(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6086802
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】レバーフロート式ドレントラップ
(51)【国際特許分類】
F16T 1/24 20060101AFI20170220BHJP
F16K 31/26 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
F16T1/24
F16K31/26 Z
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-94714(P2013-94714)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-214848(P2014-214848A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】浅田 哲夫
【審査官】
加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−242923(JP,A)
【文献】
特開昭63−166411(JP,A)
【文献】
実開昭59−121598(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16T 1/24− 1/30
F16K 31/24−31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングで入口と出口を形成するとともに、前記入口と前記出口の間に弁室を形成し、
前記弁室と前記出口とを連通する弁口を前記弁室の下部に形成し、
前記弁室内に支持された揺動軸を中心として回動するレバーを設け、
前記レバーの一端部側に弁室内の液位に応じて浮上降下するフロートを連結し、
前記レバーの他端部側に支持されるとともに、前記揺動軸と平行な連結軸を設け、
前記連結軸を介して前記レバーに連結されるとともに、前記弁口を開閉する弁体を設け、
前記弁体が前記弁口を閉止した時に前記連結軸が前記揺動軸を中心とする円であって前記揺動軸と前記連結軸との距離を半径とする円の最下点にある
レバーフロート式ドレントラップ。
【請求項2】
前記連結軸を中心として回動する連結部材を設け、
前記連結部材に支持されるとともに、前記揺動軸と平行な弁軸を設け、
前記弁体が前記弁軸を中心として回動する
請求項1に記載のレバーフロート式ドレントラップ。
【請求項3】
前記弁体が前記弁口を閉止した時に前記弁軸が前記揺動軸と前記連結軸とを結ぶ直線の延長線上にある
請求項2に記載のレバーフロート式ドレントラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気配管系や圧縮空気配管系やガス配管系に発生するドレンをフロートを用いて自動的に排出するレバーフロート式ドレントラップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレバーフロート式ドレントラップは、例えば特許文献1に開示されている。これは、ケーシングで入口と出口を形成するとともに、前記入口と前記出口の間に弁室を形成し、前記弁室と前記出口とを連通する弁口を前記弁室の下部に形成し、前記弁室内に支持された揺動軸を中心として回動するレバーを設け、前記レバーの一端部側に弁室内の液位に応じて浮上降下するフロートを連結し、前記レバーの他端部側に支持されるとともに、前記揺動軸と平行な連結軸を設け、前記連結軸を介して前記レバーに連結されるとともに、前記弁口を開閉する弁体を設け、前記連結軸が前記揺動軸と前記フロートの重心を結ぶ直線上にあるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−242923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のレバーフロート式ドレントラップにおいては、ドレンの流入によってフロートが上昇するときにレバーの単位辺りの回動角度に対する弁体の開弁リフトの増加率が、弁体が開き始めるときに大きいため、急激なドレンの排出によって出口側でウォータハンマを生じることがあった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、ドレンの流入によってフロートが上昇するときにレバーの単位辺りの回動角度に対する弁体の開弁リフトの増加率を弁体が開き始めるときに小さくできるレバーフロート式ドレントラップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のレバーフロート式ドレントラップは、
ケーシングで入口と出口を形成するとともに、前記入口と前記出口の間に弁室を形成し、
前記弁室と前記出口とを連通する弁口を前記弁室の下部に形成し、
前記弁室内に支持された揺動軸を中心として回動するレバーを設け、
前記レバーの一端部側に弁室内の液位に応じて浮上降下するフロートを連結し、
前記レバーの他端部側に支持されるとともに、前記揺動軸と平行な連結軸を設け、
前記連結軸を介して前記レバーに連結されるとともに、前記弁口を開閉する弁体を設け、
前記弁体が前記弁口を閉止した時に前記連結軸が前記揺動軸を中心とする円であって前記揺動軸と前記連結軸との距離を半径とする円の最下点にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、弁体が弁口を閉止した時に連結軸が揺動軸を中心とする円であって揺動軸と連結軸との距離を半径とする円の最下点にあるので、ドレンの流入によってフロートが上昇するときにレバーの単位辺りの回動角度に対する弁体の開弁リフトの増加率を弁体が開き始めるときに小さくでき、ドレンの排出によって出口側でウォータハンマを生じ難くすることができるという優れた効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係わるレバーフロート式ドレントラップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、
図1を参照して説明する。本発明のレバーフロート式ドレントラップは、入口1と出口2を有する本体3に蓋体4をボルト5で締結して内部に弁室6を有するケーシングを構成する。弁室6と出口2を連通する第1弁口7及び第2弁口8を上下同一軸上に有する弁座部材9を弁室6の下部の本体3に図示しないねじにより取り付ける。入口1は弁室6の下部に開口し、出口2は第1弁口7及び第2弁口8を介して弁室6の下部に開口する。第1弁口7及び第2弁口8はそれぞれ鉛直方向に開口する。
【0010】
本体3の弁室6内に揺動軸10を支持し、揺動軸10にレバー11の右端部側を回動可能に連結する。レバー11の左端部側に弁室6内の液位に応じて浮上降下する中空球形のフロート12を連結する。レバー11の右端部側の揺動軸10の下方に揺動軸10と平行な連結軸13を支持し、連結軸13に連結部材14の上部を回動可能に連結する。連結部材14は手前側と向う側の平行に対向した2枚の板から構成する。連結部材14の下部は弁体15の弁棒16の上端部に支持された揺動軸10と平行な弁軸17に回動可能に連結する。弁体15は第1弁口7を上方の弁室6側から開閉する第1弁体18と、第2弁口8を上方の出口2側から開閉する第2弁体19と、第1弁体18と第2弁体19を連結する弁棒16とから構成する。弁体15が第1弁口7及び第2弁口8を閉止した時に、連結軸13は揺動軸10の真下、すなわち、連結軸13は揺動軸10を中心とする円であって揺動軸10と連結軸13との距離を半径とする円の最下点にある。また、弁体15が第1弁口7及び第2弁口8を閉止した時に、弁軸17は連結軸13の真下、すなわち、弁軸17は揺動軸10と連結軸13とを結ぶ直線の延長線上にある。そして、弁体15が第1弁口7及び第2弁口8を全開した時に、連結軸13は揺動軸10の概略45度左下方にあり、弁軸17は連結軸13の真下にある。これとは別に、弁体15が第1弁口7及び第2弁口8を閉止した時に、連結軸13は揺動軸10の真下にあり、弁軸17は連結軸13の斜め下方にあるようにしても良い。また、これらとは別に、連結部材14と弁体15とを一体に形成しても良い。
【0011】
弁室6内の液位が低い場合は、
図1に示すようにフロート12は降下し、第1弁体18及び第2弁体19が第1弁口7及び第2弁口8を閉止している。このとき、連結軸13は揺動軸10の真下、すなわち、連結軸13は揺動軸10を中心とする半径の最下点にあり、弁軸17は連結軸13の真下、すなわち、弁軸17は揺動軸10と連結軸13とを結ぶ直線の延長線上にある。入口1から流入するドレンによって弁室6内の液位が上昇すると、フロート12が上動してレバー11が揺動軸10を中心に時計回り方向に回動する。このレバー11の回動により、連結部材14を介して弁体15が上動して第1弁体18及び第2弁体19が第1弁口7及び第2弁口8を開く。これにより、弁室6のドレンを出口2から排出する。そして、弁体15が第1弁口7及び第2弁口8を全開した時に、連結軸13は揺動軸10の概略45度左下方にあり、弁軸17は連結軸13の真下にある。この弁体15が第1弁口7及び第2弁口8を閉止した状態から全開した状態まで移行する過程で、レバー11の単位辺りの回動角度に対する弁体15の開弁リフトの増加率は弁体15が第1弁口7及び第2弁口8を開き始めるときに小さくなり、弁体15による第1弁口7及び第2弁口8の開度が大きくなるにしたがって大きくなる。
【0012】
ドレンの排出により弁室6内の液位が低下すると、フロート12が下動してレバー11が揺動軸10を中心に反時計回り方向に回動する。このレバー11の回動により、連結部材14を介して弁体15が下動して第1弁体18及び第2弁体19が第1弁口7及び第2弁口8を閉止する。これにより、気体の漏出を防止する。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、蒸気配管系や圧縮空気配管系やガス配管系に発生するドレンをフロートを用いて自動的に排出するレバーフロート式ドレントラップに利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 入口
2 出口
3 本体
4 蓋体
6 弁室
7 第1弁口
8 第2弁口
9 弁座部材
10 揺動軸
11 レバー
12 フロート
13 連結軸
14 連結部材
15 弁体
16 弁棒
17 弁軸
18 第1弁体
19 第2弁体