(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記揺動ドラムは、乾燥室本体内に収容した時に奥部側に位置する奥部側端板と、乾燥室本体内に収容した時に手前側に位置する手前側端板と、上記奥部側端板と上記手前側端板を軸方向に離間配置して接続する、円周上に配置された複数本の接続ロッドとを備えることによって構成される支持部材と、
上記複数本の接続ロッドによって囲まれた上記奥部側端板と上記手前側端板との間の内方空間に配置され、周胴部の一部に上記窓部を備えた通水構造を有する円筒形状のドラム本体とを具備することによって構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のマイクロ波減圧揺動乾燥機。
上記乾燥室本体に対して接続され、該乾燥室本体内に収容される被乾燥物に向けて100℃以下の低温蒸気を所定時間供給して被乾燥物を蒸気加熱する蒸気供給装置が備えられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のマイクロ波減圧揺動乾燥機。
上記投入工程で揺動ドラム内に投入する被乾燥物は、100℃以下の低温蒸気を所定時間、生茶葉に浴びせた蒸熱後の茶葉であることを特徴とする請求項10記載の乾燥食品等の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した蒸熱工程や粗揉工程では、茶葉を100℃程度まで加熱するため、生茶葉の段階で有していた風味や色味、香りあるいはビタミン、ミネラル、カテキン等の成分が損われるという問題を有していた。
また、上述したような低温蒸気供給装置を使用すれば生茶葉の風味等を残した蒸熱は可能になるが、飲用や種々の乾燥食品等にブレンドして使用される乾燥茶葉を製造するためには、更に蒸熱した茶葉を混合しながら乾燥させる必要がある。
そして、当該乾燥工程で100℃近くの高温で茶葉を乾燥させた場合には、上記蒸熱工程で保つことができた生茶葉の風味等が大きく損われてしまう。
【0007】
また、上記特許文献4に示すようなマイクロ波を用いた減圧乾燥装置の場合には、被乾燥物をトレイ等の容器に収容して乾燥させているため、被乾燥物の処理量に限界があり、更に多くの量の被乾燥物を一挙に効率良く乾燥させることができる乾燥装置の開発が望まれている。
【0008】
本発明は、このような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、本来素材が持っている風味や有効成分等を多く残存させることができ、茶葉を主原料とした乾燥食品等を効率良く製造するのに好適なマイクロ波減圧揺動乾燥機及び該マイクロ波減圧揺動乾燥機を使用することによって風味豊かな乾燥食品等を効率良く多く製造することができる乾燥食品等の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1によるマイクロ波減圧揺動乾燥機は、被乾燥物を投入する投入口と被乾燥物を排出する排出口とを備えた揺動ドラムと、上記揺動ドラムを出し入れする開口部を備え、必要な耐圧性を有する乾燥室本体と、上記開口部に対して開閉可能な状態で取り付けられ、閉塞時に上記乾燥室本体内に遮蔽空間を形成する開閉扉と、上記乾燥室本体に対して取り付けられ、該乾燥室本体内に収容される被乾燥物に向けてマイクロ波を照射して被乾燥物を乾燥させるマイクロ波照射装置と、上記開口部を閉塞した状態で上記乾燥室本体内を減圧雰囲気にする減圧装置と、上記揺動ドラムを正転方向と逆転方向とに交互に揺動させる揺動駆動手段と、を具備していることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項2によるマイクロ波減圧揺動乾燥機は、請求項1記載のマイクロ波減圧揺動乾燥機において、上記開閉扉が閉塞状態にある時、上記開口部外方の上記乾燥室本体と上記開閉扉の対向面に位置して上記乾燥室本体内を気密状態にするシール部材を備えたシール構造と、上記開口部と上記シール構造との中間経路上に設けられ、上記開口側に位置する第1チョークと、上記シール構造側に位置する第2チョークと、が向い合わせになるように周方向に所定ピッチで連続的に配置されたダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構と、を具備していることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項3によるマイクロ波減圧揺動乾燥機は、請求項1または2記載のマイクロ波減圧揺動乾燥機において、上記揺動ドラムは、乾燥室本体内に収容した時に奥部側に位置する奥部側端板と、乾燥室本体内に収容した時に手前側に位置する手前側端板と、上記奥部側端板と上記手前側端板を軸方向に離間配置して接続する、円周上に配置された複数本の接続ロッドとを備えることによって構成される支持部材と、上記複数本の接続ロッドによって囲まれた上記奥部側端板と上記手前側端板との間の内方空間に配置され、周胴部の一部に上記窓部を備えた通水構造を有する円筒形状のドラム本体と、を具備することによって構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項4によるマイクロ波減圧揺動乾燥機は、請求項3記載のマイクロ波減圧揺動乾燥機において、上記揺動ドラムは、軸方向にスライド可能なスライド架台によって周方向に揺動自在に支承されており、上記スライド架台には、上記奥部側端板と上記手前側端板の外周面に転接する複数の支承ローラと、上記乾燥室本体の外部に設けられる揺動駆動手段から連結部を介して動力が伝達される駆動軸と、上記駆動軸の一部に取り付けられて駆動軸と一体になって揺動する駆動スプロケットとが備えられていて、上記駆動スプロケットを上記奥部側端板と上記手前側端板の一方の外周面に沿わせてループ状に配置されている従動チェーンに対して噛合させることで、上記揺動ドラムが正逆転両方向に交互に揺動し得るように構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項5によるマイクロ波減圧揺動乾燥機は、請求項4記載のマイクロ波減圧揺動乾燥機において、上記スライド架体と上記乾燥室本体との間には、上記スライド架台に対して軸方向の離間した位置に取り付けられている複数組の第1コロと、上記乾燥室本体の開口部を挟んだ左右の側方空間において軸方向の離間した位置に取り付けられている複数組の第2コロと、上記第1コロと係合する第1ガイド溝と、上記第2コロと係合する第2ガイド溝とを有する、軸方向にスライド可能なスライドガイドとを備えるスライド機構が配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項6によるマイクロ波減圧揺動乾燥機は、請求項4または5記載のマイクロ波減圧揺動乾燥機において、上記連結部は、上記駆動軸の奥部側の先端部に取り付けられる連結凸部と、上記乾燥室本体の上記駆動軸の延長線上の奥部側の壁面を貫通して配置される連結軸と、上記連結軸の手前側の端部に取り付けられ、上記連結凸部を挿入するだけで連結される連結チャックとを備え、上記連結軸の奥部側の端部には、上記揺動駆動手段の出力端に位置する揺動アームが取り付けられるように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項7によるマイクロ波減圧揺動乾燥機は、請求項4〜6のいずれかに記載のマイクロ波減圧揺動乾燥機において、上記揺動駆動手段は、上記連結部を介して上記駆動軸に接続される揺動アームと、上記揺動アームの自由端側の第1接続点に対して、一端が回転自在に接続され、長手方向に作用長を変えられる連結ロッドと、上記連結ロッドの他端が自由端寄りに設けられる第2接続点において回転自在に接続され、上記第2接続点の基端寄りの偏心した位置に回転中心を有する回転プレートと、上記回転プレートの回転中心に出力軸が取り付けられるモータと、を備えていることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項8によるマイクロ波減圧揺動乾燥機は、請求項1〜7のいずれかに記載のマイクロ波減圧揺動乾燥機において、上記乾燥室本体に対して接続され、該乾燥室本体内に収容される被乾燥物に向けて100℃以下の低温蒸気を所定時間供給して被乾燥物を蒸気加熱する蒸気供給装置が備えられていることを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項9によるマイクロ波減圧揺動乾燥機は、請求項1〜8のいずれかに記載のマイクロ波減圧揺動乾燥機において、上記減圧装置は、上記乾燥室本体内を減圧雰囲気にする水封式真空ポンプと、上記水封式真空ポンプを駆動するための水を給排水する循環式給排水装置と、を備えることによって構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項10による乾燥食品等の製造方法は、乾燥室本体の外部に揺動ドラムを引き出し、該揺動ドラムを周方向に回転させて窓部を上にし、該窓部を投入口として被乾燥物を投入する投入工程と、被乾燥物を投入した揺動ドラムを、窓部を上にした状態のまま、乾燥室本体内に収容して連結部を連結状態にし、開閉扉を閉塞して乾燥室本体を密閉状態にする乾燥準備工程と、減圧装置を駆動して乾燥室本体内の雰囲気を所定の減圧状態にすると共に、揺動駆動手段を駆動して揺動ドラムを揺動させた状態で所定時間、マイクロ波を被乾燥物に照射して所定の含水率になるまで揺動しながら乾燥させる揺動乾燥工程と、乾燥終了後、減圧装置、揺動駆動手段及びマイクロ波照射装置の駆動を停止し、開閉扉を開けて乾燥室本体の外部に揺動ドラムを引き出し、該揺動ドラムを周方向に回転させて窓部を下にし、該窓部を排出口として下方の受皿上に被乾燥物を排出する排出工程とを備え、上記各工程の実行に当たっては、請求項1〜9のいずれかに記載のマイクロ波減圧揺動乾燥機を使用するようにしたことを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項11による乾燥食品等の製造方法は、請求項10記載の乾燥食品等の製造方法において、上記投入工程で揺動ドラム内に投入する被乾燥物は、100℃以下の低温蒸気を所定時間、生茶葉に浴びせた蒸熱後の茶葉であることを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項12による乾燥食品等の製造方法は、請求項10記載の乾燥食品等の製造方法において上記投入工程で揺動ドラム内に投入する被乾燥物は生茶葉であり、上記乾燥準備工程と揺動乾燥工程との間に、揺動ドラム内の生茶葉に対して100℃以下の低温蒸気を所定時間、浴びせて蒸熱させる蒸熱工程が設けられていることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項13による乾燥食品等の製造方法は、請求項11または12記載の乾燥食品等の製造方法において、上記排出工程の後、乾燥された被乾燥物に二次加工を施して乾燥食品等を得る二次加工工程が備えられており、上記排出工程を経て排出された被乾燥物は、茶葉を主原料とした抽出用または食用の茶葉乾燥食品の原料として使用されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
そして、上記手段によって以下のような効果が得られる。まず、本発明のマイクロ波減圧揺動乾燥機によると、一度に多くの被乾燥物を収容して処理することができる揺動ドラムを使用しているから、多くの被乾燥物を同時に効率良く乾燥させることができる。
また、減圧雰囲気下でマイクロ波を照射して乾燥させるから、被乾燥物の素材の持つ風味や有効成分等を壊すことのない低温での被乾燥物の乾燥が可能になる。
更に、揺動ドラムを使用した被乾燥物を揺動させながら乾燥が行われるから、茶葉のように水分を多く含み、塊になり易い被乾燥物に対しても、当該茶葉の塊をほぐしながらの乾燥が可能になり、乾燥状態が均一になる。
【0023】
また、上記開口部と上記シール構造との中間経路上にダブルチョーク一体構造のマイクロ波漏洩防止機構を備えた場合には、マイクロ波漏洩防止機構の外方へのマイクロ波の漏洩が高レベルで高周波回路的に防止されるようになる。従って、上記シール構造に対するマイクロ波の被曝が防止されるから該マイクロ波の被曝によって生ずるシール部材の劣化が防止されて開閉扉を閉塞した時の乾燥室本体内の気密性が長期に亘って持続される。
【0024】
また、上記揺動ドラムを奥部側端板と手前側端板とこれらを接続する複数本の接続ロッドとを備えた支持部材と、該支持部材の内方空間に配置される窓部を備えた通水構造のドラム本体とを具備することによって構成した場合には、揺動ドラムの軽量化が図られるようになり、被乾燥物から滲み出した水分の一部は通水構造のドラム本体の外部に放出されるから乾燥効率が向上する。
また、揺動ドラムの採用によって、窓部を上に向けるだけで揺動ドラム内への被乾燥物の投入が可能になる。また、窓部を上に向けた状態では、窓部を蓋で閉塞しなくても乾燥中の被乾燥物の落下は原則として生じないし、乾燥終了後は、窓部を下に向けるだけで、揺動ドラム内から被乾燥物を取り出すことが可能になり、被乾燥物の投入、乾燥、排出時の蓋の開閉操作が不要になる。
【0025】
また、揺動ドラムをスライド架台に支承させて乾燥室本体内から出し入れできるように構成した場合には、乾燥後洗浄が必要になる揺動ドラムのみを乾燥室本体から取り出して洗浄することが可能になり、洗浄作業が容易になる。
また、揺動ドラムを揺動させる揺動駆動手段を乾燥室本体の外部に設置し、該揺動駆動手段から伝達される動力を、連結部を介して駆動部に伝え、更に駆動軸に取り付けられる駆動スプロケットと該駆動スプロケットに噛合する従動チェーンとによって揺動ドラムに伝達するようにしているから、揺動ドラムへの動力の断接を連結部のみの操作によって行うことが可能になる。
したがって、乾燥作業終了のその都度、行う必要がある洗浄作業の対象から揺動駆動手段を除外することが可能になり、洗浄作業を容易にして揺動駆動手段の寿命を伸ばしてメンテナンス性を向上させることが可能になる。また、乾燥室本体内の空間を広く利用することができるようになって、揺動ドラムを幾分大型にしたり、乾燥室本体自体の大きさを小さくすることが可能になる。
【0026】
また、上記スライド架台と乾燥室本体との間に、スライド架台に対して取り付けられる第1コロと、乾燥室本体に対して取り付けられる第2コロと、上記第1コロと係合するガイド溝と上記第2コロと係合するガイド溝とを有する、軸方向にスライド可能なスライドガイドとを備えるスライド機構を配置した場合には、揺動ドラムを乾燥室本体から出し入れするのに必要なスライド架台の移動量を構造が比較的簡単で部品点数が少なく設置スペースが小さくて済むスライド機構によって実現することが可能になる。
【0027】
また、上記連結部を、上記駆動軸の奥部側の先端部に取り付けられる連結凸部と、上記乾燥室本体の上記駆動軸の延長線上の奥部側の壁面を貫通して配置される連結軸と、該連結軸の手前側の端部に取り付けられ、上記連結凸部を挿入するだけで連結される連結チャックとを備えることによって構成した場合には、構造が簡単で連結時と連結解除時の操作が容易な連結部が提供できるようになる。
そして、上記連結軸の奥部側の端部に上記揺動駆動手段の出力端に位置する揺動アームを取り付けた場合には、揺動駆動手段によって生起された動力が連結状態の連結部を介して揺動ドラムの揺動運動に変換されて効率良く伝達されるようになる。
【0028】
また、上記揺動駆動手段を、上記連結部を介して上記駆動軸に接続される揺動アームと、該揺動アームの第1接続点に対して一端が回転自在に接続され、長手方向に作用長を変えられる連結ロッドと、該連結ロッドの他端が第2接続点において回転自在に接続され、該第2接続点の偏心した位置に回転中心を有する回転プレートと、該回転プレートの回転中心に出力軸が取り付けられるモータとを備えることによって構成した場合には、モータの出力軸の回転が駆動軸の一定角度の範囲の揺動運動に変換されて円滑に伝達されるようになる。
【0029】
また、上記構成に加えて、乾燥室本体内に100℃以下の低温蒸気を所定時間供給して被乾燥物を蒸気加熱し得る蒸気供給装置を備えた場合には、上述したマイクロ波による乾燥に加えて100℃以下の低温蒸気による低温蒸しを行うことが可能になり、種々の被乾燥物に対して当該被乾燥物の種類に応じた最適な加熱形態を選択できるようになり、マイクロ波減圧揺動乾燥機の用途が拡大する。
【0030】
また、上記減圧装置として、水封式真空ポンプと循環式給排水装置と、を備えた構成の減圧装置を採用した場合には、比較的簡単な構成で乾燥室本体内のドレンや水分を含んだ不要のガスを外部に排出しながら乾燥室本体内の雰囲気を減圧状態にすることができるようになる。
また、循環式給排水装置の採用によって、水封式真空ポンプを駆動するための水の消費量を減らして、効率の良い減圧装置の運転が可能になる。
【0031】
また、本発明の乾燥食品等の製造方法によると、被乾燥物の投入、乾燥準備、揺動乾燥、排出といった一連の行程を単一のマイクロ波減圧揺動乾燥機を使用して連続的に実行することが可能になる。また、被乾燥物を収容する揺動ドラムと、乾燥を実行する乾燥室本体とを切り離して別体に構成することで、乾燥のその都度、洗浄が必要になる揺動ドラムのみを乾燥室本体から取り出して洗浄したり、メンテナンスすることが可能になる。
また、上述した本発明のマイクロ波減圧揺動乾燥機を使用することで被乾燥物の素材の持つ風味や有効成分等を壊すことなく、短時間で効率良く多くの乾燥食品等を製造することが可能になる。
本発明で使用する低温蒸気は、100℃以下であるが、具体的には20℃〜100℃が好ましく、より好ましくは30℃〜90℃であり、とりわけ好ましいのは、40℃〜70℃である。
【0032】
また、揺動ドラム内に投入する被乾燥物を、100℃以下の低温蒸気を所定時間、生茶葉に浴びせた蒸熱後の茶葉にした場合には、水分を多く含んで塊になり易い蒸熱後の茶葉を、当該茶葉の有する風味や有効成分等を壊すことなく、当該茶葉の塊をほぐしながら均一にマイクロ波を照射して所望の乾燥を実行することが可能になる。
【0033】
また、揺動ドラム内に投入する被乾燥物を生茶葉とし、上記乾燥準備工程と揺動乾燥工程との間に、蒸熱工程を備えた場合には、単一のマイクロ波減圧揺動乾燥機のみを使用して生茶葉を所定の含水率の乾燥茶葉にするまでの一連の処理と乾燥が可能になり、その行程の途中で被乾燥物を取り出したり、トレイ等の容器に入れ替えたりする作業が不要になって、より一層、効率的な乾燥食品等の製造が可能になる。
【0034】
また、上記排出工程の後工程として、二次加工工程を備え、上記排出工程を経て排出された被乾燥物を、茶葉を主原料とした抽出用または食用の茶葉乾燥品の原料として使用するように構成した場合には、茶葉の有する爽やかな香りと色味、自然な甘みを有し、ビタミン、ミネラル、カテキン等の健康に良い有効成分を多く含んだ従来にない乾燥食品等を製造することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、
図1〜
図15に示す第1の実施の形態と、
図16に示す第2の実施の形態と、
図17に示す第3の実施の形態の3つの実施の形態を例にとって、本発明のマイクロ波減圧揺動乾燥機の構成を説明し、
図18及び
図19に示す第4の実施の形態と、
図20に示す第5の実施の形態と、
図21に示す第6の実施の形態の3つの実施の形態を例にとって、本発明のマイクロ波減圧揺動乾燥機を使用することによって実行される本発明の乾燥食品等の製造方法の構成を説明する。
【0037】
(1)第1の実施の形態(
図1〜
図15参照)
本発明のマイクロ波減圧揺動乾燥機1は、被乾燥物Aを投入する投入口3と、被乾燥物Aを排出する排出口5とを兼ねた窓部6を備えた揺動ドラム7と、上記揺動ドラム7を出し入れする開口部9を備え、必要な耐圧性を有する乾燥室本体11と、上記開口部9に対して開閉可能な状態で取り付けられ、閉塞時に上記乾燥室本体11内に遮蔽空間を形成する開閉扉13と、上記乾燥室本体11に対して取り付けられ、該乾燥室本体11内に収容される被乾燥物Aに向けてマイクロ波を照射して被乾燥物Aを乾燥させるマイクロ波照射装置15と、上記開口部9を閉塞した状態で上記乾燥室本体11内を減圧雰囲気にする減圧装置17と、上記揺動ドラム7を正転方向Pと逆転方向Qとに交互に揺動させる揺動駆動手段19と、上記乾燥室本体11内の温度が所定の温度になるように上記マイクロ波照射装置15のマイクロ波出力を制御する制御装置21と、を具備することによって基本的に構成されている。
【0038】
また、本実施の形態のマイクロ波減圧揺動乾燥機1Aにあっては、上記揺動ドラム7のドラム本体103の周胴部の一部に口径の大きな開放された窓部6が形成されており、上記揺動ドラム7を周方向に回転させて上記窓部6を上に移動させた時に当該窓部6が投入口3になり、一方、上記窓部6を下に移動させた時に当該窓部6が排出口5として機能するように構成されている。
また、本実施の形態では、上記乾燥室本体11に対して吸入弁25を介して乾燥室本体11内に気体を導入する導入管路27が乾燥室本体11の一例として左右の側板の下部の中央に一本ずつ接続されている。
【0039】
揺動ドラム7は、乾燥室本体11内に収容した時に奥部側に位置する奥部側端板35Aと、乾燥室本体11内に収容した時に手前側に位置する手前側端板35Bと、上記奥部側端板35Aと上記手前側端板35Bを軸方向Yに離間配置して接続する、円周上に配置された複数本の接続ロッド36とを備えることによって構成される支持部材101と、上記複数本の接続ロッド36によって囲まれた上記奥部側端板35Aと上記手前側端板35Bとの間の内方空間に配置され、周胴部の一部に上述した窓部6を備えた通水構造を有する円筒形状のドラム本体103と、を備えることによって一例として構成されている。
【0040】
奥部側端板35Aは図示のような円板状の部材で、その外周面には、後述する支承ローラ105に転接して支承される所定深さのガイド溝109が形成されている。
手前側端板35Bも上記奥部側端板35Aと同様の円板状の部材で、その外周部には、幾分奥部側端板35A側に張り出した張出し部107が形成されている。
【0041】
そして、手前側端板35Bの外周面は、上記張出し部107を設けた分だけ上記奥部側端板35Aよりも幅広に形成されており、該幅広に形成された外周面には、外方寄りに後述する支承ローラ105に転接して支承される所定深さのガイド溝111が形成されている。
また、上記幅広に形成された外周面の内方寄りには、後述する駆動スプロケット113と噛合する従動チェーン115が、当該外周面に沿わせてループ状に巻回されて配置されている。
また、接続ロッド36は、一例として金属製の丸棒状の部材によって構成されており、揺動ドラム7の回転軸を中心とする円周上に等間隔で一例として6本配置されている。
【0042】
ドラム本体103は、パンチングメタルや樹脂製あるいは金属製のメッシュ状の網体によって構成される通水構造を有する円筒形状をした部材である。
また、上記ドラム本体103の周胴部の一部には、上述したように投入口3と排出口5としての機能を兼ね備えた窓部6が形成されている。
【0043】
乾燥室本体11は、アングル材等を矩形枠状に組み立てることによって構成される立方体ないし長方体形状の部材であり、その一端面には、上記揺動ドラム7を出し入れする際に使用する一例として矩形平板状の上述した開閉扉13によって閉塞される開口部9が形成されている。
尚、上記乾燥室本体11と開閉扉13は、減圧状態での使用に耐えられる必要な耐圧性と密閉性とを備えている。
【0044】
また、上記開口部9の周囲外方の前面が次に述べる開閉扉13の背面に設けられるシール構造63に対向するシール面61になっている。
開閉扉13は、上記開口部9より一回り大きな矩形板状の部材で、該開閉扉13の背面の外周寄りには、開閉扉13を閉塞した時、上記シール面61に当接する一例としてリング状でゴム製のパッキン13aを備えるシール構造63が設けられている。
そして、上記シール構造63の内方における開閉扉13の背面に以下に詳述するマイクロ波漏洩防止機構71が設けられている。
【0045】
マイクロ波漏洩防止機構71は、上記開口部9と上記シール構造63との中間経路73上に設けられており、上記開口部9側に位置する第1チョーク67と、上記シール構造63側に位置する第2チョーク69と、が向い合わせになるように周方向に所定ピッチで連続的に配置されたダブルチョーク一体構造のシール構造になっている。
具体的には、
図12に示すように開閉扉13の背面から垂直に立ち上げられた長尺な遮蔽板75の上端縁に先端部77が基端部79に対して90°折り曲げられた断面L字形状の第1チョーク67を設け、該遮蔽板75の下端縁に上記第1チョーク67と同形状、同サイズの第2チョーク69を上記第1チョーク67と対向する位置に配置することによってマイクロ波漏洩防止機構71が構成されている。
【0046】
また、上記第1チョーク67の先端部77と第2チョーク69の先端部77との間には、ギャップGが形成されており、該ギャップGの中点Oから第1チョーク67及び第2チョーク69のそれぞれの先端部77と基端部79の接続点Bまでの距離L1は、上記中点Oから遮蔽板75側に下ろした垂線と遮蔽板75の対向面との接点Cまでの距離L2とほぼ等しく、共に使用するマイクロ波の波長λの1/4程度の長さになるように設定される。
因みに、このような寸法設定を採用することによって、上記中間経路73中に上記波長λの1/4の長さの迂回路が形成され、該迂回路での反射波と上記接続点Bから中点Oに向かう波との位相差が上記波長λの1/2になって互いに打ち消し合うことになり、乾燥室本体11の外部へのマイクロ波の漏洩が防止されるのである。
【0047】
また、上記開閉扉13の上下方向に延びる一端縁には、
図3及び
図4に示すように当該開閉扉13を開閉する際の回動中心となるヒンジ部45が設けられており、上記開閉扉13の上下方向に延びる他端縁には、
図3及び
図4に示すように開閉扉13を開閉する時の手掛かりとなる取っ手47が設けられている。
また、開閉扉13の一例としてその中央には、乾燥中等において、乾燥室本体11の内部を確認するための点検窓39が設けられている。
【0048】
また、上記開口部9が形成されている乾燥室本体11の前面板と上記開閉扉13の上縁と下縁との間には、開閉扉13の閉塞状態をロックするロック装置48が設けられている。
上記ロック装置48は、上記開閉扉13の前面の上縁と下縁に一例として2ヶ所ずつ設けられている回転式のロックハンドル48aと、上記乾燥室本体11の前面板に設けられ、上記ロックハンドル48aの先端の係止爪48bに係止される係止フック48cとを備えることによって一例として構成されている。
【0049】
また、上記揺動ドラム7は、上記乾燥室本体11との間に設けられる軸方向Yにスライド可能なスライド架台125によって周方向に回転自在に支承されている。
上記スライド架台125は、金属製の平板材料や形鋼材を使用して矩形枠状に組み立てられた機枠であり、以下述べるスライド機構135によって、軸方向Yにスライド可能な状態で支持されている。
スライド機構135は、上記スライド架台125に対して取り付けられている軸方向Yに離間配置されている二組の第1コロ127と、上記乾燥室本体11の上記開口部9を挟んで左右の側方空間の下部において、支持ブラケット133に支持されて同じく軸方向Yに離間配置されている二組の第2コロ129と、上記第1コロ127と係合するガイド溝を内方に有し、上記第2コロ129と係合するガイド溝を外方に有する、溝形鋼を背中合わせに配置することによって構成されているスライドガイド131と、を備えることによって一例として構成されている。
また、上記スライド架台125の前面中央部には、スライド架台125を乾燥室本体11外へ引き出したり、乾燥室本体11内に収納する場合に手掛かりとして使用する取っ手126が設けられている。
【0050】
尚、
図5、6中、符号137で示す部材は、スライドガイド131の下部の先端位置に設けられている第1凸部131aに当接することで揺動ドラム7の引出し端を決める第1ストッパであり、
図5、6中、符号139で示す部材は、スライドガイド131の下部の中間位置に設けられている第2凸部131bに当接することで揺動ドラム7の収容端を決める第2ストッパである。
また、上記スライド架台125の前後左右には、上方に衝立状に立ち上げられた軸受を備えたブラケット141が設けられており、これらのブラケット141を利用して
図7〜9に示す左右2本の軸部143が軸方向Yに沿って平行に軸支されている。
【0051】
そして、上記2本の軸部143には、前後に1個ずつ計4個の上述した支承ローラ105が取り付けられており、これらの支承ローラ105が上述したガイド溝109、111と係合することで揺動ドラム7を周方向に回転可能な状態で支承し得るように構成されている。
また、上記軸部143の一方は、上記乾燥室本体11の外部に設けられる揺動駆動手段19から連結部145を介して動力が伝達される駆動軸147になっており、該駆動軸147の一部には、該駆動軸147と一体になって回転する上述した駆動スプロケット113が取り付けられている。
そして、上記駆動スプロケット113を上記従動チェーン115に対して噛合させることで、上記揺動ドラム7が正逆転両方向に回転し得るように構成されている。
【0052】
また、上記揺動駆動手段19の動力を駆動スプロケット113が取り付けられている上記駆動軸147に伝達するための連結部145は、一例として
図10に示すように構成されている。具体的には、上記駆動軸147の先端部に設けられている連結凸部149と、乾燥室本体11の背面板に対して、取付けベース151と取付け板153とを使用して取り付けられている連結軸155と、乾燥室本体11の内部に位置する当該連結軸155の先端部に取り付けられ、上記連結凸部149に直接連結される連結チャック157とを備えることによって連結部145は一例として構成されている。
そして、上記駆動軸147と連結軸155は、軸方向Yに沿う同軸上に配置されており、上記スライド架台125に搭載されて軸方向Yにスライドする上記揺動ドラム7の動きに応じて、上記連結凸部149と連結チャック157の連結と連結解除とが自動的に実行されるように構成されている。
【0053】
また、上記連結軸155の奥部側の端部には、次に述べる揺動駆動手段19の出力端に位置する揺動アーム158が取り付けられるように構成されている。
揺動駆動手段19は、上記連結部145を介して上記駆動軸147に接続される上述した揺動アーム158と、該揺動アーム158の自由端側の第1接続点158aに対して、一端が回転自在に接続され、長手方向に作用長を変えられる連結ロッド159と、該連結ロッド159の他端が自由端寄りに設けられる第2接続点159aにおいて回転自在に接続され、該第2接続点159aの基端寄りの偏心した位置に回転中心162aを有する回転プレート162と、該回転プレート162の回転中心162aに出力軸が取り付けられるモータ163とを備えることによって一例として構成されている。
【0054】
このうち、上記揺動アーム158は一例として矩形平板状の部材で、その基端部がカラー148を介して上記駆動軸147に取り付けられている。また、揺動アーム158の幅方向の中心には、長手方向に沿って延びる長穴158bが形成されており、該長穴158bの長さの範囲で上述した第1接続点158aの位置を可変できるように構成されている。
連結ロッド159は、先端側に配置される第1ロッド160と基端側に配置される第2ロッド161を、長手方向に伸縮できるように連結することによって構成されている。
【0055】
具体的には、第1ロッド160の幅方向の中心には、長手方向に沿って延びる2本の長穴160aが同一軸線上に離間配置されており、上記第2ロッド161の自由端寄りの幅方向の中心には、上記長穴160aに係合する2本の係合ピン161aが突設されている。
したがって、上記連結ロッド159は、上記長穴160aの長さの範囲でその作用長を可変できるように構成されている。
また、上記回転プレート162は、一例として矩形平板状の部材によって構成されており、上記連結ロッド159と接続される第2接続点159aには、連結ロッド159の揺動運動を円滑にするベアリング164が設けられており、上記回転中心162aには、モータ163の出力軸に外嵌する取付け穴部165が貫通状態で設けられている。
【0056】
マイクロ波照射装置15は、上述した乾燥室本体11の天板の上方に設けられており、該マイクロ波照射装置15から照射されるマイクロ波を上記乾燥室本体11内に導くための図示しない開口が乾燥室本体11の天板に形成されている。
尚、上記マイクロ波照射装置15としては、マイクロ波の最大可変出力が一例として3000w程度のものが2基設けられている。
【0057】
減圧装置17Aは、乾燥室本体11の外部に配設される真空ポンプ55と開閉弁57を介して上記乾燥室本体11と真空ポンプ55とを連絡する
図4に示すように一例として途中で2本に分岐されている連絡管路59とを備えることによって構成されている。
また、上記乾燥室本体11の一例として左右の側面板の下部中央には、
図1及び
図4に示すように一例として左右に1本ずつ、計2本の導入管路27が内方に向けて水平に延びており、各導入管路27の乾燥室本体11の外部に位置する先端部に空気の吸入と吸入の停止を切り替える上述した吸入弁25が配設されている。
【0058】
また、上記乾燥室本体11には、圧力センサ167と温度センサ169が設けられており、圧力センサ167と温度センサ169によって検知した圧力情報と温度情報とに基づいて、制御装置21において上記真空ポンプ55、マイクロ波照射装置15及び吸入弁25等を制御して乾燥中の乾燥室本体11の圧力と温度を所定の値に設定して保持するように構成されている。
この他、乾燥終了後、上記揺動ドラム7内の被乾燥物Aを外部に排出する場合には、乾燥室本体11の外部に引き出した揺動ドラム7の下方の位置に
図1中、仮想線で示すような受皿49等を設置して、下方に向けた上記窓部6を排出口5として、当該窓部6から排出される乾燥後の被乾燥物Aを受け取るようにする。
【0059】
そして、このようにして構成される本実施の形態のマイクロ波減圧揺動乾燥機1Aによると、低い温度で揺動しながら被乾燥物Aの中心から表面にかけて緩やかに加熱できるから、被乾燥物Aの素材の持つ風味や有効成分等を壊すことなく、均一に短時間で多くの被乾燥物Aを効率良く乾燥させることが可能になる。
【0060】
(2)第2の実施の形態(
図16参照)
第2の実施の形態のマイクロ波減圧揺動乾燥機1Bは、前記第1の実施の形態のマイクロ波減圧揺動乾燥機1Aの構成に加えて、乾燥室本体11に100℃以下の低温蒸気を供給して加熱する蒸気供給装置201を備えた点と、上記減圧装置17Bとして水封式真空ポンプ305を利用した減圧装置301を採用した点で前記第1の実施の形態と相違している。
したがって、ここでは前記第1の実施の形態と相違する蒸気供給装置201の構成と減圧装置301の構成を中心に説明する。
【0061】
蒸気供給装置201は、蒸気発生部となるボイラー設備203と、該ボイラー設備203から供給された高温の蒸気を被乾燥物Aの溶融温度より低い温度の低温蒸気にする低温蒸気生成部202と、これらのボイラー設備203及び蒸気生成部202と前記ジャケット81とを接続する蒸気供給経路207、蒸気循環経路209及び蒸気調整経路213と、を備えることによって一例として構成されている。
【0062】
ボイラー設備203としては、一例として液化石油ガスを燃料とする最高出力が0.68MPa程度のボイラー215が適用でき、該ボイラー215から延びる蒸気供給経路207には、該ボイラー215の使用圧力範囲を調整するための圧力ゲージ233、減圧弁237あるいはバイパス弁245等が適宜配置されている。
低温蒸気生成部202は、上記ボイラー設備203から供給された蒸気の温度を制御して上述した所定の温度の低温蒸気にする真空減圧弁205と、蒸気調整経路213を高真空にして蒸気供給経路207中の不凝縮ガスやドレンを吸引するエゼクター211と、エゼクター211用の駆動水を貯えるタンク217と、該タンク217内の駆動水を加圧するラインポンプ219と、蒸気調整経路213中のドレンを排除して安定した蒸気の供給を可能にするスチームトラップ221を備えることによって基本的に構成されている。
【0063】
また、この他、上記タンク217にはレベルセンサ223とタンク217内に水を補給する場合に使用するモータ駆動式の二方弁225が設けられている。更に、上記真空減圧弁205の下流の蒸気供給経路207と蒸気調整経路213の接続部には、冷水補給口を兼ねた過熱防止弁227が設けられており、蒸気調整経路213の途中には適宜、圧力ゲージ233が配置されている。
蒸気供給経路207は、蒸気調整経路213との接続点を経て更にジャケット81に向けて延びている。そして、上述した過熱防止弁227の下流には蒸気供給経路207内を流れる低温蒸気の温度を計測する温度センサ229が配置されており、該温度センサ229の下流には低温蒸気の圧力を検知する圧力センサ231が配置されている。更に、該圧力センサ231の下流には二方弁225が配置されており、上記ジャケット81との接続部近傍にも圧力センサ231が配置されている。
【0064】
蒸気循環経路209は、上記ジャケット81の下部から上述した蒸気供給経路207と蒸気調整経路213に向けて形成されている。
蒸気循環経路209の上流側には二方弁225と逆止弁239が配置されており、分岐241で蒸気供給経路207側と蒸気調整経路213側の2経路に分かれている。このうち蒸気供給経路207側に延びている経路は、上述した温度センサ229が配置されている接続点に合流しており、その経路途中にスチームトラップ221とバイパス弁245が配置されている。一方、蒸気調整経路213側に延びている経路は、蒸気調整経路213に配置されているスチームトラップ221の下流位置の接続点に合流している。
【0065】
減圧装置301は、水封式真空ポンプ305と循環式給排水装置307を備えることによって基本的に構成されており、更に両者の間に給水経路309と排水経路311が配設されている。
水封式真空ポンプ305は、水蒸気や水滴を含んだ気体の排気等に利用されるポンプで、シリンダに対して偏心して取り付けられる羽根車の回転を利用してシリンダの内壁に封水リングを形成し、該封水リングと羽根車の羽根によって囲まれた空間の容積変化を利用してポンプ作用を行うようにしたものである。
【0066】
循環式給排水装置307は、支持架台303の内部に上部タンク313と下部タンク315を備えることによって一例として構成されており、上部タンク313には、外部から水を供給するための給水ノズル317と、上部タンク313内の水位を計測するためのボールタップ319と、上部タンク313内の水温を計測するための温度センサ321と、が配置されている。
一方、下部タンク315内には、水中ポンプ323が配置されており、上述した水封式真空ポンプ305から排出され、排水経路311を通って下部タンク315内に貯った水を汲み上げて上部タンク313に供給できるように構成されている。
【0067】
尚、上記水中ポンプ323と上部タンク313とを接続する循環経路325の途中には、一例としてモータによって駆動される三方弁327が配置されており、当該三方弁327を適宜切り替えることによって、上記水中ポンプ323によって汲み上げた水を上部タンク313内に供給したり、外部に排水できるように構成されている。
また、上部タンク313内の底部から上述した給水経路309が延びており、該給水経路309の他端が上述した水封式真空ポンプ305に接続されている。更に、上記乾燥室本体11と水封式真空ポンプ305を接続している排出経路235の途中には、外部から空気を取り込んで経路内の圧力を調整するニードル弁247が配置されている。
【0068】
そして、このようにして構成される蒸気供給装置201と減圧装置301とを備える本実施の形態のマイクロ波減圧揺動乾燥機1Bによっても、前記第1の実施の形態と同様の作用、効果が発揮されて被乾燥物Aの素材の持つ風味や有効成分等を壊すことなく、均一に短時間で多くの被乾燥物Aを乾燥させることが可能になる。
更に、本実施の形態にあっては、マイクロ波減圧揺動乾燥機1Bの用途が拡大して生茶葉A0を蒸熱茶葉A1に加工し、更に乾燥茶葉A2に加工するまでの製茶工程を単一のマイク波減圧揺動乾燥機1Bを使用して実行することが可能になる。また、水封式真空ポンプ305を使用した減圧装置301の採用により、乾燥室本体11内のドレンや水分を含んだ不要のガスが外部に排出される。
【0069】
(3)第3の実施の形態(
図17参照)
第3の実施の形態のマイクロ波減圧揺動乾燥機1Cは、前記第2の実施の形態のマイクロ波減圧揺動乾燥機1Bと概略において同様の構成を有しており、蒸気供給装置501の構成のみが前記第2の実施の形態の蒸気供給装置201と相違している。
したがって、ここでは前記第2の実施の形態と相違する蒸気供給装置501の構成を中心に説明する。
即ち、本実施の形態では、
図17に示すようにボイラー設備503と、冷却機505と、蒸気供給経路507とを備えた構成の蒸気供給装置501が採用されている。
【0070】
図17に示す蒸気供給装置501では、前述した第2の実施の形態で述べた
図16に示す蒸気供給装置201のボイラー設備203と同様のボイラー設備503が設けられており、該ボイラー設備503には、ボイラー509と圧力ゲージ511と減圧弁513とバイパス弁515とが備えられている。そして、上記ボイラー設備503からジャケット81に向けて蒸気供給経路507が延びており、該蒸気供給経路507の上流位置に二方弁517を経由して冷却機505が配置されている。
冷却機505としては、冷却ファン519と冷却管路521とを備えた送風式の冷却装置が一例として適用でき、該冷却機505の下流には、温度センサ523を経由して給水タンク525から延びる給水経路527との合流点に設けられているミストノズル529に至るように構成されている。尚、上記冷却ファン519による風量は、上記温度センサ523で検知した蒸気温の高低に基づいて適宜、増減し得るように制御されている。
【0071】
給水タンク525には、冷却機505によって冷却された蒸気の温度が高い場合に当該蒸気の温度を下げるための水が蓄えられており、更に当該水の水位を検出するためのボールタップ531と、水位が低くなった場合に水を補給するノズル533とが設けられている。また、上記給水タンク525の下流の給水経路527上には二方弁535が設けられている。
【0072】
上記ミストノズル529に供給された水はミスト化され、冷却機505から供給された低温蒸気といっしょになって、下流側の蒸気供給経路507を通って途中、二方弁535を経由してジャケット81内へ導かれる。また、蒸気供給経路507の下流側の終端には、圧力センサ537が設けられており、当該圧力センサ537によって検知されたミスト混合蒸気の圧力の大小に基づいて前述した冷却機505の上流位置の二方弁517の開閉が適宜、制御されるように構成されている。
【0073】
そして、このようにして構成される蒸気供給装置501を備える本実施の形態のマイクロ波減圧揺動乾燥機1Cによっても、前述した第2の実施の形態と同様の作用、効果が発揮されて被乾燥物Aの素材の持つ風味や有効成分等を壊すことなく、均一に短時間で多くの被乾燥物Aを効率良く乾燥させることが可能になる。
また、本実施の形態にあっても、前記第2の実施の形態と同様、製茶工程にマイクロ波減圧揺動乾燥機1Cを利用でき、乾燥室本体11内のドレンや水分を含んだ不要のガスを外部に排出することが可能になる。
【0074】
(4)第4の実施の形態(
図18及び
図19参照)
本発明の乾燥食品等の製造方法は、乾燥室本体11の外部に揺動ドラム7を引き出し、窓部6を上にして被乾燥物Aを投入する投入工程S1と、揺動ドラム7を乾燥室本体11内に収容して連結部145を連結状態にし、乾燥室本体11を密閉状態にする乾燥準備工程S2と、乾燥室本体11内の雰囲気を減圧状態にし、所定時間、マイクロ波を被乾燥物Aに照射して揺動させながら乾燥させる揺動乾燥工程S3と、乾燥終了後、乾燥室本体11の外部に揺動ドラム7を引き出し、該窓部6を排出口5として被乾燥物Aを排出する排出工程S4と、を基本的に備えることによって構成されている。
【0075】
そして、上記各工程の実行に当たって、前述したマイクロ波減圧揺動乾燥機1を使用するように構成されている。
以下、前述した
図1〜
図15に示す第1の実施の形態に係るマイクロ波減圧揺動乾燥機1Aを使用して被乾燥物Aを乾燥させる場合を例にとって、
図18にしたがって、(A)投入時と、(B)乾燥準備時と、(C)揺動乾燥時と、(D)排出時とに分けて、当該マイクロ波減圧揺動乾燥機1Aの作動態様と合わせて上記各工程の内容を説明する。
また、上記説明の後、上記マイクロ波減圧揺動乾燥機1Aを使用して抽出用の乾燥茶葉を製造する場合の製造の流れを(E)として
図19にしたがって説明する。
【0076】
(A)投入時(
図18(a)参照)
投入工程S1は、乾燥室本体11の外部に揺動ドラム7を引き出し、該揺動ドラム7を周方向に回転させて窓部6を上にし、該窓部6を投入口3として被乾燥物Aを投入する工程である。
本工程では、開閉扉13の取っ手47を持って開閉扉13を開き、乾燥室本体11の開口部9を拡開状態にする。次に、スライド架台125aの前面に設けられている取っ手126に手を掛けてスライド架台125を手前に引き出し、揺動ドラム7の引出し端を決める第1ストッパ137に第1凸部131aが当接するまで移動させる。
【0077】
次に、揺動ドラム7を周方向に回して窓部6を上にした状態にし、該窓部6から揺動ドラム7内に所定量の被乾燥物Aを投入する。
尚、揺動ドラム7を引き出した
図18(a)に示す状態では、連結部145の連結状態は解除されているため、駆動軸147は自由に回転できる状態になっている。したがって、揺動ドラム7は駆動軸147側から大きな抵抗を受けることなく、手動でも周方向に容易に回転できる状態になっている。
【0078】
(B)乾燥準備時(
図18(b)参照)
乾燥準備工程S2は、被乾燥物Aを投入した揺動ドラム7を窓部6を上にした状態のまま、乾燥室本体11内に収容して連結部145を連結状態にし、開閉扉13を閉塞して乾燥室本体11を密閉状態にする工程である。
本工程では、スライド架台125の前面に設けられている取っ手126を持ってスライド架台125を奥部に向けて押し込み、揺動ドラム7の収容端を決める第2ストッパ139に第2凸部131bが当接するまで移動させる。
【0079】
尚、第2ストッパ139に第2凸部131bが当接する位置では、連結凸部149が連結チャック157に係合した状態になって連結部145は連結状態になる。
次に、開閉扉13の取っ手27を持って開閉扉13を閉め、更にロックハンドル48aを所定の方向に回してすべてのロック装置48をロック状態にする。
尚、この状態では、前述したシール構造63によって乾燥室本体11内の気密性が保たれ、前述したマイクロ波漏洩防止機構71の作用でマイクロ波の漏洩が高周波回路的に防止されている。
【0080】
(C)揺動乾燥時(
図18(c)参照)
揺動乾燥工程S3は、減圧装置17を駆動して乾燥室本体11内の雰囲気を所定の減圧状態にすると共に、揺動駆動手段19を駆動して揺動ドラム7を揺動させた状態で所定時間、マイクロ波を被乾燥物Aに照射して所定の含水率になるまで揺動しながら乾燥させる工程である。
本工程では、開閉弁57を開いて真空ポンプ55を駆動し、乾燥室本体11内の雰囲気を当該乾燥物Aの乾燥に適した減圧状態にする。また、同時にマイクロ波照射装置15を作動させて、当該被乾燥物Aの乾燥に適した所定のマイクロ波出力に調節し、当該マイクロ波を被乾燥物Aに向けて照射する。
【0081】
尚、乾燥中の乾燥室本体11内の圧力と温度は、上述した圧力センサ167と温度センサ169によって監視されており、これらの圧力センサ167と温度センサ169から送られてくる圧力情報と温度情報とに基づいて制御装置21によって真空ポンプ55とマイクロ波照射装置15と吸入弁25とが制御されて当該乾燥に最適な圧力と温度に乾燥室本体11内の雰囲気が設定され保持される。
また、揺動駆動手段19のモータ163が駆動され、該モータ163の出力軸の回転は、回転プレート162と、連結ロッド159と、揺動アーム158とに伝達されて駆動軸147の所定の揺動角度の揺動運動に変換される。
また、上記駆動軸147の揺動運動は、駆動スプロケット113と従動チェーン115とを介して揺動ドラム7に伝達され、揺動ドラム7は正転方向Pと逆転方向Qとに交互に向きを変えて揺動するようになる。
【0082】
(D)排出時(
図18(d)参照)
排出工程S4は、乾燥終了後、減圧装置17、揺動駆動手段19及びマイクロ波照射装置15の駆動を停止し、開閉扉13を開けて乾燥室本体11の外部に揺動ドラム7を引き出し、該揺動ドラム7を周方向に回転させて窓部6を下にし、該窓部6を排出口5として下方の受皿49上に被乾燥物Aを排出する工程である。
本工程では、真空ポンプ55及びマイクロ波照射装置15の駆動を停止し、吸入弁25を開いて乾燥室本体11内の圧力を大気圧に戻す。また、モータ163の駆動を停止して揺動ドラム7の揺動を停止させる。
【0083】
次に、開閉扉13のロックハンドル48aを所定方向に回してすべてのロック装置48のロック状態を解除し、開閉扉13の取っ手47を持って開閉扉13を手前に開く。
更に、スライド架台125の前面に設けられている取っ手126に手を掛けてスライド架台125を手前に引き出すと、上記連結部145の連結状態は自動的に解除され、揺動ドラム7の引出し端を決める第1ストッパ137が第1凸部131aに当接する位置まで揺動ドラム7は引き出されて移動を停止する。
そして、揺動ドラム7を周方向に回して窓部6を下にした状態にし、該窓部6から揺動ドラム7内の乾燥された被乾燥物Aを下方に設置した受皿49上に排出する。
【0084】
(E)抽出用の乾燥茶葉を製造する場合の製造の流れ(
図19参照)
本実施の形態の乾燥食品等の製造方向を利用して抽出用の乾燥茶葉A3を製造する場合には、例えば
図19に示す製造ラインLDの流れにしたがって製造する。
まず、蒸熱工程S0において、収穫した生茶葉A0を100℃以下の低温蒸気で所定時間加熱して蒸熱茶葉A1を得る。尚、ここで使用する蒸機ないし蒸気を利用した乾燥機41としては、上記のような低温蒸しが可能な構造を有していることが条件となる。
尚、ここで行う低温蒸しの条件として、低温蒸気の温度を40℃〜70℃程度、蒸し時間を10分〜30分程度にした条件を一例として採用することが可能である。
【0085】
次に、上記蒸熱工程S0で得られた蒸熱茶葉A1を、前述した第1の実施の形態のマイクロ波減圧揺動乾燥機1Aに供給して、上述した投入工程S1、乾燥準備工程S2、揺動乾燥工程S3、排出工程S4を順次実行して所定の目標含水率になるまで乾燥させて乾燥茶葉A2を得る。
この場合、
図19(a)に示すように同じ乾燥温度(例えば35℃〜45℃)で目標含水率(例えば4%〜5%)になるまで一挙に乾燥させて乾燥茶葉A2を得ることも可能であるし、
図19(b)に示すように、途中で乾燥温度等を変えて段階的に目標含水率に近付けて行くように当該揺動乾燥工程S3を更に複数の工程に分けて乾燥を実施することも可能である。
【0086】
そして、このようにして製造された乾燥茶葉A2は、そのまま抽出用の乾燥茶葉A3として湯で抽出して飲むこともできるし、更に均一な乾燥状態を得るための仕上げの乾燥を行ったり、乾燥茶葉A2の香りを際立たせるための火入れ処理を行って抽出用の乾燥茶葉A3とすることができる。
また、
図19(a)(b)に併せて示すように乾燥前の蒸熱茶葉A1または乾燥途中の乾燥茶葉A2に対して乾燥した、または未乾燥の果実や野菜等からなるフレーバーFを所定量(例えば茶葉の重量の5%〜10%)添加することが可能であり、更に製造された乾燥茶葉A2は、ドリンク剤等に入れる原料茶として使用したり、後述するような二次的な加工を行うことで製造される乾燥食品等Dの原料として使用することが可能である。
【0087】
このようにして構成される本実施の形態の乾燥食品等の製造方法によると、被乾燥物Aの投入、乾燥準備、揺動乾燥、排出といった一連の工程を単一のマイクロ波減圧揺動乾燥機1を使用して効率良く連続的に実行することが可能になり、素材の持つ風味や有効成分等を多く残存させた高品質の乾燥食品等Dを効率良く、多く製造できるようになる。
【0088】
(5)第5の実施の形態(
図20参照)
第5の実施の形態の乾燥食品等の製造方法は、前述した第4の実施の形態で本発明のマイクロ波減圧揺動乾燥機1を使用して行う本工程の前工程として実施した蒸熱工程S0を、マイクロ波減圧揺動乾燥機1を使用して行う本工程内に組み込んだ実施の形態である。
したがって、本実施の形態では、
図16及び
図17に示すように蒸気供給装置201ないし501を備えたマイクロ波減圧揺動乾燥機1Bないし1Cが使用される
【0089】
即ち、本実施の形態では、被乾燥物Aが茶葉である場合には、投入工程S1において揺動ドラム7内に投入する被乾燥物Aは生茶葉A0になり、前記乾燥準備工程S2と揺動乾燥工程S3との間に蒸熱工程S0が備えられる構成となる。
したがって、ここでは前記第4の実施の形態と相違する蒸熱工程S0を中心にして(A)の蒸熱時の中で説明し、該蒸熱工程S0を本工程に組み込んだ場合の抽出用の乾燥茶葉を製造する場合の製造の流れを(B)として
図20にしたがって説明する。
【0090】
(A)蒸熱時(
図16、17及び
図20参照)
蒸熱工程S0は、密閉状態の乾燥室本体11内に収容された揺動ドラム7内に投入された生茶葉A0に対して、100℃以下の低温蒸気を所定時間浴びせて蒸熱茶葉A1を得る工程である。
蒸熱工程S0では、前述した蒸気供給装置201ないし501と減圧装置301とを一例として使用して、乾燥室本体11内を所定の減圧雰囲気にした状態で上記設定温度の低温蒸気を乾燥室本体11内に供給して蒸熱を行う。
具体的には、低温蒸気の温度を40℃〜70℃程度に設定し、10分〜30分程度、生茶葉A0を低温蒸しして、蒸熱茶葉A1に加工する。
【0091】
(B)抽出用の乾燥茶葉を製造する場合の製造の流れ(
図20参照)
本実施の形態の乾燥食品等の製造方法を利用して抽出用の乾燥茶葉A3を製造する場合には、例えば
図20に示す製造ラインLDの流れにしたがって製造する。
まず、収穫した生茶葉A0を前述した第2の実施の形態のマイクロ波減圧揺動乾燥機1Bないし第3の実施の形態のマイクロ波減圧揺動乾燥機1Cに直接供給して、投入工程S1、乾燥準備工程S2、蒸熱工程S0、揺動乾燥工程S3、排出工程S4を順次実行して所定の目標含水率になるまで乾燥させて乾燥茶葉A2を得る。
【0092】
この場合、蒸熱工程S0では低温蒸気の温度を一例として40℃〜70℃程度、蒸し時間を10分〜30分程度に設定する。
また、揺動乾燥工程S3では、前記第4の実施の形態と同様、
図20(a)に示すように同じ乾燥温度(例えば35℃〜45℃)で目標含水率(例えば4%〜5%)になるまで一挙に乾燥させて乾燥茶葉A2を得ることも可能であるし、
図20(b)に示すように途中で乾燥温度等を変えて段階的に目標含水率に近付けて行くように当該揺動乾燥工程S3を更に複数の工程に分けて乾燥を実施することも可能である。
【0093】
そして、このようにして製造された乾燥茶葉A2は、前記第4の実施の形態と同様、そのまま抽出用の乾燥茶葉A3として湯に抽出して飲むこともできるし、更に火入れ処理等を行って抽出用の乾燥茶葉A3に加工することが可能である。
また、
図20(a)(b)に併せて示すように生茶葉A0と同時に、あるいは乾燥途中の段階でフレーバーFを添加することが可能であり、更に製造された乾燥茶葉A2は、ドリンク剤等に入れる原料茶として使用したり、後述するような二次的な加工を行うことで製造される乾燥食品等Dの原料として使用することが可能である。
【0094】
このようにして構成される本実施の形態の乾燥食品等の製造方法によると、被乾燥物Aの投入、乾燥準備、蒸熱、揺動乾燥、排出といった一連の工程を単一のマイクロ波減圧揺動乾燥機1を使用して効率良く連続的に実行することが可能になり、素材の持つ風味や有効成分等を多く残存させた高品質の乾燥食品等Dを更に効率的に多く製造できるようになる。
【0095】
(6)第6の実施の形態(
図21参照)
第6の実施の形態の乾燥食品等の製造方法は、前述した第4の実施の形態の排出工程S4の後工程として、乾燥された被乾燥物Aに二次加工を施して乾燥食品等Dを得る二次加工工程を備えた実施の形態である。
そして、本実施の形態では上記二次加工工程として計量工程S51とプレス工程S52によって構成される計量・プレス工程S5と、上記プレス工程S52で成形されたシート状中間乾燥品T1を更に乾燥させる二次乾燥工程S6と、該二次乾燥工程S6を経て製造されたシート状乾燥品T2を使用して種々の形状の茶葉乾燥食品D0、D1、D2、D3、D4を得るための切断工程S7と、包装工程S8と、膨化発泡工程S9とを備えた構成が採用されている。
【0096】
このうち、計量・プレス工程S5は、排出工程S4を経て排出された目標含水率(本実施の形態では一例として23%程度)になるまで乾燥させた乾燥茶葉A2を計量器415で計量し、プレス装置417にかけて所定の厚さ(例えば5mm〜10mm)のシート状中間乾燥品T1に加工する工程である。
また、二次乾燥工程S6は、上記計量・プレス工程S5で加工されたシート状中間乾燥品T1をマイクロ波減圧乾燥器461に投入して目標含水率(例えば23%程度)以下になるまで乾燥させてシート状乾燥品T2を得る工程である。
【0097】
尚、二次乾燥工程S6で使用されるマイクロ波減圧乾燥機461としては、マイクロ波容量が約1.9kw、マイクロ波出力が一例として80〜40%のマイクロ波照射装置を2基配設したものが一例として使用でき、乾燥中のシート状中間乾燥品T1の品温が常時40℃程度になるようにマイクロ波出力を制御して、上記水分量になるまで所定時間、シート状中間乾燥品T1を乾燥させてシート状乾燥品T2を得るようにする。
【0098】
切断工程S7は、上記二次乾燥工程S6で加工されたシート状乾燥品T2を切断機491に投入して所定形状の乾燥食品等Dに切断する工程である。
具体的には、円板状のカッタ刃493を上記カット幅の間隔で複数枚配設し、上記シート状乾燥品T2を投入ホッパ495に投入して
図21に示すような角棒状の茶葉乾燥食品D0を得る。次いで、得られた角棒状の茶葉乾燥食品D0を再び切断機491の投入ホッパ495に横向きで投入すれば、
図21に示すようにキューブ状の茶葉乾燥食品D1が多数得られる。
【0099】
更に、
図21では、上記切断工程S7で得られたキューブ状の茶葉乾燥食品D1を使用した包装工程S8と、上記切断工程S7で製造した角棒状の茶葉乾燥食品D0を使用した膨化発泡工程S9が図示されている。
このうち包装工程S8は、切断工程S7でキューブ状に切断された茶葉乾燥食品D1をツイスト包装で1個ずつ包装し個別包装品としての茶葉乾燥食品D2を作り、または横ピロー包装で4〜6個ずつ包装して小分け包装品としての茶葉乾燥食品D3を作り、更にこれらをまとめて複数量カートンに詰めて本包装する工程である。
尚、このようにして製造された茶葉乾燥食品D2、D3は、従来には存在しなかった形状及び包装形態を有しており、用途の拡大によって緑茶の需要の拡大にも大きく貢献する。
【0100】
また、膨化発泡工程S9は、上記切断工程S7で得られた角棒状の茶葉乾燥食品D0を密閉容器である膨化発泡装置481に入れて加熱し高圧になったところで開放して膨化発泡された茶葉乾燥食品D4を得る工程である。
そして、このような膨化発泡工程S9を採用した場合には、「フワフワ」「サクサク」の食感を呈し、より一層おいしく食べられる。勿論、湯や水を入れてその抽出液を飲むこともできるし、残った固形分を食べることができる。また、抽出しないでそのまま食べてもおいしく食べることが可能であり、粗砕ないし粉末状に二次加工すれば粉末茶、打錠用原料、食品添加物またはドリンク茶の抽出原料等として使用することも可能である。
【0101】
このようにして構成される本実施の形態の乾燥食品等の製造方法によると、被乾燥物Aの投入、乾燥準備、揺動乾燥、排出といった一連の工程を単一のマイクロ波減圧揺動乾燥機1を使用して効率良く連続的に実行することが可能になり、素材の持つ風味や有効成分等を多く残存させた高品質の乾燥食品Dを効率的に多く製造できるようになる。
また、上述した二次加工工程を実行することで従来には存在しなかった乾燥食品等を効率良く製造できるようになる。
【0102】
尚、本発明のマイクロ波減圧揺動乾燥機1及び乾燥食品等の製造方法は、前記の実施の形態のものに限定されず、その発明の要旨内での変更が可能である。
例えば、揺動駆動手段19の構造としては、前記第1の実施の形態で述べた構造に限らず、他の構造の揺動リンク機構を採用したり、カム機構やラック・ピニオン機構を利用した他の構造を採用することが可能である。また、被乾燥物Aの種類や量に応じて揺動ドラム7の揺動角度や揺動速度等を可変し得る構成を付加することも可能である。
【0103】
この他、開閉扉13の開閉と、揺動ドラム7の乾燥室本体11からの出し入れと、投入時と排出時に行う揺動ドラム7の回転については自動化することが可能であり、前記第2の実施の形態と第3の実施の形態において採用した減圧装置301の構成を前記第1の実施の形態の減圧装置17Aの構成として採用することも可能である。
更に、前記揺動ドラム7のドラム本体103の周胴部に形成した窓部6の大きさや形状は、被乾燥物Aの種類や量に応じて適宜調整することが可能であり、揺動ドラム7の揺動角度が大きい場合や大量の被乾燥物Aを処理する場合には、上記窓部6を閉塞する蓋部等を設けることも可能である。