(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6086431
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】樹脂成形用金型装置及び樹脂成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 33/44 20060101AFI20170220BHJP
B29L 23/00 20060101ALN20170220BHJP
【FI】
B29C33/44
B29L23:00
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-67703(P2013-67703)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-188909(P2014-188909A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】500318520
【氏名又は名称】有限会社広和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(74)【代理人】
【識別番号】100151356
【弁理士】
【氏名又は名称】浅香 小百合
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 公幸
【審査官】
田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭51−24661(JP,A)
【文献】
特開2012−143906(JP,A)
【文献】
特開2003−117926(JP,A)
【文献】
特開2005−231055(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3093041(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/44
B29L 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金型装置がダイプレートに並列配置された樹脂成型用金型装置であって、前記複数の金型装置は、対向してZ軸方向に型開閉動作する一対の雌型と、ダイプレート中央に配置されたエジェクト機構に取り付けられるとともにX軸方向に延設されて当該一対の雌型の間に配された雄型A2と、Y軸方向に延設されて当該一対の雌型の間にてY軸方向に沿ってダイプレートの外部方向へスライド動作するスライド機構に取り付けられるとともにラックアンドピニオン機構によって外径が狭小動作する雄型Bを備え、前記複数の金型装置が三軸方向に同時に可動可能な型構成となっていることを特徴とする樹脂成形用金型装置。
【請求項2】
複数の金型装置がダイプレートに並列配置された樹脂成型用金型装置であって、前記複数の金型装置は、対向してZ軸方向に型開閉動作する一対の雌型と、固定シャフトに取り付けられるとともにY軸方向に延設されて当該一対の雌型の間に配された雄型A1と、前記Y軸方向に延設されて当該一対の雌型の間にて前記Y軸方向に沿ってダイプレートの外部方向へスライド動作する第1のスライド機構に取り付けられるとともにラックアンドピニオン機構によって外径が狭小動作する雄型B1と、前記雄型A1と前記雄型B1の高さ位置にて、X軸方向に沿ってダイプレートの外部方向へスライド動作する第2のスライド機構に取り付けられた雄型Cを備え、前記複数の金型装置が三軸方向に同時に可動可能な型構成となっていることを特徴とする樹脂成形用金型装置。
【請求項3】
複数の金型装置がダイプレートに並列配置された樹脂成型用金型装置であって、前記複数の金型装置は、対向してZ軸方向に型開閉動作する一対の雌型と、Y軸方向に互いに向かい合って配されて、当該一対の雌型の間にて前記Y軸方向に沿ってダイプレートの外部方向へスライド動作するスライド機構に取り付けられるとともにラックアンドピニオン機構によって外径が狭小動作する雄型Bと、前記雄型Bの高さ位置にて、X軸方向に沿ってダイプレートの外部方向へスライド動作する第2のスライド機構に取り付けられた雄型Cを備え、前記複数の金型装置が三軸方向に同時に可動可能な型構成となっていることを特徴とする樹脂成形用金型装置。
【請求項4】
複数の金型装置がダイプレートに並列配置された樹脂成型用金型装置であって、前記複数の金型装置は、対向してZ軸方向に型開閉動作する一対の雌型と、Y軸方向に延設されて当該一対の雌型の間にて前記Y軸方向に沿ってダイプレートの外部方向へスライド動作するスライド機構に取り付けられるとともにラックアンドピニオン機構によって外径が狭小動作する雄型Bを備え、前記複数の金型装置の一方が、ダイプレート中央に配置されたエジェクト機構に取り付けられるとともにX軸方向に延設されて当該一対の雌型の間に配された雄型A2を備え、前記複数の金型装置の他方が、固定シャフトに取り付けられるとともにY軸方向に延設されて当該一対の雌型の間に配された雄型A1と、前記雄型Aと前記雄型Bの間の位置にて、前記X軸方向に沿ってダイプレートの外部方向へスライド動作する第2のスライド機構に取り付けられた雄型Cを備え、複数の金型装置が三軸方向に同時に可動可能な型構成となっていることを特徴とする樹脂成形用金型装置。
【請求項5】
複数の金型装置がダイプレートに並列配置された樹脂成型用金型装置であって、前記複数の金型装置は、対向してZ軸方向に型開閉動作する一対の雌型と、Y軸方向に互いに向かい合って配されて、当該一対の雌型の間にて前記Y軸方向に沿ってダイプレートの外部方向へスライド動作するスライド機構に取り付けられるとともにラックアンドピニオン機構によって外径が狭小動作する雄型Bを備え、前記複数の金型装置の一方が、ダイプレート中央に配置されたエジェクト機構に取り付けられるとともにX軸方向に延設されて当該一対の雌型の間に配された雄型A2を備え、前記複数の金型装置の他方が、前記雄型Aと前記雄型Bの高さ位置にて、前記X軸方向に沿ってダイプレートの外部方向へスライド動作する第2のスライド機構に取り付けられた雄型Cを備え、複数の金型装置が三軸方向に同時に可動可能な型構成となっていることを特徴とする樹脂成形用金型装置。
【請求項6】
複数の金型装置がダイプレートに並列配置された樹脂成型用金型装置であって、前記複数の金型装置は、対向してZ軸方向に型開閉動作する一対の雌型と、Y軸方向に延設されて当該一対の雌型の間にて前記Y軸方向に沿ってダイプレートの外部方向へスライド動作するスライド機構に取り付けられるとともにラックアンドピニオン機構によって外径が狭小動作する雄型Bと、前記雄型Bの高さ位置にて、X軸方向に沿ってダイプレートの外部方向へスライド動作する第2のスライド機構に取り付けられた雄型Cを備え、前記複数の金型装置の一方が、固定シャフトに取り付けられるとともに前記Y軸方向に延設されて当該一対の雌型の間に配された雄型A1を備え、複数の金型装置が三軸方向に同時に可動可能な型構成となっていることを特徴とする樹脂成形用金型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形用金型装置及び樹脂成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳造は、自動車、航空機、産業機械等に用いられる機械部品や、水道バルブ、油圧バルブ等の管体や、配管部品等、多くの機械部品や構造部品に用いられている。鋳造は、複雑な形状のものを作るのに便利であり、シームレスで一体成型できるなどの特徴がある。主な鋳造方法としては、ロストフォーム法(フルモールド法)やロストワックス法(インベストメント法)、遠心鋳造法等が挙げられる。
【0003】
鋳造用の型としては、鋳物砂で作る砂型が一般に知られているが、金属製の金型の場合もある。
【0004】
鋳造用の消失模型としては、発泡ポリスチレン樹脂などの発泡性合成樹脂を成形した消失模型が一般に知られている。
【0005】
特許文献1には、金型装置にて製作した複数の管体構成部材を、接着剤や両面接着テープ等を用いて互いに接合して管体鋳造用の消失模型を作製することが記載されている。
【0006】
特許文献2には、アンダーカット部を有する円板形状の消失模型を作製する金型装置に関し、「移動型と固定型間にシャフトを装備し、シャフトの途中にはアンダーカット用型を装備してあり、移動型および固定型の一方の型とシャフトは固定され、他方の型とシャフトさらにはアンダーカット用型とシャフトとはスライド可能に設けられ、発泡成形時の型閉め時には移動型と固定型間にアンダーカット用型が位置し、型開き時には、シャフト方向に沿って移動型を固定型から離型するとともに、アンダーカット用型も移動型および固定型から離型し、アンダーカット部を有する発泡成形品を移動型および固定型から離型してアンダーカット用型と同伴させる発泡成形品の成形装置(その請求項4)」が記載されている。
特許文献3には、アンダーカット部を有する円環形状の消失模型を作製する金型装置に関し、「発泡成形金型内の一部に入れ込んであるアンダーカット金型と、このアンダーカット金型に連結してある一方側のラックと、この一方側のラックと噛合するとともに他方側のラックを作動するよう噛合するピニオンと、上記他方側ラックおよびこれと連結する駆動手段とを設けてあり、駆動手段の作動に伴う他方側のラックの作動によりピニオンを介して一方側のラックを引き込み作動させて、これと連結するアンダーカット金型を引き込んで発泡成形金型よりアンダーカット金型を取り出せるよう構成した成形装置(その請求項2)」が記載されている。
【0007】
特許文献4には、皿形状の発泡樹脂容器を作製する金型装置に関し、複数個同時成形すること、離型の際にエジェクトピンを用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−199324号公報
【特許文献2】特開2003−117926号公報
【特許文献3】特開2003−001634号公報
【特許文献4】特開昭59−051415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、既知の鋳造においては、依然として未解決の問題が多々ある。
【0010】
特許文献1記載の、金型装置にて製作した複数の管体構成部材を接着剤や両面接着テープ等を用いて互いに接合して管体鋳造用の消失模型とする方法は、複数の構成部材を接合することで複雑な形状とすることが容易であるが、その反面、複数の構成部材同士の接合面の接合が十分でないことがある。つまり、接着剤や両面接着テープ等の接合材を用いて、複数の構成部材を互いに接合すると、接着剤の量が少ない場合や、両面テープの強度不足等に起因して、接合面に隙間が出来ることがあり、この隙間によって、前記接合位置と対応する鋳物の位置に繋ぎ目(接合痕)が出来てしまう。そして、前記接合痕ができると、鋳物の強度が低下し、亀裂が入る虞がある。一方で、接着剤の量が多くなると、鋳物の外観が損なわれてしまうが、前記接合面の隙間の有無は目視判断し難く管理し難い。特に、各種バルブや配管部品では、高圧力に耐えられる信頼性の高い鋳物部品が必要とされる。また、各種バルブや配管部品等では、その構造上、鋳物の内側にアンダーカット(溝部)や凹凸形状等を設けることが多々あるが、アンダーカットや凹凸形状があると鋳物が型抜きし難くなる。そのうえ、複数の構成部材を接合することは部品点数や工数の増大となるため、手間がかかってしまい、生産性の低下とコストの上昇を招く。
【0011】
特許文献2や特許文献3記載の、アンダーカット部を有する消失模型を作製する金型装置は、円板形状や円環形状等の単純な形状では実用化されているが、特許文献1記載のような、複雑な形状ではまだ実用化できていない。また、特許文献4記載の、複数個同時成形することや離型の際にエジェクトピンを用いることについても、皿形状等の単純な形状では実用化されているが、特許文献1記載のような、複雑な形状ではまだ実用化できていない。
【0012】
つまり、上述のように、型抜き方向の長さが短い円板形状や円環形状や皿形状等においては、アンダーカット部を有している場合の成形技術が確立しつつあるが、型抜き方向の長さが長い管体で複雑な形状では、アンダーカット部を有している場合の成形技術はいまだに実用化には至っておらず、特許文献1記載のように、金型装置にて製作した複数の管体構成部材を接着剤や両面接着テープ等を用いて互いに接合して管体鋳造用の消失模型としているのが実情である。
【0013】
このような実情に鑑みて、本発明の目的は、型抜き方向の長さが長い管体で複雑な形状においても一度に製作でき、鋳物に接合痕が出来難い、高信頼性の鋳物を製造することが可能な、管体鋳造用樹脂模型を成形する樹脂成形用金型装置を提供するものである。さらには、型抜き方向の長さが長い管体で複雑な形状であったとしても生産性を飛躍的に向上させる複数個同時成形方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の樹脂成形用金型装置は、対向して型開閉動作する一対の雌型と、固定シャフトに取り付けられるとともに延設されて当該一対の雌型の間に配された雄型Aと、当該一対の雌型の間にてスライド動作するスライド機構に取り付けられるとともにラックアンドピニオン機構によって外径が狭小動作する雄型Bを備え、前記一対の雌型の型開閉方向と前記雄型Aの延設方向が直交し、かつ、前記一対の雌型の型開閉方向と前記雄型Bのスライド方向が直交し、三軸方向に可動可能な型構成となっていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、三軸方向に可動可能な型構成となっているので、一対の雌型を型閉じ型締めして樹脂注型し樹脂成形後に、一対の雌型を型開きし、ラックアンドピニオン機構によって外径を狭小動作させ、成形された樹脂から雄型Bを引き抜いて、その後、雄型Aから成形された樹脂を離型させることで、型抜き方向の長さが長い管体で複雑な形状においても樹脂成形品を一度に製作できる。よって、鋳物に接合痕が出来難い、高信頼性の鋳物を製造することが可能となる。
【0016】
本発明の樹脂成形用金型装置は、対向してZ軸方向に型開閉動作する一対の雌型と、固定シャフトに取り付けられるとともにY軸方向に延設されて当該一対の雌型の間に配された雄型Aと、当該一対の雌型の間にてY軸方向にスライド動作する第1のスライド機構に取り付けられるとともにラックアンドピニオン機構によって外径が狭小動作する雄型Bと、前記雄型Aと前記雄型Bの間の高さ位置にてX軸方向にスライド動作する第2のスライド機構に取り付けられた雄型Cを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、一対の雌型を型閉じ型締めして樹脂注型し樹脂成形後に、一対の雌型を型開きし、ラックアンドピニオン機構によって外径を狭小動作させ、成形された樹脂から雄型Bと雄型Cをそれぞれ引き抜いて、その後、雄型Aから成形された樹脂を離型させることで、型抜き方向の長さが長い管体で複雑な形状においても樹脂成形品を一度に製作できる。よって、鋳物に接合痕が出来難い、高信頼性の鋳物を製造することが可能となる。
【0018】
本発明の樹脂成形用金型装置は、対向してZ軸方向に型開閉動作する一対の雌型と、固定シャフトに取り付けられるとともにY軸方向に延設されて当該一対の雌型の間に配された雄型Aと、当該一対の雌型の間にてY軸方向にスライド動作する第1のスライド機構に取り付けられるとともにラックアンドピニオン機構によって外径が狭小動作する雄型Bと、前記雄型Aと前記雄型Bの間の高さ位置にてX軸方向にスライド動作する第2のスライド機構に取り付けられた雄型Cを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、一対の雌型を型閉じ型締めして樹脂注型し樹脂成形後に、一対の雌型を型開きし、ラックアンドピニオン機構によって外径を狭小動作させ、成形された樹脂から一対の雄型Bをそれぞれ引き抜いて、その後、雄型Aから成形された樹脂を離型させることで、型抜き方向の長さが長い管体で複雑な形状においても樹脂成形品を一度に製作できる。よって、鋳物に接合痕が出来難い、高信頼性の鋳物を製造することが可能となる。
【0020】
本発明は、樹脂成形後に前記雄型Aから離型させるためのエジェクト機構を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、成形された樹脂を確実かつスムーズに離型させることが容易となる。
【0022】
本発明に係る金型装置は三軸構成となっており、例えば、Y軸は上下方向となり、X軸は左右方向となり、Z軸は前後方向となる。例えば、Z軸は上下方向となり、Z軸は左右方向となり、Y軸は前後方向となる。例えば、X軸は上下方向となり、Z軸は左右方向となり、Y軸は前後方向となる。このように、前記三軸の配置構成は任意の配置構成とすることが可能である。
【0023】
前記一対の雌型は、蒸気圧、油圧、空圧、電動機等の動力によって型閉じ型締めして樹脂注型し樹脂成形後に、一対の雌型を型開きする構成となっているものであり、既知の機構が適用できる。
【0024】
前記ラックアンドピニオン機構は、油圧、空圧、電動機等の動力によって分割式雄型の外径が狭小動作する構成となっているものであり、既知の機構が適用できる。前記スライド機構は、油圧、空圧、電動機等の動力によって雄型又は分割式雄型を前記一対の雌型に挿入する動作と抜き出す動作をする構成となっているものであり、既知の機構が適用できる。
【0025】
前記エジェクト機構としては、油圧、空圧、電動機等の動力によってエジェクトピンを突き出して成形された樹脂(樹脂成形品)を押し出す構成や、エアー吐出力で前記樹脂模型を押し出す構成や、前記雄型Aを微振動させて成形された樹脂(樹脂成形品)を押し出す構成等が挙げられ、既知の機構が適用できる。
【0026】
前記樹脂は、熱可塑性樹脂であり、熱溶融消失体となっている。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、発泡ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等が挙げられる。
【0027】
本発明は、前記金型装置を複数並列配置して管体鋳造用樹脂模型を成形することを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、型抜き方向の長さが長い管体で複雑な形状であったとしても生産性を飛躍的に向上させる複数個同時成形が可能となる。例えば、異なる形状の管体を組み合わせて使用する場合等に、異なる形状の管体を複数同時成形することでセット受注に対して迅速に対応することが容易となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の樹脂成形用金型装置によれば、三軸方向に可動可能な型構成となっているので、型抜き方向の長さが長い管体で複雑な形状においても樹脂成形品を一度に製作できる。よって、鋳物に接合痕が出来難い、高信頼性の鋳物を製造することが可能となる。本発明によれば、成形された樹脂模型を確実かつスムーズに離型させることが容易となり、管体鋳造用樹脂模型の成形に好適な樹脂成形用金型装置となる。
【0030】
本発明の樹脂成形方法によれば、型抜き方向の長さが長い管体で複雑な形状であったとしても生産性を飛躍的に向上させる複数個同時成形が可能となる。そして、異なる形状の管体を複数同時成形することでセット受注に対して迅速に対応することが容易となる。
【0031】
これら本発明によって、複雑な形状としても鋳物に接合痕が出来難い、高信頼性の鋳物を、容易に製造することができ、特に、各種バルブや配管部品など、高圧力に耐えられる信頼性の高い鋳物部品を均質で再現性良く製造することができる高品質の樹脂成形品を製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明を適用した実施形態の樹脂成形用金型装置を側面側(Z方向)から示す図である。
【
図2】上記実施形態の金型装置を側面側(X方向)から示す図である。
【
図3】上記実施形態の金型装置における樹脂模型とラックアンドピニオン機構との関係を示す図であり、(a)は側面側から見た図であり、(b)は底面側から見た図である。
【
図4】本発明を適用した実施形態の樹脂成形用金型装置を側面側から示す図であり、(a)〜(d)はそれぞれ金型装置の組み合わせと配置を異ならせたパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて以下に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明と実質同一又は均等の範囲内において、既知の変更を加えることが可能である。
【0034】
(実施の形態)
図1は、本発明を適用した実施形態の樹脂成形用金型装置を側面側(Z方向)から示す図である。本実施形態の金型装置1は、水道バルブ用の管体を鋳造するための発泡樹脂模型101,102を同時成形する金型装置である。
【0035】
本実施形態の金型装置1は、金型装置11と金型装置21とを、ダイプレート201にセットして並列配置することで、形状の異なる発泡樹脂模型101と102とを同時成形する構成となっている(
図1)。ダイプレート201の外側には所定間隔で複数のタイバー202が配置されている。
図1では4つのタイバー202が配置されている。金型装置11と金型装置21はそれぞれ三軸方向に可動可能な型構成となっており、Y軸は上下方向となり、X軸は左右方向となり、Z軸は前後方向となる。
【0036】
本実施形態の金型装置11は、対向してZ軸方向に型開閉動作する一対の雌型12,13と、固定シャフト14に取り付けられるとともにY軸方向に延設されて当該一対の雌型12,13の間に配された雄型A1(A)と、当該一対の雌型12,13の間にてY軸方向にスライド動作する第1のスライド機構15に取り付けられるとともにラックアンドピニオン機構16によってその分割型の外径が狭小動作する雄型B1(B)と、前記雄型Aと前記雄型Bの間の高さ位置にてX軸方向にスライド動作する第2のスライド機構17に取り付けられた雄型Cを備え、管体鋳造用樹脂模型101を成形する構成となっている(
図1)。金型装置11には、成形された前記樹脂模型101を前記雄型A1から離型させるためのエジェクト機構19が備わっている。
【0037】
本実施形態の金型装置
21は、対向してZ軸方向に型開閉動作する一対の雌型22,23と、固定シャフト24に取り付けられるとともにX軸方向に延設されて当該一対の雌型22,23の間に配された雄型A2(A)と、互いに向かい合って配された一対の雄型B1,B2を備え、管体鋳造用樹脂模型を成形する構成となっている(
図1)。前記雄型B1(B)は、一対の雌型22,23の間にてY軸方向にスライド動作するスライド機構25に取り付けられるとともにラックアンドピニオン機構26によってその分割型の外径が狭小動作する構成となっており、また、前記雄型B2(B)は、一対の雌型22,23の間にてY軸方向にスライド動作するスライド機構27に取り付けられるとともにラックアンドピニオン機構28によってその分割型の外径が狭小動作する構成となっている(
図1)。金型装置21には、成形された前記樹脂模型102を前記雄型A2から離型させるためのエジェクト機構29が備わっている。
【0038】
図2は、本実施形態の金型装置11を側面側(X方向)から示す図であり、雌型12と13とを型開きした状態を示す図である。前記一対の雌型12,13は、蒸気圧、油圧、空圧、電動機等の動力によって型閉じ型締めして樹脂注型し樹脂成形後に、型開きする構成となっている。ここで、雌型12は可動型であり、雌型13は固定型である。雄型A1は、固定シャフト14に取り付けられるとともにY軸方向に吊り下げられており、可動型12を固定型13から離して型開きしたときに、雄型A1が、可動型12と固定型13の中間位置となり、エジェクト機構19によって樹脂模型101が押し出されて落下し雄型A1から離型される。前記エジェクト機構19としては、油圧、空圧、電動機等の動力によってエジェクトピンを突き出して樹脂模型101を押し出す構成や、エアー吐出力で樹脂模型101を押し出す構成や、前記雄型Aを微振動させて樹脂模型101を押し出す構成等が挙げられる。
【0039】
本実施形態によれば、型抜き方向の長さが長い管体で複雑な形状においても一度に製作でき、鋳物に接合痕が出来難い、高信頼性の鋳物を製造することが可能となる。
【0040】
図3は、本実施形態の金型装置11における樹脂模型101とラックアンドピニオン機構16との関係を示す図であり、
図3(a)は側面側から見た図であり、
図3(b)は底面側から見た図である。ラックアンドピニオン機構16は、油圧、空圧、電動機等の動力によって分割式雄型B1の外径が狭小動作する構成となっている。樹脂模型101の下方側の内側にはアンダーカット部111が形成されており、雄型B1は、ラックアンドピニオン機構16によってその分割型の外径が狭小動作することで、アンダーカット部111から引き抜くことができる。
【0041】
前記樹脂模型101,102は、例えば、発泡ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等が挙げられる。
【0042】
図4は、本実施形態の樹脂成形用金型装置1を側面側から示す図であり、
図4(a)〜
図4(d)はそれぞれ金型装置の組み合わせと配置を異ならせたパターンを示す図である。
図4(a)に示す例では、操作盤側から順に、金型装置11と金型装置21を並列配置した構成となっている。
図4(b)に示す例では、操作盤側から順に、金型装置21と金型装置11を並列配置した構成となっている。
図4(c)に示す例では、操作盤側から順に、金型装置11と金型装置11を並列配置した構成となっている。
図4(d)に示す例では、操作盤側から順に、金型装置21と金型装置21を並列配置した構成となっている。
【0043】
本実施形態によれば、型抜き方向の長さが長い管体で複雑な形状であったとしても生産性を飛躍的に向上させる複数個同時成形が可能となる。例えば、異なる形状の管体を組み合わせて使用する場合等に、異なる形状の管体を複数同時成形することでセット受注に対して迅速に対応する数同時成形することでセット受注に対して迅速に対応することが容易となる。
【0044】
本実施形態によれば、複雑な形状としても鋳物に接合痕が出来難い、高信頼性の鋳物を、容易に製造することができ、特に、各種バルブや配管部品など、高圧力に耐えられる信頼性の高い鋳物部品を、均質で再現性良く製造することができる。
【0045】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。上述の実施形態では、Y軸は上下方向となり、X軸は左右方向となり、Z軸は前後方向となるとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、Z軸は上下方向となり、Z軸は左右方向となり、Y軸は前後方向となるとしてもよい。また例えば、X軸は上下方向となり、Z軸は左右方向となり、Y軸は前後方向となるとしてもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1、11、21 本発明の金型装置、
12、13、22,23 雌型、
14、24 固定シャフト、
15、17、25、27 スライド機構、
16、26、28 ラックアンドピニオン機構、
A1、A2、A 雄型、
B1、B2、B 雄型、
C 雄型、
101、102 樹脂成形品(樹脂模型)