(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の液体組成物は、下記(A)成分を含有し、該(A)成分の含有量が0.001〜10質量%であることを特徴とする。
【0012】
<(A)成分>
(A)成分は、下記一般式(a)で表される化合物からなる殺菌剤である。
(R
1)
2NR
2 …(a)
[式(a)中、2つのR
1はそれぞれ独立に炭素数6〜10のアルキル基であり、R
2は水素原子またはメチル基である。]
【0013】
前記一般式(a)中、R
1は炭素数6〜10のアルキル基である。炭素数が6〜10であることにより、優れた殺菌効果が発揮される。該アルキル基の炭素数は、より高い殺菌効果を示す点から、7〜9が好ましく、8が特に好ましい。
該アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、より高い殺菌効果を示す点から、直鎖状であることが好ましい。
R
1としては、炭素数6〜10の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数7〜9の直鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素数8の直鎖状のアルキル基が最も好ましい。
式(a)中の2つのR
1はそれぞれ同じでも異なってもよい。合成のしやすさから、2つのR
1は同じアルキル基であることが好ましい。
R
2は水素原子またはメチル基である。R
2としては、より高い殺菌効果を示す点から、水素原子が好ましい。
【0014】
(A)成分の具体例としては、例えばジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチ
ルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン
、ジヘキシルメチルアミン、ジヘプチルメチルアミン、ジオクチルメチルアミン、ジノニルメチルアミン、ジデカシルメチルアミン
等が挙げられる。これらの中でも、殺菌効果が優れる点で、ジオクチルアミン、ジオクチルメチルアミンが好ましく、ジオクチルアミンが最も好ましい。
(A)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられて
もよい。
【0015】
液体組成物中の(A)成分の含有量は、液体組成物の総質量に対し、0.001〜10質量%である。該含有量が0.001質量%未満であると、充分な殺菌効果が得られないおそれがある。該含有量が10質量%を超えると、液体組成物の液安定性が低下する傾向がある。また、該液体組成物をそのまま殺菌処理に用いたときに、使用場所でべたつきなどの不具合を生じやすくなる。また、液体組成物の水への溶解性が悪くなり、該液体組成物を水で希釈し、その希釈液を用いて殺菌処理を行う場合に、溶解に時間がかかる、ゲル化する等の不具合が生じるおそれがある。
【0016】
液体組成物中の(A)成分の含有量の好適な範囲は、液体組成物の使用方法等を勘案して決定できる。
例えば、該液体組成物が、殺菌処理の際、水で希釈せずにそのまま使用されるタイプ(ストレート型)の液体組成物である場合、液体組成物中の(A)成分の含有量は、液体組成物の総質量に対し、0.001〜3質量%が好ましく、0.01〜1質量%がさらに好ましい。
該液体組成物が、殺菌処理の際、水で希釈して使用されるタイプ(濃縮型)の液体組成物である場合、液体組成物中の(A)成分の含有量は、液体組成物の総質量に対し、0.1〜10質量%が好ましく、1〜3質量%がさらに好ましい。
【0017】
<(B)成分>
本発明の液体組成物は、下記(B)成分をさらに含有することが好ましい。(B)成分は、(A)成分による殺菌効果を増強する効果(以下、殺菌増強効果ともいう。)を奏する。(B)成分を含有することで、より優れた殺菌効果が発揮される。
(B)成分:下記一般式(b1)で表される化合物(以下、(B1)成分ともいう。)および下記一般式(b2)で表される化合物(以下、(B2)成分ともいう。)からなる群から選ばれる少なくとも1種のノニオン界面活性剤。
R
3−CO(OR
4)
n1OR
5 …(b1)
R
6−O(R
7O)
n2H …(b2)
[式(b1)中、R
3は炭素数7〜13の炭化水素基であり、R
4は炭素数2〜4のアルキレン基であり、n1は(OR
4)の平均繰り返し数を表す2〜50の数であり、R
5は炭素数1〜3のアルキル基である。
式(b2)中、R
6は炭素数8〜14の炭化水素基であり、R
7は炭素数2〜4のアルキレン基であり、n2は(R
7O)の平均繰り返し数を表す2〜50の数である。]
【0018】
≪(B1)成分≫
(B1)成分は、下記一般式(b1)で表される化合物、即ち特定の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートである。
R
3−CO(OR
4)
n1OR
5 …(b1)
[式(b1)中、R
3は炭素数7〜13の炭化水素基であり、R
4は炭素数2〜4のアルキレン基であり、n1は(OR
4)の平均繰り返し数を表す2〜50の数であり、R
5は炭素数1〜3のアルキル基である。]
【0019】
式(b1)中、R
3の炭化水素基は炭素数7〜13であり、7〜11が好ましく、9が特に好ましい。
R
3は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、構造中に環を含むものでもよい。
R
3は、不飽和結合を有していても有していなくてもよい。不飽和結合を有する場合、有する不飽和結合の数は1つでも2つ以上でもよい。不飽和結合を有する炭化水素基の例として、炭素−炭素二重結合を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基、ベンゼン環を有する炭化水素基(フェニル基等)等が挙げられる。
R
3としては、殺菌増強効果のさらなる向上を図る観点から、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基が好ましく、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基がより好ましい。
【0020】
R
4は、炭素数2〜4のアルキレン基である。即ち(OR
4)は、炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。
R
4は、殺菌増強効果のさらなる向上を図る観点から、炭素数2または3のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
n1は、(OR
4)の平均繰り返し数(即ち、アルキレンオキシドの平均付加モル数)を表し、その数は2〜50であり、2〜15が好ましく、2〜10がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、3〜4が最も好ましい。n1が50以下であると、殺菌増強効果が向上する。n1が2以上であると、水への溶解性が向上し、液安定性が良好になる。
(OR
4)
n1は、1種のオキシアルキレン基で構成されていてもよいし、2種以上のオキシアルキレン基で構成されていてもよい。
【0021】
R
5は、炭素数1〜3のアルキル基であり、殺菌効果のさらなる向上を図る観点から、炭素数1のアルキル基(即ちメチル基)が好ましい。
【0022】
(B1)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(B1)成分において、下記(1)式で表されるナロー率Wは、20質量%以上が好ましく、33質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が最も好ましい。ナロー率Wが20質量%未満になると、n1が50以上となるb1の生成比率が高くなる。そのため、(A)成分の殺菌効果を低減するおそれがある。
【0024】
ナロー率Wは、アルキレンオキシドの付加モル数が異なるアルキレンオキシド付加体の分布の割合を意味する。
式(1)中、n
maxは、アルキレンオキシド付加体((B1)成分)中に最も多く存在するアルキレンオキシド付加体のアルキレンオキシドの付加モル数を示す。iはアルキレンオキシドの付加モル数を示す。Yiは全体のアルキレンオキシド付加体中に存在する、アルキレンオキシドの付加モル数がiであるアルキレンオキシド付加体の割合(質量%)を示す。
【0025】
(B1)成分は、市販のものを用いてもよいし、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
(B1)成分は、例えば、公知の触媒を用いて、脂肪酸アルキルエステル(R
3−COOR
5)に炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加させることで、容易に製造される。
この際、用いられる触媒によって、n1の分布(アルキレンオキシドの付加モル数の分布、ナロー率W)は変動する。例えば、触媒として、一般的なアルカリ触媒である水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を用いた場合、n1は、比較的広い分布となる。また、例えば、特公平6−15038号公報に記載された複合金属酸化物(Al
3+、Ga
3+、In
3+、Tl
3+、Co
3+、Sc
3+、La
3+、Mn
3+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム)等を用いた場合には、n1は比較的狭い分布となる。
【0026】
≪(B2)成分≫
(B2)成分は、下記一般式(b2)で表される化合物、即ち特定のアルコールアルコキシレートである。
R
6−O(R
7O)
n2H …(b2)
[式(b2)中、R
6は炭素数8〜14の炭化水素基であり、R
7は炭素数2〜4のアルキレン基であり、n2は(R
7O)の平均繰り返し数を表す2〜50の数である。]
【0027】
式(b2)中、R
6の炭化水素基は炭素数8〜14であり、8〜12が好ましく、10が特に好ましい。
R
6は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、構造中に環を含むものでもよい。
R
6は、不飽和結合を有していても有していなくてもよい。不飽和結合を有する場合、有する不飽和結合の数は1つでも2つ以上でもよい。不飽和結合を有する炭化水素基の例として、炭素−炭素二重結合を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基、ベンゼン環を有する炭化水素基(フェニル基等)等が挙げられる。
R
6としては、殺菌増強効果のさらなる向上を図る観点から、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基が好ましく、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基がより好ましい。
【0028】
R
7は、炭素数2〜4のアルキレン基である。即ち(R
7O)は、炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。
R
7は、殺菌効果のさらなる向上を図る観点から、炭素数2または3のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
n2は、(R
7O)の平均繰り返し数(即ち、アルキレンオキシドの平均付加モル数)を表し、その数は2〜50であり、2〜15が好ましく、2〜10がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、3〜4が最も好ましい。n2が50以下であると、殺菌増強効果が向上する。n1が2以上であると、水への溶解性が向上し、液安定性が良好になる。
(R
7O)
n2は、1種のオキシアルキレン基で構成されていてもよいし、2種以上のオキシアルキレン基で構成されていてもよい。
【0029】
(B2)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(B2)成分は、市販のものを用いてもよいし、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
(B2)成分は、例えば、公知の触媒を用いて、アルコール(R
6OH)に炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加することにより製造される。
この際、用いられる触媒によって、n2の分布は変動する。例えば、触媒として、一般的なアルカリ触媒である水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を用いた場合、n2は、比較的広い分布となる。また、例えば、特公平6−15038号に記載された複合金属酸化物等を用いた場合には、n2は比較的狭い分布となる。
原料のアルコールとしては、ヤシ油、パーム油、牛脂等の天然油脂由来のアルコールや石油由来のアルコールが使用できる。
【0030】
(B2)成分の好ましい例としては、例えば、NIKKOL BD−3SY(日光ケミカルズ株式会社製)等、炭素数10の直鎖アルコールに対し3モル相当のエチレンオキシドを付加したもの;ノイゲンSD−30(第一工業製薬株式会社製)、ルテンゾールON−30(BASF社製)等、炭素数10の分岐鎖アルコールに対し3モル相当のエチレンオキシドを付加したもの;ノイゲンXL40(第一工業製薬株式会社製)、ルテンゾールXL−40(BASF社製)等、ゲルベ反応により生成した炭素数10の分岐鎖アルコールに4モル相当のエチレンオキシドを付加したもの等が挙げられる。
【0031】
(B)成分としては、(B1)成分のみを用いても、(B2)成分のみを用いても、それらを併用してもよい。
(B1)成分と(B2)成分とを併用する場合、それらの比率は、(B1)成分/(B2)成分で表される質量比として、99/1〜1/99が好ましく、99/1〜50/50がより好ましく、99/1〜70/30が更に好ましい。(B1)成分の比率が高いほど、(B)成分の含有量が多い場合に、液体組成物がゲル化する可能性が低くなる。
(B)成分としては、安定性とゲル化しにくい点から、(B2)成分よりも(B1)成分の方が好ましい。
【0032】
R
4またはR
7におけるアルキレン基の炭素数や付加モル数(n1、n2)が異なる複数の(B)成分を併用してもよい。
たとえば(B1)成分の場合、n1の値が小さいほど殺菌増強効果が優れ、n1の値が大きいほど液体組成物の安定性および洗浄力が良好となる傾向がある。そのため、n1の値が異なる複数の(B1)成分を併用する場合、その比率は、n1が小さい方の(B1)成分/n1が大きい方の(B1)成分の質量比として、10/0〜0/10とすること可能で、2/8〜8/2とするとそれらの効果が高まり、2/8〜7/3とするとより一層それらが高まり、3/7〜6/4とすると最も高まる。
n1が小さい方の(B1)成分のn1の値(以下「n1の小の値」)は、2〜10が好ましく、3〜7がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。R
3の炭素数が10以下の場合、n1の小の値は、3〜5が最も好ましい。R
3の炭素数が11〜13の場合、n1の小の値は5〜6が最も好ましい。
n1が大きい方の(B1)成分のn1の値(以下「n1の大の値」)は、11〜50が好ましく、11〜20がより好ましく、15が最も好ましい。
【0033】
液体組成物中の(B)成分の含有量は、特に限定されないが、液体組成物の総質量に対し、0.001〜70質量%が好ましい。
該含有量が0.001質量%未満であると、(B)成分による殺菌増強効果が充分に得られないおそれがある。該含有量が70質量%を超えると、ゲル化しやすくなる等、液体組成物の液安定性が低下する傾向がある。また、該液体組成物をそのまま殺菌処理に用いたときに、使用場所に残留して乾燥が困難となるおそれがある。
【0034】
液体組成物中の(B)成分の含有量の好適な範囲は、液体組成物の使用方法等を勘案して決定できる。
例えば、該液体組成物が、殺菌処理の際、水で希釈せずにそのまま使用されるタイプ(ストレート型)の液体組成物である場合、液体組成物中の(B)成分の含有量は、液体組成物の総質量に対し、0.001〜5質量%が好ましく、0.001〜3質量%がさらに好ましい。
該液体組成物が、殺菌処理の際、水で希釈して使用されるタイプ(濃縮型)の液体組成物である場合、液体組成物中の(B)成分の含有量は、液体組成物の総質量に対し、1〜70質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、10〜55質量%が更に好ましく、20〜50質量%が最も好ましい。
【0035】
液体組成物中、(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下「(A)/(B)比」ともいう。)は、好ましくは0.001/10〜10/0の範囲内とされる。(B)成分の比率が少ないほど殺菌増強効果は弱まり、(B)成分の比率が高すぎると殺菌増強効果が飽和する。
(A)/(B)比は、0.01/10〜10/10がより好ましく、0.1/10〜10/10がさらに好ましく、0.2/10〜2/10が最も好ましい。
【0036】
<(C)成分>
本発明の液体組成物は、必要に応じて、例えば本発明の液体組成物を液体洗浄剤として用いる場合に、下記(C)成分をさらに含有してもよい。
(C)成分:アニオン界面活性剤。
(C)成分を含有することにより、当該液体組成物を用いて衣類等の繊維製品の洗濯を行ったときに、再汚染防止効果が発揮される。また、従来の4級アンモニウム塩型の殺菌剤の場合、(C)成分の併存下で殺菌効果が大きく減弱するが、本発明における(A)成分による殺菌効果は、(C)成分の併存下で減弱しにくい。そのため、本発明の液体組成物においては、(C)成分を含有する場合でも、少量の(A)成分で充分な殺菌効果が発揮される。したがって、(C)成分を含有する態様は、本発明の有用性が高い。
【0037】
(C)成分としては、特に限定されず、公知のアニオン界面活性剤のいずれを用いてもよい。
好ましい(C)成分として、例えば、SO
3基又はSO
4基を有するアニオン界面活性剤(以下、(C1)成分ともいう。)が挙げられる。(C1)成分を含有することで、当該液体組成物を用いて衣類等の繊維製品の洗濯を行ったときに、優れた再汚染防止効果が得られる。
【0038】
(C1)成分としては、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩;α−オレフィンスルホン酸塩;直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩;アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩;アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩;α−スルホ脂肪酸エステル塩等が挙げられる。これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8〜16のものが好ましく、炭素数10〜14のものが特に好ましい。
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩としては、直鎖又は分岐鎖アルキル基の炭素数が10〜20のものが好ましい。
アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有し、平均1〜10モルのエチレンオキシドを付加したもの(即ち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又はポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩)が好ましい。
アルカンスルホン酸塩の炭素数は、10〜20が好ましく、14〜17がより好ましい。中でも、二級アルカンスルホン酸塩が特に好ましい。
α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
これらのアニオン界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、及びα−オレフィンスルホン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
これらのアニオン界面活性剤は、市場において入手したものであってもよいし、公知の方法により合成したものであってもよい。
【0039】
(C)成分は、(C1)成分以外のアニオン界面活性剤(以下、(C2)成分ともいう。)であってもよい。また、(C2)成分と(C1)成分とを併用してもよい。
(C2)成分としては、ヤシ油脂肪酸等の高級脂肪酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキル(又はアルケニル)アミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤等が挙げられる。
【0040】
(C)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
液体組成物に(C)成分を含有させる場合、その含有量は、液体組成物の総質量に対し、1〜9質量%とすることが好ましい。(C)成分の含有量が1質量%未満であると、(C)成分による再汚染防止効果が充分に得られないおそれがある。該含有量が9質量%を超えると、(A)成分との沈殿のおそれがある。
(A)成分/(C)成分で表される質量比は、10/0〜1/9が好ましく、10/0〜5/5が更に好ましい。(C)成分の比率が高いと、殺菌効果が低下するおそれがある。
【0041】
<他の任意成分>
本発明の液体組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)〜(C)成分以外の他の成分をさらに含有してもよい。
該他の成分としては、液体組成物の用途等を考慮して適宜設定できる。例えば液体組成物を液体洗浄剤として用いる場合は、該他の成分として、(A)〜(C)成分以外の界面活性剤(以下「他の任意界面活性剤」ともいう。)、可溶化剤(又は減粘剤)、金属イオン捕捉剤、酸化防止剤、防腐剤、洗浄性ビルダー、風合い向上剤、pH調整剤、移染防止剤、再汚染防止剤、パール剤、ソイルリリース剤、着香剤、着色剤、乳濁化剤、蛍光剤、酵素、エキス等を含有させることができる。
【0042】
他の任意界面活性剤としては、両性界面活性剤、(B)成分以外のノニオン界面活性剤(任意ノニオン界面活性剤)、(A)成分以外のカチオン界面活性剤(任意カチオン界面活性剤)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型、リン酸型両性界面活性剤等が挙げられる。これらの両性界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
任意ノニオン界面活性剤としては、(B)成分を除くものであれば特に限定されず、公知の各種ノニオン界面活性剤を用いることができる。任意ノニオン界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
任意カチオン界面活性剤としては、(A)成分を除くものであれば特に限定されず、公知の各種カチオン界面活性剤を用いることができる。任意カチオン界面活性剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0043】
液体組成物中の他の任意界面活性剤の含有量は、種類等を勘案して決定される。
例えば、前述の(C)成分と他の任意界面活性剤との合計量(つまり(A)〜(B)成分以外の界面活性剤の含有量)が、液体組成物の総質量に対して0.1〜15質量%になる量とされる。
加えて、(C)成分と他の任意界面活性剤との合計量は、(A)〜(B)成分の合計100質量部に対し、0.2〜30質量部であることが好ましい。上記下限値未満では、(C)成分や他の任意界面活性剤を配合した効果を得られにくく、上記上限値超では、液安定性が低下するおそれがある。
【0044】
可溶化剤又は減粘剤としては、従来公知のものが用いられ、例えば、パラトルエンスルホン酸、安息香酸塩、クメンスルホン酸塩、尿素等が挙げられる。
液体組成物中の可溶化剤又は減粘剤の含有量は、例えば、0.01〜15質量%が好ましい。
【0045】
金属イオン捕捉剤としては、従来公知のものが用いられ、例えば、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。
液体組成物中の金属イオン捕捉剤の含有量は、例えば、0.1〜20質量%とされる。
【0046】
酸化防止剤としては、従来公知のものが用いられ、例えば、ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。
液体組成物中の酸化防止剤の含有量は、例えば、0.01〜2質量%とされる。
【0047】
防腐剤としては、従来公知のものが用いられ、例えば、ケーソンCG(商品名、ローム・アンド・ハ−ス社製)等が挙げられる。
液体組成物中の防腐剤の含有量は、例えば、0.001〜1質量%とされる。
【0048】
洗浄性ビルダーとしては、従来公知のものが用いられ、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミン、N,N−ジメチルモノエタノールアミン等のアルカノールアミン等のアルカリビルダーが挙げられる。
【0049】
風合い向上剤としては、従来公知のものが用いられ、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のFZ−3707、FZ−3504、BY16−205、FZ−3760、FZ−3705、BY16−209、FZ−3710、SF8417、BY16−849、BY16−850、BY16−879B、BY16−892、FZ3501、FZ−3785、BY16−872、BY16−213、BY16−203、BY16−898、BY16−890、BY16−878、BY16−891、BY16−893、FZ−3789、BY16−880、SF8428、FZ−3704、BY16−606、CF1188HV、SH3748、SH3794、SH3772M、SH3775M、SF8410、SH8700、BY22−008、BY22−012、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZF1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−22−22;信越化学工業株式会社製のX−20−8010B、KF352A、KF6008、KF615A、KF6012、KF6016、KF6017;GE東芝シリコーン株式会社製のTSF4450、TSF4452、TSF4445(以上、商品名)等の変性シリコーン等が挙げられる。
液体組成物中の風合い向上剤の含有量は、例えば、0.1〜3質量%とされる。
【0050】
pH調整剤としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;多価カルボン酸類、ヒドロキシカルボン酸類等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基;アルカノールアミン、アンモニア等の有機塩基が挙げられる。中でも、液体組成物の経時安定性の面から、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミンが好ましく、硫酸、水酸化ナトリウムが好ましい。
pH調整剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。例えば、任意の量の硫酸、水酸化ナトリウム等を添加することにより制御した場合、さらに、pHの微調整用として無機酸(好ましくは塩酸、硫酸)又は水酸化カリウム等をさらに添加してもよい。
【0051】
再汚染防止剤としては、従来公知のものが用いられ、例えば、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの基剤を添加することで、より優れた再汚染防止効果を発揮する。
【0052】
着香剤としては、従来公知のものが用いられ、例えば、特開2002−146399号公報や特開2009−108248号公報に記載の香料組成物等が挙げられる。
液体組成物中の着香剤の含有量は、例えば、0.1〜2質量%とされる。
【0053】
着色剤としては、従来公知のものが用いられ、例えば、アシッドレッド138、Polar Red RLS、アシッドイエロー203、アシッドブルー9、青色1号、青色205号、緑色3号、黄色203号ターコイズP−GR(いずれも商品名)等の汎用の色素や顔料が挙げられる。
液体組成物中の着色剤の含有量は、例えば、0.00005〜0.005質量%とされる。
【0054】
乳濁剤としては、従来公知のものが用いられ、例えば、ポリスチレンエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルション等が挙げられ、固形分30〜50質量%のエマルションが好適に用いられる。好ましい乳濁剤としては、ポリスチレンエマルション(サイビノールRPX−196 PE−3(商品名)、固形分40質量%、サイデン化学株式会社製)等が挙げられる。
液体組成物中の乳濁剤の含有量は、例えば、0.01〜0.5質量%とされる。
【0055】
蛍光剤としては、従来公知のものが用いられ、例えば、ジスチリルビフェニル型の蛍光剤が挙げられる。
液体組成物中の蛍光剤の含有量は、例えば、0〜1質量%とされる。
【0056】
酵素としては、従来公知のものが用いられ、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ等が挙げられる。
液体組成物中の酵素の含有量は、例えば、0〜1質量%とされる。
酵素を用いる場合、該酵素を安定化する点から、ホウ酸、硼砂、蟻酸やその塩、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等のカルシウム塩類等の酵素安定化剤を用いてもよい。
液体組成物中の酵素安定化剤の含有量は、例えば、0〜3質量%とされる。
【0057】
エキスとしては、天然物由来のものが挙げられ、例えば、イヌエンジュ、ウワウルシ、エキナセア、コガネバナ、キハダ、オウレン、オールスパイス、オレガノ、エンジュ、カミツレ、スイカズラ、クララ、ケイガイ、ケイ、ゲッケイジュ、ホオノキ、ゴボウ、コンフリー、ジャショウ、ワレモコウ、シャクヤク、ショウガ、セイタカアワダチソウ、セイヨウニワトコ、セージ、ヤドリギ、ホソバオケラ、タイム、ハナスゲ、チョウジ、ウンシュウミカン、ティーツリー、バーベリー、ドクダミ、ナンテン、ニュウコウ、ヨロイグサ、シロガヤ、ボウフウ、オランダヒユ、ホップ、ホンシタン、マウンテングレープ、ムラサキタガヤサン、セイヨウヤマハッカ、ヒオウギ、ヤマジソ、ユーカリ、ラベンダー、ローズ、ローズマリー、バラン、スギ、ギレアドバルサムノキ、ハクセン、ホウキギ、ミチヤナギ、ジンギョウ、フウ、ツリガネニンジン、ヤマビシ、ヤブガラシ、カンゾウ、セイヨウオトギリソウ等の植物エキスが挙げられる。
液体組成物中のエキスの含有量は、例えば、0〜0.5質量%とされる。
【0058】
<液体媒体>
本発明の液体組成物には、通常、上記の各成分を溶解または分散させるための液体媒体が含まれる。
液体媒体としては、例えば、水、水とアルコールとの混合物、多価アルコール類、ピロリドン系溶媒 等が挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0059】
<物性>
液体組成物のpHは、1〜10の範囲内が好ましく、4〜9がより好ましく、5〜9が特に好ましい。pHが該範囲内であると優れた殺菌効果が安定に発揮される。pHが10を超えると、殺菌効果が期待できない。
液体組成物のpHは、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社)を用いて25℃で測定される値である。
【0060】
液体組成物の粘度は、特に限定されないが、例えば、50〜200mPa・sが好ましい。粘度が上記範囲内であれば、液体組成物を計量する際の取り扱いが良好である。
なお、液体組成物の粘度は、B型粘度計(TOKIMEC社製)により25℃で測定される値(測定条件:ロータNo.2、回転数30rpm、10回転後の粘度)である。
【0061】
<製造方法>
本発明の液体組成物は、剤形に応じて、従来公知の製造方法を利用して製造できる。
液体組成物の製造方法としては、例えば、(A)成分と、(B)成分と、必要に応じて任意成分とを、水等の液体媒体と混合する方法が挙げられる。
【0062】
<使用方法>
本発明の液体組成物は、被処理物に対する殺菌処理に用いられる。
本発明の液体組成物を含む処理液を被処理物に接触させることで、殺菌効果が得られる。
被処理物としては、特に限定されず、従来、殺菌剤を含む液体製品による処理対象となっている任意の被処理物であってよい。被処理物の具体例としては、例えば、衣料、布巾、シーツ、カーテン、絨毯等の繊維製品、陶磁器、ガラス、金属、プラスチック等の硬質表面等が挙げられる。これらの中でも、繊維製品が好ましく、衣料が特に好ましい。
【0063】
前記処理液としては、本発明の液体組成物をそのまま使用してもよく、本発明の液体組成物を水等で希釈した希釈液を使用してもよい。
処理液中の液体組成物の含有量は、例えば、処理液中の(A)成分の含有量が0.1〜10000質量ppmとなる量が好ましく、1〜1000質量ppmとなる量がより好ましく、1〜100質量ppmとなる量が更に好ましい。上記範囲内であれば、充分な殺菌効果を期待できる。
【0064】
処理液のpHは、4〜9の範囲内が好ましく、5〜9が特に好ましい。pHが該範囲内であると優れた殺菌効果が発揮され、その殺菌効果は、アニオン界面活性剤を併用した場合でも減弱しにくい。pHが10を超えると、殺菌効果が期待できない。
処理液のpHは、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社)を用いて25℃で測定される値である。
なお、処理液が希釈液である場合、液体組成物自体のpHは上記の範囲外であってもよい。
【0065】
pHが4〜9であることにより優れた殺菌効果が安定に発揮され殺菌効果が向上する理由は明らかではないが、以下のように推測される。
ジオクチルアミン等の(A)成分はpH10よりも高いpHで殺菌効果が大きく減弱することから、(A)成分のpKaは10付近と考えられる。つまり、pHが高くなるほど、(A)成分は正の荷電を失う。pHが10を超える場合、(A)成分は、正の荷電を完全に失い、負の荷電を示す菌体に吸着しにくくなり、殺菌効果が消失するものと考えられる。
pHが高くなり、(A)成分が正の荷電を失うにつれて、液体組成物中で負に荷電している(C)成分への結合も大きく抑制されると考えられる。すなわち、pKaよりもわずかに低いpHでは、(A)成分が(C)成分に結合しにくい状態にあると考えられる。そのため、(A)成分が(C)成分に結合することによる、殺菌効果の減弱が抑制されると考えられる。
なお、塩化ベンザルコニウム等の4級アンモニウム塩型の殺菌剤の等電点pKaは14付近と考えられる。
【0066】
本発明の液体組成物の使用方法(殺菌処理方法)は、特に限定されず、被処理物に応じて、殺菌剤を含む液体製品による被処理物の処理に用いられている一般的な方法を採用することができる。
例えば被処理物が繊維製品である場合、本発明の液体組成物の使用方法は、一般的な液体洗浄剤の使用方法と同様であってよい。例えば、液体組成物を被処理物と共に水に入れ、洗濯機で洗浄する方法、液体組成物を被処理物に直接塗布する方法、液体組成物を水に溶解して希釈液とし、該希釈液に被処理物を浸漬する方法等が挙げられる。また、液体組成物を被処理物に塗布し、適宜放置した後、洗濯機等を用いて洗浄してもよい。
処理温度は0〜121℃が好ましく、10〜100℃がより好ましい。0℃未満の場合は効果を発揮しにくく、121℃を超える場合、本発明の液体組成物による処理を行わなくても、加熱によって滅菌される。
処理時間は30秒以上が好ましく、1分間〜24時間がより好ましい。30秒未満であると反応性が乏しくて効果を発揮しにくく、24時間を超えて処理しても効果が一定化してそれ以上の持続の価値が乏しい。
【0067】
本発明の液体組成物は、殺菌効果に優れ、その効果は、(C)成分の併存下でも安定に発揮される。
また、本発明の液体組成物において殺菌効果を奏する有効成分である(A)成分は、構造中の窒素原子数が1のモノアミンであることから、合成や入手が容易である。また、液体組成物とする時や液体組成物とした後に、空気と接触しても沈殿物が生成しにくい。そのため、本発明の液体組成物は、製造性、液安定性等も良好である。
【0068】
さらに、本発明の液体組成物が(B)成分を含有する場合、(A)成分による殺菌効果が増強され、より優れた殺菌効果が発揮される。
(B)成分がこのような殺菌増強効果を奏する理由は明らかではないが、以下のように推測される。
一般に、処理液中にノニオン界面活性剤とカチオン性の殺菌剤とが存在すると、殺菌剤は、ノニオン界面活性剤の浸透力によって細菌への浸透性が高まる一方、処理液中でノニオン界面活性剤のミセル中に取り込まれて、殺菌対象となる微生物に接触しにくくなる。この増強と減少の相反する2点の特性がノニオン界面活性剤に存在すると考えられる。
本発明においては、ノニオン界面活性剤として、アルキル炭素鎖長がC8〜14、特にC10の(B)成分を用いることで、(A)成分の微生物への浸透性が最も高められると考えられる。
また、ノニオン界面活性剤として、オキシアルキレン基の数が少ない(即ち、親水部分が小さい)(B)成分を用いることで、ノニオン界面活性剤のミセルの形状が不安定となり、(A)成分の荷電部分がミセル表面に現れやすくなる。このため、(A)成分が微生物等に接触しやすくなると考えられる。
これらが相乗的に作用することで、殺菌増強効果が発揮されると考えられる。
【0069】
本発明は、種々の液体製剤に適用できる。本発明の液体組成物が適用される液体製剤としては、例えば、衣料等の繊維製品用洗浄剤、繊維製品用柔軟剤、繊維製品用漂白剤、繊維製品用仕上げ剤等の繊維製品用処理剤、キッチン周りのステンレスやホーロー等のための洗浄剤、食器洗い洗剤、野菜洗浄剤、食洗機用洗浄剤、台所クレンザー、台所用消毒剤、その他の台所用洗浄剤、生ごみ消毒剤、洗浄器具用殺菌処理剤、洗濯機用洗浄剤、エアコン・空気清浄機用洗浄剤、フィルターの殺菌付与剤、配管洗浄剤、住居用洗浄剤、窓ガラス用洗浄剤、便器や便座等のためのトイレ用洗浄剤、浴室用洗浄剤、カーペットやフローリングなどのための床洗浄剤、ソファや机等のための家具用洗浄剤、家具用つや出し剤、床用つや出し剤、カビ取り剤、配管洗浄剤、その他の硬表面殺菌処理剤、義歯洗浄剤、洗口剤、歯磨き剤、プール用殺菌処理剤、燃料タンク用殺菌処理剤、手指消毒剤、身体消毒剤、家畜の消毒剤、ペットボトルや瓶やキャップなどのための飲料容器用洗浄剤、飲料供給装置等の消毒、食品加工設備、食品包装容器の消毒、内視鏡、透析装置などの医療器具用、眼科用、コンタクトレンズ用などの消毒剤、テッシュやウェットテッシュなどの薄葉紙の消毒、排水処理用剤、魚介藻類収穫用機器用剤、モップ、マット等の清掃物用剤、農作物の消毒剤、配線や基板などの電子機器の抗菌処理剤等が挙げられる。
本発明の液体組成物は、特に、繊維製品用洗浄剤に適している。
【実施例】
【0070】
本発明について、実施例を示してさらに具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の各例で使用した原料を以下に示す。
【0071】
(使用原料)
<(A)成分>
・ジオクチルアミン:東京化成社製。
・ジヘキシルアミン:東京化成社製。
・ジデシルアミン:東京化成社製。
・ジオクチルメチルアミン:東京化成社製。
【0072】
<(A’)成分((A)成分の比較対照品)>
・塩化ベンザルコニウム:アーカードCB(商品名)、ライオンアクゾ株式会社製。
・トリアミンY12D:商品名、ライオンアクゾ株式会社製。N,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデシルアミン(CH
3(CH
2)
11−N[(CH
2)
3NH
2)]
2)。
・デュオミンCD:商品名、ライオンアクゾ株式会社製。N−ヤシアルキル−1,3−ジアミノプロパン(R
11−NHCH
2CH
2CH
2NH
2で表され、式中のR
11がヤシ油由来の炭化水素基(炭素数12)のもの)。
【0073】
<(B)成分>
≪(b1)成分≫
MEE(C10EO4):前記式(b1)中、R
3が炭素数9の直鎖アルキル基、R
4が炭素数2のアルキレン基、R
5が炭素数1のアルキル基、n1が4の脂肪酸メチルエステルアルコキシレート(C
9H
19CO(OCH
2CH
2)
n1OCH
3、n1=平均4)。ナロー率W=95質量%。下記調製例1で得られたもの。
【0074】
MEE(C124EO15−33):前記前記式(b1)中、R
3が炭素数11の直鎖アルキル基、R
4が炭素数2のアルキレン基、R
5が炭素数1のアルキル基、n1が15の脂肪酸メチルエステルアルコキシレート(C
11H
23CO(OCH
2CH
2)
n1OCH
3、n1=平均15)の8質量部と、前記前記式(b1)中、R
3が炭素数13の直鎖アルキル基、R
4が炭素数2のアルキレン基、R
5が炭素数1のアルキル基、n1が15の脂肪酸メチルエステルアルコキシレート(C
13H
27CO(OCH
2CH
2)
n1OCH
3、n1=平均15)の2質量部との混合物。ナロー率W=33質量%。下記調製例2で得られたもの。
【0075】
MEE(C12EO15−33):前記前記式(b1)中、R
3が炭素数11の直鎖アルキル基、R
4が炭素数2のアルキレン基、R
5が炭素数1のアルキル基、n1が15の脂肪酸メチルエステルアルコキシレート(C
11H
23CO(OCH
2CH
2)
n1OCH
3、n1=平均15)。ナロー率W=33質量%。下記調製例3で得られたもの。
【0076】
MEE(C124EO15−45):前記前記式(b1)中、R
3が炭素数11の直鎖アルキル基、R
4が炭素数2のアルキレン基、R
5が炭素数1のアルキル基、n1が15の脂肪酸メチルエステルアルコキシレート(C
11H
23CO(OCH
2CH
2)
n1OCH
3、n1=平均15)の8質量部と、前記前記式(b1)中、R
3が炭素数13の直鎖アルキル基、R
4が炭素数2のアルキレン基、R
5が炭素数1のアルキル基、n1が15の脂肪酸メチルエステルアルコキシレート(C
13H
27CO(OCH
2CH
2)
n1OCH
3、n1=平均15)の2質量部との混合物。ナロー率W=45質量%。下記調製例4で得られたもの。
【0077】
MEE(C124EO15−60):前記前記式(b1)中、R
3が炭素数11の直鎖アルキル基、R
4が炭素数2のアルキレン基、R
5が炭素数1のアルキル基、n1が15の脂肪酸メチルエステルアルコキシレート(C
11H
23CO(OCH
2CH
2)
n1OCH
3、n1=平均15)の8質量部と、前記前記式(b1)中、R
3が炭素数13の直鎖アルキル基、R
4が炭素数2のアルキレン基、R
5が炭素数1のアルキル基、n1が15の脂肪酸メチルエステルアルコキシレート(C
13H
27CO(OCH
2CH
2)
n1OCH
3、n1=平均15)の2質量部との混合物。ナロー率W=60質量%。下記調製例5で得られたもの。
【0078】
[調製例1:MEE(C10EO4)の調製]
1L容量の四つ口フラスコに還流管を取り付けて反応容器とし、この反応容器の先に凝縮管を取り付けて反応容器とし、この反応容器にマグネット式攪拌機を取り付けて反応装置とした。反応容器内にカプリン酸(東京化成社、純度98%)226gおよびテトラエチレングリコールモノメチルエーテル(東京化成社)274gを入れ、70℃まで昇温させた後、パラトルエンスルホン酸・一水塩(PTS酸、協和発酵ケミカル社)2.5gおよびジブチルヒオドロキシトルエン(BHT、製品名K−NOX、Degussa社)0.25gを反応容器に添加し、反応容器内を窒素ガスで置換した。還流管に80℃の水を通流させると共に、反応容器内を26660Paとした。さらに150℃まで1時間かけて昇温させた後、同温度で1時間加熱した。反応容器内を2時間かけて1330Paまで減圧した。その後、反応温度と1330Paの気圧を保ち、エステル化反応を行なった。反応温度に達してから7時間経過した時点で、反応容器内の反応物を60℃まで冷却した。冷却した反応物90gを取り出し、水5gを加えて1N水酸化ナトリウム水溶液(滴定用試薬)を滴下してpH8.0(50℃)に調整した。PTS酸を中和し、エステル化反応を停止させた(反応停止工程)。さらに全量が100gとなるように水を加え、ナロー率95質量%のMEE(C10EO4)の水溶液を得た。
【0079】
[調製例2:MEE(C124EO15−33)の調製]
特開2002−144179号公報に記載の方法に準じて、MEE(C124EO15−33)を調製した。
キョーワード300(商品名、協和化学工業株式会社製)を600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して得られた焼成水酸化アルミナ・マグネシウム触媒(未改質)2.2gと、表面改質剤として0.5N水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280gとミリスチン酸メチルエステル70gとの混合物とを4L容量オートクレーブに仕込み、該オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後に昇温し、温度180℃、圧力3×10
5Paに維持しつつ、エチレンオキシド1052g(ラウリン酸メチルエステルとミリスチン酸メチルエステルとの混合物1モルに対し15モル相当)を導入して攪拌しながら反応させた。次いで、反応液を80℃まで冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土及び珪藻土をそれぞれ5g添加した後、触媒をろ別除去して、ナロー率33質量%のMEE(C124EO15−33)を得た。
【0080】
[調製例3:MEE(C12EO15−33)の調製]
ラウリン酸メチルエステル280gとミリスチン酸メチルエステル70gとの混合物に換えて、ラウリン酸メチルエステル342gを用いた以外は、調製例2と同様にして、ナロー率33質量%のMEE(C12EO15−33)を得た。
【0081】
[調製例4:MEE(C124EO15−45)の調製]
0.5N水酸化カリウムエタノール溶液の配合量を、ナロー率が45質量%となるようにした以外は、調製例2と同様にして、ナロー率45質量%のMEE(C124EO15−45)を得た。
【0082】
[調製例5:MEE(C124EO15−60)の調製]
0.5N水酸化カリウムエタノール溶液の配合量を、ナロー率が60質量%となるようにした以外は、調製例2と同様にして、ナロー率60質量%のMEE(C124EO15−60)を得た。
【0083】
≪(b2)成分≫
AE(C10BEO4):ノイゲンSD−30(商品名、第一工業製薬株式会社製)。炭素数10の分岐鎖アルコールに対し3モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。
AE(C124EO12):ソフタノール120(商品名、日本触媒株式会社製、炭素数12〜14の第2級アルコール)に12モル相当のエチレンオキシドを付加したアルコールアルコキシレート。
【0084】
<(C)成分>
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS):ライポンLH−200(商品名)、アルキル基の炭素数10〜14、平均分子量322、ライオン株式会社製。
ヤシ油脂肪酸ナトリウム:ライオン株式会社製。
【0085】
<pH調整剤>
0.1N塩酸:試薬、関東化学株式会社製。
0.1N水酸化ナトリウム:試薬、関東化学株式会社製。
【0086】
<共通成分>
各成分の末尾に記載の質量%は、液体組成物中の含有量を示す。
パラトルエンスルホン酸ナトリウム(PTS)(試薬、関東化学株式会社製):0.5質量%。
クエン酸(試薬、関東化学株式会社製):1質量%。
ポリエチレングリコール#1000(試薬、関東化学株式会社製):1質量%。
モノエタノールアミン(試薬、関東化学株式会社製):1質量%。
サビナーゼ16L(プロテアーゼ、ノボザイムズ社製):0.3質量%。
エタノール(試薬、関東化学株式会社製):10質量%。
色素(青色205号):0.0001質量%。
香料(特開2009−108248号公報に記載の香料a):0.5質量%。
水(イオン交換水):バランス(液体組成物の全量が100質量%となる量)。
【0087】
(実施例1〜16、比較例1〜4)
表1〜2の組成に従い、500mLビーカーにエタノール、(A)成分(又は(A’)成分)、(B)成分及び(C)成分を入れ、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)で攪拌した。次いで、エタノール以外の共通成分を加えて攪拌
しながら、全体量が98質量部になるように水を入れ、さらによく攪拌した。25℃での
pHが表1〜2に示す値になるようにpH調整剤(0.1N塩酸又は0.1N水酸化ナト
リウム)を適量添加した後、全体量が100質量部になるように水を加えて、各例の液体
組成物を得た。
なお、表中の配合量(質量%)は、純分を表す。0.1N塩酸又は0.1N水酸化ナト
リウム(pH調整剤)の「適量」は、pHが所定の値になる量である。pH調整に用いた
pH調整剤の総量は、0〜2質量%であった。滅菌水または共通成分の「残部」は、液体
組成物の全量が100質量%となる量である。
なお、実施例1、2、4〜6は、参考例である。
【0088】
得られた液体組成物について、以下の手順で殺菌効果を評価し、その結果を表1〜2に示す。
殺菌効果の評価において、実施例1〜6及び比較例1は、得られた液体組成物をそのまま試料として評価を行った。実施例7〜16及び比較例2〜4は、得られた液体組成物の10mLを滅菌水30Lで希釈し、得られた希釈液(液体組成物濃度333ppm)を試料として評価を行った。
【0089】
<殺菌効果の評価方法>
大腸菌(Escherichia coli、NBRC3972、製品評価技術基盤機構(NBRC)より入手)を、ニュートリエントイ寒天培地(ディフコ社)の平板培地に植菌し、37℃で24時間培養する操作を2回繰り返した。平板上に生育した菌株を白金耳で回収して滅菌水に懸濁し、濁度(波長600nmにおける光学密度(OD))が10となるように滅菌水で希釈して菌液とした。
各例の試料(液体組成物または希釈液)10mLに、前記の菌液0.01mLを添加して試験液とした。この試験液を25℃にて、1分、2.5分、5分、10分、15分、20分、40分、60分放置して、殺菌処理をした。各時間放置した試験液の0.3mLをSCDLP培地(ダイゴ社)2.7mLに添加して殺菌処理を停止し、その1mLを、45℃、25mLのニュートリエント寒天培地(ディフコ社)と混合し、これを37℃、48時間、混釈培養した。生育したコロニーの有無を観察し、コロニーを検出しない最小の放置時間(殺菌時間)を求めた。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
液体組成物をそのまま用いて評価を行った実施例1〜6と比較例1とを対比すると、表1に示すように、実施例1〜6の試料を用いた場合の殺菌時間はいずれも15分以下であり、比較例1より短時間の殺菌処理で殺菌効果が発揮された。特に(A)成分としてジオクチルアミンを用いた実施例1〜3の結果が良好で、中でも(B)成分を併用した実施例3の結果が良好であった。
【0093】
液体組成物を希釈して評価を行った実施例7〜16と、比較例2〜4とを対比すると、表2に示すように、実施例7〜16の試料を用いた場合の殺菌時間はいずれも2.5分以下であり、比較例2〜4より短時間の殺菌処理で殺菌効果が発揮された。
【0094】
また、比較例4と、前述の比較例1とを対比すると、評価に用いた試料中の塩化ベンザルコニウムの濃度は同じであるが、比較例1の殺菌時間が20分であったのに対し、LAS等の(C)成分を含有する比較例4の殺菌時間は40分であり、比較例1よりも殺菌効果が劣っていた。
これに対し、塩化ベンザルコニウムの代わりにジオクチルアミンを用いた以外は比較例4と同じ組成の実施例13の殺菌効果は、比較例4よりも大幅に高かった。また、評価に用いた試料中のジオクチルアミン濃度が同じ実施例3の殺菌効果との差が小さく、(C)成分による殺菌効果の減弱が抑制されていた。