(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて詳細に説明する。なお以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に従う給湯装置100の全体構成を示す概略図である。
図1を参照して、給湯装置100は、缶体110と、燃焼ファン160と、給湯配管180と、ガス供給配管190と、給湯制御部300とを含む。
【0023】
缶体110の内部には、給湯配管180を流れる水を加熱するための熱交換器130と、ガスバーナ120とが収容されている。ガスバーナ120は、ガス供給配管190から供給されたガスを燃焼することによって熱量を発生する。ガスバーナ120は熱交換器130に近接配置されており、ガスバーナ120が燃焼により発生した熱量は、熱交換器130を介して給湯配管180を流れる水に伝達される。
【0024】
缶体110には、排気口140および吸気口150が設けられる。燃焼ファン160は、吸気口150に接続されて、燃焼用空気を強制的に缶体110の内部へ供給する。排気口140は、燃焼後の排気を缶体110の外部へ排出する。
【0025】
ガス供給配管190には、ガス比例弁200が介挿接続される。ガス比例弁200は、たとえば比例電磁弁で構成される。給湯制御部300からの指令に応じたガス比例弁200の開度制御によって、ガスバーナ120へ供給されるガス圧が制御される。ガス圧の制御により、ガスバーナ120に対する単位時間あたりのガス供給量が制御される。
【0026】
ガスバーナ120には複数の燃焼管125が設けられる。バーナ制御部320は、給湯制御部300からの指令に応じて、燃料供給の対象となる燃焼管125の数を制御する機能を有する。バーナ制御部320は、たとえば、ガス供給配管190と各燃焼管125との間に接続されて開閉制御される電磁弁(図示せず)を制御する機能を有する。燃料供給される燃焼管125の数とガス圧との組合せによって、ガスバーナ120から熱交換器130へ出力される熱量を制御することができる。
【0027】
燃焼ファン160は、直流モータ170によって駆動される。燃焼ファン160から缶体110へ供給される空気量は、燃焼ファン160の回転数に応じて変化する。燃焼ファン160の回転数は、図示しない電力変換器から直流モータ170に供給されるファン駆動電圧によって制御される。燃焼ファン160の回転数は、ファン回転数検出部240によって検出される。ファン回転数検出部240は、たとえば、燃焼ファン160または直流モータ170の回転体に取付けられた電磁ピックアップ式のセンサによって構成される。
【0028】
ファン制御部310は、給湯制御部300から指示された目標ファン回転数Frに従って燃焼ファン160の回転数を制御する。具体的には、ファン回転数検出部240によって検出された検出ファン回転数Fcと、目標ファン回転数Frとの比較に基づいて、ファン駆動電圧を増減するフィードバック制御が実行される。
【0029】
給湯配管180には、流量センサ210と、温度センサ220,230とが設けられる。給湯配管180の先には、図示しない給湯栓が接続される。給湯栓が開栓されると、流量Q>0となる。流量Qは、給湯栓の開度に応じて変化する。流量センサ210は、給湯配管180の流量Qを検出する。温度センサ220は、熱交換器130の下流側に設けられて、出湯温度Thを検出する。一方で、温度センサ220は、熱交換器130の上流側に設けられて、入水温度Tcを検出する。
【0030】
給湯制御部300には、給湯装置100の設定温度Tr*が入力される。さらに、流量センサ210、温度センサ220,230およびファン回転数検出部240による検出値が、給湯制御部300に入力される。給湯制御部300は、設定温度Tr*に従って給湯配管180からの出湯温度が制御されるように、燃焼制御を実行する。給湯制御部300は、ガス比例弁200での開度を制御するための制御指令をガス比例弁200へ出力するとともに、燃焼ファン160の目標ファン回転数Frをファン制御部310へ出力する。給湯制御部300の機能は、たとえばマイクロコンピュータによって実現される。
【0031】
図2は、給湯制御部300による給湯装置100の燃焼制御を説明するためのフローチャートである。
【0032】
図2を参照して、給湯制御部300は、ステップS100により、給湯配管180の流量Qを最低作動流量(MOQ)と比較する。流量Qが小さ過ぎると、流量センサ210での検出が不正確になったり、熱交換器130内で沸騰が発生したりする不具合が生じる。最低作動流量(MOQ)は、これらの不具合を生じることなく、給湯装置100が安定的に動作できる最小流量に設定される。
【0033】
Q<MOQのとき(S100のNO判定時)、給湯装置100では燃焼が停止される。このため、給湯制御部300は、燃焼制御のためのステップS100〜S160を実行しない。
【0034】
給湯制御部300は、Q≧MOQのとき(S100のYES判定時)、一連の燃焼制御を実行するためのステップS110〜S160の処理を実行する。給湯制御部300は、ステップS110では、設定温度Tr*、入水温度Tcおよび流量Qに基づいて目標発生熱量を算出する。給湯装置100では、一般的に目標発生熱量は目標号数として算出される。目標号数は、下記(1)式で示される。
【0035】
目標号数=(Tr*−Tc)・Q/25 …(1)
(Tr*−Tc)は、熱交換器130での目標昇温量に相当する。当該目標昇温量と流量Qとの積により、水温上昇に要する熱量が目標発生熱量として求められる。
【0036】
給湯制御部300は、ステップS120では、ステップS110で求められた目標号数に応じて、最終目標ガス圧Prおよび目標ファン回転数Frを決定する。たとえば、ガスバーナ120および熱交換器130での効率を加味して、目標号数に対応する熱量を発生するのに必要なガス圧を決定するためのテーブルが予め作成されている。したがって、当該テーブルの参照によって、ステップS110で求められた目標号数に対応するガス圧を読み出すことにより、最終目標ガス圧Prを決定することができる。すなわち、最終目標ガス圧Prは、目標発生熱量(目標号数)を発生するためのガス圧に相当する。
【0037】
目標ファン回転数Frは、最終目標ガス圧Prに応じたガス量がガスバーナ120に供給されたときに、当該ガス量との空燃比が所定値(たとえば、理想空燃比)となる空気量を燃焼ファン160が供給するときの回転数に相当する。すなわち、目標ファン回転数Frは、最終目標ガス圧Prに対応して定められる。したがって、最終目標ガス圧Prと同様に、目標号数に対応させて目標ファン回転数Frを決定するためのテーブルを予め作成することが可能である。
【0038】
ガス比例弁200の開度が最終目標ガス圧Prに対応した開度に設定され、かつ、燃焼ファン160の回転数が目標ファン回転数Frと等しい状態のとき、ガスバーナ120での燃焼は所定の空燃比(理論空燃比)に従った理想的な状態となることが理解される。
【0039】
給湯制御部300は、ステップS130では、ステップS120で決定された目標ファン回転数Frを、ファン制御部310へ出力する。ファン制御部310は、目標ファン回転数Frに従って、燃焼ファン160の回転数を制御する。
【0040】
設定温度Tr*や流量Qの変化によって目標号数(目標発生熱量)が変化すると、これに対応して、最終目標ガス圧Prおよび目標ファン回転数Frが変化する。ファン制御部310は、目標ファン回転数Frの変化に追従するように、燃焼ファン160の回転数を制御する。しかしながら、燃焼ファン160の回転数制御の応答性は低いため、燃焼ファン160の回転数制御には、目標ファン回転数Frと実際の回転数とが一致しない過渡状態が生じる。
【0041】
図3を参照して、時刻t1において、目標ファン回転数FrがF1からF2に変化する。これに応じて、ファン制御部310は、ファン回転数を上昇させるように、直流モータ170に供給されるファン駆動電圧を制御する。
【0042】
しかしながら、実際の回転数Fm(以下、実回転数Fmと表記する)は、目標ファン回転数Frの変化に対して一定の遅れを有するように変化する。特許文献1〜3でも指摘されるように、燃焼ファン160の回転数制御の応答性は、ガス比例弁200の開度制御の応答性よりも低いため、上記過渡状態では、目標ファン回転数Frに対応する最終目標ガス圧Prに従ってガス圧、すなわち、ガス比例弁200の開度を制御すると、空燃比が変化する虞がある。具体的には、
図3に例示された、目標ファン回転数Frよりも実回転数Fmが低い過渡状態では、ガス供給が過剰となる虞がある。反対に、目標ファン回転数Frよりも実回転数Fmが高い過渡状態では、ガス供給が不足する虞がある。このような理論空燃比から外れた燃焼状態では、ガスの未燃による排気性状の悪化や、燃焼不良が発生することが懸念される。
【0043】
再び
図2を参照して、給湯制御部300は、ステップS140では、
図3を用いて説明した問題に対処するために、ファン回転数検出部240による検出ファン回転数Fcに基づいて、所定の空燃比を維持するための理想ガス圧Piを決定する。
【0044】
図4には、過渡状態における燃焼ファンの回転数変化の検出遅れを説明するための概念的な波形図が示される。
【0045】
図4を参照して、時刻t1に燃焼ファン160の目標ファン回転数Frが変化すると、回転数制御によって、実回転数Fmは、F1から目標ファン回転数Frに向かって変化する。そして、時刻t2において、実回転数Fmが目標ファン回転数Frまで上昇する。一方で、ファン回転数検出部240は、現時点までの一定期間内における回転体の回転数に基づいて、検出ファン回転数Fcを出力する。このため、実回転数Fmが目標ファン回転数Frへ向かって変化している過渡状態では、検出ファン回転数Fcは、実回転数Fmの変化に対して検出遅れを有する。
【0046】
実回転数Fmが上昇している
図4の例では、検出ファン回転数Fcは、実回転数Fmよりも低い値となる。このため、検出ファン回転数Fcに基づいて設定された理想ガス圧Piに従って、ガス比例弁200を制御すると、ガス圧が低すぎるため必要なガス量を供給できず、燃焼不良につながる虞がある。
【0047】
反対に、実回転数Fmが低下している場面では、検出ファン回転数Fcに基づいて設定された理想ガス圧Piに従って、ガス比例弁200を制御すると、ガス圧が高すぎてガス量が過剰になってしまい、未燃ガスによる排気性状の悪化が懸念される。
【0048】
再び
図2を参照して、給湯制御部300は、ステップS150により、理想ガス圧Piに対して、ファン回転数の検出遅れを補償するためのガス圧補正を行って、ガス比例弁200への指令ガス圧Pcを決定する。さらに、給湯制御部300は、ステップS160により、指令ガス圧Pcに従ってガス比例弁200を制御する。すなわち、ガスバーナ120からは、指令ガス圧Pcに従ったガス量が供給される。
【0049】
まず
図5を用いて、ガス圧補正の比較例を説明する。
図5には、
図4と同様のファン回転数挙動に対して、検出遅れに対応するためのガス圧補正が示される。
【0050】
図5を参照して、理想ガス圧Piは、検出ファン回転数Fcに対応する空気量に対して、所定の空燃比を維持するためのガス圧である。理想ガス圧Piは、時刻t1では、ファン回転数がF1(
図4)のときに所定の空燃比となるガス圧に相当するP1である。時刻t1以降では、
図4に示した検出ファン回転数Fcの上昇に対応して、理想ガス圧Piが上昇する。検出ファン回転数Fcが目標ファン回転数Frに一致したタイミング(
図4の時刻t2)において、理想ガス圧Piは、最終目標ガス圧Prに到達する。
【0051】
比較例に従うガス圧補正では、理想ガス圧Piが最終目標ガス圧Prに到達するまでの過渡状態期間では、検出ファン回転数Fcが実回転数Fmよりも低くなる点を反映して、検出ファン回転数Fcに基づく理想ガス圧Piをk倍(
図4の例では、k>1.0)する補正により、指令ガス圧Pcが設定される。すなわち、Pc=k・Piに設定される。
【0052】
このガス圧補正は、過渡状態における検出遅れを略一定とみなして、検出遅れに対応したガス圧の不足・過剰を補償するものである。一方で、
図4に示されるように、実回転数Fmおよび検出ファン回転数Fcの差は、過渡状態期間の開始時および終了時には小さくなる一方で、それ以外の区間では略一定値となる。したがって、過渡状態期間(時刻t1〜t2)の全体を通じて、補正係数kの値を適切に設定することが困難である。また、定常状態ではガス圧補正をオフする必要があるので、特許文献3と同様に、定常状態および過渡状態の判別処理および制御の切換え処理が必要となる。
【0053】
図6には、本実施の形態による給湯装置におけるファン回転数上昇時のガス圧補正を説明する概念図である。
【0054】
図6を参照して、理想ガス圧Piは、
図5と同様に、
図4に示された検出ファン回転数Fcに対応した空気量に基づいて設定される。
図5と同様に、ファン回転数上昇時には、補正量ΔP>0となる様にガス補正を実行する必要がある。
【0055】
本実施の形態に従うガス圧補正では、補正量ΔPcの大きさ(|ΔPc|)が、現在の理想ガス圧Piと最終目標ガス圧Prとの偏差の大きさ(|Pr−Pi|)に応じて設定される。すなわち、偏差の絶対値(|Pr−Pi|)が大きいほど補正量の絶対値(|ΔPc|)は大きく設定され、偏差の絶対値が小さいほど補正量の絶対値は小さく設定される。なお、補正量ΔPcを用いると、指令ガス圧Pcは、式(2)で示される。
【0056】
Pc=Pi+ΔPc …(2)
たとえば、補正量ΔPcは、最終目標ガス圧Prおよび理想ガス圧Piの偏差に比例するように、式(3)に従って算出される。
【0057】
ΔPc=k・(Pr−Pi) …(3)
この結果、
図5に示した補正のように、理想ガス圧Piが、最終目標ガス圧Prに近づいた時点で補正量が過大になることがなく、さらに、初期段階において、十分なガス圧補正を行なうことができる。
【0058】
図7には、本実施の形態による給湯装置におけるファン回転数低下時のガス圧補正を説明する概念図である。
【0059】
図7を参照して、理想ガス圧Pi=P2の状態から最終目標ガス圧Prが低下すると、ファン回転数が目標ファン回転数に向かって低下するような過渡状態となる。このとき、ファン回転数の検出遅れの影響により、検出ファン回転数Fcは実回転数Fmよりも高くなる。したがって、検出ファン回転数Fcに基づく理想ガス圧Piを用いてガス比例弁200を制御すると、ガスが過剰に供給される虞がある。
【0060】
したがって、ファン回転数低下時には、式(2)における補正量ΔPc<0となる様にガス圧補正を行う必要がある。回転数低下時においても、補正量の絶対値(|ΔPc|)は、現在の理想ガス圧Piと最終目標ガス圧Prとの偏差の絶対値(|Pr−Pi|)に応じて設定される。すなわち、偏差の絶対値が大きいほど補正量の絶対値は大きく設定され、偏差の絶対値が小さいほど補正量の絶対値は小さく設定される。
【0061】
たとえば、上記補正量ΔPcを回転数低下時も共通に用いることができる。この結果、現在の理想ガス圧Piと最終目標ガス圧Prとの偏差が大きい場面では、十分なガス圧補正を行うことができるとともに、偏差が小さい場面においてガス圧補正が過剰になることを防止できる。
【0062】
なお、式(3)における補正係数kは、ファン回転数上昇時(
図6)と、ファン回転数低下時(
図7)との間で異なる値としてもよい。一般的に、ファン回転数低下時における低下レートは、ファン回転数上昇時における上昇レートよりも緩やかである。したがって、補正係数kについても、ファン回転数上昇時(すなわち、ガス圧の上昇時)には、ファン回転数低下時(すなわち、ガス圧の低下時)と比較して、大きな値とすることが好ましい。
【0063】
あるいは、式(3)については、下記(4)式のように、偏差の絶対値に応じて補正量ΔPcを算出するように変形してもよい。
【0064】
ΔPc=k・|Pr−Pi| …(4)
この場合には、ファン回転数上昇時(すなわち、ガス圧の上昇時)にはk>0とする一方で、ファン回転数低下時(すなわち、ガス圧の低下時)にはk<0とする必要がある。この際にも、補正係数の絶対値(|k|)について、ファン回転数上昇時には、ファン回転数低下時よりも大きくすることができる。
【0065】
以上説明したように、本発明の実施の形態による給湯装置によれば、燃焼ファンの回転数が目標発生熱量に対応する目標ファン回転数Frに向かって変化している過渡状態において、ガス比例弁200と比較して応答性が低い燃焼ファン160の実際の回転数に基づいて空燃比制御を実行することができる。さらに、検出ファン回転数Fcに基づいて算出された理想ガス圧Piを、当該理想ガス圧Piおよび目標ファン回転数Frに対応する最終目標ガス圧Prの偏差に応じた補正量ΔPcで補正することができる。この結果、ファン回転数の検出遅れを補償して、過渡状態期間の全体を通じて空燃比を適切に維持することが可能となる。
【0066】
また、式(3),(4)に従えば、定常状態、すなわち、検出ファン回転数Fcが目標ファン回転数Frと等しい定常状態では、ΔPc=0となることにより、過渡状態と同様に式(3)または(4)を適用しても、ガス圧補正が自動的に非実行とされる。これにより、定常状態と過渡状態との間で、指令ガス圧Pcの設定処理(
図2)を共通化することも可能である。このようにすると、
図5の比較例では過渡状態であるか否かに基づいてガス圧補正を実行するか否かを判断する必要があるのに対して、空燃比制御の処理を簡易化することが可能となる。
【0067】
本実施の形態では、ガス燃焼機構を備えた給湯装置を例示したが、本実施の形態による給湯装置に適用されるガス燃焼機構での空燃比制御は、給湯装置に限らず、燃料ガスの燃焼機構を有する燃焼装置に対して、共通に適用することができる。
【0068】
図8には、給湯装置の他に本発明が適用可能な燃焼装置の一例として、ガスファンヒータの構成例が示される。公知のように、ガスファンヒータは、ガスの燃焼熱によって得られた温風を出力することにより温風暖房を行なうものである。
【0069】
図8を参照して、ガスファンヒータ500は、外装ケース506と、天板514と、底板515とで機器の外装を構成する。外装ケース506は、温風吹出口505および空気吸入口507を有する。温風吹出口505は、前面下部に当たる位置に設けられる。空気吸入口507は機器の背面上部に当たる位置に設けられる。空気吸入口507にはエアーフィルタ508が設けられている。空気吸入口507の近傍には、室温検出器509が設けられる。室温検出器509は空気吸入口507から取入れられる雰囲気温度を検出する。
【0070】
外装ケース506の内部には、ガスバーナ501、燃焼室502、送風ファン503、ファンモータ504および点火装置517が設けられる。燃焼室502は、外装ケース506の内部に設けられる。
【0071】
送風ファン503は、燃焼室502の下部に設けられる。ファンモータ504は送風ファン503を駆動する。ファンモータ504には回転数を検出するための回転数検出器520が設けられている。
【0072】
ガスバーナ501において燃料ガスと混合される空気量は、送風ファン503の回転数によって制御される。すなわち、送風ファン503は、
図1に示された燃焼ファン160と同等の機能を有する。
【0073】
燃焼室502の上面および前面には、蓋板518が設けられている。ファンケース519は、送風ファン503からの温風を、温風吹出口505に導くように構成される。
【0074】
外装ケース506の背面下部にはガス接続口521が設けられる。ガス接続口521へ供給された燃焼ガスは、ガスを遮断するための電磁弁522、ガス圧(すなわち、単位時間あたりのガス量)を調整するためのガス比例弁523、および、ガス配管524を経由してガスバーナ501へ供給される。ガスバーナ501による発生熱量は、ガス供給量(ガス圧)によって制御される。
【0075】
ガスバーナ501へのガス供給量、すなわち、ガス圧は、ガス比例弁523によって制御される。すなわち、ガス比例弁523は、
図1に示されたガス比例弁200と同等の機能を有する。
【0076】
天板514の前方部には、操作表示部512が設けられる。操作表示部512によって、温風の供給条件たとえば温風温度等を設定することができる。
【0077】
操作表示部512の下部には、各スイッチや表示器を設置した操作表示回路513aが設けられる。操作表示部512には、目詰まり表示器511が設けられる。温度検出器510は、燃焼室502の温度を検出するためのサーミスタによって構成される。温度検出器510によって検出された燃焼室温度に基づいて、エアーフィルタ508の目詰まりが検出される。目詰まりの発生は、目詰まり表示器511によって、ユーザに報知される。
【0078】
制御回路513は、操作表示部512に設けられたスイッチへのユーザ入力に応じて、ガスファンヒータ500の動作を制御する。代表的には、設定温度に応じた温風が出力されるように、ガスバーナ501へのガス供給、ガスバーナ501の点火、消火、および送風ファン503の回転数等を制御する。電源コード526がコンセントに接続されることによって、制御回路513に電源が供給されると、ガスファンヒータ500は運転可能な状態となる。
【0079】
ガスファンヒータ500は、暖房運転を開始すると、制御回路513がファンモータ504を始動させるとともに、ガスバーナ501にガスを供給する。送風ファン503によって、室内空気が空気吸入口507から外装ケース506内部に吸入される。吸入された空気の一部は、燃焼室502に入りガスバーナ501でガス燃料と混合されて燃焼する。
【0080】
このとき制御回路513は、燃焼を継続させるように、ガス供給量とファンモータ504の回転数とを調整する。
【0081】
ガスバーナ501の燃焼ガスは、燃焼室502から排出された後、燃焼室502および蓋板518で形成される通路を流れる空気と合流して、送風ファン503に吸入される。そして、送風ファン503から吐出された温風は、ファンケース519によって、温風吹出口505へと誘導されて室内に放出される。
【0082】
制御回路513は、設定温度と、室温検出器509によって検出された室温との差に応じて、ガスバーナ501での目標発生熱量、すなわち、ガス燃焼量を設定する。制御回路513は、設定したガス燃焼量に応じて、ガス比例弁523の開度を制御する。
【0083】
さらに、制御回路513は、ファンモータ504による送風ファン503の回転数制御によって、ガスバーナ501への供給空気量を制御する。ガスバーナ501での空燃比を所定の空燃比(理論空燃比)に維持するための空燃比制御に従って、ガスバーナ501への供給ガス量(ガス圧)および送風ファン503の回転数は制御される。
【0084】
このように、
図8に示したガスファンヒータ500においても、ガスバーナ120へ供給されるガス圧および空気量は、
図1に示した給湯装置100と同様に、弁開度およびファン回転数によって制御されることが理解される。したがって、ガスファンヒータ500における空燃比制御についても、本実施の形態に従う給湯装置100と同様に実行することができる。
【0085】
具体的には、ガスファンヒータ500では、操作表示部512へ入力されたユーザ設定に基づいて、
図1に示した給湯装置100と同様に、目標発生熱量および最終目標ガス圧Prを算出することができる。さらに、最終目標ガス圧Prでのガス供給時に、送風ファン503による供給空気量との比が、所定の空燃比(たとえば、理想空燃比)となるように、
図1に示された給湯装置100と同様に、最終目標ガス圧から送風ファン503の目標ファン回転数Frを設定することができる。
【0086】
送風ファン503の回転数は、
図1に示された給湯装置100での燃焼ファン160と同様に、回転数検出器520による検出値に基づいて、ファンモータ504によって制御される。したがって、制御回路513は、
図1の給湯装置100と同様に、回転数検出器520による検出値に基づく空燃比制御によって理想ガス圧Piを算出するとともに、理想ガス圧Piおよび最終目標ガス圧Prの偏差に応じて、理想ガス圧Piを補正することによって、
図1に示された給湯装置100と同様に、ガス比例弁523へのガス圧指令値を設定することができる。
【0087】
これにより、回転数検出器520による送風ファン503の回転数検出遅れを補償して、
図1に示された給湯装置100と同様の空燃比制御を行なうことができる。この結果、送風ファン503の回転数が変化する過渡状態時において、所定の空燃比(理想空燃比)を維持したガスバーナ501での燃焼を継続することができる。
【0088】
なお、ガスファンヒータ以外の他の機器についても、ガスおよび空気の混合気を燃焼するための燃焼機構を有する機器(燃焼装置)であれば、当該燃焼機構に対して、本実施の形態に従う空燃比制御を同様に適用できることは言うまでもない。
【0089】
給湯装置100における、ファン制御部310、バーナ制御部320、およびファン回転数検出部240は、いずれも給湯制御部300とは別体に構成してもよいし、その一部または全部を給湯制御部300と一体的に構成してもよい。たとえば、1個のマイクロコンピュータによって、給湯制御部300、ファン制御部310、バーナ制御部320、およびファン回転数検出部240の各機能を実現することができる。
【0090】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。