(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上方から供給される複数の長尺材を受けて保持するスタッカを有するスタッカ装置と、前記スタッカが保持する複数の長尺材をその長手方向に搬出する搬出装置と、を備え、
前記スタッカは、
前記長尺材の長手方向に直交する左右方向に延びるベース部、及び、このベース部の左右両側部それぞれから上に向かって延びる左櫛歯及び右櫛歯を有する第一部材と、
上に向かって延びる一本の中間櫛歯を有し、当該中間櫛歯が前記左櫛歯と前記右櫛歯との間に位置する範囲で、装着位置を左右方向に変更可能として前記第一部材に、当該第一部材を両側から挟むようにして、装着されている二つの第二部材と、
を有し、
前記第一部材に対する二つの前記第二部材それぞれの装着位置を変更することで、下記に定義する第一状態と、下記に定義する第二状態と、を選択可能であることを特徴とする長尺材集積装置。
第一状態:二つの前記第二部材それぞれの前記中間櫛歯の左右方向の位置が異なるようにして、二つの当該第二部材が前記第一部材に装着されることによって、左右方向で隣り合う櫛歯間に、複数の前記長尺材を収容する三つのポケットが形成される状態
第二状態:二つの前記第二部材それぞれの前記中間櫛歯の左右方向の位置が重なり、かつ、当該中間櫛歯と前記左櫛歯との間に形成され複数の前記長尺材を収容する左側のポケットの広さと、当該中間櫛歯と前記右櫛歯との間に形成され複数の前記長尺材を収容する右側のポケットの広さと、が異なるようにして、二つの前記第二部材が前記第一部材に装着されている状態
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スタッカ90は、長尺材99(小束)を保持するために適したポケット形状を有するよう構成されているが、小束に含まれる長尺材99の本数が変更されたり、複数の長尺材99を小束としないで保持させたり、また、小束としないで保持させる際に各ポケットに対して一度に供給する長尺材99の本数が変更されたりする場合、このスタッカ90のポケット形状が最適であるとは限らない。
【0007】
つまり、長尺材99には様々な断面形状のものがあることから、例えば複数の長尺材99を小束としないでスタッカ90に保持させた場合に、その長尺材99の断面形状によっては、摩擦力により長尺材99がスタッカ90(ポケット)から抜けにくくなったり(つまり、噛み込んだり)、ポケットに保持された長尺材99に綾が発生したりする。具体的には、長尺材99が棒鋼である場合、その棒鋼の径寸法が大きく櫛歯の間隔(ポケット)が狭いと、噛み込みが発生し易くなる。これに対して、棒鋼の径寸法が小さく櫛歯の間隔(ポケット)が広いと、綾が発生し易くなる。
【0008】
そこで、本発明は、スタッカに保持した長尺材が噛み込んだり長尺材に綾が発生したりするのを抑制し、スタッカに保持した長尺材を搬出し易くすることが可能となる長尺材集積装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、上方から供給される複数の長尺材を受けて保持するスタッカを有するスタッカ装置と、前記スタッカが保持する複数の長尺材をその長手方向に搬出する搬出装置とを備え、前記スタッカは、前記長尺材の長手方向に直交する左右方向に延びるベース部、及び、このベース部の左右両側部それぞれから上に向かって延びる左櫛歯及び右櫛歯を有する第一部材と、上に向かって延びる中間櫛歯を有し、当該中間櫛歯が前記左櫛歯と前記右櫛歯との間に位置する範囲で、装着位置を左右方向に変更可能として前記第一部材に装着されている第二部材とを有していることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、スタッカにおいて、中間櫛歯を有している第二部材は第一部材に装着されているが、中間櫛歯が左櫛歯と右櫛歯との間に位置する範囲で、左右方向の装着位置を変更可能として第一部材に装着されている。したがって、スタッカに保持させる対象となる長尺材の断面形状や、櫛歯間に形成されるポケットに対して一度に供給される長尺材の本数等に応じて、そのポケットの広さを変更することができる。この結果、スタッカに保持した長尺材が噛み込んだり長尺材に綾が発生したりするのを抑制し、スタッカに保持した長尺材を、搬出装置によってその長手方向に搬出し易くすることが可能となる。
【0011】
また、一本の前記中間櫛歯をそれぞれ有している二つの前記第二部材が、当該中間櫛歯同士の左右方向の位置が異なるようにして前記第一部材に装着されているのが好ましい。
この場合、四本の櫛歯を有するスタッカが得られ、左右で隣り合う櫛歯間に三つのポケットが構成される。
または、一本の前記中間櫛歯を有している前記第二部材が、当該中間櫛歯及び前記左櫛歯の間隔と当該中間櫛歯及び前記右櫛歯の間隔とが異なるようにして、前記第一部材に装着されているのが好ましい。
この場合、左櫛歯と中間櫛歯との間に左ポケットが形成され、この中間櫛歯と右櫛歯との間に右ポケットが形成されるが、左ポケットと右ポケットとの広さを異ならせることが可能となる。このため、長尺材の断面形状や、各ポケットに一度に供給される長尺材の本数に応じて、左ポケットと右ポケットとを使い分けることが可能となる。
【0012】
また、前記第二部材は、前記第一部材から取り外し可能であるのが好ましい。
少なくとも一つの第二部材を第一部材に取り付けた状態では、少なくとも三本の櫛歯を有するスタッカとすることができるが、この第二部材を第一部材から取り外した状態では、左右で二本の櫛歯を有するスタッカとすることができ、この場合、広いポケットが得られる。
【0013】
また、前記長尺材集積装置は、複数の長尺材を前記スタッカへ供給するために当該長尺材をその長手方向直交方向へ搬送する供給装置と、この供給装置によって供給された前記長尺材を前記スタッカへ誘導すると共に、前記スタッカの櫛歯間に形成されるポケットの広さに応じて位置変化して誘導先を変更するガイド部材とを更に備えているのが好ましい。
この場合、スタッカのポケットの広さが変更されるのに応じて、ガイド部材による誘導先を変更することにより、長尺材をポケットへ誘導しやすくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、左櫛歯、中間櫛歯、右櫛歯それぞれの間に形成されるポケットの広さを変更することにより、スタッカに保持した長尺材が噛み込んだり長尺材に綾が発生したりするのを抑制することができ、スタッカに保持した長尺材を、その長手方向に搬出し易くすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の長尺材集積装置の一例を示す正面図である。この長尺材集積装置1(以下、集積装置1ともいう)は、所定の長さ(例えば8m)に製造された長尺材7を集積し、次工程へ搬送する装置である。本実施形態では、長尺材7を棒鋼としている。
【0017】
集積装置1は、複数の長尺材7を受けて保持するスタッカ11を有するスタッカ装置10と、このスタッカ11が保持している複数の長尺材7をその長手方向に搬出する搬出装置20とを備えている。スタッカ11は、櫛歯状のラックであり、複数の長尺材7をばらけた状態として保持する以外に、複数の長尺材7を線材により束ねた小束として保持することもできる。複数の長尺材7を束(小束)としてスタッカ11に保持させるために、本実施形態の集積装置1は、長尺材7を複数本束ねて小束とする小束装置30を備えている。
【0018】
長尺材7を小束とすることなくスタッカ11に保持させる場合、前記次工程は、長尺材7を複数本束ねて束(小束)とする工程等である。これに対して、長尺材7を小束としてスタッカ11に保持させる場合、前記次工程は、複数の小束をさらにまとめて大束とする工程等である。
【0019】
集積装置1は、複数の長尺材7をスタッカ11(スタッカ装置10)へ供給するために長尺材7をその長手方向直交方向へ搬送する供給装置40と、この供給装置40によって供給された長尺材7をスタッカ11へ誘導するガイド装置50とを更に備えている。
製造された長尺材7が搬送される方向の上流側から下流側に向かって順に、供給装置40、ガイド装置50、スタッカ装置10、搬出装置20が配置され、小束装置30はガイド装置50と並列的に設けられている。
【0020】
スタッカ装置10のスタッカ11は、ガイド装置50によって誘導されて上方から供給される複数の長尺材7(又は長尺材7の束)を受けて保持する。スタッカ11は、装置フレーム60に取り付けられているアーム8に搭載されており、アーム8はアクチュエータ9により左右方向に移動可能である。なお、本実施形態の集積装置1では、長尺材7の長手方向に直交する水平方向を左右方向と定義する。
【0021】
図2において、スタッカ11は、左右方向に延びるベース部12と、このベース部12から上に向かって延びる複数の櫛歯13,14,15,16とを有している。これら櫛歯は、左右方向に間隔を有して設けられており、左右方向で隣り合う櫛歯間にポケット17,18,19が形成されている。そして、スタッカ11は、各ポケットにおいて複数の長尺材7(又は長尺材7の束)を収容して保持することができる。このスタッカ11、アーム8及びアクチュエータ9は、長尺材7の長手方向に沿って複数カ所に設けられている。
そして、このスタッカ11は、ポケットの広さ、つまり、左右方向で隣り合う櫛歯の間隔を変更可能とする構成を有している。この構成については、後に説明する。
【0022】
供給装置40は、複数の長尺材7をスタッカ11へ供給するために、長尺材7をその長手方向直交方向に複数並べた状態として搬送する装置である。供給装置40は長尺材7を載せて搬送するコンベア装置を有しており、本実施形態に係るコンベア装置はチェーンコンベア41である。このチェーンコンベア41は、長尺材7の長手方向に沿って複数カ所に設けられている。チェーンコンベア41により搬送された長尺材7は、チェーンコンベア41の下流端部41aから、ガイド装置50を介して、スタッカ11へ供給される。
【0023】
ガイド装置50は、供給装置40によって供給された長尺材7をスタッカ11へ誘導するガイド部材51と、このガイド部材51を位置変化させる位置変更機構52とを有している。ガイド部材51は、チェーンコンベア41の下流端部41aとスタッカ11との間に設けられたシューターからなる。ガイド部材51は、前記下流端部41a側の高位置からスタッカ11が設けられている低位置までを結ぶ傾斜面56を有しており、長尺材7をこの傾斜面56に沿って誘導し、スタッカ11のポケットへと落下させる(自由落下させる)。
また、傾斜面56に対向する面を有した第二のガイド部材71が装置フレーム60に取り付けられている。第一のガイド部材51と第二のガイド部材71との間を、長尺材7又は複数の長尺材7がまとめられた小束が通過する。
【0024】
ガイド部材51は、長尺材7の長手方向に平行な直線回りに揺動可能として、支持軸57により装置フレーム60に取り付けられている。つまり、ガイド部材51の揺動中心54は、支持軸57の中心線と一致する。これにより、ガイド部材51の先端部58(下端部)は、主として左右方向に位置変化することができ、この位置変化により誘導先を変更することができる。
【0025】
ガイド部材51の揺動は、電動アクチュエータによって行われてもよいが、手動であってもよい。手動の場合、傾斜面56を所定の角度に傾斜させた状態で、ガイド部材51を固定部材(ピン部材)55によって装置フレーム60に固定することができる。また、固定部材55による固定を解除して、ガイド部材51を揺動させることで傾斜面56の角度を変更することができ、この変更した状態でガイド部材51を固定部材55によって装置フレーム60に固定することができる。以上より、本実施形態では、ガイド部材51を揺動させる位置変更機構52は、ガイド部材51を揺動可能に支持している支持軸57と、傾斜面56を所定の角度で傾斜させた状態でガイド部材51を固定する固定部材55とからなる。
【0026】
また、
図1に示すように、ガイド装置50は、ガイド部材51に沿って誘導される途中の長尺材7を複数集めるためのフック53と、このフック53を移動させるアクチュエータ(図示せず)とを有している。このアクチュエータがフック53を移動させフック53の先部を傾斜面56から突出させると、ガイド部材51に沿って誘導される(落下する)途中にある複数の長尺材7を、フック53は受け取って集めることができる。
【0027】
小束装置30は、フック53により集められた複数の長尺材7を小束としてまとめる装置である。つまり、小束装置30は、フック53により集められた複数の長尺材7を受け取る受け取りアーム31と、この受け取りアーム31を揺動させるアクチュエータ32と、受け取りアーム31が受け取った複数の長尺材7を番線(線材)により束ねる結束機33とを有している。
【0028】
受け取りアーム31は、その基部31aにおいて揺動可能として装置フレーム60に取り付けられており、アクチュエータ32がこの受け取りアーム31を揺動させる。前記フック53により集められた複数の長尺材7を、揺動させた受け取りアーム31がすくい取り、受け取りアーム31が、さらに揺動することで、これら長尺材7を結束機33の結束アーム34へ渡すことができる。
結束機33は、結束アーム34が受けた複数の長尺材7に対して番線(線材)を周回させてループを形成し、そのループを引き締めてこれら長尺材7を束ねる機能を有している。これにより、複数の長尺材7がまとめられた小束が得られる。
そして、この小束を受け取りアーム31は受け取り、この受け取りアーム31を下方へ揺動させることで、小束を第一のガイド部材51と第二のガイド部材71との間に戻し、スタッカ11側へ供給することができる。
【0029】
また、
図2に示すように、集積装置1は、更に、ガイド部材51に沿って誘導される途中の長尺材7を、スタッカ11へ供給する前に待機させるストックレバー25と、このストックレバー25上で複数の長尺材7の端面を揃える端面揃え装置(図示せず)とを備えている。これらストックレバー25及び端面揃え装置によって、複数の長尺材7の端面が揃えられてから、これら長尺材7をスタッカ11のポケットへ落下させ、保持させる。
【0030】
スタッカ11は、相互別体として製造された第一部材と第二部材とを有している。本実施形態では、
図3に示すように、一つの第一部材4と、二つの第二部材5,6とを有しており、これら部材4,5,6が組み合わされて一つのスタッカ11が構成される。
図3は、スタッカ11の正面図であり、
図4は、スタッカ11の平面図である。
図5は、第一部材4の正面図であり、
図6は、第一部材4を左右方向から見た断面図である。
図7は、第二部材5の正面図である。なお、他方の第二部材6は、一方の第二部材5と同じ構成であり、左右を反対として第一部材4に装着される。そして、第一部材4は、ボルト79(
図3参照)によりアーム8に固定されている。
【0031】
図5に示すように、第一部材4は、左右方向に延びるベース部12と、このベース部12の左側部12aから上に向かって延びて形成された左櫛歯13と、ベース部12の右側部12bから上に向かって延びて形成された右櫛歯16とを有している。
図7に示すように、第二部材5は、第一部材4のベース部12に左右方向に位置変更可能として装着される取り付け部5aと、この取り付け部5aから上に向かって延びて形成された中間櫛歯14とを有している。
【0032】
ベース部12(
図5、
図6参照)には左右方向に並んで複数(4つ)のボルト孔77が形成されており、取り付け部5a(
図7参照)には左右方向に長い長孔78が複数(2つ)形成されている。これらボルト孔77及び長孔78にボルト75(
図4参照)を挿通し、ナット76を締め付けることで、取り付け部5aはベース部12に固定される。
そして、ボルト75とナット76とによる締め付け力を緩めることで、ベース部12に対して取り付け部5aを、長孔78の範囲で、左右方向に変位させることができる。また、ボルト75とナット76とを取り外せば、さらに広い範囲で、ベース部12に対して取り付け部5aを左右方向に変位させることができる。
【0033】
ただし、中間櫛歯14が左櫛歯13と右櫛歯16との間に位置するように、取り付け部5aを変位させる。また、
図5、
図6に示すように、ベース部12には、左右方向に長い凹溝73が形成されており、この凹溝73に沿って取り付け部5aを移動させることができる。
以上より、第一部材4に第二部材5を装着することができ、しかも、その装着位置は、中間櫛歯14が左櫛歯13と右櫛歯16との間に位置する範囲で、左右方向に変更可能となる。
【0034】
また、この一方の第二部材5と他方の第二部材6とは同じ構成であり、他方の第二部材6も、第一部材4のベース部12に左右方向に位置変更可能として装着される取り付け部6aと、この取り付け部6aから上に向かって延びる中間櫛歯15とを有している。そして、一方の第二部材5と同様に、他方の第二部材6においても、中間櫛歯15が左櫛歯13と右櫛歯16との間に位置する範囲で、第二部材6を、第一部材4に、装着位置を左右方向に変更可能として装着することができる。
【0035】
図4、
図5に示すように、一本の中間櫛歯14(15)をそれぞれ有している二つの第二部材5(6)が、第一部材4に取り付けられているが、中間櫛歯14を有している一方の第二部材5と、中間櫛歯15を有している他方の第二部材6とは、これら中間櫛歯14,15同士の左右方向の位置が異なるようにして、第一部材4に取り付けられている。これにより、四本の櫛歯13,14,15,16を有するスタッカ11が得られ、左右で隣り合う櫛歯間に三つに分割されたポケット17,18,19が構成される。
【0036】
図8は、
図3の状態から、第一部材4に対して、一方の第二部材5を右へ移動させ、他方の第二部材6を左へ移動させ、これら第二部材5,6の中間櫛歯14,15の左右方向の位置を一致させた状態である。しかも、中間櫛歯14,15を、左櫛歯13と右櫛歯16との間の中間位置としている。この場合、左櫛歯13と右櫛歯16との間には、二つに分割されたポケット27,28が構成される。
【0037】
図9は、
図3の状態と比較して、一方の第二部材5の位置をそのままとし、第一部材4に対して、他方の第二部材6を左方向に移動させ、この第二部材6の中間櫛歯15の左右方向の位置と、一方の第二部材5の中間櫛歯14の左右方向の位置とを一致させた状態である。
つまり、中間櫛歯14と左櫛歯13との間隔d1と、この中間櫛歯14と右櫛歯16との間隔d2とが異なるようにして、一方の第二部材5が第一部材4に装着されている。また、他方の第二部材6は、中間櫛歯15と左櫛歯13との間隔d1と、この中間櫛歯15と右櫛歯16との間隔d2とが異なるようにして、第一部材4に装着されている。そして、中間櫛歯14と中間櫛歯15とは左右方向の位置が重なっている。
【0038】
この場合、左櫛歯13と中間櫛歯14(15)との間に左ポケット27が形成され、この中間櫛歯14(15)と右櫛歯16との間に右ポケット28が形成され、左ポケット27と右ポケット28との広さを異ならせることができる。このため、ポケット27,28それぞれに対して、一度に供給される長尺材7の本数に応じて、左ポケット27と右ポケット28とを使い分けることが可能となる。
つまり、一度に供給される長尺材7の数が少ないタイミングでは、左ポケット27に、これら長尺材7を保持させ、一度に供給される長尺材7の数が多いタイミングでは、右ポケット28に、これら長尺材7を保持させる。このようにポケット27,28の切り換えは、前記アクチュエータ9(
図1参照)によってアーム8を左右移動させることで可能となる。
【0039】
図10は、前記実施形態に係るスタッカ11が、一つのポケット29を有する場合の説明図である。前記ボルト75とナット76との螺合を解くことにより、第二部材5,6を、第一部材4から取り外すことができる。
図3に示すように、第二部材5(6)を第一部材4に取り付けた状態では、左右方向について三本の櫛歯を有するスタッカ11とすることができ、
図10に示すように、第二部材5,6を第一部材4から取り外した状態では、二本の櫛歯13,16を有するスタッカ11とすることができ、この場合、広いポケット29が得られる。
【0040】
図1において、搬出装置20は、スタッカ11が保持している複数の長尺材7をその長手方向に搬出する。本実施形態に係る搬出装置20は、スタッカ11に保持されていた長尺材7(又は小束)を載せて搬送するコンベア装置を有し、このコンベア装置は、ベルトコンベア21からなる。
【0041】
スタッカ装置10は、スタッカ11(アーム8)を上下方向に移動させる昇降機24を更に有している。スタッカ11は、上位置にある状態で、その上方から供給される長尺材7を各ポケットにおいて受け取る。
その後、昇降機24によってスタッカ11を降下させると、ポケットに保持されていた長尺材7は、ベルトコンベア21上に載り、スタッカ11を更に降下させることで(
図1の二点鎖線)、長尺材7をベルトコンベア21上に渡すことができる。そして、ベルトコンベア21を駆動させることで、長尺材7をその長手方向に搬出し、次の工程へと進めることができる。なお、搬出装置20の構成はこれに限らず、他の構成であってもよい。
【0042】
以上の構成を備えている集積装置1によれば、スタッカ11において、中間櫛歯14(15)を有している第二部材5(6)は、この中間櫛歯14(15)が左櫛歯13と右櫛歯16との間に位置する範囲で、装着位置を左右方向に変更可能として第一部材4に装着されている。
したがって、スタッカ11に保持させる対象となる長尺材7の断面形状や、各ポケットに対して一度に供給される長尺材7の本数等に応じて、左櫛歯13、中間櫛歯14(15)、右櫛歯16それぞれの間に形成されるポケットの広さを変更することができる。
【0043】
つまり、ポケットに対して一度に供給される長尺材7の本数の変更等に応じて、そのポケットが適切な広さを有するように、スタッカ11の櫛歯間隔(ポケット広さ)を変更することができるので、スタッカ11に保持した長尺材7が噛み込んだり長尺材7に綾が発生したりするのを抑制することができる。したがって、スタッカ11に保持した長尺材7を、搬出装置20によって、その長手方向に搬出し易くすることが可能となり、作業効率の向上を図ることができる。
しかも、第二部材5(6)を第一部材4に対してスライド移動させることで、ポケットの広さの変更を実現することができ、その作業時間を短縮することができる。
【0044】
例えば、長尺材7の断面形状が大きい場合、つまり、棒鋼の径が大きい場合、綾は発生し難いが、噛み込みが生じ易いため、例えば
図10に示す1ポケットを選択することができる。これに対して、棒鋼の径が小さい場合、噛み込みは少ないため綾の発生を防止するために、例えば
図3に示す3ポケットを選択することができる。棒鋼の径が中間である場合、例えば
図8の2ポケットを選択することで、噛み込み及び綾の発生を抑えることができる。そして、ポケットに一度に供給される長尺材7の本数が異なる場合、
図9に示す形態を選択すればよい。
【0045】
そして、スタッカ11のポケットの広さ(左右方向の寸法)を変更する際、これに合わせて、
図2に示すように、ガイド部材51の先端部58の位置を変更する。これにより、長尺材7を各ポケットへ誘導しやすくなる。
【0046】
また、本発明の集積装置1は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。例えば、スタッカ11の第二部材5(6)は、上に向かって延びる中間櫛歯を少なくとも一つ有していればよく、二つであってもよい。また、一方の第二部材5と、他方の第二部材6とのうちのいずれか一つのみを第一部材4に装着し、残りの一つを取り外してもよい。
また、小束装置30、供給装置40及びガイド装置50等においても、その他の構成であってもよい。