【文献】
”Data sheet, TAS5142 Stereo Digital Amplifier Power Stage, SLES126B” ,[online online ],2005年 5月,Texas Instruments ,[平成26年7月24日検索],インターネット<URL:http://www.ti.com/lit/ds/sy mlink/tas5142.pdf>
第1および第2の増幅ユニットであって、それぞれの増幅ユニットが、コマンド信号入力と増幅された信号出力とを有するD級スイッチング電圧増幅器と、前記電圧増幅器の前記コマンド信号入力に結合された電流補償コマンド信号出力を有する電流補償器と、出力インダクタにおいて測定された電流の測定値を前記電流補償器の加算入力にフィードバックする内側電流フィードバックループとを備える増幅ユニットと、
同期出力整流器を有する4象限電源であって、前記第1および第2の増幅ユニットに電力を提供する4象限電源と、
前記第1および第2の増幅ユニットの間に位置する第1の制御信号経路であって、前記第1の増幅ユニットの電圧補償コマンド信号出力を前記第2の増幅ユニットの前記電流補償器の前記加算入力に提供する、第1の制御信号経路と、
前記第1および第2の増幅ユニットへの信号入力を提供し、前記第1および第2の増幅ユニットが2つのモードの各々で動作可能なように、前記第1および第2の増幅ユニットを制御する制御電子装置と、
を備え、前記2つのモードは、
前記第1の増幅ユニットが第1の信号を増幅し、
前記第2の増幅ユニットが前記第1の制御信号経路を介して前記第1の信号を増幅し、
前記第1および第2の増幅ユニットの前記増幅された信号出力が第1の共通負荷の単一の端子を並列に駆動する、第1のモードと、
前記第1の増幅ユニットが第1の信号を増幅し、
前記第2の増幅ユニットが前記第1の信号の反転を増幅し、
前記第1および第2の増幅ユニットの前記増幅された信号出力がブリッジ接続された負荷構成における第1の共通負荷の相反する端子を駆動する、第2のモードと、
を備えるオーディオ電力増幅器。
前記制御電子装置は、前記第1の増幅ユニットが第1の信号を増幅し第1の負荷を駆動するとともに前記第2の増幅ユニットが第2の信号を増幅し第2の負荷を駆動する第3のモードで、前記第1および第2の増幅ユニットが動作可能なように、前記第1および第2の増幅ユニットに信号入力を提供するとともに前記第1および第2の増幅ユニットを制御する、請求項1に記載のオーディオ電力増幅器。
前記制御電子装置は、前記第3の増幅ユニットが第3の信号を増幅し第3の負荷を駆動するとともに前記第4の増幅ユニットが第4の信号を増幅し第4の負荷を駆動する第3のモードで、前記第3および第4の増幅ユニットが動作可能なように、前記第3および第4の増幅ユニットに信号入力を提供するとともに前記第3および第4の増幅ユニットを制御する、請求項3に記載のオーディオ電力増幅器。
前記D級スイッチング電圧増幅器はそれぞれが、変調器と、ゲートドライバと、1対のトランジスタと、前記トランジスタのソース端子とドレイン端子の間に結合された1対のダイオードとからなる、請求項1に記載のオーディオ電力増幅器。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般に、いくつかの態様において、オーディオ電力増幅器は、第1および第2の増幅ユニットを含む。それぞれの増幅ユニットは、コマンド信号入力と増幅された信号出力とを有するスイッチング電圧増幅器と、増幅された信号出力と負荷端子との間の出力フィルタと、電圧増幅器のコマンド信号入力に結合された電流補償コマンド信号出力を有する電流補償器と、出力インダクタにおいて測定された電流の測定値を電流補償器の加算入力にフィードバックする内側電流フィードバックループと、電流補償器の加算入力に結合された電圧補償制御信号出力を有する電圧補償器と、負荷端子における電圧を電圧補償器の加算入力にフィードバックする外側電圧フィードバックループとを含む。第1の制御された信号経路が、第1の増幅ユニットの電圧補償器の電圧補償制御信号出力を、第2の増幅ユニットの電流補償器の加算入力に提供する。第2の増幅ユニットは、第1の制御された信号経路が起動されると、第2の増幅ユニットの電圧補償コマンド信号の代わりに、第1の増幅ユニットの電圧補償コマンド信号を、第2の増幅ユニットの電流補償器への入力として用いる。制御電子装置が、第1および第2の増幅ユニットへの信号入力を提供し、第1の制御された信号経路を制御することにより、第1および第2の増幅ユニットが、別々の負荷と共に、共通の負荷を並列に駆動するように、またはブリッジ接続された負荷にわたって動作可能である。
【0005】
実施態様は、以下の特徴の中の1つまたは複数を含みうる。第1および第2の増幅ユニットは、それぞれが別々の信号を増幅し、増幅された信号を別々の出力端子において提供することにより、別々の負荷と共に動作可能である。第1および第2の増幅ユニットは、第1の増幅ユニットから第1の制御された信号経路を経由して第2の増幅ユニットに提供された同一の信号をそれぞれが増幅し、更に、負荷の共通入力端子に結合される別々の出力端子において同一の増幅された信号を提供することによって、共通の負荷を並列に駆動するように動作可能とすることができる。第1および第2の増幅ユニットは、第1の増幅ユニットにおいて第1の信号を増幅し、第2の増幅ユニットにおいて第1の信号の反転されたコピーを増幅し、更に、負荷の別々の入力端子に結合される別々の出力端子においてそれぞれの増幅された信号を提供することによって、ブリッジ接続された負荷にわたって動作可能とすることができる。
【0006】
第1および第2の増幅ユニットと同一の第3および第4の増幅ユニットと、第3の増幅ユニットの電圧補償器の電圧補償制御信号出力から第4の増幅ユニットの電流補償器の加算入力への第2の制御された信号経路とを含むことができ、制御電子装置は、更に、第3および第4の増幅ユニットに信号入力を提供し、第2の制御された信号経路を制御することにより、第3および第4の増幅ユニットが、別々の負荷と共に、共通の負荷を並列に駆動するように、またはブリッジ接続された負荷にわたって動作可能であり、また、第1および第2の増幅ユニットが、ブリッジ接続された負荷の第1の側を並列に駆動し、かつ第3および第4の増幅ユニットが、ブリッジ接続された負荷の第2の側を並列に駆動するように、4つの増幅ユニットすべてが共に動作可能である。
【0007】
これら4つの増幅ユニットは、第1の増幅ユニットから第1の制御された信号経路を経由して第2の増幅ユニットに提供される第1の信号を第1および第2の増幅ユニットにおいて増幅し、増幅された同一の第1の信号を、第1の増幅ユニットと第2の増幅ユニットとの別々の出力端子において提供することと、第3の増幅ユニットから第2の制御された信号経路を経由して第4の増幅ユニットに提供される第1の信号の反転されたコピーを第3および第4の増幅ユニットにおいて増幅し、反転され増幅された同一の第1の信号を、第3の増幅ユニットと第4の増幅ユニットとの別々の出力端子において提供することとによって共に動作可能とすることができ、第1および第2の増幅ユニットの出力端子は負荷の第1の入力に結合され、第3および第4の増幅ユニットの出力端子は負荷の第2の入力に結合されている。
【0008】
この増幅器は、同期出力整流器を有する4象限電源を用いうる。同期出力整流器はMOSFETを含みうる。第1の制御された信号経路は、制御電子装置によって制御されるスイッチを含みうる。スイッチング電圧増幅器はそれぞれが、変調器と、ゲートドライバと、1対のトランジスタと、トランジスタのソース端子とドレイン端子の間に結合された1対のダイオードとを含みうる。トランジスタはMOSFETを含むことができ、ダイオードはMOSFETに固有である。出力フィルタは出力インダクタを含むことができ、測定された電流は、出力インダクタを流れる電流でありうる。
【0009】
一般に、いくつかの態様において、オーディオ周波数信号を増幅することは、第1および第2の増幅ユニットのそれぞれにおいて、スイッチング電圧増幅器において電流補償コマンド信号を増幅して、増幅された信号出力を提供するステップと、電圧増幅器の増幅された信号出力と負荷端子との間の出力フィルタを流れる電流を測定して、電流測定値を生じるステップと、電流測定値を、内側電流フィードバックループを経由して電流補償器の加算入力にフィードバックするステップと、電流補償器において、電流測定値を電圧補償コマンド信号と比較して、電流補償コマンド信号を電圧増幅器に提供するステップと、増幅器ユニットの負荷端子における電圧を、外側電圧フィードバックループを経由して電圧補償器の加算入力にフィードバックするステップと、電圧補償器において、フィードバック電圧を入力コマンド信号と比較して、電圧補償コマンド信号を電流増幅器の加算入力に提供するステップとを含む。第1の増幅ユニットの電圧補償器の出力から第2の増幅ユニットの電流補償器の加算入力への第1の制御された信号経路が制御されて、第2の増幅ユニットの電圧補償コマンド信号の代わりに、第1の増幅ユニットの電圧補償コマンド信号を第2の増幅ユニットの加算入力に選択的に提供する。信号入力が第1および第2の増幅ユニットに提供され、第1の制御された信号経路が制御されて、第1および第2の増幅ユニットを、別々の負荷と共に、共通の負荷を並列に駆動するように、またはブリッジ接続された負荷にわたって、選択的に動作させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果には、高い効率性を伴う包括的な構成可能性が含まれる。本発明による増幅器は、ハードウェアを修正しなくとも、広範な接続トポロジと負荷インピーダンスと電力レベルとに対応することが可能である。単一の増幅器から広範囲のインピーダンスでラウドスピーカを駆動できることにより、本発明による増幅器は、さまざまな増幅器製品の組を必要とすることなく、広範囲なオーディオシステムの構成をサポートすることが可能となる。
【0011】
これ以外の特徴および効果は、以下の説明と特許請求の範囲とから明らかになるはずである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
電力増幅器は、負荷の性質と意図している使用法とに応じて、多数のトポロジで負荷に接続されうる。
図1Aから1Dには、電力増幅器をラウドスピーカに接続するための4つのトポロジが示されている。
図1Aでは、ラウドスピーカの一方の端子に給電し他方の端子を接地することによって、単一の増幅器10がラウドスピーカ20を駆動している。これは、ときには「ハーフブリッジ」と称されることがある典型的な構成である。
図1Bには「フルブリッジ」構成が示されており、この場合、2つの増幅器10および12が用いられ、ラウドスピーカ22のそれぞれの端子に1つの増幅器が接続されている。第2の増幅器12は第1の増幅器10への信号の反転を用いて駆動されることにより、電流はハーフブリッジ構成の場合と同一でありながら、ラウドスピーカ22の両端の間の全電圧は二倍になる。同一の電流で二倍の電圧を提供することにより、この構成は、ハーフブリッジによって駆動されうるよりも大きなインピーダンスを有するラウドスピーカを駆動することができる。全体としてより多くの電力を提供することができ、すなわち、同一の電力であれば増幅器当たりの散逸がより少なくなる。この動作モードはオーディオ増幅器の分野で普及しており、「BTL」(bridge tied load:ブリッジ接続された負荷)構成と称されることが多い。
【0014】
図1Cでは、2つの増幅器10および12がラウドスピーカ24の共通の端子に並列に接続され、他方の端子は接地されている。これは、「並列」構成と称される。並列構成は、ハーフブリッジ構成と同一の電圧で二倍の電流を供給する。なお、ハーフブリッジ構成は、BTL構成と同一の電力レベルでより小さなインピーダンスを駆動するのに有用である。たとえば、ハーフブリッジが500Wを4Ωの負荷に提供するのに最適化されている場合に、同じ電力を2Ωの負荷に提供するのに要求される電流、または、同じ電力を8Ωの負荷に提供するのに要求される電圧は、増幅器の限度にあるか、または、増幅器の限度を超えている可能性がある。並列構成は、単独のハーフブリッジの半分の散逸で500Wを2Ωの負荷に駆動することができ、または、それぞれのハーフブリッジが当該電流を扱うことが可能な場合であれば、1kWすべてを駆動することができる。他方で、BTL構成は、その電圧限度に近づくことなく500Wを8Ωの負荷に駆動することができ、または、電圧が入手可能であれば1kWすべてを駆動することができる。
【0015】
最後に、
図1Dでは、4つの増幅器10、12、14および16が用いられており、1対の並列な増幅器がラウドスピーカ26のそれぞれの端子に接続されている。一方の対である10および12は、他方の対である14および16の反対の信号を用いて駆動される。これは並列ブリッジ構成と称され、四倍の電力に対して、ひとつのハーフブリッジの二倍の電圧および二倍の電流を供給する。上と同じ例を用いると、それぞれのハーフブリッジが4Ωで500Wに対して最適化されている場合には、並列ブリッジ構成は、増幅器段当たりの電圧および電流が同じであれば、4Ωの負荷に2kWを供給することができる。
【0016】
D級の増幅器を用いると、2つの並列増幅器の間で共有される電流の管理が、線形すなわちAB級の増幅器の場合よりも重要になるが、その理由は、単一の線形増幅器の場合と同様に、スイッチングデバイスにおける消費電力がIではなくてI
2に比例するからである。2つの同じデバイスの間で電流を共有することにより、スイッチング増幅器の導通がおよそ2のファクタで減少する。実際には2のファクタよりも更に減少するのであるが、その理由は、FETの温度抵抗係数に起因して更なるゲインが存在するからであって、電流が減少すると温度が下がり、その結果としてデバイスの内部抵抗が低下するのである。しかし、電流が制御されていない場合には、2つのデバイスの一方が他方よりも実質的に多くの電流を導通させる可能性があり、並列動作の利点を損ない、増幅器を損傷させる可能性がある。
【0017】
複数のトポロジにおける効率的な電流の共有を提供するために、増幅器にフィードバックループが追加されることがある。たとえば、
図2を参照すると、ユニットセル100はハーフブリッジのD級オーディオ増幅器を提供し、任意のラウドスピーカ120に接続されている様子が示されている。増幅器のコアには、変調器およびゲートドライバ102と、トランジスタ104および106で構成されたスイッチング電力出力段と、インダクタ108およびコンデンサ110を含む出力フィルタとが含まれている。制御システムには、負荷120における出力電圧を加算器114と電圧ループ補償器116とにフィードバックする外側電圧ループ112が含まれる。加算器114は、また、入力電圧コマンドV
c-inを受け取る。変調器およびゲートドライバ102は、トランジスタ104および106と組み合わされて、電圧増幅器を構成する。
【0018】
このようなユニットセル100が2つ並列に接続されたときに電流の共有を可能とするため、内側電流ループ130が提供される。内側電流ループ130は、電流感知130aからの出力電流の測定値を別の加算器132と電流ループ補償器134とにフィードバックする。内側電流ループは、増幅器の出力電流を制御し、それによって、並列に動作する2つの増幅器はそれぞれが全体の半分の電流を提供することになり、どちらの増幅器も電流の全体を導通することはなく、並列動作の効果を失うこともない。この構成では、コア電圧増幅器の回りの電流ループのためにシステムが電流増幅器となり、外側電圧ループのためにユニットセル100の全体が電圧増幅器となる。
【0019】
内側電流ループは、いくつかの追加的な効果を奏する。この電流ループは、当然に、ユニットセルの内部における電流制限を提供する。すなわち、電流ループ補償器134へのフィードバック130によって、たとえ負荷に短絡が生じた場合でも、変調器102へのコマンドが電圧ループ補償器116からの最大電流コマンドを超える電流ゲインを生じさせることが回避される。更に、内側電流ループが制御を提供するために、外側電圧ループのために用いられる電圧測定値を、出力フィルタの外部の、負荷により近い位置(図示せず)に移動させることが可能である。(出力フィルタは180°の位相シフトを生じさせるのが典型的であるが、その回りの制御ループが閉じているのは不可能であった。)電圧ループを出力フィルタの後に移動することにより、内側電流ループが安定性を維持しながら、増幅器がより広範囲な負荷をサポートすることが可能となる。内側電流ループ130は、また、変調器102においてパルス幅誤り訂正を提供するのにも用いることができる。この点については、本出願と同日に出願され発明の名称が「Reducing Pulse Error Distortion」である米国特許出願第**********号に記載がある。この米国出願についてはその内容全体を参照によって本出願に組み入れるものとする。
【0020】
加算器114および132は必ずしもディスクリートなコンポーネントである必要はなく、たとえば、補償器116および134の加算入力でもありうる。これらの補償器は、標準的な回路コンポーネントすなわち演算増幅器と関連の回路とから構築されていることが好ましい。電流感知要素130aは、ディスクリートなホール効果センサなど、任意の標準的な電流感知技術でありうる。出力インダクタ108はプリント回路ボード上の平坦な巻線を用いて形成することができ、電流感知の一部は出力インダクタ108に組み入れられた電流感知巻線によって提供される。これについては、本出願と同日に出願され発明の名称が「Planar Amplifier Output Inductor with Current Sense」である米国特許出願第**********号に記載がある。この米国出願についてはその内容全体を参照によって本出願に組み入れるものとする。この米国特許出願で説明されているように、出力インダクタのPCB巻線の一部として電流感知巻線を形成することによって、電流感知信号がインダクタの内部のノイズから効果的に遮蔽される。インダクタの電流感知巻線は電流のAC成分を示し、他方で、ホール効果センサを用いて電流のDC成分を示すこともできる。
【0021】
いくつかの例では、これらのユニットセルは、4つのグループに組み合わされる。それぞれのグループは制御システムの内部に適切な相互接続を有することにより、4つのユニットセルから構成される組が
図1A〜1Dに示されているトポロジの中の任意のものを提供することが可能になる。ユーザは、たとえば制御ソフトウェアにより、必要となる特定のトポロジを特定することができる。接続の問題を検出し、接続されたラウドスピーカのトポロジが増幅器コンポーネントの構成と一致することを確認するため、増幅器プロダクトが、接続されているラウドスピーカのタイプおよびトポロジを検出する回路を含むことがありうる。そのようなシステムの一例が、2008年5月2日に出願され発明の名称が「Detecting a Loudspeaker Configuration」である米国特許出願第12/114,265号に記載がある。この米国出願についてはその内容全体を参照によって本出願に組み入れるものとする。このようなシステムは、接続されているラウドスピーカのトポロジを発見し、それに従って増幅器を自動的に構成するのにも用いられることがある。
【0022】
マルチチャネルの独立のハーフブリッジ動作のために、それぞれのユニットセルは
図2に示されているように1つのラウドスピーカに接続され、別々の信号がそれぞれのユニットセルに提供される。
【0023】
図3に示されているように、2つのハーフブリッジ100aおよび100bが、1つのフルブリッジに組み合わされるが、このフルブリッジは、ブリッジ接続された負荷として単一のラウドスピーカ120bを駆動して、単独のユニットセルの電圧の二倍を提供するように構成されている。この構成では、複数のユニットセルの中の複数の増幅器は実質的に独立であり、単に、位相が180°ずれた入力コマンドV
c-inが、すなわち、+V
c-inおよび-V
c-inが与えられる。BTL動作のためには、いずれのユニットセルの制御に対する修正も不要である。ただし、このモードのサポートを意図する製品は、元の信号と反転された信号との両方を提供するのにユーザに依存するのではなく、V
c-in入力の反転処理が可能である。V
c-in信号の反転は、制御電子装置(図示せず)において、または、追加的な反転増幅器(図示せず)によって、制御電子装置の制御によって、または、ユーザに利用可能な物理スイッチによる直接的制御によって、行われうる。
【0024】
図4に示されているように、2つのハーフブリッジ100aおよび100bを並列の対として組み合わせて、単独のユニットセルと同じ電圧と二倍の電流とを提供するようにできる。この構成では、外側の電圧ループ112aは、コマンドを、第1のユニットの外側電圧ループ加算器114aと補償器116aとを経由して内側の電流ループに、また、スイッチ204によって制御されるセル相互間の接続202を経由して両方のユニットセルの増幅段に与える。この構成では、第2の外側電圧ループ112aとその加算器114bと補償器116bとは用いられない。これらは、完全に消勢されており、そうでないと、補償器116bから加算器132bへの信号経路が中断されうる。両方のハーフブリッジ出力はラウドスピーカ120cの共通入力に結合され、他方の入力は接地されている。電流ループ130aおよび130b、加算器132aおよび132bならびに補償器134aおよび134bは、上述したように、それぞれを目標電流に安定化させることによって、これらのハーフブリッジの間での電流共有を制御する。スイッチ204は、さまざまな方法での制御が可能であるが、たとえば、制御電子装置による場合、受動回路による場合またはユーザが使用可能な物理スイッチによる場合などが含まれる。
【0025】
図5に示されているように、4つのハーフブリッジ100a、100b、100cおよび100dを一緒に用いて、単一ユニットセルの場合の二倍の電圧と二倍の電流とを単一のラウドスピーカ120dに与えるブリッジ並列構成を提供することができる。ハーフブリッジ100aおよび100bは、セル相互間の接続202aおよびスイッチ204aにより第1の並列の対として構成され、ラウドスピーカ120dの第1の入力に結合されている。ハーフブリッジ100cおよび100dは、セル相互間の接続202bおよびスイッチ204bにより第2の並列の対として構成され、第2のラウドスピーカの入力に結合されている。第2の対100c/100dには、
図3のBTL構成におけるように、反転された入力信号-V
c-inが与えられている。
【0026】
いくつかの実施形態では、ハーフブリッジユニットセルのそれぞれの制御回路は独立であり、2つのセルがBTLまたは並列構成で用いられるときには、残りの2つは、独立のハーフブリッジとして、最初の2つのセルと同じ2セル構成として、または残りの2つのセルの構成として用いることができる。いくつかの例では、増幅器段(変調器およびゲートドライブ)の複数の対または4つすべてが、オランダのアイントホーフェン所在のNXP Semiconductors社によるTDA8932や、米国テキサス州ダラス所在のTexas Instruments社によるTAS5103などのような単一の集積回路パッケージとして提供され、他方で、トランジスタ、制御ループおよび出力フィルタが増幅器を完成するために追加され、上述した構成可能性を実際に可能とする。いくつかの例では、制御ループとセル相互間の接続とは増幅器集積回路に含まれる。
【0027】
図6に示されているように、複数のユニットセルで構成されるグループを電源の限度まで複数組み合わせ、高度に構成可能なシステムを形成することが可能である。
図6には、制御モジュール210が、後述する複数のスイッチに結合されている様子が示されている。破線が制御信号経路を示し、実線がオーディオ信号経路を示している。4つのハーフブリッジユニットセルの2つの組が示されており、参照番号100a〜100hが付されている。第2の組である100e〜100hにおける接続は、第1の組である100a〜100dにおける接続と同一であるが、異なる位置にあるスイッチと共に示されている。8つの入力A〜Hが利用可能であるが、すべてが用いられるわけではない。
図6におけるスイッチ位置は、最初の2つのユニットセル100aおよび100bはそれぞれが対応する入力AおよびBを別個のラウドスピーカ120aに提供し、ユニットセル100cおよび100dは入力CをBTL構成の単一のラウドスピーカ120bに提供し、ユニットセル100e、100f、100gおよび100hは全体で入力Eを並列ブリッジ構成のラウドスピーカ120dに提供しており、100e/100fおよび100g/100hのそれぞれの対がラウドスピーカの1つの入力に並列に給電している様子を示すように、設定されている。
【0028】
2つのユニットセル100aおよび100bは独立のハーフブリッジとして動作されているので、第1のスイッチ204aは、2つのユニットセルである100aと100bとの間の信号経路を制御し、上述したように、並列に動作しているときには共通の電流制御を提供する。
図6の例では、ユニットセル100aおよび100bは動作に作用しているため、スイッチ204aは開いている。別のスイッチ212が、どの信号がユニットセル100bに入力されるのかを制御する。示されているようなハーフブリッジ動作の場合には、スイッチ212は信号入力「B」をユニットセル100bに結合する。
【0029】
BTL動作のためには、インバータ214を利用して、入力信号「A」の反転されたコピーを、ユニットセル100bに結合することができる。ユニットセル100bでは、スイッチ212が、ハーフブリッジ動作に用いられる入力「B」ではなく、この結合された入力信号「A」の反転されたコピーを提供する。これは、ユニットセル100cおよび100dで構成される第2の対でも同様であって、スイッチ204bが開いており、スイッチ216はインバータ218をユニットセル100dの入力に結合し、入力「C」の反転されたコピーを提供する。別のインバータ220と入力スイッチ222とがユニットセル100cへの入力を制御するが、これは並列ブリッジ構成において用いられ、4つのユニットセルで構成される第2の組を参照して後述する。
図6では、入力スイッチ222は、入力「C」をユニットセル100cに結合する。
【0030】
ユニットセル100eおよび100fは、並列動作のために構成されているように示されている。このモードでは、ユニットセル100fの入力スイッチ224は、第2のユニットセルへのどのような信号入力も提供しない。その理由は、閉じたスイッチ204cがユニットセル100eの内部からの電流コマンド信号を、ユニットセル100fの電流フィードバックループコンパレータに提供し、ユニットセル100fの電圧コマンド入力と電圧フィードバックループコンパレータとをスキップするからである。いくつかの構成では、ユニットセル100fの入力は、並列動作に用いられるときには、内部的に切断され、したがって、入力スイッチ224はその入力の中の1つに結合された状態のままとなりうる。インバータ226は、BTLモードで用いられる入力「E」の反転されたバージョンを提供するのに利用可能である。ユニットセル100gおよび100hは、並列動作のために構成されているようにも示されているが、特に、ユニットセル100eおよび100fとの並列ブリッジモードで用いられるように構成されている。スイッチ204dは、電流コマンド信号をユニットセル100gの内部からユニットセル100hに提供し、他方で、スイッチ228は開いておりインバータ230は用いられていない。ユニットセル100gでは、スイッチ232は入力「E」の反転されたコピーをインバータ234からユニットセル100gの入力に結合し、並列のハーフブリッジ100e/100fおよび100g/100hという2つの組がEおよび-Eをそれぞれ入力として受け取る。
【0031】
スイッチ、インバータおよび信号源は制御モジュール210の外部にあるものとして図示されているが、スイッチとインバータとについては、その中のいくつかまたはすべてを制御モジュールに組み込むことが可能であるし、用いられる技術に応じて、ハードウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとして構成することが可能である。スイッチとインバータとが制御モジュールに組み込まれる場合には、入力A〜Hもまた制御モジュールを通過することになる。制御モジュールは、プログラムされたマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路またはディスクリートデバイスの集合体など、任意の適切なデバイスでありうる。また、制御モジュールは、増幅器のトポロジを構成するのに用いられるスイッチングや反転に加えて、デジタル信号処理を入力A〜Hに適用する。4つのユニットセルの組それぞれに対して、別個の制御モジュールが存在することもありうる。場合によっては、制御モジュールを、8つすべてのユニットセルをブリッジ型および並列のグループのカスケードパターンで用いて電源のすべてのキャパシティを1つのラウドスピーカに提供するように構成することも可能である(増幅器および/または信号経路の間の追加的な接続が必要になることもあるが、これらは適切な制御モジュールによってすべて提供される)。
【0032】
このような構成によると、ラウドスピーカの多数の構成を駆動することが可能である。たとえば、4つのユニットセルから構成されるグループを2つ含む4000Wの増幅器システムは、それぞれが500Wで、次の表1に示されているスピーカの多くの異なる組み合わせを駆動することができる(ただし、実際のワット数は、用いられる特定のラウドスピーカに依存する)。
【0034】
4つのユニットセルから構成されるこれらのグループは、その一方または双方を、本出願と同日に出願され発明の名称が「Power Supply Transient Response Improving」である同時係属中の米国特許出願第**********号に記載されているような適切な電源と組み合わされる。なお、この米国特許出願は参照により本出願においてその内容全体を組み入れる。いくつかの例では、電源の中に提供される顕著な特徴は同期出力整流器であり、これによってD級のハーフブリッジと一般に関連するバスポンピングの問題が解決され、上述した高度に構成可能な増幅器段の効率的な動作がサポートされる(バスポンピング問題については後述する)。この同期出力整流器300の概略的な表現が
図7に示されている。一次巻線302がスイッチ304、306、308および310に結合され、二次巻線312がスイッチ314、316、318および320に結合されている。これらの巻線は、絶縁バリア322によって分離され、+400Vの電源電圧を、この例では+/-80Vである増幅器によって用いられるより低い電圧に変換する。このような整流器が、増幅器の+Vレールと-Vレールとに結合された+80Vのポートと-80Vのポートとを有する上述した増幅器段に給電する。
【0035】
オーディオ電力増幅器において典型的に用いられる電圧レベル、たとえば、二次巻線側の方が+/-80V以上高いような場合には、このトポロジにおける二次側スイッチ314〜320は、単純な整流器となるのが典型的である。代わりに、MOSFETが用いられ、そのイントリンシックダイオード(intrinsic diode)が同期整流器を提供する。これにより、この電力コンバータの3つのポート(一次側の+400V、二次側の+80V、二次側の-80V)の任意のポートにおいていずれの方向に電力が流れることも可能になり、
図8A〜8Cで説明されているような完全な4象限動作が提供される。
【0036】
図8Aは、正常動作の一方の2分の1サイクルを示しているが、この場合、電力は一次巻線302から二次巻線312に転送される。このサイクルでは、トランジスタ304および310はオンであり、(破線矢印で示されている)電流は、下向きに図解されている第1の方向に一次巻線302を流れることによって、+400Vのレール322aから一次側のグランド324aへ流れる。これにより、巻線の方向に起因して、上向きに図解されている反対の方向に二次巻線312の中を流れる電流が誘導される。この電流は、トランジスタ314および320を経由し、-80Vのレール330aから二次側のグランド326へ流れ、更に、二次側のグランド326から+80Vのレール328aへ流れる。上述したように、MOSFETを用いることにより、トランジスタのソースとドレインとの間にイントリンシックダイオードが提供される。
【0037】
図8Bは、正常動作の他方の2分の1サイクルを示しているが、この場合、トランジスタ306および308がオンであるから、電流は、反対の方向すなわち図では上向きに示されている方向に一次巻線302を流れることによって、+400Vのレール322bから一次側のグランド324bへ流れる。そして、二次巻線312における誘導電流は下向きに流れ、二次側にある他方のトランジスタ対であるトランジスタ316および318を経由し、再び-80Vのレール330bからグランド326へ、更に、グランド326から+80Vのレール328bに流れ、
図8Aに示されているのと正味が同じ電力フローが生じる。
【0038】
図8Cには異なるケースが示されており、この場合、エネルギは+80Vのレールから生じて、-80Vのレールと+400Vのレールとの両方に流れる。
図8Cと
図8Bとの唯一の差異は+80Vのレールと+400Vのレールとからの電流の方向であることに注意すべきである。トランジスタ306、308および316では、電流はイントリンシックダイオードの方向に流れる。しかし、+80Vのレール328bでは、電流はトランジスタ318の方向に逆らって流れるため、トランジスタはオンに切り換えられなければならない。+80Vのレールと変圧器の二次側との間に単純な整流器を有する標準的な電力コンバータにおいては、エネルギはこの方向に流れることができなかった。二次側にMOSFETを用いることにより、この方向に電流が流れることが可能になるのである。ここには可能性があるすべての場合を尽くすように図解していないが、二次側に同期整流器を用いることにより、このシステムにおける任意のポートとそれ以外の任意のポートとの間にエネルギが流れることが可能になり、4象限動作が可能となる様子を見ることができるはずである。
【0039】
より低い出力電圧では、整流器の両端における電圧降下が、効率の悪さの重大な原因となるときには、同期整流器が今日では一般的に用いられる。しかし、オーディオ電力増幅器の高電圧においては、効率の向上はそれほど重要ではなく、逆方向への電流の流れと寄生ダイオードの回復のためにMOSFETをロバストにするには重大な技術上の困難が存在するため、それほど一般的に用いられるわけではない。上述した技術をシステムにおいて用いることにより、無効な負荷からのシステムに戻るエネルギの流れを、システムの中のすべてのストレージキャパシタンスの間で等しく配分することが可能になり、同時にそれによって、ハーフブリッジのD級段と関連するバスポンピング問題が解決される。
【0040】
オフサイドチャージングまたはレールポンピングとしても知られているバスポンピングについて、
図9A〜9Cを参照して説明する。
図9Aに示されているように、ハーフブリッジD級増幅器400は、ここでは一般的に+Vおよび-Vというラベルが付されている2つの電圧レール402および404の間で出力インダクタ416を切り換えることによって、動作する。変調器およびゲートドライブは図示されておらず、フィルタコンデンサ422および424が、示されている電源の唯一の部分である。トランジスタ412および414のスイッチングは信号が再生産されるよりも著しく高速で生じるため、任意の時点において、出力インダクタ416における電流を相対的に一定であるとして扱うことが可能である。したがって、電流がインダクタ416から外にそして負荷420の中に流れている状態に対しては、2つのスイッチング状態が存在する。
【0041】
第1の状態では、
図9Bに示されているように、トップトランジスタ412はオンであり、(破線矢印で示されている)電流は+Vレール402から流れる。この場合、エネルギは電源から出力フィルタと負荷とへ流れる。
【0042】
第2の状態では、
図9Cに示されているように、ボトムトランジスタ414はオンであり、電流は-Vレール404から流れる。この場合、エネルギは、実際に、出力フィルタと負荷とから電源へ戻って流れる。電源のフィルタキャパシタンス422および424は、これらが十分に大きい場合には、このエネルギをイベントの継続時間の間ずっと吸収することができるが、それには著しい大きなキャパシタンスが要求される。
【0043】
正弦波の半分の間にレールの中に再生される平均の電流の表現は、「p」を平均の電力出力、「v」をレール電圧、「r」を負荷抵抗値とすると、次の数式によって表される。
【0045】
たとえば、十分な振幅を有する20Hzの正弦波が4Ωの負荷に印加され±80Vのレールを有する増幅器において500Wの平均電力出力を与える場合には、半分のサイクルの間に平均で3Aを再生する。そのレールに10,000μFのキャパシタンスが存在する場合には、システムは7.5Vのバスポンピングを経験するが、これは通常のほとんど10%である。同期整流を用いることにより、より低いキャパシタンスを用いることができて、システムはそれよりも極めて小さな摂動を経験するにとどまることになる。ある例では、上述した電圧の場合、1レールの1チャネル当たりわずかに3500μFのキャパシタンスを有するシステムは、上述した場合よりもはるかに軽微なポンピングを経験するにとどまった。
【0046】
これ以外の実装例も、以下に続く特許請求の範囲と出願人が提出しうるそれ以外の特許請求の範囲との範囲に含まれる。