(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の電気器具収容体としての配線用ボックスにあっては、電線が通る孔とか、自身を固定するための孔とかがあけられていたり、配線用ボックスと建物の壁との間に隙間が生じていたりして、それら孔や隙間から、害虫等の虫が、配線用ボックス内に進入する虞があった。特に、配線用ボックス内には電気器具が配設されることから、内部の温度が高くなり、この配線用ボックスが虫の棲家となる虞があった。また、この進入した虫自身や虫の糞によって、電気器具がショートする虞もあり、その対策が望まれた。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、虫の被害を防止または軽減することができる、電気器具収容体
、および電気器具の設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る電気器具収容体
、および電気器具の設置構造は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る電気器具収容体は、電気器具が配設される電気器具収容体であって、前記電気器具が収容可能な収容体本体を備える。この収容体本体は、底壁およびその底壁から起立する側壁を有するとともに前記底壁とは反対側の前面に開口を有する有底箱状に形成される。また、前記収容体本体の前端部分に、建物の壁の壁面に当接するための、側方に張り出すフランジ部が設けられる。そして、電気器具収容体は、虫が前記収容体本体内に進入するのを防止し、または前記収容体本体内に進入した虫をその収容体本体内から追い払うべく、前記収容体本体の、少なくとも内側または内面に、虫に忌避行動を促す虫忌避成分を含有する虫忌避部を備える。
【0007】
この電気器具収容体によると、有底箱状に形成された収容体本体内に電気器具が収容されるようにして、この電気器具は、電気器具収容体に配設される。ここにおいて、電気器具収容体は、収容体本体の、少なくとも内側または内面に、虫忌避成分を含有する虫忌避部を備えており、これによって、虫が収容体本体内に進入するのを防止したり、収容体本体内に進入した虫をその収容体本体内から追い払うことができる。したがって、虫が収容体本体内に留まることはなく、虫の被害が防止または軽減される。そして、収容体本体に設けられたフランジ部を、壁面に当接させるようにして、電気器具収容体を設置することで、虫が壁面とフランジ部との間を通るのを防ぐことができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る電気器具収容体は、請求項1に記載の電気器具収容体において、前記収容体本体内における、前記電気器具の収容の障害とならない位置に、前記虫忌避部を有する虫忌避体が配置されてなる。こうして、電気器具収容体が、収容体本体とは別に、虫忌避部を有する虫忌避体を備えることで、順次、虫忌避体を交換したり追加したりすることができる。また、既存の設備に対して、この虫忌避体を設けることもできる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る電気器具収容体は、請求項1に記載の電気器具収容体において、前記収容体本体の内面に、前記虫忌避成分を含有する塗料が塗工されて、その塗工された塗工部が前記虫忌避部となる。こうして、収容体本体の内面に、虫忌避成分を含有する塗料が塗工されることで、虫忌避部を、収容体本体とは別に設ける必要がない。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る電気器具収容体は、請求項1に記載の電気器具収容体において、前記収容体本体が、前記虫忌避成分を含有する材料により形成されて、前記収容体本体自身が前記虫忌避部となる。こうして、収容体本体が、虫忌避成分を含有する材料により形成されることで、虫忌避部を、収容体本体とは別に設ける必要がない。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る電気器具の設置構造は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電気器具収容体と、電気器具とを備える。ここで、前記虫忌避部を備えた前記電気器具収容体が、建物の壁に形成された貫通孔に前記壁の表側から挿通されて、前記フランジ部の裏面が前記貫通孔の壁表側周縁に当接するようにして設置される。そして、前記電気器具が、前記壁の表側に面するとともに前記開口にある前記電気器具収容体の開口部から前記収容体本体内に収容されるように設置される。こうして、収容体本体の前端部分に設けられたフランジ部の裏面が、壁に形成された貫通孔の壁表側周縁に当接することで、虫が壁の表側面とフランジ部との間から壁の裏側に進入するのを防ぐことができる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る電気器具の設置構造は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電気器具収容体と、電気器具とを備える。ここで、前記虫忌避部を備えた前記電気器具収容体が、建物の壁の裏側に、前記開口にある前記電気器具収容体の開口部が前記壁に形成された貫通孔から前記壁の表側に臨むようにして、かつ、前記フランジ部の前面が前記貫通孔の壁裏側周縁に当接するようにして設置される。そして、前記電気器具が、前記壁の表側に面するとともに前記貫通孔および前記開口部から前記収容体本体内に収容されるように設置される。こうして、収容体本体の前端部分に設けられたフランジ部の前面が、壁に形成された貫通孔の壁裏側周縁に当接することで、虫が壁の裏側面とフランジ部との間から収容体本体内に進入するのを防ぐことができる。
【0013】
【0014】
また、請求項7に記載の発明に係る電気器具の設置構造は、電気器具が配設される電気器具収容体と、虫忌避シートと、電気器具とを備える。ここで、前記電気器具収容体は、前記電気器具が収容可能な収容体本体を備える。この収容体本体は、底壁およびその底壁から起立する側壁を有するとともに前記底壁とは反対側の前面に開口を有する有底箱状に形成される。そして、電気器具収容体は、虫が前記収容体本体内に進入するのを防止し、または前記収容体本体内に進入した虫をその収容体本体内から追い払うべく、前記収容体本体の、少なくとも内側または内面に、虫に忌避行動を促す虫忌避成分を含有する虫忌避部を備える。そこで、前記虫忌避部を備えた前記電気器具収容体が、建物の壁の裏側に、前記開口にある前記電気器具収容体の開口部が前記壁に形成された貫通孔から前記壁の表側に臨むようにして設置される。そして、前記虫忌避シートが、虫に忌避行動を促す虫忌避成分を有して、前記貫通孔の壁裏側周縁に設置される。さらに、前記電気器具が、前記壁の表側に面するとともに前記貫通孔および前記開口部から前記収容体本体内に収容されるように設置される。
この電気器具の設置構造によると、有底箱状に形成された収容体本体内に電気器具が収容されるようにして、この電気器具は、電気器具収容体に配設される。ここにおいて、電気器具収容体は、収容体本体の、少なくとも内側または内面に、虫忌避成分を含有する虫忌避部を備えており、これによって、虫が収容体本体内に進入するのを防止したり、収容体本体内に進入した虫をその収容体本体内から追い払うことができる。したがって、虫が収容体本体内に留まることはなく、虫の被害が防止または軽減される。さらに、虫忌避部とは別に、虫忌避シートを、壁に形成された貫通孔の壁裏側周縁に設置することで、虫が壁の裏側面と電気器具収容体との間から収容体本体内に進入するのを防ぐことができる。
【0015】
また、請求項8に記載の発明に係る電気器具の設置構造は、請求項7に記載の電気器具の設置構造において、前記収容体本体内における、前記電気器具の収容の障害とならない位置に、前記虫忌避部を有する虫忌避体が配置されてなる。こうして、電気器具収容体が、収容体本体とは別に、虫忌避部を有する虫忌避体を備えることで、順次、虫忌避体を交換したり追加したりすることができる。また、既存の設備に対して、この虫忌避体を設けることもできる。
また、請求項9に記載の発明に係る電気器具の設置構造は、請求項7に記載の電気器具の設置構造において、前記収容体本体の内面に、前記虫忌避成分を含有する塗料が塗工されて、その塗工された塗工部が前記虫忌避部となる。こうして、収容体本体の内面に、虫忌避成分を含有する塗料が塗工されることで、虫忌避部を、収容体本体とは別に設ける必要がない。
また、請求項10に記載の発明に係る電気器具の設置構造は、請求項7に記載の電気器具の設置構造において、前記収容体本体が、前記虫忌避成分を含有する材料により形成されて、前記収容体本体自身が前記虫忌避部となる。こうして、収容体本体が、虫忌避成分を含有する材料により形成されることで、虫忌避部を、収容体本体とは別に設ける必要がない。
【0016】
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る電気器具収容体
、および電気器具の設置構造によれば、虫忌避成分を含有する虫忌避部を設けることで、電気器具収容体における、虫の被害を防止または軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明に係る電気器具収容体
、および電気器具の設置構造を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1〜
図5は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、建物の壁を示す。2は、コンセントとかスイッチ、その他の電気器具を示す。3は、その電気器具2を保持する保持材としての保持パネルを示す。4は、前記電気器具2が配設される電気器具収容体を示す。5は、電気器具2の設置構造を示す。
【0021】
保持パネル3は、板状に形成されており、その板の表裏を貫通するようにして電気器具2が、保持パネル3に取り付けられる。そして、保持パネル3は、例えば上下の各側に、ビス21が挿通される孔3aがあけられている。
【0022】
電気器具収容体4は、電気器具2が収容可能な収容体本体Xを備える。この収容体本体Xは、底壁X1およびその底壁X1から起立する側壁X2を有するとともに底壁X1とは反対側の前面に開口X3を有する有底箱状に形成されている。そして、電気器具収容体4は、害虫等の虫が収容体本体X内に進入するのを防止し、または収容体本体X内に進入した虫をその収容体本体X内から追い払うべく、収容体本体Xの、少なくとも内側または内面に、虫に忌避行動を促す虫忌避成分を含有する虫忌避部7を備える。詳細には、電気器具収容体4は、収容体本体X内における、電気器具2の収容の障害とならない位置に、前記虫忌避部7を有する虫忌避体8が配置されてなる。
【0023】
ここで、電気器具2の設置構造5について説明する。この設置構造5は、前記電気器具収容体4と、虫忌避シート9と、前記電気器具2とを備えている。図示実施の形態においては、虫忌避部7(詳しくは、虫忌避体8)を備えた電気器具収容体4は、建物の壁1の裏側S2に、収容体本体Xの開口X3にある電気器具収容体4の開口部4z(図示実施の形態においては、開口X3そのもの)が壁1に形成された貫通孔1aから壁1の表側S1に臨むようにして設置される。そして、虫忌避シート9が、虫に忌避行動を促す虫忌避成分を有して、壁1に形成された貫通孔1aの壁裏側周縁1b(つまり、貫通孔1a周りの壁1の裏側面1c)に設置される。そして、電気器具2が、壁1の表側S1に面するとともに前記貫通孔1aおよび開口部4zから収容体本体X内に収容されるように設置される。
【0024】
具体的には、収容体本体Xは、配線用ボックス6からなる。すなわち、この配線用ボックス6は、底壁6a(X1)およびその底壁6a(X1)から起立する側壁6b(X2)を有するとともに底壁6a(X1)とは反対側の前面に開口6c(X3)を有する有底箱状に形成されて、内部に電気器具2が収容可能となっている。この配線用ボックス6は、例えば、合成樹脂製であって、直方体形状をしている。この配線用ボックス6には、電線が通るための孔やノックアウト、そして自身を固定するための孔(つまり、固定するためのビス等の固着具が通る孔)が、適宜位置に設けられている。また、この配線用ボックス6には、電気器具2を固定するための固定部6dが設けられている。この固定部6dは、配線用ボックス6における、例えば上下の各側において、配線用ボックス6の側壁6bから内側に突出するようにして形成されている。そして、この固定部6dは、前述のビス21がねじ込まれる螺合部を有しており、図示実施の形態においては、螺合部は、固定部6dに埋設されるナット6eからなる。
【0025】
虫忌避体8は、板状に形成されて、配線用ボックス6の内側において底壁6aに重なるように配置される。詳細には、虫忌避体8は、底壁6aのほぼ内面全体を覆うように配置される。より詳細には、虫忌避体8は、底壁6aの形状に合うように、矩形形状(詳しくは、長方形形状)に形成されるとともに、固定部6dと干渉しないように、上下の各側に凹部8aが設けられている。また、この虫忌避体8は、その外周(図示実施の形態においては、全外周)から底壁6a側に折れ曲がるようにして、周縁リブ8bが設けられている。こうして、虫忌避体8は、この周縁リブ8bによって、裏側が窪んだ形状となり、その窪みにより、底壁6aから突出する突起6fを逃がして、この虫忌避体8を、配線用ボックス6の底壁6a部分に安定して配置することができる。
【0026】
また、この虫忌避体8は、虫忌避体8の表面(前面または裏面、あるいはその両方の面)に、虫忌避成分を含有する塗料が塗工されて、その塗工された塗工部が前述した虫忌避部7となっている。もっとも、虫忌避体8は、虫忌避成分を含有する材料により形成されて、その虫忌避体8自身が前述した虫忌避部7となっても構わない。
【0027】
虫忌避シート9は、平板枠状に形成されて、貫通孔1a周りを囲むようにして、その貫通孔1aの壁裏側周縁1bに設置される。図示実施の形態においては、虫忌避シート9は、壁1の裏側面1cと配線用ボックス6における側壁6bの先端面との間に設置される。このとき、虫忌避シート9は、例えば、壁1あるいは配線用ボックス6に貼り付けられることで固定されるが、その固定手段は特に問わない。
【0028】
また、この虫忌避シート9は、虫忌避シート9の表面(一方の面、あるいは両方の面)に、虫忌避成分を含有する塗料が塗工されて形成されるが、その他に、虫忌避成分を含有する材料により形成されても構わない。
【0029】
そこで、配線用ボックス6(ひいては、電気器具収容体4)は、壁1の裏側S2において、柱とか横木等(図示せず)に固定されて設置される。そして、この配線用ボックス6(ひいては、電気器具収容体4)に対し、壁1の表側S1から、電気器具2が取り付けられた保持パネル3が取り付けられる。詳細には、取付け用のビス21が、保持パネル3の孔3aを通って、配線用ボックス6における固定部6d(詳しくは、ナット6e)にねじ込まれる。こうして、電気器具2は、保持パネル3を介して、配線用ボックス6(ひいては、電気器具収容体4)に取り付けられ、この電気器具2は、前述したように、壁1の表側S1に面するとともに壁1の貫通孔1aおよび電気器具収容体4の開口部4z(図示実施の形態においては、配線用ボックス6の開口6cそのもの)からその配線用ボックス6内に収容されるように設置される。
【0030】
ところで、虫忌避部7(虫忌避体8)とか虫忌避シート9における、虫忌避成分としては、例えば、ピレスロイド系剤、有機リン剤、カーバメイト剤、ホウ素化合物、フッ素化合物などが挙げられる。
【0031】
次に、以上の構成からなる電気器具収容体4、電気器具収容体4用の虫忌避体8、および電気器具2の設置構造5の作用効果について説明する。電気器具収容体4は、有底箱状に形成された配線用ボックス6(収容体本体X)を備えており、その配線用ボックス6(収容体本体X)内に電気器具2が収容されるようにして、電気器具2は、電気器具収容体4に配設される。ここにおいて、電気器具収容体4は、配線用ボックス6(収容体本体X)の、少なくとも内側または内面に(図示実施の形態においては、内側に)、虫忌避成分を含有する虫忌避部7(図示実施の形態においては、その虫忌避部7を有する虫忌避体8)を備えており、これによって、虫が配線用ボックス6(収容体本体X)内に進入するのを防止したり、配線用ボックス6(収容体本体X)内に進入した虫をその配線用ボックス6(収容体本体X)内から追い払うことができる。したがって、虫が配線用ボックス6(収容体本体X)内に留まることはなく、虫の被害(配線用ボックス6(収容体本体X)、ひいては電気器具収容体4が虫の棲家となったりする等)が防止または軽減される。すなわち、虫忌避成分を含有する虫忌避部7を設けることで、電気器具収容体4における、虫の被害を防止または軽減することができる。
【0032】
また、電気器具収容体4は、配線用ボックス6(収容体本体X)とは別に、虫忌避部7を有する虫忌避体8を備えている。これにより、順次、虫忌避体8を交換したり追加したりすることができる。また、既存の設備に対して、この虫忌避体8を設けることもできる。
【0033】
また、図示実施の形態においては、虫忌避体8は、配線用ボックス6(収容体本体X)の内側において底壁6a(X1)に重なるように配置されて、上下方向に延びることから、埃が付き難く、その埃によって忌避の効果が薄れるようなことがない。
【0034】
また、設置構造5においては、虫忌避部7(虫忌避体8)とは別に、虫忌避シート9が設けられる。そして、この虫忌避シート9を、壁1に形成された貫通孔1aの壁裏側周縁1bに設置することで、虫が壁1の裏側面1cと電気器具収容体4との間から配線用ボックス6(収容体本体X)内に進入するのを防ぐことができる。こうして、虫忌避部7(虫忌避体8)に加えて、虫忌避シート9を設けることで、電気器具収容体4における、虫の被害を的確に防止または軽減することができる。
【0035】
図6〜
図7は、本発明の第二の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態とは、電気器具収容体4に被探知部10が設けられる点、虫忌避体8にスリット8cが設けられる点、虫忌避シート9を使用しない点が異なるが、他はほぼ同様であり、以下に、同様の部位には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0036】
電気器具収容体4においては、配線用ボックス6(収容体本体X)における底壁6a(X1)から前方に突出するようにして被探知部10が設けられる。この被探知部10は、先端部分に、例えばマグネットからなる被探知体10aを有している。そこで、壁1に貫通孔1aをあける際には、この被探知体10aを壁1の表側S1から探知することで、電気器具収容体4の位置(つまり、貫通孔1aをあけるべき位置)を知ることができる。
【0037】
虫忌避体8は、被探知部10に対応する位置に、放射状のスリット8c、8cが設けられている。そして、これらスリット8c、8cによって分割された分割片8d、8dを起こすことで、孔が形成され、その孔に被探知部10が挿入される。この被探知部10は、電気器具2を配線用ボックス6(収容体本体X)内に収容する前に、除去されるが、それに合わせて、虫忌避体8の起こされた分割片8dは、元の状態に戻される。もっとも、虫忌避体8には、スリット8cが設けられるのではなく、始めから、被探知部10が挿入される孔が設けられていてもよい。また、この第二の実施の形態においては、虫忌避シート9が設けられていないが、第一の実施の形態と同様に、虫忌避シート9を設けてもよい。
【0038】
図8〜
図10は、本発明の第三の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態とは、虫忌避シート9が設けられない点、虫忌避体8の形状が異なる点が異なるが、他はほぼ同様であり、以下に、同様の部位には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0039】
虫忌避体8は、底壁8fおよびその底壁8fから起立する側壁8gを有する本体部8k
を備えるとともに、底壁8fとは反対側の前面に開口8hを有する有底箱状に形成されている。この虫忌避体8は、電気器具収容体4における配線用ボックス6(収容体本体X)内の気密性を高めるためのものでもあり、その本体部8kは、配線用ボックス6(収容体本体X)の内側に挿入され、その挿入された本体部8k内に電気器具2が収容される。なお、この虫忌避体8は、例えば合成樹脂製であって薄肉に形成されており、適宜位置に、電線が通るための孔を、簡単にあけることができる。
【0040】
また、虫忌避体8には、その前端部分に、建物の壁1の壁面(図示実施の形態においては、壁1の表側面1d)に当接するための、側方に張り出すフランジ部8iが設けられている。そして、フランジ部8iの裏面には、予め両面粘着テープ8jが貼り付けられている。
【0041】
この虫忌避体8は、虫忌避体8の表面(内面または外面、あるいはその両方の面)に、虫忌避成分を含有する塗料が塗工されて、その塗工された塗工部が虫忌避部7となるが、その他に、虫忌避成分を含有する材料により形成されて、その虫忌避体8自身が虫忌避部7となっても構わない。
【0042】
そこで、虫忌避体8は、貫通孔1aに壁1の表側S1から挿通されて、その本体部8kが配線用ボックス6(収容体本体X)内に収容され、フランジ部8iの裏面が貫通孔1aの壁表側周縁1e(つまり、貫通孔1a周りの壁1の表側面1d)に当接するようにして設置される。この際、フランジ部8iが、その裏面の両面粘着テープ8jにより壁1の表側面1dに貼り付けられることで、この虫忌避体8は、所定の位置に固定される。そして、電気器具2が、壁1の表側S1に面するとともに配線用ボックス6の開口6cにある電気器具収容体4の開口部4z(図示実施の形態においては、虫忌避体8の開口8h)から配線用ボックス6内(詳しくは、虫忌避体8内)に収容されるように設置される。
【0043】
この電気器具収容体4によると、第一の実施の形態による作用効果(虫忌避シート9による作用効果を除く。)に加えて、有底箱状の虫忌避体8によって、配線用ボックス6(収容体本体X)内(詳しくは、虫忌避体8内)の気密性を高めることができる。
【0044】
図11は、本発明の第四の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態とは、虫忌避シート9が設けられない点、収容体本体Xは、配線用ボックス6ではなくその配線用ボックス6を覆う気密カバー12からなる点が異なるが、他はほぼ同様であり、以下に、同様の部位には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0045】
電気器具収容体4は、配線用ボックス6の他に、配線用ボックス6の外面側を覆う(詳しくは、底壁6aおよび側壁6bを外から覆う)、収容体本体Xとしての気密カバー12を備えている。すなわち、この気密カバー12は、底壁12a(X1)およびその底壁12a(X1)から起立する側壁12b(X2)を有するとともに底壁12a(X1)とは反対側の前面に開口12c(X3)を有する有底箱状に形成されて、内部に(詳しくは、気密カバー12の内部であって配線用ボックス6の内部に)電気器具2が収容可能となっている。
【0046】
この気密カバー12は、内部の気密性を高めるためのものであり、気密カバー12の前端部分には、建物の壁1の壁面(図示実施の形態においては、壁1の裏側面1c)に当接するための、側方に張り出すフランジ部11が設けられる。図示実施の形態においては、このフランジ部11は、気密カバー12と一体に形成され、そして、気密カバー12の全周に渡って設けられる。
【0047】
そして、この気密カバー12の内面に、虫忌避成分を含有する塗料が塗工されて、その塗工された塗工部が、電気器具収容体4が備える虫忌避部7となる。もっとも、気密カバー12が、虫忌避成分を含有する材料により形成されて、その気密カバー12自身が虫忌避部7となってもよい。
【0048】
また、この気密カバー12は、ゴム等の軟質材料からなり、このため、電線が通るための孔や、配線用ボックス6および気密カバー12を固定するための孔(つまり、固定するためのビス等の固着具が通る孔)を、簡単にあけることができる。
【0049】
ここにおいて、電気器具2の設置構造5は、電気器具収容体4と、電気器具2とを備えている。そこで、虫忌避部7を備えた電気器具収容体4が、建物の壁1の裏側S2に、気密カバー12の開口12cにある電気具収容体4の開口部4z(図示実施の形態においては、配線用ボックス6の開口6c)が壁1に形成された貫通孔1aから壁1の表側S1に臨むようにして、かつ、フランジ部11の前面が貫通孔1aの壁裏側周縁1b(つまり、貫通孔1a周りの壁1の裏側面1c)に当接するようにして設置される。そして、電気器具2が壁1の表側S1に面するとともに貫通孔1aおよび前記開口部4zからその気密カバー12内(詳しくは、配線用ボックス6内)に収容されるように設置される。
【0050】
この電気器具収容体4とか設置構造5によると、第一の実施の形態による作用効果(虫忌避シート9による作用効果を除く。)に加えて、気密カバー12が設けられることで、内部の気密性を高めることができる。そして、気密カバー12(収容体本体X)に設けられたフランジ部11を、壁1の壁面に当接させるようにして、電気器具収容体4を設置することで、虫が壁1の壁面とフランジ部11との間を通るのを防ぐことができる。詳細には、気密カバー12の前端部分に設けられたフランジ部11の前面が、壁1に形成された貫通孔1aの壁裏側周縁1bに当接することで、虫が壁1の裏側面1cとフランジ部11との間から気密カバー12内(つまりは、配線用ボックス6内)に進入するのを防ぐことができる。
【0051】
図12は、本発明の第五の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態とは、虫忌避シート9が設けられない点、配線用ボックス6(収容体本体X)の前端部分にフランジ部11が設けられる点、電気器具収容体4が壁1の表側S1から貫通孔1aに挿通される点が異なるが、他はほぼ同様であり、以下に、同様の部位には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0052】
電気器具収容体4は、その収容体本体Xとしての配線用ボックス6の前端部分に、建物の壁1の壁面(図示実施の形態においては、壁1の表側面1d)に当接するための、側方に張り出すフランジ部11が設けられている。図示実施の形態においては、このフランジ部11は、配線用ボックス6と一体に形成され、そして、配線用ボックス6の全周に渡って設けられる。
【0053】
ここにおいて、電気器具2の設置構造5は、電気器具収容体4と、電気器具2とを備えている。そこで、虫忌避部7を備えた電気器具収容体4が、建物の壁1に形成された貫通孔1aに壁1の表側S1から挿通されて、前記フランジ部11の裏面が貫通孔1aの壁表側周縁1e(つまり、貫通孔1a周りの壁1の表側面1d)に当接するようにして設置される。そして、電気器具2が、壁1の表側S1に面するとともに配線用ボックス6の開口6cにある電気器具収容体4の開口部4z(図示実施の形態においては、開口6cそのもの)からその配線用ボックス6内に収容されるように設置される。
【0054】
図示実施の形態においては、電気器具収容体4は、自身を壁1に固定するための、固定ビス4a、および固定部材4bを有している。ここにおいて、固定ビス4aは、フランジ部11に設けられた通孔11aを通り、固定部材4bに螺合している。そこで、壁1の表側S1から固定ビス4aを回動することで、固定部材4bが引き込まれて壁1の裏側面1cを圧接する。こうして、フランジ部11と固定部材4bとで、壁1を挟み込むことができ、電気器具収容体4は、壁1に固定される。
【0055】
この電気器具収容体4とか設置構造5によると、第一の実施の形態による作用効果(虫忌避シート9による作用効果を除く。)に加えて、配線用ボックス6(収容体本体X)に設けられたフランジ部11を、壁1の壁面に当接させるようにして、電気器具収容体4を設置することで、虫が壁1の壁面とフランジ部11との間を通るのを防ぐことができる。詳細には、配線用ボックス6の前端部分に設けられたフランジ部11の裏面が、壁1に形成された貫通孔1aの壁表側周縁1eに当接することで、虫が壁1の表側面1dとフランジ部11との間から壁1の裏側S2に進入するのを防ぐことができる。
【0056】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、電気器具収容体4に配設される電気器具2は、コンセントとかスイッチ等の配線器具でなくとも、警報器とか足元灯、その他の電気器具であってもよい。また、電気器具収容体4は、壁1の裏側S2に配置されるものでなくとも、壁1の表側S1に配置されるものであってもよく、さらには、屋外において支柱等に固定されるものであってもよい。
【0057】
また、第四の実施の形態(
図11参照)を除く実施の形態において、虫忌避部7は、虫忌避体8に設けられなくとも(つまり、電気器具収容体4が虫忌避体8を備えなくとも)、配線用ボックス6(収容体本体X)の内面に、虫忌避成分を含有する塗料が塗工されて、その塗工された塗工部が虫忌避部7となってもよく、また、配線用ボックス6(収容体本体X)が、虫忌避成分を含有する材料により形成されて、配線用ボックス6(収容体本体X)自身が虫忌避部7となってもよい。そして、第四の実施の形態(
図11参照)を含めて、収容体本体Xが、虫忌避成分を含有する材料により形成されたり、収容体本体Xの内面に、虫忌避成分を含有する塗料が塗工されたりすることで、虫忌避部7を、収容体本体Xとは別に設ける必要がない。つまり、別体となる虫忌避体8を設ける必要がなく、収容体本体X内を、電気器具2の収容空間として有効に活用することができる。
【0058】
また、第一の実施の形態においては、壁1に形成された貫通孔1aの壁裏側周縁1bには、虫忌避シート9が設置されているが、この虫忌避シート9は、設置されなくともよい。
【0059】
また、第三の実施の形態(
図8〜
図10参照)においては、電気器具収容体4は、配線用ボックス6(収容体本体X)と、有底箱状の虫忌避体8とを備える構成となっているが、この虫忌避体8を、収容体本体Xとして見ることもできる。そして、この収容体本体Xとみなされる虫忌避体8は、その虫忌避体8の内面に、虫忌避成分を含有する塗料が塗工されて、その塗工された塗工部が虫忌避部7となったり、虫忌避成分を含有する材料により形成されて、その虫忌避体8自身が虫忌避部7となったりする。そして、この場合には、配線用ボックス6は、なくともよい。
【0060】
また、第四の実施の形態(
図11参照)において、収容体本体Xとしての気密カバー12が、虫忌避成分を含有する材料により形成されたり、気密カバー12の内面に、虫忌避成分を含有する塗料が塗工されたりしなくとも、第一の実施の形態と同様に、配線用ボックス6内に(したがって、気密カバー12内に)、虫忌避部7を有する虫忌避体8が配置されてもよい。
【0061】
また、以上に示す各構成部分を、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせることができるのは勿論である。