特許第6086430号(P6086430)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6086430ゴレイ符号系列相関器およびそれを用いた等化器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6086430
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】ゴレイ符号系列相関器およびそれを用いた等化器
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/10 20060101AFI20170220BHJP
   H04B 1/10 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   H04B3/10 A
   H04B1/10 M
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-26402(P2013-26402)
(22)【出願日】2013年2月14日
(65)【公開番号】特開2014-155214(P2014-155214A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年12月10日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)総務省委託「電波資源拡大のための研究開発」の一環、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】船田 龍平
(72)【発明者】
【氏名】原田 博司
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−209736(JP,A)
【文献】 特開2012−209886(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0183082(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 3/10
H04B 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴレイ符号系列を用いて相関を得るゴレイ符号系列相関器であって、
前記ゴレイ符号系列に含まれる2種類のコンプリメンタリなゴレイ符号のそれぞれについて、所定の順番に入れ替える順番入替部と、
順番が入れ替えられた前記ゴレイ符号に対してかけ合わせと加算または減算を行い、相関を取得する複数段の演算部と、
前記複数段の演算部における1段目の演算部と2段目の演算部の間に設けられ、前記相関の取得に用いられる前記演算部の段数を前記ゴレイ符号のビット数に応じて変更するスイッチと、
を備えることを特徴とするゴレイ符号系列相関器。
【請求項2】
前記演算部は7段設けられていて、前記スイッチにより、前記相関の取得に用いられる前記演算部の段数を7段または6段に切り替え可能であることを特徴とする請求項1記載のゴレイ符号系列相関器。
【請求項3】
周波数等化を行うことで信号歪みを補償する等化器であって、
入力信号を所望の並列数に変換する並列数変換部と、
前記並列数変換部からの出力信号に含まれるゴレイ符号系列に対する相関値を得るゴレイ符号系列相関器と、
前記ゴレイ符号系列相関器からの出力信号に対してフーリエ変換処理を施すことにより、時間領域を周波数領域に変換するFFT部と、
前記FFT部によりフーリエ変換処理して得られる信号を用いて、前記ゴレイ符号系列相関器からの出力信号の周波数応答特性を算出するチャネル推定器と、
前記FFT部からの出力信号について、前記チャネル推定器により算出された前記周波数応答特性に基づき、MMSE規範により周波数の歪みを補償するMMSE補償器と、
前記MMSE補償器からの出力信号に対して逆フーリエ変換処理を施すことにより、前記周波数領域を再び前記時間領域に変換するIFFT部と、
を備え、前記ゴレイ符号系列相関器は、請求項1または2に記載されているゴレイ符号系列相関器であることを特徴とする等化器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチギガビット伝送を可能とする超高速無線通信システム端末において、ゴレイ符号系列の相関に基づきマルチパス信号歪みを補償するゴレイ符号系列相関器およびそれを用いた等化器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、世界各国において、60GHz帯を用いた超広帯域無線通信システムによる、シングルキャリア伝送方式を用いた2Gbps以上の超高速通信の研究開発が進められている。
【0003】
こうしたミリ波超高速通信においては、従来通信と同様、マルチパス及び高周波回路の周波数特性に起因した信号歪みが問題となっている。
【0004】
シングルキャリア伝送方式にマルチパスや高周波信号歪みに対処する技術として、例えば周波数等化が挙げられる。周波数等化は、時間領域の受信信号をFFTにより周波数領域に変換し、最小平均2乗誤差(MMSE)補償器等により周波数領域での等化処理を行った後、IFFTにより再び時間領域に戻して出力することで行われる。こうした処理を行う無線送受信機には、周波数等化機能を有する等化器が設けられている。
【0005】
等化器による等化処理には、信号歪み特性である周波数応答特性が用いられている。周波数応答特性は、時間領域における相互相関関数(以後、単に「相関」という。)をフーリエ変換することで得られる。相関は、関数の周期性を把握し、2つの信号の類似性を判断するために用いられる情報であり、等化器においては同期や自動位相制御計算等に使用されている。
【0006】
こうした相関を求める方法として、例えばスライディング相関を用いる方法(非特許文献1参照)や、ゴレイ符号系列等の特定系列においてバタフライ相関を用いる方法がある(非特許文献2参照)。図5は、バタフライ相関を示す模式図であり、Dは遅延数、Wは1もしくは−1の重みを表している。これらの方法では、既知信号系列を伝送するとともに、その受信信号に対する当該既知信号系列の畳み込みが行われている。
【0007】
そして、畳み込みの結果、ピークとなる場所が2つの系列が重なる場所であり、当該ピーク値以外でも同様のピークが立つ場合には、受信信号にノイズが多く含まれていることが分かる。こうしたピーク値を介して2つの系列の比較を行うことにより、相関を得ることができる。
【0008】
こうした相関の取得において用いられている既知信号系列として、M系列、ゴールド符号系列、ゴレイ符号系列等が挙げられる。このうち、超高速通信に対応したIEEE( HYPERLINK "javascript:void(0);" Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.3cやIEEE802.11adのような無線通信システムにおいては、一般的にゴレイ符号系列が用いられている。
【0009】
ゴレイ符号系列は、2種類のコンプリメンタリなゴレイ符号により構成されている。ゴレイ符号系列は、送信側から送信されるパケットの先頭部分であるプリアンブル等に組み込まれていて、受信機側は、このゴレイ符号系列に対する相関を得ることで、パケット同期やチャネル(インパルス)応答推定を行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】“IEEE Std 802.11TM−2012,”IEEE Computer Society, 29 May 2006
【非特許文献2】IEEE802.15−700−04−003c, 29 May 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、IEEE802.11adのような1チャンネル当り2GHz超の超広帯域で超高速無線伝送を行うことが可能な無線通信システムにおいてスライディング相関を用いようとすると、要求される信号処理に必要な動作速度が早いため、多ビット入力で高精度に相関を得ることは難しい。
【0012】
また、超高速無線伝送においてバタフライ相関を用いる場合も、同様に必要な動作速度が早いため、構成を大型化することなくFPGA( HYPERLINK "javascript:void(0);" Field Programmable Gate Array)やASIC( HYPERLINK "javascript:void(0);" Application Specific Integrated Circuits)等に実装し、超高速無線通信システム端末とすることは現状では難しい。
【0013】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、超高速無線伝送に際し、要求される動作速度を減少させるとともに、装置を大型化することなく、1種類の回路により様々な種類、長さのゴレイ符号系列に関する相関を得ることのできるゴレイ符号系列相関器およびそれを用いた等化器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上述した課題を解決するために、超高速無線伝送において、動作可能な速度に合わせて回路を構成できると共に、装置の大型化を効果的に抑制し、更に1種類の回路により様々な種類のゴレイ符号系列に関する相関を得ることのできるゴレイ符号系列相関器およびそれを用いた等化器を発明した。
【0015】
第1発明に係るゴレイ符号系列相関器は、ゴレイ符号系列を用いて相関を得るゴレイ符号系列相関器であって、前記ゴレイ符号系列に含まれる2種類のコンプリメンタリなゴレイ符号のそれぞれについて、所定の順番に入れ替える順番入替部と、順番が入れ替えられた前記ゴレイ符号に対してかけ合わせと加算または減算を行い、相関を取得する複数段の演算部と、前記複数段の演算部における1段目の演算部と2段目の演算部の間に設けられ、前記相関の取得に用いられる前記演算部の段数を前記ゴレイ符号のビット数に応じて変更するスイッチと、を備えることを特徴とする。
【0016】
第2発明に係るゴレイ符号系列相関器は、第1発明のゴレイ符号系列相関器であって、前記演算部は7段設けられていて、前記スイッチにより、前記相関の取得に用いられる前記演算部の段数を7段または6段に切り替え可能であることを特徴とする。
【0017】
第3発明に係る等化器は、周波数等化を行うことで信号歪みを補償する等化器であって、入力信号を所望の並列数に変換する並列数変換部と、前記並列数変換部からの出力信号に含まれるゴレイ符号系列に対する相関値を得るゴレイ符号系列相関器と、前記ゴレイ符号系列相関器からの出力信号に対してフーリエ変換処理を施すことにより、時間領域を周波数領域に変換するFFT部と、前記FFT部によりフーリエ変換処理して得られる信号を用いて、前記ゴレイ符号系列相関器からの出力信号の周波数応答特性を算出するチャネル推定器と、前記FFT部からの出力信号について、前記チャネル推定器により算出された前記周波数応答特性に基づき、MMSE規範により周波数の歪みを補償するMMSE補償器と、前記MMSE補償器からの出力信号に対して逆フーリエ変換処理を施すことにより、前記周波数領域を再び前記時間領域に変換するIFFT部と、を備え、前記ゴレイ符号系列相関器は、第1発明または第2発明に係るゴレイ符号系列相関器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第1発明に係るゴレイ符号系列相関器によると、超高速無線伝送において、要求される動作速度を減少させつつ、装置の大型化を効果的に抑制するとともに、1種類の回路により様々な種類のゴレイ符号系列に関して、コンプリメンタリな系列の相関を同時に得ることができる。
【0019】
第2発明に係るゴレイ符号系列相関器によると、1種類の回路により、128ビットと64ビットの2種類のゴレイ符号系列に関する相関を得ることができる。
【0020】
第3発明に係る等化器によると、超高速無線伝送において、要求される動作速度を減少させつつ、装置の大型化を効果的に防止し、1種類の回路により様々な種類のゴレイ符号系列に関する相関を取得するとともに、当該相関を用いて周波数等化を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る等化器を示す構成ブロック図である。
図2】入力信号系列が所望の並列数に変換され、並列に用意されたゴレイ符号系列相関器に入力される様子を示す模式図である。
図3図1の等化器において用いられているゴレイ符号系列相関器を示す構成ブロック図である。
図4】2種類のコンプリメンタリなゴレイ符号について行われる所定の順番への入れ替えの例を示す模式図である。
図5】バタフライ相関を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態として、超高速無線が可能な無線通信システムにおいて用いられる等化器について説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る等化器を示す構成ブロック図である。図2は、入力信号系列が所望の並列数に変換され、並列に用意されたゴレイ符号系列相関器に入力される様子を示す模式図である。
【0024】
図1に示すように、等化器1は、並列数変換部2、ゴレイ符号系列相関器3、高速フーリエ変換(FFT)部4、最小平均2乗誤差(MMSE)補償器5、チャネル推定器6および高速逆フーリエ変換(IFFT)部7を備えて構成されている。この等化器1は、ゴレイ符号系列を用いて得た相関に基づき周波数等化を行うことでマルチパス信号歪みを補償する。
【0025】
並列数変換部2は、図2に示すように、入力信号を所望の並列数に変換した後、並列に用意したゴレイ符号系列相関器3に入力するための構成である。
【0026】
本実施形態では、まず、N並列の同相成分(Ich)および直交成分(Qch)の入力信号が並列数変換部2によりそれぞれM並列に変換されることで、低い動作周波数の信号に変換されている。
【0027】
各N並列入力信号は、現行の無線送受信機における処理に用いることは難しい場合にM並列入力信号に変換することで、現行の無線送受信機の構成を生かしつつ、以後の処理を行うことを可能にしている。
【0028】
更に、並列数変換部2では、同相成分、直交成分のM並列信号の各出力は、128並列信号に変換される。後述するように、本実施形態においては、ゴレイ符号系列相関器3は各相でM個並列に設けられているため、この数に合わせて入力信号の並列数が変換されている。
【0029】
こうして周波数を変換することで、無線送受信機に要求される動作速度を減少させることができる。
【0030】
ゴレイ符号系列相関器3は、並列数変換部2から並列もしくは直列に入力される信号系列をゴレイ符号系列長の並列数に変換し、コンプリメンタリな2つのゴレイ符号系列に対する相関(図2においてはA系列およびB系列の2つの相関値)を同時に取得するための構成である。本実施形態においては、M個の平列数のゴレイ符号系列相関器3が用意されている。
【0031】
FFT部4は、相関が得られた信号に対してフーリエ変換処理を施すことにより、時間領域を周波数領域に変換する構成である。
【0032】
MMSE補償器5は、FFT部4による処理後の信号について、MMSE規範に基づき周波数の歪みを無くす構成である。
【0033】
チャネル推定器6は、信号が無線チャネルを経由した際に受けた減衰と位相回転(伝送路歪み)を含むチャネル情報(インパルス応答)の取得を行う構成である。
【0034】
IFFT部7は、MMSE補償器5による処理後の信号に対して逆フーリエ変換処理を施すことにより、周波数領域を再び時間数領域に変換する構成である。
【0035】
なお、無線送受信機では、上述した等化機1による処理後の信号は、軟判定LDPC復号器等に送信される。軟判定LDPC復号器の場合、低密度パリティ検査(LDPC)を用いて軟判定が行われ、等化器1による処理後の信号が精度良く復号される。
【0036】
上述した本実施形態に係る等化器1では、スライディング相関と同等の結果を出すために、同一の回路を有するゴレイ符号系列相関器3がM個用意され、多ビット入力で動作している。これにより、要求される動作速度を減少させつつ、高精度に相関を得ることができる。
【0037】
次に、等化器1に設けられているゴレイ符号系列相関器3ついて、更に詳細な説明を行う。
【0038】
図3は、本実施形態において用いられるゴレイ符号系列相関器3を示す構成ブロック図である。本実施形態において用いられているゴレイ符号系列相関器3は、ゴレイ符号系列の順番を入れ替える順番入替部31と、7段の演算部32と、スイッチ33とを備えるとともに、これらの構成が接続されて構成されている。
【0039】
順番入替部31は、2種類のコンプリメンタリなゴレイ符号について、それぞれ所定の順番への入れ替えを行う。
【0040】
このゴレイ符号の順番の入れ替えは、例えば図4に示す順番に従い行われる。図4は、2種類のコンプリメンタリなゴレイ符号について行われる所定の順番への入れ替えの例を示してあり、上側の2つが128ビットのゴレイ符号の入れ替え順を、下側の2つが64ビットのゴレイ符号の入れ替え順を示している。
【0041】
この順番入替部31は、本実施例においては、128ビットのゴレイ符号用に2つ(図3の上側2つ)、64ビットのゴレイ符号用に2つ(図3の下側2つ)の、合計4つが用意されている。
【0042】
そして、図3の上側に示す2つの順番入替部31は、それぞれ図4の1番上および上から2番目に示す順番に従い、128ビットのゴレイ符号に対する順番の入れ替えを行う。
【0043】
また、図3の下側に示す2つの順番入替部31は、それぞれ図4の上から3番目および1番下に示す2つの順番に従い、64ビットのゴレイ符号に対する順番の入れ替えを行う。
【0044】
演算部32は、所定の順番に入れ替えられたゴレイ符号についてのかけ合わせと加算または減算とを行う構成である。演算部32は複数段用意されていて、それぞれの段について、セレクタ321と加算器(または減算器)322とが設けられており、相関を取るゴレイ系列に従って変更される。演算部32の段数は、以下に説明するように、ゴレイ符号系列のビット数に応じて変更される。
【0045】
本発明に係るゴレイ系列相関器3において必要となる演算部32の段数をN、ゴレイ符号のビット数をBとすると、NとBとは以下の関係式を満たすものとなる。
N=B
【0046】
例えば、ゴレイ符号系列のビット数が128である場合には、2N=128となり、Nは7となるため、7段の演算部32が必要となる。また、ゴレイ符号系列のビット数が64である場合には、2N=64となり、Nは6となるため、6段の演算部32が必要となる。
【0047】
そして、本実施形態に係るゴレイ符号系列相関器3では、128ビットおよび64ビットの2種類のゴレイ符号系列が想定されている。そのため、演算部32は7段設けられているとともに、必要に応じて後述するスイッチ33を切り替えることで、6段の演算部32のみを使用するように回路の切り替えを行うことができる。
【0048】
なお、本実施形態においては、演算部32は7段設けられているが、本発明においてはこれに限らず、想定されるゴレイ符号のビット数等に応じて、6段や、8段以上など、任意の段数を設定することができる。
【0049】
スイッチ33は、1段目の演算部32と2段目の演算部32の間に2つ設けられている。
【0050】
ゴレイ符号系列が128ビットの場合、2つのスイッチ33は、1段目の演算部32からの入力を受け付けるように切り替えられ、以後2段目、3段目、4段目、…、7段目、と順に処理が行われていく。
【0051】
一方、ゴレイ符号系列が64ビットの場合、スイッチ33は、1段目の演算部32からの入力を受け付けず、順番入替部31からの入力を直接受け入れるように切り替えられ、以後2段目、3段目、4段目、…、7段目、と順に処理が行われていく。
【0052】
従来のバタフライ相関器では、ゴレイ系列が直列入力されるとともに、回路内で多数の遅延素子を使用することが必要であるとともに、動作速度が満足しない場合には、相関ゴレイ符号系列の系列長と等しい数の相関器を用意する必要があった。例えば、128ビットのゴレイ符号系列については、加算器(減算器)は254×14個と、相当数の遅延素子が必要であった。
【0053】
このように、従来は加算器(減算器)を多数設ける必要があるため、ゴレイ符号系列のビット数の増加とともに、回路規模が大型化する傾向があった。
【0054】
しかし、本発明の実施形態において用いられているゴレイ符号系列相関器3では、必要となる加算器(減算器)322の個数は、段数によって決定される。
【0055】
例えば、本実施形態に係るゴレイ符号系列相関器3では、演算部32は7段設けられていて、各段について2^(8−k(k=1,2,・・・,7)段)の加算器(減算器)322が設けられている。例えば、1つのゴレイ符号系列相関器3内には、1並列につき254個の加算器がM並列分設けられている、すなわち、254×M個の加算器(減算器)322のみが設けられていることになる。
【0056】
このように、本発明に係るゴレイ符号系列相関器3では、演算部32の段数を系列長に合わせて1段、2段、…、6段、7段と増加させることで、各演算部32に設けられる加算器(減算器)322の数を、128個、64個、…、4個、2個と、順次半減することができる。
【0057】
また、本実施形態のゴレイ符号系列相関器3は、スイッチ33を切り替えることにより、128ビット、64ビット等、異なる種類のゴレイ符号系列についても、別系統の回路を設ける必要が無く、1種類の回路を用いて処理を行うことができる。
【0058】
さらに、本発明に係るゴレイ符号系列相関器3では、従来必要であった多数の遅延素子を削減することができる。
【0059】
こうした構成により、回路規模を小さくすることができ、ゴレイ符号系列相関器3およびそれを備える等化器1を小型化することができる。
【0060】
このように、本発明に係るゴレイ符号系列相関器3およびそれを備える等化器1によると、IEEE802.11adのような、要求動作速度の高いシステムにおいても、要求される動作速度を減少させつつ、装置の大型化を効果的に抑制するとともに、1種類の回路により様々な種類のゴレイ符号系列に関する相関を得ることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 等化器
2 並列数変換部
3 ゴレイ符号系列相関器
4 FFT部
5 ZF補償器
6 チャネル推定器
7 IFFT部
31 順番入替部
32 演算部
33 スイッチ
321 セレクタ
322 加算器(減算器)
図1
図2
図3
図4
図5