(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
図1から
図6を参照しつつ、本発明に係るバンド取付構造の第1の実施形態を説明する。なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
図1は、第1の実施形態におけるバンド取付構造が適用された腕時計の正面図であり、
図2は、この腕時計の背面図である。
図3は、
図1に示す腕時計の第1のバンドを180度回転させた状態を示す腕時計の正面図であり、
図4は、
図3に示す腕時計の背面図である。また、
図5は、
図2に示す腕時計のV-V線に沿う模式的な断面図である。
【0012】
図1から
図5に示すように、本実施形態において、腕時計1は、腕時計ケース2と、この腕時計ケース2に取り付けられたバンド3とを備えている。
図5に示すように、腕時計ケース2は、中空の短柱形状に形成されたケース枠体21と、透明なガラス等で形成されこのケース枠体21の上部(
図5において上部)に取り付けられた風防部材22と、ケース枠体21の下面(
図5において下面)に取り付けられた裏蓋23とを備えている。ケース枠体21の側部外周には、後述する第2のバンド3bの腕時計ケース2への取付側端部と一体化された外周部24が設けられている。外周部24は、第2のバンド3bと同じポリウレタン等の各種樹脂材料で形成されており、腕時計ケース2の側部外周を構成している。
【0013】
本実施形態では、裏蓋23の、腕時計1における12時側(
図1における上側)であって、腕時計1の幅方向(
図1における横方向)のほぼ中央部には、他の部分よりも厚みの厚いバンド固定部231(
図5参照)が設けられている。バンド固定部231は、後述するように、時計モジュール7に形成されている凹部7a内に収容されるようになっている。バンド固定部231には、後述するビス4を螺合させるビス孔231a(
図5参照)が形成されている。
なお、バンド固定部231及びビス孔231aの位置や大きさ等は図示例に限定されない。例えば、ビス孔231aは、腕時計ケース2の内部まで貫通する貫通孔であってもよい。また、バンド固定部231は裏蓋23に一体的に設けられているものに限定されない。例えば、板状の裏蓋の内側(
図5における上側)の一部に別部材として樹脂材料や金属材料等で形成されたバンド固定部を貼着等する構成としてもよい。この場合には、裏蓋におけるバンド固定部に形成されたビス孔に対応する位置に貫通孔を設けて、裏蓋の下方から挿通されるビス4がバンド固定部のビス孔と螺合できるように構成する。
【0014】
また、
図2、
図4に示すように、裏蓋23の下面(
図5における下側の面)には、後述する第1のバンド3aの引掛部33の引掛孔331を係止可能な係止部としての係止用凸部232が設けられている。
係止用凸部232は、引掛部33が腕時計ケース2のケース裏面である裏蓋23と重なり合う位置に配置され、腕時計1の12時側に配置される第1のバンド3aと腕時計1の6時側に配置される第2のバンド3bとを腕に巻きつけて使用することが可能な状態(これを以下、バンド3における「第1の状態」という。)であるときに、第1のバンド3aの引掛部33の引掛孔331に対応する位置に配置されている。
係止用凸部232には、引掛部33の引掛孔331が嵌め込まれるようになっており、これにより、引掛部33は係止用凸部232に嵌合可能となっている。
【0015】
本実施形態では、係止用凸部232は、引掛孔331の大きさより僅かに小さく形成され、引掛孔331にほぼ隙間なく嵌まり合う。また、係止用凸部232の高さは、引掛部33の高さとほぼ同等であり、係止用凸部232を引掛孔331に嵌め合わせた際にほぼ面一となるようになっている(
図5参照)。このように構成することにより、係止用凸部232を引掛孔331に嵌めた状態で腕時計1を腕に装着した場合、腕時計ケース2の裏面に凹凸や引っ掛かりが少なく、装着感が良好となる。
なお、係止用凸部232の大きさや形状、高さ等は、ここに例示したものに限定されない。例えば、係止用凸部232が引掛孔331に嵌め合わせた際、引掛孔331との間に隙間が空くように小さく形成し、引掛部33が遊びを持たせて係止用凸部232と嵌合するように構成されていてもよい。また、係止用凸部232は、引掛部33を係止可能であれば引掛孔331と異なる形状であってもよい。さらに、係止用凸部232は引掛部33を係止可能なものであればよく、係止用凸部232の高さは、引掛部33の高さよりも低くてもよい。
【0016】
なお、腕時計ケース2の形状は図示例に限定されない。また、腕時計ケース2の構成は、ここに例示したものに限定されず、例えば、ケース枠体21と裏蓋23とが一体となった構成でもよい。また、後述する表示装置6が液晶パネル等を備えるデジタル式のものである場合には、表示装置6を構成するガラス等が風防部材を兼ねていてもよい。
ケース枠体21及び裏蓋23は、例えば各種樹脂材料や、ステンレス、チタニウム等の金属材料、セラミックス等、又はこれらの組み合せで形成されている。なお、ケース枠体21及び裏蓋23を形成する材料は例示したものに限定されない。
なお、図示は省略するが、腕時計ケース2の上面や側部外周に、時刻合わせ等、種々の操作を行うための操作ボタンが設けられていてもよい。
【0017】
腕時計ケース2の内部には、例えば電子機器としての腕時計1の表示装置6(
図5等参照)やこの表示装置等を動作させるための各種電子部品等(図示せず)が搭載された時計モジュール7(
図5参照)が収容されている。
本実施形態において、表示装置6は、液晶パネルや有機EL(Electro-Luminescence)等で構成されたデジタル式のものである。
図1等に示すように、表示装置6には、例えば、時刻や曜日が表示される。また、電子機器としての腕時計1が活動量計や心拍数計測器等の機能を備えている場合には、各機能に応じて各種表示画面が表示装置6に表示される。なお、表示装置6は、デジタル式のものに限定されない。例えば、表示装置6は、指針や文字板等を備えるアナログ式のものでもよいし、アナログ式のものとデジタル式のものとが組み合わされたものであってもよい。
時計モジュール7は、例えば各種電子部品等を樹脂等でモールドしたものである。時計モジュール7の、腕時計1における12時側であって、腕時計1の幅方向(
図1における横方向)のほぼ中央部には、凹部7a(
図5参照)が形成されている。この凹部7a内には、前述のように裏蓋23のバンド固定部231が収容される。
【0018】
腕時計ケース2の上下(
図1における上下)の両端部、すなわち腕時計の12時側(腕時計を腕に装着して表示部分を見たときにユーザから見て奥側となる側、
図1における上側)の端部及び6時側(腕時計を腕に装着して表示部分を見たときにユーザから見て手前側となる側、
図1における下側)の端部には、バンド3が配置されている。
本実施形態では、腕時計1における12時側に第1のバンド3aが配置され、腕時計1における6時側に第2のバンド3bが配置されている。
バンド3(第1のバンド3a及び第2のバンド3b)は、例えば、ポリウレタン等の各種樹脂材料で形成されている。なお、バンド3を形成する材料は例示したものに限定されない。例えば、ステンレス、チタニウム等の金属材料、セラミックス等、又はこれらの組み合せやこれらと各種樹脂材料との組み合せで形成されてもよい。
【0019】
図1から
図5に示すように、腕時計1における6時側に配置されている第2のバンド3bは、前述のように、腕時計ケース2への取付側端部が腕時計ケース2の側部外周を構成する外周部24と一体化されており、第2のバンド3bは、腕時計ケース2の側部から外側に向かって延出している。
なお、第2のバンド3bは、その腕時計ケース2への取付側端部が腕時計ケース2の側部外周を構成する外周部24と一体化されているものに限定されない。第2のバンド3bを腕時計ケース2に取り付ける構成は、例えば、腕時計ケース2の6時側の端部に第2のバンド3bを取り付けるためのバンド取付部を設け、第2のバンド3bの取付側端部に、このバンド取付部に対応するケース取付部を設けて、このバンド取付部とケース取付部とを嵌め合わせて連結させ、この連結部分にばね棒等の棒状部材を挿通させることで第2のバンド3bを腕時計ケース2に取り付ける等の構成であってもよい。
【0020】
腕時計1の12時側に配置される第1のバンド3aは、腕時計ケース2のケース裏面に取り付けられている。このように一対のバンド3のうち第1のバンド3aのみが腕時計ケース2のケース裏面に取り付けられることにより、腕時計ケース2の厚みが、腕時計1の6時側における厚みよりも腕時計1の12時側における厚みの方が第1のバンド3aの厚み分だけ厚くなっている。
第1のバンド3aは、バンド本体31と、このバンド本体31の一端(腕時計ケースへの取付側となるバンド基端部)に設けられた引掛部33と、を有している。
バンド本体31には、引掛部33が設けられている側とは反対側の端部に、カサ311とツク棒312とを備える尾錠310が取り付けられている。第1のバンド3aにおいて、この尾錠310が取り付けられている側が、他方のバンド3である第2のバンド3bへの取付側となる。
なお、第1のバンド3aは、第2のバンド3bの先端部(剣先)が挿入される定革、遊革を備えていることが好ましいが、
図1から
図4では、定革、遊革の図示を省略している。
【0021】
本実施形態において、第1のバンド3aは、腕時計ケース2のケース裏面(本実施形態では裏蓋23)にビス止めすることにより腕時計ケース2に取り付けられる。
具体的には、第1のバンド3aのバンド本体31における裏蓋23のビス孔231aに対応する位置には、ビス4を挿通させる貫通孔32が形成されており、第1のバンド3aは、この貫通孔32と裏蓋23のビス孔231aとにビス4を下方(
図5において下方)から挿通させ、ビス4をビス孔231aに螺合させることにより腕時計ケース2のケース裏面に固定される。
【0022】
ビス4は、多少の遊びをもたせて固定されており、第1のバンド3aは、ビス4を中心に腕時計ケース2のケース裏面の面内方向において回転可能となっている。
図3及び
図4に示すように、第1のバンド3aを
図1及び
図2に示す状態から180度回転(第1のバンド3aの取り付け向きを反転)させることにより、第1のバンド3aと第2のバンド3bとが重なり合うように揃った状態(キーホルダ等に引っ掛けて使用することが可能な状態、これを以下、バンド3における「第2の状態」という。)となる。
なお、ビス4を遊びをもたせずに固定し、第1のバンド3aを回転させる際には、ビス4を緩めて回転させるように構成してもよい。
【0023】
引掛部33は、ほぼ中央部に引掛孔331が形成された枠状部である。なお、引掛部33及び引掛孔331の形状等は図示例に限定されない。
本実施形態では、引掛部33はバンド本体31と一体的に設けられている。なお、引掛部33はバンド本体31と一体的に形成されているものに限定されない。例えば、別部材として構成された引掛部33をバンド本体31に貼着、溶着、ビス止め等により固定してもよい。この場合には、例えばバンド本体31を樹脂で形成し、引掛部33を金属で形成する等、引掛部33をバンド本体31とは異なる材料で形成してもよい。
【0024】
図1及び
図2に示すように、バンド3が第1の状態となったときには、引掛部33は、腕時計ケース2のケース裏面である裏蓋23と重なり合う位置に配置される。この位置にあるとき、前述のように、引掛部33は係止用凸部232に嵌合された状態となる。
また、本実施形態において、ビス4を中心として第1のバンド3aを180度回転させ、
図3及び
図4に示すように、バンド3が第2の状態となったときには、引掛部33は、第1のバンド3aの回転に伴い、腕時計ケース2の外側に突出する位置を取り得るように構成されている。
【0025】
引掛部33は、腕時計ケース2の外側に突出した状態において、引掛孔331に、例えばキーホルダ等と接続可能な接続用部材10(
図6参照)等を接続することができるものである。引掛部33の引掛孔331に、キーホルダへの接続用部材10を接続することにより、腕時計1をキーホルダの先に下げて携帯することが可能となる。
引掛孔331に引っ掛けることが可能な接続用部材10は特に限定されず、例えば、
図6に示すような丸鐶や、茄子鐶、蟹鐶、D鐶、二重鐶等でもよいし、レバー鐶やカラビナ等のように、環状部分の一部が開閉するように構成されたものでもよい。また、リボンやロープ等、金属製の部材以外のものであってもよい。
【0026】
次に、本実施形態におけるバンド取付構造の作用について説明する。
本実施形態において、腕時計1における12時側に配置される第1のバンド3aを取り付ける際には、時計モジュール7の凹部7a内に裏蓋23のバンド固定部231が収まるように裏蓋23を配置した上で、第1のバンド3aを、引掛部33の設けられている側が腕時計1における6時側に来るようにして腕時計ケース2のケース裏面(本実施形態では裏蓋23)に重ね合わせる。ケース取付部32の貫通孔321が裏蓋23のビス孔231aと合うように位置を合わせ、ビス4を貫通孔321及びビス孔231aに下方から挿通させて、ビス4をビス孔231aに螺合させる。これにより、第1のバンド3aが腕時計ケース2に取り付けられる。
他方、腕時計1における6時側に配置されている第2のバンド3bは、腕時計ケース2への取付側端部が腕時計ケース2の側部外周と一体化されており、第2のバンド3bは腕時計ケース2の側部から外側に延出している。
このように腕時計1における12時側に配置されている第1のバンド3aのみが腕時計ケース2のケース裏面である裏蓋23に取り付けれていることにより、腕時計ケース2は、腕時計1における12時側(
図1等における上側)の方が腕時計1における6時側(
図1等における下側)よりも、第1のバンド3aの厚み分だけ厚みが厚くなる。これにより、腕時計1を腕に装着した際に、バンド3が腕時計1における12時側に回転しづらくなり、腕時計1が外側にずれることが抑制される。
本実施形態では、バンド3が
図1及び
図2に示すような第1の状態(すなわち、引掛部33が腕時計ケース2の裏蓋23と重なり合う位置にある状態)にあるときは、引掛部33の引掛孔331に裏蓋23の係止用凸部232が嵌合された状態となっている。これにより、第1のバンド3aは、自由な回転が制限され、腕時計1を腕に装着しているうちに第1のバンド3aがぐらついたり、ずれたりするのを防止することができる。
また、腕時計1をキーホルダ等に引っ掛けて使いたい場合には、裏蓋23の係止用凸部232から引掛部33の引掛孔331を外し、第1のバンド3aを腕時計ケース2のケース裏面においてビス4を中心に面内方向で回転させる。
そして、第1のバンド3aの取り付け向きを180度反転させ、
図3及び
図4に示すような第1のバンド3aと第2のバンド3bとが同じ方向に揃った第2の状態(すなわち、引掛部33が腕時計ケース2の外側に突出する位置にある状態)とすれば、
図6に示すように、引掛部33の引掛孔331にキーホルダ等の接続用部材10を接続し、服のポケット等から下げたり、バッグに係止する等より、腕時計1を簡易かつスマートに持ち歩くことが可能となる。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、第1のバンド3aの一端であって第2のバンド3b(他方のバンド)への取付側とは反対の側となるバンド基端部に引掛部33が設けられており、第1のバンド3aは、腕時計ケース2のケース裏面である裏蓋23の面内方向において回転可能に裏蓋23に取り付けられ、引掛部33は、第1のバンド3aの回転に伴い、腕時計ケース2の裏蓋23と重なり合う位置と、腕時計ケース2の外側に突出する位置とを取り得るように構成されている。
これにより、バンド3が
図1及び
図2に示すような第1の状態にあるときは、通常の腕時計として、腕にバンド3を巻きつけて使用することができるとともに、バンド3が
図3及び
図4に示すような第2の状態にあるときは、腕時計ケース2の外側に突出した引掛部33に接続用部材10等を接続してキーホルダの先端に取り付ける等、自由な発想で腕時計1を携帯することができる。
また、ケース裏面である裏蓋23に引掛部33を係止する係止部として係止用凸部232を備えている。このため、バンド3が
図1及び
図2に示すような第1の状態にあり、腕時計1を通常の腕時計として用いたい場合には、引掛部33を係止用凸部232に係止することで、第1のバンド3aがぐらついたり回転してずれたりするのを防止することができる。
また、引掛部33を係止する係止部が係止用凸部232であるため、引掛部33の引掛孔331に係止用凸部232を嵌め込むだけで、容易に第1のバンド3aの係止を行うことができる。
なお、引掛部33を多少の遊びを持たせて係止用凸部232と嵌合させる構成とした場合には、係止用凸部232からの引掛部33の着脱が容易となり、より円滑に第1のバンド3aの取り付け向きを反転させることができる。
さらに、本実施形態では、腕時計1における12時側に配置される第1のバンド3aが腕時計ケース2のケース裏面である裏蓋23に取り付けられている。これにより、腕時計ケース2は、腕時計1における12時側(
図1における上側)の方が腕時計1における6時側(
図1における下側)よりも、第1のバンド3aの厚み分だけ厚みが厚くなる。腕時計1を装着する腕は、断面において若干楕円形をしており、腕時計1を装着しているうちに、腕時計1における12時側にバンド3が回転して腕時計1が外側にずれやすく、姿勢を維持するのが難しい。この点、腕時計1における6時側よりも腕時計1における12時側の方が腕時計ケース2の厚みが厚くなるようにすることにより、バンド3が腕時計1における12時側に回転することが抑止される。これにより、腕時計1を装着しているうちに腕時計1が外側にずれてしまうのを防止することができる。
【0028】
なお、本実施形態では、腕時計ケース2のケース裏面である裏蓋23の一部に他より厚みの厚いバンド固定部231を設けて、このバンド固定部231にビス4を螺合させるビス孔231aを形成する場合を例示したが、ビス4を螺合させる構成はこれに限定されない。
例えば、裏蓋23を板状に形成し、腕時計ケース2内部に収納される時計モジュール7にビス4を螺合させるビス孔を形成してもよい。この場合、裏蓋23には、時計モジュール7のビス孔に対応する位置に貫通孔を設ける。
【0029】
[第2の実施の形態]
次に、
図7を参照しつつ、本発明に係るバンド取付構造の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、引掛部の形状のみが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0030】
図7は、本実施形態のバンド取付構造を適用した腕時計の正面図である。
図7に示すように、本実施形態において、第1のバンド3cは、引掛部35を備えている。
引掛部35は、ほぼ枠状に形成された部の側部一側(本実施形態では、
図7において左側)に切り欠き部351が設けられており、全体がほぼC字形に形成されている。引掛部35は、この切り欠き部351において解放され、丸鐶等の接続用部材に引っ掛けることが可能なフック部となっている。
なお、引掛部35の形状、切り欠き部351の形状や、切り欠き部351が設けられる位置等は図示例に限定されない。
【0031】
また、図示は省略するが、腕時計ケース2のケース裏面である裏蓋には、引掛部35を係止可能な係止部が設けられている。
【0032】
なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0033】
次に、本実施形態におけるバンド取付構造の作用について説明する。
本実施形態では、引掛部35が腕時計ケース2のケース裏面である裏蓋23と重なり合う位置に配置され、腕時計のバンド3が、腕に巻きつけて使用することが可能な第1の状態にあるときは、第1の実施形態と同様に、裏蓋23に形成された係止用凸部が引掛部35に嵌合された状態となる。また、引掛部35が腕時計ケース2の外側に突出する位置に配置され、腕時計のバンド3が、キーホルダ等に引っ掛けて使用することが可能な第2の状態となったときには、キーホルダ等の接続用部材を引掛部35の切り欠き部351から通すことで引掛部35を接続用部材に引っ掛けることができる。これにより、腕時計をキーホルダ等に接続して、服のポケット等から下げたり、バッグに係止する等より、簡易かつスマートに持ち歩くことが可能となる。
【0034】
なお、その他の点については、第1の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0035】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、引掛部35に切り欠き部351が設けられており、引掛部35が丸鐶等の接続用部材に引っ掛けることが可能なフック部となっている。
このため、丸鐶等のように金属等をリング状や枠状に成型し繋ぎ目が閉じられている接続用部材に腕時計を引っ掛けたい場合でも、接続用部材の繋ぎ目部分を広げる手間をかけずに簡易に引掛部35を接続用部材に引っ掛けることが可能であり、接続用部材からの引掛部35の着脱を容易に行うことができる。
【0036】
[第3の実施の形態]
次に、
図8を参照しつつ、本発明に係るバンド取付構造の第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、引掛部の形状のみが第1の実施形態等と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0037】
図8は、本実施形態のバンド取付構造を適用した腕時計の正面図である。
図8に示すように、本実施形態において、第1のバンド3dは、引掛部36を備えている。
引掛部36は、側部一側(本実施形態では、
図8において左側)に切り欠き部362が設けられ、全体がほぼC字形に形成された本体部361と、切り欠き部362を塞ぐように配置される揺動体363とによって構成されたカラビナ形状部となっている。
揺動体363は、本体部361の一端にピン364によって軸支され、図示しないバネ等によって本体部361の外側に向かって付勢されている。揺動体363の自由端側には、本体部361の他端の内側面に対向する位置に図示しない溝が設けられており、揺動体363は、本体部361の他端がこの溝内に嵌ることにより係止されている。
揺動体363は、バネによって常に本体部361の外側に向かって付勢されているとともに、引掛部36の外側から揺動体363に力が加えられた際には、バネの付勢力に抗して、ピン364の軸周りに本体部361の内側(
図8において矢印で示す方向)に回動する。
なお、引掛部36は、環状部分の一部が開閉するように構成されたカラビナ形状部であればよく、引掛部36の形状、本体部361の形状や、切り欠き部362が設けられる位置、揺動体363の形状等は図示例に限定されない。
【0038】
また、図示は省略するが、腕時計ケース2のケース裏面である裏蓋には、引掛部36を係止可能な係止部が設けられている。
【0039】
なお、その他の構成は、第1の実施形態等と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0040】
次に、本実施形態におけるバンド取付構造の作用について説明する。
本実施形態では、引掛部36が腕時計ケース2のケース裏面である裏蓋23と重なり合う位置に配置され、腕時計のバンド3が、腕に巻きつけて使用することが可能な第1の状態にあるときは、第1の実施形態と同様に、裏蓋23に形成された係止用凸部が引掛部36に嵌合された状態となる。また、引掛部36が腕時計ケース2の外側に突出する位置に配置され、腕時計のバンド3が、キーホルダ等に引っ掛けて使用することが可能な第2の状態となったときには、キーホルダ等の接続用部材を引掛部36の外側から揺動体363に対して押し当てることで揺動体363を本体部361の内側へと回動させる。これにより、切り欠き部362から接続用部材を挿入して、引掛部36に接続用部材を引っ掛けることができ、腕時計をキーホルダ等に接続して、服のポケット等から下げたり、バッグに係止する等より、簡易かつスマートに持ち歩くことが可能となる。
【0041】
なお、その他の点については、第1の実施形態等と同様であることから、その説明を省略する。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態等と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態では、引掛部36が揺動体363を備えるカラビナ形状部となっている。
このため、丸鐶等のように金属等をリング状や枠状に成型し繋ぎ目が閉じられている接続用部材に腕時計を引っ掛けたい場合でも、接続用部材の繋ぎ目部分を広げる手間をかけずに揺動体363を回動させるだけで簡易に引掛部36を接続用部材に引っ掛けることが可能であり、接続用部材からの引掛部36の着脱を容易に行うことができる。
また、引掛部36の外側から揺動体363に力が加えられない限り、揺動体363はバネによって外側に付勢されている。このため、一旦引っ掛けた接続用部材等が引掛部36から抜け落ちて腕時計が落下すること等を防止することができる。
【0043】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0044】
例えば、上記各実施形態では、引掛部を係止する係止部として、腕時計ケース2の裏面である裏蓋23に係止用凸部を設ける場合を例示したが、係止部は、引掛部が腕時計ケース2のケース裏面と重なり合う位置にあるときにこれを係止可能なものであればよく、凸部に限定されない。
例えば、
図9に示すように、引掛部33よりも大きな収納部233を腕時計ケース2の裏面である裏蓋23に設けてもよい。収納部233は、例えば、裏蓋23に形成された凹部であり、引掛部33が腕時計ケース2のケース裏面である裏蓋23と重なり合う位置に配置された際には、この収納部233内に収納されるようにする。
この場合にも、引掛部33を収納部233内に収納することにより、第1のバンド3aがぐらついたり回転してずれたりするのを防止することができる。また、引掛部33を係止する係止部が凹部であるため、引掛部33を収納部233を嵌め込むだけで、容易に第1のバンド3aの係止を行うことができる。
また、特に、引掛部33の厚みが厚い場合等には、引掛部33を収納する凹部状の収納部233を設けることにより、腕時計ケース2のケース裏面において引掛部33が過度に出張らず、腕時計を腕に装着した際の装着性を向上させることができる。
なお、係止部は係止用凸部232及び収納部233のうちのいずれか一方のみでもよいし、
図9に示すように、係止部として、係止用凸部232と収納部233をともに備えてもよい。
また、係止用凸部232等の係止部を備えることは必須ではなく、係止部を備えない構成とすることもできる。
【0045】
また、表示装置6が液晶パネル等を備えるデジタル式のものである場合には、バンド3の反転や、腕時計1の姿勢に応じて表示装置6の表示を切り替えるようにしてもよい。
この場合には、例えば、
図10に示すように、腕時計ケースのケース裏面の面内方向において回転可能に該ケース裏面に取り付けられているバンド(上記各実施形態では第1のバンド3a)の回転を検知する回転検知センサ71と、腕時計の姿勢を検知する姿勢検知センサ72とを設ける。回転検知センサ71によって検知された検知結果及び姿勢検知センサ72によって検知された検知結果は、腕時計の各部を制御するCPU70に出力され、CPU70は、回転検知センサ71から出力された検知結果及び姿勢検知センサ72から出力された検知結果に基づいて表示ドライバ61を介して、適宜表示装置6の表示態様を制御する。
回転検知センサ71は、例えば、引掛部33が係止部から外されたか否かを検知する接触センサ等である。また、姿勢検知センサ72は、腕時計の反転等の3次元的な動きを検知可能なセンサであり、例えば、加速度センサ等を適用することができる。なお、回転検知センサ71及び姿勢検知センサ72は、ここに例示したものに限定されない。
【0046】
具体的には、例えば、
図11に示すように、引掛部33の設けられている第1のバンド3aが、引掛部33が腕時計ケース2のケース裏面である裏蓋23と重なり合う位置に配置された第1の状態から180度反転され、引掛部33が腕時計ケース2の外側に突出する位置に配置された第2の状態となると、第1のバンド3aが反転したことが回転検知センサ71によって検知され、CPU70に検知結果が出力される。この場合に、さらに、
図12に示すように、腕時計が上下反転したことが姿勢検知センサ72によって検知され、その検知結果がCPU70に出力された場合には、CPU70は、表示ドライバ61を介して、表示装置6の表示を反転させるように表示態様を制御する。
これにより、
図12に示すように、キーホルダ12等に接続され鞄等に提げられていた腕時計をユーザが反転させて時刻等を確認使用とした場合に、ユーザから見やすい向きに表示装置6の表示が変更され、容易に時刻等を確認することが可能になる。
また、第1のバンド3aが反転したことが回転検知センサ71によって検知されたこととと、腕時計が上下反転したことが姿勢検知センサ72によって検知されたことの双方を、表示装置6の表示を反転させる条件とすることにより、腕時計を腕に装着して使用している際に、腕を振る動作等によって不必要に表示態様が変更されたりすることを防止して、状況に応じた適切な表示態様を実現することができる。
なお、回転検知センサ71による検知結果と姿勢検知センサ72による検知結果とは並列的な関係でなくてもよく、例えば、姿勢検知センサ72は第1のバンド3aの反転が検知された場合のみONとなり、腕時計が上下反転したか否かを検知するように構成してもよい。
【0047】
また、上記各実施形態では、腕時計1の12時側に配置される第1のバンド3aに引掛部を設け、第1のバンド3aが腕時計ケースのケース裏面の面内方向において回転可能にとなっている場合を例示したが、引掛部は、第1のバンド3a及び第2のバンド3bのうち、少なくとも一方のバンド3に設けられていればよく、第1のバンド3aに設けられている場合に限定されない。
例えば、腕時計1の6時側に配置される第2のバンド3bに引掛部が設けられている場合には、第2のバンド3bを腕時計ケースのケース裏面の面内方向において回転可能となるようにケース裏面に取り付ける。
【0048】
また、上記各実施形態では、バンド取付構造を腕時計に適用した場合を例として説明したが、バンド取付構造を適用するものは本体ケース(本実施形態では腕時計ケース)とこれに取り付けられるバンドを備えるものであればよく、腕時計に限定されない。例えば、歩数計、心拍計や脈拍計等の生体情報表示装置、高度情報や気圧情報等の表示装置、携帯型のプレーヤ等、バンドによって腕に装着可能な各種の機器に本発明のバンド取付構造を適用してもよい。
この場合、腕時計の12時側とは、腕時計等の機器を腕に装着して表示部分を見たときにユーザから見て奥側となる側を意味し、腕時計の6時側とは、腕時計等の機器を腕に装着して表示部分を見たときにユーザから見て手前側となる側を意味する。
【0049】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
バンドを腕時計ケースに取り付けるバンド取付構造において、
前記バンドは、腕時計における12時側に配置される第1のバンドと、腕時計における6時側に配置される第2のバンドと、からなり、
前記第1のバンド及び前記第2のバンドのうち、少なくとも一方のバンドの一端であって他方のバンドへの取付側とは反対の側となるバンド基端部には、引掛部が設けられ、
前記引掛部が設けられているバンドは、前記腕時計ケースのケース裏面の面内方向において回転可能に該ケース裏面に取り付けられ、
前記引掛部は、当該バンドの回転に伴い、前記腕時計ケースのケース裏面と重なり合う位置と、前記腕時計ケースの外側に突出する位置とを取り得るように構成されていることを特徴とするバンド取付構造。
<請求項2>
前記ケース裏面に係止部をさらに備え、
前記引掛部は、前記腕時計ケースのケース裏面と重なり合う位置にあるときに前記係止部に係止可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバンド取付構造。
<請求項3>
前記係止部は、凸部であり、
前記引掛部は、前記凸部と嵌合可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のバンド取付構造。
<請求項4>
前記引掛部は、遊びを持たせて前記凸部と嵌合するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のバンド取付構造。
<請求項5>
前記引掛部は、枠状部、カラビナ形状部及びフック部のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバンド取付構造。
<請求項6>
前記ケース裏面に収納部をさらに備え、
前記引掛部は、前記腕時計ケースのケース裏面と重なり合う位置にあるときに前記収納部に収納可能に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のバンド取付構造。
<請求項7>
請求項1から請求項6のいずれかに記載のバンド取付構造を備えたことを特徴とする時計。