特許第6086350号(P6086350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6086350タッチパネル式入力装置、およびタッチパネル式入力方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6086350
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】タッチパネル式入力装置、およびタッチパネル式入力方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20170220BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20170220BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   G06F3/01 560
   G06F3/0488
   G06F3/041 580
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-166204(P2013-166204)
(22)【出願日】2013年8月9日
(65)【公開番号】特開2015-35141(P2015-35141A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社日本自動車部品総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】登丸 徹也
(72)【発明者】
【氏名】畑中 真二
【審査官】 松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−012150(JP,A)
【文献】 特開2005−267080(JP,A)
【文献】 特開2002−149304(JP,A)
【文献】 特開2012−248209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/00−11/06
G06F 3/01
G06F 3/03− 3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられるタッチパネル式入力装置であって、
表示領域を有し、前記車両の運転者の指が接触可能な複数の入力可能領域が前記表示領域に表示される表示部と、
前記入力可能領域に前記運転者の指が接触したことが検出されると、該入力可能領域に対応する入力を行う入力手段と、
前記運転者の指が、前記表示部に接触しておらず、且つ、前記入力可能領域から第1の所定距離以内に存在する場合に、その旨を報知する第1近接報知を前記運転者に対して行う第1近接報知手段と
を備え
前記第1近接報知手段は、前記車両のステアリングまたは運転座席を振動させることで前記第1近接報知を行う手段であるタッチパネル式入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載のタッチパネル式入力装置であって、
前記第1近接報知手段は、前記入力可能領域の種類に応じて、前記第1近接報知の態様を異ならせる手段であるタッチパネル式入力装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタッチパネル式入力装置であって、
前記第1近接報知手段は、前記運転者の指と前記入力可能領域との距離に応じて、前記第1近接報知の態様を異ならせる手段であるタッチパネル式入力装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載のタッチパネル式入力装置であって、
前記入力可能領域に前記運転者の指が接触したことが検出されると、その旨を振動によって報知する接触報知を前記運転者に対して行う接触報知手段を備えるタッチパネル式入力装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載のタッチパネル式入力装置であって、
前記運転者の指が、前記表示部に接触しておらず、且つ、前記表示部から第2の所定距離以内に存在する場合に、その旨を報知する第2近接報知を前記運転者に対して行う第2近接報知手段を備えるタッチパネル式入力装置。
【請求項6】
車両において利用されるタッチパネル式入力方法であって、
表示部の表示領域に、前記車両の運転者の指が接触可能な複数の入力可能領域を表示する工程と、
前記入力可能領域に前記運転者の指が接触したことが検出されると、該入力可能領域に対応する入力を行う工程と、
前記運転者の指が、前記表示部に接触しておらず、且つ、前記入力可能領域から第1の所定距離以内に存在する場合に、前記車両のステアリングまたは運転座席を振動させる第1近接報知を前記運転者に対して行う工程と
を備えるタッチパネル式入力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部の所定領域に対するユーザーの接触を検出することで、該接触に対応する入力が行われるタッチパネル式の入力技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやカーナビゲーションシステムのように、各種コンテンツが表示された表示部の所定領域(入力可能領域)に対するユーザーの接触を検出すると、該入力可能領域に対応する入力(タッチ入力)が行われるタッチパネル式入力装置が知られている。このようなタッチパネル式入力装置では、表示部の入力可能領域に触れることでタッチ入力が行われるので直感的な操作が可能であるものの、表示部(入力可能領域)を目視しながらでないと入力可能領域に触れることが困難である。
【0003】
そこで、表示部を目視しないままのタッチ入力を容易にすべく、次のような技術が提案されている。すなわち、指を表示部に接触させた状態で該表示部上を移動させて、指が入力可能領域に差し掛かったら指に振動を与える(入力可能領域に指が触れたことを報知する)。そして、入力可能領域に指が触れた状態で、指を更に表示部に押圧することでタッチ入力が行われる技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4896932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の提案されている技術では、表示部を目視しないままでのタッチ入力の難しさを、十分に軽減することができていないという問題があった。これは次のような理由による。
先ず、提案されている技術では、指が表示部に軽く触れているのか、強く押しているのかに基づいて、入力可能領域を探しているだけなのか、タッチ入力したのかを判断する。ところが、表示部を目視しない状態では、手探りで表示部の位置を探さなければならないので、思わず指が表示部を強く押してしまうことが起こり得る。また、手探りで表示部を探り当てた後も、表示部を強く押さないように気を付けながら、表示部の表面で指を滑らせる必要があり、表示部を目視せずにこのような動作を行うことは容易ではない。その結果、意図せずに指が入力可能領域を強く押してしまい、誤ったタッチ入力がなされるためである。
【0006】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題に鑑みてなされたものであり、表示部を目視することなく、容易にタッチ入力することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明のタッチパネル式入力装置およびタッチパネル式入力方法は、表示部の表示領域に、車両の運転者の指が接触可能な複数の入力可能領域を表示し、入力可能領域に運転者の指が接触したことが検出されると、該入力可能領域に対応する入力を行うものであって、運転者の指が、表示部に接触しておらず、且つ、入力可能領域から第1の所定距離以内に存在する(以下「入力可能領域に近接する」という)場合には、その旨を報知する第1近接報知を運転者に対して行う。この第1近接報知は、車両のステアリングまたは運転座席を振動させることによって行われる。
【0008】
こうすれば、運転者は、第1近接報知を受けることによって、表示部を目視しなくても、該表示部に触れることなく入力可能領域の位置を認識することができる。そして、運転者は、この状態(入力可能領域の位置を認識した状態)で表示部の入力可能領域に接触することで、該入力可能領域に対応する入力(タッチ入力)を行うことができる。この結果、誤ったタッチ入力をすることが無くなるので、表示部を目視しなくても容易にタッチ入力することが可能となる。また、車両の運転者は、車両の周辺状況を確認する必要があり、表示部を目視できない場合が多い。このような状況下であっても、運転者の身体はステアリングや運転座席に触れているので、運転者は、該ステアリングや該運転座席を振動させる第1近接報知を受けることによって、表示部に触れることなく入力可能領域の位置を認識することができる。この結果、運転中であっても、誤ったタッチ入力をすることが無くなるので、表示部を目視しないまま容易にタッチ入力することが可能となる。
【0009】
また、上述した本発明のタッチパネル式入力装置においては、入力可能領域の種類に応じて、第1近接報知の態様を異ならせることとしてもよい。
【0010】
表示部に複数の入力可能領域が表示される場合において、何れの入力可能領域に指が近接した場合も同じ態様の第1近接報知が行われると、運転者が入力可能領域の種類を認識し難くなる可能性がある。そこで、入力可能領域の種類に応じて第1近接報知の態様を異ならせることによって、入力可能領域の種類を認識し易くすることができる。
【0011】
また、上述した本発明のタッチパネル式入力装置においては、運転者の指が入力可能領域に近接しているときは、運転者の指と入力可能領域との距離に応じた態様で第1近接報知を行うこととしてもよい。
【0012】
運転者の指が入力可能領域に近接している状態では、表示部に接触していないので、運転者の指は入力可能領域から種々の距離を取りうる。そこで、入力可能領域からの距離に応じた態様で第1近接報知を行うことで、指が入力可能領域に近接しているときに、入力可能領域までの距離を認識し易くすることができる。
【0013】
また、上述した本発明のタッチパネル式入力装置においては、入力可能領域に運転者の指が接触したことが検出されると、その旨を振動によって報知する接触報知を運転者に対して行うこととしてもよい。
【0014】
表示部を目視することなく入力可能領域に接触しようとする際は、運転者は、表示部に触れたことは指の触感によって認識できるものの、入力可能領域に触れたか否かは認識し難い。そこで、運転者が入力可能領域に接触した場合は振動によって報知する(接触報知を行う)ことで、入力可能領域に接触したこと、ひいては、入力可能領域に対応する入力が行われたことを認識し易くすることができる。
【0015】
また、上述した本発明のタッチパネル式入力装置においては、運転者の指が、表示部に接触しておらず、且つ、表示部から第2の所定距離以内に存在する(以下「表示部に近接する」という)場合には、その旨を報知する第2近接報知を運転者に対して行う。
【0016】
運転者が表示部を目視していない場合は、そもそも表示部の位置さえも認識していない可能性がある。そこで、運転者の指が表示部に近接した場合にも報知(第2近接報知)を行うことによって、運転者は、表示部を目視しなくても表示部の位置を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】タッチパネル式入力装置10の構成を示す説明図である。
図2】液晶表示器16の表示画面に表示される内容を例示する説明図である。
図3】CPU11が実行するタッチ入力処理を示すフローチャートである。
図4】CPU11が実行する近接対応処理を示すフローチャートである。
図5】運転者の指の位置を検出する様子を示す説明図である。
図6】振動パターンテーブルを概念的に示す説明図である。
図7】CPU11が実行する接触対応処理を示すフローチャートである。
図8】変形例1の近接対応処理を示すフローチャートである。
図9】変形例1の運転者の指の位置を検出する様子を示す説明図である。
図10】変形例2のタッチパネル近接対応処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするためにタッチパネル式入力装置の実施例について説明する。尚、本実施例のタッチパネル式入力装置10は、車両に設けられている。
A.装置構成 :
図1には、タッチパネル式入力装置10の構成が示されている。本実施例のタッチパネル式入力装置10は、図示されるように、CPU11を中心として、CPU11が実行するプログラム等が記憶されているROM12、CPU11の作業領域であるRAM13がバス14を介して接続されている。
また、バス14には、車両のインストルメントパネルに設けられた液晶表示器16が、液晶用インターフェース15を介して接続されている。また、液晶表示器16の表示画面には、運転者の指の接近および接触を検出可能なタッチパネル18が重ねられており、該タッチパネル18はパネル用インターフェース17を介してバス14に接続されている。
また、バス14には、モーターコントローラー19を介して、タッチパネル18を振動させるためのタッチパネル振動モーター20、および、車両のステアリング22を振動させるためのステアリング振動モーター21が接続されている。タッチパネル振動モーター20およびステアリング振動モーター21には各回転軸に偏心させて錘が取り付けられており、それぞれ回転させられることでタッチパネル18、ステアリング22を振動させる。
【0021】
図2には、タッチパネル18が重ねられた液晶表示器16に表示される画像が例示されている。図示されるように、本実施例のタッチパネル式入力装置10では、運転者が選択可能なボタン型の項目が液晶表示器16に表示される。そして、ボタン型の項目に対応するタッチパネル18の領域(以下「ボタン領域」という)に運転者の指が接触すると、該ボタン領域に対応する入力が行われる。
【0022】
B.タッチ入力処理 :
図3には、CPU11が実行するタッチ入力処理のフローチャートが示されている。タッチ入力処理は、液晶表示器16にボタン型の項目が表示されると起動され、所定時間(例えば4m秒)毎にタイマ割り込み処理として実行される。図示されるように、タッチ入力処理では、運転者の指がボタン領域に近接する(接触しておらず所定距離以内にある)ことに係る「近接対応処理(S100)」、および、運転者の指がボタン領域に接触することに係る「接触対応処理(S200)」を行う。
【0023】
図4には、近接対応処理(S100)のフローチャートが示されている。近接対応処理を開始すると先ず、CPU11は、運転者の指の位置を検出する(S102)。運転者の指の位置は次のようにして検出する。
図5には、運転者の指の位置を検出する様子が示されている。本実施例のタッチパネル18としては、透明電極が縦横に並べられた投影型静電容量方式のタッチパネルが採用されている。図5(a)に示すように、タッチパネル18に運転者の指が近づくと、指と透明電極との容量結合が生じ、これに伴って、透明電極間の静電容量が変化する。この透明電極間の静電容量の変化量は、指と透明電極との距離に対応している。そこで、透明電極間の静電容量の変化量、および、静電容量の変化が生じた透明電極の位置に基づいて、運転者の指の位置を検出する。
【0024】
こうして、運転者の指の位置を検出した結果(S102)、運転者の指が、図5(b)に示すように、液晶表示器16に表示されているボタン領域のうち何れかのボタン領域から距離d1(第1の所定距離、例えば20〜30mm)以内の位置にあり、且つ、該ボタン領域に接触していない状態(運転者の指が何れかのボタン領域に近接している状態)であるか否かを判断する(S104)。その結果、運転者の指が何れのボタン領域にも近接していない場合は(S104:no)、そのまま図4に示す近接対応処理を終了して、図3に示すタッチ入力処理に復帰する。これに対して、運転者の指が何れかのボタン領域に近接している場合は(S104:yes)、指が近接しているボタン領域を特定する(図2に示した例ではボタン領域A〜Iの何れかを特定する)(S106)。そして、特定した(指が近接している)ボタン領域に対応する振動パターンを読み出す(S108)。
【0025】
図6には、RAM13の所定アドレスに記憶されている振動パターンテーブルが概念的に示されている。本実施例のタッチパネル式入力装置10では、運転者の指がボタン領域に近接した場合にステアリング22を振動させ、運転者の指がボタン領域に接触した場合にタッチパネル18を振動させる。振動パターンとは、これらの際の振動態様(例えば振動波形)である。図示されるように、振動パターンテーブルでは、ボタン領域の種類に対応させて、且つ、指がボタン領域に近接した場合と接触した場合とに区別して振動パターンが記憶されている。
【0026】
図4のS108の処理では、上述した振動パターンテーブルを参照して、S106の処理で特定したボタン領域に運転者の指が近接している場合の振動パターンを読み出す。そして、「読み出した振動パターンでのステアリング22の振動」を指示するステアリング振動指示信号をモーターコントローラー19に向けて送信する(S110)。モーターコントローラー19は、このようなステアリング振動指示信号を受信すると、該信号によって指示された振動パターンでステアリング22が振動するようにステアリング振動モーター21の動作を制御する。
こうして、モーターコントローラー19に向けてステアリング振動指示信号を送信したら、図4に示す近接対応処理を終了して、図3に示すタッチ入力処理に復帰する。
【0027】
以上のように、本実施例のタッチパネル式入力装置10では、運転者(ユーザー)の指がボタン領域(入力可能領域)に近接したらステアリング22を振動させる(第1近接報知を行う第1近接報知手段)。従って、運転者は、液晶表示器16の表示画面を目視しなくても、タッチパネル18に触れることなくボタン領域の位置を認識することができる。
また、本実施例のタッチパネル式入力装置10では、運転者の指が近接しているボタン領域の種類に応じて、ステアリング22の振動パターンを異ならせているので、指が近接しているボタン領域の種類を認識し易くすることができる。
尚、本実施例における液晶表示器16の表示画面およびタッチパネル18が、本発明における「表示部」に対応している。
【0028】
こうして、近接対応処理を行ったら(図3のS100)、続いて、接触対応処理を行う(S200)。
図7には、接触対応処理(S200)のフローチャートが示されている。接触対応処理を開始すると先ず、CPU11は、運転者の指の位置を検出する(S202)。すなわち、図5(a)を用いて前述したように透明電極間の静電容量の変化量、および、静電容量の変化が生じた透明電極の位置に基づいて、運転者の指の位置を検出する。
【0029】
こうして、運転者の指の位置を検出した結果(S202)、運転者の指が、液晶表示器16の表示画面上のボタン領域のうち何れかのボタン領域に接触しているか否かを判断する(S204)。その結果、運転者の指が何れのボタン領域にも接触していない場合は(S204:no)、そのまま図7に示す近接対応処理を終了して、図3に示すタッチ入力処理に復帰する。これに対して、運転者の指が何れかのボタン領域に近接している場合は(S204:yes)、指が近接しているボタン領域を特定する(図2に示した例ではボタン領域A〜Iの何れかを特定する)(S206)。そして、図6を用いて前述した振動パターンテーブルを参照して、特定したボタン領域に運転者の指が接触した場合の振動パターンを読み出す(S208)。続いて、「読み出した振動パターンでのタッチパネル18の振動」を指示するタッチパネル振動指示信号をモーターコントローラー19に向けて送信する(S110)。モーターコントローラー19は、このようなタッチパネル振動指示信号を受信すると、該信号によって指示された振動パターンでタッチパネル18が振動するようにタッチパネル振動モーター20の動作を制御する。
【0030】
こうして、モーターコントローラー19に向けてステアリング振動指示信号を送信したら、S206の処理で特定したボタン領域(運転者の指が接触したボタン領域)に対応する入力を実行する。例えば、ボタン領域に表示されている文字や数字を入力したり、ボタン領域に表示されているメニュー項目に対応付けられているコンテンツを表示したりする。そして、図7に示す接触対応処理を終了して、図3に示すタッチ入力処理に復帰する。
【0031】
以上のように、本実施例のタッチパネル式入力装置10では、運転者の指がボタン領域に近接したらステアリング22を振動させて、運転者の指がボタン領域に接触したら、該ボタン領域に対応する入力が行われる(入力手段)。従って、運転者は、第1近接報知を受けることによって、液晶表示器16を目視しなくても、タッチパネル18に触れることなくボタン領域の位置を認識することができる。そして、運転者は、この状態(ボタン領域の位置を認識した状態)でタッチパネル18に触れることでボタン領域に接触することができ、該ボタン領域に対応する入力(タッチ入力)を行うことができる。この結果、誤ったタッチ入力をすることが無くなるので、液晶表示器16を目視しなくても容易にタッチ入力することが可能となる。
【0032】
また、本実施例のタッチパネル式入力装置10では、運転者の指がボタン領域に接触すると、タッチパネル18を振動させるので(接触報知を行う接触報知手段)、ボタン領域に接触したこと、ひいては、ボタン領域に対応する入力が行われたことを認識し易くすることができる。
また、本実施例のタッチパネル式入力装置10では、運転者の指が接触したボタン領域の種類に応じて、タッチパネル18の振動パターンを異ならせているので、指が接触したボタン領域の種類を認識し易くすることができる。
【0033】
尚、振動パターンを異ならせる態様としては、振動時間を異ならせる態様や、振動の大きさ(振動波形の振幅の大小)を異ならせる態様、振動の回数を異ならせる態様等、種々の態様を採用することが可能である。
【0034】
C.変形例 :
C−1.変形例1 :
上述した実施例では、運転者の指がボタン領域に近接している場合は所定の振動パターンでステアリング22を振動させることとしたが、運転者の指がボタン領域に近接している場合は、運転者の指とボタン領域との距離に応じた振動パターンでステアリング22を振動させてもよい。
【0035】
図8には、変形例1の近接対応処理のフローチャートが示されている。変形例1では、図8に示す近接対応処理が、図3に示す近接対応処理(S100)として行われる。変形例1において近接対応処理を開始すると、CPU11は先ず、タッチパネル18の透明電極間の静電容量の変化量、および、静電容量の変化が生じた透明電極の位置に基づいて、運転者の指の位置を検出する(S300)。そして、運転者の指の位置を検出した結果(S300)、運転者の指が何れかのボタン領域に近接しているか否かを判断する(S302)。その結果、運転者の指が何れのボタン領域にも近接していない場合は(S302:no)、そのまま図8に示す近接対応処理を終了して、図3に示すタッチ入力処理に復帰する。これに対して、運転者の指が何れかのボタン領域に近接している場合は(S302:yes)、指が近接しているボタン領域を特定する(図2に示した例ではボタン領域A〜Iの何れかを特定する)(S304)。そして、図6を用いて前述した振動パターンテーブルを参照して、特定したボタン領域に運転者の指が近接した場合の振動パターンを読み出す(S306)。
【0036】
続いて、S304の処理で特定したボタン領域と運転者の指との距離が距離d1の半分(d1/2)以上であるか否かを判断する(S308)。本変形例1では、図5(b)を用いて前述した実施例と同様に、運転者の指がボタン領域から距離d1以内の位置にあり、且つ、該ボタン領域に接触していない場合に、運転者の指がボタン領域に近接していると判断する。S308の判断処理では、図9に示すように、運転者の指がボタン領域に近接している状態のうち、運転者の指がボタン領域から距離d1/2以上離れた状態であるか、または、この状態から運転者の指が更にボタン領域に近づいて、ボタン領域までの距離が距離d1/2未満となった状態であるかを判断する。
【0037】
そして、S308の判断処理の結果、運転者の指がボタン領域に近接しているものの、未だボタン領域までの距離が距離d1/2以上である場合は(S308:yes)、「S306の処理で読み出した振動パターンでのステアリング22の振動」を指示するステアリング振動指示信号をモーターコントローラー19に向けて送信する(S310)。これに対して、運転者の指からボタン領域までの距離が距離d1の半分未満である場合は(S308:no)、S306の処理で読み出した振動パターンの振幅を2倍にする演算を行う(S312)。そして、「振幅を2倍にした振動パターンでのステアリング22の振動」を指示するステアリング振動指示信号をモーターコントローラー19に向けて送信する(S314)。
【0038】
モーターコントローラー19は、これらのステアリング振動指示信号を受信すると、該信号によって指示された振動パターンでステアリング22が振動するようにステアリング振動モーター21の動作を制御する。すなわち、運転者の指がボタン領域に近接しているものの、未だボタン領域までの距離が距離d1/2以上である場合は、S306の処理で読み出した振動パターンでステアリング22を振動させ、運転者の指が更にボタン領域に近づいてボタン領域までの距離が距離d1/2未満となった場合は、S306の処理で読み出した振動パターンの振幅を2倍にした振動パターンでステアリング22を振動させる。
【0039】
以上のように、変形例1では、運転者の指がボタン領域に近接しているときは、運転者の指とボタン領域との距離に応じた振動パターンでステアリング22を振動させるので、指がボタン領域に近接しているときに、ボタン領域までの距離を認識し易くすることができる。
また、運転者の指がボタン領域に近接している状態では、指がボタン領域に近づくとステアリング22の振動の大きさが大きくなるので(振幅を2倍にした振動パターンでステアリング22が振動されるので)、運転者は指がボタン領域に近づいていることを体感することができる。
【0040】
C−2.変形例2 :
上述した実施例では、運転者の指がボタン領域に近接している場合は所定の振動パターンでステアリング22を振動させることとしたが、これに加えて、運転者の指がボタン領域には近接も接触もしていないもののタッチパネル18に近接している場合に、所定の振動パターンでステアリング22を振動させてもよい。
【0041】
図10には、変形例2のタッチパネル近接対応処理のフローチャートが示されている。変形例2では、変形例2のタッチパネル近接対応処理は、図3に示す近接対応処理(S100)に先立って行われる。
変形例2においてタッチパネル近接対応処理を開始すると、CPU11は先ず、タッチパネル18の透明電極間の静電容量の変化量、および、静電容量の変化が生じた透明電極の位置に基づいて、運転者の指の位置を検出する(S400)。そして、運転者の指の位置を検出した結果(S400)、運転者の指が何れかのボタン領域に近接または接触しているか否かを判断する(S402)。その結果、運転者の指が何れかのボタン領域に近接または接触している場合は(S402:yes)、そのまま図10に示すタッチパネル近接対応処理を終了する。すなわち、運転者の指が何れかのボタン領域に近接または接触している場合は、近接対応処理(図3のS100)または接触対応処理(図3のS200)で対応するので、タッチパネル近接対応処理はそのまま終了する。
【0042】
これに対して、運転者の指が何れのボタン領域にも近接しておらず、且つ、接触していない場合は(S402:no)、運転者の指が、タッチパネル18から距離d2(第2の所定距離、距離d2>距離d1)以内の位置にあり、且つ、該タッチパネル18に接触していない状態(運転者の指がタッチパネル18に近接している状態)であるか否かを判断する(S404)。その結果、運転者の指がタッチパネル18に近接していない場合は(S404:no)、そのまま図10に示すタッチパネル近接対応処理を終了する。
【0043】
これに対して、運転者の指がタッチパネル18に近接している場合は(S404:yes)、運転者の指がタッチパネル18に近接した場合用(タッチパネル近接用)の振動パターンを読み出す。このタッチパネル近接用の振動パターンは、ボタン領域に近接した場合の振動パターンよりも、振動の大きさが小さい(振動波形の振幅が小さい)。また、タッチパネル近接用の振動パターンは、図6を用いて前述した振動パターンテーブルの一部として記憶していてもよいし、該テーブルとは別に記憶していてもよい。
こうしてタッチパネル近接用の振動パターンを読み出したら(S406)、「読み出したタッチパネル近接用の振動パターンでのステアリング22の振動」を指示するステアリング振動指示信号をモーターコントローラー19に向けて送信する(S408)。モーターコントローラー19は、このようなステアリング振動指示信号を受信すると、タッチパネル近接用の振動パターンでステアリング22が振動するようにステアリング振動モーター21の動作を制御する。
【0044】
以上のように、本変形例2では、運転者の指がタッチパネル18に近接した場合にもステアリング22を振動させるので(第2近接報知を行う第2近接報知手段)、運転者は、タッチパネル18を目視しなくてもタッチパネル18の位置を認識することができる。
また、本変形例2では、指がボタン領域に近接したときにステアリング22を振動させる場合(距離d1)よりも、タッチパネル18から指が離れた状態(距離d2)で、ステアリング22を振動させる。従って、運転者は先ず、タッチパネル18の位置を認識した後にボタン領域の位置を認識することになるので、指がボタン領域に徐々に近づいていくのを体感することができる。
また、本変形例2では、指がボタン領域に近接した場合よりも、指がタッチパネル18に近接した場合の方が、ステアリング22を小さく振動させる。従って、運転者の指がタッチパネル18に近接した後、ボタン領域に近づくにつれてステアリング22の振動を大きくすることができ、指がボタン領域に近づいていく感覚を更に強調することができる。
【0045】
以上、実施例および変形例のタッチパネル式入力装置10について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
【0046】
例えば、上述した実施例および変形例では、ステアリング22を振動させることで運転者の指がボタン領域に近接していることの報知(第1近接報知)を行うこととしたが、運転座席やシートベルトを振動させることや、スピーカーから音声を出力すること、車内の所定部(例えば、計器パネルに設けられたランプ等)を発光させること、運転者の指に超音波を照射することによって、第1近接報知を行うこととしてもよい。
【0047】
また、上述した変形例1では、運転者の指がボタン領域に近接している状態では、指がボタン領域に近づくとステアリング22の振動の大きさを大きくすることとしたが、振動時間を長くしてもよいし、振動の回数を多くしてもよい。
【0048】
また、上述した変形例2では、タッチパネル近接用の振動パターンは、ボタン領域に近接した場合の振動パターンよりも、振動の大きさが小さいこととしたが、振動時間を短くしてもよいし、振動の回数を少なくしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10…タッチパネル式入力装置、 11…CPU、 12…ROM、
13…RAM、 14…バス、
15…液晶用インターフェース、 16…液晶表示器、
17…パネル用インターフェース、 18…タッチパネル、
19…モーターコントローラー、 20…タッチパネル振動モーター、
21…ステアリング振動モーター、 22…ステアリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10