(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6086738
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】LED装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/54 20100101AFI20170220BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20170220BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20170220BHJP
【FI】
H01L33/54
H01L33/50
H01L33/60
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-8285(P2013-8285)
(22)【出願日】2013年1月21日
(65)【公開番号】特開2014-139979(P2014-139979A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2015年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126583
【弁理士】
【氏名又は名称】宮島 明
(72)【発明者】
【氏名】高山 吉正
【審査官】
村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−245232(JP,A)
【文献】
特開2012−227470(JP,A)
【文献】
特開2005−109434(JP,A)
【文献】
特開2011−134829(JP,A)
【文献】
特開2012−216712(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/027616(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一個のパッケージ中に複数個のLEDダイを含むLED装置において、
半導体層と透明絶縁基板が積層し、前記半導体層側にアノード及びカソード用の外部接続電極をそれぞれ一個ずつ有する複数のLEDダイと、
下面に前記透明絶縁基板を貼りつけるようにして前記複数のLEDダイを配列させる透光性シートと、
前記透光性シートの下面で隣接する前記LEDダイ同士の間隙に充填される充填部材と、
一の前記LEDダイと他の前記LEDダイの外部接続電極同士を接続する配線とを備え、
前記配線は、底面において露出している
ことを特徴とするLED装置。
【請求項2】
前記充填部材は、白色反射部材であることを特徴とする請求項1に記載のLED装置。
【請求項3】
前記充填部材は、前記外部接続電極を除き前記LEDダイの底面を被覆していることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED装置。
【請求項4】
前記充填部材は、透光性部材と白色反射部材とを含み、前記透光性部材は、前記LEDダイの側面を被覆し、前記白色反射部材は、前記透光性部材の外周を被覆していることを特徴とする請求項1又は3に記載のLED装置。
【請求項5】
前記透光性シートは、蛍光体シートであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のLED装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一個のパッケージ中に複数個のLEDダイを含むLED装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高輝度化にともないベアチップであるLEDダイも大型化し、1mm×(0.5〜1)mm程度のものが入手できるようになってきた。この大きさは抵抗等の他のチップ部品と同程度になるため、LEDダイを樹脂等でパッケージ化したLED装置の平面サイズをLEDダイと同程度にすることがある。このパッケージはLEDダイのサイズを直接的に反映するためチップサイズパッケージ(以下CSPと呼ぶ)と呼ばれる。CSPは実装面積が小さくて済むことやパッケージ用部材が少なくて良いということばかりでなく、必要な輝度に応じてマザー基板に搭載する個数を簡単に変えられることから照明装置等の設計の自由度を増すという特徴がある。
【0003】
CSPの究極的なものとしてLEDダイのチップサイズとパッケージの外形とが一致するLED装置が知られている(例えば特許文献1の
図6)。そこで特許文献1の
図6(a)を
図9に再掲しこのLED装置について説明する。
図9は、第1の従来例として示すCSP化した発光装置6(LED装置)の断面図である。なお一部符号を変更している。積層体12c(半導体層)の上面には蛍光体層30とレンズ32が積層している。積層体12cの下部には電解メッキ時の共通電極がエッチングされずに残ったシード金属22a,22b、銅配線層24a,24b、電解メッキで形成した柱状の銅ピラー26a,26bがある。
【0004】
積層体12cはp型クラッド層12a、発光層12e、n型クラッド層12bを備えている。積層体12cの下面は一部が開口した絶縁層20で覆われている。銅ピラー26a,26bの下部には半田ボール36a,36bが付着している。また銅ピラー26a,26bの間に補強樹脂28が充填されている。
【0005】
図9に示したLED装置6の平面サイズは積層体12cの平面サイズと一致する。このLED装置6は、LED装置6が配列して連結したウェハーを個片化して得られ、CSPで区分される製品群のなかで最も小型化しているためWLP(ウェハーレベルパッケージ)と呼ばれることもある。このLED装置6は積層体12c上にもともとあった透明絶縁基板(特許文献1の段落0021、
図2参照。)を極薄くまで削っているため発光層12eからの光が上方(図中矢印で示した)にのみ出射する。このためLED装置6の上部にのみ蛍光体層30を設ければ良い。
【0006】
図9に示したLED装置6は、前述のように透明絶縁基板を極薄くまで削っているため、製造装置が大掛かりになったり製造工程が長くなったりする。またLED装置6は、ウェハーレベルで蛍光体層30を形成しているため、ウェハー上の個別のLEDダイが有する発光特性のばらつきに対応することができない。この結果、発光色の管理が難しくなるという課題がある。そこで本願の発明者は、小型でありながら作り易く発光色の管理が容易なLED装置として、透明絶縁基板を残し、その下面に形成された半導体層の側面とともに透明絶縁基板の側面を白色反射部材で被覆し、透明絶縁基板及び白色反射部材の上面を蛍光体シートで被覆したフリップチップ実装用のLED装置を製作した(特許文献2の
図1)。
【0007】
特許文献2の
図1に示されたLED装置を
図10に再掲示しその構造を説明する。
図10は第2の従来例として示すLED装置10bの断面図である。なお
図10では符号を変
更している。LED装置10bは、サファイヤ基板14b(透明絶縁基板)とその下面に形成された半導体層15bとを有するLEDダイ16bを含み、側面に白色反射部材17bを備え、LEDダイ16b及び白色反射部材17bの上面に出射光を波長変換する蛍光体シート11bを備えている。蛍光体シート11bとサファイヤ基板14bの間には接着層13bがあり、蛍光体シート11bとサファイヤ基板14bとが接着している。またLEDダイ16bの半導体層15bと接続する突起電極18b,19bは、それぞれアノードとカソードであり、マザー基板と接続するための外部接続電極となっている。なお、マザー基板とは抵抗やコンデンサなど他の電子部品とともにLED装置10bを実装する基板である。また、白色反射部材17bは厚さが100μm以下でも充分に機能するのでLED装置10bを小型化できる。さらにLED装置10bは、多数のLED装置を連結した状態で加工し、最後にこの連結体を個片化して所望のLED装置を得るという、いわゆる集合工法が適用できるため製造し易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−141176号公報 (
図6(a))
【特許文献2】特開2012−227470号公報 (
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願の発明者は、上記LED装置10bを高輝度ランプの光源に適用してみた。この高輝度ランプの光源は、表面反射率と放熱効率が良好な基板に多数のLED装置10bを配列させて実装する。しかしながらLED装置10bが多数であるため実装に掛かる工数が大きくなるという課題に直面した。
【0010】
そこで本発明は、この課題に鑑みて為されたものであり、製造し易いという特徴を維持したまま効率的に実装できるLED装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の目的を達成するため本発明のLED装置は、一個のパッケージ中に複数個のLEDダイを含むLED装置において、半導体層と透明絶縁基板が積層し、前記半導体層側にアノード及びカソード用の外部接続電極をそれぞれ一個ずつ有
する複数のLEDダイと、下面に前記透明絶縁基板を貼りつけるようにして前記複数のLEDダイを配列
させる透光性シートと、前記透光性シートの下面で隣接する前記LEDダイ同士の間隙に
充填される充填部材
と、一の前記LEDダイと他の前記LEDダイの外部接続電極同士を接続する配線
とを備え、前記配線は、底面において露出していることを特徴とする。
【0012】
本発明のLED装置は、透光性シートと、外部接続電極を備えたLEDダイと、LEDダイ同士の間隙に存在し平板形状を維持する充填部材からなり、構成部材が少なく単純な構造であるため製造し易い。
【0013】
また本発明のLED装置に含まれるLEDダイは、半導体層と透明絶縁基板が積層したものであり、透光性シートの下面に透明絶縁基板を貼りつけるようにして配列している。LEDダイの半導体層側にはアノードとカソード用の外部接続電極がそれぞれ一個ずつ設けられている。この外部接続電極は2個に集約しているため比較的大きなサイズを確保できる。このためLEDダイを透光性シートに配列させたとき、各外部接続電極は、前述のように実装し易い大きさであるうえ、さらに比較的大きなピッチで配列することになるのでマザー基板等に実装させ易くなる。このような電極構成を有する本発明のLED装置は、多数のLEDダイを一回的にマザー基板等に実装できるため効率的に実装できる。
【0014】
前記充填部材が白色反射部材であっても良い。
【0015】
前記充填部材が前記外部接続電極を除き前記LEDダイの底面を被覆していても良い。
【0016】
前記充填部材が透光性部材と白色反射部材とを含み、前記LEDダイの側面を前記透光性部材が被覆し、前記透光性部材の外周を前記白色反射部材が被覆しても良い。
【0017】
底面に二つの前記LEDダイの外部接続電極同士を接続する配線を備えていても良い。
【0018】
前記透光性シートは蛍光体シートであっても良い。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明のLED装置は、透光性シートの下面に透明絶縁基板が貼りつくようにしてLEDダイが一体的に配列し、各LEDダイ間に充填部材を備えただけの単純な構造であるため製造し易い。さらに本発明のLED装置は、LEDダイの各外部接続電極が実装し易い大きさであるうえ、比較的大きな配列ピッチになっているため実装しやすく、一回的に多数のLEDダイをマザー基板等に実装できるため実装に掛かる工数が少なくなり、効率的な実装が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態におけるLED装置の平面図。
【
図5】本発明の第2実施形態におけるLED装置の底面図。
【
図7】本発明の第3実施形態におけるLED装置の底面図。
【
図10】第2の従来例におけるLED装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付
図1〜8を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また説明のため部材の縮尺は適宜変更している。さらに特許請求の範囲に記載した発明特定事項との関係をカッコ内に記載している。
【0022】
(第1実施形態)
添付
図1〜4を参照して本発明の第1実施形態として示すLED装置10を詳細に説明する。まず
図1〜3によりLED装置10の外観を説明する。
図1はLED装置10の平面図、
図2が正面図、
図3が底面図である。
図1に示すようにLED装置10を上部から眺めると、長方形の蛍光体シート11(透光性シート)が見える。
図2に示すようにLED装置10を正面から眺めると、蛍光体シート11の下側に白色反射部材12(充填部材)が見え、さらに白色反射部材12の下に2個の外部接続電極15が見える。
図3に示すようにLED装置10を下から眺めると、長方形の白色反射部材12と、その内側に5行5列で配列したLEDダイ16(
図4参照)の半導体層14が見える。各半導体層14の内側には2個ずつ外部接続電極15がある。
【0023】
次に
図4によりLED装置10の内部構造を説明する。
図4は、
図1のAA線に沿って
描いたLED装置10の断面図である。LED装置10では、蛍光体シート11の下面にLEDダイ16が接着層(図示せず)を介して貼りついており、各LEDダイ16の間隙及びLED装置10の外周部に白色反射部材12が存在する。LEDダイ16は、サファイヤ基板13(透明絶縁基板)と半導体層14を含み、サファイヤ基板13の下面側に半導体層14が形成され、半導体層14に2個の外部接続電極15が接続している。
【0024】
蛍光体シート11は、蛍光体微粒子を混練したシリコーン樹脂をシート状にして硬化させた透光性シートであり、厚さが100〜300μm程度である。濃度消光による損失を軽減したい場合は蛍光体シート11を厚めに設定する。白色反射部材12はシリコーン樹脂に酸化チタンやアルミナなどの反射性微粒子を混練し熱硬化させたものである。この結果、例えば平面サイズが0.8mm×0.3mmのLEDダイ16の場合、LEDダイ16の配列ピッチとして長手方向を1.0mm、短手方向を0.5mmとすることができる。このとき外部接続電極15のサイズは0.3mm×0.2mm程度になり、マザー基板等への接続にハンダリフローが適用可能となる。
【0025】
LEDダイ16に含まれるサファイヤ基板13は厚さが80〜150μm程度である。サファイヤ基板13の下面に形成された半導体層14は、厚みが10μm程度で、p型半導体層及びn型半導体層を含み、その境界面が発光層となる。半導体層14の下部には層間絶縁膜や保護膜が存在し、保護膜上に外部接続電極15が形成される。二つの外部接続電極15はアノード及びカソードであり、それぞれ層間絶縁膜上の配線を介してp型半導体層及びn型半導体層と接続している。また外部接続電極15は、抵抗やコンデンサなど他の電子部品が実装されたマザー基板と接続するための電極であり、厚さが数100nmから数10μmであり、半田付けのため表面に金層又は錫層を備えている。
【0026】
次にLED装置10の製造方法を説明する。本製造工程は、いわゆる集合工法と呼ばれるもので、支持用の大判蛍光体シート上に多数のLEDダイ16を所定のピッチで配列し、この集合体に対して様々な加工を施し、最後にこの集合体を個片化して個別のLED装置10を得るものである。なお大判蛍光体シートには数100から数1000個のLEDダイ16を配列させる。
【0027】
先ず、大判蛍光体シート上に多数のLEDダイ16を配列する。このときLEDダイ16の外部接続電極15を上にして、サファイヤ基板13を大判蛍光体シート上に貼りつける。LEDダイ16はピッカー等で一個ずつ大判蛍光体シート上に配置しても良い。また、いったん他の粘着シートに複数のLEDダイ16を配列させておき、この複数のLEDダイ16を一括して大判蛍光体シートに貼り付けることもできる。なお予め大判蛍光体シートには接着材を印刷しておく。
【0028】
次にディペンサーによりLEDダイ16間に硬化前の白色反射部材12を充填する。このとき予め大判蛍光体シートの外周にはダム材を設けておく。充填が完了したら加熱して白色反射部材12を硬化させる。最後に白色反射部材12とともに大判蛍光体シートを切断し、個片化されたLED装置10を得る。切断にはダイサーやワイヤを使う。なお白色反射部材12は完成時に厚さが30〜50μmあれば充分に遮光できる。
【0029】
本実施形態のLED装置10は長方形の領域にLEDダイ16を配列させていた(
図3参照)。しかしながら配列させる領域は長方形に限られない。例えば円形の領域にLEDダイ16を配列させても良い。さらに蛍光体シートも円形に切り抜き平面形状が円形のLED装置を得ることもできる。またLEDダイ16は放射状に配列させても良い。LED装置の発光領域が円形であると、レンズにより配光分布を調整し易くなる。またLEDダイ16の発光を波長変換する必要がなければ、蛍光体シート11は透明な透光性シートに置き換えることができる。
【0030】
(第2実施形態)
図1〜4で示したLED装置10ではLEDダイ16の間隙に白色反射部材12を充填していた。しかしながら機械的な強度を確保するためだけならLEDダイ16間に充填する部材は白色反射部材に限られず、例えば透光性の部材であっても良い。さらに後述するようにLEDダイ16の側面を透光性の部材で被覆した方が発光効率が向上する。またLED装置10の底面では外部接続電極15と半導体層14が露出していたが、外部接続電極15だけ露出させても良い。またLED装置10では各LEDダイ16の外部接続電極15は分離していたが、底面において配線を付加し、異なるLEDダイ16の外部接続電極15同士を接続するようにしても良い。
【0031】
そこで
図5,6により、第2実施形態として、充填部材が透光性部材と白色反射部材を含み、底面が外部接続電極を除き白色反射部材で被覆され、外部接続電極間を接続する配線を備えるLED装置50について説明する。
【0032】
図5はLED装置50の底面図である。なお平面図は第1実施形態の
図1と等しいので図示していない。正面図は底面の外部接続電極15(
図6参照)部近傍を除き第1実施形態の
図2と等しく、断面図(
図6)があるので図示していない。
図5においてLED装置50を下から眺めると、白色反射部材52上に配線51a,51b,51c,51dが見える。配線51a及び配線51dは、電力供給用の電極であり、図の左上隅及び右下隅のLEDダイ16の1個の外部接続電極15(
図6参照)と接続している。配線51bは図の長手方向(左右方向)に隣接するLEDダイ16の外部接続電極15同士を接続している。配線51cは図の短手方向(上下方向)に隣接するLEDダイ16の外部接続電極15同士を接続している。このようにしてLED装置50では、25個のLEDダイ16が直列接続している。なお図中、白色反射部材52で被覆されたLEDダイ16を点線で示している。
【0033】
次に
図6によりLED装置50の内部構造を説明する。
図6は、
図5のBB線に沿って描いたLED装置50の断面図である。LED装置50では蛍光体シート11の下面にLEDダイ16が接着層(図示せず)を介して貼りついている。各LEDダイ16の側面は蛍光樹脂53(透光性部材)で被覆されており、蛍光樹脂53の間隙及びLED装置50の外周部並びにLEDダイ16の底面部に白色反射部材52が存在する。LEDダイ16は、
図4で示したLED装置10のLEDダイ16と同じものである。各LEDダイ16の外部接続電極15は白色反射部材52から露出しており、外部接続電極15には配線51a,51b,51cが接続している。蛍光樹脂53はシリコーン樹脂に蛍光体微粒子を混練し硬化させたもので、厚さは50μm程度である。
【0034】
前述したようにLED装置50はLEDダイ16の側面と白色反射部材52との間に蛍光樹脂53が存在する。LED装置50は、大判蛍光体シート(第1実施形態のLED装置10に対する製造方法を参照)にLEDダイ16を配列させたら、蛍光樹脂53をLEDダイ16の間隙等に充填し硬化させ、次にLEDダイ16の側部に蛍光樹脂53が残るように蛍光樹脂53を削って溝を形成し、続いてこの溝に硬化前の白色反射部材52を充填し硬化させ、最後に個片化して製造する。
【0035】
図4等で示した第1実施形態のLED装置10ではLEDダイ16の側面と白色反射部材12とが直接的に接触しているため、サファイヤ基板13の側面から出射しようとする光がサファイヤ基板13内に戻されてしまう。この光は迷光になったり、反射や半導体層14による再吸収で減衰したりする。つまりLED装置10は構造上このような損失を内包している。これに対し本実施形態のLED装置50のようにLEDダイ16の側面と白色反射部材52との間に蛍光樹脂53が存在すると、LEDダイ16の側面から出射し、
蛍光樹脂53をとおり白色反射部材12で反射した光は、その一部が再びサファイヤ基板13内に入り込むとしても、大部分は蛍光樹脂53内を伝播してLED装置50から出射するので、前述の損失が少なくなり出射効率が向上する。
【0036】
またLED装置50は白色反射部材52が外部接続電極15を除いてLEDダイ16の底面(半導体層14)を被覆している。LED装置50は、硬化前の白色反射部材52を充填するとき、白色反射部材52を多めに充填し、白色反射部材52の硬化後、白色反射部材52を研磨して外部接続電極15を露出させることにより製造できる。この際、白色反射部材52の充填にスキージが使える。LEDダイ16の底面に白色反射部材52が存在すると、底面の汚染から半導体層14を保護することができ、さらにLED装置50の底面において半導体層14の底面から漏れ出そうとする光を遮光できる。
【0037】
底部に形成した配線51a〜dは、印刷法又はホトリソグラフィと組み合わせたメッキ法で形成する。このとき配線51a〜dには、LED装置50をマザー基板等に実装するときのリフロー温度で融解しない材料を選択する。LED装置50は、マザー基板の電極と配線51a,51dだけが電気的に接続していれば良いので、第1実施形態のLED装置10に比べ大幅に実装が簡単化する。
【0038】
LED装置50では充填部材が蛍光樹脂53と白色反射部材52からなっていた。しかしながら充填部材を、蛍光樹脂53又は透明樹脂等の透光性部材だけにしても良い。この場合、前述のようにLEDダイ16の側部から出射した光は、多くの成分がLEDダイ16内に戻らないため発光効率が向上する。また底面を蛍光樹脂53又は透明樹脂等の透光性部材で被覆すると、LEDダイ16の底面から漏れ出す光は遮光できないとしても、半導体層14の汚染は防止できる。またLED装置50では白色反射部材52が平面的にみると網目状になっていた。これに対し白色反射部材がLED装置50の外周部だけを枠上に囲むようにしても良い。このようにすると透光性部材を削って溝を形成する工程が簡単になる。
【0039】
(第3実施形態)
第1及び第2実施形態で示したLED装置10,50に含まれるLEDダイ16は、一個ずつ分離していた。しかしながら本発明のLED装置ではLEDダイ16を連結した状態で配列させるほうがよい場合がある。そこで
図7と
図8により第3実施形態として、LEDダイ16を2個連結した素子を蛍光体シート上に配列させたLED装置70を説明する。
【0040】
図7はLED装置70の底面図である。なお平面図は長方形の蛍光体シートが見えるだけであり、正面図は断面図から容易に類推できるので、それぞれ図示していない。
図7においてLED装置70を下から眺めると、白色反射部材72の内側にLEDダイ16の半導体層14が見える。ここでLEDダイ16は
図4等で示したLEDダイ16と同じものであるが、2個連結した状態でウェハーから切り出したものである。このようにすると、ウェハーのダイシングや大判蛍光体シート(第1実施形態のLED装置10に対する製造方法を参照)への配列に掛かる工数を削減できる。各LEDダイ16には2個の外部接続電極15がある。なお本実施形態で蛍光体シート71(
図8参照)に配列したLEDダイは2個のLEDダイ16を連結した状態でウェハーから切り出した素子であり、分離していないが、説明の便宜上、
図7ではLEDダイ16間の線を書き加えている(
図8も同様)。
【0041】
次に
図8によりLED装置70の内部構造を説明する。
図8は、
図7のCC線に沿って描いたLED装置70の断面図である。LED装置70の断面と
図4で示したLED装置10の断面は略等しく、LED装置70の断面においてLEDダイ16が連結していると
ころが異なる。なお作図上の理由で
図4と
図8の断面図中に含まれるLEDダイ16の個数は異なっている。
図4の蛍光体シート11及び白色反射部材12と
図8の蛍光体シート71及び白色反射部材72はそれぞれ同じ材料からなる。
【0042】
LED装置70は管状照明装置等で使われるライン光源である。このためLEDダイ16を長手方向に2個連結した。また第2実施形態のLED装置50のように、LEDダイ16の底面を白色反射部材72で被覆したり、充填部材を透光性部材と白色反射部材72からなるようにしたり、底部に配線を形成したりしても良い。
【符号の説明】
【0043】
10,50,70…LED装置、
11,71…蛍光体シート(透光性シート)、
12,52,72…白色反射部材、
13…サファイヤ基板(透明絶縁基板)、
14…半導体層、
15…外部接続電極、
16…LEDダイ、
51a,51b,51c,51d…配線。