特許第6085959号(P6085959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6085959
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】空気調和機のリモコン装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20170220BHJP
【FI】
   F24F11/02 104A
   F24F11/02 105Z
   F24F11/02 103C
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-268696(P2012-268696)
(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公開番号】特開2014-115003(P2014-115003A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】林 克彦
(72)【発明者】
【氏名】徳田 哲
【審査官】 小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−048548(JP,A)
【文献】 特開2009−079895(JP,A)
【文献】 特開2009−229009(JP,A)
【文献】 特開2001−041545(JP,A)
【文献】 特開2002−89944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内温度に応じて暖房運転と冷房運転とを切り換える自動運転モード機能を有する空気調和機本体と、これを運転操作するリモコン装置との間で双方向通信を行う空気調和機のリモコン装置であって、
前記空気調和機本体との間で双方向通信を行う送受信部と、
前記空気調和機本体を運転操作する運転操作画面を表示する表示部と、
前記空気調和機本体に対して前記自動運転モードで運転を行うように指示する操作キー部と、
前記表示部に運転操作画面および前記空気調和機本体からの運転情報を表示させると共に、前記操作キー部から前記自動運転モードでの運転指示があると、前記送受信部を介して前記空気調和機本体に自動運転開始信号を送信する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記自動運転開始信号を送信し、前記空気調和機本体で暖房運転と冷房運転のいずれで運転するのかを判定している間は、前記表示部に暖房運転を行うのか冷房運転を行うのかの判定中である旨の表示を行うことを特徴とする空気調和機のリモコン装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記空気調和機本体での判定後、その判定結果を前記送受信部を介して受け取ると、前記表示部に自動運転モードであることを表示することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機のリモコン装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記表示部に自動運転モードであることを表示する際に、判定結果である暖房運転または冷房運転のいずれで運転するかを併せて表示することを特徴とする請求項2に記載の空気調和機のリモコン装置。











【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転モード機能を有する空気調和機本体との間で双方向通信しながら運転操作を行う空気調和機のリモコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機では、ユーザがリモコン装置を用いて暖房運転モードや冷房運転モードを指定して空気調和機本体を運転させるモードの他、空気調和機本体側で室内温度を測定し、その測定温度がどの温度領域にあるかを判定して、暖房運転を行うか冷房運転を行うかを切り換える自動運転モードを備えたものがある。ユーザがこの自動運転モードを指定した場合は、空気調和機本体側で最終的な運転モードを判定して運転開始するまでに一定の時間を要していた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の空気調和機では、運転モードに応じて空気の吹き出し方向(気流方向)が最良となるような設定で運転が行われている。例えば、冷房運転時には、部屋の空気よりも比重の重い冷気を吹き出すため、吹き出し方向を上向きにして部屋全体に冷気を循環させるようにしている。また、暖房運転時には、部屋の空気よりも比重の軽い暖気を吹き出すため、吹き出し方向を下向きにして部屋全体に暖気を循環させるようにしている。
【0004】
さらに、最近の空気調和機では、より細かい気流制御を行うことで部屋全体をむらなく空調するため、複数の吹出口を備えたものがある。この種の空気調和機としては、吹き出す気流が複数の部分気流で構成されており、上下風向制御板と左右風向制御板がそれぞれ左右2つに独立しているため、吹き出される調和空気の気流は、左右独立した部分気流となって吹き出される(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−341691号公報
【特許文献2】特開2012−42138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示す空気調和機にあっては、ユーザがリモコン装置を使って空気調和機本体を自動運転モードに設定すると、室内温度を測定し、暖房運転にするか冷房運転にするかを判定して運転を開始するまでに時間がかかっていたため、ユーザは空気調和機本体が運転を開始するまで正常に動作しているか否かが分からなかった。
【0007】
特に、特許文献2に示すような複数の吹出口を備えた空気調和機では、細かい気流制御を行うと共に、運転モードに応じた最良の気流方向となるように調整して運転を開始する必要があるため、自動運転モードの判定を行って、室内機が運転を開始するまでにさらに時間を要していた。
【0008】
その上、ユーザがリモコン装置を使って空気調和機本体を自動運転モードに設定する場合、リモコン装置の表示部には、「自動」といった運転表示がなされるだけで、暖房か冷房のどの運転モードで運転しているのかは分からなかった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、自動運転モードを選択した際に、空気調和機本体をどの運転モードで運転するか判定し、運転が開始されるまでの間に、空気調和機本体が正常に動作しているか否を容易に判別可能な空気調和機のリモコン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために、本発明の空気調和機のリモコン装置は、室内温度に応じて暖房運転と冷房運転とを切り換える自動運転モード機能を有する空気調和機本体と、これを運転操作するリモコン装置との間で双方向通信を行う空気調和機のリモコン装置であって、前記空気調和機本体との間で双方向通信を行う送受信部と、前記空気調和機本体を運転操作する運転操作画面を表示する表示部と、前記空気調和機本体に対して前記自動運転モードで運転を行うように指示する操作キー部と、前記表示部に運転操作画面および前記空気調和機本体からの運転情報を表示させると共に、前記操作キー部から前記自動運転モードでの運転指示があると、前記送受信部を介して前記空気調和機本体に自動運転開始信号を送信する制御部と、を備え、前記制御部は、前記自動運転開始信号を送信し、前記空気調和機本体で暖房運転と冷房運転のいずれで運転するのかを判定している間は、前記表示部に暖房運転を行うのか冷房運転を行うのかの判定中である旨の表示を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明の空気調和機のリモコン装置では、前記制御部は、前記空気調和機本体での判定後、その判定結果を前記送受信部を介して受け取ると、前記表示部に自動運転モードであることを表示することを特徴とする。
【0012】
本発明の空気調和機のリモコン装置では、前記制御部は、前記表示部に自動運転モードであることを表示する際に、判定結果である暖房運転または冷房運転のいずれで運転するかを併せて表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の空気調和機のリモコン装置によれば、送受信部を介して空気調和機本体との間で双方向通信を行い、表示部に空気調和機本体を運転操作する運転操作画面を表示し、操作キー部で空気調和機本体に対して室内温度に応じて暖房運転と冷房運転とを切り換える自動運転モードで運転するように指示し、制御部は表示部に運転操作画面および空気調和機本体からの運転情報を表示させると共に、操作キー部から自動運転モードの運転指示があると、送受信部を介して空気調和機本体に自動運転開始信号を送信し、空気調和機本体で暖房運転と冷房運転のいずれで運転するのかを判定している間は、表示部に判定中表示を行うようにする。このように、ユーザがリモコン装置を使って自動運転モードに設定後、室内機が運転を開始するまでの判定期間中は、リモコン装置の表示部に判定中と表示されるため、ユーザは空気調和機本体が正常に動作していることが分かるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施例にかかる空気調和機の室内機とリモコン装置とを表す外観斜視図である。
図2図2は、本実施例の空気調和機本体の室内機および室外機における概略構成を表すブロック図である。
図3図3は、本実施例の空気調和機のリモコン装置および室内機における機能を表すブロック図である。
図4-1】図4−1は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の平面図である。
図4-2】図4−2は、図4−1の空気調和機のリモコン装置の詳細設定キーを表す平面図である。
図5図5は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の運転操作における動作を説明するフローチャートである。
図6図6は、図5の空気調和機のリモコン装置との間で双方向通信を行う室内機側の動作を説明するフローチャートである。
図7図7は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の表示部に表示される冷房運転中の画像例の図である。
図8-1】図8−1は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の表示部に表示される暖房運転中の画像例の図である。
図8-2】図8−2は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の表示部に表示される暖房運転中の画像例の図である。
図9図9は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の表示部に表示される運転モード判定中表示の画像例の図である。
図10図10は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の表示部に表示される自動運転中に冷房運転が選択された画像例の図である。
図11図11は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の表示部に表示される自動運転中に暖房運転が選択された画像例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる空気調和機のリモコン装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明の一実施例にかかる空気調和機の室内機とリモコン装置とを表す外観斜視図であり、図2は、本実施例の空気調和機本体の室内機および室外機における概略構成を表すブロック図であり、図3は、本実施例の空気調和機のリモコン装置および室内機における機能を表すブロック図であり、図4−1は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の平面図であり、図4−2は、図4−1の空気調和機のリモコン装置の詳細設定キーを表す平面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施例に用いられる空気調和機の室内機20は、本体ユニット263とその両側に左ファンユニット261と右ファンユニット262とを備える。室内機20の本体ユニット263は、主筐体27を備える。主筐体27では、筐体本体28に外装パネル29が覆い被さる。筐体本体28には、中央吹出口30が形成される。外装パネル29の上部には、図示しない吸込口が形成される。中央吹出口30は、下向きに開口している。このような筐体本体28は、例えば室内の壁面に固定することができる。その際、中央吹出口30は、前端30aは後端30bに比べて上方の位置に配置される。その結果、中央吹出口30は、所定の傾斜角αで前上がりの姿勢に形成される。このような傾斜角αの働きで、気流は中央吹出口30から床面に向かって下向きに吹き出すことができるだけでなく、床面に対して平行(水平方向)に吹き出すこともできる
【0018】
そして、中央吹出口30には、前後一対の上下風向板31a、31bが配置される。上下風向板31a、31bは、それぞれ水平軸線32a、32b回りで回転することができる。これら水平軸線32a、32bは、上下風向板31a、31bの後端に設定されればよい。回転に応じて上下風向板31a、31bは、中央吹出口30を開閉することができる。
【0019】
また、筐体本体28の両側面には、個別に左ファンユニット261と右ファンユニット262が設置される。つまり、左ファンユニット261と右ファンユニット262は、筐体本体28の側壁の外側に配置される。左ファンユニット261は、左サイドファン筐体331を備えており、左吹出口341が形成されている。右ファンユニット262は、右サイドファン筐体332を備えており、右吹出口342が形成されている。この左吹出口341と右吹出口342は、不図示の駆動機構によって、水平軸線35回りでそれぞれ回転することができる。上記した水平軸線32a、32bと水平軸線35とは、図1に示すように、相互に平行に延びている。筐体331と筐体332の側面には、サイドパネル36が覆い被さる。このサイドパネル36には、側面吸込口37が形成される。側面吸込口37は、図1に示すように、例えば複数の小開口を集合させて形成する。
【0020】
本実施例にかかる空気調和機は、上記した室内機20との間で無線による双方向通信により遠隔から運転操作が行えるリモコン装置10を備えている。
【0021】
本実施例にかかる空気調和機の室内機および室外機は、図2に示すように構成されている。上記した室内機20の本体ユニット263内には、室内熱交換器264および中央送風ファン265が組み込まれる。中央送風ファン265は、クロスフローファンの回転に応じて気流を生成する。本体ユニット263には、中央送風ファン265の働きにより室内空気が吸い込まれ、室内熱交換器264で冷媒と熱交換を行って通り抜ける。この室内熱交換器264を通り抜けた後の冷気または暖気の気流は、本体ユニット263の中央吹出口30から吹き出される。また、室内熱交換器264を通り抜けた気流の流量は、クロスフローファンの毎分回転数に応じて調整される。室内熱交換器264では、この気流の流量に応じて冷媒と空気との間で交換される熱エネルギー量を調整することができる。
【0022】
室外機40の冷凍回路41は、図2に示すように、四方弁42、圧縮機43、室外熱交換機44、膨張弁45、室外ファン46、および冷媒管50などで構成されている。例えば、冷凍回路41で冷房運転が設定されると、四方弁42は、第2口42bおよび第3口42cを相互に接続し、第1口42aおよび第4口42dを相互に接続する。これにより、圧縮機43の吐出管43bから高温高圧の冷媒が室外熱交換機44に供給される。冷媒は、室外熱交換機44、膨張弁45および室内熱交換器264を順番に流通する。室外熱交換機44では、冷媒の熱エネルギーが外気に放出される。冷媒は、膨張弁45で低圧まで減圧され、室内熱交換器264において周囲の空気から吸熱する。これにより生成された冷気は、中央送風ファン265の働きで室内空間に流される。室内熱交換器264で吸熱した冷媒は、四方弁42を介して圧縮機43に戻される。
【0023】
また、冷凍回路41で暖房運転が設定されると、四方弁42は、第2口42bおよび第4口42dを相互に接続し、第1口42aおよび第3口42cを相互に接続する。これにより、圧縮機43の吐出管43aから高温高圧の冷媒が室内熱交換器264に供給される。冷媒は、室内熱交換器264、膨張弁45および室外熱交換機44を順番に流通する。室内熱交換機264では、冷媒の熱エネルギーが周囲の空気に放出され、暖気が生成される。暖気は、中央送風ファン265の働きで室内空間に流される。冷媒は、膨張弁45で低圧まで減圧され、室外熱交換器44において周囲の空気から吸熱する。その後、冷媒は圧縮機43に戻される。
【0024】
このように、本実施例にかかる空気調和機の左ファンユニット261および右ファンユニット262は、本体ユニット263とは独立して設けられ、ファンと吹出口とをそれぞれ備えているため、各吹出口から吹き出される空気の風向・風量を個別に制御することが可能となる。中央吹出口30から吹き出される空気は、熱交換器264を通り抜けた冷気または暖気の気流であり、左吹出口341と右吹出口342から吹き出される空気は、吸い込んだ室内空気をそのまま吹き出した気流である。そして、冷房運転の場合、中央吹出口30から吹き出される比重の重い冷気を上向きに吹き出し、左吹出口341と右吹出口342からの気流は、中央吹出口30からの気流より暖かいため、中央吹出口30から吹き出される方向より下方に向けて吹き出すことで、冷気を下から持ち上げて天井付近に広く拡げ、冷気を室内にむらなく循環させることができるともに、風向の向きによってはユーザに涼風を当てる役目をする。この場合の各吹出口から吹き出す気流をリモコン装置の表示部で表すと図7となる。
【0025】
また、暖房運転の場合、冷房運転の場合とは逆となり、中央吹出口30から吹き出される比重の軽い暖気を床面方向に吹き出し、左吹出口341と右吹出口342からの気流は、中央吹出口30からの気流より冷たいため、中央吹出口30から吹き出される方向より上方に向けて吹き出すことで、暖気を上から抑えつけて暖気を床面に広く拡げて、暖気を室内にむらなく循環させることができる。この場合の各吹出口から吹き出す気流をリモコン装置の表示部で表すと図8−1となる。ただし、実際には、左吹出口341と右吹出口342からの気流を上に向け過ぎると、中央吹出口30からの暖気を抑える効果がなくなるため、左吹出口341と右吹出口342からの気流は、中央吹出口30からの気流より少し上向きにする程度なので、リモコン装置の表示部では図8−2のようにして表示する。
【0026】
上記した空気調和機は、図3に示すように、リモコン装置10と室内機20との間で無線による双方向通信を行うことで運転を遠隔操作することができる。室内機20には、この室内機20の各部、および室外機40を制御する制御部21を備えている。また、室内機20は、リモコン装置10からの操作信号を受信すると共に、リモコン装置10に対して運転情報を送信する送受信部22、空気調和機の制御に関わるプログラムやデータを記憶する記憶部23、制御部21からの制御信号を室外機40へ送信すると共に、室外機40からの運転情報を受信して制御部21にその情報を送る通信部24、室温を計測する温度センサや人を感知する人感センサなどの検知部25、および制御部21からの制御信号に基づいて室外機40と協働して室内の熱交換を行って空調を行う運転部26などを備えている。
【0027】
リモコン装置10には、ユーザの操作に従って空気調和機本体の制御や後述する表示部に表示する画像データの表示制御を行う制御部としてのリモコン制御部11、リモコン装置10の制御に関わるプログラムやデータを記憶し、かつ空気調和機の現在の設定値等を記憶する記憶部12、ユーザの操作を受け付ける操作キー部13、運転情報などの情報やユーザが操作する際の操作画面を表示する表示部14、ユーザの操作に従って操作信号を室内機20に送信すると共に、室内機20からの運転情報を受信する送受信部15、および時刻や時間を計時するタイマ部16などを備えている。
【0028】
リモコン装置10の表面には、図4−1に示すように、運転情報などをドットマトリクスで表示するLCD(液晶ディスプレイ)や有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)などで構成された表示部14と、各種の運転操作を受け付ける多数の操作キー部13とが配置されている。操作キー部13には、気流調整を行う際の選択に用いる十字キー13a、選択した内容を決定する決定キー13b、各種運転モードに適した既定の風向や風量に自動的に行う自動設定モードにするおまかせキー13c、風向や風量をユーザが任意に手動設定モードにするおこのみキー13d、運転開始と運転停止を行う運転/停止キー13e、上下の矢印ボタンで設定温度を変更する温度キー13f、風量の変更設定を行う風量キー13g、現在の室温や電気代などの情報を室内機20に確認し、室内機20からの受信した情報を表示部14に表示させるおしらせキー13h、冷房運転モードでの運転開始や他の運転モードから冷房運転モードに切り換える冷房キー13i、除湿運転モードでの運転開始や他の運転モードから除湿運転モードに切り換える除湿キー13k、暖房運転モードでの運転開始や他の運転モードから暖房運転モードに切り換える暖房キー13j、および送風運転モードでの運転開始や他の運転モードから送風運転モードに切り換える送風キー13mなどがある。
【0029】
リモコン装置10の操作キー部13の蓋13nを開けると、図4−2に示すように、中には詳細設定キーが配置されている。詳細設定キーには、環境温度に応じて暖房運転か冷房運転かを自動選択するモードに切り換える自動運転キー13o、洗濯物などの乾燥に用いるランドリーキー13p、インバータ駆動によるピーク電流を抑えて運転することでブレーカーの切断を防いだり、省エネ運転を図る電流カットキー13q、時間によってエアコンの動作を制御するタイマキー13t、急速な加熱や冷却を行うハイパワーキー13r、および人感センサにより人が不在になった場合にエアコンの運転を停止あるいはセーブする不在ECOキー13sなどがある。
【0030】
上述のように構成された本実施例の空気調和機のリモコン装置を用いて、以下に動作を説明する。図5は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の運転操作における動作を説明するフローチャートであり、図6は、図5の空気調和機のリモコン装置との間で双方向通信を行う室内機側の動作を説明するフローチャートであり、図7は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の表示部に表示される冷房運転中の画像例の図であり、図8−1、および図8−2は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の表示部に表示される暖房運転中の画像例の図であり、図9は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の表示部に表示される運転モード判定中表示の画像例の図であり、図10は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の表示部に表示される自動運転中に冷房運転が選択された画像例の図であり、図11は、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置の表示部に表示される自動運転中に暖房運転が選択された画像例の図である。
【0031】
まず、図4−1のリモコン装置10の運転/停止キー13eを押下すると、出荷時に設定された運転モード、あるいは前回停止時の運転モードでエアコン運転を開始する(図5のステップS100)。また、ユーザが図4−1のリモコン装置10の冷房キー13i、除湿キー13k、暖房キー13j、送風キー13m、あるいは、図4−2の自動運転キー13oのいずれかのキーを押下すると、指定された運転モードでエアコン運転が開始される(ステップS100)。
【0032】
本実施例の空気調和機のリモコン装置は、自動運転モードの設定時に暖房運転を行うか冷房運転を行うかを判定する間、表示部に「判定中」表示を行うことでユーザに空気調和機本体が正常に動作していることを知らせる点に特徴がある。このため、図5のフローチャートでは、自動運転モードを中心に説明する。開始された運転モードの種類が自動運転モードでない場合は(ステップS101でNo)、開始された運転モードに応じた「運転中」表示をリモコン装置10の表示部14に表示する(ステップS102)。例えば、開始された運転モードが冷房運転モードであれば、図7に示すような「冷房」という文字を表示部14に表示させる。そして、冷房運転モードにおける気流状態は、図7に示すように、室内機を斜め方向から見た奥行き感のある立体的な画像データを表示させている。冷房運転モードで推奨される気流状態は、図1に示す本体ユニット263の中央吹出口30から吹き出す気流(冷気)を上向きにして灰色で表示し、左ファンユニット261の左吹出口341から吹き出す気流(室内空気)、および右ファンユニット262の右吹出口342から吹き出す気流(室内空気)をそれぞれ下向きにして黒色で表示している(図7参照)。
【0033】
また、開始された運転モードが暖房運転モードであれば、図8−2に示すような「暖房」という文字を表示部14に表示させ、冷房運転モードと同様に室内機を斜め方向から見た奥行き感のある立体的な画像データを表示させている。そして、暖房運転モードで推奨される気流状態は、図1に示す本体ユニット263の中央吹出口30から吹き出す気流(暖気)、左ファンユニット261の左吹出口341から吹き出す気流(室内空気)、および右ファンユニット262の右吹出口342から吹き出す気流(室内空気)の全てを下向きにして黒色で表示している(図8−2参照)。
【0034】
このような自動運転モード以外の運転中に「自動運転」キーが押下された場合(ステップS110でYes)やステップS100で開始された運転モードが自動運転モードであった場合(ステップS101でYes)は、リモコン装置10のリモコン制御部11により送受信部15を介して「自動運転」信号を室内機20へ送信する(ステップS103)。
【0035】
室内機20へ送信された「自動運転」信号は、図6に示すように、室内機20の送受信部22を介して制御部21が受信すると(ステップS200)、受信に対する応答信号をリモコン装置10へ返信する(ステップS201)。リモコン装置10のリモコン制御部11は、図5に示すように、所定の時間内に室内機20から応答があったか否かを判断し(ステップS104)、応答があった場合は(ステップS104でYes)、表示部14に対して「判定中」表示を行う(ステップS105)。所定の時間内に室内機20から応答が無かった場合は(ステップS104でNo)、ステップS110に戻って、上記処理が繰り返される。
【0036】
この「判定中」表示の画像例としては、図9に示すように、「自動」運転モードであることを文字で表示すると共に、現在、運転モードを判定中であることを示す文字とイラストを使って表示している。ユーザは、この表示画面を見れば、空気調和機が自動運転モードになっていて、室内機10が運転を開始しないのは、運転モードを判定しているからであり、空気調和機本体は正常に動作していることが、上記の「判定中」表示から分かる。
【0037】
続いて、リモコン装置10のリモコン制御部11は、上記「判定中」の表示中に室内機20から運転情報信号を受信すべく待機している(ステップS106)。すなわち、室内機20の制御部21は、図6に示すように、リモコン装置10に対して受信に対する応答信号をリモコン装置10へ返信した後(ステップS201)、監視運転を開始する(ステップS202)。
【0038】
なお、監視運転とは、自動運転モードの開始時、または、自動運転中に室内温度が設定温度に達しコンプレッサの運転が停止した時、室内ファンを回して室内温度を監視する運転をいう。
【0039】
室内機20の制御部21は、監視運転により確定した運転モードに基づいて、空調運転を開始する(ステップS203)。そして、室内機20の制御部21は、これらの運転情報信号をリモコン装置10へ送信する(ステップS204)。
【0040】
リモコン装置10のリモコン制御部11は、図5に示すように、室内機20から運転情報信号を受信するまで待機し(ステップS106でNo)、運転情報信号を受信すると(ステップS106でYes)、受信した運転情報に則った「運転中」表示を表示部14に表示させる(ステップS107)。この画像例としては、図10および図11に示している。すなわち、図10の場合は、自動運転中であることを文字で表すと同時に、括弧の中に自動運転モードの中で室内温度により冷房運転モードで運転するという判定結果を併せて表示している。さらに、図10に示す画面例では、図7に示す冷房運転モードの画面例と同様の気流状態が画像で表示されている。つまり、図10に示すように、室内機を斜め方向から見た奥行き感のある立体的な画像データを表示させ、冷房運転モードで推奨される気流状態として、図1に示す本体ユニット263の中央吹出口30から吹き出す気流(冷気)を上向きにして灰色で表示し、左ファンユニット261の左吹出口341から吹き出す気流(室内空気)、および右ファンユニット262の右吹出口342から吹き出す気流(室内空気)をそれぞれ下向きにして黒色で表示している(図10参照)。これにより、自動運転モードにおいて、どの運転モードで運転しているかが文字と画像の両方で表示されるため、ユーザにとって理解し易く、複数の吹出口を備えている空気調和機の気流方向まで分かりやすく表示することができる。
【0041】
また、図11の場合は、自動運転中であることを文字で示すと同時に、括弧の中に自動運転モードの中で室内温度により暖房運転モードで運転しているという運転状況を併せて表示している。さらに、図11に示す画面例では、図8−2に示す暖房運転モードの画面例と同様の気流状態が表示されている。つまり、図11に示すように、室内機を斜め横方向から見た奥行き感のある立体的な画像データを表示させ、暖房運転モードで推奨される気流状態として、図1に示す本体ユニット263の中央吹出口30から吹き出す気流(暖気)、左ファンユニット261の左吹出口341から吹き出す気流(室内空気)、および右ファンユニット262の右吹出口342から吹き出す気流(室内空気)の全てを下向きにして黒色で表示している(図11参照)。これにより、自動運転モードにおいて、どの運転モードで運転しているかが文字と画像の両方で表示されるため、ユーザにとって理解し易く、複数の吹出口を備えている空気調和機の気流方向まで分かりやすく表示することができる。
【0042】
本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置10では、表示部14の表示面自体は、2次元であるが、遠近法を使って室内機20を斜め横方向から見た画像を表示させると立体的な画像に見え、奥行き方向の異なる複数の吹出口から気流に対応していて表示することができる。さらに、本実施例のリモコン装置10のリモコン制御部11は、上向きの気流を薄い網点で灰色の表示をし、下向きの気流を濃い網点で黒色の表示をすることで、気流方向の違いを濃淡によって容易に識別可能にしている。気流方向の違いは、この濃淡表示以外にも、例えばハッチングとドットといった表現形態を変えることで識別可能にしてもよい。また、表示部14にカラー表示可能なディスプレイ(LCDや有機ELなど)を用いるならば、気流方向の違いを色の違い(例えば、緑色と黄色)で表現することで識別可能にしてもよい。
【0043】
続いて、図5のステップS107において、リモコン制御部11は、運転情報に則った「運転中」表示を表示部14に表示後、操作キー部13の「運転停止」キーが押下されたか否かを監視し、「運転停止」キーが押下された場合は(ステップS108でYes)、エアコン運転を停止する(ステップS109)。「運転停止」キーが押下されなければ(ステップS108でNo)、ステップS110に戻って、上記処理が繰り返される。
【0044】
このように、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置にあっては、空気調和機本体との間で送受信部を介して双方向通信を行い、表示部に空気調和機本体の運転操作画面を表示し、操作キー部を用いて空気調和機本体に対して自動運転モードで運転するように指示すると、制御部が表示部に運転操作画面および空気調和機本体からの運転情報を表示させ、操作キー部から自動運転モードでの運転指示があると、送受信部を介して空気調和機本体に自動運転開始信号を送信し、空気調和機本体で暖房運転と冷房運転のいずれで運転するのかを判定する間、表示部に判定中表示を行うようにしたため、ユーザは空気調和機本体が正常に動作しているか否かが分かる。
【0045】
このように、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置にあっては、制御部が空気調和機本体での判定結果を送受信部を介して受け取ると、表示部に自動運転モードの表示と共に、判定結果である暖房運転または冷房運転のいずれで運転するかを併せて表示するため、自動運転モードの中で判定された具体的な運転モードを知ることができる。
【0046】
このように、本実施例にかかる空気調和機のリモコン装置にあっては、制御部が表示部に自動運転モードであることを表示する際に、室内機を斜め横方向から見た画像を表示させ、判定結果である暖房運転または冷房運転のいずれかの気流情報に基づいて、室内機の各吹出口から吹き出される気流方向を立体的に表示するため、自動運転モードの判定結果に基づいて気流情報を作成して表示部に表示するまで判定中表示を行うことで、ユーザは空気調和機本体が正常に動作しているか否かが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかる空気調和機のリモコン装置は、自動運転モード機能を有する空気調和機のリモコン装置に有用であり、特に、自動運転モードにおいて室内温度により暖房運転を行うか冷房運転を行うかを判定するようにした空気調和機のリモコン装置に適している。
【符号の説明】
【0048】
10 リモコン装置
11 リモコン制御部
12 記憶部
13 操作キー部
13a 十字キー
13b 決定キー
13c おまかせキー
13d おこのみキー
13e 運転/停止キー
13f 温度キー
13g 風量キー
13h おしらせキー
13i 冷房キー
13j 暖房キー
13k 除湿キー
13m 送風キー
13n 蓋
13o 自動運転キー
13p ランドリーキー
13q 電流カットキー
13r ハイパワーキー
13s 不在ECOキー
13t タイマキー
14 表示部
15 送受信部
20 室内機
21 制御部
22 送受信部
23 記憶部
24 通信部
25 検知部
26 運転部
27 主筐体
28 筐体本体
29 外装パネル
30 中央吹出口
30a 前端
30b 後端
31a、31b 上下風向板
32a、32b、35 水平軸線
36 サイドパネル
37 側面吸込口
40 室外機
41 冷凍回路
42 四方弁
42a 第1口
42b 第2口
42c 第3口
42d 第4口
43 圧縮機
43a、43b 吐出管
44 室外熱交換器
45 膨張弁
46 室外ファン
50 冷媒管
261 左ファンユニット
2610 気流
262 右ファンユニット
2620 気流
263 本体ユニット
2630 気流
264 室内熱交換器
265 中央送風ファン
331 左サイドファン筐体
332 右サイドファン筐体
341 左吹出口
342 右吹出口
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図9
図10
図11