特許第6086476号(P6086476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6086476
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】基板浮上装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 49/06 20060101AFI20170220BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   B65G49/06 Z
   H01L21/68 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-271996(P2012-271996)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-118221(P2014-118221A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】濱川 健史
(72)【発明者】
【氏名】森 俊裕
(72)【発明者】
【氏名】奥田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】植原 幸大
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−002733(JP,U)
【文献】 特開2011−176086(JP,A)
【文献】 特開2009−256002(JP,A)
【文献】 特開2012−190890(JP,A)
【文献】 特開2004−345814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 49/06−49/07
B65G 51/03
B65H 5/22
H01L 21/67−21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を噴出もしくは吸引する複数の第1の通気口と、
気体を吸引もしくは噴出する複数の第2の通気口と、
を上面に有する浮上板を備え、
前記第1の通気口および前記第2の通気口から気体の噴出および吸引を行うことにより、基板を上方に浮上させる基板浮上装置であり、
基板を浮上させる際の前記第1の通気口および前記第2の通気口の動作は所定時間ごとに切り替わり、第1の通気口が気体を噴出している場合は第2の通気口は気体を吸引し、第1の通気口が気体を吸引している場合は第2の通気口は気体を噴出しており、基板の搬送方向における前記第1の通気口および前記第2の通気口の群の外側には、専ら気体の噴出を行う第3の噴出口が設けられていることを特徴とする、基板浮上装置。
【請求項2】
前記第1の通気口および前記第2の通気口は、同一の形状を有し、前記第1の通気口と前記第2の通気口とが隣接するように前記浮上板の上面に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の基板浮上装置。
【請求項3】
前記浮上板の上面にある異物を定期的に除去する清掃部をさらに有することを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の基板浮上装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気などの気体を噴出して基板を浮上させる基板浮上装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイには、基板上にレジスト液が塗布されたもの(塗布基板と称す)が使用されている。この塗布基板は、基板上にレジスト液や薬液などの塗布液を均一に塗布する塗布装置により形成されている。
【0003】
塗布装置の一例について概略図を図7に示す。塗布装置80は、基板Wを搬送する搬送装置81と、基板に塗布液を塗布する塗布部82を有している。塗布部82は、搬送装置81による基板Wの搬送方向と垂直な方向に伸びたスリットを有する口金を備え、基板Wを所定速度で搬送しながらこのスリットから塗布液を吐出し、基板W上に塗布膜を形成する。
【0004】
特に近年は、搬送装置81に特許文献1に示すような気体を噴出してその圧力で基板Wを浮上させる基板浮上装置を用いることにより、基板Wを非接触状態にして搬送することがある。
【0005】
この基板浮上装置の一例を図8に示す。この基板浮上装置90では、気体供給手段94から気体をマニホールド91および分岐配管92を経由して基板浮上装置90の表面にある噴出口93に供給し、噴出口93からその気体を噴出することにより、基板Wを浮上させる。
【0006】
また、基板浮上装置90は表面に吸引口97も有しており、基板Wを浮上させる際に吸引力供給手段98から吸引力をマニホールド95および分岐配管96を経由して吸引口97に供給する。このように噴出口93から気体を噴出すると同時に各吸引口97から基板Wを吸引することにより、気体の噴出のみを行って基板Wを浮上させた場合と比較して、浮上した基板Wのたわみを抑え平面度を維持することができ、また、基板Wの浮上高さを精密に制御することができる。この様に基板浮上装置90に噴出口93と吸引口97を設け気体の噴出と吸引のバランスにより浮上高さを精密に制御することは、塗布部82での基板Wに対する塗布膜形成に有効な技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−59823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1および図8に記載された基板浮上装置では、時間が経つと基板の浮上高さが不安定になるおそれがあるという問題があった。具体的には、図8に示すように、パーティクル、基板Wの小破片などの異物99が基板浮上装置90の周囲に存在した場合、その異物を吸引口97から吸引してしまうおそれがある。このように異物99を吸引してしまうと、マニホールド95に堆積したり分岐配管96に引っかかる可能性がある。特に、分岐配管96に引っかかった場合は、分岐配管96の詰まりを引き起こし、その分岐配管96と連通する吸引口97からの吸引が不十分になるため、基板Wの浮上高さを一定に保つことができなくなる。
【0009】
ここで、図7に示したような塗布装置では、前述の様に塗布部82から基板Wへ塗布液を均一に塗布するために塗布部82と基板Wとの距離を一定に保つこと、すなわち、基板Wの浮上高さを一定に保つことが重要であり、このように基板Wの浮上高さが不安定になると、塗布ムラを生じるおそれがある。
【0010】
さらに、基板Wと基板浮上装置90とが接触するおそれがあり、それによって基板Wの裏面に傷がついたり、基板Wに静電気が生じて異物の付着や内部回路の破壊が生じる可能性がある。
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、配管の目詰まりを防ぎ、常に基板を一定の浮上高さで浮上させることのできる基板浮上装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明の基板浮上装置は、気体を噴出もしくは吸引する複数の第1の通気口と、気体を吸引もしくは噴出する複数の第2の通気口と、を上面に有する浮上板を備え、前記第1の通気口および前記第2の通気口から気体の噴出および吸引を行うことにより、基板を上方に浮上させる基板浮上装置であり、基板を浮上させる際の前記第1の通気口および前記第2の通気口の動作は所定時間ごとに切り替わり、第1の通気口が気体を噴出している場合は第2の通気口は気体を吸引し、第1の通気口が気体を吸引している場合は第2の通気口は気体を噴出しており、基板の搬送方向における前記第1の通気口および前記第2の通気口の群の外側には、専ら気体の噴出を行う第3の噴出口が設けられていることを特徴としている。
【0013】
上記基板浮上装置によれば、基板を浮上させる際の第1の通気口および第2の通気口の動作は所定時間ごとに切り替わることにより、気体を吸引したときに一緒に吸い込んだ異物を気体を噴出する動作に切り替わったときに吹き出すことができるため、浮上板の目詰まりを防ぐことが可能である。
【0014】
また、前記第1の通気口および前記第2の通気口は、同一の形状を有し、前記第1の通気口と前記第2の通気口とが隣接するように前記浮上板の上面に配置されていると良い。
【0015】
こうすることにより、各通気口の噴出と吸引の動作が切り替わると基板の浮上の態様が変化してしまうことを防ぐことができる。
【0016】
また、前記浮上板の上面にある異物を定期的に除去する清掃部をさらに有すると良い。
【0017】
こうすることにより、第1の通気口および第2の通気口から吹き出された異物が浮上板の上面に滞留し続けることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の基板浮上装置によれば、配管の目詰まりを防ぎ、常に基板を一定の浮上高さで浮上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態における基板浮上装置の概略図である。
図2】各通気口の動作を切り替えた場合の概略図である。
図3】各通気口の配置例である。
図4】本実施形態の基板浮上装置の清掃方法の概略図である。
図5】他の実施形態における基板浮上装置の概略図である。
図6】他の実施形態における基板浮上装置の概略図である。
図7】基板浮上装置を有した塗布装置の概略図である。
図8】従来の基板浮上装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。
【0021】
本発明の一実施形態における基板浮上装置を図1に示す。基板浮上装置1は、浮上ステージ2を有しており、浮上ステージ2が気体の噴出を行い、基板Wを浮上させる。また、浮上ステージ2は、気体の吸引も同時に行い、気体の噴出と吸引とのバランスをとることによって、基板Wの全面において浮上高さを均一にしている。
【0022】
浮上ステージ2は、浮上板10、気体供給源17、および吸引力供給源20を有しており、気体供給源17から気体が供給されることにより浮上板10はその上面から気体を噴出し、また、吸引力供給源20から吸引力が供給されることにより、浮上板10はその上面から気体を吸引する。
【0023】
浮上板10は、上面が平坦となっているブロックであり、内部に第1のマニホールド13および第2のマニホールド15を有している。浮上板10の上面には第1のマニホールド13と連通している複数の第1の通気口11および第2のマニホールド15と連通している複数の第2の通気口12を有しており、各第1の通気口11は第1のマニホールド13と第1の分岐配管14を介して連通し、また、各第2の通気口12は、第2のマニホールド15と第2の分岐配管16を介して連通している。
【0024】
第1のマニホールド13は浮上板10の内部に設けられた管状物であり、管壁には、各第1の分岐配管14と接続する接続口を有する。また、第1のマニホールド13は、気体供給源17および吸引力供給源20とも配管を介して接続されており、そのための接続口も有する。なお、これら接続口以外の部分では、第1のマニホールド13は気密性を有している。
【0025】
第2のマニホールド15は浮上板10の内部に設けられた管状物であり、管壁には、各第2の分岐配管16と接続する接続口を有する。また、第2のマニホールド15も、気体供給源17および吸引力供給源20とも配管を介して接続されており、そのための接続口も有する。なお、これら接続口以外の部分では、第2のマニホールド15は気密性を有している。
【0026】
気体供給源17は、乾燥空気やN2などを供給する供給源であり、たとえば工場圧空が挙げられる。この気体供給源17は、前記の通り配管を介して第1のマニホールド13および第2のマニホールド15と接続されている。
【0027】
気体供給源17と第1のマニホールド13および第2のマニホールド15との間には、三方弁18が設けられており、三方弁18が気体供給源17と第1のマニホールド13とを連通させる状態となっている場合は、気体供給源17と第2のマニホールド15とは遮断されており、気体は第1のマニホールド13にのみ供給されて、この気体は第1の分岐配管14を通って、第1の通気口11から噴出される。
【0028】
これとは逆に、三方弁18が気体供給源17と第2のマニホールド15とを連通させる状態となっている場合は、気体供給源17と第1のマニホールド13とは遮断されており、気体は第2のマニホールド15にのみ供給されて、この気体は第2の分岐配管16を通って、第2の通気口12から噴出される。
【0029】
また、気体供給源17と三方弁18との間の配管には、開閉バルブ19が設けられている。この開閉バルブ19が閉状態である場合、三方弁18への気体の供給は遮断されるため、第1のマニホールド13にも第2のマニホールド15にも気体は供給されない。
【0030】
なお、図1以降の図面において、三方弁の中で連通している経路は塗りつぶし無しで、遮断されている経路は塗りつぶし有りで示している。たとえば、図1において三方弁18は気体供給源17と第1のマニホールド13とを連通させる設定となっている。また、開閉バルブのついては、開状態となっている開閉バルブを塗りつぶし無しで、閉状態となっている開閉バルブを塗りつぶし有りで示している。たとえば、図1においての開閉バルブ19は開状態であることを示している。
【0031】
吸引力供給源20は、真空ポンプ、ブロワーといった排気装置であり、一定の出力で排気を実施する。配管を介して第1のマニホールド13および第2のマニホールド15と接続されている。
【0032】
吸引力供給源20と第1のマニホールド13および第2のマニホールド15との間には、三方弁21が設けられており、三方弁21が吸引力供給源20と第1のマニホールド13とを連通させる状態となっている場合は、吸引力供給源20と第2のマニホールド15とは遮断されており、吸引力は第1のマニホールド13にのみ供給されて、分岐配管14を経由して第1の通気口11から気体が吸引される。
【0033】
これとは逆に、三方弁21が吸引力供給源20と第2のマニホールド15とを連通させる状態となっている場合は、吸引力供給源20と第1のマニホールド13とは遮断されており、吸引力は第2のマニホールド15にのみ供給されて、第2の分岐配管16を経由して、第2の通気口12から気体が吸引される。
【0034】
また、吸引力供給源20と三方弁21との間の配管には、開閉バルブ22が設けられている。この開閉バルブ22が閉状態である場合、三方弁21への気体の供給は遮断されるため、第1のマニホールド13からも第2のマニホールド15からも気体は吸引されない。
【0035】
このような構成を有する基板浮上装置1において、図1のように三方弁18が気体供給源17と第1のマニホールド13とを連通させる状態であり、かつ、三方弁21が吸引力供給源20と第2のマニホールド15とを連通させる状態であった場合、第1の通気口11から気体が噴出され、また、第2の通気口12から気体が吸引される。このように浮上ステージ2の上面から気体の噴出と気体の吸引とをバランスをとって行うことにより、基板浮上装置1に搬送された基板Wが浮上ステージ2の上方で浮上し、さらに基板Wの全面において浮上高さを均一にすることが可能である。
【0036】
ただし、このように気体の噴出と吸引を続けると、パーティクル、基板Wの小破片などの異物3をも第2の通気口から吸引してしまい、第2の分岐配管16が目詰まりを起こすおそれがある。
【0037】
図2は、図1に対して各通気口の動作を切り替えた状態を表す概略図である。
【0038】
図1では、三方弁18が気体供給源17と第1のマニホールド13とを連通させる状態であり、かつ、三方弁21が吸引力供給源20と第2のマニホールド15とを連通させる状態であったが、図2では、その状態から三方弁18が気体供給源17と第2のマニホールド15とを連通させる状態となるように切り替えられ、またそれと略同時に三方弁21が吸引力供給源20と第1のマニホールド13とを連通させる状態に切り替えられている。
【0039】
このように三方弁18および三方弁21の経路が切り替えられることにより、図1の例では気体を噴出していた第1の通気口11から気体が吸引され、また、図1の例では気体を吸引していた第2の通気口12から気体が噴出されるようになる。すなわち、第1の通気口11および第2の通気口12の動作が切り替えられる。
【0040】
このように第1の通気口11および第2の通気口12の動作が切り替わることにより、動作が切り替わる前に第2の通気口12と通ずる分岐配管16に溜まっていた異物3は、動作が切り替わった後に分岐配管16に供給された気体によって吹き上げられて浮上ステージ2から放出され、分岐配管16の詰まりが解消される。
【0041】
そして、この第1の通気口11および第2の通気口12の動作の切り替えが所定時間ごとに行われることにより、異物3が第1の分岐配管14および第2の分岐配管16に溜まり続けることがなくなるため、配管の目詰まりが防止される。
【0042】
なお、この所定時間ごととは、たとえば、基板Wが1枚搬送されるごとにでも良く、また、基板Wが10枚搬送されるごとにでも良く、任意に設定可能である。
【0043】
図3は、各通気口の配置例である。
【0044】
図1および図2に示したように、第1の通気口11および第2の通気口12の動作の切り替えが行われることにより、上記の通り配管の目詰まりが防止される。ただし、第1の通気口11および第2の通気口12の配置に偏りがあった場合、動作の切り替え前後で基板Wの浮上高さが異なったり、基板Wが傾いて浮上したりするおそれがある。このように動作の切り替え前後で基板Wの浮上状態が変化してしまうと、浮上している基板Wへの塗布液の塗布のように、基板Wの浮上高さに精度が要求される作業を実施することは困難である。
【0045】
そこで、第1の通気口11および第2の通気口12とが偏り無く配置されていることが望ましく、具体的には、図3(a)のように第1の通気口11および第2の通気口12が交互に配列されていたり、図3(b)のように第1の通気口11および第2の通気口12がそれぞれ千鳥上に配置されていたりするように、第1の通気口11および第2の通気口12とが隣接するように浮上ステージ2上で配置されていることが望ましい。
【0046】
また、たとえば第1の通気口11と第2の通気口12とが同一の形状を有することなどによって、第1の通気口11から気体を噴出もしくは吸引する場合の圧力損失と第2の通気口12から気体を噴出もしくは吸引する場合の圧力損失とが略同一であることも、第1の通気口11および第2の通気口12の動作の切り替え前後で基板Wの浮上状態が変化することを防ぐためには、望ましい。
【0047】
図4は、本実施形態における基板浮上装置の清掃方法を示す概略図である。
【0048】
第1の通気口11および第2の通気口12の動作の切り替えにより第1の通気口11および第2の通気口12から吹き出された異物3は、浮上ステージ2の上面に落ちて滞留し続けるおそれがある。
【0049】
そこで、本実施形態では、浮上ステージ2の上方で基板Wが浮上していない間に清掃部30が浮上ステージ2の上面に被せられて、浮上ステージ2の上面近辺の気体が吸引される。これによって、浮上ステージ2の上面の異物3が清掃部30に回収されて、浮上ステージ2の上面が清掃される。
【0050】
清掃部30は、天板31と複数の側板32を備えており、これら天板31と側板32とが組み合わさり、下方に開口を有する箱状の形状を有する。この清掃部30が浮上ステージ2の上面に被せられることにより、それぞれの側板32が浮上ステージ2の上面と接して清掃部30と浮上ステージ2の上面とで閉じた空間を形成する。また、側板32の浮上ステージ2と接する部分には、パッキンなどが設けられ、浮上ステージ2と接した際にシールされる。
【0051】
また、清掃部30は、浮上ステージ2の上面のほぼ全域を覆うような大きさを有しており、浮上ステージ2の上面のどの位置に異物3が存在していても、吸引できるようにしている。
【0052】
また、清掃部30には吸引配管33が設けられており、吸引配管33は図示しない吸引力供給手段と接続されており、この吸引力供給手段が動作することにより、吸引配管33を経由して、清掃部30と浮上ステージ2の上面とで形成した閉じた空間の気体を吸引する。
【0053】
このような構成の清掃部30が浮上ステージ2の上面に被せられた後、清掃部30と浮上ステージ2の上面とで形成した閉じた空間の気体が吸引されることにより、上記の通り浮上ステージ2の上面に落ちた異物などが清掃部30に回収されて、浮上ステージ2の上面が清掃される。
【0054】
また、本実施形態ではこのような清掃部30により浮上ステージ2の上面を清掃するが、その他の形態によって浮上ステージ2の上面を清掃しても良く、たとえば、粘着シートを浮上ステージ2の上面に敷いて異物3を粘着シートに付着させることによって、清掃を行っても良い。
【0055】
図5は、他の実施形態における基板浮上装置の概略図である。
【0056】
図1で示した本実施形態では、気体供給源17と第1のマニホールド13および第2のマニホールド15との間には、三方弁18が設けられており、また、吸引力供給源20と第1のマニホールド13および第2のマニホールド15との間には、三方弁21が設けられているが、図5の実施形態ではその代わりに、気体供給源17と第1のマニホールド13との間には開閉バルブ41があり、気体供給源17と第2のマニホールド15との間には開閉バルブ42がある。また、吸引力供給源20と第1のマニホールド13との間には、開閉バルブ43があり、吸引力供給源20と第2のマニホールド15との間には開閉バルブ44がある。
【0057】
また、図5では、開閉バルブ41および開閉バルブ44が開状態であり、開閉バルブ42および開閉バルブ43が閉状態となっている。この状態では、気体供給源17からの気体は第1のマニホールド13へ供給されるため、第1の通気口11から気体が噴出する。また、吸引力供給源20からの吸引力は第2のマニホールド15へ供給されるため、第2の通気口12から気体が吸引される。
【0058】
そして、図示はしていないが、開閉バルブ41および開閉バルブ44が開状態から閉状態に切り替わり、そして、、開閉バルブ42および開閉バルブ43が閉状態から開状態に切り替わることによって、第1の通気口から気体が吸引され、また、第2の通気口から気体が噴出される。すなわち、第1の通気口11および第2の通気口12の動作が切り替わる。
【0059】
この実施形態においては、第1の通気口11および第2の通気口12の動作の切り替えにおいて開閉バルブ41乃至開閉バルブ44の4つの開閉バルブの操作を必要とするが、図1の実施形態と異なり、第1の通気口11からも第2の通気口12からも気体を噴出する状態にすることが可能である。また、第1の通気口11からも第2の通気口12からも気体を吸引する状態にすることも可能である。
【0060】
そして、第1の通気口11からも第2の通気口12からも気体を噴出する状態にした上で、図4に示した清掃部30による浮上ステージ2の上面の清掃を行うことにより、異物3が誤って第1の通気口11もしくは第2の通気口12に入り込んでしまうことを防ぎながら、清掃を行うことが可能である。
【0061】
図6は、さらに他の実施形態における基板浮上装置を示す。図6(a)は、この実施形態の基板浮上装置の概略図、図6(b)は、この実施形態でない場合の基板の端部の状態を示している。
【0062】
図6(a)にしめす実施形態では、浮上ステージ2上の第1の通気口11および第2の通気口12よりも外側に噴出口51が設けられており、浮上ステージ2上で基板Wが浮上している間、動作が切り替わることなく常に気体を噴出させている。
【0063】
噴出口51は、第1の通気口11および第2の通気口12と同様に浮上ステージ2の上面の設けられた開口である。噴出口51は、気体供給源52と配管を介して接続されており、気体供給源52から気体を供給することにより噴出口51から気体が噴出される。
【0064】
また、図6に示す実施形態では、気体供給源52を気体供給源17と別個に設けているが、三方弁18と開閉バルブ19との間で配管を分岐させて各噴出口51と接続することによって気体供給源17が噴出口51への気体の供給も行うようにしても良い。
【0065】
ここで、仮に図1などのように噴出口51が設けられていない場合、浮上ステージ2の上面における最も外側の通気口が気体を吸引する動作をする時が存在する。
【0066】
ここで、たとえば基板浮上装置1上の基板WがX軸方向に搬送される場合には、基板Wの端部が第1の通気口11および第2の通気口12の存在する領域を通り抜けた際、基板Wは最後に吸引により引っ張られた状態となる。そのため、基板Wの端部は図6(b)に示すように下向きに垂れる形態となる。そして、この状態でX軸方向に搬送されると、基板Wの端部が基板浮上装置1に隣接する装置と干渉するおそれがある。
【0067】
そこで、噴出口51を設けて、浮上ステージ2上で基板Wの搬送方向について最も外側では常に気体が噴出されて基板Wの端部が上向きとなるようにすることにより、上記の干渉のおそれを無くすことが可能である。
【0068】
以上に説明した基板浮上装置により、吸引側経路の詰まりを防ぎ、常に基板を一定の浮上高さで浮上させることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 基板浮上装置
2 浮上ステージ
3 異物
10 浮上板
11 第1の通気口
12 第2の通気口
13 第1のマニホールド
14 第1の分岐配管
15 第2のマニホールド
16 第2の分岐配管
17 気体供給源
18 三方弁
19 開閉バルブ
20 吸引力供給源
21 三方弁
22 開閉バルブ
30 清掃部
31 天板
32 側板
33 吸引配管
41 開閉バルブ
42 開閉バルブ
43 開閉バルブ
44 開閉バルブ
51 噴出口
52 気体供給源
80 塗布装置
81 搬送装置
82 塗布部
90 基板浮上装置
91 マニホールド
92 分岐配管
93 噴出口
94 気体供給手段
95 マニホールド
96 分岐配管
97 吸引口
98 吸引力供給手段
99 異物
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8