(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6086918
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】ホースクランプ
(51)【国際特許分類】
F16L 33/08 20060101AFI20170220BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
F16L33/08
F16B2/08 J
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-532026(P2014-532026)
(86)(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公表番号】特表2014-531564(P2014-531564A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】US2012056672
(87)【国際公開番号】WO2013044103
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年6月24日
(31)【優先権主張番号】61/538,233
(32)【優先日】2011年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503469175
【氏名又は名称】ノーマ・ユー・エス・ホールディング・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】NORMA U. S. HOLDING LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワイヤット,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】イグナチャク,ブライアン・ティ
【審査官】
藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−048086(JP,U)
【文献】
実開平02−107898(JP,U)
【文献】
特表平09−502788(JP,A)
【文献】
特表昭61−500804(JP,A)
【文献】
米国特許第05315737(US,A)
【文献】
実開平03−023286(JP,U)
【文献】
特開2000−240873(JP,A)
【文献】
米国特許第04819307(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/00
F16L 33/08
F16B 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホースクランプであって、
第1の周方向端部と、第2の周方向端部と、前記第1および第2の周方向端部間に位置する複数のスロットとを有するバンドを備え、前記バンドは、第1の軸方向端部と、第2の軸方向端部とを有し、前記第1および第2の軸方向端部間の軸方向断面の輪郭が概ね弓形の形状であり、前記バンドはさらに、前記概ね弓形の形状によって前記バンドの下側に定められたポケットを有し、
前記バンドに接続され、前記ホースクランプの締付動作中前記バンドを径方向に収縮させるよう機能するウォーム駆動機構を備え、前記ウォーム駆動機構は、少なくとも一部がねじ切りされたシャンクを有するねじを含み、前記ねじを回転させると前記ねじが前記バンドの前記スロットと係合して前記バンドを径方向に収縮させ、前記ウォーム駆動機構と前記バンドとの接続部は、前記ポケットに位置する自由端を有する少なくとも1つのフックを含み、
前記バンドは切抜部分を有し、前記少なくとも1つのフックは、前記切抜部分に隣接する鼻状端部を有し、前記少なくとも1つのフックの前記自由端と前記鼻状端部との間において、前記少なくとも1つのフックの方向は前記バンドの円周に概ね沿う方向であり、前記少なくとも1つのフックは前記ポケットの中に位置する、ホースクランプ。
【請求項2】
使用時、前記バンドは、下にあるホースと、前記少なくとも1つのフックによる実質的な干渉を受けることなく、前記バンドの接触円周全体にわたって実質的に連続的にシール接触をなす、請求項1に記載のホースクランプ。
【請求項3】
前記バンドは、前記第1の軸方向端部において第1の湾曲した脚部を有し、前記第2の軸方向端部において第2の湾曲した脚部を有し、前記第1および第2の湾曲した脚部は、下にあるホースと、前記ポケットにおいて前記バンドがなすシール接触よりも大きなシール接触をなす、請求項1に記載のホースクランプ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのフックの前記自由端の、前記ホースクランプの中心軸に対して径方向外側の位置の、前記中心軸からの距離は、前記バンドの、径方向において最も内側にある面の、径方向外側の位置の、前記中心軸からの距離よりも、大きい、請求項1に記載のホースクランプ。
【請求項5】
前記ウォーム駆動機構は台を含み、前記少なくとも1つのフックは前記台から延びており、前記少なくとも1つのフックは前記ポケットにおいて前記切抜部分を貫通して延びる、請求項1に記載のホースクランプ。
【請求項6】
前記バンドの軸方向断面の輪郭の前記概ね弓形の形状は頂点を有し、前記バンドは前記頂点において切抜部分を有し、前記少なくとも1つのフックは、前記切抜部分を貫通して延び、前記バンドの下側において前記頂点の隣にある、請求項1に記載のホースクランプ。
【請求項7】
前記バンドは第1の切抜部分と第2の切抜部分とを有し、前記少なくとも1つのフックは第1のフックと第2のフックとを含み、前記第1のフックが前記第1の切抜部分を貫通して延び前記第2のフックが前記第2の切抜部分を貫通して延びることによって前記ウォーム駆動機構と前記バンドとが接続される、請求項1に記載のホースクランプ。
【請求項8】
前記ウォーム駆動機構は側壁を有する台を含み、前記少なくとも1つのフックは前記側壁から延び、前記少なくとも1つのフックは、前記第1または第2の軸方向端部の周りを通って延びることにより前記台を前記バンドに接続し、リセスが、前記側壁と前記少なくとも1つのフックの境目に位置することにより、前記軸方向端部において、前記少なくとも1つのフックの横方向の長さは前記側壁の横方向の長さよりも短い、請求項1に記載のホースクランプ。
【請求項9】
前記ウォーム駆動機構はカバーと台とを含み、前記カバーおよび前記台のうちの一方のタブが前記カバーおよび前記台のうちの他方の開口部に挿入されることによって前記カバーと前記台とが接続され、前記カバーは前記ねじの少なくとも一部を囲んでおり、前記台は前記バンドを前記ウォーム駆動機構において支持し、前記少なくとも1つのフックは前記台から延びている、請求項1に記載のホースクランプ。
【請求項10】
前記ホースクランプの使用中にわたって、前記ホースクランプと下にあるホースとの間のシールを維持するために、前記バンドの軸方向断面の輪郭の前記概ね弓形の形状は、前記ホースクランプの締付動作中、径方向外向きに変位することにより、締付動作後、下にあるホースに力を加える、請求項1に記載のホースクランプ。
【請求項11】
前記ホースクランプの使用中にわたって、前記ホースクランプと下にあるホースとの間のシールを維持するために、前記ねじを付勢して前記バンドの径方向の収縮を生じさせる少なくとも1つのばねをさらに備える、請求項1に記載のホースクランプ。
【請求項12】
前記少なくとも1つのばねは、前記ねじの周りに配置され前記ウォーム駆動機構に当接する少なくとも1つのばね座金である、請求項11に記載のホースクランプ。
【請求項13】
ホースクランプであって、
第1の周方向端部と、第2の周方向端部と、前記第1および第2の周方向端部間に位置する複数のスロットとを有するバンドと、
前記バンドに接続され、前記ホースクランプの締付動作中前記バンドを径方向に収縮させるよう機能するウォーム駆動機構とを備え、前記ウォーム駆動機構は、少なくとも一部がねじ切りされたシャンクを有するねじを含み、前記ねじを回転させると前記ねじが前記バンドの前記スロットと係合して前記バンドを径方向に収縮させ、
前記ホースクランプの使用中にわたって、前記バンドと下にあるホースとの間のシールを維持するために、前記バンドを前記下にあるホースに向けて連続的に径方向に収縮させるばねを備え、
前記バンドはさらに、前記バンドの概ね弓形の形状によって前記バンドの下側に定められたポケットを有し、前記ウォーム駆動機構と前記バンドとの接続部は、前記ポケットに位置する自由端を有する少なくとも1つのフックを含み、前記バンドは切抜部分を有し、
前記少なくとも1つのフックは、前記切抜部分に隣接する鼻状端部を有し、前記少なくとも1つのフックの前記自由端と前記鼻状端部との間において、前記少なくとも1つのフックの方向は前記バンドの円周に概ね沿う方向であり、前記少なくとも1つのフックは前記ポケットの中に位置する、ホースクランプ。
【請求項14】
前記ばねは、前記ホースクランプの使用中に温度変動が原因で前記下にあるホースのサイズが拡大および縮小するとき、前記バンドを前記下にあるホースに向けて連続的に径方向に収縮させる、請求項13に記載のホースクランプ。
【請求項15】
前記バンドの第1の軸方向端部と前記バンドの第2の軸方向端部との間における前記バンドの軸方向断面の輪郭の概ね弓形の形状によって、前記ばねが構成され、使用中にわたって、前記バンドと前記下にあるホースとの間のシールを維持するために、前記軸方向断面の輪郭が、前記ホースクランプの締付動作中に径方向外向きに変位することにより、締付動作後前記下にあるホースに力を加える、請求項13に記載のホースクランプ。
【請求項16】
前記バンドと前記下にあるホースとの間のシールを維持するために、前記ばねは前記ねじを付勢して前記バンドの径方向の収縮を生じさせる、請求項13に記載のホースクランプ。
【請求項17】
前記バンドと前記下にあるホースとの間のシールを維持するために、前記ばねは、前記ねじの周りに配置され前記ウォーム駆動機構に当接する複数のばね座金を含む、請求項16に記載のホースクランプ。
【請求項18】
ホースクランプであって、
第1の周方向端部と、第2の周方向端部と、前記第1および第2の周方向端部間に位置する複数のスロットとを有するバンドを備え、前記バンドは、第1の軸方向端部と、第2の軸方向端部とを有し、前記第1および第2の軸方向端部間の軸方向断面の輪郭が概ね弓形の形状であり、
前記バンドに接続され、前記ホースクランプの締付動作中前記バンドを径方向に収縮させるよう機能するウォーム駆動機構を備え、前記ウォーム駆動機構は、少なくとも一部がねじ切りされたシャンクを有するねじを含み、前記ねじを回転させると前記ねじが前記バンドの前記スロットと係合して前記バンドを径方向に収縮させ、
前記ねじを付勢して前記バンドを径方向に収縮させるために、前記ねじに当接し前記ウォーム駆動機構に当接するばねを備え、
前記ホースクランプの使用中にわたって、前記バンドと下にあるホースとの間のシールを維持するために、前記バンドの前記概ね弓形の形状と、前記ばねとによって、前記バンドを前記下にあるホースに向けて連続的に径方向に収縮させ、
前記バンドはさらに、前記概ね弓形の形状によって前記バンドの下側に定められたポケットを有し、前記ウォーム駆動機構と前記バンドとの接続部は、前記ポケットに位置する自由端を有する少なくとも1つのフックを含み、前記バンドは切抜部分を有し、
前記少なくとも1つのフックは、前記切抜部分に隣接する鼻状端部を有し、前記少なくとも1つのフックの前記自由端と前記鼻状端部との間において、前記少なくとも1つのフックの方向は前記バンドの円周に概ね沿う方向であり、前記少なくとも1つのフックは前記ポケットの中に位置する、ホースクランプ。
【請求項19】
前記ばねは、前記ねじの周りに配置された複数のばね座金を含む、請求項18に記載のホースクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ある程度柔軟性のあるホースを、より硬いチューブまたは部品に接続するために使用されるホースクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ホースクランプは一般的に、接合部を与えるために、径方向の収縮力を、下にあるホース、チューブ、部品、またはこれらの組合せに対して加えるために使用される。下にあるホースは一般的にゴムまたは他の可撓性材料からなり、チューブまたは部品は一般的にプラスチック、金属、または他の硬質材料からなる。ホースクランプは通常、バンドと、バンドを、ホース、チューブ、または部品の上から締めるためのウォーム駆動機構とを含む。ホースクランプは、効果を発揮するためには流体密封シールを接合部に与えなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
本発明のある側面に従い、バンドとウォーム駆動機構とを備えるホースクランプが提供される。バンドは、第1の周方向端部と、第2の周方向端部と、第1および第2の周方向端部間に位置する1組のスロットとを有する。バンドはまた、第1の軸方向端部と、第2の軸方向端部とを有し、第1および第2の軸方向端部間の軸方向断面の輪郭が概ね弓形の形状である。バンドはさらに、この概ね弓形の形状によってバンドの下側に定められたポケットを有する。ウォーム駆動機構は、バンドに接続され、ホースクランプの締付動作中バンドを径方向に収縮させるように機能させることができる。ウォーム駆動機構は、一部以上がねじ切りされたシャンクを有するねじを含み、ねじを回転させるとねじがバンドのスロットと係合してバンドを径方向に収縮させる。ウォーム駆動機構とバンドとの接続部は、ポケットに位置する自由端を有する1つ以上のフックを含む。このホースクランプのさまざまな実施の形態は、以下の追加の特徴のうちの1つ以上を、単独で、または、技術的に可能なすべての組合せに従って、含み得る。
【0004】
使用時、バンドは、下にあるホースと、1つ以上のフックによる実質的な干渉を受けることなく、バンドの接触円周全体にわたって実質的に連続的にシール接触をなしてもよい。
【0005】
バンドは、第1の軸方向端部において第1の湾曲した脚部を有してもよく、第2の軸方向端部において第2の湾曲した脚部を有してもよく、第1および第2の湾曲した脚部は、下にあるホースと、ポケットにおいてバンドがなすシール接触よりも大きなシール接触をなしてもよい。
【0006】
1つ以上のフックの自由端の、ホースクランプの中心軸に対して径方向外側の位置の、上記中心軸からの距離は、バンドの、径方向において最も内側にある面の、径方向外側の位置の、上記中心軸からの距離よりも、大きくてもよい。
【0007】
バンドは切抜部分を有してもよく、ウォーム駆動機構は台を含んでもよく、1つ以上のフックはこの台から延びており、1つ以上のフックはポケットにおいて切抜部分を貫通して延びてもよい。
【0008】
1つ以上のフックは、切抜部分に隣接する鼻状端部を有してもよく、1つ以上のフックの自由端と鼻状端部との間において、1つ以上のフックの方向はバンドの円周に概ね沿う方向であってもよく、1つ以上のフックはポケットの中に位置してもよい。
【0009】
バンドの軸方向断面の輪郭の概ね弓形の形状は頂点を有してもよく、バンドはこの頂点において切抜部分を有してもよく、1つ以上のフックは、切抜部分を貫通して延びてもよく、バンドの下側において上記頂点の隣にあってもよい。
【0010】
バンドは、第1の切抜部分を有してもよく、かつ第2の切抜部分を有してもよく、1つ以上のフックは、第1のフックを含んでもよく、かつ第2のフックを含んでもよく、第1のフックが第1の切抜部分を貫通して延び第2のフックが第2の切抜部分を貫通して延びることによってウォーム駆動機構とバンドとが接続されてもよい。
【0011】
ウォーム駆動機構は側壁を有する台を含んでもよく、1つ以上のフックはこの側壁から延びてもよく、1つ以上のフックは、第1または第2の軸方向端部の周りを通って延びることにより台をバンドに接続してもよく、リセスが、側壁と1つ以上のフックの境目に位置することにより、軸方向端部において、1つ以上のフックの横方向の長さは側壁の横方向の長さよりも短くてもよい。
【0012】
ウォーム駆動機構は、カバーおよび台を含んでもよく、カバーおよび台のうちの一方のタブがカバーおよび台のうちの他方の開口部に挿入されることによってカバーと台とが接続されてもよく、カバーはねじの一部以上を囲んでもよく、台はバンドをウォーム駆動機構において支持してもよく、1つ以上のフックは台から延びてもよい。
【0013】
ホースクランプの使用中にわたって、ホースクランプと下にあるホースとの間のシールを維持するために、バンドの軸方向断面の輪郭の概ね弓形の形状は、ホースクランプの締付動作中径方向外向きに変位することにより、締付動作後に下にあるホースに力を加えてもよい。
【0014】
ウォーム駆動機構は、ホースクランプの使用中にわたって、ホースクランプと下にあるホースとの間のシールを維持するために、ねじを付勢してバンドの径方向の収縮を生じさせる1つ以上のばねを備えてもよい。
【0015】
ホースクランプの使用中にわたって、ホースクランプと下にあるホースとの間のシールを維持するために、1つ以上のばね座金が、ねじの周りに配置されてもよく、ウォーム駆動機構に当接してバンドの径方向の収縮を生じさせてもよい。
【0016】
本発明の別の側面に従い、バンドと、ウォーム駆動機構と、ばねとを備えるホースクランプが提供される。バンドは、第1の周方向端部と、第2の周方向端部と、第1および第2の周方向端部間に位置する1組のスロットとを有する。ウォーム駆動機構は、バンドに接続され、ホースクランプの締付動作中バンドを径方向に収縮させるよう機能させることができる。ウォーム駆動機構は、一部以上がねじ切りされたシャンクを有するねじを含み、ねじを回転させるとねじがバンドのスロットと係合してバンドを径方向に収縮させる。ばねは、ホースクランプの使用中にわたって、バンドと下にあるホースとの間のシールを維持するために、バンドを下にあるホースに向けて連続的に径方向に収縮させる。このホースクランプのさまざまな実施の形態は、以下の追加の特徴のうちの1つ以上を、単独で、または、技術的に可能なすべての組合せに従って、含み得る。
【0017】
ばねは、ホースクランプの使用中に温度変動が原因で下にあるホースのサイズが拡大および縮小するとき、バンドを下にあるホースに向けて連続的に径方向に収縮させてもよい。
【0018】
バンドの第1の軸方向端部とバンドの第2の軸方向端部との間におけるバンドの軸方向断面の輪郭の概ね弓形の形状によって、ばねが構成されてもよく、使用中にわたって、バンドと下にあるホースとの間のシールを維持するために、軸方向断面の輪郭が、ホースクランプの締付動作中に径方向外向きに変位することにより、締付動作後下にあるホースに力を加える。
【0019】
バンドと下にあるホースとの間のシールを維持するために、ばねはねじを付勢してバンドの径方向の収縮を生じさせてもよい。
【0020】
バンドと下にあるホースとの間のシールを維持するために、ばねは、ねじの周りに配置されウォーム駆動機構に当接する複数のばね座金を含んでもよい。
【0021】
本発明の他の側面に従い、バンドと、ウォーム駆動機構と、ばねとを備えるホースクランプが提供される。バンドは、第1の周方向端部と、第2の周方向端部と、第1および第2の周方向端部間に位置する1組のスロットとを有する。バンドはまた、第1の軸方向端部と、第2の軸方向端部とを有し、第1および第2の軸方向端部間の軸方向断面の輪郭が概ね弓形の形状である。ウォーム駆動機構は、バンドに接続され、ホースクランプの締付動作中バンドを径方向に収縮させるよう機能させることができる。ウォーム駆動機構は、一部以上がねじ切りされたシャンクを有するねじを含み、ねじを回転させるとねじがバンドのスロットと係合してバンドを径方向に収縮させる。ばねは、ねじを付勢してバンドを径方向に収縮させるために、ねじに当接しウォーム駆動機構に当接する。ホースクランプの使用中にわたって、バンドと下にあるホースとの間のシールを維持するために、バンドの概ね弓形の形状と、ばねとによって、バンドを下にあるホースに向けて連続的に径方向に収縮させる。
【0022】
上記段落、特許請求の範囲、および/または以下の説明および図面に示される、種々の側面、実施の形態、例、特徴、および代替案は、単独で使用されても任意に組合せて使用されてもよいものであると想定されている。
【0023】
以下、本発明の代表的な実施の形態を添付の図面と併せて説明する。図面における同様の参照符号は同様の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】ホースクランプのある実施の形態の側面図である。
【
図2】
図1のホースクランプの矢印2−2の方向から見た断面図である。
【
図4】ホースクランプの別の実施の形態の拡大図である。
【
図5】ホースクランプの他の実施の形態の拡大図である。
【
図6】ホースクランプのさらに他の実施の形態の拡大図である。
【
図8】
図6のホースクランプのバンドとウォーム駆動機構との接続部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
好ましい実施の形態の詳細な説明
図面を参照して、図には、以前から知られているホースクランプのうちの一部のホースクランプと比較してクランプ圧が改善された、流体密封シールを与えるホースクランプの、いくつかの実施の形態が示されている。ホースクランプは、自動車産業、航空機産業、船舶産業、重機産業、および農産物業における使用だけでなく、その他の産業およびその他の用途における使用にも適している。また、本明細書で使用される「ホース」という用語は、冷却剤ライン、流体ライン、オイルライン、およびエアダクトだけでなく、その他のラインにも使用される、ゴムまたはプラスチックホースなどの管状体を意味する。さらに、特に他の指定がない限り、径方向、軸方向、および周方向という用語は、ホースクランプの全体的に円である程度円筒の形状を基準とした方向を意味する。
【0026】
図1〜
図3を参照して、ホースクランプ10の第1の実施の形態は、バンド12とウォーム駆動機構14とを含む。バンド12は、関連する、下にあるホースの周りに巻かれ、ウォーム駆動機構14によって、このホースの上から、かつチューブまたは部品の上から締付けられる。バンド12は、焼戻しステンレス鋼または他の適切な金属などの金属材料からなるものでよく、適切な金属加工プロセスを経て最終形状になるように形成すればよい。バンド12は、第1の周方向端部16と第2の周方向端部18との間で周方向に延在する。ウォーム駆動機構14との接続部は、第1の周方向端部16に位置していてもその隣に位置していてもよく、第2の周方向端部18に位置していてもその隣に位置していてもよく、または、第1および第2の周方向端部間のどこかに位置していてもよい。第1の周方向端部16は、ホースクランプ10を締付けている間および緩めている間、前後におよびウォーム駆動機構14の内外に自由に移動できる。第1および第2の周方向端部16、18間において、バンド12は構造的に連続し周方向に延在する本体である。バンド12は、径方向内側において、使用時にホースに直接または間接的に面する内面20を有し、径方向外側において外面22を有する。
【0027】
さらに、バンド12は、バンドの本体内に位置し、この実施の形態においては第1の周方向端部16の近傍に位置する、複数の穿孔または1組のスロット24を含む。スロット24には、ホースクランプ10の締付ける動作および緩める動作中、ウォーム駆動機構14が係合する。スロット24同志の間には間隔が設けられ、スロット24は、バンド12の円周の一部に沿って、特定の用途の予想されるまたは所望の径方向の収縮拡大量によって決まる距離にわたって設けられている。その他の実施の形態において、スロットは、バンドの円周全体に沿って端から端にわたって設けられてもよく、または、バンドの円周に沿って別の量だけ伸長可能であってもよい。
図1および
図2に示されるように、この実施の形態のスロット24は、バンド12の、軸方向の断面の輪郭が平坦で実質的に幾何学的に直線状の部分に沿って配置されている。これは、バンド12とウォーム駆動機構14のねじとの間の相互作用を緩和することができ、その他の実施の形態では不要である。
図3に示されるように、この第1の実施の形態において、スロット24は各々、内面20と外面22との間でバンド12の本体を径方向に貫通している。その他の実施の形態において、スロットは、この本体を貫通する必要はなく、その代わりに、バンド内に形成された、削られたもしくは段差が設けられた構造であってもよく、または、他の構成を有していてもよい。各スロット24は、第1および第2の周方向端部16、18のうちの一方の方向の弓形のエッジを有してもよく、弓形のエッジと反対側に平坦なエッジを有してもよく、他の実施の形態においてその他のエッジラインおよびスロット形状が可能である。
【0028】
ウォーム駆動機構14を作動させてバンド12を径方向に収縮および拡大し、作動後は、バンドの所望の径方向位置および直径を維持する。一般的に、ウォーム駆動機構14はバンド12の外側に位置する。第1の実施の形態において、ウォーム駆動機構14は、カバー26と、台28と、ねじ30とを含む。
【0029】
引続き
図1〜
図3を参照して、カバー26は、ウォーム駆動機構14の屋根の役割を果たし、ねじ30のねじ切りされたシャンク32を囲んでいる。カバー26は、概ね半円筒形の上壁34を有するとともに、上壁から延在する一対の側壁36を有する。側壁36は各々タブ38を受けるための開口を有し、タブ38は台28と一体の延長部である。相互接続された開口とタブが協力してカバー26と台を機械的に接続しインターロックする。カバー26はまた、各側壁36から延在し概ね径方向下向きの裾部40を有する。カバー26は、ねじ30の突出部分を収容するために上壁34の両側に第1および第2の開放端42、44を有する。台28は、ウォーム駆動機構14の床の役割を果たし、締付ける動作および緩める動作の間、ウォーム駆動機構内外へのバンド12の移動をサポートし案内する。以下でより詳細に説明するように、台28はまた、ウォーム駆動機構14とバンド12との接続部の一部分を提供する。特に
図2および
図3を参照して、台28は、底壁46と、底壁と一体の延長部である第1の側壁48と、これも底壁と一体の延長部である第2の側壁50とを有する。底壁46は、バンド12と直に隣接して接触し、バンドの周方向の輪郭を補いこの輪郭に適応するために
図3に示されるように周方向断面の輪郭が幾分弓形の形状であってもよい。第1および第2の側壁48、50は、底壁46から延在し径方向上向きである。タブ38は、側壁48、50かさらに径方向上向きに延在し、それぞれ、カバー26との接続のためにカバー26の開口に挿入される。この例では、合計4つのタブと4つの開口がある。カバー26と台28とを接続する方法として他の方法が可能であり、他の方法には、たとえば開口を台に設け対応するタブをカバーに設ける方法が含まれる。
【0030】
ねじ30は、カバー26と台28との間で保持され、回転させられて、締付ける動作および緩める動作の間、バンド12のスロット24と係合する。特に
図3を参照して、ねじ30は概ね、バンド12の円周に対する接線方向に配置される。ねじ30は、ヘッド52を有するとともに、ヘッドと一体の延長部としてのねじ切りされたシャンク32を有する。組立ての際、ヘッド52はアクセスできるようカバー26の外側に配置され、ねじ切りされたシャンク32はほとんどがカバーによってその内側で囲まれる。ねじ切りされたシャンク32のねじ山がスロット24に挿入され、ねじ30を回転させると、バンド12がカバー26および台28の内外に移動する。この実施の形態では示されていないが、ねじ30は、ねじが回転中にその長手方向に移動することを防止するのに役立つように、かつ、ねじが確実にカバーの内側の適所で回転するのに役立つように、カバー26に当接する末端キャップのような1つ以上の突起を有してもよい。
【0031】
その他の実施の形態において、ウォーム駆動機構は、図面に示され先に説明された設計および構成と異なる設計および構成を有してもよい。たとえば、ウォーム駆動機構は、カバーと台が1つの部材の一部をそれぞれ構成している一体構造を有してもよい。この場合、カバーと台を相互接続する構造は不要であろう。
【0032】
クランプ圧を接合部の寿命にわたって維持することは、多くの場合望ましく、場合によっては所与の用途において必要である。しかしながら、周知のホースクランプの中には、経年数、温度の変動およびその結果として生じる熱膨張および熱収縮が原因で、ならびにその他の原因によって、クランプ圧が時間の経過に伴って低下するものがある。そうすると、接合部のシールが脆弱になりその結果無効になって漏れが生じる可能性がある。本明細書において開示される実施の形態の少なくとも一部において、ホースクランプ10が、クランプ圧回復構造および機能を有するか、または、予め付与されたシール力を有することによって、ホースクランプの耐用年数にわたって適切なクランプ圧が実質的に維持され、よって有効なシールが与えられる。この実施の形態において、クランプ圧回復構造は、バンドの本体の弓形の形状によって構成されたばねの形態で与えられる。
【0033】
図2を参照して、バンド12の、第1の軸方向端部56と第2の軸方向端部58との間の断面の軸方向の輪郭は、概ね弓形で曲線をなしている。しかしながら、先に述べたように、バンド12の、スロット24を有する平坦形状部分は弓形形状でなくてもよい。弓形形状の部分は、図面に示されるように第1および第2の軸方向端部56、58間にわたって位置する1つの弓形部分のみであってもよい。弓形形状の頂点すなわち最高点60は、第1および第2の軸方向端部56、58間にあり、この実施の形態ではバンド12のほぼ中央の領域にある。ポケット62が、バンド12の径方向下側に位置し、その一部は、頂点60、内面20、ならびに第1および第2の軸方向端部56、58によって定められる。ポケット62は、バンドの大部分が凹状に湾曲しているために生じる。
図2に示されるように、第1および第2の軸方向端部56、58は、湾曲した脚部64を、その自由端および末端の近傍に有する。これは、脚部が湾曲していないために界面がより鋭い形状である場合と比較して、下にあるホースとの界面での接触が幾分和らげられるようにするためである。しかしながら、これはいくつかの実施の形態における1つの選択肢である。湾曲した脚部64は、バンド12の、丸くされた端部分である。使用時、湾曲した脚部64は、脚部がなく断面が平坦な以前から知られているバンドと比較して、より大きなクランプ圧を与え得る。なぜなら、締付力を与える、湾曲した脚部の部分の面積が、より小さいからである。
【0034】
バンド12の弓形の輪郭は、ウォーム駆動機構14を締め直さなくても、ホースクランプ10の使用時にわたってクランプ圧に回復効果を付与する。最初に締められたとき、軸方向端部56、58は撓んで径方向外向きに変位し、頂点60は静止時と比較すると物理的により平坦になり、したがって、バンド12はその凹状の湾曲の一部を失う。金属材料の弾性によって、バンド12からホースに対し継続して力および張力が加えられる。ある意味、バンドの弓形の輪郭は、板ばねのように機能する。使用中平坦になる量は増減し得るが、力は、時間が経過しても、また、温度が変動している間も持続し、ホースクランプ10のクランプ圧は、使用中、実質的に回復されて維持される。
【0035】
図1〜
図3の第1の実施の形態では、フック66を用いてバンド12とウォーム駆動機構14とを接続する。特に
図2および
図3を参照して、フック66は、台28の底壁46が折返されて形成された、底壁46と一体の延長部である。その他の実施の形態では、フックが、台に取付けられた別個の部品であってもよい。図示のように、フック66は底壁46の周方向末端から延びており、組立ての際、フックの長手方向の軸および最大寸法は、概ねバンド12の円周に沿う方向であり概ねバンド12の円周に沿っている。フック66は、鼻状端部68と、自由端70と、第1の軸方向端部72と、第2の軸方向端部74とを有する。フック66は径方向内側に内面76を有し、フックの内面は、使用時、ホースに直に面する。フックは径方向外側に外面78を有し、フックの外面は、フックの外面とバンド12の内面20との間において径方向に定められる空間にわたって、バンド12の内面20に直に面する。
【0036】
第1の実施の形態における組立ての際、フック66は、バンド12内の1つの切抜部分80を貫通して延在する。切抜部分80はバンド12の概ね頂点60に位置するので、フック66をこの部分に通して突出させたとき、フック66はバンドの径方向下側にあり、ポケット62の中に折込まれる。ここで、
図2に最も良く示されているように、フック66の第1の軸方向端部72は軸方向においてバンド12の内面20に直に面しており、フックの第2の軸方向端部74は上記軸方向と逆の軸方向においてバンドの内面に直に面している。また、上述のように、フック66の外面78は、径方向外向きの方向において、バンド12の内面20に直に面している。
図2を参照して、第1および第2の軸方向端部56、58における、バンド12の内面20の径方向位置は、フック66の内面76の径方向位置よりも、ホースクランプ10の中心軸Aからの距離が小さい。言い換えると、軸方向端部56、58における内面20は、フック66の内面76よりも、中心軸Aに物理的に近い。このことは、ホースクランプ10を最初にホースクランプ上に置いたときおよび続いてウォーム駆動機構14を締めている間、バンド12の軸方向端部56、58が、下にあるホースと接触できることを意味する。
【0037】
開示されている実施の形態では、バンド12とウォーム駆動機構14とを連結する接続部によって、ホースクランプ10の円周全体に実質的に連続した流体密封シールを与え易くなる。以前から知られているホースクランプの中には、シールがクランプの円周上で不連続でありウォーム駆動機構とバンドとの接続部で途切れている、ホースクランプがある。この接続部では、ウォーム駆動機構の一部がバンドとその下にあるホースとの接触に干渉してこの接触を物理的に妨げることが多く、そうでなければ接続部で加えられるクランプ圧に干渉する可能性があり、そのために、接続部で漏れがより生じ易くなる。上記第1の実施の形態では、フック66が頂点60およびポケット62でバンド12の下に折込まれているので、円周における流体密封シールに対する干渉は制限されるかまたは生じない。バンド12は、ホースと、第1および第2の軸方向端部56、58で、接続部で、かつバンドの円周全体で、適切なシール接触をなす。
【0038】
図4は、ホースクランプ110の第2の実施の形態を示す。第2の実施の形態のホースクランプ110は、第1の実施の形態のホースクランプ10との類似点を有し、これら類似点のうちの一部は繰返さない。ホースクランプ110のバンド112とウォーム駆動機構114との接続部は、第1の実施の形態の接続部といくつかの点で異なる。
図4を参照して、第1のフック165および第2のフック167を用いてバンド112とウォーム駆動機構114とを接続する。第1および第2のフック165、167は、台128の底壁の延長部分であってもよく、第1および第2の側壁148、150(片方の側壁のみが示されている)の延長部分であってもよい。フック165、167は各々、バンド112の下側でカールしていてもよくそうでなければ曲げられていてもよい自由端170を有する。第2の実施の形態における組立ての際、第1のフック165はバンド112の第1の切抜部分179を貫通して延び、第2のフック167はバンドの第2の切抜部分181を貫通して延びる。第1および第2の切抜部分179、181が、弓形の輪郭を有するバンド112の頂点160またはその近傍に位置することによって、第1および第2のフック165、167をこれら切抜部分を通して突出させたときに、第1および第2のフック165、167がバンドの径方向下側に位置しポケット162の中に折込まれるようにすることができる。
【0039】
第1の実施の形態と同様、バンド112の第1および第2の軸方向端部156、158の径方向位置は、フック165、167の自由端170の径方向位置よりも、ホースクランプ110の中心軸Aからの距離が小さい。第2の実施の形態でも、バンド112とウォーム駆動機構114とを連結するこの接続部によって、ホースクランプ110の円周全体に実質的に連続した流体密封シールを与え易くなる。第2の実施の形態の代替案として、台から延びるフックの数およびバンドの対応する切抜部分の数がより多くてもよい。たとえば、第1のフック対が一方の軸方向側部で下壁から延び、第2のフック対が逆の軸方向側部で下壁から延びていてもよい。
【0040】
図5は、ホースクランプ210の第3の実施の形態を示す。第3の実施の形態のホースクランプ210は、第1の実施の形態のホースクランプ10との類似点を有し、これら類似点のうちの一部は繰返さない。ホースクランプ210のバンド212とウォーム駆動機構214との接続部は、第1の実施の形態の接続部といくつかの点で異なる。
図5を参照して、第1のフック269および第2のフック271を用いてバンド212とウォーム駆動機構214とを接続する(ホースクランプ210の片側のみが図示されており、図示されていない側は
図5に示されるものと類似する)。第1および第2のフック269、271は、第1および第2の側壁248、250それぞれと一体の延長部である。第1のフック269は、第1の側壁248から径方向内側に向かって延び、バンド212の第1の軸方向端部256の上からバンドの径方向下側に巻かれる。同様に、第2のフック271は、第2の側壁250から径方向内側に向かって延び、バンド212の第2の軸方向端部258の上からバンドの径方向下側に巻かれる。先の実施の形態で説明たように、フック269、271の自由端を、弓形の輪郭を有するバンド212の頂点にまたはその近傍に配置することによって、頂点にあるポケットの中に折込まれるようにしてもよい。
【0041】
リセスまたは段差290が、側壁248、250とフック269、271とがそれぞれ交わる、これら側壁とフックの境目の両側に位置する。各フック269、271の周方向または横方向の長さL
1は、対応する側壁248、250の周方向または横方向の長さL
2よりも小さいので、フックと側壁との間に段差状の境界が形成される。このようにして、第3の実施の形態においても、バンド212とウォーム駆動機構214とを連結するこの接続部によって、ホースクランプ210の円周全体に実質的に連続した流体密封シールを与え易くなる。周方向の長さL
1を最小にすることによって、バンド212とその下にあるホースとの間の接触に対する妨害および干渉を減じるかまたは完全になくす。第3の実施の形態の代替案として、リセスは、フックの周方向の長さを減じるために、側壁およびフックの、先端に向かって細くなる端部の形態であってもよい。
【0042】
図6〜
図8は、ホースクランプ310の第4の実施の形態を示す。第4の実施の形態のホースクランプ310は、第1の実施の形態のホースクランプ10との類似点を有し、これら類似点のうちの一部は繰返さない。第4の実施の形態におけるクランプ圧回復構造および効果は、第1の実施の形態のものと異なるやり方で提供される。特に
図6および
図7を参照して、一般的に皿ばねとして知られている、截頭円錐形の複数のばね座金の形態のばねが設けられる。これら座金は、ウォーム駆動機構314のねじ330とカバー326との間で積重ねられている。積重ねられた座金はカバー326の外側に位置する。積重ねられた座金は、第1の座金311と、第2の座金313と、第3の座金315と、第4の座金317と、第5の座金319と、第6の座金321と、第7の座金323と、第8の座金325と、第9の座金327と、第10の座金329とを含む。これら座金は、カバー326の開放自由端343とばねヘッド352のフランジ面351との間で、連続して隣合い互いに接触するように、配置されている。第1の座金311は開放自由端343に直に接触し、第10の座金329はフランジ面351に直に接触する。これら座金は、シャンク335のねじ切りされていない部分333の周りに配置される。座金は各々、凹状面339とその反対側の凸状面341とを有する。これら10の座金のうち、隣合う座金を対にし合計5つの対にする。各対の凹状面339同志が、その間に定められたキャビティ345を挟んで互いに向き合っている。
図7に最も良く示されているように、向き合っている凹状面339は、これらの最外端部の円形界面で線接触する。その他の実施の形態では、たとえば、ばねを、ねじの周りに配置されたまたはねじに押付けて配置されただけの、つる巻きばねなどの別の形態で設けて、ばねおよびバンドを締付け方向に付勢してもよい。10よりも多いまたは少ない座金および1つの座金を含む、異なる数の座金を設けてもよい。座金を、図面に示されているのと反対側のばね端部を含む別の位置で、ばねの周りに配置してもよく、つる巻きばねなどの別の形態のばねの場合、ばねをカバーの内側に配置してもよい。
【0043】
ねじ330を回転させてホースクランプ310を締めると、第1の座金311〜第10の座金329が、圧縮され、横方向内向きに、互いに向かって変位する。すなわち、座金は、開放自由端343とフランジ面351との間で絞られる。キャビティ345の大きさは、各座金が静止時よりも物理的に平坦にされるので、縮小される。絞られた座金は、連続して力と張力を、ねじ330とカバー326に対して加え、これが持続しクランプ圧回復効果を与える。たとえば、下にあるホース、チューブ、またはこれら双方が、温度の低下が原因で収縮した場合、絞られた座金は、この収縮に、横方向外側に拡大し変位することによって、対応する。それに応じてねじ330が移動しバンド312を引張って径方向に収縮させ、ホースクランプ310を、下にある、わずかに小さくなったホースおよびチューブの上から締付ける。このようにして、ホースクランプ310のクランプ圧を、実質的に回復し、ホースクランプの耐用年数にわたって維持するので、有効なシールが提供される。
【0044】
さらに、第4の実施の形態において、ねじ330は末端キャップ331を含む。末端キャップ331は、ねじ330の、径方向に拡大したフランジ状部分であり、カバー326の外側において座金と反対側に位置する。ねじ330を回転させてホースクランプ310を締めると、末端キャップ331が、ねじが回転中に長手方向に移動することを防止するのに役立つように、かつ、ねじが確実にカバーの内側の概ね適所で回転するのに役立つように、カバー326に当接することができる。特に
図7を参照して、末端キャップ331の真隣に、シャンク335のねじ切りされていない部分337があるので、ねじ330が締められ座金が横方向内側および外側に向かって変位するときに、第2の開放端部344を通した、ねじ330の幾分限定された長手方向の移動および遊びが可能になる。
【0045】
図8は、バンド312の下側を示すとともに、バンドとウォーム駆動機構314との接続部を示す。第1の実施の形態に関して先に述べたように、フック366を用いてこの第4の実施の形態における接続部を実現する。実際、
図8に示される接続部およびフック366は、第1の実施の形態に関して説明し
図2および
図3に示される接続部およびフック66と同一である。
図8は、フック66、366のもう1つの図面を提供しているにすぎない。前述のように、フック366は、台328が折返されて形成された部分であって台328と一体の延長部分である。フック366の長手方向の軸および最大寸法は、概ねバンド312の円周に沿う方向であり概ねバンド312の円周に沿っている。フック366は、鼻状端部368と、自由端370と、第1の軸方向端部372と、第2の軸方向端部374とを有する。フック366はバンド312内の1つの切抜部分380を貫通して延び、
図7に示されるように、フックはバンドの内面320に対して曲げられて接触する。この実施の形態でも、バンド312は上記弓形の輪郭を有し、したがって、フック366はポケット362の中に折込まれる。
図8に最も良く示されるように、フック366の軸方向の中心は、実質的に、バンド312の下側において、バンドの第1の軸方向端部356と第2の軸方向端部358との間にある。他の実施の形態では、バンドが上記弓形の輪郭を有していなくてもよく、代わりに、ばね座金のみが適切なやり方でクランプ圧回復効果を与えてもよい。
【0046】
上記説明は、本発明を定義したものではなく、本発明の1つ以上の代表的な好ましい実施の形態の説明であることが、理解されるはずである。本発明は、この明細書に開示されている特定の実施の形態に限定されるのではなく、専ら以下の請求項によって定められる。さらに、上記説明に含まれる記載事項は、特定の実施の形態に関連し、本発明の範囲をまたは請求項で使用される用語の定義を、用語または表現が上記説明で明確に定義されている場合を除いて、限定すると解釈されてはならない。開示されている実施の形態のさまざまな他の実施の形態ならびにさまざまな変更および変形が、当業者に明らかになるであろう。このような他の実施の形態、変更、および変形は、以下の請求項の範囲に含まれることが意図されている。
【0047】
本明細書および請求項で使用される、「たとえば」、「例として」、「などの」という用語、「備える」、「有する」、「含む」という動詞、およびそれらの他の動詞形は、1つ以上の構成要素またはその他の項目を列挙する際に使用されている場合、各々オープンエンドであると解釈されねばならない。このことは、この列挙が他の追加の構成要素または項目を除外するとみなされてはならないことを意味する。その他の用語は、他の解釈を要求する文脈で使用されていない限り、それらの最も広い妥当な意味を用いて解釈されねばならない。