特許第6085485号(P6085485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6085485
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】杭打ち機
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/00 20060101AFI20170213BHJP
   E21B 6/00 20060101ALI20170213BHJP
   E21B 10/44 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   E21B7/00 Z
   E21B6/00
   E21B10/44
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-11400(P2013-11400)
(22)【出願日】2013年1月24日
(65)【公開番号】特開2014-141839(P2014-141839A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2016年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390016458
【氏名又は名称】三和機工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505047784
【氏名又は名称】株式会社オムテック
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(74)【代理人】
【識別番号】100069578
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 忠司
(72)【発明者】
【氏名】時宗 章
(72)【発明者】
【氏名】後藤 泰博
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−073452(JP,U)
【文献】 特開2000−240055(JP,A)
【文献】 特開平08−068289(JP,A)
【文献】 特開2006−046067(JP,A)
【文献】 特開昭63−040088(JP,A)
【文献】 特開2002−227201(JP,A)
【文献】 特公昭63−011512(JP,B2)
【文献】 特開2002−021074(JP,A)
【文献】 特開2000−054773(JP,A)
【文献】 実開平01−141834(JP,U)
【文献】 特開平11−071984(JP,A)
【文献】 特開平07−292666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00−49/10
E02D 7/00−13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダに沿って昇降可能な昇降枠に、パーカッションドリルマシンを所要ストローク上下動可能に設置すると共に、昇降枠の下部には、センターホール式のオーガマシンをパーカッションドリルマシンと同軸で固定的に設置し、オーガマシンの下端部にこれと連動可能に設けた杭キャップに鋼管杭をセットし、この鋼管杭内にはドリルロッドを挿入して、このロッドの上端部を、オーガマシンの中空部を通してパーカッションドリルマシンに連動連結し、パーカッションドリルマシンを、必要応じて下動又は上動させることにより、ドリルロッドの下端部を鋼管杭の下端から出没させるようにしてなる杭打ち機。
【請求項2】
リーダに沿って昇降可能な昇降枠に、パーカッションドリルマシンとこれの下方に位置するセンターホール式のオーガマシンとを同軸に設置し、オーガマシンの下端部にこれと連動可能に設けた杭キャップに鋼管杭をセットし、この鋼管杭内にドリルロッドを挿入して、このドリルロッドの上端部を、オーガマシンの中空部を通してパーカッションドリルマシンに連動連結し、ドリルロッドの下端部を鋼管杭の下端から常時一体長さ突出させるようにしてなる杭打ち機。
【請求項3】
リーダの一側面に沿って互いに独立して昇降駆動可能な上部昇降枠と下部昇降枠とを設け、下部昇降枠にセンターホール式のオーガマシンを設置し、このオーガマシンの下端部にこれと連動可能に設けた杭キャップに鋼管杭をセットし、上部昇降枠にはパーカッションドリルマシンを設置し、鋼管杭内に挿入したドリルロッドの上端部側をオーガマシンの中空部を通してパーカッションドリルマシンに連動連結し、必要に応じて上部昇降枠を昇降させることにより、ドリルロッドの上端部を鋼管杭の下端から出没させるようにしてなる杭打ち機。
【請求項4】
パーカッションドリルマシンはロータリーパーカッションドリルマシンからなる請求項1〜3の何れかに記載の杭打ち機。
【請求項5】
ドリルロッドは、スクリュー付きロッド又はスクリュー無しのロッドからなる請求項1〜4の何れかに記載の杭打ち機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎杭工法に使用される杭打ち機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の杭打ち機は、クローラークレーン等で支持されるリーダに沿って昇降可能な昇降枠にオーガマシンを設置し、オーガマシンの下端部に設けた杭キャップに鋼管杭をセットし、オーガマシンにより鋼管杭を回転させながら地盤中に埋入するようになっている。
【0003】
このような杭打ち機によって鋼管杭を地盤中に打ち込んでいる途中で、岩盤や礫層等の硬質地層や転石等の障害物に遭遇して、それ以上の鋼管杭の打ち込みが困難又は不能になった時は、鋼管杭を一旦引き抜き、他の装置に設置したパーカッションドリルマシンにドリルロッドを連動連結し、このパーカッションドリルマシンでドリルロッドに打撃力を与えて、この打撃力により硬質地層を破砕し、あるいは障害物を撤去し、その破砕や撤去を終えたら、ドリルロッドを引き上げて、パーカッションドリルマシンを設置した他の装置を移動させ、杭打ち機を元の位置に戻して、鋼管杭を再び貫入して所定深さまで打ち込んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の杭打ち機では、鋼管杭の埋設途中で岩盤等の硬質地盤や転石等の障害物に遭遇した場合に、その硬質地層や障害物を破砕又は撤去するパーカッションドリルマシンを装備した他の装置が必要となり、装置の移動に手間がかかって、施工能率が非常に悪かった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑み、同じリーダにオーガマシンとパーカッションドリルマシンとを併設することによって、装置の移動が不要で、施工能率の向上を図ることのできる杭打ち機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の杭打ち機は、図1図4に例示するように、リーダ1に沿って昇降可能な昇降枠5に、パーカッションドリルマシン6を所要ストローク上下動可能に設置すると共に、昇降枠5の下部には、センターホール式のオーガマシン7をパーカッションドリルマシン6と同軸で固定的に設置し、オーガマシン7の下端部にこれと連動可能に設けた杭キャップCに鋼管杭9をセットし、この鋼管杭9内にはドリルロッド10を挿入して、このロッド10の上端部を、オーガマシン7の中空部を通してパーカッションドリルマシン6に連動連結し、パーカッションドリルマシン6を、必要応じて下動又は上動させることにより、ドリルロッド10の下端部を鋼管杭9の下端から出没させるようにしてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る杭打ち機は、図5に例示するように、リーダ1に沿って昇降可能な昇降枠5に、パーカッションドリルマシン6とこれの下方に位置するセンターホール式のオーガマシン7とを同軸に設置し、オーガマシン7の下端部にこれと連動可能に設けた杭キャップCに鋼管杭9をセットし、この鋼管杭9内にドリルロッド10を挿入して、このドリルロッド10の上端部を、オーガマシン7の中空部を通してパーカッションドリルマシン6に連動連結し、ドリルロッド10の下端部を鋼管杭9の下端から常時一定長さ突出させるようにしてなることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る杭打ち機は、図6に例示するように、リーダ1の一側面に沿って互いに独立して昇降駆動可能な上部昇降枠5Aと下部昇降枠5Bとを設け、下部昇降枠5Bにセンターホール式のオーガマシン7を設置し、このオーガマシン7の下端部にこれと連動可能に設けた杭キャップCに鋼管杭9をセットし、上部昇降枠5Aにはパーカッションドリルマシン6を設置し、鋼管杭9内に挿入したドリルロッド10の上端部側をオーガマシン7の中空部を通してパーカッションドリルマシン6に連動連結し、必要に応じて上部昇降枠5Aを昇降させることにより、ドリルロッド10の上端部を鋼管杭9の下端から出没させるようにしてなることを特徴とする。
【0009】
請求項4は、請求項1〜3の何れかに記載の杭打ち機において、パーカッションドリルマシン6はロータリーパーカッションドリルマシンからなることを特徴とする。
【0010】
請求項5は、請求項1〜4の何れかに記載の杭打ち機において、ドリルロッド10は、スクリュー付きロッド10b又はスクリュー無しのロッド10aからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明によれば、比較的軟質の地層Wa中に鋼管杭9を打ち込む時は、パーカッションドリルマシン6を上動させて、ドリルロッド10の先端部を鋼管杭9内に引っ込めて没入させた状態で、オーガマシン7で鋼管杭9を正転させつつ昇降枠5をリーダ1沿いに下降させながら、鋼管杭9を回転圧入して打ち込めばよいし、このオーガマシン7による鋼管杭9の打ち込み中に鋼管杭9の先端部が岩盤や礫層等の硬質地層Wbや転石等の障害物に突きあたって、それ以上の鋼管杭9の打ち込み困難又は不能となった時には、パーカッションドリルマシン6を上下駆動手段19により下動させて、ドリルロッド10の先端部を鋼管杭9の下端から突出させた状態で、パーカッションドリルマシン6を駆動して、ドリルロッド10に対し打撃力を与えることにより、硬質地層Wb又は障害物を破砕又は撤去することができる。従って、鋼管杭9の打ち込み中でのオーガマシン7とパーカッションドリルマシン6との切り換えが簡単で、施工能率の大幅な向上を図ることができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、鋼管杭9内にドリルロッド10を挿入して、ドリルロッド10の下端部を常に鋼管杭9の下端から一定長さ突出させた状態としているから、鋼管杭9を軟質地層Waに打ち込んでいる途中で鋼管杭9の先端部が岩盤等の硬質地層Wbや転石等の障害物に突き当たって、鋼管杭9の打ち込みが困難又は不能となっても、鋼管杭9とドリルロッド10の付け替えを行なう必要がなく、そのままの状態でパーカッションドリルマシン6を駆動すればよいから、作業が簡単となる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、比較的軟質の地層Waの場合は、ドリルロッド10の下端部を鋼管杭9内に没入させて、オーガマシン7だけで鋼管杭9を打ち込めばよく、また打ち込み途中で鋼管杭9の先端部が硬質地層Wbや障害物に突き当たって、鋼管杭9の打ち込みが困難又は不能になった時は、上部昇降枠駆動手段8Aによる上部昇降枠5Aの下降によりドリルロッド10の先端部を鋼管杭9の下端から所要長さ突出させた状態で、パーカッションドリルマシン6を駆動して、ドリルロッド10に対して打撃力を与えることにより、硬質地層Wb又は障害物をより効果的に破砕又は撤去することができる。
【0014】
請求項4に記載のように、パーカッションドリルマシン6は、ドリルロッド10に対し打撃力に加えて回転力も伝達するロータリーパーカッションドリルマシンからなるため、硬質地層Wbや障害物をより効果的に破砕又は撤去することができる。
【0015】
請求項5に記載のように、ドリルロッド10としては、スクリュー付きロッド10b又はスクリュー無しのロッド10aを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a) は第1発明に係る杭打ち機の側面図、(b) は(a) の杭打ち機のパーカッションドリルマシン部分の正面図である。
図2】(a) ,(b) は第1発明に係る杭打ち機の使用による杭打ち方法の最初の段階を説明する説明図である。
図3】(a) 〜(c) は引き続き杭打ち方法を説明する説明図である。
図4】(a) 及び(b) は引き続き杭打ち方法の最終段階を説明する説明図である。
図5】(a) は第2発明に係る杭打ち機の側面図であり、(b) は(a) の杭打ち機のオーガマシン部分の正面図で、オーガマシンから鋼管杭を取り外した状態で示す。
図6】(a) は第3発明に係る杭打ち機の側面図であり、(b) は(a) の杭打ち機のパーカッションドリルマシン及びオーガマシン部分の正面図で、オーガマシンから鋼管杭を取り外した状態で示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1発明に係る杭打ち機を示す図1において、1はリーダで、ベースマシーン2の前端部に俯仰自在に設けられたマスト3に支持されて、水平面に対し垂直に立設されている。リーダ1には、その前側面側に全長にわたって設けられたガイドレール4に沿って昇降する昇降枠5が装備され、この昇降枠5には、ロータリーパーカッションドリルマシン6が、上下駆動手段19によって所定ストローク上下動可能に設置され、そしてこの昇降枠5の下端部にはセンターホール式のオーガマシン7が、ロータリーパーカッションドリルマシン6と同軸で固定的に設けられている。
【0018】
昇降枠5は、昇降枠駆動手段8によりガイドレール4に沿って昇降駆動される。昇降枠駆動手段8は、リーダ1の上端部と下端部に夫々スプロケット8a,8bを軸着して、両スプロケット8a,8bにチェーン8cを掛架すると共に、下部側のスプロケット8bを駆動スプロケットとして、これを減速機付モータ(図示せず)に連動連結し、このチェーン8cの所要部に昇降枠5を連結してなるものである。昇降枠駆動手段8としては、このようなスプロケット・チェーン機構からなるものに限らず、ラック式その他の周知の機構を採用することができる。
【0019】
オーガマシン7は、これの下端部に設けてある杭キャップCに鋼管杭9の頭部をセットすることにより鋼管杭9と連動連結して、この鋼管杭9を正逆回転駆動し、鋼管杭9の正転時に地盤を削孔し、逆転時に地盤から引き抜くようになっている。このオーガマシン7は、センターホール式で、図示は省略するが、オーガマシン7の軸芯に沿って中空部が貫通形成されている。尚、鋼管杭9の先端部には螺旋刃9aが設けてある。
【0020】
オーガマシン7の上方に位置するロータリーパーカッションドリルマシン6は、これの下端部に連動連結されるドリルロッド10(図2参照)に打撃力と必要に応じて回転力を伝達して、岩盤や礫層等の硬質地層を破砕し、また転石等の障害物を撤去するもので、図1その他に示すように、昇降枠5に取り付けられた支持枠22の補助リーダ23に上下スライド自在に支持されると共に、支持枠22に設けられた油圧シリンダからなる上下駆動手段19により所定ストローク上下動するようになっている。また、このロータリーパーカッションドリルマシン6は、詳細な図示は省略するが、ドリルロッド10の中空部に水又はエアーを供給するスイベル機構を備えている。尚、ドリルロッド10の中空部に供給さた水又はエアーは、必要に応じてドリルロッド10の先端部から吐出される。
【0021】
上記ドリルロッド10は、図2の(a) に示すように、先端部に尖鋭状のパーカッションヘッド11を備えるのみで、全長にスクリューを備えていないスクリュー無しロッド10aからなる場合と、同図の(b) に示すように全長にスクリュー12を設けると共に、先端部に尖鋭状のパーカッションヘッド11を備えたスクリュー付きロッド10bからなる場合とがあって、施工条件によりスクリュー無しロッド10a又はスクリュー付きロッド10bを鋼管杭9内に挿入し、そのロッド10a又は10bの上端部を、オーガマシン7の中空部を通じてロータリーパーカッションドリルマシン6に連動連結している。
【0022】
しかして、ロータリーパーカッションドリルマシン6を上下駆動手段19により補助リーダ23に沿って所定ストローク下動させると、ドリルロッド10先端部(下端部)のパーカッションヘッド11が鋼管杭9の下端から下方へ突出し、また上動させると、パーカッションヘッド11が鋼管杭9内に没入するようになっている。
【0023】
上記のように構成される杭打ち機の使用による鋼管杭9の打ち込み方法について図2図4を参照して説明する。尚、図2図4では、ベースマシーン2側に垂設されるリーダ1の図示を省略する。
【0024】
先ず、図2の(a) に示すように、鋼管杭9内にドリルロッド10を挿入セットするが、施工条件によってスクリュー無しロッド10a又はスクリュー付きロッド10bの何れかを使用する。
【0025】
図2の(b) に示すように、例えばスクリュー付きロッド10bからなるドリルロッド10を鋼管杭9に挿入セットして、そのロッド10の上端部を、杭キャップCからオーガマシン7の中空部を通して、ロータリーパーカッションドリルマシン6に連動連結した後、鋼管杭9の頭部を杭キャップCにセットする。この時、ロータリーパーカッションドリルマシン6を上下駆動手段19により上動させて、ドリルロッド10の先端部(下端部)のパーカッションヘッド11を鋼管杭9内に引っ込めて没入させた状態とする。
【0026】
そして、鋼管杭9の杭芯及び垂直度を確認した後、図3の(a) に示すように、鋼管杭9をオーガマシン7により正転させつつ、昇降枠5を下降させて、鋼管杭9を回転圧入しながら比較的軟質の地層Wa中に打ち込んでゆく。打ち込み途中で鋼管杭9の先端部(下端部)が岩盤や礫層等の硬質地層Wbや転石等の障害物に突き当たって、それ以上の鋼管杭9の打ち込みが困難又は不能となった時は、図3の(b) に示すように、上下駆動手段19によりロータリーパーカッションドリルマシン6を支持枠22の補助リーダ23に沿って下動し、ドリルロッド10の先端部を鋼管杭9の下端から所要長さα突出させ、ドリルロッド10の先行調整を行なう。こうしてドリルロッド10の先行調整を行なった後、図3の(b) に示すようにロータリーパーカッションドリルマシン6を駆動して、ドリルロッド10としてのスクリュー付きロッド10bに対して打撃力と正転による回転力を与えて、このロッド10bの打撃力と回転力で硬質地層Wb又は障害物を破砕又は撤去する。
【0027】
上記のようにして硬質地層Wb又は障害物を破砕又は撤去したならば、図3の(c) に示すように、上下駆動手段19によりロータリーパーカッションドリルマシン6を補助リーダ23に沿って上動し、ドリルロッド10の先端部を鋼管杭9内に引っ込めて没入させる。この後、オーガマシン7を駆動して、鋼管杭9を正転しつつ昇降枠5を下動させて鋼管杭9を下方の軟質地層Waに回転圧入しながら所定深度まで打ち込む。
【0028】
上記のように鋼管杭9を所定深度まで打ち込んでその先端部が図4の(a) に示すように強固な支持層Wdに達したならば、同図に示すように、鋼管杭9の頭部よりオーガマシン7の杭キャップCを取り外し、昇降枠5をリーダ1に沿って上昇させることにより、オーガマシン7をロータリーパーカッションドリルマシン6と共に引き上げて、地盤中に残した鋼管杭9からドリルロッド10を引き上げる。
【0029】
この後、図4の(b) に示すように、ドリルロッド10をロータリーパーカッションドリルマシン6から取り外すことによって、鋼管杭9の打ち込む作業を完了し、図1に示すベースマシーン2を別の場所へ移動する。
【0030】
以上、図1図4を参照して説明した杭打ち機は、リーダ1に沿って昇降可能な昇降枠5に、ロータリーパーカッションドリルマシン6を所要ストローク上下動可能に設置すると共に、昇降枠5の下部には、センターホール式のオーガマシン7をロータリーパーカッションドリルマシン6と同軸で固定的に設置し、オーガマシン7の下端部の杭キャップCに鋼管杭9をセットし、この鋼管杭9内にドリルロッド10を挿入して、このロッド10上端部を、オーガマシン7の中空部を通してパーカッションドリルマシン6に連動連結し、ロータリーパーカッションドリルマシン6を必要応じ下動又は上動させることにより、ドリルロッド10の下端部を鋼管杭9の下端から出没させるようにしたから、比較的軟質の地層Wa中に鋼管杭9を打ち込む時は、ロータリーパーカッションドリルマシン6を、昇降枠5上で上下駆動手段19により上動させて、ドリルロッド10の先端部(下端部)を鋼管杭9内に引っ込めて没入させた状態で、オーガマシン7で鋼管杭9を正転させつつ昇降枠5をリーダ1沿いに下降させながら、鋼管杭9を回転圧入して打ち込めばよいし、このオーガマシン7による鋼管杭9の打ち込み中に鋼管杭9の先端部が硬質地層Wbや障害物に突き当たって、それ以上の鋼管杭9の打ち込み困難又は不能となった時は、ロータリーパーカッションドリルマシン6を上下駆動手段19により下動させて、ドリルロッド10の先端部を鋼管杭9の下端から突出させた状態で、ロータリーパーカッションドリルマシン6を駆動して、ドリルロッド10に対し打撃力のみか、必要に応じて打撃力と回転力を与えることにより、硬質地層Wbを破砕し、また障害物を撤去することができる。
【0031】
従って、この杭打ち機によれば、鋼管杭9の打ち込み中でのオーガマシン7とロータリーパーカッションドリルマシン6との切り換えが簡単容易で、施工能率の大幅な向上を図ることができる。
【0032】
図5は第2発明に係る杭打ち機を示す。この杭打ち機は、リーダ1の前側面全長にわたって設けられたガイドレール4に沿って昇降可能な昇降枠5に、ロータリーパーカッションドリルマシン6とこれの下方に位置するセンターホール式のオーガマシン7とを同軸に設置し、オーガマシン7の下端部にこれと連動可能に設けた杭キャップCに鋼管杭9をセットし、この鋼管杭9内にドリルロッド10を挿入して、ドリルロッド10の上端部を、オーガマシン7の中空部を通してロータリーパーカッションドリルマシン6に連動連結し、ドリルロッド10下端部のパーカッションヘッド11を鋼管杭9の下端から常時一定長さだけ突出させるようにしたものである。
【0033】
この図5に示す杭打ち機の昇降枠5をリーダ1に沿って昇降駆動する昇降枠駆動手段8は、図1に示す杭打ち機と同じで、リーダ1の上端部と下端部に夫々スプロケット8a,8bを軸着して、両スプロケット8a,8bにチェーン8cを掛架し、下部側の駆動スプロケット8bを減速機付モータに連動連結し、このチェーン8cの所要部に昇降枠5を連結してなるものである。
【0034】
この杭打ち機の使用による鋼管杭9の打ち込みにあたっては、オーガマシン7下端部の杭キャップCに鋼管杭9をセットし、鋼管杭9内にドリルロッド10を挿入して、ドリルロッド10の上端部をロータリーパーカッションドリルマシン6に連動連結し、ドリルロッド10下端部のパーカッションヘッド11を鋼管杭9の下端から一定長さ突出させた状態で、昇降枠5をリーダ1に沿って下降させつつ、鋼管杭9をオーガマシン7で正転させながら、図5に示すように鋼管杭9を軟質地層Waに打ち込んでゆき、打ち込み途中で鋼管杭9の先端部が岩盤等の硬質地層Wbや転石等の障害物に突き当たった時は、ロータリーパーカッションドリルマシン6を駆動して、ドリルロッド10に対して打撃力のみか、必要に応じて回転力をも与えることにより、硬質地層Wb又は障害物を破砕又は撤去することができる。この場合、ドリルロッド10としては、スクリュー無しロッド10a又はスクリュー付きロッド10bを使用する。
【0035】
この図5に示す杭打ち機によれば、鋼管杭9内にドリルロッド10を挿入して、ドリルロッド10下端部のパーカッションヘッド11を常に鋼管杭9の下端から一定長さ突出させた状態としているから、鋼管杭9を軟質地層Waに打ち込んでいる途中で鋼管杭9の先端部が岩盤等の硬質地層Wbや転石等の障害物に突き当たって、鋼管杭9の打ち込みが不能となっても、鋼管杭9とドリルロッド10の付け替えを行なう必要がなく、そのままの状態でロータリーパーカッションドリルマシン6を駆動すればよいから、作業が簡単となる。
【0036】
図6は第3発明に係る杭打ち機を示す。この杭打ち機は、リーダ1の前側面全長にわたって設けられたガイドレール4に沿って互いに独立して昇降駆動可能な上部昇降枠5Aと下部昇降枠5Bとを設け、下部昇降枠5Bにセンターホール式のオーガマシン7を設置し、このオーガマシン7の下端部にこれと連動可能に設けた杭キャップCに鋼管杭9をセットし、上部昇降枠5Aにはロータリーパーカッションドリルマシン6を設置し、鋼管杭9内に挿入したドリルロッド10の上端部側をオーガマシン7の中空部を通してロータリーパーカッションドリルマシン6に連動連結し、しかして必要に応じて上部昇降枠5Aを下部昇降枠5Bに対し昇降させることにより、ドリルロッド10先端部(下端部)のパーカッションヘッド11を鋼管杭9の下端から突出させたり、鋼管杭9内に没入させるようにしたものである。
【0037】
下部昇降枠5Bを昇降駆動する下部昇降枠駆動手段8Bは、図1及び図5に示す杭打ち機と同じで、リーダ1の上端部と下端部に夫々スプロケット8a,8bを軸着して、上下両スプロケット8a,8bにチェーン8cを掛架し、下部側の駆動スプロケット8bを減速機付モータに連動連結し、このチェーン8cの所要部に昇降枠5を連結してなるものである。上部昇降枠5Aを駆動する上部昇降枠駆動手段8Aは、ベースマシーン2側に設置された巻取りドラム(図示省略)によって巻取り繰り出し操作されるワイヤー24により上部昇降枠5Aを昇降駆動するワイヤー巻取り式駆動手段からなるもので、巻取りドラム側から延出したワイヤー24は、ベースマシーン2のマスト3に設けたガイドシーブ25,26からリーダ1頂部側のガイドシーブ27,28を通って、このガイドシーブ28と上部昇降枠5A側の動滑車29とにわたって巻装されている。
【0038】
この図6に示す杭打ち機の使用による鋼管杭9の打ち込みにあたり、下部昇降枠5Bに設置したオーガマシン7の杭キャップCに鋼管杭9をセットし、この鋼管杭9内に挿入したドリルロッド10の上端部を、上部昇降枠5Aに設置したロータリーパーカッションドリルマシン6に連動連結し、しかしてドリルロッド10の先端部(下端部)を鋼管杭9内に没入した状態で、鋼管杭9をオーガマシン7により正転させながら軟質地層Waに打ち込んでゆき、打ち込み途中で鋼管杭9の先端部が岩盤等の硬質地層Wbや転石等の障害物に突き当たって、鋼管杭9が打ち込み不能になった時は、上部昇降枠駆動手段8Aのワイヤー24を繰り出し操作しながら、ロータリーパーカッションドリルマシン6を駆動して、ドリルロッド10に対して打撃力のみか、必要に応じて回転力をも与えることにより、硬質地層Wb又は障害物を破砕又は撤去することができる。
【0039】
硬質地層Wb又は障害物を破砕又は撤去した後は、ドリルロッド10の先端部を鋼管杭9内に没入した状態で、鋼管杭9をオーガマシン7によりに回転圧入しながら所定深度まで打ち込む。
【0040】
この図6に示す杭打ち機によれば、リーダ1に沿って互いに独立して昇降駆動可能な上部昇降枠5Aと下部昇降枠5Bとを設け、下部昇降枠5Bにはオーガマシン7を設置し、このオーガマシン7の下端部にこれと連動可能に設けた杭キャップCに鋼管杭9をセットし、上部昇降枠5Aにはパーカッションドリルマシン6を設置し、鋼管杭9内に挿入したドリルロッド10の上端部側をオーガマシン7の中空部を通してパーカッションドリルマシン6に連動連結し、必要に応じて上部昇降枠5Aを昇降させることにより、ドリルロッド10の下端部を鋼管杭9の下端から出没させるようにしたから、比較的軟質の地層Waの場合は、ドリルロッド10の下端部を鋼管杭9内に没入させて、オーガマシン7だけで鋼管杭9を打ち込めばよく、また打ち込み途中で鋼管杭9の先端部が岩盤層等の硬質地層Wbや転石等の障害物に突き当たって、鋼管杭9が打ち込み不能になった時は、上部昇降枠駆動手段8Aによる上部昇降枠5Aの下降によりドリルロッド10の先端部を鋼管杭9の下端から所要長さ突出させた状態で、ロータリーパーカッションドリルマシン6を駆動して、ドリルロッド10に対して打撃力のみか、必要に応じて回転力をも与えることにより、硬質地層Wb又は障害物を破砕又は撤去することができる。
【0041】
図1図5及び図6において、30はリーダ1の正面側下端部に設けられたリング状の振れ止めで、これに嵌挿される鋼管杭9やドリルロッド10の下端部側の振れを防止するようになっている。
【0042】
以上説明した実施形態のロータリーパーカッションドリルマシン6はドリルロッド10に対し打撃力及び回転力を伝達するものであるが、本発明に係る杭打ち機では、このロータリーパーカッションドリルマシン6の代えて、ドリルロッド10に打撃力のみを伝達するパーカッションドリルマシンを使用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 リーダ
2 ベースマシーン
4 ガイドレール
5 昇降枠
5A 上部昇降枠
5B 下部昇降枠
6 ロータリーパーカッションドリルマシン
7 オーガマシン
C 杭キャップ
9 鋼管杭
10 ドリルロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6