特許第6086468号(P6086468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6086468
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】被写体見守りシステム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20170220BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20170220BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   G08B25/04 K
   G08B25/00 510M
   G08B21/02
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-73650(P2012-73650)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-206069(P2013-206069A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】515249064
【氏名又は名称】有限会社テレビジネス
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】安達 栄治郎
(72)【発明者】
【氏名】水澤 純一
(72)【発明者】
【氏名】狐崎 直文
【審査官】 白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−146583(JP,A)
【文献】 特開2009−187054(JP,A)
【文献】 特開2012−048362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T1/00−1/40
3/00−9/40
G08B19/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の撮像画像データと、前記撮像画像データの各画素の深度情報と、仮想三次元空間の画像における、前記深度情報から推定して得られる仮想三次元空間上の情報である前記被写体のスケルトン(骨格)モデル情報とを生成する深度情報付き撮像装置と、
前記深度情報付き撮像装置で生成される前記スケルトン(骨格)モデル情報を
一フレーム毎に取得し、前記取得されるスケルトン(骨格)モデル情報の解析処理を行う情報処理装置を有し、
前記情報処理装置は、前記スケルトン(骨格)モデル情報の構成要素の複数フレームの三次元位置座標を比較して、前記構成要素の各々の位置変化を求め、前記構成要素の各々の位置変化を予めパターン分けした行動パターンの基準データと比較して、前記被写体の行動パターンを求め、更に
前記情報処理装置は、各画素対応の前記深度情報の変化を求め、前記深度情報の変化分が発生した画素で囲まれる画像の範囲の形状と大きさが、人物の大きさに相当する場合、データベースに格納される形状のモデルと比較して、前記被写体の形状を判定し、
前記判定される被写体の形状と、先に求めた行動パターンとの組み合わせから前記被写体の状態を表す生活パターンを判定し、
前記判定される生活パターンが緊急性を有する場合に、対応の予め設定されている通知先に通報する、
ことを特徴とする被写体見守りシステム。
【請求項2】
請求項1において、
前記深度情報付き撮像装置を複数台有し、
前記情報処理装置は、前記複数の深度情報付き撮像装置のそれぞれから受信される撮影画像データ、画像のピクセル対応の深度情報と、被写体のスケルトン(骨格)モデル情報をスキャン操作して、前記複数の深度情報付き撮像装置のそれぞれに対し、順次に前記被写体の生活パターンを判定する、
ことを特徴とする被写体見守りシステム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記スケルトン(骨格)モデル情報は、スケルトン(骨格)を構成する人体を構成する体幹、上下肢の構成要素と各構成要素を接続する接続部で構成され、前記接続部に前記仮想三次元空間の三次元座標が特定されることを特徴とするスケルトントラッキングを適応した被写体見守りシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,在宅高齢者又は,介護施設個室内に居住する高齢者等の日常動作を見守る,スケルトントラッキングを適応した被写体見守りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年,一人暮らしの高齢者は,統計によると全国で500万人に上っている。さらにその数は,増加の一途をたどっている。
【0003】
このような在宅高齢者あるいは,介護施設個室内に居住する高齢者の状態を見守り,異常状態を早期に把握した適切な対応を可能とすることが望まれている。
【0004】
かかる要望に対する想定されるシステムとして,モニタにより高齢者の撮像画像を監視することである。
【0005】
また,体温や湿度など所定のセンサを使用して,高齢者の異常を監視するシステムが提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載のシステムは,トイレ内に赤外線センサを設け,高齢者のトイレ使用時に,トイレにいる時間等から異常を検知して通知するものである。
【0006】
さらに,高齢者の異常を監視するシステムの他の技術として,加速度及び傾斜センサを内蔵した特殊な杖を使用するシステムが提案されている(特許文献2)。この特許文献2に記載のシステムは,杖の状態をセンサにより検知して,この杖を保持する高齢者の異常を監視するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−285345号公報
【特許文献2】特開2006−85609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したようにモニタにより高齢者の撮像画像を監視するシステムにあっては,常時モニタ画像を監視することが必要であり,多くの高齢者に対応して常時モニタ画像の監視を行うことは,多くの監視者が必要となり現実的でない。
【0009】
また,特許文献1に記載のシステムにあっては,トイレという特定の狭い空間における高齢者の存否の時間に基づく監視であり,高齢者がどのような姿勢になっているか,即ちいかなる緊急状態であるかの情報を得ることはできない。
【0010】
さらに,特許文献2に記載のシステムにあっては,特殊な杖を高齢者に保持させることが必須である。
【0011】
よって,かかる従来の技術に鑑みて,本発明の目的は,特殊なデバイスを装着することなく高齢者の日常の動作を読み取り,異常状態を容易に検知することを可能とする被写体見守りシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成する本発明に従う被写体見守りシステムの第1の側面は,
被写体の撮像画像データと,仮想三次元空間画像における前記被写体のスケルトン(骨格)モデル情報,及び前記仮想三次元空間画像の各画素のZ軸方向の大きさである深度情報を生成する深度情報付き撮像装置と,前記深度情報付き撮像装置で生成される前記スケルトン(骨格)モデル情報,及び深度情報に基づき,それぞれ前記被写体の行動パターン,及び前記被写体の形態を求める情報処理(スケルトントラッキングと言う)する装置を有し,前記情報処理装置は,前記被写体の行動パターン,及び前記被写体の形態に基づき,前記被写体の生活パターンを判定し,更に前記判定される生活パターンが緊急性を有する場合に,対応の予め設定されている通知先に通報する。
【0013】
上記第1の側面における好ましい態様は,第一の態様として,前記深度情報付き撮像装置を複数台有し,前記情報処理装置は,前記複数の深度情報付き撮像装置のそれぞれから受信される撮影画像データ,画像のピクセル対応の深度情報と,被写体のスケルトン(骨格)モデル情報をスキャン操作して,前記複数の深度情報付き撮像装置のそれぞれに対し,順次に前記被写体の生活パターンを判定する。
【0014】
上記第1の側面における好ましい態様は,第二の態様として,前記スケルトン(骨格)モデル情報は,前記スケルトン(骨格)モデルを構成する人体を構成する体幹,上下肢の構成要素(バーで表現)と各構成要素を接続する接続部(●で表現)で構成され,前記接続部に前記仮想三次元空間の三次元座標が特定されることを特徴とする被写体見守りシステム。
【0015】
上記第1の側面における好ましい態様は,第三の態様として,前記情報処理装置は,前記スケルトン(骨格)モデルを構成する複数の構成要素と接続部の位置の変化を複数のフレームで判定し,前記構成要素の位置変化を,予めパターン分けした基準データと比較して,前記被写体の対応する行動パターンを特定する。
【0016】
上記第1の側面における好ましい態様は,第四の態様として,前記情報処理装置は,前記画像のピクセル対応の深度情報の変化を複数のフレームで判定し,前記深度情報の変化分が発生した画素で囲まれる領域の形状と大きさが前記被写体に該当する場合,前記画素で囲まれる領域の形状を予め設定されている形状モデルと対比して,前記被写体の形態を特定する。
【発明の効果】
【0017】
第1の側面によれば,高齢者の生活パターンから危険度を判定して,自動的に通知を行うことが可能であり,これにより介護,医療機関による迅速な対応が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に従うスケルトントラッキングを適応した被写体見守りシステムの一実施例概念図である。
図2】深度情報付撮像装置1の概念構成ブロック図を示す図である。
図3】スケルトン(骨格)モデルの一例を示す図である。
図4図1に示す構成の情報処理装置2により実行される処理フローである。
図5】スケルトン(骨格)モデル情報解析処理(ステップS2)の詳細を示す処理フローである。
図6】深度情報解析処理(ステップS3)の詳細処理フローである。
図7】データベース26に格納されている形状のモデル例を示す図である。
図8】被写体見守りシステムの他の実施例概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面に従い,本発明の実施例を説明する。
【0020】
図1は,本発明に従う被写体見守りシステムの一実施例概念図である。
【0021】
被写体見守りシステムの基本的構成は,高齢者などの一人の被写体3に対応して一又は複数台の深度情報付撮像装置1(1a,1b)有する。一台の深度情報付撮像装置1は,観察範囲が例えば,0.5〜4m程度であると,一の居住空間であっても,被写体3の移動範囲を考慮して複数台が設けることが必要となる。また,異なる居住空間に移動する場合,例えば,居間から寝室,トイレへ移動する等考慮すると,それぞれの居住空間に対応して深度情報付撮像装置1を複数台設けることが望ましい。
【0022】
被写体見守りシステムは,更に深度情報付撮像装置1の出力情報を解析する情報処理装置2を有して構成される。
【0023】
深度情報付撮像装置1は,一定周期(フレーム毎)に深度情報付撮像装置1を識別する情報とともに,撮影画像と,撮影画像の各ピクセルにおける深度情報(Z方向の大きさ)と,被写体,ここでは被写体3のスケルトン(骨格)モデル情報を出力する。深度情報は、深度情報付撮像装置1の撮像面の法線方向の距離をあらわし、スケルトン(骨格)モデル情報は、深度情報から推定して得られる三次元の情報であり、推定情報であるという意味で仮想三次元空間上の情報である。
【0024】
かかる出力情報を生成する既存装置の一例として,米国Microsoft Corporationのゲーム端末Xbox 360(登録商標)に使用される入力端末機器であるKinect(登録商標)を用いることができる。
【0025】
情報処理装置2は,一般的なパーソナルコンピュータ相当の機能を有する処理装置である。主処理部として,CPU20を有する。CPU20は,HDD等の記憶装置21に格納されるOS(オペレーションシステム)に基づき,本発明に対応するプログラム(同様に記憶装置21に格納されている)を実行する。
【0026】
先の深度情報付撮像装置1からの一定周期(フレーム毎)の撮影画像データと,画像のピクセル対応の深度情報と,被写体のスケルトン(骨格)モデル情報を,インタフェース22を通して入力する。その際,情報処理装置2は,先に説明した深度情報付撮像装置1を識別する情報により,複数の深度情報付撮像装置1(1a,1b)のいずれからの情報であるかを特定できる。
【0027】
情報処理装置2は,入力された撮影画像及びスケルトン(骨格)モデル情報をビデオ信号に変換して,ビデオメモリ23に描画し,ディスプレイ24に表示する。深度情報とスケルトン(骨格)モデル情報は,同時にRAM25に保存される。
【0028】
図2は,一定周期(フレーム毎)に撮影画像と,画像のピクセル対応の深度情報と,被写体の骨格モデル情報を出力する上記米国Microsoft Corporationの端末装置Kinect(登録商標)に類似の深度情報付撮像装置1の概念構成ブロック図を示す図である。
【0029】
図2において,撮像カメラ10は,被写体3を含む所定範囲の像を撮像する撮像部である。制御部13の制御により赤外線放射部11より赤外線を放射し,被写体3から反射される赤外線を赤外線検知部12で検知する。撮像カメラ10からの撮像画像データ,及び赤外線検知部12で検知する反射赤外線は,制御部13に入力される。
【0030】
制御部13は,メモリ14に格納される制御プログラムを実行することにより,撮像カメラ10からの撮像画像データ,及び赤外線検知部12で検知される反射赤外線に基づき,仮想の三次元空間を生成し,一定周期(一フレーム)毎に撮像画角内で仮想三次元空間画像の各ピクセル対応に,距離(深度)情報(Z軸方向の大きさ)を生成する。さらに,深度情報から撮像画角に対応する仮想三次元空間における被写体像を所定のスケルトン(骨格)モデルに当てはめたスケルトン(骨格)情報を生成する。
【0031】
図3は,かかるスケルトン(骨格)モデルの一例を示す図であり,複数の構成要素と接続部で表されている。すなわち,人体を構成する体幹,上肢を概念する構成要素をバー29,30等で表し,構成要素であるバー29,30等を接続する黒丸の接続部31を関節などに概念して表している。
【0032】
例えば,構成要素として,バー29,30は,それぞれ前腕部と上腕部に対応付けし,接続部31は,バー29,30即ち,前腕部と上腕部を繋ぐ関節(肘関節)に対応付けされている。
【0033】
そして,被写体の大きさに対応して,接続部31間のバー29,30等の長さが変えられスケルトン(骨格)が特定される。
【0034】
それぞれの接続部31は,仮想3次元空間における三次元座標(X,Y,Z)を有し,被写体が動くとそれぞれの接続部31の三次元座標(X,Y,Z)が変更される。同時に,それぞれの構成要素(前腕部に対応するバー29,上腕部に対応するバー30等)は特定された長さを有し,両端の接続部31の三次元座標(X,Y,Z)の変化に対応して,仮想3次元空間における構成要素の位置及び角度が変化する。
【0035】
図4は,かかる図1に示す構成の情報処理装置2により実行される処理フローである。
【0036】
まず,深度情報付撮像装置1で生成され,インタフェース22を通してRAM25に一旦保持された深度情報とスケルトン(骨格)情報を一フレーム毎に取得する(ステップS1)。 次いで,得られたスケルトン(骨格)情報に基づき,スケルトン(骨格)情報解析処理を行う(ステップS2)。
【0037】
図5は,スケルトン(骨格)情報解析処理(ステップS2)の詳細を示す処理フローである。図5において,所定の仮想3次元空間画像範囲内に骨格情報が存在しているかを判定する(ステップS21)。骨格情報は,骨格モデルを構成する各骨部30を特定する識別子と,対応する接続部31の三次元座標情報を含んでいる。したがって,CPU20は,プログラムに従って,各バーを特定する識別子の有無により,画像範囲内にスケルトン(骨格)情報が存在するか否かを判定できる。
【0038】
当該フレームにおいて,スケルトン(骨格)情報が存在していなければ(ステップS21,No),次のフレーム(ステップS22)に移行する。
【0039】
画像範囲内にスケルトン(骨格)情報が存在する場合は(ステップS21,Yes),前の複数フレームのスケルトン(骨格)構成要素(バー29,30等)の3次元位置座標と比較して位置変化を全てのスケルトン構成要素について求める(ステップS23)。
【0040】
次いで,求められた全てのスケルトン構成要素各部の位置変化を予めパターン分けした基準データ(スケルトン(骨格)動作判定基準データ)と比較して状態判定を行う(ステップS24)。ここで,スケルトン(骨格)動作判定基準データは,データベース26(図1)に予め保存されている。
【0041】
かかるスケルトン(骨格)動作判定基準データは,就寝中、ベッド起床動作中、ベッド着座中、ベッド立上中、歩行中、静止中、椅子着座中、椅子立上中、床着座中、床立上中、床横臥中に対応してスケルトン(骨格)モデルを構成する複数のスケルトン(骨部)構成要素(バー29,30等)の位置変化が設定されているデータである。
【0042】
したがって,上記の求められた全てのスケルトン(骨部)構成要素の位置変化を,スケルトン(骨部)動作判定基準データと比較して,近似する被写体の行動パターン,即ち,就寝中、ベッド起床動作中、ベッド着座中、ベッド立上中、歩行中、静止中、椅子着座中、椅子立上中、床着座中、床立上中、床横臥中のいずれの行動パターンが対応するかの判定を行う。
【0043】
このように判定された被写体の行動パターンを,被写体の行動パターンとしてデータベース26に記録する(ステップS25)。
【0044】
次に,図4に戻り,情報処理装置2は,深度情報解析処理を実行する(ステップS3)。
【0045】
図6は,深度情報解析処理(ステップS3)の詳細処理フローである。図6において,所定の仮想3次元空間画像範囲内に各画素対応の深度情報(三次元座標のZ方向の値)の有無を判定する(ステップS31)。深度情報が無ければ(ステップS31,No),次のフレーム処理に移行する(ステップS32)。
【0046】
画像範囲内に各画素対応の深度情報があれば(ステップS31,Yes),前の複数フレームの深度情報と比較して深度情報の変化分を求める(ステップS33)。
【0047】
この深度情報の変化分が発生した画素で囲まれる領域(画像の範囲)の形状と大きさを計算する(ステップS34)。そして,深度情報が変化した形状と大きさが,人物の大きさに該当するかどうかを判定する(ステップS35)。
【0048】
深度情報が変化した形状と大きさが,人物の大きさに該当する場合は(ステップS35,Yes),データベース26に格納されている形状と比較して近似する形状を判定する(ステップS36)。次いで,判定した形状をデータベース26に記録する(ステップS37)。
【0049】
図7は,データベース26に格納されている形状のモデル例である。モデル形状として,(1)I,(2)一,(3)X,(4)○の4つのモデル例であり,それぞれのモデル例は,対応して下部に示される被写体の形態を模擬している。
【0050】
即ち,(1)Iの状態は,ほぼ直立の立居の状態であるが,手足の動きの少ない状態である。(2)一の状態は,横になっている状態である。(3)Xは,立居での状態で且つ手足の動きの大きい状態を示している。(4)○は,床に腹ばいもしくは,手をついている状態である。
【0051】
このように,データベース26に格納されている形状のモデル例と比較して判定された被写体の形状がデータベース26に記録される(ステップS37)。
【0052】
次いで,次のフレームについて,同様の処理が行われる。
【0053】
さらに,図4に戻り,スケルトン(骨格)情報解析処理(ステップS2)と深度情報解析処理(ステップS3)の後に,高齢者生活パターン判定処理(ステップS4)を実行する。
【0054】
高齢者生活パターン判定処理(ステップS4)においては,先に1フレーム毎のスケルトン(骨格)情報解析(ステップS2)と深度情報解析処理(ステップS3)によりデータベース26に格納された被写体の行動パターンと被写体の形状の組合せに基づき,被写体(高齢者)の転倒(歩行中の転倒,ベット立上がり中の転倒,椅子からの転倒),高齢者の意識障害(床に横たわって一定時間動きがない,椅子に座って一定時間動きがない)を判定することができる。
【0055】
このように判定された高齢者生活パターン判定について,緊急通知を必要とする生活パターンが発生したかを判定する(ステップS5)。即ち,上記のような高齢者の転倒あるいは,一定期間動きのない意識障害状態である場合は,緊急の対応部署への通知が必要である。
【0056】
この時は,図1において,情報処理装置2の音源処理部27を通して,スピーカ28でアラーム音を鳴らし監視者に警告する。同時に,通信機能部29により,予め登録されている通知先にメール手段,電話通信手段により連絡を行う(ステップS6)。
【0057】
図8は,被写体見守りシステムの他の実施例概念図である。
【0058】
図1の実施例構成においては,深度情報付撮像装置1と,深度情報付撮像装置1の出力情報を解析する情報処理装置2が1対1の関係にある場合であるが,情報処理装置2の機能を高め,センターに置かれる情報処理装置100とすることができる。
【0059】
これにより,かかるセンターに置かれる情報処理装置100は,それぞれ一の高齢者に対応する複数の深度情報付撮像装置1からの撮影画像データ,画像のピクセル対応の深度情報と,被写体のスケルトン(骨格)モデル情報を有線もしくは無線通信回線を通して受信する。
【0060】
そして,情報処理装置100は,複数の深度情報付撮像装置11,12…1nから受信される情報をRAM125に保持し,CPU110により順次RAM125の内容をスキャン操作して上記した図4図6に従う処理を行う。これにより地域毎,あるいは高齢者施設毎に複数の高齢者の見守りを行うことが可能である。
【0061】
ここで,深度情報付撮像装置1から得られる情報の一部即ち,被写体の撮影画像,データベース26(126)に格納したスケルトン(骨格)パターン,生活パターンのそれぞれを個別に提供するサービスを要求するクライアントがある場合が想定できる。かかる場合は,外部からインターネット等のネットワークを通してアクセスがあると,セキュリティチェックにより正当と認められる場合は,当該要求クライアントに対し対応する要求サービスを提供する機能を設けることに可能である。
【符号の説明】
【0062】
1(1a,1b) 深度情報付き撮像装置
2 情報処理装置
20 CPU
21 記憶装置
22 インタフェース
26 データベース
3 被写体
29,30 バー
31 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8