(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分の含有量が250〜1500質量部であり、前記(C)成分の含有量が0.001〜1質量部である、請求項1に記載のエアゾール型殺虫剤。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴキブリ、ダニ、ノミ、カ、ハエ等の害虫の防除を目的として、屋内等の閉鎖された空間内を、有効成分(殺虫成分)を含む空間処理剤を用いて処理することが一般的に行われている。このような目的で用いられている空間処理剤としては、燻煙型殺虫剤、エアゾール型殺虫剤等が一般的である。
【0003】
近年、ゴキブリ防除を目的とする空間処理剤に配合される有効成分としては、ピレスロイド系化合物やオキサジアゾール系化合物が主流となっている。中でもピレスロイド系化合物は、ゴキブリ類の神経系に作用し、優れたノックダウン効果を有すること、また人体に対して低毒性であることから汎用されている。
しかし、最近、ピレスロイド系化合物の多用とともに、これらの薬剤に対して強い抵抗性を有するゴキブリ(ピレスロイド抵抗性ゴキブリ)が発生しており、その防除が難しくなっている。
【0004】
オキサジアゾ−ル系化合物である5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン(一般名:メトキサジアゾン)は、ピレスロイド抵抗性ゴキブリに対して優れた殺虫効果を示すことが知られている。例えば特許文献1には、メトキサジアゾンを用いた害虫防除用燻蒸剤が開示されている。
【0005】
しかし、メトキサジアゾンは難溶解性であるため、エアゾール型殺虫剤として用いるには使用可能な溶剤が限られていた。
メトキサジアゾンを溶解できる溶剤としては、炭酸プロピレン、N−アルキル−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどが知られている。例えば特許文献2には、メトキサジアゾンと炭酸プロピレンとを含有する殺虫液剤が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のエアゾール型殺虫剤(以下、単に「殺虫剤」という。)は、下記(A)〜(C)成分を含有する。
【0013】
<(A)成分>
(A)成分は5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オンであり、メトキサジアゾンの一般名で知られている。
(A)成分は、ハエ、カ、ゴキブリ等の害虫を駆除する有効成分(殺虫成分)である。中でも、ゴキブリ、特にピレスロイド抵抗性ゴキブリに対して優れた殺虫効果を発現する。
【0014】
(A)成分の含有量は、殺虫剤100質量%中、0.1〜5.5質量%が好ましく、0.8〜3.5質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が0.1質量%以上であれば、殺虫効果をより高められる。一方、(A)成分の含有量が5.5質量%以下であれば、後述する(C)成分を併用したときの効果がより高まり、(A)成分の不快臭および刺激をより良好に抑制できる。また、(A)成分は油性成分であるため、室内の床やガラスなどに多量に付着すると曇りが生じたりツヤが消失したりする場合があるが、(A)成分の含有量が5.5質量%以下であれば室内に残りにくいので、室内が汚れにくい。
【0015】
また、詳しくは後述するが、本発明の殺虫剤を全量噴射式エアゾール型殺虫剤として用いる場合、殺虫剤の内容量(全量)50g中、(A)成分の含有量は0.2〜2.7gが好ましく、0.4〜1.6gがより好ましい。
【0016】
<(B)成分>
(B)成分は炭酸プロピレンである。
(B)成分は(A)成分に対する溶剤として作用する。また、後述する(C)成分と併用することで、(A)成分の不快臭や刺激を著しく、かつ持続的に軽減することができる。
【0017】
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して250〜1500質量部が好ましく、300〜1000質量部がより好ましい。(B)成分の含有量が250質量部以上であれば、(A)成分と(C)成分が十分に相溶するので、不快臭や刺激の低減効果をより持続できる。ところで、(B)成分は油性成分であるため、(A)成分と同様に室内の床やガラスなどに多量に付着すると曇りが生じたりツヤが消失したりする場合がある。特に殺虫剤を全量噴射式エアゾール型殺虫剤として用いた場合、多くの(B)成分が室内に付着しやすい傾向にある。(B)成分の含有量が1500質量部以下であれば、本発明の殺虫剤を全量噴射式エアゾール型殺虫剤として用いた場合でも室内に残りにくいので、室内が汚れにくい。
【0018】
<(C)成分>
(C)成分は、グレープフルーツオイル、ローズオイル、ガイアックウッドオイル、ユーカリオイル、オレンジオイルからなる群より選ばれる1種以上のエッセンシャルオイルである。
(C)成分は、(B)成分との併用により、(A)成分の不快臭や刺激を著しく、かつ持続的に軽減させる成分である。
【0019】
グレープフルーツオイルは、グレープフルーツの果皮および/または果実から圧搾法により採取した精油(エッセンシャルオイル)である。
グレープフルーツオイルに含まれる主要成分としては、例えばリモネン、オクタナール、デカナール、ヌートカトンが挙げられる。
グレープフルーツオイルとしては、市販品を用いることができる。
【0020】
ローズオイルは、バラの花びらを水蒸気蒸留法により蒸留して得られる精油である。
ローズオイルに含まれる主要成分としては、例えばフェニルエチルアルコール、ゲラニオール、シトロネロール、リナロール、ネロールが挙げられる。
ローズオイルとしては、市販品を用いることができる。
【0021】
ガイアックウッドオイルは、樹幹および/または木の切りくずを水蒸気蒸留法により蒸留して得られる精油である。
ガイアックウッドオイルに含まれる主要成分としては、例えばグアイアコール(グアヤコール)、ブルネソールが挙げられる。
ガイアックウッドオイルとしては、市販品を用いることができる。
【0022】
ユーカリオイルは、ユーカリの葉を水蒸気蒸留法により蒸留して得られる精油である。
ユーカリオイルに含まれる主要成分としては、例えば1,8−シネオール、α−ピネン、カンフェンが挙げられる。
ユーカリオイルとしては、市販品を用いることができる。
【0023】
オレンジオイルは、オレンジの果皮および/または果実から圧搾法により採取した精油である。
オレンジオイルに含まれる主要成分としては、例えばリモネン、オクタナール、ノナナール、デカナールが挙げられる。
オレンジオイルとしては、市販品を用いることができる。
【0024】
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.001〜1質量部が好ましく、0.005〜0.5質量部がより好ましい。(C)成分の含有量が0.001質量部以上であれば、不快臭や刺激の低減効果をより持続できる。一方、(C)成分の含有量が1質量部を超えても、(A)成分の不快臭や刺激を抑制することはできるが、(C)成分の含有量が多くなると(C)成分由来の香りが強くなりすぎ、例えば本発明の殺虫剤を全量噴射式エアゾール型殺虫剤として用いた場合に、室内を換気しても(C)成分由来の香りが残りやすく、殺虫剤を使用したことを長時間に亘って感じさせるおそれがある。そのため、(C)成分の含有量は1質量部以下が好ましい。
【0025】
本発明の殺虫剤は、(A)成分、(B)成分、および(C)成分を含む液剤(殺虫液剤)と、噴射剤とがエアゾール缶や耐圧容器内に充填されてなるエアゾール型殺虫剤である。その噴射方式としては特に制限されず、エアゾール缶の内容物を対象害虫に向けて直接噴射するスプレー式でもよいし、耐圧容器の内容物のほぼ全量を一度の操作(バルブの開放等)で室内等の閉鎖された空間内に噴射(散布)する全量噴射式でもよい。
スプレー式は、動きの早い匍匐性害虫や飛翔害虫に対して使用する際に特に好適である。一方、全量噴射式は、室内の隅々にまで殺虫成分を行渡らせる際に特に好適である。
以下、スプレー式により噴射する殺虫剤を特に「スプレー式エアゾール型殺虫剤」といい、全量噴射式により噴射する殺虫剤を特に「全量噴射式エアゾール型殺虫剤」という。
【0026】
殺虫液剤には、(B)成分以外の他の溶剤が含まれていてもよい。他の溶剤としては、例えばエタノール(無水エタノールを含む)、メタノール、アセトン、グリコールエーテル系(エチレングリコールやその誘導体、ジエチレングリコールやその誘導体、他のアルキレングリコールやその誘導体など)、炭酸ジメチル、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ジブチル、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、灯油、水等が挙げられる。
【0027】
噴射剤としては、液化ガス(ジメチルエーテル、液化石油ガス、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロオレフィンなど)、圧縮ガス(炭酸ガス、窒素ガス、亜酸化窒素など)等が挙げられる。
殺虫液剤と噴射剤との配合比率は、噴射特性や安全性を勘案して適宜決定される。例えば、殺虫液剤/噴射剤で表される質量比は1/99〜90/10が好ましく、10/90〜50/50がより好ましい。
【0028】
また、本発明の殺虫剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)成分以外の有効成分(殺虫成分)や、安定剤、防錆剤、乳化剤、分散剤、賦形剤、色素、香料等の添加剤を必要に応じて配合してもよい。
(A)成分以外の有効成分としては、ペルメトリン、フェノトリン等のピレスロイド系化合物、ネオニコチノイド、有機リン系化合物などの殺虫有効成分のほか、昆虫成長阻害剤等が挙げられる。
【0029】
本発明の殺虫剤を全量噴射式エアゾール型殺虫剤として使用する場合、室内に散布される(A)成分の量(メトキサジアゾン散布量)が室内1m
3当たり、3mg以上となるように殺虫剤を散布するのが好ましく、より好ましくは6mg以上であり、さらに好ましくは9mg以上である。メトキサジアゾン散布量が、室内1m
3当たり3mg以上(面積あたりに換算すると1m
2当たり約7mg以上)であると、ピレスロイド抵抗性ゴキブリなどを含む多くのゴキブリ類に対して高い殺虫効果を発現することができる。また、メトキサジアゾン散布量は、安全性や経済性を考慮すると、室内1m
3当たり、150mg以下が好ましく、100mg以下がより好ましい。
【0030】
一方、本発明の殺虫剤をスプレー式エアゾール型殺虫剤として使用する場合、対象害虫に向けて噴射される(A)成分の量(メトキサジアゾン噴射量)が1回当り、0.1mg以上となるように殺虫剤を噴射するのが好ましく、より好ましくは1mg以上である。メトキサジアゾン噴射量が1回当り0.1mg以上であると、ピレスロイド抵抗性ゴキブリなどを含む多くのゴキブリ類に対して高い殺虫効果を発現することができる。また、メトキサジアゾン噴射量は、安全性や経済性を考慮すると、1回当り、500mg以下が好ましく、250mg以下がより好ましい。
【0031】
耐圧容器内への殺虫液剤の充填量は、メトキサジアゾン散布量やメトキサジアゾン噴射量が上記範囲内となるように適宜決定される。また、殺虫剤を室内で使用する場合には、処理される室内の大きさに応じて適宜決定される。
【0032】
また、本発明においては、有効成分である(A)成分と共に(C)成分が噴射されることで、不快臭や刺激を抑制することができるが、(C)成分が拡散しやすいと不快臭や刺激をより効果的に抑制できる。特に、全量噴射式エアゾール型殺虫剤の場合は、殺虫効果の観点から、(A)成分が室内の隅々まで行渡ることが望まれるが、このとき、(C)成分も室内の隅々まで行渡ることで、不快臭や刺激をより効果的に抑制できる。
全量噴射式エアゾール型殺虫剤の場合、(A)成分および(C)成分を室内の隅々まで行渡らせるには、殺虫剤を平均粒子径が50μm以下の粒子状態、より好ましくは平均粒子径が15μm以下の粒子状態で室内に散布するのが好ましい。
一方、スプレー式エアゾール型殺虫剤の場合、(C)成分を拡散させやすくするには、殺虫剤を平均粒子径が100μm以下の粒子状態、より好ましくは平均粒子径が50μm以下の粒子状態で噴射するのが好ましい。
散布時の殺虫剤の平均粒子径は、殺虫液剤と噴射剤の配合比率や、殺虫剤を充填する耐圧容器のノズル孔径、噴射圧などにより調整できる。
【0033】
本発明の殺虫剤は、室内でも屋外でも使用できるが、特に本発明の殺虫剤を全量噴射式エアゾール型殺虫剤として使用する場合は、主に室内で使用される。処理される室内は、密閉可能な空間であり、たとえば屋内、車両内等が挙げられる。
一方、本発明の殺虫剤をスプレー式エアゾール型殺虫剤として使用する場合は、室内で使用してもよいし、屋外で使用してもよい。室内で使用する場合、処理される室内は密閉可能でなくてもよいし、密閉可能な空間でもよい。
【0034】
本発明の殺虫剤が適用される害虫としては、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ等のゴキブリ類;コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類;ケナガコナダニ、ムギコナダニ等のコナダニ類;チリニクダニ等のニクダニ類;ナミホコリダニ等のホコリダニ類;ミナミツメダニ等のツメダニ類;イエダニ、トリサシダニ等の動物寄生性ダニ類;ネコノミ、ヒトノミ、イヌノミ等のノミ類;ヒトスジシマカ、コガタアカイエカ等のカ類;アリ類;イエバエ、チョウバエなどのハエ類;シラミ類;トコジラミ類;ガ類;イガ、コイガ、カツオブシムシ等の衣料害虫などに対して高い殺虫効果を発揮し、その実用性は極めて高い。
【0035】
以上説明した本発明の殺虫剤によれば、(A)成分を含有するので、殺虫効果が高い。特に、ピレスロイド抵抗性ゴキブリに対しても高い殺虫効果を示す。
加えて、本発明の殺虫剤は、(B)成分に加えて(C)成分を含有するので、不要な香りを感じさせずに(A)成分の不快臭および刺激を軽減でき、しかもその軽減効果を持続できる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0037】
[使用原料]
(A)成分としてメトキサジアゾンを用いた。
(B)成分として、炭酸プロピレンを用いた。また、(B)成分の比較品((B')成分)として、1−メチル−2−ピロリドンを用いた。
(C)成分として、表1に示す主要成分を含むグレープフルーツオイル、オレンジオイル、ローズオイル、ガイアックウッドオイル、ユーカリオイルを用いた。また、(C)成分の比較品((C')成分)として、表1に示す主要成分を含むペパーミントオイル、スペアミントオイルを用いた。
他の溶剤として、無水エタノールを用いた。
噴射剤として、ジメチルエーテルを用いた。
【0038】
【表1】
【0039】
[実施例1]
<全量噴射式エアゾール型殺虫剤の調製>
メトキサジアゾン0.8gと、炭酸プロピレン5gと、ローズオイル0.00008gと、他の溶剤としてバランス量の無水エタノールとを混合し、殺虫液剤を調製した。これを霧のバルサン(ライオン株式会社製)の容器に充填し、以下の評価試験に供した。
具体的には、得られた殺虫液剤を耐圧容器に入れ、ここに噴射剤としてジメチルエーテル35gを圧力充填して密封し、噴射装置を取り付けて、全量噴射式エアゾール型殺虫剤を得た。得られた全量噴射式エアゾール型殺虫剤について、以下に示す評価を行った。結果を表2に示す。
なお、「バランス」とは、全量噴射式エアゾール型殺虫剤の内容量(全量)が50gとなる量である。
【0040】
<評価>
(不快臭のなさ)
全量噴射式エアゾール型殺虫剤を32m
3の密閉した室内の床面中央に置き、ボタンを押して全量噴射式エアゾール型殺虫剤の全量を噴射させた後、1時間密閉したままの状態で放置した。その後、室内に入室し、下記の評価基準に従って官能評価を行った。
ついで、換気率10回/時間の条件で室内を換気し、換気後15分後、および30分後に室内に入室し、下記の評価基準に従って再度官能評価を行った。なお、換気率とは、1時間の間に室内の全空気が入れ替わった回数のことであり、換気率10回/時間とは、室内の空気が1時間の間に10回全部入れ替わったことを意味する。
パネラー5人の平均値を求め、◎:3.5点以上4.0点以下、○:3.0点以上3.5点未満、△:2.0点以上3.0点未満、×:1.0点以上2.0点未満とし、不快臭のなさを評価した。
評価基準;
4点:不快臭を感じない。
3点:不快臭をあまり感じない。
2点:不快臭をやや感じる。
1点:不快臭を感じる。
【0041】
(刺激のなさ)
全量噴射式エアゾール型殺虫剤を32m
3の密閉した室内の床面中央に置き、ボタンを押して全量噴射式エアゾール型殺虫剤の全量を噴射させた後、1時間密閉したままの状態で放置した。その後、室内に入室し、下記の評価基準に従って官能評価を行った。
ついで、換気率10回/時間の条件で室内を換気し、換気後15分後、および30分後に室内に入室し、下記の評価基準に従って再度官能評価を行った。
パネラー5人の平均値を求め、◎:3.5点以上4.0点以下、○:3.0点以上3.5点未満、△:2.0点以上3.0点未満、×:1.0点以上2.0点未満とし、刺激のなさを評価した。
評価基準;
4点:刺激を感じない。
3点:刺激をあまり感じない。
2点:刺激をやや感じる。
1点:刺激を感じる。
【0042】
(香りのなさ)
全量噴射式エアゾール型殺虫剤を32m
3の密閉した室内の床面中央に置き、ボタンを押して全量噴射式エアゾール型殺虫剤の全量を噴射させた後、1時間密閉したままの状態で放置した。その後、室内に入室し、下記の評価基準に従って官能評価を行った。
ついで、換気率10回/時間の条件で室内を換気し、換気後15分後、および30分後に室内に入室し、下記の評価基準に従って再度官能評価を行った。
パネラー5人の平均値を求め、◎:3.5点以上4.0点以下、○:3.0点以上3.5点未満、△:2.0点以上3.0点未満、×:1.0点以上2.0点未満とし、香りのなさを評価した。
評価基準;
4点:(C)成分由来の香りをあまり感じない。
3点:(C)成分由来の香りをやや感じる。
2点:(C)成分由来の香りを感じる。
1点:(C)成分由来の香りを非常に感じる。
【0043】
[実施例2〜9、比較例1〜4]
表2、3に示す配合組成に従って殺虫液剤を調製した以外は、実施例1と同様にして全量噴射式エアゾール型殺虫剤を得た。得られた全量噴射式エアゾール型殺虫剤について、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2、3に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
表2、3から明らかなように、実施例1〜9で得られた全量噴射式エアゾール型殺虫剤は、(B)成分および(C)成分によるマスキング効果が発揮され、持続的に不快臭および刺激を軽減できた。しかも、(C)成分由来の香りも概ね感じられなかった。
特に、(A)成分100質量部に対して、(B)成分の含有量が250質量部以上であり、(C)成分の含有量が0.001質量部以上である実施例1〜7、9で得られた全量噴射式エアゾール型殺虫剤は、不快臭や刺激の軽減効果をより持続できた。
このように、実施例1〜9で得られた全量噴射式エアゾール型殺虫剤は、不要な香りを感じさせることなく、長時間にわたって不快臭および刺激を軽減できた。
【0047】
一方、(C)成分の代わりにペパーミントオイル、またはスペアミントオイルを用いた比較例1、2で得られた全量噴射式エアゾール型殺虫剤は、入室直後の不快臭を軽減することはできたものの、この軽減効果を持続することはできなった。また、刺激を軽減することはできなかった。
(B)成分の代わりに、1−メチル−2−ピロリドンを用いた比較例3で得られた全量噴射式エアゾール型殺虫剤は、入室直後の不快臭および刺激をある程度は軽減できたものの、これらの軽減効果を持続することはできなかった。
(B)成分の代わりに、1−メチル−2−ピロリドンを用い、かつ(C)成分の代わりにペパーミントオイルを用いた比較例4で得られた全量噴射式エアゾール型殺虫剤は、不快臭および刺激を軽減することはできなかった。
【0048】
[実施例10]
<スプレー式エアゾール型殺虫剤の調製>
メトキサジアゾン0.8gと、炭酸プロピレン5gと、ローズオイル0.00008gと、他の溶剤としてバランス量の無水エタノールとを混合し、殺虫液剤を調製した。これをバルサンこれ1本スプレー(ライオン株式会社製)の容器に充填し、以下の評価試験に供した。
具体的には、得られた殺虫液剤をエアゾール缶に入れ、ここに噴射剤として液化石油ガス(0.15mPa/25℃)35gを圧力充填して密封し、噴射装置を取り付けて、スプレー式エアゾール型殺虫剤を得た。
なお、「バランス」とは、スプレー式エアゾール型殺虫剤の内容量(全量)が50gとなる量である。
【0049】
<評価>
得られたスプレー式エアゾール型殺虫剤を室内で10秒間噴射した。噴射直後の不快臭のなさ、刺激のなさ、香りのなさについて、実施例1と同様の評価基準に従って評価した。
その結果、いずれの結果も「◎」であり、(B)成分および(C)成分によるマスキング効果が発揮され、持続的に不快臭および刺激を軽減できた。しかも、(C)成分由来の香りも感じられなかった。
このように、実施例10で得られたスプレー式エアゾール型殺虫剤は、不要な香りを感じさせることなく、長時間にわたって不快臭および刺激を軽減できた。