(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記減圧手段を動作させた後に、前記駆動手段を動作させて、前記食材収容体内の食材を減圧状態で調理する第1のコースと、前記駆動手段は動作させずに、前記減圧手段を動作させて、前記食材収容体内の食材を減圧状態にする第2のコースと、前記駆動手段は動作させずに、前記減圧手段を動作させて、前記食材収容体内で減圧状態にある前記食材から成分を抽出させる第3のコースのいずれかを選択して、前記駆動手段と前記減圧手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のフードミキサー。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明におけるフードミキサーの好ましい実施形態を説明する。
【0017】
図1および
図2はフードミキサーの全体構成を示しており、これらの各図において、1はフードミキサーの本体、2は食材を密閉収容する食材収容体であり、本体1は食材収容体2を着脱自在に載置収容するために、少なくとも本体1の一側面を開放した台座3が形成される。
【0018】
食材収容体2は、有底筒状の容器5と、容器5に対して着脱自在に設けられ、容器5の上面開口を覆う蓋体6とにより構成され、容器5は蓋体6との密着性を高めるために、例えばゴムなどの弾性材料からなる蓋シール部としての蓋パッキン7が配設される。この蓋パッキン7は、容器5の上端部全周にではなく、その部位に対向する蓋体6の下面部に装着してもよい。
【0019】
容器5は、例えば耐圧ガラスやPC(ポリカーボネート)のような透明性の高い素材により形成される。これに対して蓋体6は、例えばステンレスなどの金属板材からなり、厚みは例えば1.2mmである。容器5には、食材の濾過手段であるメッシュ状のカゴ体8が着脱自在に配設され、必要に応じて食材収容体2内にカゴ体8を装着した状態で、そのカゴ体8に食材を収容することが可能になる。
【0020】
蓋体6の略中央部には、後述する駆動手段25に連結可能で、シャフト11の一端である上端を軸支する下駆動連結部12が設けられ、シャフト11の他端である下端には、容器5やカゴ体8に触れることなく、食材収容体2内で食材を切り砕いたり、混ぜ合わせたりして調理するための回動可能なカッター13が取付けられる。本実施形態では、少なくともカッター13が、蓋体6に対して着脱自在となるように、カッター13とシャフト11、若しくはシャフト11と下駆動連結部12が手動で着脱できる構成となっている。カッター13は、食材の種類に応じて形状の異なる複数のものが用意され、その中の一つを交換可能に装着できる構成としてもよい。
【0021】
蓋体6には上記下駆動連結部12の他に、後述する減圧手段24を食材収容体2につなぐための下減圧連結部15と、食材収容体2内を大気圧に戻すための戻し弁16がそれぞれ配設される。これらの下減圧連結部15や戻し弁16は、通常は閉状態となっていて、外力が加わると開状態に切替わる構成となっている。
【0022】
本体1の下部には、台座3に載置された容器5の底面に対向して、例えばシーズヒータなどの加熱手段21を配設してもよい。これにより、加熱手段21を通電したときに発生するジュール熱が、食材収容体2内の食材に伝達して、食材を適切な温度に加熱することができる。また、食材収容体2内の温度を検知する温度検知手段22(
図4を参照)を設け、温度検知手段22からの温度情報に基づいて、加熱手段21の加熱量を調整する構成としてもよい。加熱手段21としては、例えば高周波電流が供給される誘導コイルとし、この誘導コイルからの交番磁界で容器5の外面に設けた磁性体を発熱させて、食材収容体2内の食材を電磁誘導加熱する構成としてもよい。
【0023】
本体1の内部には、加熱手段21の他に、食材収容体2内の密閉空間を大気圧よりも低くする減圧手段24や、食材収容体2内のカッター13に回転力を与える駆動手段25や、フードミキサーの各部を制御する制御手段26や、本体1の上面に露出する表示手段27および操作手段28などが配設される。表示手段27は例えばLEDやLCDなどから構成され、操作手段28は例えば複数のスイッチにより構成される。
【0024】
減圧手段24は、制御手段26からのポンプ制御信号を受けて動作する真空ポンプ31の出口に、可撓性のチューブ32の基端を接続し、このチューブ32の先端に上減圧連結部33を接続して構成される。駆動手段25は、制御手段26からのモータ制御信号を受けて動作するモータ35の回転軸36の先端に、上駆動連結部37を接続して構成される。本体1には、手動若しくは電動で上下動する昇降手段39が設けられており、この昇降手段39と共に、少なくとも減圧手段24の上減圧連結部33と、駆動手段25の上駆動連結部37が、本体1に対して上下動する構成となっている。
【0025】
上述した上駆動連結部37,上減圧連結部33,下駆動連結部12および下減圧連結部15は、駆動手段25を昇降手段39により降下すると、駆動手段25をカッター13に連結させると共に、減圧手段24を食材収容体2内に連通させる連結部41として設けられている。具体的には、
図2に示すように、昇降手段39を食材収容体2から離れる方向に上昇させた状態で、食材収容体2を本体1の台座3に収容載置すると、駆動手段25の上駆動連結部37は蓋体6に取付けた下駆動連結部12に対向すると共に、減圧手段24の上減圧連結部33も、同じく蓋体6に取付けた下減圧連結部15に対向する。この状態から、
図1に示すように、昇降手段39を食材収容体2に近づく方向に下降させると、駆動手段25の上駆動連結部37が下駆動連結部12に連結して、モータ35の回転力が、同軸に連結された回転軸36とシャフト11を介してカッター13に伝達され、また減圧手段24の上減圧連結部33が下減圧連結部15に連結して、容器収容体2内からチューブ32を通して真空ポンプ31に至る減圧経路が形成される。つまり、本実施形態で連結部41を構成する上駆動連結部37や上減圧連結部33は、容器5の所定位置にある下駆動連結部12や下減圧連結部15と、それぞれ追従して連結するようになっている。
【0026】
下駆動連結部12の上部には、昇降手段39が降下したときに、上駆動連結部37が密着して連結するように、例えばゴムなどの弾性材料からなる駆動シール部42が装着される。同様の目的で、下減圧連結部15の上部にも、昇降手段39が降下したときに、上減圧連結部33が密着して連結するように、例えばゴムなどの弾性材料からなる減圧シール部43が装着される。これらの駆動シール部42や減圧シール部43は、昇降手段39が降下したときに、それぞれ対向する上駆動連結部37や上減圧連結部33によって下方に押し付けられ、容器5は蓋体6との間の蓋パッキン7も自ずと押し付けられる。この点、例えば炊飯器の容器と蓋体との間に設けられる蓋パッキンは、蓋体を常時開方向に付勢するヒンジスプリングなどが設けられている関係で、密着性を高めるのに複雑な形状にしなければならないが、本実施形態のようなフードミキサーでは、そうしたヒンジスプリングが蓋体6に存在せず、使用時には昇降手段39によって蓋体6が容器5側の閉方向に常時付勢されるので、蓋パッキン7の構成を簡素化できる。
【0027】
本実施形態のフードミキサーは、蓋体6の上面に取手を設けず、好ましくは容器5の側面に取手(図示せず)を設けている。蓋体6に取手を設けない理由は、内部が減圧状態の食材収容体2を本体1から取り外した後、取手を利用して食材収容体2を持ち上げると、蓋体6から食材を収容した容器5が脱落する虞があるからである。容器5の側面に取手が設けられていれば、取手を利用して食材収容体2を持ち上げた場合でも、蓋体6から容器5が脱落する虞はない。また、容器5の側面に設けた取手を利用して、本体1の一側面を開口した台座3に、食材収容体2を簡単に出し入れできる利点もある。
【0028】
図1や
図2は、常閉の戻し弁16を手動で開閉する場合の構成を示しているが、
図3は、戻し弁16を自動で開閉する場合の要部構成を模式的に示している。同図において、蓋体6はその上面を下方に凹ませた凹部45を形成し、この凹部45に前述の下減圧連結部15や戻し弁16をそれぞれ設けている。一方、本体1側には、
図1や
図2で示した減圧手段24の上減圧連結部33や、戻し弁16に連結可能な戻し弁連結部46を含む真空ジョイント部47が、昇降手段39と共に昇降可能に配設される。戻し弁連結部46には、制御手段26からのソレノイド制御信号を受けて、蓋体6に設けた戻し弁16を開閉動作させるための電磁手段としてのソレノイド48(
図4を参照)が配設される。なお、ソレノイド48を用いずに、昇降手段39の昇降に連動して機械的に戻し弁16を開閉する構成としてもよい。
【0029】
また、上減圧連結部33や戻し弁連結部46は、昇降手段39を降下させたときに、下減圧連結部15や戻し弁16にそれぞれ嵌入するように突出しており、何れも食材収容体2の動きを規制する規制部49として設けられている。なお、この規制部49を、
図1や
図2に示すフードミキサーの上減圧連結部33に適用させてもよい。その他の構成は、
図1や
図2に示すフードミキサーと共通している。
【0030】
図4は、
図1〜
図3に示すフードミキサーの電気的構成を示している。同図において、制御手段26の入力ポートには、操作手段28の他に、必要に応じて温度検知手段22が接続され、制御手段26の出力ポートには、加熱手段21や、減圧手段24の真空ポンプ31や、駆動手段25のモータ35や、表示手段27の他に、必要に応じて戻し弁連結部46のソレノイド48が接続される。本実施形態の制御手段26は特に、操作手段28からの各種操作信号と、温度検知手段22からの温度検知信号を入力として、第1制御手段51と、第2制御手段52と、第3制御手段53の何れかを選択して、加熱手段21,真空ポンプ31,モータ35,表示手段27およびソレノイド48の動作をそれぞれ制御する構成となっている。
【0031】
第1制御手段51は、最初に真空ポンプ31を動作させて、食材を収容した食材収容体2内を大気圧よりも低い減圧状態にした後、真空ポンプ31の動作を停止させる代わりにモータ35を動作させ、食材収容体2内の食材をカッター13で調理するような、減圧手段24の動作後に駆動手段25を作動させる第1のコースを実行するものである。これは特に、食材収容体2内を減圧状態にしながら、食材を回転するカッター13で調理する場合に選択されるコースである。
【0032】
第2制御手段52は、駆動手段25のモータ35は動作させずに、減圧手段24の真空ポンプ31を動作させて、食材収容体2内の食材を減圧状態にするような、真空引きのみを行なう第2のコースを実行するものである。これは特に、食材収容体2内の食材をカッター13で一旦切り砕くなどして調理した後、食材の一部を食材収容体2から取り出して使用した場合に、食材収容体2内を減圧状態にして、食材収容体2内に残った食材の長期保存を行なうのに選択されるコースである。
【0033】
第3制御手段53は、食材収容体2からカッター13を取外した状態で、駆動手段25のモータ35は動作させずに、減圧手段24の真空ポンプ31を動作させて、食材収容体2内で減圧状態にある食材から水などの液体に成分を抽出させるような、真空抽出を行なう第3のコースを実行するものである。これは特に、予め食材収容体2内に液体である水と、食材である例えば茶葉やコーヒー豆を入れ、食材収容体2内で茶やコーヒーの成分を減圧状態で抽出して、水出しコーヒーやお茶を作る際に選択されるコースである。
【0034】
上述した第1〜第3のコースでは、操作手段28からの操作信号により、加熱手段21の加熱量を調整して、食材収容体2内の食材を加熱できるようにしてもよい。この場合、制御手段26は、温度検知手段22からの検知信号により、食材収容体内2内の食材が所定の温度になるように、加熱手段21の加熱量を調整してもよい。また、第1〜第3のコースでは、真空ポンプ31を所定時間動作させた後に、戻し弁16を開けない限り、食材収容体2内の減圧状態が維持されるが、食材収容体2内からのスローリークなどを考慮して、一定時間間隔で真空ポンプ31を所定時間作動させてもよい。
【0035】
次に、上記構成のフードミキサーについて、その作用を説明する。本実施形態のフードミキサーを使用して、新たに食材を切り刻んだり、混ぜ合わせたりする場合には、本体1から取り外した食品収容体2の蓋体6を開けて、容器5の上面開口から必要量の食材を投入し、調理に適したカッター13を蓋体6に選択的に装着して、容器5の上面開口を蓋体6で覆う。これにより、調理前の食材が食材収容体2内に収容される。なお、食材収容体2内で調理後の食材から残渣を分離するには、予め容器5内にカゴ体8を装着した状態で、そのカゴ体8に食材を収容すればよい。
【0036】
次に、昇降手段39を
図2に示すように上昇させた状態で、調理前の食材を収容した食材収容体2を台座3に収容載置する。このとき、減圧手段24の上減圧連結部33が、蓋体6に設けた下減圧連結部15に対向すると共に、駆動手段25の上駆動連結部37が、蓋体6に設けた下駆動連結部12に対向するように、本体1若しくは食材収容体2に、容器収容体2の収容方向を規制する位置決め手段を設けるのが好ましい。
【0037】
食材収容体2を台座3の所定位置に載置収容したら、昇降手段39を
図1に示すように降下させると、連結部41を構成する上駆動連結部37が共に降下して、食材収容体2側の下駆動連結部12に連結し、同じく連結部41を構成する上減圧連結部33もこれに追従して降下し、食材収容体2側の下減圧連結部15に連結する。本体1と食材収容部2が連結部41を介して互いに連結したのを確認したら、ユーザが操作手段28を操作して第1のコースを選択すると、制御手段26は第1制御手段51による調理制御を実行する。このとき、少なくとも上減圧連結部33や、さらには
図3に示すように、戻し弁16が自動開閉する構造では戻し弁連結部46が、規制部49として下減圧連結部15や戻し弁16にそれぞれ嵌入するため、台座3に対して食材収容体2を水平方向に取り出すことが不可能になり、食材収容体2が外力により不意に動いてしまうのを防止できる。
【0038】
なお、ここまでの一連の動作で、例えば連結部41により食材収容体2に減圧手段24や駆動手段25が共に連結するか否かを、センサである連結検知手段(図示せず)で検知し、連結検知手段が双方の連結状態を検知したら、表示手段27でその旨を表示したり、操作手段28からのコース選択を受け付けたりできるように、制御手段26を構成してもよい。
【0039】
第1制御手段51による第1のコースが選択されると、制御手段26は先ず、駆動手段25のモータ35を動作させない状態で、減圧手段24の真空ポンプ31を動作させ、食材収容体2内を大気圧よりも低い減圧状態にする。また、
図3に示す戻し弁16が自動開閉する構造では、制御手段26からソレノイド48への制御信号により戻し弁16が閉じられる。前述した昇降手段39の降下に伴い、蓋体6が予め押し付けられている状態で、減圧手段24の動作によって蓋体6に負圧が作用し、蓋体6が容器5側にさらに押し付けられる相乗効果で、カッター13を作動させる前に、蓋パッキン7を介して容器5と蓋体6との密閉性を十分に確保することが可能になる。
【0040】
そして、食材収容体2内が減圧状態に達すると、第1制御手段51は真空ポンプ31の動作を停止させ、今度はカッター13を回転させる。カッター13の回転動作は、例えば操作手段28から操作信号が送出されている間、制御手段26からモータ35にモータ駆動信号を送出するようにして、ユーザが操作手段28を操作している間だけ、カッター13を回転させたり、さもなければ、予め操作手段28への操作により、カッター13の回転時間を設定しておき、真空ポンプ31の動作が停止したら、自動的に設定した時間でカッター13を回転させたりしてもよい。そして何れの場合も、カッター13の回転数を、操作手段28からの操作信号に基いて、段階的または無段階的に可変設定できる構成としてよい。
【0041】
また、少なくとも駆動手段25が降下している間は、前述のように台座3に対して食材収容体2が外力により不意に動いてしまうのを規制部49が規制するので、減圧手段24により食材収容体2内を確実に大気圧よりも低く減圧させ、且つ駆動手段25からカッター13に確実に回転力を伝達できる。
【0042】
こうして、カッター13を所定時間回転させることで、食材収容体2内の食材は切り砕かれたり、或いは混ぜ合わせたりして調理されるが、戻し弁16を開放しない限り食材収容体2内は減圧状態を維持できる。したがって、容器5と蓋体6との密閉性が十分に確保されていることと相俟って、食材収容体2内に食材を長時間置した場合でも、食材の腐敗を起こしにくくすることができる。
【0043】
食材収容体2から調理後の食材を取り出す際には、昇降手段39を
図2に示すように上昇させた後、本体1の台座3から食材を収容した食材収容体2を取り外す。その後、手動で戻し弁16を開放すると、食材収容体2内は大気圧に速やかに戻り、蓋体6に作用する負圧も解除されて、容器5から蓋体6を簡単に取り外すことができる。また、
図3に示す戻し弁16が自動開閉する構造では、例えば操作手段28からの操作信号を受けて、制御手段26からソレノイド48への制御信号が遮断され、戻し弁16が開放する。この後に本体1の台座3から食材収容体2を取り外せば、食材収容体2内は大気圧に戻っているので、同様に容器5から蓋体6を簡単に取り外すことができ、第1制御手段51による第1のコースに基づく制御も終了する。
【0044】
ところで、調理後の食材の一部を食材収容体2から取り出し、残った食材を食材収容体2内に収容する場合、そのままでは食材の腐敗が懸念される。このような場合、残った食材を食材収容体2内に収容した状態で、本体1の台座3にこれを再び載置収容し、上述のように昇降手段39を再び降下させて、連結部41により本体1と食材収容部2を互いに連結させ、ユーザが操作手段28を操作して第2のコースを選択すると、第2制御手段52による別な調理制御が実行される。
【0045】
第2制御手段52による第2のコースが開始すると、駆動手段25のモータ35を動作させることなく、減圧手段24の真空ポンプ31を直ちに動作させて、食材収容体2内の食材を減圧状態にする。食材収容体2内の調理した食材は、カッター13で再び調理されることなく減圧状態に維持され、食材収容体2内に残った食材の長期保存が可能になる。食材収容体2内の減圧状態をどの程度の時間維持するのかについては、例えば操作手段28からの操作信号を受け付けて、任意に設定できるようにしてもよい。その後の食材収容体2内から食材を取り出す手順は、上述した通りなので、説明を省略する。
【0046】
本実施形態のフードミキサーは、上述した第1コースや第2コースとは別に、食材としての茶葉やコーヒー豆の成分を、液体中に減圧状態で抽出させるための第3のコースを、制御手段26に備えた第3制御手段53で制御実行できるようになっている。この場合、食材と共に液体である水を食材収容体2内に収容するが、カッター13は不要であるため予め蓋体6から外しておく。その後
、上記と同じ手順で、本体1の台座3に食材収容体2を載置収容して昇降手段39を降下させ、連結部41により本体1と食材収容部2とを互いに連結する。
【0047】
ここで、ユーザが操作手段28を操作して第3のコースを選択すると、第3制御手段53による調理制御が実行され、駆動手段25のモータ35を動作させることなく、減圧手段24の真空ポンプ31を直ちに動作させて、食材収容体2内の食材を減圧状態にする。食材収容体2内の茶葉やコーヒー豆などの食材は、カッター13で調理されることなくそのまま減圧状態に維持され、食材収容体2内の液体に食材の成分が抽出される。ここで、例えば水出しコーヒーを生成する場合は、加熱手段21による食材収容体2内への加熱を行なわないようにし、逆にお茶を作る場合には、加熱手段21により食材収容体2への加熱を行なうようにして、食材に応じた食材収容体2への加熱制御を第3制御手段53で実現してもよい。
【0048】
以上のように、本実施形態のフードミキサーは、有底状の容器5およびこの容器5の上面開口を覆う蓋体6からなる食材収容体2と、食材収容体2内で回動可能に設けられるカッター13と、カッター13に回転力を与える昇降可能な駆動手段25と、食材収容体2内を大気圧よりも低くする減圧手段24と、駆動手段25を降下すると、駆動手段25をカッター13に連結させると共に、減圧手段24を食材収容体2内に連通させる連結部41と、を備えている。
【0049】
この場合、昇降手段39により駆動手段25を降下すると、駆動手段25がカッター13に連結するだけでなく、減圧手段24が食材収容体2内に連通するので、その状態で減圧手段24を動作させることで、食材収容体2内を大気圧よりも低く減圧できる。このとき、蓋体6に作用する負圧によって、蓋体6が容器5側に押し付けられ、容器5と蓋体6との密閉性が十分に確保される。また、食材収容体2内に食材を長時間置した場合でも、食材収容体2内を減圧状態に保つことで、食材の腐敗を起こしにくくすることができる。
【0050】
また本実施形態では、食材収容体2内を大気圧に戻すための戻し弁16を蓋体6に設けている。
【0051】
この場合、食材収容体2内を減圧した状態では、蓋体6に負圧が作用している関係で、容器5に対して蓋体6が密着して開けにくくなっているが、戻し弁16を操作することで、食材収容体2内を速やかに大気圧に戻すことができ、減圧機能を有するフードミキサーでありながら、容器5から蓋体6を簡単に開けることが可能になる。
【0052】
また本実施形態では、昇降手段39によって駆動手段25が降下したときに、食材収容体2の動きを規制する規制部49を連結
部41に設けている。
【0053】
駆動手段25が降下しているときに、食材収容体2が外力により不意に動いてしまうのを規制部49で規制するので、駆動手段25からカッター13に確実に回転力が伝達されると共に、減圧手段24により食材収容体2内を確実に大気圧よりも低く減圧させることが可能になる。したがって、減圧機能を有するフードミキサーとして満足な性能を得ることができる。
【0054】
また本実施形態では、蓋体6に取手を設けない構成となっている。食材収容体2内を減圧した状態では、蓋体6に負圧が作用している関係で、容器5に対して蓋体6が密着して開けにくくなっているが、蓋体6に取手が設けられていると、その取手を利用して食材収容体2を持ち上げたときに、蓋体6から食材を収容した容器5が脱落する虞がある。そこで、蓋体6に取手を意図的に設けないようにすれば、蓋体6から容器5が脱落するのを簡単に防止できる。
【0055】
さらに本実施形態では、減圧手段24を動作させた後に、駆動手段25を動作させて、食材収容体2内の食材を減圧状態で調理する第1のコースを実行する第1制御手段51と、駆動手段25は動作させずに、減圧手段24を動作させて、食材収容体2内の食材を減圧状態にする第2のコースを実行する第2制御手段52と、駆動手段25は動作させずに、減圧手段24を動作させて、食材収容体2内で減圧状態にある食材から成分を抽出させる第3のコースを実行する第3制御手段53のいずれかを選択して、駆動手段25と減圧手段24を制御する制御手段26を備えている。
【0056】
この場合、制御手段26が第1のコースを選択して第1制御手段51を実行すると、食材収容体2内を大気圧よりも低い減圧状態にしながら、食材をカッター13で切り刻むなどして調理することができ、制御手段26が第2のコースを選択して第2制御手段52を実行すると、食材収容体2内に残ってしまった食材の一部を、カッター13で調理することなくそのままの状態にして、食材収容体2内を減圧して食材の腐敗を抑えることができ、さらに制御手段26が第3のコースを選択して第3制御手段53を実行すると、カッター13を外した状態で食材収容体2内を減圧して、茶葉やコーヒー豆などの食材から、茶やコーヒーの成分を液体中に効果的に抽出させることができ、駆動手段25や減圧手段24を利用した様々なコースをユーザに提供できる。
【0057】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば制御手段26は、上述した3つのコースに限らず、例えば真空ポンプ31を動作させずに、モータ35だけを作動できるようにして、食材収容体2内の食材を大気圧で調理するコースや、加熱手段21により食材収容体2内を所定の温度にできるコースなどを組み入れてもよい。