【実施例1】
【0017】
<概要>
本実施例の蓄光案内表示板は、基板上に反射フィルム、第一透明ゲルフィルム、蓄光フィルム、第二透明ゲルフィルム及び透明保護層を順次載置して形成されたものである。従って、蓄光フィルムの上下に透明ゲルフィルムが配置されていることを特徴とする。また、透明保護層は蓄光フィルムの上層に載置される透明ゲルフィルム(第二透明ゲルフィルム)よりも屈折率が低いことを特徴とする。
【0018】
<構成>
(全般)
図1A及び
図1Bは、本実施例の蓄光案内表示板の構成の一例を示す図である。このうち
図1Aは蓄光案内表示板の全体外観を斜視図で示したものであり、
図1Bは
図1AのX−X断面図である。
図1Bに示すように、本実施例にかかる蓄光案内表示板0100は、基板0101と、反射フィルム0102と、第一透明ゲルフィルム0103と、蓄光フィルム0104と、第二透明ゲルフィルム0105と、透明保護層0106とを有する。蓄光案内表示板は基板上に上記各フィルム等0102〜0106を順次載置していくことで形成される。ここで「載置」とは、文字通り載せ置くことであり、接着剤などで接着したり、他の部材を用いて固定したりする必要がないことを意味する。なお、後述のように、反射フィルムのみは、基板に接着剤などで接着することを妨げない。
【0019】
ここで特に、蓄光フィルムの上下に透明ゲルフィルム(第一透明ゲルフィルム及び第二透明ゲルフィルム)を配置する目的は、透明ゲルフィルムの柔軟性および粘着性を利用して各材料を密着させて間に空気が入らないようにするとともに、接着剤を用いずに済むようにすることで、蓄光案内表示板をより高輝度のものとするためである(詳細は後述する)。また、後述のように、透明保護層の屈折率は第二透明ゲルフィルムの屈折率よりも低い(小さい)ように構成される。この構成も同じく蓄光案内表示板をより高輝度のものとするためものである。
【0020】
本実施例の蓄光案内表示板は、案内マークを有していてもよい。案内マークは案内のためのマークを文字、ピトグラム等で表示したものであり、例えば透明保護層の下面(裏面)に塗料で塗布・印刷して形成される。あるいは、案内マークを第二透明ゲルフィルムに染料で塗布・印刷するようにしてもよい。
【0021】
図2A及び
図2Bは、本実施例の蓄光案内表示板の構成の一例を示す図であって、
図1A及び
図1Bと異なり案内マークを有する例である。このうち
図2Aは蓄光案内表示板の全体外観を斜視図で示したものであり、
図2Bは
図2AのX−X断面図である。
図2Aにおいて濃色で描かれた部分が案内マーク0207である。案内マークは、
図2Bに示すように透明保護層の下面に塗料で塗布・印刷され、もしくは第二透明ゲルフィルムに染料で塗布・印刷されて形成されたものである。この場合、透明保護層と第二透明ゲルフィルムとの境界面は、案内マークが形成された部分と形成されていない部分とによって凹凸を有するものとなるが、第二透明ゲルフィルムの柔軟性によって、第二透明ゲルフィルムと透明保護層の間に空気が入らないようにして両者を密着させた状態にすることができる。
【0022】
(基板)
次に、本実施例の蓄光案内表示板の各構成要素について順次説明する。まず、「基板」は、その上に反射フィルム等を順次載置するための蓄光案内表示板の本体部分であり、金属(ステンレス、アルミニウムなど)、セラミック、硬質樹脂などの固い材料からなるものであることが望ましい。特に基板が熱膨張率の大きな金属製の場合には、ゲルフィルムの特性をより生かした構成とすることができる(詳細は後述する)。
【0023】
図1Aから
図2Bまでの例では、蓄光案内表示板の本体が基板の周囲に外壁0108、0208を有し、蓄光案内表示板の本体が盆状の形状を有しているものを示した。ただし、本実施例の蓄光案内表示板はこのような形状のものに限られず、例えば単に平板上の基板の上に反射フィルム等を順次載置したものであってもよい。ただし、この場合には蓄光案内表示板の側面に透明ゲルフィルムや蓄光フィルムなどが露出し、剥離のおそれなどが生じるので、かかる観点からは
図1A・
図1Bに示すような盆状の形状のものの方が望ましい。また、基板の寸法や形状には特に限定はなく、用途に合わせて様々な寸法・形状に設計できる。寸法・形状の一例としては、
図1Aから
図2Bまでに示したような路面や壁面に設置するタイプのものであって、縦約100ミリメートル×横約300ミリメートル×高さ(厚み)約3ミリメートルの平面図で見て略長方形状のものが挙げられる。このほかの形状としては、例えば平面図で見て略円形状、略楕円形状、略正方形状、略三角形状、略多角形状(略四角形状を除く)などが考えられる。
【0024】
(反射フィルム)
「反射フィルム」は、前記基板上に載置される。その際、反射フィルムを基板上に固定するために反射フィルムの裏面を接着剤などで基板に接着させるようにしてもよい。このようにしても反射フィルムの裏面側には光は届かないので本発明の蓄光案内表示板の目的の実現が阻害されることはない。
【0025】
反射フィルムは、反射材原料を含むフィルム状の部材である。反射材原料としては、例えば酸化チタン、シリカなどの白色顔料が用いられる。基板上に反射フィルムを設けることで、蓄光フィルムから基板方向に発せられた光をすべて透明保護層方向に反射することとなる。後述のように、透明保護層と第二透明ゲルフィルムの境界面や第二透明ゲルフィルムと蓄光フィルムの境界面に対して臨界角以上の入射角で入射された光は全反射されて基板方向に戻ってくるが、基板上に反射フィルムがあることで、この戻ってきた光が再び透明保護層方向にはね返される。そして、この反射を繰り返すことで、最終的にはほぼすべての光が損なわれることなく透明保護層から外部に発せされることになるので、本実施例の蓄光案内表示板の輝度を増すことができる。
【0026】
(第一透明ゲルフィルム)
「第一透明ゲルフィルム」は、反射フィルム上に載置される。本実施例の蓄光案内表示板では、蓄光フィルムを挟む形でその上下に透明ゲルフィルムを配置するようにしているが、蓄光フィルムの下(反射フィルムの上)に配置されるものを第一透明ゲルフィルム、蓄光フィルムの上に配置されるものを第二透明ゲルフィルムと便宜上呼び分けている。
【0027】
第一透明ゲルフィルムは、透明ゲル材料からなるフィルム状の部材である。透明ゲル材料としては、例えば、シリコーン系ゲルやアクリル系ゲルが用いられる。
【0028】
第一透明ゲルフィルムは、ゲル一般の特性として、粘着性及び柔軟性を有する。この粘着性のゆえに、反射フィルムの上に当該第一透明ゲルフィルムを単に載置するだけで、即ち接着剤を使用することなしに、反射フィルムと第一透明ゲルフィルムを密着した状態で固定することができる。同様に、第一透明ゲルフィルムの上に単に蓄光フィルムを載置するだけで、第一透明ゲルフィルムと蓄光フィルムを密着した状態で固定することができる。また、この柔軟性のゆえに、反射フィルムや蓄光フィルムの表面に凹凸があっても、反射フィルム及び蓄光フィルムの形状に合わせて第一透明ゲルフィルムの形状を変えることができるので、反射フィルム・蓄光フィルムと第一透明ゲルフィルムの間にすき間や気泡を生じることなしにこれらの部材を互いに密着させることができる。
【0029】
また、第一透明ゲルフィルムが柔軟性を有することの結果、透明保護層に荷重が加えられた場合に、第一透明ゲルフィルムは、後述の第二透明ゲルフィルムとともに、その荷重負荷の程度に応じて厚みが変化する(荷重負荷が大きいほど厚みが薄くなる)そこで、ゲルのこの特性を利用して、第一・第二透明ゲルフィルムを通じて発せられる光の色を変化させることができる。即ち、第一ゲルフィルムの厚みが異なれば第一ゲルフィルムの上層面(透明保護層との境界面)で反射される光と第一ゲルフィルムの下層面(蓄光フィルムとの境界面)で反射される光の干渉によって強められる波長域が異なるため、第一ゲルフィルムの厚みによって見える色が異なることになる。第二ゲルフィルムについても同様である。さらに、第一ゲルフィルム、第二透明ゲルフィルムという形で透明ゲルフィルムを複数枚重ねることでこの干渉がさらに複雑なものとなり、より様々な色を発現することも可能となる。
【0030】
この特性を利用すれば、ゲルフィルムの厚みや組合せを変えることで発光色の違いを実現し、これによって案内表示の意味合いを区別するといったことが可能となる。また、蓄光案内表示板を人が踏むなどによりゲルフィルムの厚みが変化することで、発光色が変化し、これによりその人に注意喚起して案内表示をより確実に伝えることなども可能となる。さらに、以上の実用的な効果のほかに、色の変化を楽しむといった効果を奏することも可能となる。
【0031】
このような観点からは、透明ゲルフィルムは二枚に限らず、三枚以上載置するようにしてもよく、またこれに応じて蓄光フィルムも二枚以上載置するようにしてもよい。また、その際、反射フィルムの上に第一の透明ゲルフィルム、第一の蓄光フィルム、第二の透明ゲルフィルム、第二の蓄光フィルム、第三の透明ゲルフィルムといったように透明ゲルフィルムと蓄光フィルムを交互に載置してもよいし、透明ゲルフィルムの上に屈折率の異なる別の透明ゲルフィルムを載置するようにしてもよい。また、載置の組合せ自体は同じである場合であっても、それぞれのフィルムの初期の厚みを異なるものとした様々なバリエーションを有する蓄光案内表示板を実現することもできる。さらに、より様々な色を実現するために、透明ゲルフィルムは無色透明のもののほか、有色透明のものや半透明のものを用いてもよい。
【0032】
また、第一透明ゲルフィルムは、ゲル一般の特性として、温度変化に対する追随性が良いという特性を備える。このため、基板が温度変化によって膨張・収縮しても第一透明ゲルフィルムはこれに追随して膨張・収縮することで、元の密着した状態を維持することができる。もし透明材料が温度変化に対する追随性が悪い材料である場合には、基板が温度変化によって膨張・収縮した場合に剥離やひび割れが生じてしまうおそれがあるが、ゲルであればこれを避けることができる。このようなゲルの温度変化に対する追随性の良さを特に生かせる場面としては、基板が熱膨張率の大きい金属製のものであり、基板の形状が水平方向の膨張・収縮比率が縦と横で不均衡になり易い縦横比の大きな長方形状であり、気温の日較差の大きい屋外に設置される蓄光案内表示板に用いる場合が挙げられる。
【0033】
(蓄光フィルム)
「蓄光フィルム」は、第一透明ゲルフィルム上に載置される。蓄光フィルムは、光エネルギーを蓄え、蓄えた光エネルギーを徐々に光として放出する性質を有する材料である蓄光材を備えたフィルム部材である。蓄光材原料としては、例えばアルミン酸ストロンチウム系蓄光材原料(アルミン酸ストロンチウム(SrAl
2O
4、Sr
4Al
14O
25など)を母結晶とし、これにケイ素、リン、カルシウム、セリウム、ユーロピウム、ディスプロシウムなどを添加したもの)や硫化亜鉛系のものなどが用いられる。
【0034】
(第二透明ゲルフィルム)
「第二透明ゲルフィルム」は、蓄光フィルム上に載置される。第二透明ゲルフィルムも第一透明ゲルフィルムと同様に透明ゲル材料からなるフィルム状の部材であり、その材料も第一透明ゲルフィルムの材料と同様である。また、柔軟性、粘着性、温度変化に対する追随性といった特性を有する点やその効果なども第一透明ゲルフィルムについて上述したところと同様である。
【0035】
(透明保護層)
「透明保護層」は、第二透明ゲルフィルム上に載置される。透明保護層は、透明樹脂、透明ガラスなどの透明材料によって形成される層状の部材であって、その配置の目的は、透明ゲルフィルムの損傷・劣化や汚れを防止するとともに、特に本実施例では第二透明ゲルフィルムとの屈折率の関係を利用することにより、蓄光フィルムから発せられる光の過度の拡散を防止して蓄光案内表示板の輝度を増すことにある。
【0036】
(第二透明ゲルフィルムと透明保護層の屈折率の関係)
本実施例においては、蓄光案内表示板の輝度を増すために、第二透明ゲルフィルムと透明保護層の屈折率が所定の関係になるようにしており、具体的には、第二透明ゲルフィルムの屈折率を所定の屈折率とするとともに、透明保護層の屈折率が第二透明ゲルフィルムの屈折率よりも低い屈折率となるようにしている。
【0037】
図3は、第二透明ゲルフィルムと透明保護層の屈折率の関係について説明するための図である。まず蓄光フィルム0304から発せられた光は、第二透明ゲルフィルム0305を通過して透明保護層0306に入射される。このとき、透明保護層の屈折率n1の方が第二透明ゲルフィルムの屈折率n2よりも低いため、第二透明ゲルフィルムと透明保護層の境界面0308に対する第二透明ゲルフィルムからの入射角θ
1よりも透明保護層への出射角θ
2の方が大きい。そこで、同図に示すように、第二透明ゲルフィルムからの光はある程度拡散しつつ透明保護層を通過して外部に発せられる。ただし、第二透明ゲルフィルムと透明保護層の境界面への入射角が臨海角より大きな角度θ
3になると、当該光は当該境界面によって全反射され、蓄光フィルム側に戻っていくことになる。これにより透明保護層に入射される光の入射角が一定角度以下に制限されることになり、透明保護層を通じて過度に拡散した光が外部に発せされることを防ぐことができる。光は、光量が同じであれば集中するほど輝度が増すところ、本実施例の蓄光案内表示板によれば、このように第二透明ゲルフィルムと透明保護層の屈折率の関係を利用して光が過度に拡散することを防ぐことができるので、従来の蓄光案内表示板に比べて輝度を増すことが可能となる。
【0038】
このような第二透明ゲルフィルムよりも透明保護層の方が屈折率の小さい材料の組合せとしては、例えば、第二透明ゲルフィルムが透明アクリル系ゲル(屈折率1.49程度)であり、透明保護層がPTFEなどの透明フッ素樹脂(屈折率1.35〜1.42程度)であるものや、第二透明ゲルフィルムが透明アクリル系ゲルであり、透明保護層が低屈折率の光学ガラス(屈折率1.43程度)であるもの、あるいは、第二透明ゲルフィルムが透明シリコーン系ゲル(屈折率1.41程度)であり、透明保護層がPTFEなどの透明フッ素樹脂であって当該透明シリコーン系ゲルより屈折率が低いものであるものなどが挙げられる。
【0039】
なお、蓄光案内表示板の輝度を増すという観点からは、さらに第二透明ゲルフィルムの屈折率が蓄光フィルムの屈折率よりも低いものであることが望ましい。かかる構成については別の実施例にて後述する。あるいは、第二透明ゲルフィルム、蓄光フィルム及び第一透明ゲルフィルムの屈折率がほぼ同じであってもよく、かかる構成によっても、光が第二透明ゲルフィルム、蓄光フィルム及び第一透明ゲルフィルムによって構成される層の中をほぼ真っすぐに進行することができるので、輝度の損失を防ぐことが可能となる。
【0040】
<効果>
本実施例の発明により、高輝度で発光することができ、しかも簡単な方法で安価に製造することが可能な蓄光案内表示板を提供することが可能となる。
【実施例2】
【0041】
<概要>
本実施例の蓄光案内表示板は、実施例1の蓄光案内表示板と基本的に共通する。ただし、本実施例の蓄光案内表示板は、蓄光フィルムの屈折率が第一および第二透明ゲルフィルムの屈折率よりも大であることを特徴とする。
【0042】
<構成>
(蓄光フィルムと第二透明ゲルフィルムの屈折率の関係)
本実施例の蓄光案内表示板は、蓄光フィルムの屈折率が第一および第二透明ゲルフィルムの屈折率よりも大である(高い)ように構成される。この構成も蓄光案内表示板の輝度を増すことを目的としたものである。
【0043】
図4は、蓄光フィルムと第二透明ゲルフィルムの屈折率の関係について説明するための図である。まず蓄光フィルム0404から発せられた光は、第二透明ゲルフィルム0405に入射される。このとき、第二透明ゲルフィルムの屈折率n2の方が蓄光フィルムの屈折率n3よりも低いため、蓄光フィルムと第二透明ゲルフィルムの境界面0410に対する蓄光フィルムからの入射角θ
4よりも第二透明ゲルフィルムへの出射角θ
1の方が大きい。そこで、同図に示すように、蓄光フィルムからの光はある程度拡散しつつ第二透明ゲルフィルム内に入射される。ただし、蓄光フィルムと第二透明ゲルフィルムの境界面への入射角が臨海角より大きな角度θ
5になると、当該光は当該境界面によって全反射され、蓄光フィルム側に戻っていくことになる。これにより第二透明ゲルフィルムに入射される光の入射角が一定角度以下に制限されることになり、第二透明ゲルフィルムを通じて過度に拡散した光が透明保護層に入射されることを防ぐことができる。そして、前実施例において第二透明ゲルフィルムと透明保護層の屈折率の関係について述べたところと同様の理由により、蓄光フィルムと第二透明ゲルフィルムの屈折率の関係を利用して光が過度に拡散することを防ぐことができる。
【0044】
このように本実施例では、蓄光フィルムと第二透明ゲルフィルムの屈折率の関係に基づいて第二透明ゲルフィルムに入射される光の角度が過度に拡散しないものに制限された上で、第二透明ゲルフィルムと透明保護層の屈折率の関係に基づいて第二透明ゲルフィルムに入射された光のうち透明保護層に入射される光の角度が過度に拡散しないものにさらに制限されることになる。従って、従来の蓄光案内表示板に比べて輝度を増すことをより好適に実現することが可能となる。
【0045】
このような第二透明ゲルフィルムよりも蓄光フィルムの方が屈折率が大である材料の組合せとしては、例えば、蓄光フィルムがアクリル系樹脂(屈折率1.49程度)であり、第二透明ゲルフィルムが透明シリコーン系ゲル(屈折率1.41程度)であるものが挙げられる。
【0046】
<効果>
本実施例の発明によれば、蓄光フィルムと第一・第二透明ゲルフィルムの間でも、透明保護層と第二透明ゲルフィルムの間におけると同様の光の進行を得ることができるため、簡便な方法で蓄光案内表示板の輝度をさらに増すという本発明の目的をさらに好適に実現することができる。
【実施例3】
【0047】
<概要>
本実施例の蓄光案内表示板は、実施例1又は2の蓄光案内表示板と基本的に共通する。ただし、本実施例の蓄光案内表示板は、前記各フィルムを密着させた状態で保持するために透明保護層の一部を上から押さえる押さえ部を有することを特徴とする。
【0048】
<構成>
(押さえ部)
本実施例の蓄光案内表示板は「押さえ部」を有する。押さえ部は、前記各フィルムを密着させた状態で保持するために透明保護層の一部を上から押さえるように構成されている。その余の構成は実施例1又は2の蓄光案内表示板の構成と同様であるから、説明を省略する。
【0049】
押さえ部を備える目的は、基板上に載置される反射フィルム、第一透明ゲルフィルム、蓄光フィルムと、第二透明ゲルフィルム及び透明保護層が基板に密着する構造をより好適に実現することにある。
【0050】
押さえ部の具体的な構造には特に限定はなく、例えば、蓄光案内表示板の本体の上から枠状の部材を被せて透明保護層を押さえつけるようにしたものや、透明保護層を基板に対してねじなどで締め付けて固定することで透明保護層を押さえつけるようにしたものなどが考えられる。
【0051】
図5A及び
図5Bは、本実施例における押さえ部を有する蓄光案内表示板の形状の一例を示す図である。本図は蓄光案内表示板の本体の上から枠状の部材を被せて透明保護層を押さえつけるようにした例である。このうち
図5Aは蓄光案内表示板0500と押さえ部0511を分解斜視図で示したものであり、
図5Bは蓄光案内表示板0500に押さえ部0511を被せた状態のものを、
図5Aに示す蓄光案内表示板のX−X線で示した位置で切断した垂直断面図である。これらの図に示すように、本例では押さえ部0511は、蓄光案内表示板の本体にほぼぴったりと被せることができる枠状の部材であり、被せたときに枠の四辺が透明保護層0506の周縁付近部分を上から押さえつける位置になるように構成されているものである。また、当該押さえ部には蓄光案内表示板の本体の側面に挿入して固定するための凸部0511aが備えられており、これに対応して蓄光案内表示板の本体の側面には当該凸部を挿入して固定するための凹部0500aが設けられている。この凹部は、枠を被せる前の状態よりも透明ゲルフィルムがやや圧縮された状態になるような位置に設けられる。このような構成とすることで、押さえ部を蓄光案内表示板の本体に被せたときに、透明保護層及びその下層に配置される各フィルムがより強く密着させられる。これによって、各材料を密着させて間に空気が入らないようにすることで蓄光案内表示板の輝度を増すという本発明の目的をより好適に実現することが可能となる。
【0052】
図6A及び
図6Bは、本実施例における押さえ部を有する蓄光案内表示板の形状の別の一例を示す図である。このうち
図6Aは斜視図、
図6Bは
図6AのX−X断面図である。同図に示すように、蓄光案内表示板0600の押さえ部は基板0601及び透明保護層0606にそれぞれ穿たれたねじ孔0601a、0606aと、当該ねじ孔を用いて透明保護層を基板に固定するねじ0612を有する。
【0053】
あるいは、図示は省略するが、本図の例におけるねじに代えて、透明保護層に穿たれた孔の下面側の径より大きな直径の頭部を有するコイルばねを当該透明保護層の孔に挿入した上で、コイルばねの底部を基板に穿たれた孔の底に固定された状態で取り付けるようにしてもよく、これによりコイルばねの頭部が透明保護層を押さえつける形で、透明保護層が基板に取り付けられた状態とすることができる。コイルばねで透明保護層を押さえつけている状態では、コイルばねは上方、即ち透明保護層を持ち上げる方向に付勢されることになるが、このときの透明保護層の位置が、押さえ部を取り付ける前の状態よりもやや下の位置、即ち透明ゲルフィルムがやや圧縮された状態になるような位置にすればよく、こうすることで、各材料を密着させて間に空気が入らないようにすることで蓄光案内表示板の輝度を増すという本発明の目的をより好適に実現することが可能となる。
【0054】
(透明保護層の材料)
以上のような構造を有する押さえ部による密着効果をより高めるため、透明保護層は固い材料からなるものであることが望ましい。例えば、透明保護層はガラス基板であることが望ましい。このほか、透明保護層は硬質樹脂などであってもよい。前述のように基板は金属などの固い材料からなるものであることが望ましいが、このように透明保護層及び基板を固い材料のものとすることで、押さえ部によって透明保護層に加えられた押圧力が、透明保護層に吸収されることなく各フィルムに伝えられ、各フィルム等をより密着させることが可能となる。
【0055】
<効果>
本実施例の発明によれば、押さえ部によって透明保護層、第二透明ゲルフィルム、蓄光フィルム、第一透明ゲルフィルム及び反射フィルムの密着構造をより好適に実現することができるので、簡便な方法で蓄光案内表示板の輝度をさらに増すという本発明の目的をさらに好適に実現することができる。