特許第6085680号(P6085680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6085680DHCPクライアントを設定する方法及びDHCPクライアント装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6085680
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】DHCPクライアントを設定する方法及びDHCPクライアント装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20170213BHJP
【FI】
   H04L12/70 B
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-527753(P2015-527753)
(86)(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公表番号】特表2015-527010(P2015-527010A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】CN2012080566
(87)【国際公開番号】WO2014029110
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100112759
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ウェイ
【審査官】 速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−303622(JP,A)
【文献】 特開2006−173877(JP,A)
【文献】 特開2007−243669(JP,A)
【文献】 特開2008−259162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DHCPクライアントを設定するための方法であって、
DHCPクライアントの状態を検出するステップと、
「リース中」状態への遷移に応答して、DHCPサーバにより割り当てられたDHCPクライアントのネットワークアドレス及び少なくとも1つのコンフィギュレーションパラメータを保存するステップと、
前記DHCPサーバが到達可能でない場合に、「選択中」状態への遷移に応答して、前記DHCPクライアントの前記「選択中」状態を変更せずに、保存されているネットワークアドレス及び保存されている少なくとも1つの前記コンフィギュレーションパラメータにより前記DCHPクライアントを復元するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
記ネットワークアドレスが他のDHCPクライアントにより使用されるか否かを検出する検出ステップと、
前記ネットワークアドレスが前記他のDHCPクライアントにより使用されることを検出したことに応答して、前記ネットワークアドレスを変更する変更ステップと、
前記ネットワークアドレスが使用されることを示す応答がなくなるまで、前記検出ステップ及び前記変更ステップを反復するステップと、
変更されたネットワークアドレスで前記DHCPクライアントを復元するステップと、
を更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンフィギュレーションパラメータが、ルーティングパラメータ、NTPサーバ、DNSサーバ、サブネットマスクを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記DHCPクライアント及び前記DHCPサーバの間の通信が到達可能でない状態から復旧した場合に、前記DHCPクライアントが前記DHCPサーバからのネットワークアドレスの有効なリースを得た後に、前記「選択中」状態を前記「リース中」状態に変更するステップを更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
DHCPクライアント装置であって、
当該DHCPクライアント装置の状態を検出する検出モジュールと、
「リース中」状態への遷移に応答して、DHCPサーバにより割り当てられた当該DHCPクライアント装置のネットワークアドレス及び少なくとも1つのコンフィギュレーションパラメータを保存し、及び、前記DHCPサーバが到達可能でない場合に、「選択中」状態への遷移に応答して、当該DHCPクライアントの前記「選択中」状態を変更せずに、保存されているネットワークアドレス及び保存されている少なくとも1つの前記コンフィギュレーションパラメータにより前記DHCPクライアントを復元する設定モジュールと、
を有するDHCPクライアント装置。
【請求項6】
前記設定モジュールが、前記ネットワークアドレスが他のDHCPクライアントにより使用されるか否かを検出するように更に形成され、前記ネットワークアドレスが前記他のDHCPクライアントにより使用されることを検出したことに応答して、前記ネットワークアドレスを変更し、前記ネットワークアドレスが使用されることを示す応答がなくなるまで、前記の検出及び前記の変更を反復し、変更されたネットワークアドレスで前記DHCPクライアント装置を復元するように更に形成されている、請求項に記載のDHCPクライアント装置。
【請求項7】
前記コンフィギュレーションパラメータが、ルーティングパラメータ、NTPサーバ、DNSサーバ、サブネットマスクを有する、請求項に記載のDHCPクライアント装置。
【請求項8】
前記設定モジュールが、前記DHCPクライアント及び前記DHCPサーバの間の通信が到達可能でない状態から復旧した場合に、前記DHCPクライアントが前記DHCPサーバからのネットワークアドレスの有効なリースを得た後に、前記「選択中」状態を前記「リース中」状態に変更するように更に形成されている、請求項に記載のDHCPクライアント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ通信等に関連し、特に、DHCPクライアントを設定するための方法及び装置等に関連する。
【背景技術】
【0002】
ダイナミックホストコンフィギュレーションプロトコル(Dynamic Host Configuration Protocol:DHCP)は、ネットワークデバイスがIPネットワークで通信できるように、ネットワークデーバイスを設定するために使用されるネットワークプロトコルである。DHCPクライアントは、DHCPプロトコルを利用して、必要なクライアント設定パラメータをDHCPサーバから取得し、クライアント設定パラメータは、ネットワークアドレス(通常的には、クライアントのIPアドレス)、サブネットマスク、デフォルトゲートウエイ及び1つ以上のDNSサーバアドレスを含む。そして、DHCPクライアントは、これらの設定パラメータを利用して自身のホストを設定する。設定手順が完了すると、DHCPクライアントはIPネットワークで通信できるようになる。通常、IPアドレスは、DHCPサーバにより、「リース又は貸し出し(lease)」と呼ばれる限られた期間についてDHCPクライアントに許可される。これは、リースの間に限り、IPアドレスの割り振りが有効であることを意味する。リースが満了する前に、DHCPクライアントはIPアドレスをリニュー(renew)する責任を有し;IPアドレスをリニューできていない場合、リースが満了するとそのアドレスの利用を止めなければならない。「リニュー」は、「延長」等と言及されてもよい。
【0003】
DHCPサーバは、利用可能なIPアドレスのデータベースを有し、潜在的な全てのDHCPクライアントについてのクライアントコンフィギュレーションパラメータを保持する。「コンフィギュレーション」は「設定」等と言及されてもよい。DHCPサーバがDHCPクライアントからリクエストを受信すると、DHCPサーバは、そのDHCPクライアントが接続されることになるネットワークを決定し、DHCPクライアントに相応しいIPアドレス又はプレフィックスを割り当て、割り当てられたIPアドレス又はプレフィックスを含むそのクライアントに相応しいクライアントコンフィギュレーションを送信する。
【0004】
DHCPクライアントが設定される前でさえ、DHCPプロトコルは適切に動作しなければならないので、DHCPサーバ及びDHCPクライアントは同じネットワークリンクに接続されるべきである。大規模なネットワークではこれは現実的でない。そのようなネットワークでは、ネットワークリンクの各々が1つ以上のDHCPリレーエージェントを含む。「リレー」は「中継」等と言及されてもよい。これらのDHCPリレーエージェントは、DHCPクライアントからメッセージを受信し、それらをDHCPサーバへ転送する。DHCPサーバはリレーエージェントにレスポンスを返し、そしてリレーエージェントはローカルネットワークリンクでDHCPサーバにレスポンスを送信する。
【0005】
図1は従来技術によるDHCPプロトコルの利用形態の一例を示す図である。DHCPサーバ及びDHCPクライアントはルータを介して接続され、ビデオオンデマンド(VoD)サーバがインターネットを介してルータに接続されている。先ず、クライアントは、必要なクライアントコンフィギュレーションパラメータをDHCPサーバから取得し、次に、VoDサーバからビデオコンテンツを入手するために、それらのパラメータを用いてIPレイヤでVoDサーバと通信を行う。しかしながら、しばしば、DHCPサーバは到達不可能になり、DHCPクライアントが自身のリースをリニューできなくなり、その結果、VoDサーバ及びDHCPクライアントの間のデータサービスに影響が及んでしまうことが懸念される。DHCPサーバが到達不可能になる原因は、例えば、DHCPクライアントとDHCPサーバとの間のデータリンクが途絶えてしまうこと(例えば、図1はDHCPサーバとルータとの間のリンクが途切れている様子を示す)、DHCPサーバがダウンしてしまうこと等を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、リースのリニューの際にDHCPサーバが到達不可能な場合にデータサービスに影響が及ばないようにすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態による方法は、
DHCPクライアントを設定するための方法であって、
DHCPクライアントの状態を検出するステップと、
「リース中」状態への変更に応答して、DHCPクライアントのネットワークアドレス及びコンフィギュレーションパラメータを保存するステップと、
「選択中」状態への変更に応答して、前記ネットワークアドレス及び少なくとも1つの前記コンフィギュレーションパラメータを復元するステップと、
を有する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来技術によるDHCPプロトコルの利用形態の一例を示す図。
図2】従来技術によるDHCPクライアントの有限状態遷移を示す図。
図3】本発明の実施形態によるDHCPクライアントのブロック図。
図4】DHCPクライアントが自身のリースをリニューすることに失敗した場合にDHCPクライアントを設定するための本発明の実施形態による方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、DHCPクライアントを設定するための方法が提供される。本方法は、DHCPクライアントの状態を検出するステップと、「リース中(Bound)」状態への遷移に応答して、DHCPサーバにより割り当てられたDHCPクライアントのネットワークアドレス及びコンフィギュレーションパラメータを保存するステップと、前記DHCPサーバが到達可能でない場合に、「選択中(Selection)」状態への遷移に応答して、前記DHCPクライアントの前記「選択中」状態を変更せずに、前記ネットワークアドレス及び少なくとも1つの前記コンフィギュレーションパラメータを復元するステップとを有する方法である。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、DHCPクライアント装置が提供される。DHCP装置は、当該DHCPクライアント装置の状態を検出する検出モジュールと、「リース中」状態への遷移に応答して、DHCPサーバにより割り当てられた当該DHCPクライアント装置のネットワークアドレス及びコンフィギュレーションパラメータを保存し、及び、前記DHCPサーバが到達可能でない場合に、「選択中」状態への遷移に応答して、当該DHCPクライアントの前記「選択中」状態を変更せずに、前記ネットワークアドレス及び少なくとも1つの前記コンフィギュレーションパラメータを復元する設定モジュールとを有するDHCPクライアント装置である。

【0011】
本発明の更なる形態及び利点は本発明についての以下の詳細な説明により更に明らかになるであろう。
【0012】
<図面>
本発明の十分な説明を促すように意図される添付図面は、本発明の原理を説明する「詳細な説明」とともに本発明の実施形態を示す。従って本発明は実施形態には限定されない。添付図面に関し:
図1は従来技術によるDHCPプロトコルの利用形態の一例を示す図であり;
図2は従来技術によるDHCPクライアントの有限状態遷移を示す図であり;
図3は本発明の実施形態によるDHCPクライアントのブロック図であり;そして
図4はDHCPクライアントが自身のリースをリニューすることに失敗した場合にDHCPクライアントを設定するための本発明の実施形態による方法を示すフローチャートである。
【0013】
<実施形態の詳細な説明>
添付図面を考慮しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。以下の説明において、既知のファンクション及びコンフィギュレーションについての詳細な説明は、説明の簡明化のため省略される。
【0014】
本発明の原理は、DHCPクライアントがDHCPサーバによるリースをリニューすることに失敗した場合に、既存のDHCPプロトコルを変更する必要なしに、DHCPクライアントを設定する方法を提供することを意図し、既存のDHCPプロトコルは、主に、RFC2131(ダイナミックホストコンフィギュレーションプロトコル(DHCP))、RFC2132(DHCPオプション及びBOOTPベンダ拡張機能)及びRFC3046(DHCPリレーエージェント情報オプション)等により規定されるプロトコルである。RFC2132だけでなく、他の標準規格文書(例えば、RFC3004、RFC2610、RFC4039、RFC4702、RFC3046、RFC3442等)もDHCPオプションを記述していることに留意を要する。言い換えれば、本発明の原理を適用する際に、DHCPサーバにおけるDHCPプロトコルを修正することはなく、従って、本発明は既存のDHCPに容易に適用可能である。
【0015】
本発明の原理を説明する前に、RFC2131に規定されているようなDHCPクライアントの状態遷移図とともに、本発明の理解に必要な事項を説明する。図2に示されるように、DHCPクライアントの観点から見たリースのライフサイクルに関する状態は、「初期化-再初期化」状態(INIT-Reboot)、「再初期化」状態(REBOOTING)、「初期化」状態(INIT)、「要求中」状態(REQUESTING)、「選択中」状態(SELECTING)、「リース中(又はバウンド)」状態(BOUND)、「再割当」状態(REBINDING)及び「リニュー」状態(RENEW)を含む。DHCPクライアントはリースを有していない最初の「初期化」状態から始まり、DHCPサーバによりDHCPクライアントに割り当てられるIPアドレスを取得、リニュー、再割当及び/又は解放するために、様々な状態に遷移する。以下の表1は、状態、遷移を生じさせるイベント、及び、遷移を簡単に示す。詳細についてはRFC2131に示されている。
【0016】
【表1】
[表1:DHCPクライアント有限ステートマシン(Finite State Machine)]
図3はDHCP関連のコンフィギュレーションパラメータを設定する本発明の実施形態によるDHCPクライアントのブロック図である。DHCPクライアント300は検出モジュール301と設定モジュール302とを有する。検出モジュール301は、DHCPクライアントの現在の状態を検出又は判断し、その状態を設定モジュール302に通知するように形成される。設定モジュール302は、検出モジュール301から通知される状態に応答して、DHCPクライアントのコンフィギュレーションを設定するように形成される。具体的には、方法のフローチャートとともに詳細に説明される本発明の実施形態においては、検出モジュール301はDHCPクライアントの「リース中(又はバウンド)」及び「選択中」の状態を検出するために使用され;設定モジュール302は、1)「リース中」状態への変化に応答して、DHCPクライアントを設定するためにDHCPサーバによりDHCPオプションに含められるようなネットワークアドレス及び他のDHCPパラメータを保存及び格納し(この点については、RFC2132DHCPオプション及びBOOTPベンダ拡張機能において規定されている);及び2)「選択中」状態への遷移に応答して、保存されていたネットワークアドレス及び他のDHCPパラメータとともにDHCPクライアントを設定するために使用される。その結果、DHCPクライアントは「選択中」の状態にある場合でさえ、DHCPクライアントは、例えばVoDサーバのような他のサーバと通信するために自ら更に設定することができる。利点は、検出モジュール301及び設定モジュール302を配備する際に、DHCPクライアントで使用されるDHCPプロトコルを変更しない点である。言い換えれば、設定モジュール302は、保存されているネットワークアドレス及び他のDHCPパラメータとともにDHCPクライアントを設定する場合に、DHCPクライアントの状態を変更しない。DHCPクライアント及びDHCPサーバ間の通信が復旧すると、DHCPクライアントは、「選択中」状態から「要求中」状態を通じて「リース中」状態へ遷移するであろう。遷移の際に、DHCPサーバによりDHCPオプションに含められる(又はDHCPオプションで通知される)ようなネットワークアドレス及び他のDHCPパラメータは、DHCPクライアントを設定するために使用され、その後に、設定モジュール302により復旧又は設定されるような以前の値を置き換える。
【0017】
設定モジュール302により保存される他のDHCPパラメータは実施形態の目的に応じて当業者により変更されてもよいことに留意を要する。そのような他のDHCPパラメータは、サブネットマスク(subnet mask)、ルータ、ドメインネームサーバ(DNS)、ネットワークタイムプロトコル(NTP)サーバ等の情報を含んでいてもよい。一実施形態では、DHCPOFFERメッセージのDHCPオプションにDHCPサーバにより含められるような全てのDHCPパラメータが、「リース中」の状態において保存され、DHCPクライアントの「選択中」の状態において復元(restore)されてもよい。「復元」は「復旧」、「回復」等と言及されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、一部のDHCPパラメータのみが「リース中」の状態において保存され、それらが「選択中」の状態において復元されてもよい。例えば、「サブネットマスク」、「ルータ」、「NTPサーバ」及び「ドメインネームサーバ」が保存される。他の変形例では、DHCPクライアントのルーティングテーブルの中でルーティングエントリを生成するのに使用されるルーティングパラメータが、保存される。一例として、ルーティングパラメータは、DHCPオプションに関してRFC2132で規定されるようなタグ3(ルータ)、DHCPオプションに関してRFC2132で規定されるようなタグ33(静的ルート)、及び、DHCPオプションに関してRFC3442で規定されるようなタグ121(非クラス静的ルートオプション)等を含む。この場合において、一例として、ルーティングテーブルのルーティングエントリ各々は、「宛先プレフィックス(Destination Prefix)」、「ゲートウェイIP」、「インタフェースID」及び「ルートメトリック(Route Metric)」のパラメータから構成される。ルーティングエントリは、例えば、“20.0.0.0/24”,“10.0.0.254”,“lan1”,“0”である。
【0018】
本発明の他の実施形態では、DHCPクライアントが「選択中」の状態で設定された後に、IPアドレスが競合してしまう問題に対処するために、設定モジュール302は、アドレスが他のDHCPクライアントにより使用されているか否かを検出するためにアドレス競合検出(処理)を実行する。これは、DHCPクライアントが使用しているネットワークアドレス宛にピンパケット(ping packet)を送信することにより、実行されることが可能である。「ピンパケット」は「検査パケット」等と言及されてもよい。何らの応答も受信されない場合、そのアドレスはDHCPクライアントによる利用に供されてよいことを意味する。或いは、そうでなかった場合、設定モジュール302は、例えば、保存されているアドレスを1段階(例えば、1つだけ)増加又は減少させることにより、保存されているアドレスを変更し、応答が受信されなくなるまでアドレス競合検出を反復する。
【0019】
図4はDHCPクライアントが自身のリースを延長することに失敗した場合にDHCPクライアントを設定するための本発明の実施形態による方法を示すフローチャートである。
【0020】
ステップ401において、DHCPクライアントが、最初に使用するためのネットワークアドレス及び他の設定パラメータをDHCPクライアントから取得した後に、検出モジュール301が、プロセス間通信(interprocess communication:IPC)又はソケットによりDHCPクライアントの状態を検出する。変形例では、オペレーションシステムレベルが、DHCPクライアントの状態を記録するレジスタ又はデータフィールドを有する。検出モジュールは、データフィールド又はレジスタを調べることが可能である。他の変形例による実施形態では、DHCPクライアントの状態が変わる毎に、DHCPクライアントの有限ステートマシンの変更に関するプログラム処理手順が、そのような変更を検出モジュールに通知する。
【0021】
DHCPクライアントが「リース中」の状態に変えられることが検出された場合、ステップ402において、設定モジュール302は、DHCPサーバによりDHCPオプションで通知されたネットワークアドレス及び少なくとも1つのコンフィギュレーションパラメータを保存する。コンフィギュレーションパラメータは、DNSサーバ、NTPサーバ、ルータ、サブネットマスクを含んでもよい。変形例では、少なくとも1つのコンフィギュレーションパラメータがルーティングパラメータである。
【0022】
DHCPクライアントが「選択中」の状態に変えられることが検出された場合、ステップ403において、設定モジュール302は、DHCPクライアントの状態を変えることなく、保存されていたネットワークアドレス及び保存されていた少なくとも1つのコンフィギュレーションパラメータを復元する。
【0023】
本発明の他の実施形態では、復元ステップ403の後に、設定モジュール302は、上記と同様な方法を用いてアドレス競合検出を実行する。レスポンスを受信することにより競合を検出すると、設定モジュール302は、ネットワークアドレスを変更し、再び復元ステップ403を実行する。
【0024】
上記の実施形態はIPネットワークに関して説明されているが、本発明の原理は、ADSLモデム、アクセスルータ、或いは、高い安定性条件を有する装置(例えば、PCサーバ)等についても使用可能であることを、当業者は認めるであろう。
【0025】
以上、様々な実施形態が説明されてきた。しかしながら、更に様々な変形が施されてよいことも理解されるであろう。例えば、様々な実施形態の構成要素は、組み合わせられ、置換され、修正され或いは削除され、他の実施形態をもたらしてもよい。更に、他の構造及びプロセスが開示内容と置換されてもよいこと、及び、その結果の実施形態は開示される実施形態と少なくとも本質的には同じ結果をもたらすように、少なくとも同様な形式で少なくとも実質的に同じ機能を発揮するであろうということを、当業者は理解するであろう。これら及び他の実施形態は本発明の範囲内に属する。
以下、本願により教示される手段を例示的に列挙する。
(付記1)
DHCPクライアントを設定するための方法であって、
DHCPクライアントの状態を検出するステップと、
「リース中」状態への変更に応答して、DHCPクライアントのネットワークアドレス及びコンフィギュレーションパラメータを保存するステップと、
「選択中」状態への変更に応答して、前記ネットワークアドレス及び少なくとも1つの前記コンフィギュレーションパラメータを復元するステップと、
を有する方法。
(付記2)
前記ネットワークアドレスが他のDHCPクライアントにより使用されるか否かを検出するステップを更に有する付記1に記載の方法。
(付記3)
前記ネットワークアドレスが前記他のDHCPクライアントにより使用されることを検出したことに応答して、前記ネットワークアドレスを変更し、変更されたネットワークアドレスとともに前記DHCPクライアントを復元するステップを更に有する付記2に記載の方法。
(付記4)
前記コンフィギュレーションパラメータが、ルーティングパラメータ、NTPサーバ、DNSサーバ、サブネットマスクを示す、付記1に記載の方法。
(付記5)
DHCPオプションに含まれる前記コンフィギュレーションパラメータを受信するステップを更に有する付記1に記載の方法。
(付記6)
DHCPクライアント装置であって、
当該DHCPクライアント装置の状態を検出する検出モジュールと、
「リース中」状態への変更に応答して、当該DHCPクライアント装置のネットワークアドレス及びコンフィギュレーションパラメータを保存し、及び、「選択中」状態への変更に応答して、前記ネットワークアドレス及び少なくとも1つの前記コンフィギュレーションパラメータを復元する設定モジュールと、
を有するDHCPクライアント装置。
(付記7)
前記設定モジュールが、前記ネットワークアドレスが他のDHCPクライアントにより使用されるか否かを検出し、前記ネットワークアドレスが前記他のDHCPクライアントにより使用されることを検出したことに応答して、前記ネットワークアドレスを変更し、変更されたネットワークアドレスとともに当該DHCPクライアント装置を復元するように更に形成される、付記6に記載のDHCPクライアント装置。
(付記8)
前記コンフィギュレーションパラメータが、ルーティングパラメータ、NTPサーバ、DNSサーバ、サブネットマスクを示す、付記6に記載のDHCPクライアント装置。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】Request for Comments(RFC)2131標準規格
図1
図2
図3
図4