(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無目は、断面輪郭形状が仮想矩形形状内に沿う形状であって、前記少なくとも一つの側面とは反対側の側面にも、溝部を備えている、請求項1または2に記載の面材取付構造。
前記無目に対し相対的に移動可能なファスナーと、前記無目に対して移動不能に固定されているファスナーは、それぞれ異なる前記面材に固定されており、前記異なる面材は、互いに相対的に移動可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の面材取付構造。
【背景技術】
【0002】
一般に中高層建築物の施工においては、構造躯体の外面に面材を取り付ける、外装カーテンウォール工法が、広く行われている。
【0003】
外装カーテンウォール工法の一つとして、ノックダウン方式が挙げられる。ノックダウン方式は、構造躯体外周に、長尺の垂直部材である方立と、水平部材である無目による格子状の構造を、施工現場で構造躯体に設置しながら組み立てる工法である。特許文献1は、
図12に示すような、ノックダウン方式のカーテンウォール取付構造を開示している。
【0004】
図12(a)はカーテンウォール100の取付構造の、要部斜視図であり、(b)は縦目地部の横断面図である。カーテンウォール100は、水平方向に所定の間隔をおいて上下方向に沿って方立101を固定した後、この方立101間に上下方向に所定間隔で無目102を架け渡すとともに、方立101の室外側面に縦枠103を取り付けて開口枠を構成し、縦枠103の室外側面に側枠104を取り付けた後、無目102の嵌合溝にガラス105を嵌め込み、ガラス側縁を側枠104に取り付けた押縁106によって固定した構造を有している。
【0005】
このような、方立と無目によるカーテンウォール取付構造においては、方立と無目により形成されている領域は、通常は矩形であるが、地震発生時には、構造躯体のゆがみに伴う層間変位の影響で、方立が斜めに傾く一方で、無目は略水平を保っているため、平行四辺形に変形する。すなわち、このようなカーテンウォール構造に取り付ける面材も、層間変位の影響を受けるため、面材の損傷を小さくし、脱落を防止するための、様々な面材取付構造が検討されている。
【0006】
例えば、面材がガラスの場合は、方立と無目によるカーテンウォール構造にガラスを設置し、層間変位の影響を受けガラスが傾いた際に、方立や無目と干渉しあわないように、ブーカム式によって検討する方法、ガラスの4隅に皿孔加工を施し、回転機構を有するボルトを取り付けて固定するドットポイントグレージング(DPG)方式、ガラスのエッジ部分を特殊な部品で内外から挟んで固定するメタルポイントグレージング(MPG)方式などが、提案されている。
【0007】
面材が、オートクレーブ養生した軽量気泡コンクリート(ALC)、押出成形セメント板、石張りである場合においても、同様に、面材独自の特性を活かした面材取付構造が確立され、標準化されている。
【0008】
ところで、面材がアルミパネルの場合には、面材取付構造が標準化されておらず、したがって、施工される建築物に応じて、様々な面材取付構造が使用されている。比較的多く採用されている構造として、Lアングル下地等にアルミパネルをドリルネジで直接留め付ける構造が挙げられる。
【0009】
アルミパネルを取り付ける他の構造として、
図13に示される構造が挙げられる。
図13(a)に、面材の層間変位追従機構として知られている、スウェー方式を採用した面材取付構造110を示す。面材取付構造110は、3本の方立111と、3本の無目112を備えており、方立111間にアルミパネル113が設置されている。アルミパネル113は、接続部114と接続部115において、方立111に接合されている。
【0010】
図13(b)に、接続部114のA−A´断面図を示す。アルミパネル113は、板体113aと、板体113aの裏側に接合された縦部材113bを備えている。縦部材113bは、板体113aの垂直方向の両側辺に沿って、板体113aの裏側に、垂直に接合されている。2枚の板体113aが併設されると、隣接する側辺上の縦部材113bが、互いに隣接して位置する。この隣接する2枚の縦部材113bを挟み込むように、1つのウェブ118aと2つのフランジ118bで構成された、コの字型断面の支持鋼材118が設置されている。縦部材113bの側面と、支持鋼材118のフランジ118bの内側側面118dとの間には、隙間が空けられている。アルミパネル113と支持鋼材118は、Lアングルなどの接合鋼材116、117によって接合されている。支持鋼材118は、図示しない鋼材によって、方立111に接合されている。
【0011】
図13(c)に、接続部115のB−B´断面図を示す。接続部115においては、縦部材113bに穴または欠き込み113cが開設されている。また、支持鋼材118のフランジ118bの、縦部材113bに対応する位置にも、穴118cが開設されている。鋼棒119が、これらの穴または欠き込み113c、及び穴118cを挿通して設けられており、鋼棒119の両端は、支持鋼材118のフランジ118bに接合されている。支持鋼材118は、接合鋼材120によって、方立111に接合されている。
【0012】
上記のように、接続部114においては、アルミパネル113は方立111に移動不能に固定されており、アルミパネル113の自重を支えるように構成されている。他方、接続部115においては、アルミパネル113と支持鋼材118は、縦部材113bの側面と、支持鋼材118のフランジ118bの内側側面118dとの間の隙間の距離だけ、鋼棒119を介して、左右に相対移動することが可能となっている。このような構成を有することにより、
図13(a)の矢印方向に地震力が作用して、方立111が傾いても、アルミパネル113は接続部114において方立111の動きに追従しつつ、接続部115においては、方立111の動きに追従せず、方立111と相対的に、横方向に移動する。これにより、アルミパネル113が層間変位の影響を受けないようになっている。
【0013】
また、併設された2枚のアルミパネル113を、それらの隣接する側辺において、1本の支持鋼材118でまとめて接合しているため、支持鋼材118の本数を少なくし、鋼材費を低減することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態として示した面材取付構造1の、裏側、すなわち構造躯体側から見た斜視図である。本図においては、面材取付構造1が取り付けられた構造躯体は図示されておらず、面材取付構造1の紙面方向手前に存在している。
図2は、無目とファスナーの設置状況を示す、
図1のA−B部分拡大図である。
【0031】
面材取付構造1は、図示しない構造躯体に設置された方立2と、方立2間に設置された無目3と、無目3に複数のファスナー5、6を介して取り付けられた面材7を備えている。
【0032】
方立2は、長尺の鋼材であり、図示しない構造躯体の外面に、水平方向に所定の間隔を空けて、垂直に設置されている。方立として、H型鋼を用いてもよいが、面材7が受ける地震力や風荷重などの外力を考慮して、満足できる強度を有していれば、任意の素材や断面形状を使用して構わない。
【0033】
無目3は、方立2間の間隔と同程度の長さを有する、長尺の鋼材であり、方立2間に、鉛直方向に所定の間隔を空けて設置されている。
図2の無目3のC−C´断面図を
図3に示す。無目3は、少なくとも一つの側面に、長さ方向に延在する溝部4a−4dを備えている。
【0034】
無目3は、外壁と内壁を備えている。外壁は、上側に位置する上側第1外壁3aと上側第2外壁3b、構造躯体に対向して面材取付構造の内側に位置する内側第1外壁3cと内側第2外壁3d、下側に位置する下側第1外壁3eと下側第2外壁3f、構造躯体と反対側の、面材取付構造の外側に位置する外側第1外壁3gと外側第2外壁3hを備えている。内壁は、上側内壁3i、内側内壁3j、下側内壁3k、外側内壁3lを備えている。
【0035】
内側内壁3jと外側内壁3lは、垂直方向に、かつ互いに平行に設けられている。内側内壁3jと外側内壁3lの、互いに対向する内側側面には、上側内壁3iと下側内壁3kの両端辺がそれぞれ接合されており、これにより、内側内壁3jと外側内壁3lは接続されて、一体となっている。上側内壁3iと下側内壁3kは、水平方向に、かつ互いに平行に設けられており、内側内壁3jと外側内壁3lの内側側面に、内側内壁3jと外側内壁3lと垂直に接合されている。
【0036】
内側内壁3jは、上側内壁3i及び下側内壁3kとの接合位置から、それぞれ上方及び下方に突出し、これにより、内側内壁上方突出部3m、内側内壁下方突出部3nが形成されている。外側内壁3lも同様に、上側内壁3i及び下側内壁3kとの接合位置から、それぞれ上方及び下方に突出し、これにより、外側内壁上方突出部3p、外側内壁下方突出部3oが形成されている。
【0037】
外側内壁上方突出部3pの上端に、上側第1外壁3aが、外側内壁上方突出部3pと垂直になるように接合されている。上側第1外壁3aは、外側内壁上方突出部3pとの接合位置から構造躯体側に突出し、これにより、上側第1外壁突出部3qが形成されている。上側第1外壁3aの、上側第1外壁突出部3qとは反対側の端辺には、外側第2外壁3hが、上側第1外壁3aと垂直になるように接合されている。
【0038】
内側内壁上方突出部3mの上端に、上側第2外壁3bが、内側内壁上方突出部3mと垂直になるように接合されている。上側第2外壁3bは、内側内壁上方突出部3mとの接合位置から構造躯体の反対側に突出し、これにより、上側第2外壁突出部3rが形成されている。上側第2外壁3bの、上側第2外壁突出部3rとは反対側の端辺には、内側第1外壁3cが、上側第2外壁3bと垂直になるように接合されている。
【0039】
内側内壁下方突出部3nの下端に、下側第1外壁3eが、内側内壁下方突出部3nと垂直になるように接合されている。下側第1外壁3eは、内側内壁下方突出部3nとの接合位置から構造躯体の反対側に突出し、これにより、下側第1外壁突出部3sが形成されている。下側第1外壁3eの、下側第1外壁突出部3sとは反対側の端辺には、内側第2外壁3dが、下側第1外壁3eと垂直になるように接合されている。
【0040】
外側内壁下方突出部3oの下端に、下側第2外壁3fが、外側内壁下方突出部3oと垂直になるように接合されている。下側第2外壁3fは、外側内壁下方突出部3oとの接合位置から構造躯体側に突出し、これにより、下側第2外壁突出部3tが形成されている。下側第2外壁3fの、下側第2外壁突出部3tとは反対側の端辺には、外側第1外壁3gが、下側第2外壁3fと垂直になるように接合されている。
【0041】
上記の構成によって、無目3は、断面輪郭形状が仮想矩形形状内に沿う形状を有している。すなわち、上側第1外壁3aと上側第2外壁3bが上面に、内側第1外壁3cと内側第2外壁3dが構造躯体側の内側の面に、下側第1外壁3eと下側第2外壁3fが下面に、外側第1外壁3gと外側第2外壁3hが構造躯体と反対側の外側の面に、それぞれ対応すると考えると、無目3の各外壁3a−3hは、上面、内面、外面、及び下面によって形成される、矩形輪郭形状に沿う形状を成している。
【0042】
無目3は上面に、上側溝部4aを有している。上側溝部4aは、底面が上側内壁3iの、側面が内側内壁上方突出部3mと外側内壁上方突出部3pの、各々の表面によって形成されている。上側溝部4aは、無目3上面に位置する開口部を介して外部に連通している。開口部の両端からは、上側第1外壁突出部3qと上側第2外壁突出部3rが開口部に向けて突出しており、開口部は上側溝部4aの内部空間と比較すると幅が狭くなっている。
【0043】
無目3は、構造躯体側の面に、内側溝部4bを有している。内側溝部4bは、底面が内側内壁3jの、側面が上側第2外壁3bと下側第1外壁3eの、各々の表面によって形成されている。内側溝部4bは、無目3の構造躯体側の面に位置する開口部を介して外部に連通している。開口部の両端からは、内側第1外壁3cと内側第2外壁3dが開口部に向けて突出しており、開口部は内側溝部4bの内部空間と比較すると幅が狭くなっている。
【0044】
無目3は下面に、下側溝部4cを有している。下側溝部4cは、底面が下側内壁3kの、側面が内側内壁下方突出部3nと外側内壁下方突出部3oの、各々の表面によって形成されている。下側溝部4cは、無目3下面に位置する開口部を介して外部に連通している。開口部の両端からは、下側第1外壁突出部3sと下側第2外壁突出部3tが開口部に向けて突出しており、開口部は下側溝部4cの内部空間と比較すると幅が狭くなっている。
【0045】
無目3は、構造躯体とは反対側の面に、外側溝部4dを有している。外側溝部4dは、底面が外側内壁3lの、側面が上側第1外壁3aと下側第2外壁3fの、各々の表面によって形成されている。外側溝部4dは、無目3の構造躯体とは反対側の面に位置する開口部を介して外部に連通している。開口部の両端からは、外側第1外壁3gと外側第2外壁3hが開口部に向けて突出しており、開口部は外側溝部4dの内部空間と比較すると幅が狭くなっている。
【0046】
上側溝部4a、内側溝部4b、下側溝部4c、外側溝部4dの、各々の開口部は、同程度の大きさを有するように構成されている。開口部の大きさは、取り付けるファスナー5、6の仕様により決定されている。
【0047】
各外壁3a−3hの、各々の外表面の一部には、無目3の長さ方向に延びる凹条凸条が形成されている。この凹条凸条は、後述する自重受け用ファスナー5を設置した際に、係止部3uとして作用する。
【0048】
無目3は、上記の断面形状を有することで、長さ方向の少なくとも一つの側面、該側面とは反対側の側面、及び他の2側面に、それぞれ、長さ方向に延在する溝部4a−4dを備えている。また、各側面において、溝部4a−4dを挟んで平行に延在する第1及び第2外壁3a−3hの各々に、長さ方向に凹条凸条として延在する係止部3uを備えている。
【0049】
無目3の材質としては、加工性などを考えるとアルミ合金型材を使用するのが好ましいが、他の素材でも構わない。
【0050】
図2に示されるように、1本の無目3に対して、複数のファスナー5、6が取り付けられている。複数のファスナー5、6は、溝部4a−4dに係合する掛止部によって、無目3に取り付けられて、溝部4a−4dに沿って無目3に対し相対的に移動可能である。複数のファスナー5、6は、自重受け用ファスナー5と、スライド用ファスナー6を備えている。
図2においては、無目3の上面に、それぞれ2つの自重受け用ファスナー5とスライド用ファスナー6が、下面に、2つのスライド用ファスナー6が、設置されている。
【0051】
図4は、面材取付構造1における、自重受け用ファスナー5の、(a)は分解斜視図、(b)無目3への設置状況を示す説明図である。自重受け用ファスナー5は、本体20、無目取付ボルト・ナット21、22、及び、面材取付ボルト・ナット23、24を備えている。
【0052】
本体20は、底板20aと側板20bを備えており、底板20aの一側辺に、側板20bが、底板20aと垂直になるように、接合されている。本体20は、無目3の上面上に、底板20aが上側第1外壁3aと上側第2外壁3bを跨いで上側溝部4aを塞ぐように、なおかつ、側板20bが無目3の、構造躯体とは反対側の面の更に外側に突出して位置するように、配置されている。底板20aの、上側溝部4aに対応する位置には、2つの穴20cが、無目3の延在する方向に並んで開設されている。
【0053】
無目取付ボルト21は、頭部21aと雄ネジ部21bを備えている。無目取付ボルト21は、頭部21aが下に位置して上側溝部4a内に格納され、雄ネジ部21bが上方を向いて穴20cを挿通するように配置されている。頭部21aの径は上側溝部4aの開口部の幅より大きくなるように選定されている。
【0054】
無目取付ボルト21の雄ネジ部21bには、無目取付ナット22が螺着されている。無目取付ボルト21の頭部21aが上側溝部4aの開口部の幅より大きな径を有しているため、無目取付ボルト21の頭部21aと無目取付ナット22の間には、無目3の上側第1外壁3aの上側第1外壁突出部3qと上側第2外壁3bの上側第2外壁突出部3r、及び、本体20の底板20aが挟まれている。自重受け用ファスナー5においては、無目取付ボルト21と無目取付ナット22はトルク管理により緊結されている。この場合、緩み止めの機能を備えたボルト・ナットであれば、トルク管理が不要なボルト・ナットを使用してもよい。したがって、自重受け用ファスナー5は、無目3に対して上側溝部4aに沿って容易に移動できないように、無目3に設置されている。
【0055】
本体20の底板20a下面には、無目3の長さ方向に延びる凹条凸条が形成されて、係止部20dとなっている。係止部20dは、無目3の上側第1外壁3a、上側第2外壁3bの各係止部3uと嵌合するように、無目3の係止部3uと対応する形状に形成されている。係止部20dにより、係止部20dの凹条凸条の延在する方向に対して垂直方向に作用する、地震力、風荷重、重力などの外力に抵抗することができる。
【0056】
本体20の、側板20bには、図示しない穴が開設されている。側板20bの外側面に接するように、面材7が設置されて、面材取付ボルト・ナット23、24で固定される。
【0057】
図4(a)に示される自重受け用ファスナー5においては、本体20の底板20aの、無目3の長さ方向における両側辺に接するように、上側溝部4aに拘束部材9が設置されている。拘束部材9は、ボルト25、固定鋼板26、及びナット27を備えている。
【0058】
ボルト25は、頭部25aと雄ネジ部25bを備えている。ボルト25は、頭部25aが下に位置して上側溝部4a内に格納され、雄ネジ部25bが上方を向くように配置されている。頭部25aは矩形形状をしており、少なくとも無目3の幅方向に位置する側辺の長さは、上側溝部4aの開口部の幅より大きくなるように形成されている。
【0059】
固定鋼板26には、穴26aが開設されている。固定鋼板26は、無目3の上側第1外壁3a、上側第2外壁3bの上に設置されており、上側溝部4a内から突出するボルト25の雄ネジ部25bが穴26aを挿通している。雄ネジ部25bにはナット27が螺着されて、緊結に固定されている。
【0060】
ボルト25の頭部25aが上側溝部4aの開口部の幅より大きな径を有しているため、ボルト25の頭部25aとナット27の間には、無目3の上側第1外壁3aの上側第1外壁突出部3qと上側第2外壁3bの上側第2外壁突出部3r、及び、固定鋼板26が挟まれている。したがって、拘束部材9は、無目3に対して上側溝部4aに沿って容易に移動できないように、無目3に設置されている。
【0061】
このように構成された拘束部材9によって、
図4(a)に示される自重受け用ファスナー5は、無目3に対して移動不能に固定されている。
【0062】
本実施形態において、1本の無目3に対して複数の自重受け用ファスナー5が設置されている時に、拘束部材9によって移動不能に固定する自重受け用ファスナー5は、1つのみとするのが望ましい。複数の自重受け用ファスナー5を移動不能に固定すると、例えば、これらの自重受け用ファスナー5に同一の面材7が取り付けられた場合、自重受け用ファスナー5間に位置する無目3と面材7が熱伸びした際に、双方の熱膨張係数の相違により、無目3と面材7に応力がかかり、破損する可能性がある。したがって、他の自重受け用ファスナー5は、無目取付ボルト21と無目取付ナット22によって緊結に設置しつつも、熱伸び時の若干の移動は可能な状態にするのが望ましい。
【0063】
図5は、面材取付構造1における、スライド用ファスナー6の、無目3への設置状況を示す斜視図である。スライド用ファスナー6は、本体30、無目取付ボルト・ナット31、32、及び、面材取付ボルト・ナット33、34を備えている。
【0064】
本体30は、底板30aと側板30bを備えており、底板30aの一側辺に、側板30bが、底板30aと垂直になるように、接合されている。本体30は、無目3の上面上に、底板30aが上側第1外壁3aと上側第2外壁3bを跨いで上側溝部4aを塞ぐように、なおかつ、側板30bが無目3の、構造躯体とは反対側の面の更に外側に突出して位置するように、配置されている。底板30aの、上側溝部4aに対応する位置には、図示しない2つの穴が、無目3の延在する方向に並んで開設されている。
【0065】
無目取付ボルト31は、頭部31aと雄ネジ部31bを備えている。無目取付ボルト31は、頭部31aが下に位置して上側溝部4a内に格納され、雄ネジ部31bが上方を向いて底板30aの穴を挿通するように配置されている。頭部31aの径は上側溝部4aの開口部の幅より大きくなるように選定されている。
【0066】
無目取付ボルト31の雄ネジ部31bには、無目取付ナット32が螺着されている。無目取付ボルト31の頭部31aが上側溝部4aの開口部の幅より大きな径を有しているため、無目取付ボルト31の頭部31aと無目取付ナット32の間には、無目3の上側第1外壁3aの上側第1外壁突出部3qと上側第2外壁3bの上側第2外壁突出部3rと、本体30の底板30aが挟まれている。スライド用ファスナー6においては、無目取付ボルト31と無目取付ナット32は適度に緩く接合されている。また、スライド用ファスナー6は、拘束部材によって、無目3の長さ方向の移動が拘束されていない。このように、スライド用ファスナー6は、無目3に対して上側溝部4aに沿って移動可能となるように、無目3に設置されている。
【0067】
本体30の底板30a下面には、無目3とスライド用ファスナー6との相対移動を滑らかにするために、滑り材35が接合されている。滑り材35は、例えば1mm程度の厚みを有するステンレスの板であってよいし、ポリテトラフルオロエチレンでもよい。
【0068】
本体30の、側板30bには、図示しない穴が開設されている。側板30bの外側面に接するように、面材7が設置されて、面材取付ボルト・ナット33、34で固定される。
【0069】
図2に示すように、無目3の、内側外壁3c、3d上に、すなわち無目3の構造躯体側には、無目取付部材8が固定されている。無目取付部材8は、底板8aと側板8bを備えており、底板8aの一側辺に、側板8bが、底板8aと垂直になるように、接合されている。
【0070】
無目取付部材8の底板8aには、図示しない穴が開設されており、この穴を介して、上記の自重受け用ファスナー5と同様の要領で、ボルト・ナット10により、無目3の内側第1外壁3cと内側第2外壁3dに、緊結に固定されている。
【0071】
無目取付部材8の側板8bは、ボルト・ナット11などにより、
図1に示されるように方立2に固定されている。
【0072】
このような、方立2、無目3、自重受け用ファスナー5、及びスライド用ファスナー6によって構成された、
図2に示されるような構造体に対して、面材7は、
図1に示されるように取り付けられる。すなわち、各無目3において、無目3に対し相対的に移動可能なスライド用ファスナー6と、無目3に対して移動不能に固定されている自重受け用ファスナー5を、それぞれ異なる面材7に固定し、これら異なる面材7は、互いに相対的に移動可能とすることができるように、取り付けられている。
【0073】
本実施形態において使用されている面材7は、
図1に示されるように略正方形を成しており、面材7の一方の対角線が鉛直方向と平行になるように、取り付けられている。
図1の、D−E部分拡大図を、
図6に示す。ここで、
図6に図示された無目3vに対して、2つの自重受け用ファスナー5を介して取り付けられた、面材7aに着目する。面材7aは、上段の無目3w及び下段の無目3xに対して、スライド用ファスナー6を介して取り付けられている。
【0074】
図6において、面材7aの右上、左上、左下、右下にそれぞれ位置する面材7b、7c、7d、7eは、面材7aと同様な形状を有しており、面材7aと同様な方向で配置されている。面材7aの各側辺と、面材7b、7c、7d、7eのいずれかの側辺は、一定の間隔の目地を空けて、互いに隣接して対向するように、面材7aと面材7b、7c、7d、7eは併設されている。
【0075】
上記の目地は、上下の無目3間の距離をhとすると、h/100程度以上とするのが望ましい。例えばhが1mの場合は、目地は10mm程度以上あるのが望ましい。
【0076】
面材7b、7c、7d、7eは、面材7aが自重受け用ファスナー5を介して取り付けられた無目3vに対して、それぞれスライド用ファスナー6b、6c、6d、6eを介して、無目3vに対して移動可能に取り付けられている。また、面材7b、7cは無目3vの一段上に位置する無目3wに、及び、面材7d、7eは無目3vの一段下に位置する無目3xに、それぞれ自重受け用ファスナー5を介して取り付けられている。なお、一本の無目3に対するファスナー5、6及び面材7の取り付け方はこれに限られず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、他の多様な取り付け方が考えらえることは、言うまでもない。
【0077】
次に、上記の面材取付構造1の作用、効果について説明する。
【0078】
地震が発生し、構造躯体に横方向の地震力が作用すると、構造躯体のゆがみに伴う層間変位の影響で、方立2が斜めに傾く。これに伴い、異なる高さに位置する無目3は、無目3の長さ方向に、互いに相対的に移動する。ここでは、例えば、
図6に示される無目3vが無目3xに対して、なおかつ、無目3wが無目3v及び無目3xに対して、それぞれ右方向に相対移動する場合を考える。左方向に相対移動する場合においても、以下と同様な説明が可能である。
【0079】
面材7aは、無目3vに、自重受け用ファスナー5を介して緊結に取り付けられているため、無目3vの無目3xに対する右方向への相対移動に伴い、無目3vと共に、右方向へ移動しようとする。ここで、面材7aは、無目3xに、溝部4に沿って無目3xに対し相対的に移動可能スライド用ファスナー6を介して取り付けられている。したがって、面材7aは無目3xに対して相対移動を行うことが可能であり、これにより、面材7aに作用する層間変位の影響に対応することが可能である。
【0080】
面材7d、7eは、無目3xに自重受け用ファスナー5を介して緊結に取り付けられているため、面材7aは、無目3xに対して相対移動すると同時に、面材7d、7eに対しても同様に相対移動する。相対移動の方向が右方向であるため、面材7aは右下に位置する面材7eに接近するように移動する。ここで、面材7aと面材7eとの間には、一定の間隔の目地が設けられているため、面材7aの面材7eに対する相対移動が発生しても、面材7aと面材7eは接触しない。
【0081】
また、面材7aは、無目3wに、スライド用ファスナー6を介して取り付けられているため、無目3wの無目3vに対する右方向への相対移動が発生した際に、無目3wは面材7aに対して相対移動を行うことが可能であり、したがって、面材7aに作用する層間変位の影響に対応することが可能である。
【0082】
面材7b、7cは、無目3wに自重受け用ファスナー5を介して緊結に取り付けられているため、面材7b、7cは無目3wと共に、面材7aに対して相対移動する。相対移動の方向が右方向であるため、面材7aの左上に位置する面材7cは、面材7aに接近するように移動する。ここで、面材7aと面材7cとの間には、一定の間隔の目地が設けられているため、面材7cの面材7aに対する相対移動が発生しても、面材7aと面材7cは接触しない。
【0083】
このように、スライド用ファスナー6は、溝部4に係合する掛止部、すなわち無目取付ボルト31によって、無目3に取り付けられて、溝部4に沿って無目3に対し相対的に移動可能であるため、地震により無目3や方立2に層間変位が生じても、スライド用ファスナー6に取り付けられた面材7が、方立2や無目3に対して相対的に移動することが可能である。したがって、面材7が受ける層間変位の影響を低減し、面材7の破損及び脱落を防止することが可能である。
【0084】
上記に加え、1本の無目3に接合されている自重受け用ファスナー5及びスライド用ファスナー6に対して、それぞれ異なる面材7が取り付けられており、面材7間の相対移動が可能となるため、面材7の層間追従性能を更に高めることが可能となる。面材7間には目地が設けてあるため、面材7間の干渉によって層間追従性能は損なわれない。
【0085】
また、無目3上の溝部4の任意の位置に自重受け用ファスナー5及びスライド用ファスナー6を設置して、自重受け用ファスナー5及びスライド用ファスナー6に対して面材7を取り付ける構成を有しており、自重受け用ファスナー5及びスライド用ファスナー6の設置位置の選択自由度が、方立2の位置によって束縛されることがなくなるため、鋼材費が嵩むことなく、面材7の形状や割り付けの自由度を高めることができる。
【0086】
1本の無目3は各側面に溝部4を有しているため、無目3の全側面に任意に自重受け用ファスナー5、スライド用ファスナー6、面材7を設置することができる。したがって、設計の自由度を向上させることが可能となる。
【0087】
本実施形態においては、自重受け用ファスナー5及びスライド用ファスナー6の本体20、30は、2枚の矩形の鋼板が接合されたL字型形状をなしているが、自重受け用ファスナー5及びスライド用ファスナー6は、無目取付ボルト21、31によって無目3に取り付け可能な構成、あるいは、類似の係合または勘合する形状を有していれば、本体20、30は、例えばコの字形状、I字形状など、他のどのような形状、大きさを成していても構わない。すなわち、多様な形状のファスナー5、6を無目3に接合することが可能であり、ファスナー5、6の設計次第で、多様な仕様の建材を取り付けることが可能である。
【0088】
上記のように、面材7の形状や割り付けの自由度が高く、無目3の全側面にファスナー5、6を取り付けることが可能であり、また、ファスナー5、6の設計次第で、多様な仕様の建材を取り付けることが可能であるため、建築物の形状などに依存せずに、標準的に本構造を採用することができる。したがって、面材取付構造の決定や設計、及び施工検討にかかる時間、工数を低減し、すなわち、施工コストを低減することができる。
【0089】
また、自重受け用ファスナー5は、無目3の溝部4に、無目取付ボルト21と無目取付ナット22によって緊結されている。これにより、自重受け用ファスナー5に取り付けられた面材7の自重を、確実に支えることが可能となる。
【0090】
図4(b)に示されるように、自重受け用ファスナー5の係止部20dと、無目3の上側外壁3a、3bの係止部3uは嵌合しているため、係止部20dの凹条凸条の延在する方向に対して垂直方向に作用する、地震力、風荷重、重力などの外力に抵抗することができる。
【0091】
上記のように、自重受け用ファスナー5及び無目3によって、面材取付構造の強度を高めることが可能となる。
【0092】
また、無目3の係止部3uの凹凸形状は、
図5に示される、その上面に接するスライド用ファスナー6の本体30底面に設置された滑り材35との、接触面積を低減するように作用する。したがって、無目3とスライド用ファスナー6との間に作用する摩擦力を低減して、スライド用ファスナー6の滑らかな移動が可能となり、これにより、面材7の層間追従性能を更に高めることが可能となる。
【0093】
次に、
図7を用いて、上記実施形態として示した面材取付構造1の第1の変形例を説明する。本第1の変形例と、面材取付構造1との差異は、無目の断面形状が異なることである。
【0094】
図7は、第1の変形例における、無目40の断面図である。無目40は、
図3に示される無目3の下側溝部4cに相当する溝部を有しておらず、その代わりに、無目40の下面は、無目40の幅と同等の幅を有する、一枚の下側外壁40aによって構成されている。より詳細には、無目40は、無目3における内側内壁3j、外側内壁3lが、それぞれ、内側内壁下方突出部3n、外側内壁下方突出部3oを有しておらず、内側内壁3j、外側内壁3lの各々の下端は、下側外壁40aの上面において接続し、終端している。また、無目40は、無目3において、内側内壁下方突出部3n、外側内壁下方突出部3oに接続されている下側第1外壁3e、下側第2外壁3fを有していない。
【0095】
下側外壁40aの、構造躯体の方向、すなわち内側と、その反対側である外側の双方の端辺には、それぞれ、内側第2外壁3dと、外側第1外壁3gが、下側外壁40aと垂直になるように接合されている。
【0096】
上記の構成によって、無目40は、無目3と同様に、断面輪郭形状が仮想矩形形状内に沿う形状を有している。すなわち、上側第1外壁3aと上側第2外壁3bが上面に、内側第1外壁3cと内側第2外壁3dが構造躯体側の内側の面に、下側外壁40aが下面に、外側第1外壁3gと外側第2外壁3hが構造躯体と反対側の外側の面に、それぞれ対応すると考えた場合、無目40の各外壁は、上面、内面、外面、及び下面によって形成される、矩形輪郭形状に沿う形状を成している。
【0097】
無目40の内側溝部4bは、底面が内側内壁3jの、側面が上側第2外壁3bと下側外壁40aの、各々の表面によって形成されている。また、無目40の外側溝部4dは、底面が外側内壁3lの、側面が上側第1外壁3aと下側外壁40aの、各々の表面によって形成されている。
【0098】
図1に示される、面材取付構造1において、無目3の代わりに、無目40を使用しても、上記実施形態と同様の効果を奏することが可能である。無目40は無目3の有する下側溝部4cを有しておらず、ファスナー5、6を無目の下面に設置することができないが、例えば他の溝部4a、4b、4dに設置したファスナー5、6の形状を、
図4、5に示される、面材7を設置する側板20b、30bが、無目40の下方向に位置するように変形させることで、無目40の下側に位置する面材7を無目40に取り付けることが可能である。あるいは、
図7に示される無目40を、紙面時計回りに90°回転させた状態で、すなわち、下側ではなく、構造躯体とは反対側である外側に、溝部が位置しないようにして、配置してもよい。いずれにしても、多様な形状のファスナー5、6を無目40に接合することが可能であるため、溝部4の数が無目3より減少することによっては、上記実施形態の奏する効果は損なわれない。
【0099】
次に、
図8を用いて、上記実施形態として示した面材取付構造1の第2の変形例を説明する。本第2の変形例と、面材取付構造1との差異は、無目50の断面形状が異なることである。
【0100】
無目50は、
図3に示される無目3が有する、内側溝部4b、及び外側溝部4dを有していない。無目50の外壁は、上側に位置する上側第1外壁50aと上側第2外壁50b、構造躯体に対向して面材取付構造の内側に位置する内側外壁50c、下側に位置する下側第1外壁50dと下側第2外壁50e、構造躯体と反対側の、面材取付構造の外側に位置する外側外壁50fを備えている。内壁は、主内壁50g、内側内壁50h、外側内壁50iを備えている。
【0101】
水平に位置する主内壁50gの両端辺に、主内壁50gと垂直に、内側内壁50hと外側内壁50iが接合されている。
【0102】
外側内壁50iの上端に、上側第1外壁50aが、外側内壁50iと垂直になるように接合されている。上側第1外壁50aは、外側内壁50iとの接合位置から構造躯体側に突出し、これにより、上側第1外壁突出部50jが形成されている。上側第1外壁50aの、上側第1外壁突出部50jとは反対側の端辺には、外側外壁50fが、上側第1外壁50aと垂直になるように接合されている。
【0103】
内側内壁50hの上端に、上側第2外壁50bが、内側内壁50hと垂直になるように接合されている。上側第2外壁50bは、内側内壁50hとの接合位置から構造躯体の反対側に突出し、これにより、上側第2外壁突出部50kが形成されている。上側第2外壁50bの、上側第2外壁突出部50kとは反対側の端辺には、内側外壁50cが、上側第2外壁50bと垂直になるように接合されている。
【0104】
内側内壁50hの下端に、下側第1外壁50dが、内側内壁50hと垂直になるように接合されている。下側第1外壁50dは、内側内壁50hとの接合位置から構造躯体の反対側に突出し、これにより、下側第1外壁突出部50lが形成されている。下側第1外壁50dの、下側第1外壁突出部50lとは反対側の端辺には、内側外壁50cが、下側第1外壁50dと垂直になるように接合されている。
【0105】
外側内壁50iの下端に、下側第2外壁50eが、外側内壁50iと垂直になるように接合されている。下側第2外壁50eは、外側内壁50iとの接合位置から構造躯体側に突出し、これにより、下側第2外壁突出部50mが形成されている。下側第2外壁50eの、下側第2外壁突出部50mとは反対側の端辺には、外側外壁50fが、下側第2外壁50eと垂直になるように接合されている。
【0106】
上記の構成によって、無目3は、断面輪郭形状が仮想矩形形状内に沿う形状を有している。すなわち、上側第1外壁50aと上側第2外壁50bが上面に、内側外壁50cが構造躯体側の内側の面に、下側第1外壁50dと下側第2外壁50eが下面に、外側外壁50fが構造躯体と反対側の外側の面に、それぞれ対応すると考えた場合、無目50の各外壁は、上面、内面、外面、及び下面によって形成される、矩形輪郭形状に沿う形状を成している。
【0107】
無目50は上面に、上側溝部51aを有している。上側溝部51aは、底面が主内壁50gの、側面が内側内壁50hと外側内壁50iの、各々の表面によって形成されている。上側溝部51aは、無目50上面に位置する開口部を介して外部に連通している。開口部の両端からは、上側第1外壁突出部50jと上側第2外壁突出部50kが開口部に向けて突出しており、開口部は上側溝部51aの内部空間と比較すると幅が狭くなっている。
【0108】
無目50は下面に、下側溝部51bを有している。下側溝部51bは、底面が主内壁50gの、側面が内側内壁50hと外側内壁50iの、各々の表面によって形成されている。下側溝部51bは、無目50下面に位置する開口部を介して外部に連通している。開口部の両端からは、下側第1外壁突出部50lと下側第2外壁突出部50mが開口部に向けて突出しており、開口部は下側溝部51bの内部空間と比較すると幅が狭くなっている。
【0109】
上側溝部51a、下側溝部51bの、各々の開口部は、同程度の大きさを有するように構成されている。開口部の大きさは、取り付けるファスナーの仕様により決定されている。
【0110】
溝部51を有する側面に相当する各外壁の、各々の外表面の一部には、無目3の長さ方向に延びる凹条凸条が形成されている。この凹条凸条は、自重受け用ファスナー5を設置した際に、係止部50nとして作用する。
【0111】
図1に示される、面材取付構造1において、無目3の代わりに、無目50を使用しても、上記実施形態と同様の効果を奏することが可能である。第1の変形例において説明したように、多様な形状のファスナー5、6を無目50に接合することが可能であるため、溝部50の数が無目3よりも減少することによっては、上記実施形態の奏する効果は損なわれない。
【0112】
次に、
図9を用いて、上記実施形態として示した面材取付構造1の第3の変形例を説明する。本第3の変形例と、面材取付構造1との差異は、無目60の断面形状が異なることである。
【0113】
図9に示される無目60は、第2の変形例として
図8に示した無目50に近い断面形状を有している。すなわち、無目50と無目60の相違点は、無目60は、無目50の有する内側外壁50c、外側外壁50fを有さないことのみである。したがって、無目60は、無目50と同じ位置に、溝部51a、51bを有している。
【0114】
図1に示される、面材取付構造1において、無目3の代わりに、上記の構成を有する無目60を使用しても、上記第2の変形例における無目50と同様に、上記実施形態と同様の効果を奏することはいうまでもない。
【0115】
次に、
図10を用いて、上記実施形態として示した面材取付構造1の第4の変形例を説明する。
【0116】
本第4の変形例においては、面材取付構造1とは異なり、方立70が、面材72に対して垂直な方向に湾曲する曲面形状を有している。
【0117】
図1に示した実施形態における、面材取付構造1においては、方立2を含む縦方向に延在する部材の断面形状に制限はないため、方立2を曲げやすい断面形状とすることで、方立2が、面材7に対して垂直な方向に湾曲する曲面形状を有するように構成することが可能となる。この場合には、本第4の変形例においては、方立70が、面材72に対応した湾曲する曲面形状を有しており、それにより、面材72の形状や割り付けの自由度を更に高めることができる。
【0118】
本第4の変形例が、上記実施形態と同様の効果を奏することはいうまでもない。
【0119】
次に、
図11を用いて、上記実施形態として示した面材取付構造1の第5の変形例を説明する。
【0120】
本第5の変形例においては、
図1に示される面材取付構造1とは異なり、無目80が、方立を介さずに、構造躯体81に直接設置されている。
【0121】
無目80は、
図7に示される、第1の変形例として示した無目40に近い形状を有している。無目80の、無目40との相違は、無目80の断面形状において、無目40の下側外壁40aに相当する外壁80aの両端辺が、内側第2外壁3dと外側第1外壁3gを超えて延在し、リブ80bを形成していることである。
【0122】
無目80は、構造躯体81の垂直な壁面に外壁80aが接するように、外壁80aを垂直にして設置されている。無目80は、リブ80bに形成された図示しない孔を挿通するボルト82によって、構造躯体81に固定されている。
【0123】
本第5の変形例においては、方立を使用しなくとも無目80を設置することができるため、無目80の設置位置の選択自由度が向上し、それにより、面材の形状や割り付けの自由度を更に高めることが可能となる。また、方立を使用しなくともよいため、鋼材費を更に低減することが可能である。
【0124】
本第5の変形例が、上記実施形態と同様の効果を奏することはいうまでもない。
【0125】
なお、上記の実施形態及び変形例において、使用される面材は、アルミパネルのほか、ガラス、ALC、押出成形セメント板、石などであっても構わない。また、無目に取り付けられるものは面材に限られず、例えば、立体形状を有する装飾などを、取り付けてもよい。
【0126】
また、上記の実施形態において、ファスナー5、6は、無目3の上側溝部4aと下側溝部4cに接合されているが、内側溝部4bや外側溝部4dに取り付けられても構わない。上記のように、多様な形状のファスナー5、6を無目3に取り付けることが可能であるため、ファスナー5、6の取付位置を任意に変えることが可能である。
【0127】
また、上記の実施形態や各変形例において、自重受けファスナーやスライド用ファスナーを無目に取り付ける際に使用する無目取付ナット、拘束部材のナット、及び、自重受けファスナーやスライド用ファスナーに面材を取り付ける際に使用する面材取付ナットの各ナットは、緩み止め仕様であってよい。
【0128】
また、上記の実施形態や変形例は、互いに組み合わせて使用しても構わない。例えば、第4の変形例において、第1の変形例として
図7で示した無目40を使用してもよい。
【0129】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であればこれから様々な変形及び均等な実施の形態が可能であることが理解できるであろう。
【0130】
よって、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載される本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形や改良形態も本発明に含まれる。