(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高圧通路および前記低圧通路の少なくとも一方は、前記センサボディと前記取付穴との間に形成される間隙通路をその一部として含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の流量センサ。
前記センサボディの先端部に取り付けられ、当該流量センサが前記取付穴に取り付けられた際に前記センサボディと前記主通路との隙間を流体が通過することを規制し、それにより流体が前記絞り部を通過することを促進するシール部材をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の流量センサ。
前記対象装置としての可変容量圧縮機から吐出される冷媒の流量を検出するためのセンサとして、その圧縮機のハウジングに形成された前記取付穴に対して前記センサボディが着脱可能となるように構成され、
前記ハウジング内に形成された前記主通路としての吐出通路における所定の2点間の差圧を検知することにより、その差圧に応じた信号を出力することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の流量センサ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を上下と表現することがある。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る圧縮機を中心とした冷凍サイクルの概略図である。
この冷凍サイクルは、車両用空調装置を構成し、可変容量圧縮機100、凝縮器120膨張装置130および蒸発器150を備える。冷凍サイクルを循環する冷媒は、圧縮機100にて圧縮されて高温・高圧のガス冷媒となり、凝縮器120にて凝縮されて液冷媒となる。そして、膨張装置130にて断熱膨張されて低温・低圧の気液二相冷媒となり、蒸発器150を通過する過程で蒸発する。その蒸発潜熱により車室内の空気が冷却される。
【0015】
圧縮機100は、その吐出冷媒の流量を制御する制御弁140、吐出冷媒の逆流を防止又は抑制する吐出弁160、および吐出冷媒の流量を検出するための流量センサ170を備える。圧縮機100は、蒸発器150側から吸入室151に導入された冷媒ガスをシリンダ152に導入して圧縮し、吐出室153から凝縮器120側へ高温・高圧の冷媒を吐出する。この吐出冷媒の一部は制御弁140を介してクランク室154内に導入され、圧縮機100の容量制御に供される。制御弁140は、ソレノイド駆動の電磁弁として構成され、図示しない制御部が駆動回路を駆動してこれを通電制御する。吐出弁160は、圧縮機100の吐出室153と冷媒出口158との間に設けられ、一方向への冷媒の流れを許容する。流量センサ170は、吐出室153と冷媒出口158との間の冷媒通路(吐出通路188)に設けられた絞り通路180(差圧生成手段である「絞り部」として機能する)の前後差圧を感知して吐出冷媒の流量を検出する。
【0016】
圧縮機100は、そのハウジングとして、複数のシリンダ152が形成されたシリンダブロック101と、その前端側に接合されたフロントハウジング102と、後端側にバルブプレート103を介して接合されたリアハウジング104とを備えている。本実施形態において、シリンダブロック101とフロントハウジング102とにより「本体ハウジング」が構成され、これらに囲まれた内部空間にクランク室154およびシリンダ152が区画形成されている。リアハウジング104は、「ヘッダハウジング」として機能し、その内部に吸入室151、吐出室153、収容室155および取付穴178が区画形成されている。リアハウジング104には、また、蒸発器150側から吸入室151に冷媒を導入する冷媒入口156、および吐出室153から凝縮器120側へ吐出冷媒を導出する冷媒出口158、吸入室151と収容室155とを連通させる連通路182、クランク室154と収容室155とを連通させる連通路184、吐出室153と収容室155とを連通させる連通路186、吐出室153と冷媒出口158とを連通させる吐出通路188(圧縮機100における「主通路」を構成する)が設けられている。
【0017】
クランク室154には、その中心を貫通するように回転軸106が配置されている。この回転軸106は、シリンダブロック101に設けられた軸受107と、フロントハウジング102に設けられた軸受108とによって回転自在に支持されている。回転軸106にはラグプレート109が固定されており、そのラグプレート109に突設された支持アーム110等を介して揺動板111(「揺動体」に該当する)が支持されている。揺動板111は、回転軸106の軸線に対して傾動可能となっており、複数のシリンダ152に摺動自在に配置されたピストン112にシュー114を介して連結されている。回転軸106は、その前端部分がフロントハウジング102を貫通して外部に延出しており、その先端部分にはブラケット117が螺着されている。また、回転軸106とフロントハウジング102との前端部分の隙間を外側からシールするように、軸シール部材としてのリップシール115が設けられている。リップシール115は、回転軸106の周面に摺接しつつ、その周面に沿った冷媒ガスの漏洩を防止している。
【0018】
フロントハウジング102の前端部分には、エンジンからの駆動力を伝達するプーリ118が軸受119を介して回転自在に支持されている。このプーリ118は、エンジンの駆動力をブラケット117を介して回転軸106に伝達する。
【0019】
リアハウジング104の吸入室151は、バルブプレート103に設けられた吸入用リリーフ弁121を介してシリンダ152に連通する一方、冷媒入口156を介して蒸発器150にも連通している。吐出室153は、バルブプレート103に設けられた吐出用リリーフ弁122を介してシリンダ152に連通する一方、冷媒出口158を介して凝縮器120にも連通している。なお、クランク室154と吸入室151とを連通する図示しない冷媒通路には、断面積が固定されたオリフィスが配設されており、クランク室154から吸入室151へ予め設定した最低流量の冷媒の流れを許容し、圧縮機100における冷媒の内部循環を確保している。
【0020】
圧縮機100の揺動板111は、その角度がクランク室154内でその揺動板111を付勢するスプリング125、126の荷重や、揺動板111につながるピストン112の両面にかかる圧力による荷重等がバランスした位置に保持される。この圧縮機100の揺動板111の角度は、クランク室154内に吐出冷媒の一部を導入してクランク圧力Pcを変化させ、ピストン112の両面にかかる圧力の釣り合いを変化させることによって連続的に変えられる。この揺動板111の角度の変化によってピストン112のストロークを変えることにより、冷媒の吐出容量を調整するようにしている。このクランク室154内の圧力は、制御弁140により制御される。
【0021】
制御弁140は、リアハウジング104に設けられた収容室155にその上端側から挿通され、ワッシャ159を介して固定されている。制御弁140の外周面には複数のOリングが嵌着されており、これらのOリングにより各冷媒通路間およびリアハウジング104の内外のシール性が確保されている。制御弁140は、ソレノイド143により駆動される電磁弁であり、圧縮機100の吸入圧力Psを設定圧力に保つように、吐出室153からクランク室154に導入する冷媒流量を制御するいわゆるPs感知弁として構成されている。
【0022】
制御弁140は、圧縮機100の運転時に吐出冷媒の一部をクランク室154へ導入するための冷媒通路を開閉する主弁141と、圧縮機100の起動時にクランク室154の冷媒を吸入室151へ逃がすいわゆるブリード弁として機能する副弁142とを含む。制御弁140のボディ144には、連通路182を介して吸入室151に連通する吸入室連通ポート、連通路184を介してクランク室154に連通するクランク室連通ポート、および連通路186を介して吐出室153に連通する吐出室連通ポートが設けられている。また、ボディ144には、主弁141の開度を調整するためにソレノイド力に対抗する力を発生するパワーエレメント145を備える。制御弁140の制御状態においては、吸入圧力Psが所定の設定圧力Psetとなるよう主弁141が自律的に動作する。
【0023】
吐出弁160は、吐出通路188に配設され、圧縮機100の吐出冷媒の順方向の流れを許容するが、逆方向の流れを遮断する逆止弁として構成されている。本実施形態では、吐出弁160が絞り通路180の下流側に設けられている。吐出弁160は、段付円筒状のボディ162に有底円筒状の弁体164を摺動可能に配置して構成される。ボディ162の上流側端部に弁孔166が設けられ、その弁孔166が吐出通路188の一部を構成する。ボディ162の下流側端部と弁体164との間には、弁体164を閉弁方向に付勢するスプリング168が介装されている。弁体164が弁孔166に接離することにより吐出通路を開閉する。このような吐出弁160の配置構成により、吐出弁160の上流側圧力は絞り通路180の下流側圧力Ppと等しくなる。冷媒の流動抵抗による圧力損失を考慮すると、吐出弁160の下流側圧力(圧縮機100の出口圧力PdL)は、圧力Ppよりも若干低くなる。すなわち、吐出圧力Pd(PdH)>圧力Pp>出口圧力PdLの関係となるが、これらの圧力差は圧縮機100の性能に実質的に影響のないレベルとされている。
【0024】
流量センサ170は、2点間の差圧を感知することにより冷媒の流量を検出する差圧式のセンサである。流量センサ170は、その差圧を感知して変位する感圧部が設けられるセンサボディ172と、検出信号を出力するための出力端子が設けられるセンサヘッド174とを含む。本実施形態では絞り通路180の前後差圧、つまり吐出室153の吐出圧力Pdと、絞り通路180の下流側圧力Ppとの差圧(Pd−Pp)に基づき、冷媒の吐出流量が検出される。
【0025】
図2は、第1実施形態に係る流量センサの構成を表す斜視図である。
図3は、流量センサおよびその取付構造を表す断面図である。
図4は、
図3のA−A矢視断面図である。
図5は、流量センサの先端部の構造を表す図である。(A)は側面図であり、(B)は(A)のB方向矢視図(正面図)であり、(C)は(A)のC方向矢視図(底面図)である。(D)は(A)のD−D矢視断面図であり、(E)は(A)のE−E矢視断面図である。
【0026】
図2に示すように、流量センサ170は、センサボディ172とセンサヘッド174を一体に組み付けて構成される。センサボディ172の先端部(センサヘッド174とは反対側の端部)には、弾性体(本実施形態ではウレタン樹脂、例えばウレタンゴム)からなるシール部材176が着脱可能に装着されている。
図1に示したように、流量センサ170は、リアハウジング104の取付穴178にセンサボディ172が収容されるように取り付けられ、ワッシャ179を介してリアハウジング104に固定される。
【0027】
図3および
図4にも示すように、取付穴178の内径がその開口端(上端開口部)から奥方(下端部)に向かって段階的に縮径されており、センサボディ172がシール部材176の側から取付穴178に挿入されている。センサヘッド174は、センサボディ172の上端部に加締め接合されており、取付穴178の外部に露出する。
【0028】
センサボディ172は、有底段付円筒状の本体10と有底段付円柱状の区画部材12とを上下に組み付けて構成され、その外径が上端側から下端側に向けて段階的に小さくなる外形状を有する。本体10は、区画部材12との間に圧力空間14を形成し、その内方に感圧部材16を摺動可能に収容する。本体10の上端部がOリング17を介して取付穴178に圧入されることにより、センサボディ172がリアハウジング104に気密に固定される。区画部材12の上端部が本体10の下端部に圧入されることにより、本体10と区画部材12とが同軸状に固定されている。
【0029】
感圧部材16は、下方に向けて開口する有底円筒状をなし、本体10により軸線方向に摺動可能に支持されている。感圧部材16の底部上面には円ボス状の支持部18が突設され、その内方に磁石20(本実施形態では永久磁石)が固定されている。本体10の上底部と感圧部材16との間には、感圧部材16を下方に付勢するスプリング22が介装されている。一方、感圧部材16の底部と区画部材12との間には、感圧部材16を上方に付勢するスプリング24が介装されている。なお、スプリング22のばね定数は、スプリング24のばね定数よりも小さい。感圧部材16は、圧力空間14を上方の高圧室26と下方の低圧室28とに仕切る。本体10の側部には、高圧室26の内外を連通する連通孔30が設けられている。
【0030】
区画部材12には、その軸線に沿って連通路32が設けられている。連通路32は、低圧室28の内外を連通させる。区画部材12は、その下半部に吐出通路188の一部を構成する流路形成部34を有する。流路形成部34は、吐出通路188を横断するように配置され、下方に向けて小径となるテーパ状の外形を有する。流路形成部34には、区画部材12の軸線に対して直角方向の軸線を有する貫通路36が設けられている。貫通路36の軸線方向中間部が縮径されて絞り通路180を形成している。絞り通路180は、吐出通路188を流れる冷媒に対して圧力損失を与え、その冷媒の流量に応じた前後差圧(絞り通路180の上流側圧力と下流側圧力との差圧)を生成する。
【0031】
区画部材12にはさらに、本体10の外側の空間と貫通路36とを連通させる連通路42が設けられている。連通路42は、取付穴178と本体10との間に形成される間隙通路44を介して連通孔30と連通する。吐出通路188における冷媒の流れに対し、連通路42は絞り通路180の上流側に開口し、連通路32は絞り通路180の下流側に開口する。このため、絞り通路180の上流側圧力である吐出圧力Pdが、連通路42,間隙通路44および連通孔30を介して高圧室26に導入される。一方、絞り通路180の下流側圧力である圧力Ppが、連通路32を介して低圧室28に導入される。すなわち、連通路42,間隙通路44および連通孔30が「高圧通路」を形成し、連通路32が「低圧通路」を形成する。このような構成により、感圧部材16は、差圧(Pd−Pp)を感知して軸線方向に変位するようになる。
【0032】
センサヘッド174は、磁気センサ50が設けられた基板52と、磁気センサ50による検出信号を出力する出力端子54を備える。センサヘッド174は、磁気センサ50がセンサボディ172の軸線上に位置するように(磁石20の軸線上に位置するように)位置決めされている。
【0033】
図5に示すように、シール部材176は、環状の嵌合部60と円板状の底部62とを一対の側壁部64により接続して構成され、流路形成部34を取り囲むように区画部材12に嵌着される。すなわち、
図3にも示したように、シール部材176は、流路形成部34を導入するための第1開口部66と、絞り通路180の上流側にて開口する第2開口部68と、絞り部の下流側にて開口する第3開口部70とを有する。嵌合部60の内周面の所定位置には半径方向内向きに突出した嵌合凸部72が設けられており、区画部材12の外周面に形成された嵌合凹部74にこの嵌合凸部72を嵌合させることにより、シール部材176がセンサボディ172に取り付けられる。
【0034】
図5(E)に示すように、底部62には、位置決め用の嵌合凸部76が設けられており、流路形成部34の底部に穿設された嵌合穴77にこの嵌合凸部76を嵌合させることにより、シール部材176のセンサボディ172に対する周方向位置が定められる。この位置決めにより、一対の側壁部64が、取付穴178における吐出通路188との接続部の内壁面と対向するように配置される。
【0035】
一対の側壁部64および底部62には、その外周面にてつながる複数(本実施形態では2つ)の溝からなるラビリンスシール78が形成され、また、その内周面にてつながる複数(本実施形態では3つ)の溝からなるラビリンスシール79が形成されている。さらに、嵌合部60の周囲にも凹凸形状からなるラビリンスシール部80が設けられている。シール部材176は、流量センサ170が取付穴178に取り付けられた際にセンサボディ172と吐出通路188との隙間を冷媒が通過することを規制し、それにより冷媒が絞り通路180を通過することを促進する。
【0036】
図3に戻り、以上のような構成において、磁気センサ50は、感圧部材16の変位に伴う磁石20の変位に応じた検出信号を出力する。感圧部材16は、差圧(Pd−Pp)が作用しないときの作動基準位置がスプリング22,24によるばね荷重により設定される。そして、差圧(Pd−Pp)が大きくなると磁気センサ50から離間する方向に変位し、差圧が小さくなると、磁気センサ50に近づく方向に変位する。その結果、磁石20がその基準位置に対応する初期位置から変位する。磁気センサ50は、その変位に応じた検出信号を出力する。図示しない制御部(判定部)は、磁気センサ50の検出値をサンプリングし、それを積算することにより冷媒の流量を算出することができる。
【0037】
以上に説明したように、本実施形態では、絞り通路180が流量センサ170の一部として一体に設けられるため、絞り通路180の寸法精度や組み付け精度のバラツキによる差圧の誤差を含めた特性調整を流量センサ170単体にて行うことができる。すなわち、流量センサ170を圧縮機100に設置した後、つまり圧縮機100の完成状態にて改めて特性調整を行う必要がなくなる。このことは、圧縮機100を組み立てるセットメーカではなく、流量センサ170を製造する部品メーカにてその特性調整を容易に行うことができることを意味する。
【0038】
また、圧縮機100において制御弁140が取り付けられるリアハウジング104に流量センサ170のセンサボディ172が収容される。すなわち、圧縮機100のハウジングそのものに対してセンサボディ172を組み付ける構造としたため、流量センサ170を圧縮機100に取り付けるための別部材を別途設ける必要がなくなる。また、リアハウジング104という単一の部材に対して制御弁140の収容室155とセンサボディ172の取付穴178を成形すればよいため、圧縮機100の製造プロセスも簡素化される。このため、圧縮機100に対する流量センサ170の取付構造を低コストに実現できる。
【0039】
さらに、流量センサ170をセンサボディ172とセンサヘッド174とを組み付けたセンサユニットとし、先端に向かうほど外径が小さくなる形状としたため、穴部への挿入および設置が容易となる。このため、圧縮機100への流量センサ170の組み付けに際して、センサボディ172を取付穴178の入口側から挿入するだけでよく、その組み付け作業を簡易に行うことができる。また、このような構成により、圧縮機100の吐出通路188とつながるように取付穴を設けられれば、それがリアハウジング104に設けられようと、他のハウジング部分に設けられようと、流量センサ170を容易に組み付けることができる。すなわち、流量センサ170の圧縮機100への取付箇所につき多様性が生まれる。言い換えれば、このように取付箇所の制約がかかり難いことから、流量センサとしの汎用性が高められる。
【0040】
また、本実施形態では、センサボディ172と取付穴178との間に形成される間隙通路44を上流側圧力を導入するための高圧通路(圧力導入通路)の一部とした。この構成によれば、例えば特許文献1に示されるような斜めで細長い圧力導入通路を形成するなど、特殊な加工を行う必要がなく、圧縮機100全体の製造コストの低減にもつながる。また、絞り通路180の軸線と吐出通路188の軸線とが一致又は平行となるよう、絞り通路180の構造および配置を設定した。このため、吐出通路188における絞り通路180の前後の流路をストレートに構成でき、絞り部における必要以上の圧力損失を防止することができる。
【0041】
さらに、センサボディ172の先端部にシール部材176を装着したため、センサボディ172と吐出通路188との隙間を冷媒が通過することを規制でき、それにより冷媒が絞り通路180を通過することを促進できる。その結果、絞り通路180による狙い通りの差圧が得られ易くなる。また、シール部材176を弾性体としたため、取付穴178や吐出通路188との密着性が良く、さらにシール部材176の内外周面にラビリンスシール78,79(凹凸形状)が設けられることで、高いシール性を得ることができる。
【0042】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態に係る流量センサの構成を表す斜視図である。
図7は、流量センサおよびその取付構造を表す断面図である。
図8は、
図7のA−A矢視断面図である。以下では第1実施形態との相異点を中心に説明する。なお、同図において第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
【0043】
図6に示すように、本実施形態の流量センサ270は、第1実施形態のような特殊形状のシール部材176に代えて、センサボディ272の下半部にシール用のOリング217,218が設けられる。本実施形態では
図7に示すように、リアハウジング104の吐出通路188における段差部に取付穴178が設けられる。すなわち、吐出通路188の所定箇所には上流側通路280と下流側通路282とを上下に接続する接続通路284が設けられ、取付穴178は、その接続通路284と同軸状に形成されている。
【0044】
本体10の下部には、ばね受け211を介して区画部材212が接続されている。本実施形態では、形状がやや複雑な区画部材212を樹脂材にて構成する。加工を容易にするためである。本体10およびばね受け211は金属(例えばアルミニウム)からなる。ばね受け211は本体10に圧入され、区画部材212は、本体10に加締め接合されている。区画部材212における本体10との接合面にはOリング220が嵌着されている。Oリング220は、間隙通路44から低圧室28への冷媒の漏洩を防止する。スプリング24は、感圧部材16の底部とばね受け211との間に介装されている。
【0045】
また、ばね受け211および区画部材212を貫通するように連通路232が設けられている。連通路232は、区画部材212の側部に開口し、低圧室28と下流側通路282とを連通させる。区画部材212の下部には、上流側通路280と下流側通路282とを連通させる絞り通路180が設けられている。絞り通路180は、冷媒の流れ方向に沿うようにその軸線がセンサボディ272の軸線に対して45度をなすように設けられている。Oリング217は、区画部材212の上部外周面に嵌着され、間隙通路44と下流側通路282との間のシール性を確保する。Oリング218は、区画部材212の下端部外周面に嵌着され、冷媒が区画部材212と取付穴178との間を介して漏洩することを防止する。
【0046】
図8に示すように、連通路42は区画部材212を貫通し、間隙通路44と上流側通路280とを連通させる。これにより、上流側通路280を流れる冷媒の一部は、連通路42を介して間隙通路44へ導入され、さらに連通孔30を介して高圧室26に導入される(
図7参照)。
【0047】
本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果を得ることができるが、さらに、シール部材を簡素なOリング217,218に置き換えたため、低コストに実現することができる。また、本実施形態のように吐出通路188の複雑な形状部分に対しても流量センサ270を取り付けることが可能となる。
【0048】
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態に係る流量センサの構成を表す斜視図である。
図10は、流量センサおよびその取付構造を表す断面図である。
図11は、
図10のA−A矢視断面図である。以下では第1,第2実施形態との相異点を中心に説明する。なお、同図において第1,第2実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
【0049】
図9に示すように、本実施形態の流量センサ370は、第2実施形態と同様にセンサボディ372の下半部にシール用のOリング217,218が設けられる。
図10に示すように、本体10の下部には、区画部材312の上端部が圧入されている。区画部材312は、金属材(例えばアルミニウム)からなり、第2実施形態におけるばね受け211と区画部材212とを一体成形したような形状を有する。
【0050】
区画部材312の下部には、上流側通路280と下流側通路282とを連通させる絞り通路180が設けられている。
図11にも示すように、絞り通路180は、その軸線がセンサボディ372の軸線と一致するように設けられている。すなわち、絞り通路180は、上流側通路280および下流側通路282のそれぞれに対して直交している。
【0051】
本実施形態においても第2実施形態と同様の作用効果を得ることができるが、さらに、絞り通路180を区画部材312の軸線に沿うようにしたため、絞り通路180の加工が容易となり、より低コストに実現することができる。
【0052】
[第4実施形態]
図12は、第4実施形態に係る流量センサの構成を表す斜視図である。
図13は、流量センサおよびその取付構造を表す断面図である。
図14は、
図13のA−A矢視断面図である。以下では第1〜第3実施形態との相異点を中心に説明する。なお、同図において第1〜第3実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
【0053】
図12に示すように、本実施形態の流量センサ470は、センサボディ472とセンサヘッド474とを組み付けて構成され、第1実施形態と同様にセンサボディ472の下部にシール部材176が設けられる。ただし、流量センサ470は、磁気センサではなく、歪みゲージを用いた圧力センサである点で第1実施形態とは異なる。
【0054】
図13および
図14に示すように、センサボディ472は、段付円筒状の本体410の内方にセンサモジュール420を収容するようにして構成されている。本体410は、第1実施形態の本体10と区画部材12とを一体化したような構造を有する。本体410には、その軸線に沿った連通路32と、それとほぼ平行に延びる連通路42が設けられている。本体410の下部には流路形成部34が設けられ、その内方に絞り通路180が設けられている。本体410の上部には段付円柱状の区画部材412がOリング414,416を介して組み付けられている。また、本体410の上端部には、センサヘッド474がOリング417を介して加締め接合されている。そして、区画部材412と本体410とにより囲まれる空間にセンサモジュール420が配置されている。
【0055】
センサモジュール420は、段付円筒状のハウジング422と、ハウジング422の中央に支持された感圧部材424とを備える。ハウジング422は、上ハウジングと下ハウジングからなり、それらの間に配線基板480を挟むように組み付けられる。ハウジング422および配線基板480には、ハウジング422の軸線に沿う貫通路426が設けられ、その貫通路426の中間部を横断するように感圧部材424が配置されている。感圧部材424は、配線基板480の中央部に実装されている。貫通路426の内方に圧力空間14が形成され、感圧部材424により高圧室26と低圧室28とに仕切られている。感圧部材424は、可撓性部材からなり、その前後差圧(高圧室26と低圧室28との差圧)により変形する歪みゲージを含み、その歪み量に応じた検出信号を出力する。感圧部材424による検出信号は、センサヘッド474から延びる出力端子454を介して外部装置(制御部)へ出力される。
【0056】
区画部材412は、その下部中央部がOリング428を介してハウジング422の上端開口部に挿通されるように連結されている。区画部材412と本体410とを貫通するようにL字状の連通路430が設けられている。連通路430は、間隙通路44(
図3参照)と高圧室26とを連通させる。すなわち、連通路42,間隙通路44および連通路430が「高圧通路」を形成する。
【0057】
連通路32の上部には円筒状の通路部材440が圧入されている。通路部材440の長手方向中央部には係止リング442が固定されている。通路部材440は、その下端部がOリング444を介して連通路32に圧入され、上端部がOリング446を介してハウジング422の下端開口部に挿通されるように連結されている。通路部材440の内部通路は、低圧室28と連通路32とを連通させる。すなわち、通路部材440の内部通路と連通路32が「低圧通路」を形成する。このような構成により、感圧部材16は、差圧(Pd−Pp)を感知して軸線方向に変位(変形)する。
【0058】
センサヘッド474は、L字状の出力端子454を備える。出力端子454の一端は外部に露出するが、他端側は区画部材412を貫通し、配線基板480に接続されている。本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
なお、本実施形態では、低圧室28と連通路32とを連通させるために通路部材440を設け、センサモジュール420と本体510との間に介在させる例を示した。変形例においては、このような通路部材440を省略してもよい。例えば、連通路32の上端開口部を円ボス状に突出させ、センサモジュール420のハウジング422に嵌合させてもよい。それにより、通路部材440,係止リング442およびOリング444が不要になるなど、部品点数を削減することができる。
【0060】
[第5実施形態]
図15は、第5実施形態に係る流量センサの構成を表す斜視図である。
図16は、流量センサおよびその取付構造を表す断面図である。
図17は、
図16のA−A矢視断面図である。以下では第1〜第4実施形態との相異点を中心に説明する。なお、同図において第1〜第4実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
【0061】
図15に示すように、本実施形態の流量センサ570は、第3実施形態と同様にセンサボディ572の下半部にシール用のOリング217,218が設けられる。
図16に示すように、本体510の下部には、上流側通路と下流側通路とを連通させる絞り通路180が設けられている。
図17にも示すように、絞り通路180は、その軸線がセンサボディ572の軸線と一致するように設けられている。このような構成により、第3実施形態と同様に絞り通路180の加工が容易となり、低コストに実現することができる。
【0062】
[第6実施形態]
図18は、第6実施形態に係る圧縮機に対する流量センサおよび制御弁の取付構造を示す図である。以下では第1実施形態との相異点を中心に説明する。同図において第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付している。
【0063】
本実施形態の圧縮機600では、流量センサ170にて感知する差圧を、吐出弁160の下流側圧力Pp2と出口圧力PdLとの差圧(Pp2−PdL)としている。すなわち、リアハウジング604における吐出弁160が収容される圧力室と冷媒出口158との間に絞り通路180が位置するように流量センサ170が配置されている。このように、吐出流量を検出するための2点間の差圧は、吐出室153と冷媒出口158との間に適宜設定することができる。なお、本実施形態および変形例は、第1実施形態のみならず、第2〜第5実施形態の制御弁および流量センサの取付構造に対しても適用可能であることは言うまでもない。
【0064】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0065】
上記実施形態では、センサボディと取付穴178との間に形成される間隙通路を高圧通路とし、センサボディの軸線に沿って延びる通路部を低圧通路とする例を示した。変形例においては、センサボディと取付穴178との間に形成される間隙通路を低圧通路とし、センサボディの軸線に沿って延びる通路部を高圧通路としてもよい。すなわち、圧力空間14における高圧室26と低圧室28との位置関係を逆転させてもよい。
【0066】
上記実施形態では、本発明の流量センサが適用される対象装置として可変容量圧縮機を例示し、冷媒の流れを制御する制御弁として、被感知圧力として吸入圧力Psを感知して動作するいわゆるPs感知弁を例示した。変形例においては、異なる制御方式の制御弁が組み込まれる圧縮機に対し、各実施形態の流量センサを適用してもよい。また、圧縮機に限らず、流体が流れる内部通路を有する装置に対し、各実施形態の流量センサを適用してもよい。
【0067】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。