ21,22,23,24,25の外面には、ラベルL1が貼着されている。ラベルL1には、図1中で省略されているが、医療用容器包装体10の商品名、血液バッグ20の容量、血液保存液等の成分表示、医療用容器包装体10の製造者、医療用容器包装体10の製造ロット等が印字されている。
さらに、本実施形態では、第一バッグ21、第二バッグ23および第三バッグ24のラベルL1に、供血者ごとに割り当てられる提供者識別情報BCが印字されている。提供者識別情報BCは、供血者ごとに異なるように発行されたものである。このように提供者識別情報BCが印字されたレベルL1を第一バッグ21等に貼着することにより、血液バッグ20(医療用容器)に提供者識別情報が付される。
提供者識別情報BCは、バーコードおよび二次元コードの少なくともいずれかであることが好ましい。本実施形態では、提供者識別情報BCは、バーコードである。
上述しているラベルL1上に商品名等を印字する工程と同じ工程で提供者識別情報BCを印字すれば、血液バッグ20の製造工程を簡略化することができるため、好ましい。なお、提供者識別情報BCは、ラベル状に形成されて、ラベルL1とは別個にラベルL1上に貼着されてもよい
ラベルL1は、印字用表面シートと、接着剤層とを備える。印字用表面シートとしては、その表面に印字適性を有していることが好ましく、その材質は広く適用でき、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリイミド樹脂などの合成樹脂フィルムや、上質紙、含浸紙、グラシン紙、コート紙、不織布などの紙材等のシート材料を用いることができる。また、必要に応じて、これらのシート材料に感熱記録、感圧記録、熱転写記録、レーザー光記録、インクジェット記録等の各種印字印刷を施すための被印字層を形成したものを用いることができる。接着剤層としては、血液バッグに接着することができる充分な接着力があれば、接着剤の種類は特に限定されず広く適用でき、例えば感圧接着剤、感熱接着剤を用いることができる。さらに、接着剤の材質は特に限定されず広く適用でき、例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ポリエステル系の接着剤を用いることができる。中でも、アクリル系やポリエステル系接着剤は接着力及び耐久性の面でバランスがとれているので、好ましい。
シート材料の厚さは、通常5μm以上300μm以下の範囲で選定され、より好ましくは20μm以上200μm以下の範囲である。この理由は、かかるシート材料の厚さが5μm未満となると、機械的強度が低下して、外圧条件によっては、変形しやすいためである。一方、シート材料の厚さが300μmを超えると、ロール状等に巻回したり、切断加工したりすることが困難となる場合があるためである。
接着剤層の厚さは、通常5μm以上150μm以下の範囲で選定され、より好ましくは10μm以上100μm以下の範囲である。この理由は、接着剤層の厚さが5μm未満となると、接着力が発現しない場合があるためである。接着剤層の厚さが150μmを超えると識別情報ラベル50全体が過剰に厚くなったり、識別情報ラベル50の側面から接着剤が滲み出したりする場合があるためである。
【0019】
第一バッグ21には、血液保存液が収容され、第四バッグ25には、赤血球保存液が収容されている。これらの保存液としては、例えば、ACD−A(Acid Citrate Dextrose-A)液、CPD(Citrate Phosphate Dextrose)液、MAP(Mannitol Adenine Phosphate)液などが用いられる。
血液バッグ20を構成する各バッグ21,22,23,24,25の材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂や、ポリ塩化ビニル系樹脂などの可撓性を有する合成樹脂が挙げられる。なお、各バッグ21,22,23,24,25の材質としては、このような例示したものに限定されないが、内部に収容される医療用液体に各バッグから不純物が溶け出さない材質であることが好ましい。
各バッグ21,22,23,24,25は、例えば、ポリオレフィン系樹脂製の2枚のシート材を重ね、当該シート材の周縁部を融着して袋状に形成することで得ることができる。袋状のバッグの上部には、血液の導入口や排出口が形成され、他のバッグや血液フィルタとはチューブを介して接続される。袋状のバッグ内部には、1回の採血量に応じた血液量や保存液量を保存できる収容空間が形成されている。本実施形態では、第一バッグ21、第二バッグ23および第三バッグ24は、400ml収容可能に形成され、第四バッグ25は、150ml収容可能に形成され、血液検査用バッグ22は、25ml収容可能に形成されている。なお、各バッグ21,22,23,24,25の収容量は、本実施形態の例に限定されない。
【0020】
血液フィルタ26は、本実施形態においては、白血球除去フィルタである。白血球除去フィルタは、上述のとおり第一バッグ21と第二バッグ23との間に接続され、採血した血液を各血液製剤に分離する前に、血液中の白血球を除去する(保存前白血球除去)。例えば、第一バッグ21を上にして吊り下げて、血液の自重でチューブT2内を落下させて血液フィルタ26を通過させることで、白血球を除去する。白血球を除去することで、白血球の型の不一致による発熱等の輸血副作用を低減することができる。なお、図1中において、血液フィルタ26は、四角形状に形成されているが、血液フィルタ26の形状は、その他に、円形状、楕円形状、多角形状、不定形状などであってもよく、特に限定されない。
【0021】
識別情報媒体は、接着ラベルであることが好ましい。本実施形態の識別情報ラベル50は、上述のラベルL1に付された提供者識別情報BCと同じ情報を有する提供者識別情報BC(バーコード)が印字により付された接着ラベルである。識別情報ラベル50も、上述のラベルL1と同様に印字用表面シートと、接着剤層とを備え、さらに、採血管30やカルテに貼着されるまで接着剤層を保護する剥離シートとを備える。印字用表面シートおよび接着剤層は、ラベルL1と同様の材質のものを適宜選択して使用することができる。剥離シートとしては、例えば、ポリエチレンラミネート紙、コート紙、グラシン紙等の紙やポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムを用いることができる。また、剥離シートの剥離剤層に用いる剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、長鎖アルキル系樹脂を用いることができる。
剥離シートの厚さは、例えば、合成樹脂フィルムを剥離シート用基材として用いた場合、通常、5μm以上300μm以下程度であり、好ましくは20μm以上200μm以下程度である。紙基材を剥離シート用基材として用いた場合、通常、坪量として20g/m以上450g/m以下程度であり、好ましくは40g/m以上220g/m以下程度である。この理由は、かかる剥離シートの厚さが合成樹脂フィルムでは5μm未満、紙基材では20g/m未満となると、機械的強度が低下して、外圧条件によっては、変形しやすいためである。一方、剥離シート用基材の厚さが合成樹脂フィルムでは300μmを超え、紙基材では450g/mを超えると、ロール状等に巻回したり、切断加工したりすることが困難となる場合があるためである。剥離剤層の厚さは、例えば50nm以上2μm以下である。剥離剤層の厚さは、剥離シート用基材として合成樹脂フィルムを用いた場合には50nm以上300nm以下であることが好ましい。剥離シート用基材として紙基材を用いた場合には300nm以上2μm以下であることが好ましい。この理由は、かかる剥離剤層の厚さが合成樹脂フィルムでは50nm未満、紙基材では300nm未満となると、剥離力が発現しない場合があるためである。一方、剥離剤層の厚さが合成樹脂フィルムでは300nmを超え、紙基材では2μmを超えると、過剰に材料を使用するのみでコストアップにつながる恐れがあるためである。
本実施形態では、識別情報ラベル50は、少なくとも採血管30の個数に応じた個数分とカルテに貼着する個数分が互いに分離可能に連結されていることが好ましい。そして、本実施形態では、採血した血液の一部を5本の採血管30に取り分けて各採血管30に貼着するための5枚の識別情報ラベル50と、カルテに貼着する1枚の識別情報ラベル50とで、合計6枚の識別情報ラベル50が互いに分離可能に連結された状態で、血液バッグ20と共に医療用容器包装体10に同梱されている。6枚の識別情報ラベル50は、本実施形態では、6枚分の識別情報ラベル50が、ミシン目を介して互いに分離可能に連結されており、当該ミシン目に沿って裂くことで、識別情報ラベル50を一枚ずつ分離することができる。また、識別情報ラベル50を分離可能に連結する態様としては、このようなミシン目を利用した態様に限定されず、連結された複数枚の識別情報ラベル50を区分する位置に切込みを形成しておき、当該切込みを境界にして、識別情報ラベル50を一枚ずつ分離することも可能である。
【0022】
図2には、医療用容器包装体10の斜視図が示されている。なお、図2中において、開封前の医療用容器包装体10の内部に収容されている血液バッグ20および識別情報ラベル50について省略してある。血液バッグ20を医療用容器包装体10へ収容した際の配置は、図1のように並べて配置してもよいし、血液バッグ20が折りたたまれた状態で配置してもよく、特に限定されない。
医療用容器包装体10は、血液バッグ20および識別情報ラベル50を収容する容器本体11と、容器本体11の開口部112を覆う蓋材12と、血液バッグ20と、識別情報ラベル50で構成される。
【0023】
容器本体11は、所定の深さを有する略長方形のトレー形状であって、略長方形状の開口部112を有し、開口部112の周縁にフランジ部111が形成されている。容器本体11を構成する素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂や、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂等の材料、及びこれらのブレンド材料などが適用できる。また、容器本体11は、複数層を積層させた積層体をトレー形状に形成したものでもよいし、さらに、容器本体11に、ガスバリアー性を有する層を設けてもよい。なお、容器本体11の形状は、本実施形態のようにトレー形状に限定されず、その他に、袋状や箱状などであってもよく、特に限定されない。加えて、容器本体11の大きさは、少なくとも血液バッグ20および識別情報ラベル50を収納することができる大きさであれば特に限定されない。
【0024】
蓋材12は、フランジ部111にヒートシールされて開口部112を塞ぎ、容器本体11を密封する。蓋材12には、ラベルL2が貼着されており、このラベルL2には、図2中で省略されているが、医療用容器包装体の商品名、容量、成分表示、製造者、製造ロット等が印字されている。さらに、ラベルL2には、上述のラベルL1に付された提供者識別情報BCと同じ情報を有する提供者識別情報BCが印字されていてもよい。ラベルL2は、上述のラベルL1と同様の材質を適宜選択して使用できる。
蓋材12は、本実施形態においては、容器本体11のフランジ部111とヒートシール可能な素材で形成されている。また、蓋材12は、フランジ部111側に設けられるシーラント層と、基材層とを備えた多層構成であってもよい。シーラント層は、フランジ部111とヒートシール可能な素材で形成されていることが好ましく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂等を使用できる。基材層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合樹脂、ナイロン等から構成される合成樹脂フィルムを使用することができる。さらに、蓋材12に、ガスバリアー性を有する層を設けてもよい。
【0025】
本実施形態では、容器本体11の内部に血液バッグ20等を密封する際は、容器本体11の内部に血液バッグ20および識別情報ラベル50を収納した後、フランジ部111より大きい蓋材12を載置し、フランジ部111と蓋材12とをヒートシールする。
蓋材12が容器本体11のフランジ部111よりはみ出すように構成することが好ましい。血液バッグ20を取り出す際には、フランジ部111の隅角からはみ出した蓋材12をつまみ、蓋材12を引き剥がして開封する。
【0026】
図3には、複数本の採血管30を収納可能な採血管ケース40の斜視図が示されている。本実施形態における採血管30に識別情報ラベル50を貼着するための貼着方法については、例えば、図3(A)〜(D)に示された手順によって説明される。
図3(A)には、採血管30を収容する前の、空の採血管ケース40の斜視図が示されている。採血管ケース40は、上方に向けて開口した直方体の箱形状に形成されている。採血管ケース40は、内部に複数の仕切部41を有している。本実施形態では、これら仕切部41は、採血管ケース40のケース底面部42から立設する突起状に形成されており、複数の採血管30の長手方向を揃えながら並べて配置することを可能にする。
また、本実施形態では、8個の仕切部41が、4列×2段の配列で形成されている。各列の仕切部41で、隣り合って配置される採血管30同士を仕切り、2段の仕切部41A,41Bで、採血管30の長手方向を2箇所で保持し、採血管30が採血管ケース40内部で傾いて配置されることを抑制している。また、一方の段の仕切部41Aと他方の段の仕切部41Bとは、所定距離、離れており、その仕切部41A,41Bの間のケース底面部42には、識別情報ラベル50を載置可能なラベル載置部43が形成されている。本実施形態では、ラベル載置部43は、分離可能に一体に連結された状態の5枚の識別情報ラベル50を載置可能な広さで形成されている。なお、容器本体11に梱包されているときは6枚の識別情報ラベル50が互いに分離可能に連結された状態であるが、ラベル載置部43に載置する前に、カルテに貼着するために1枚を分離しているため、5枚が連結された状態となっている。
採血管ケース40の材質としては、例えば、合成樹脂、ゴム、ガラス、紙材などを用いることができる。採血管ケース40は、光透過性を有する材質で形成されていることが好ましく、無色透明であることがより好ましい。例えば、採血管ケース40が透明プラスチック製であることが好ましい。
【0027】
図3(B)には、ラベル載置部43に、連結状態の識別情報ラベル50が接着剤層51の接着剤面を上方に向けて載置された状態の採血管ケース40の斜視図が示されている。識別情報ラベル50を採血管30の所定位置に貼付するために、仕切部41Aと仕切部41Bの間の寸法、並びに複数の識別情報ラベル50の連結体の外形寸法が略同一に設定されていることが好ましい。この場合、複数の識別情報ラベル50の連結体をラベル載置部43に載置すれば、8個の仕切部41によって当該連結体を載置した位置がそれぞれの採血管30に識別情報ラベル50を貼付するための所定位置からずれることを防止することができる。
【0028】
図3(C)には、識別情報ラベル50が載置された採血管ケース40内部に、採血管30が並べて配置された状態の斜視図が示されている。図3(C)に示すように、複数の採血管30は、仕切部41によって仕切られることで、採血管30の長手方向が互いに揃って配置される。接着剤層51の接着剤面を上方に向けて載置された識別情報ラベル50の上から、採血管30を載置することで、採血管30に識別情報ラベル50が貼着される。なお、本実施形態では、採血管ケース40内部の一箇所の角部には、直方体状のスペーサー44が設けられている。このスペーサー44は、採血管ケース40の縦寸法よりも長さ寸法が短い採血管30aが、採血管ケース40内部で長手方向に移動しないように規制する役割を有し、識別情報ラベル50を貼り付ける位置ずれを防止する。また、上述のように、識別情報ラベル50がラベル載置部43に載置されているので、識別情報ラベル50を載置した位置のずれが防止されている。その結果、識別情報ラベル50を採血管30の所定位置により正確に貼着することができる。
【0029】
採血管30は、医療用液体としての血液の一部が取り分けられて収容される採取容器である。採血管30は、本実施形態では、円筒状に形成され、長手方向の一端部は、丸みを帯びて閉塞され、他端部は、開口が形成され、その開口を栓31によって塞ぐことが可能である。採血管30の材質としては、合成樹脂、ガラスなどを用いることができる。採血管30は、光透過性を有する材質で形成されていることが好ましく、無色透明であることがより好ましい。栓31としては、ゴム栓、シール栓、プラスチック栓などを用いることができる。本実施形態では、5本の採血管30にそれぞれ栓31が取り付けられるが、栓31ごとに異なる色を有していれば、採血した血液の使用目的を判別し易くなるので好ましい。本実施形態では採血管30は、機械的強度の観点から円筒状に形成されていることが好ましいが、多角筒状などであってもよく、特に限定されない。
【0030】
図3(D)には、識別情報ラベル50をラベル載置部43に載置する前に、採血管30を並べて配置し、その後、識別情報ラベル50の接着剤層51の接着剤面を下方に向けて載置した状態の採血管ケース40の斜視図が示されている。すなわち、図3(D)は、上述の図3(B)および図3(C)のような手順で貼着する場合と異なる手順を示すものである。
図3(D)に示すように、複数の採血管30は、仕切部41によって仕切られることで、採血管30の長手方向が互いに揃って配置される。連結状態の識別情報ラベル50を接着剤層51の接着剤面を下方に向けて採血管30の上に載置することで、採血管30に識別情報ラベル50が貼着される。なお、本実施形態では、仕切部41の高さ寸法(ケース底面部42から仕切部41の上端部までの寸法)が、採血管30の径寸法よりも大きく形成されている。さらに、仕切部41Aと仕切部41Bの間の寸法、並びに複数の識別情報ラベル50の連結体の外形寸法が略同一に設定されている。そのため、採血管30を採血管ケース40内部に載置すると、仕切部41の上端部が、採血管30よりも上方に突出しており、この突出した部分によって、識別情報ラベル50を載置する位置が規定される。その結果、識別情報ラベル50を採血管30の所定位置に正確に貼着することができる。
【0031】
図4には、本実施形態に係る医療用容器管理システムS1の概略構成を示すブロック図が示されている。
本実施形態に係る医療容器管理システムは、医療用容器としての血液バッグ20および採血管30を管理することが可能である。なお、ここでは、採血管30(採取容器)も医療用容器に含めた場合を例に挙げて説明する。
医療用容器管理システムS1は、血液センターに設けられた第一管理システム1と、献血ルームに設けられた第二管理システム2と、血液バッグ製造所に設けられた第三管理システム3と、を含んでいる。これらの管理システム1,2,3は、ネットワーク4を介して互いに通信可能に構成されている。
【0032】
第一管理システム1は、血液を提供する供血者ごとに割り当てられる提供者識別情報BCを生成する第一制御装置1Aと、採血した血液から血液製剤を製造する血液製剤製造装置1Bと、第一読取装置としての第一バーコードリーダー1Cと、を備える。
【0033】
第一制御装置1Aは、同じ識別情報が異なる供血者に割り当てられることを防止できるように提供者識別情報BCを生成する。一つの医療用容器包装体10に収納された血液バッグ20や、識別情報ラベル50には、固有の提供者識別情報BCが付され、他の医療用容器包装体には、これとは異なる提供者識別情報が付された血液バッグや、識別情報ラベルが収納される。第一制御装置1Aは、生成した提供者識別情報BCを、ネットワーク4を介して第二制御装置2Aや第三制御装置3Aに送信する。
第一制御装置1Aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算手段や、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などの記憶手段を有したコンピュータなどで構成され、第一制御装置1Aに各種情報を入力するための入力手段を備えて構成されていてもよい。第一制御装置1Aは、有線および無線の少なくともいずれかの方式で、血液製剤製造装置1B、および第一バーコードリーダー1Cと接続されて、これらを制御する。また、第一制御装置1Aは、ネットワーク4を介して、第二管理システム2の第二制御装置2Aや第三管理システムの第三制御装置3Aと通信可能に構成されている。これらの制御装置1A,2A,3Aは、互いに送受信した情報について、適宜、提供者識別情報BCと関連付ける処理を実行できる。
【0034】
血液製剤製造装置1Bは、後述する献血ルームにて第一バッグ21中に収容した血液を、血液フィルタ26を用いて白血球を除去したり、白血球除去後の血液が収容された第二バッグ23に遠心分離処理を施して、血漿と赤血球とを分離したりする処理を行う。血液製剤製造装置1Bとしては、単一の装置であっても、複数の装置から構成されるものであってもよい。
血液製剤製造装置1Bは、血液製剤を製造する過程の条件や製造した血液製剤に関する情報(血液製剤製造情報)を、第一制御装置1Aへと送信する。第一制御装置1Aは、受信した血液製剤製造情報を提供者識別情報BCと関連付けて、記憶手段にて記憶させる。
【0035】
第一バーコードリーダー1Cは、血液バッグ20のラベルL1や採血管30の識別情報ラベル50に印字された提供者識別情報BCとしてのバーコードを読み取り、第一バーコードリーダー1Cによって読み取られた情報は、第一制御装置1Aに送信される。第一制御装置1Aは、第一バーコードリーダー1Cから受信した情報に基づいて採血日時や採血情報との関連付け等の所定の処理を実行する。第一バーコードリーダー1Cは、採血管ケース40内部に複数本載置された採血管30の識別情報ラベル50から提供者識別情報BCを読み取ることも可能である。この時、接着剤面を上方に向けて識別情報ラベル50をラベル載置部43に載置し、採血管ケース40の少なくともケース底面部42が光透過性の材質で形成されていれば、ケース底面部42側から提供者識別情報BCを第一バーコードリーダー1Cで読み取ることができる。また、採血管30が光透過性の材質で形成されていれば、採血管30の内部に所定量の血液が採取されていることを確認することができる。
第一バーコードリーダー1Cとしては、例えば、レーザースキャン方式、ラインセンサ方式、エリアセンサー方式等、バーコードを読み取り可能なものであれば、特に限定されない。
【0036】
第二管理システム2は、第二制御装置2Aと、供血者から血液を採血する採血装置2Bと、第二読取装置としての第二バーコードリーダー2Cと、を備える。
【0037】
第二制御装置2Aは、第一制御装置1Aと同様に演算手段、記憶手段、入力手段等を備えたコンピュータなどで構成される。第二制御装置2Aは、有線および無線の少なくともいずれかの方式で、採血装置2B、および第二バーコードリーダー2Cと接続されて、これらを制御する。また、本実施形態では、第二制御装置2Aが備える入力手段にて、供血者に関する情報を入力する。なお、本実施形態では、第一制御装置1Aにて、提供者識別情報BCを生成する態様を例に挙げて説明するが、第二制御装置2Aにて提供者識別情報BCを生成してもよい。この場合、生成した提供者識別情報BCは、ネットワーク4を介して、第一制御装置1Aや第三制御装置3Aに送信しておくことが好ましい。
【0038】
採血装置2Bとしては、例えば、自動採血装置を用いることができる。自動採血装置に血液バッグ20をセットし、採血針27を介して供血者から自動で採血し、その際、採血初期の血液を血液検査用バッグ22へ収容し、次いで、第一バッグ21へ血液を収容する。
採血装置2Bは、採血の条件や供血者の血圧等に関する採血情報を、第二制御装置2Aへと送信する。第二制御装置2Aは、受信した採血情報を提供者識別情報BCと関連付けて、記憶手段にて記憶させ、さらに、第二制御装置2Aは、予め入力手段にて入力されていた供血者に関する情報も合わせて関連付けて記憶させてもよい。
【0039】
第二バーコードリーダー2Cは、血液バッグ20のラベルL1、医療用容器包装体10のラベルL2、および採血管30の識別情報ラベル50に印字された提供者識別情報BCとしてのバーコードを読み取る。第二バーコードリーダー2Cによって読み取られた情報は、第二制御装置2Aに送信される。なお、採血前に予め第二バーコードリーダー2Cにて提供者識別情報BCを読み取っておき、入力手段にて供血者に関する情報が入力されたり、採血情報が入力されたりする都度、第二制御装置2Aにて、これらの情報を関連付けて記憶させる制御を行ってもよい。
第二バーコードリーダー2Cとしては、第一バーコードリーダー1Cと同様、バーコードを読み取り可能なものであれば、特に限定されない。
【0040】
第三管理システム3は、第三制御装置3Aと、識別情報付与装置としてのラベルプリンタ3Bと、識別情報媒体製造装置としてのラベル製造装置3Cと、第三読取装置としての第三バーコードリーダー3Dと、を備える。
【0041】
第三制御装置3Aは、第一制御装置1Aと同様に演算手段、記憶手段、入力手段等を備えたコンピュータなどで構成される。第三制御装置3Aは、有線および無線の少なくともいずれかの方式で、ラベルプリンタ3B、ラベル製造装置3C、および第三バーコードリーダー3Dと接続されて、これらを制御する。また、本実施形態では、第三制御装置3Aが備える入力手段にて、血液バッグ20の商品名、容量、成分表示、製造者、製造ロット等に関する血液バッグ情報(医療容器情報)を入力する。また、本実施形態では、第一制御装置1Aにて予め生成された提供者識別情報BCをネットワーク4を介して受信し、第三制御装置3Aの記憶手段にて記憶させておき、ラベルL1、ラベルL2、および識別情報ラベル50に印字できるよう準備しておく。第三制御装置3Aは、受信した提供者識別情報BCと、血液バッグ20の製造ロット等との血液バッグ情報とを関連付けて、第三制御装置3Aの記憶手段に記憶させておくことが好ましい。さらに、医療用容器包装体10の商品名、容量、成分表示、製造者、製造ロット等の情報も同様に関連付けて第三制御装置3Aの記憶手段に記憶させておくことが好ましい。
なお、本実施形態では、第一制御装置1Aにて、提供者識別情報BCを生成する態様を例に挙げて説明するが、第三制御装置3Aにて提供者識別情報BCを生成してもよい。この場合、生成した提供者識別情報BCは、ネットワーク4を介して、第一制御装置1Aや第二制御装置2Aに送信しておくことが好ましい。
【0042】
ラベルプリンタ3Bは、第三制御装置3Aに記憶された提供者識別情報BCおよび血液バッグ情報を受信し、血液バッグ20に付する。
ラベルプリンタ3Bは、本実施形態では、提供者識別情報BCとしてのバーコードと、血液バッグ情報とを同じラベルシートに印字してラベルL1を製造し、血液バッグ20に貼着する。本実施形態では、血液バッグ20を構成する各バッグ21,22,23,24,25の内、第一バッグ21、第二バッグ23および第三バッグ24のラベルL1に、提供者識別情報BCが印字される。
ラベルプリンタ3Bの内部には、未印刷のラベルが所定間隔で配置されたラベルシートが、例えば、ロールの状態でセットされている。ラベルプリンタ3Bは、当該ロールからラベルシートを巻き出すと共に、提供者識別情報BCとしてのバーコードや血液バッグ情報を印字し、ラベルL1を繰り出しながら、血液バッグ20を構成する各バッグに貼着する。印字用表面シートの印字面には、バーコードが印字され、裏面には、接着剤層が形成されている。
ラベルプリンタ3Bは、ラベルL1を貼着する血液バッグ20を構成するバッグの数に応じた台数分を準備しておくことが好ましい。複数台のラベルプリンタ3Bを並列配置して、並列配置した血液バッグ20を構成する各バッグに対して同時に所望の印字が施され、各バッグに対応したサイズのラベルL1を製造して貼着できるため、血液バッグ20の製造効率が向上する。
【0043】
ラベル製造装置3Cは、ラベルプリンタ3Bが受信したものと同じ提供者識別情報BCを第三制御装置3Aから受信して、提供者識別情報BC(バーコード)を印字した識別情報ラベル50を製造する識別情報媒体製造装置である。本実施形態では、ラベル製造装置3Cは、バーコードが印字された6枚分の識別情報ラベル50を分離可能に一体に連結された状態で製造する。ラベル製造装置3Cの内部にも、ラベルプリンタ3Bと同様に分離可能に一体に連結された未印刷のラベルが所定間隔で配置されたラベルシートが、例えば、ロールの状態でセットされており、提供者識別情報BCとしてのバーコードを印刷し、識別情報ラベル50を繰り出す。なお、ラベルL2は、ラベル製造装置3Cで製造し、別途、蓋材12に貼着してもよいし、ラベルプリンタ3Bで蓋材12に直接貼着してもよい。
【0044】
第三バーコードリーダー3Dは、ラベルL1や識別情報ラベル50に印字された提供者識別情報BCとしてのバーコードを読み取り、第三バーコードリーダー3Dによって読み取られた情報は、第三制御装置3Aに送信される。第三制御装置3Aは、第三バーコードリーダー3Dから受信した情報に基づいて採血日時や採血情報との関連付け等の所定の処理を実行する。
第三バーコードリーダー3Dとしては、第一バーコードリーダー1Cと同様、バーコードを読み取り可能なものであれば、特に限定されない。
【0045】
ネットワーク4は、有線または無線のネットワークでもよく、専用ネットワークや公衆ネットワークのいずれでもよく、LAN等のネットワークや、国内または世界規模の広域ネットワークなどが利用される。
【0046】
次に本実施形態に係る医療用容器の管理方法を説明する。
本実施形態の医療用容器の管理方法では、医療用容器としての血液バッグ20(第一の医療用容器)および採血管30(第二の医療用容器)を管理することが可能であり、上述の医療用容器管理システムS1を用いることが好ましい。以下、医療用容器管理システムS1を用いた場合の管理方法を例に挙げて説明する。なお、本発明は、このような例に限定されるものではない。
まず、第一制御装置1Aにて、提供者識別情報BCを予め生成する。この提供者識別情報BCは、ネットワーク4を介して、第二制御装置2Aおよび第三制御装置3Aに送信される。
次に、第三制御装置3Aにて、入力手段により入力された血液バッグ情報と受信した提供者識別情報BCとを関連付けて、ラベルプリンタ3Bへ送信するとともに、同じ提供者識別情報BCをラベル製造装置3Cへ送信する。
次に、ラベルプリンタ3Bにて、提供者識別情報BCとしてのバーコードと、血液バッグ情報とを同じラベルシートに印字してラベルL1を製造し、血液バッグ20に貼着する。本実施形態では、血液バッグ20を構成する各バッグ21,22,23,24,25の内、第一バッグ21、第二バッグ23および第三バッグ24のラベルL1に、提供者識別情報BCと血液バッグ情報が印字される。他の血液検査用バッグ22および第四バッグ25には、血液バッグ情報のみが印字される。
また、ラベル製造装置3Cにて、提供者識別情報BCとしてのバーコードを印字した識別情報ラベル50を、当該識別情報ラベル50が貼着される対象物(採血管30、カルテ等)の数に応じた枚数分が互いに分離可能に連結された状態で製造する。識別情報ラベル50に印字された提供者識別情報BCは、血液バッグ20に貼着されたラベルL1に印字された提供者識別情報BCと同内容である。
【0047】
次に、ラベルL1が貼着された血液バッグ20、および識別情報ラベル50を医療用容器包装体10の容器本体11に収容し、蓋材12をヒートシールして容器本体11の開口部112を塞いで密封し、医療用容器包装体10を製造する。なお、蓋材12をヒートシールする前後の少なくともいずれかの段階で、滅菌処理を施すことが好ましい。また、蓋材12には、医療用容器包装体10の商品名、容量、成分表示、製造者、製造ロット等の情報や提供者識別情報BCが印字されたラベルL2を貼着しておく。なお、ラベルL2に印字された情報も、第三制御装置3Aにて提供者識別情報BCおよび血液バッグ情報とともに関連付けて記憶しておき、また、ネットワーク4を介して、第一制御装置1Aおよび第二制御装置2Aに送信しておくことが好ましい。
【0048】
製造された医療用容器包装体10は、献血ルームに搬送されて使用される。
献血ルームでは、採血する採血者は、供血者に関する情報をカルテに記載したり、第二制御装置2Aの入力手段にて入力したり、識別情報ラベル50をカルテに貼付したりする。第二制御装置2Aでは、当該供血者に割り当てられる提供者識別情報BCと供血者に関する情報とを関連付ける。
また、採血者は、医療用容器包装体10を開封し、血液バッグ20および識別情報ラベル50を取り出し、採血装置2Bに血液バッグ20をセットして、供血者から所定量の血液を採血する。採血装置2Bにて、採血の条件等に関する採血情報を、第二制御装置2Aへと送信する。
また、採血者は、血液バッグ20のラベルL1、医療用容器包装体10のラベルL2、および採血管30の識別情報ラベル50に印字された提供者識別情報BCとしてのバーコードを少なくとも一つ以上、第二バーコードリーダー2Cにて読み取る。第二バーコードリーダー2Cは、第二制御装置2Aに送信する。
また、採血者は、連結状態の識別情報ラベル50を、採血管ケース40のラベル載置部43に載置し、血液検査用バッグ22に収容された血液を5本の採血管30にそれぞれ取り分けて、栓31にて閉栓する。その後、採血者は、仕切部41の仕切に沿って採血管30を並べて配置して、採血管ケース40に収容する。なお、ここで説明した採血管ケース40に収容する手順の詳細は、前述のとおりである。
採血装置2Bは、採血した際の採血情報を第二制御装置2Aへ送信し、第二制御装置2Aは、供血者に関する情報および提供者識別情報BCと関連付けて記憶手段に記憶させるとともに、ネットワーク4を介して、第一制御装置1Aに送信する。
【0049】
採血済みの血液バッグ20は、採血管ケース40に並べて配置された状態のままの採血管30とともに、血液センターへ搬送される。若しくは、連結状態の識別情報ラベル50を採血者の手により分離可能部分より分離させ、各採血管30に識別情報ラベル50が一枚ずつ貼着された状態で、血液センターに搬送される。
血液センターでは、血液製剤を製造する製剤製造者は、血液製剤製造装置1Bを用い、第一バッグ21に収容された血液を、血液フィルタ26を用いて白血球を除去したり、白血球除去後の血液が収容された第二バッグ23に遠心分離処理を施して、血漿と赤血球とを分離したりする。血液製剤製造装置1Bは、血液製剤を製造した際の血液製剤製造情報を、第一制御装置1Aへ送信する。第一制御装置1Aは、受信した血液製剤製造情報を提供者識別情報BCと関連付けて、記憶手段にて記憶させる。このとき、第二制御装置2Aや第三制御装置3Aから受信した各種情報とも関連付けておくことが好ましい。
また、製剤製造者は、第一バーコードリーダー1Cにて、血液バッグ20のラベルL1、および採血管30の識別情報ラベル50に印字された提供者識別情報BCとしてのバーコードを読み取る。第一バーコードリーダー1Cは、第一制御装置1Aに送信する。また、第一バーコードリーダー1Cにより、採血管ケース40に並べて配置された状態で識別情報ラベル50が連結されたままの採血管30であれば、まとめて読み取ることが可能であり、採血管30を1本ずつ手で持って読み取る場合に比べて、読み取り作業が軽減される。識別情報ラベル50が分離された状態であれば、1本ずつ手で持って読み取る。
採血管30の提供者識別情報BCを読み取った後は、採血管30を採血管ケース40から取り出す際に、連結状態の識別情報ラベル50を分離させることで、各採血管30に識別情報ラベル50が一枚ずつ貼着された状態となる。
【0050】
(本実施形態の効果)
医療用容器包装体10は、提供者識別情報BCが印字されているラベルL1が貼着された血液バッグ20を備える。そのため、献血ルームの採血者は、採血する度に、提供者識別情報BCが記されたラベルをバッグごとに付する必要がない。採血者は、血液検査用バッグ22から血液の一部を取り分けて収容する採血管30やカルテに識別情報ラベル50を貼着すればよい。
ゆえに、医療用容器包装体10によれば、提供者識別情報BCが記されたラベルを血液バッグ20に付する作業負担を軽減することができる。
【0051】
医療用容器管理システムS1では、ラベルプリンタ3Bが、第一制御装置1Aにて生成された提供者識別情報BCをネットワーク4および第三制御装置3Aを介して受信し、提供者識別情報BCや血液バッグ情報などを印字したラベルL1として血液バッグ20に貼着する。また、医療用容器管理システムS1では、ラベル製造装置3Cが、提供者識別情報BCと同じ情報を上述と同様に第三制御装置3Aから受信し、提供者識別情報BCを有する識別情報ラベル50を製造する。
医療用容器管理システムS1において、予め提供者識別情報BCが付された血液バッグ20と、識別情報ラベル50とを、医療用容器包装体10に同梱しておけば、別途識別情報ラベル50を準備しておく必要がない。さらに採血者は、採血する度に、医療用容器包装体10から取り出した血液バッグ20を構成する各バッグに対して提供者識別情報BCを一つずつ貼着する必要がない。
ゆえに、医療用容器管理システムS1によれば、提供者識別情報BCが記されたラベルを医療用容器に付する作業負担を軽減することができる。
【0052】
本実施形態における識別情報ラベル50を採血管30に貼着するための貼着方法では、少なくとも採血管30の個数に応じた個数分が互いに分離可能に連結されたままの識別情報ラベル50を、接着剤層51の接着剤面を上方に向けてラベル載置部43に載置する。その後、仕切部41の仕切に沿って複数の採血管30を並べて配置して、採血管ケース40に収容することで、識別情報ラベル50を採血管30に貼着する。または、仕切部41の仕切に沿って複数の採血管30を並べて配置し、接着剤層51の接着剤面を下方に向けて連結状態の識別情報ラベル50を採血管30の上に載置し、識別情報ラベル50を採血管30に貼着する粘着方法でもよい。
すなわち、複数の識別情報ラベル50が分離可能に連結された状態のままで、並べて配置される複数の採血管30の位置に合わせて貼着されるので、採血者は、採血する度に、識別情報ラベル50を採血管30ごとに貼着する必要がない。
ゆえに、本実施形態における識別情報ラベルを貼着するための貼着方法によれば、識別情報ラベル50を採血管30に付する作業負担を軽減することができる。
【0053】
本実施形態における医療用容器の管理方法では、上述の識別情報ラベルを貼着するための貼着方法と同様にして、並べて配置される複数の採血管30に識別情報ラベル50を貼着する。さらに、並べて配置されている複数の採血管30に貼着された識別情報ラベル50から提供者識別情報BCを読み取る。そのため、採血者は、採血する度に、識別情報ラベル50を採血管30ごとに貼着する必要がなく、また、採血者もしくは製剤製造者は、それぞれの採血管30に付された識別情報ラベル50の提供者識別情報BCを、採血管30ごとに読み取る必要がなく、まとめて読み取ればよい。
ゆえに、本実施形態における医療用容器の管理方法によれば、識別情報ラベル50を採血管30に付する作業負担を軽減することができ、さらに、採血管30の管理負担も軽減することができる。
【0054】
本実施形態によれば、提供者識別情報BCが記されたラベルを血液バッグ20に貼着する作業負担が軽減する結果、血者と、血液バッグ20と、採血管30との整合性が取れなくなるおそれが低減し、採取した血液の管理精度が向上する。
また、提供者識別情報BCは、血液バッグ情報、供血者に関する情報、採血情報、血液製剤製造情報などと関連付けられて制御装置の記憶手段に記憶されているため、血液製剤の追跡可能性(トレーサビリティ)が向上する。
【0055】
〔第二実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の第二実施形態を説明する。
なお、以降の説明に当たり、第一実施形態と同一の構成については同符号を付し、その説明を簡略または省略する。
【0056】
図5は、本発明の第二実施形態に係る医療用容器包装体10Aの斜視図である。
医療用容器包装体10Aは、第一実施形態と同様に血液バッグ20を内部に収容しているが、蓋材12の表面に、ラベルL2と識別情報ラベル50Aとが貼着されている点で、第一実施形態の医療用容器包装体10と相違する。第一実施形態の医療用容器包装体10では、内部に識別情報ラベル50が血液バッグ20と共に同梱されている。
【0057】
図6には、蓋材12の表面に貼着された識別情報ラベル50Aの断面概略図が示されている。識別情報ラベル50Aは、ラベル製造装置3Cで製造され、剥離シートと、第一接着剤層52と、中間シート53と、第二接着剤層54と、印字用表面シート55とを、この順に積層されて構成される。印字用表面シート55に、提供者識別情報BCとしてのバーコードが印字されている。識別情報ラベル50Aを採血管30に貼着する際には、中間シート53と、第二接着剤層54との間で剥離し、印字用表面シート55を表にして第二接着剤層54側を採血管30に貼着する。なお、図6では、剥離シートが既に剥離されて蓋材12に貼り付けられているため図示されていない。印字用表面シート55および中間シート53には、ラベルL1で用いた材質と同様の材質のシートを用いることができる。第一接着剤層52および第二接着剤層54には、ラベルL1で用いた材質と同様の材質の接着剤層を用いることができる。剥離シートには、識別情報ラベル50で用いた材質と同様の材質の剥離シートを用いることができる。中間シート53の第二接着剤層54と接する面、および剥離シートの第一接着剤層52側の面には剥離処理がなされている。剥離シートの第一接着剤層52側の面に軽剥離処理を施し、中間シート53の第一接着剤層52側とは反対側の面に重剥離処理を施しておくことが好ましい。つまり、中間シート53と第二接着剤層54間の剥離力を第一接着剤層52と剥離シート間の剥離力より大きくしておくことで蓋材12への識別情報ラベル50Aの貼着が容易になる。
【0058】
本実施形態では、蓋材12の表面に貼着された識別情報ラベル50Aを、分離可能に連結された状態のまま、採血管ケース40を用いて採血管30に貼着してもよいし、一つずつ分離しながら、識別情報ラベル50Aを貼着してもよいが、作業負担を軽減する観点から、前者の方が好ましい。前者の場合、採血管30への貼着方法としては、分離可能に連結された状態の識別情報ラベル50Aの印字用表面シート55側を蓋材12から剥がす。このとき、第二接着剤層54と中間シート53との間で剥離される。剥離後、前述の図3(B)のように第二接着剤層54の接着剤面を上に向け、印字用表面シート55の印字面を下に向けて採血管ケース40のラベル載置部43に載置する手順としてもよいし、前述の図3(D)のように、載置済みの採血管30に対して第二接着剤層54の接着剤面を下に向け、印字用表面シート55の印字面を上に向けて貼着する手順としてもよい。
また、ラベル製造装置3Cに代えてラベルプリンタ3Bを適用し、識別情報ラベル50Aを製造してそのまま蓋材12の表面に貼着する態様としてもよく、このような態様とすれば、識別情報ラベル50Aを医療用容器包装体10A内部に同梱し忘れることを防止でき、また、廃棄する剥離シートが不要となり廃棄物を削減することができる。
【0059】
第二実施形態の医療用容器包装体10Aを用いた場合も、第一実施形態と同様の効果を奏する。また、第一実施形態の採血管ケース40および第二実施形態の医療用容器包装体10Aを利用して、第一実施形態と同様の医療用容器管理システム、識別情報ラベルの貼着方法、医療用容器の管理方法を実施可能であり、同様の効果を奏する。
【0060】
〔第三実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の第三実施形態を説明する。
なお、以降の説明に当たり、第一実施形態および第二実施形態と同一の構成については同符号を付し、その説明を簡略または省略する。
【0061】
図7(A)には、第三実施形態に係る医療用容器包装体の蓋材12に貼着される識別情報ラベル50Bが連結された第一ラベル連結体R1の平面図が示され、図7(B)には、蓋材12の表面に貼着された第一ラベル連結体R1の断面概略図(A-A矢視断面図)が示されている。
第三実施形態では、6つの識別情報ラベル50Bと、識別情報ラベル50Bよりも長尺状に形成された1つの識別情報ラベル50Cとが互いに分離可能に連結された第一ラベル連結体R1が用いられる。また、容器本体11の大きさは、少なくとも血液バッグ20が収納できる大きさであれば特に限定されない。
【0062】
第一ラベル連結体R1は、ラベル製造装置3Cで印字や打ち抜き等の工程により製造される。第一ラベル連結体R1は、図7ではすでに剥がされて図示されていない剥離シートと、第一接着剤層52と、中間シート53と、第二接着剤層54と、印字用表面シート55とが、この順に積層されて構成される。第一接着剤層52は、蓋材12側から蓋材側接着剤層521、芯材522、および擬似接着層523が、この順に積層されて構成されている。
第一ラベル連結体R1には、識別情報ラベル50Bおよび識別情報ラベル50Cの領域に応じた切込C1が形成されている。切込C1は、識別情報ラベル50Bの部分および識別情報ラベル50Cの提供者識別情報BCとしてのバーコードが印字された部分を避けて、印字用表面シート55から第二接着剤層54まで到達する深さ寸法を有する。切込C1は、第一ラベル連結体R1の印字用表面シート55側から打ち抜き加工を行う。
さらに、第一ラベル連結体R1には、切込C2を形成する。切込C2は、第一ラベル連結体R1の剥離シート側から中間シート53まで剥離シート側から打ち抜き加工を行うことで作成できる。切込C2は、中間シート53まで到達する深さ寸法を有する。なお、図7(B)では、剥離シートは、既に剥離されて第一接着剤層52の蓋材側接着剤層521により蓋材12に貼り付けられているため図示されていない。
なお、切込C1および切込C2を形成する際の打抜き加工は、第一ラベル連結体R1の厚さ方向に貫通する深さ寸法で形成するものではなく、所定の深さまで切込を入れる加工である。
【0063】
芯材522としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリイミド樹脂などの合成樹脂フィルムや、上質紙、含浸紙、グラシン紙、コート紙、不織布などの紙材等の基材を用いることができる。厚さは、通常5μm以上300μm以下の範囲で選定され、より好ましくは20μm以上250μm以下の範囲である。この理由は、かかる芯材522の厚さが5μm未満となると、機械的強度が低下して、外圧条件によっては、変形しやすいためである。一方、芯材522の厚さが300μmを超えると、ロール状等に巻回したり、切断加工したりすることが困難となる場合があるためである。
【0064】
擬似接着層523は、芯材522と中間シート53との間で剥離可能に擬似接着されるものであれば、特に限定されないが、熱可塑性樹脂層であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等が単独で又は2種類以上混合されたものを用いることができる。擬似接着層523の厚さは、特に限定されないが、例えば3μm以上70μm以下、好ましくは5μm以上50μm以下である。この理由は、擬似接着層523の厚さが3μm未満となると、接着力が発現しない場合があるためである。一方、擬似接着層523の厚さが70μmを超えると識別情報ラベル50全体が過剰に厚くなるためである。
【0065】
図8(A)は、識別情報ラベル50Bを採血管30に貼着する際の手順の一部を示す平面図であり、図8(B)は、その断面概略図(B-B矢視断面図)である。
図8(A)に示すように、識別情報ラベル50Cの提供者識別情報BCが印字されていない部分を蓋材12側に残すためには、識別情報ラベル50Cの提供者識別情報BCが印字された部分を切込C1に沿って擬似接着層523と芯材522との界面で剥離すると、識別情報ラベル50Cの提供者識別情報BCが印字されていない部分が蓋材12側に残る。そして、剥離された識別情報ラベル50Cから識別情報ラベル50Bの一部が中間シート53からはみ出した状態となる。本実施形態では、識別情報ラベル50Bのこのようにはみ出した部分をつまんで、第一ラベル連結体R1から分離して、採血管30のそれぞれに貼着することができる。そのため、識別情報ラベル50Bを第一ラベル連結体R1から分離し易く、貼着作業効率が向上する。
【0066】
なお、第三実施形態の医療用容器包装体を用いた場合も、第一実施形態と同様の効果を奏する。また、第三実施形態の医療用容器包装体を利用して、第一実施形態と同様の医療用容器管理システム、医療用容器の管理方法を実施可能であり、同様の効果を奏する。
【0067】
〔第四実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の第四実施形態を説明する。
なお、以降の説明に当たり、第一実施形態から第三実施形態までで説明したものと同一の構成については同符号を付し、その説明を簡略または省略する。
【0068】
図9には、第四実施形態に係る医療用容器包装体の蓋材表面に貼着される識別情報ラベル50Aと、ラベルL2とが互いに分離可能に連結された第二ラベル連結体R2の平面図が示されている。
第二ラベル連結体R2は、図6と同様の断面構成を有し、ラベル製造装置3Cで製造される。第二ラベル連結体R2は、剥離シートと、蓋材12に貼着される第一接着剤層52と、中間シート53と、第二接着剤層54と、印字用表面シート55とを、この順に積層されて構成される。また、本実施形態では、ラベル製造装置3Cに代えてラベルプリンタ3Bを適用し、第二ラベル連結体R2を製造してそのまま蓋材12の表面に貼着する態様としてもよい。このようにすれば、本実施形態の医療用容器包装体の蓋材12に対してラベルL2と識別情報ラベル50Aとを同じ工程で貼着できるので、医療用容器包装体の製造効率が向上する。なお、本実施形態において、識別情報ラベル50Aの部分を第三実施形態のような第一ラベル連結体R1のような構成としてもよい。
【0069】
第四実施形態の医療用容器包装体を用いた場合も、第一実施形態と同様の効果を奏する。また、第四実施形態の医療用容器包装体を利用して、第一実施形態と同様の医療用容器管理システム、識別情報ラベルの貼着方法、医療用容器の管理方法を実施可能であり、同様の効果を奏する。
【0070】
〔第五実施形態〕
次に、本発明の第五実施形態を説明する。
なお、以降の説明に当たり、第一実施形態から第四実施形態までで説明したものと同一の構成については同符号を付し、その説明を簡略または省略する。
【0071】
本実施形態に係る医療用容器包装体は、分離可能に連結された識別情報ラベル50Aが貼着された採血管30と、ラベルL1が貼着された血液バッグ20とを備えている。すなわち、本実施形態は、識別情報ラベル50Aが貼着された採血管30と、ラベルL1が貼着された血液バッグ20とが同梱された医療用容器包装体である。
そのため、献血ルームの採血者は、採血する度に、提供者識別情報BCが記されたラベルを血液バッグ20や採血管30に一つずつ貼着する必要がなくなる。血液検査用バッグ22に収容された血液を医療用容器包装体に同梱されているラベル貼着済みの採血管30にそれぞれ取り分ければよく、作業負担を軽減できる。
ゆえに、本実施形態の医療用容器包装体によれば、提供者識別情報BCが記されたラベルを医療用容器(血液バッグ20および採血管30)に付する作業負担をなくすことができる。
【0072】
本実施形態の医療用容器包装体を利用して、第一実施形態と同様の医療用容器管理システム、医療用容器の管理方法を実施可能であり、同様の効果を奏する。
特に、本実施形態によれば、提供者識別情報BCが記されたラベルを血液バッグ20および採血管30に1つずつ貼着する作業をなくした結果、ラベルの貼り忘れや、貼り間違い等の作業ミスがなくなり、血者と、血液バッグ20と、採血管30との整合性が取れなくなるおそれが低減し、採取した血液の管理精度がさらに向上する。
【0073】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0074】
医療用容器は、前記実施形態では、バッグ状のものを例に挙げて説明したが、本発明は、このような形態の医療用容器に限定されない。例えば、ボトル状や袋状の医療用容器でもよい。
【0075】
前記実施形態では、医療用容器としての血液バッグにラベルが貼着された例を挙げて説明したが、本発明は、このような形態の医療用容器に限定されず、ラベル以外の情報媒体が貼着されていてもよい。
【0076】
前記実施形態では、第一バッグ21、第二バッグ23および第三バッグ24のラベルL1に、提供者識別情報BCが印字されている例を挙げて説明したが、本発明は、このような形態の血液バッグ(医療用容器)に限定されない。医療用容器が提供者識別情報を有していればよく、例えば、識別情報媒体としてRFID(Radio Frequency IDentification)タグが医療用容器に貼着された形態でもよい。上記実施形態のように提供者識別情報BCが印字されたラベルの場合、印字が消失しないよう、フィルム等でラミネート処理を施すことが好ましいが、ラベルの代わりにRFIDタグを用いれば、このようなラミネート処理が不要になり、識別情報の保存安定性や製造効率が向上する。また、RFIDタグを用いた場合には、リーダ/ライタによる情報の読み取りや書き込みを、電磁的に、非接触または接触方式で行うことができ、バーコード等の印字情報の光学的な読み取りに比べて、精度が高いばかりでなく、バーコードと比べ大量の情報量を扱うことができ、各工程において都度情報を追加することもできるので、RFIDタグのみで各工程の履歴を追跡することができ、ネットワークを不要にすることもできる。一方、RFIDタグは、ラベルよりも高価になり得るため、コストと精度との兼ね合いで、採用する方式を適宜選択すればよい。他の実施形態としては、血液バッグ(医療用容器)に提供者識別情報を直接印字してもよい。直接印字する方法としては、熱転写印刷、レーザー光印刷、インクジェット印刷等、印字可能な方法であれば特に限定されない。
また、提供者識別情報BCを読み取る方式としては、バーコードの読み取り以外にも、OCR(Optical Character Reader)方式による光学的な文字の読み取りでもよい。
【0077】
前記実施形態では、箱型の採血管ケース40(採取容器収納ケース)のケース底面部42に採血管30(採取容器)を載置する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、採血管30を立てた状態で整列させる採血管ケースや、斜めにした状態で整列させて配置する採血管ケースであってもよい。
【0078】
採血管ケース40は、上記実施形態では、上方に向けて開口した直方体の箱形状に形成されたものを例に挙げて説明したが、このような形状の採血管ケース40に限定されない。例えば、仕切部41と、ケース底面部42とで構成される採血管ケース40であって、採血管ケース40の周囲の壁部が無い形状でもよい。
また、仕切部41は、ケース底面部42から立設する突起状に形成されたものに限定されない。例えば、ケース底面部42が平坦ではなく、ケース底面部42に採血管30の長手方向に延びる溝状の仕切部が形成されていてもよい。この場合には、底面部に載置する採血管30の本数に応じた溝を、並列させて形成しておくことで、採血管30を当該溝に沿って載置すれば、複数の採血管30の長手方向を揃えながら並べて配置することが可能になる。そして、配置された採血管30に識別情報ラベル50を貼着すればよい。
【0079】
医療用容器包装体には、採血管ケース40が同梱されていてもよく、血液バッグ20および採血管30等の採血に必要な器具がひとまとめに梱包されていることで、献血ルームの採血者(医療用液体の採取者)の作業効率が向上する。
【0080】
また、前記実施形態では、採血管ケース40を利用して複数の採血管30にまとめて識別情報ラベル50を貼着する態様を例に挙げて説明したが、採血管ケース40を利用せずに、採血管30ごとに貼着する形態であってもよいし、採血管30を1本ずつバーコードリーダーで読み取る方法としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、医療用容器包装体および医療用容器管理システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
10,10A…医療用容器包装体
20…血液バッグ(医療用容器)
30,30a…採血管(採取容器、医療用容器)
50,50A,50B,50C…識別情報ラベル
S1…医療用容器管理システム
1A…第一制御装置(制御装置)
2A…第二制御装置(制御装置)
3A…第三制御装置(制御装置)
3B…ラベルプリンタ(識別情報付与装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9