(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面は例示的でしかなく、スケール適合するように描かれていない。一部の実施形態のさまざまな要素が明確さを求めて示されていないことがある。さまざまな実施形態の類似する要素および対応する要素が同様の参照符号により識別される。
【0018】
本明細書で説明される例示的実施形態が、さまざまな放射源および放射センサに関連して1つまたは複数の放射を遮る物体の位置を決定するためのシステムおよび方法に関連する詳細を提供する。一部の実施形態では、放射源および放射センサはフレーム内に搭載されてもよい。一部の実施形態では、システムは、さまざまな基になる機器たとえばホワイトボード、表示モニタ、および別の機器を含むまたはそれと共に使用されてもよい。一部の実施形態では、システムは基になる表面たとえばホワイトボード、壁、表示スクリーンの表面、または任意の別の一般に平面の表面を含む、またはそれと共に使用されてもよい。放射源は、可視光スペクトルで、または別のスペクトル、たとえば紫外スペクトルまたは赤外スペクトルで放射を放出してもよい。本明細書で説明される実施形態は例示的でしかなく、別の実装形態および構成もあり得る。
【0019】
まず、放射を遮る物体124の位置を検出または推定するシステム100を図示する
図1が参照される。システム100は、1対の放射センサ102a、102b、コントローラ104、およびフレームまたはハウジング108に搭載される複数の放射源106を含む。フレーム108は上側110、下側112、左側114、および右側116を有する。この実施形態では、放射源106はフレーム108の左側、下側、および右側に搭載される。放射センサ102aはフレーム108の左上角に搭載され、放射センサ102bはフレーム108の右上角に搭載される。
【0020】
フレーム108は表面128を囲む。さまざまな実施形態では、表面128は表示スクリーンの表面、書込面、または別の表面であってもよい。この実施形態では、フレーム108は表面128の端にベゼル(bezel)を提供する。放射源106および放射センサ102はベゼル内部に搭載される。一部の実施形態では、フレームは表面を部分的にしか囲まないか、または密閉しなくてもよい。たとえば、フレームは、放射センサまたは放射源が最上部の端に隣接して搭載されない場合、表面の最上部の端を密閉しなくてもよい。別の実施形態では、フレームは表面を支えるが密閉しなくてもよい。たとえば、フレームは表面、放射センサ、および放射源のための支持物を提供してもよいが、表面を囲むベゼルまたは別の要素を有しなくてもよい。別の実施形態では、フレーム自体が表面の一部またはすべてを提供してもよい。たとえば、フレームは、フレームの端の間に堅固な表面を有してもよく、放射を遮る物体が、システム100が使用中のときに堅固な表面上に置かれてもよい。典型的には、これらの例のように表面はフレームに搭載される。
【0021】
放射センサ102aおよびいくつかの放射源106を見せるために、
図1ではフレーム108の左上角が切り取られている。フレーム108の右下角も、放射源106の一部を見せるために切り取られている。この実施形態では、各放射源106は赤外スペクトルで放射を放出するLEDである。別の実施形態では、放射源は、可視光スペクトルおよび紫外スペクトルを含む別のスペクトルで放射を放出するさまざまなタイプの発生源であってもよい。放射源106は、放射源からの放射が放射センサ102の一方または両方に到達するように、フレーム108に搭載される。この実施形態では、放射源はフレーム108の左側、下側、および右側に沿って等間隔に配置される。この実施形態では、フレーム108は直角の角を有する長方形である。フレーム108の側面はx−y平面の軸に平行である。一部の実施形態では、放射源は等間隔に配置されなくてもよい。一部の実施形態では、フレームは長方形でない形状を有してもよい。
【0022】
コントローラ104はプロセッサ120を含み、プロセッサ120は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、あるいはハードウェアと、ソフトウェアもしくはファームウェアもしくはその両方、の双方を含む構成要素を含み、システム100を動作させることができる任意のタイプの機器または構成要素であってもよい。たとえば、プロセッサ120は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ゲートアレイ、あるいは任意のタイプのデータ処理機器または計算機器であってもよい。プロセッサは、システム100およびシステム100の構成要素を動作させるように、および外部機器と通信するようにプログラムされまたは構成されることができる。コントローラ104はまた、プロセッサ120によりアクセスされることができるメモリ121を含んでもよい。プロセッサ120はコントローラ104およびシステム100の動作を制御する。命令がメモリ121内に記録されることができ、以下に説明されるように、コントローラ104およびシステム100の動作を制御するための制御、データ処理、データ伝送、および通信の動作を行うようにプロセッサを構成するためにプロセッサの中にロードされることができる。コントローラ104は各放射源106に結合される。これらの接続の一部だけが
図1に図示されている。コントローラ104は、1つの放射源が活動化されるかまたはオンである(すなわち放射を放出している)ときに残りの放射源が活動化されないかまたはオフである(すなわち放射を放出しない)ように、各放射源106を独立して活動化することができる。
【0023】
この実施形態では、各放射センサ102は、放射源106によりフレーム108の2つの対向する側面上に放出される放射を検出することができるPINフォトダイオードである。放射センサ102aは、フレーム108の下側および右側にある放射源106により放出される放射を検出する。放射センサ102bは、フレーム108の下側および左側にある放射源106により放出される放射を検出する。各放射センサ102はコントローラ104に結合され、任意の特定の時間に放射センサ102上に向けられる放射の強度に対応する放射強度レベルをコントローラに提供する。放射強度レベルは、対応する放射センサ102が放射源106からの放射を受け取っているときの比較的高い値、および対応する放射センサ102が放射源106からの放射を受け取っていないときの比較的低い値を有する。放射源106に対応する一連の放射強度レベルが、放射を遮る物体124の位置を推定するために使用されることができる放射強度信号に組み合わせられ、または集められてもよい。このことは以下で説明される。
【0024】
別の実施形態では、各放射センサは、放射源により放出される放射に応答し、かつセンサに入射する放射に対応する放射強度レベルを提供することができる任意の機器であってもよい。たとえば、感光性素子たとえば光センサ、フォトダイオード、光電セル、太陽電池、または光電池が、放射強度レベルを提供するために使用されてもよい。放射センサは、デジタル形式またはアナログ形式を含む、コントローラ104に適合する任意の形式で出力放射強度レベルを提供してもよい。
【0025】
コントローラ104は、フレーム108の寸法、各放射源106の位置、および各放射センサ102の位置を使ってプログラムされる。この例では、コントローラ104は以下の情報を使ってプログラムされる。
センサ102aおよび102bが距離dだけ分離される。放射センサ102aはx−y平面上の(0,0)の位置にあり、放射センサ102bはx平面上の(d,0)の位置にある。
フレーム108の下側および右側の各放射源に対する、フレームの左側(または放射センサ102aの位置に応じてフレームの左側に平行な線)と、放射センサ102aと放射源の間の経路との間の角度、または角度に対応する値。
フレーム108の左側または下側の各放射源に対する、フレームの右側(または放射センサ102bの位置に応じてフレームの右側に平行な線)と、放射センサ102bと放射源の間の経路との間の角度、または角度に対応する値。
【0026】
コントローラ104の制御下で、システム100は、放射を遮る物体124の物理的位置P
124a(x
124a,y
124a)を推定するように動作できる。
図1では、放射を遮る物体124がスタイラスとして図示されている。スタイラスの先端が、ここで議論される物理的位置P
124aおよび以下で議論される画素位置P
124dに対応する点P
124で表面128と接触する。
【0027】
動作では、コントローラ104が放射源106を順次活動化する。放射源106が活動化される間、コントローラ104は放射センサ102の一方または両方からの出力をサンプリングして、各放射センサ102に入射する放射の強度に対応する放射強度レベルを得る。典型的には、放射源と各放射センサの間の経路が遮られる、部分的に遮られ(すなわち部分的に減衰させられ)、または障害物がない。一部の実施形態では、放射源106が活動化される間、コントローラは、放射源106と放射センサ102の間に直接の経路がある場合だけ、放射センサ102に対する放射強度レベルをチェックすることができる。たとえば、放射センサ102aと、フレーム108の下側112および右側116にある放射源106との間に直接の経路がある。同様に、フレーム108の左側114および下側112にある放射源106と放射源102bの間に直接の経路がある。別の実施形態では、コントローラ104は、活動化された放射源106が放射センサへの直接の経路を有しない時でさえ、放射センサ102での放射強度レベルをチェックすることができる。
【0028】
この手順を実行するための命令がメモリ121内に記録される。プロセッサ120は、メモリ121内の命令にアクセスし、上記で説明される手順および以下で説明される手順を実行するために命令を実行する。プロセッサ120はまた、この手順を実行している間にメモリ121内にデータを記録することができる。
【0029】
別の実施形態では、放射源および放射センサの特定の配置、ならびにフレームの形状(長方形である必要がなく、別の形状を有してもよい)が、どの放射源がどの放射センサへの直接の経路を有するかに影響を及ぼす。
【0030】
この実施形態に戻ると、放射源106aが活動化されたとき、放射源106aと、別の放射源106により妨害されない放射センサ102aとの間に直接の経路がないので、コントローラ104は放射センサ102aをサンプリングして放射強度レベルを得る必要がない。コントローラ104は放射センサ102bにより提供される放射強度レベルを実際にサンプリングし、放射センサ102bは、放射源106aと放射センサ102bの間の経路に障害物がないか、または遮られないことを示す比較的高い値を有する。
【0031】
放射源106cが活動化されたとき、コントローラ104は放射センサ102aと102bの両方をサンプリングする。放射センサ102aからの放射強度レベルは比較的高く、放射源106cと放射センサ102aの間の経路に障害物がないことを示す。放射センサ102bからの放射強度レベルは比較的低く、放射源106cと放射センサ102bの間の経路が、この例では、放射を遮る物体124により遮られていることを示す。
【0032】
放射源106eが活動化されたとき、放射センサ102aおよび102bからの放射強度レベルはそれぞれ、放射源106eと放射センサ102aおよび102bとの間の経路に障害物がないことを示す。
【0033】
放射源106fが活動化されたとき、コントローラ104は、放射源106fと放射センサ102aの間の経路が放射を遮る物体124により遮られていることを示す、放射源102aからの放射強度レベルをサンプリングする。コントローラ104は、放射源106fと放射センサ102aの間の経路に障害物がないことを示す、放射センサ102bからの放射強度レベルをサンプリングする。
【0034】
コントローラ104が放射源を順次活動化し、各放射源106に対する放射強度レベルをサンプリングするとき、コントローラ104は結果を以下のように記録する。
【表1】
【0035】
図2aおよび
図2bを参照する。
図2aはコントローラ104により得られた、放射センサ102aからの放射強度レベルに対応する放射強度信号122aを図示する。
図2bはコントローラ104により得られた、放射センサ102bからの放射強度レベルに対応する放射強度信号122bを図示する。各放射強度信号は、放射源106a、106b、106c、および106dを含む放射源が順次活動化され、その後、非活動化されたときの放射センサ102bの出力を含む。任意の1つの放射源がオンの間、残りの放射源はオフである。
【0036】
放射強度信号122aおよび122bを使用して、コントローラ104は放射を遮る物体124の物理的位置を推定することができる。コントローラ104は、放射遮断物体124が各放射センサに対して遮られる経路に置かれていると仮定する。この例では、放射を遮る物体124の位置P
124a(x
124a,y
124a)は以下のように推定されることができる。
【数1】
【0037】
図1の実施形態では、放射を遮る物体124の位置が推定されることができる解像度は、放射源106の間の間隔を含むいくつかの因子に依存する。放射源を互いに近接して置くことにより、より高い解像度が達成されることができる。
【0038】
上記の式(1)および(2)では、点P
124の位置を計算するために角度θ
fおよびφ
cの正接が使用される。システム100では、左側114と放射検出器102aに見える放射源106への経路との間の角度θの正接、および右側116と放射センサ102bに見える放射源106への経路との間の角度φの正接が、コントローラ104にアクセスできるデータ記憶位置に記録される。このことは、式(1)および(2)が、各角度θ
fおよびφ
cの正接を計算されることを要求することなく計算されることができるようにし、それにより、P
124の位置がより迅速に計算されることができるようにする。別の実施形態では、角度自体が記録されてもよく、または角度に対応する別の値が記録されてもよい。一部の実施形態では、放射源、放射センサ、および基準線(フレームの右および左の端に平行な線など)のそれぞれの間の角度の関係に対応する複数の値が記録されてもよい。
【0039】
システム100は、コントローラ104のプログラミングに応じて、異なるやり方で動作させられてもよい。
【0040】
別の実施形態では、システム100は、表面128上の放射を遮る物体の推定される位置P
124aをさらに正確にするように動作させられることができる。
図1および
図3が参照される。放射源の間の距離、放射を遮る物体の寸法、および放射を遮る物体と放射センサの間の距離に応じて、いくつかの放射源と放射センサの間の経路が放射を遮る物体により遮られることができる。たとえば、放射源106b、106c、および106dが互いに十分近接している場合、放射を遮る物体124は、放射源のうちの2つまたは3つすべてと放射センサ102bの間の経路を、少なくとも部分的に遮ることができ、それにより、特に放射を遮る物体が放射センサ102bに近接する場合、3つの放射源すべてに対する放射強度レベルを減衰させる。一部の実施形態では、コントローラ104は、特定の放射センサへの経路が遮られるある範囲の放射源の中央の放射源を決定する。任意選択で、コントローラ104は、放射源の放射強度レベルが何らかのしきいレベル以下である場合だけ、放射源が遮られたとして扱うことができ、ある範囲の減衰させられた放射源の端にある少し減衰させられた放射源を含むまたは除外するための仕組みを提供する。この例では、中央の放射源は放射源106cである。次に、コントローラは、中央の放射源と、フレーム108の適切な側面の間の角度θまたはφ(この場合、右側116に対する角度φ)に基づき、放射を遮る物体の位置を推定する。別の実施形態では、コントローラは、遮られる放射源に対する角度の範囲の中の中央の角度θまたはφ(適切な放射センサに依存する)を使用することができる。放射源を放射センサに関係付ける各角度に対応する異なる値、たとえば各角度の正接がコントローラ104内に記録される場合、記録された値は、中央の放射源または角度を決定した後に使用されることができる。
【0041】
推定された位置P
124a(x
124a,y
124a)は、放射センサ102aおよび102bを分離する寸法dと同じ単位で測定された物理的位置である。
【0042】
一部の実施形態では、コントローラは、上記で説明されたように同時にではなく、放射センサ102のそれぞれに対する放射強度信号122を順次集めてもよい。たとえば、放射センサ102aに見える放射源が順次活動化されることができ、放射強度信号122aが集められることができる。次に、センサ102bに見える放射源が順次活動化されることができ、放射強度信号122aが集められることができる。放射強度信号122を同時にではなく順次集めるこの手順は、放射源106の一部またはすべての強度が、異なる放射センサ102に対して変えられることができるようにする。
図1を参照すると、放射センサ106eは、放射センサ102aよりも放射センサ102bに近接する。放射センサ102bに対する放射強度信号を集めるときより放射センサ102aに対する放射強度信号を集めるときに、放射源106eをより高い強度で活動化することが望ましいことがあり得る。
【0043】
別の実施形態では、放射強度信号は同時に集められてもよいが、放射源の少なくとも一部が、異なる放射センサでサンプリングするために異なる強度で活動化されてもよい。たとえば、一部の放射源が2回以上活動化されることができ、異なる放射センサがそれぞれの活動化中にサンプリングされることができる。さまざまな別の組合せが可能である。たとえば、左側108の放射源が順次活動化されることができ、各放射源が活動化中の間に、放射センサ102bがサンプリングされることができる。次に、下側112の放射源がそれぞれ2回活動化されることができ、放射センサ102a、102bのそれぞれが活動化の一方の間にサンプリングされることができる。次に、右側116の放射源が活動化されることができ、放射センサ102aがサンプリングされることができる。各放射源からサンプリングされる放射強度レベルが、その放射センサに対する放射強度信号の中に集められることができる。別の実施形態では、放射センサの両方に見える一部の放射センサが、放射センサのそれぞれからほぼ等距離とすることができ、放射センサはそのような放射源の同じ活動化中にサンプリングされることができる。たとえば、放射源106bおよび一部の近傍の放射源が、放射センサ102a、102bからほぼ等距離にあるので、両方の放射センサは各放射源の単一の活動化中にサンプリングされることができる。
【0044】
本実施形態に戻ると、コントローラ104は、この実施形態ではユニバーサル・シリアル・バス・ポートであるインタフェース148に結合される。
【0045】
別の実施形態では、インタフェースは任意のタイプの通信インタフェースであってもよい。たとえば、インタフェース148はアナログインタフェースまたはデジタルデータインタフェースたとえばシリアル・データ・ポートまたはパラレル・データ・ポートであってもよい。インタフェースがアナログインタフェースである実施形態では、コントローラはx
124aおよびy
124aの値に対応するアナログ信号(たとえば電流信号または電圧信号)を提供することができる。インタフェースがデジタルインタフェースである一実施形態では、コントローラは物理的位置x
124aおよびy
124aをセンサ102aおよび102bに対する対応するデジタルの位置x
124dおよびy
124dに変換するように構成されることができる。コントローラはインタフェースでデジタルの位置x
124dおよびy
124dを提供するように構成されることができる。
【0046】
本実施形態では、表面128はLCD表示スクリーンの表面である。LCD表示スクリーンはXの水平画素×Yの垂直画素の解像度を有する。たとえば、一部の実施形態では、スクリーンは1280×1024画素、または1920×1080画素の解像度を有してもよい。別の実施形態では、表示スクリーンが任意の別の標準または非標準の画素解像度を有してもよい。コントローラ104は物理的位置を、対応する画素位置P
124d(x
124d,y
124d)に変換する。コントローラ104は、物理的位置と画素位置の間を変換する公式を使用して、または任意の別の方法を使用して、水平および垂直の物理的位置に対応する水平および垂直の画素位置を提供するルックアップテーブルの使用を含むさまざまな技法を使用して、上記のように構成されることができる。コントローラ104はインタフェース148でデジタルの位置P
124dを提供する。
【0047】
図1および
図4を参照する。別の実施形態では、コントローラ104は放射を遮る物体124の位置P
124aを異なるやり方で推定するように異なって構成され、またはプログラムされる。この実施形態では、強度信号122は、各放射センサ102、およびフレーム108の側面に対する放射を遮る物体124の角度位置をより正確に推定するために使用される。
【0048】
図4は、コントローラ104がこの実施形態に従って構成されたときの放射強度信号122bの一部を図示する。この実施形態では、コントローラ104は、各放射センサと組み合わせて各放射源に対するベースライン強度レベルを確立する。各放射源に対して、コントローラ104は、ベースライン強度レベル126を発生するために、放射源がオンで、かつ放射を遮る物体がない間に、放射センサ102bからの放射強度レベルをサンプリングする。放射源106a、および106b〜106dに対するベースライン強度レベルが示されている。
【0049】
この実施形態では、システムの始動中、放射源が見える(すなわち、放射源と放射センサの間に直接の経路がある場合)各放射センサに関して、ベースライン強度レベルが各放射源に対して最初に決定される。システムが始動している間、強度信号の最初の1組のサンプルが破棄される。この最初の始動期間に続く選択された期間に、放射強度レベルが、放射源がオンの間にサンプリングされる。放射強度レベルは記録され、平均強度レベルが各放射センサで放射源に対して決定される。たとえば、各放射源が毎秒50回活動化される場合、ベースライン強度レベルは各放射センサで各放射源に対して1秒の半分を表す最初の25のサンプルを使用して計算されてもよい。別の実施形態では、ベースライン強度レベルが、より多くのまたはより少ないサンプルにわたり、あるいはより長い期間またはより短い期間、計算されてもよい。各放射センサに対するベースライン強度レベルは、特定の放射源のスイッチが入れられたときに、放射センサに到達する放射の量に影響を及ぼす周囲条件または別の条件を本来的に考慮する。そのような別の条件は、各放射源により放出される放射の量、放射源と放射センサの間の物理的距離を含み、システム100が使用されるやり方をも含んでよい。
【0050】
各放射センサ102について、各放射源106に対して計算されたベースライン強度レベルは時間の経過と共に更新されることができる。たとえば、周囲条件および別の条件が変化したとき、現在の期間にわたる放射強度読取り値の一部の移動平均がベースラインレベルをさらに正確にするために計算されてもよい。一部の放射強度読取り値は、更新されるベースライン強度レベルを計算するために使用されなくてもよい。たとえば、10番目または20番目ごとの放射強度読取り値が、各ベースライン強度レベルに対する移動平均を計算するために使用されてもよい。このことは、より長い期間に対応するベースライン強度レベルを計算するために記憶されなければならないデータの量を低減し、このタスクに対処するためにコントローラで必要とされる計算時間も低減する。典型的には、ベースライン強度レベルは、1秒の一部から数秒または何10秒までもの現在の期間に対して計算される。放射源106と放射センサ102の間の経路が遮られたとき、そのセンサでのその発生源に対する放射強度レベルは大きく低減されるが、周囲の放射および一部の放射が、放射を遮る物体を迂回して放射センサに依然として到達し得る。コントローラは、以下でさらに説明されるように、ベースライン強度をさらに正確にするとき、現在のベースライン強度レベルと比較して一定のしきい値未満の放射強度レベルを除外してもよい。各放射センサでの各放射源に対するベースライン強度レベルを計算するためのさまざまな別の方法も使用されることができる。一部の実施形態では、1つのベースライン強度レベルが放射センサのグループまたはすべてに対して計算されてもよい。別の実施形態では、所定の強度レベルが放射源の一部またはすべてに対するベースライン強度レベルとして使用されてもよい。
【0051】
この実施形態では、放射源106が活動化されるたびに、放射源が見える各放射センサ102からの放射強度レベルがサンプリングされ、その放射センサでのその放射源に対する既存のベースライン強度レベルと比較される。現在の強度レベルがベースライン強度レベル未満の何らかのしきい値より大きい場合、ベースラインレベルとのパーセンテージ差分が計算される。たとえば、しきい値はベースライン強度レベルの90%であり得る。現在の強度レベルがベースラインレベルの90%より大きい場合、現在の強度レベルがベースラインレベルをさらに正確にするために使用されてもよく、または破棄されてもよい。現在の強度レベルがベースラインレベルの90%より小さい場合、プロセッサは、放射源106と放射センサ102の間の経路が少なくとも部分的に遮られていると仮定する。別の実施形態では、別のしきいレベルが使用されてもよい。
【0052】
コントローラは周期的手順で放射源を連続して活動化する。放射源106のスイッチを入れて放射源に対する各放射センサからの放射強度レベルを測定する各サイクル後に、コントローラは放射を遮る物体の位置を推定する。上記で指摘されたように、
図4は、いくつかの放射源106のそのベースラインレベル126に対する減衰を図示する。放射センサ102で測定される放射源106aに対する現在の強度レベルはベースライン強度レベル126aの90%より大きいので、放射を遮る物体124の位置を推定する目的では無視されるが、現在の強度レベルは、放射センサ102bで測定される放射源106aに対するベースラインレベルをさらに正確にするために使用されることができる。同様に、放射源106bに対する現在の強度レベルはベースライン強度レベル126bの90%より大きいので、放射を遮る物体の位置を推定する目的では無視されるが、このとき、少しさらに高いベースラインレベルをさらに正確にするために使用されることができる。
【0053】
放射源106cおよび160dに対する現在の強度レベルは、それらのそれぞれのベースラインレベル126cおよび126dの90%未満である。放射源106cに対する現在の強度レベルはベースライン強度レベル126cの53%である。放射源106dに対する現在の強度レベルはベースライン強度レベル126dの31%である。コントローラ104はこれらの偏差を総計100%に正規化する。すなわち、放射源106cからの放射の相対的減衰は総減衰の63%を表し(31%/84%=63%)、放射源106dからの放射の相対的減衰は総減衰の37%を表す。
【0054】
このとき、右側116と、放射源102bと放射を遮る物体124の間の線132との間の角度φが以下のように推定される。放射源106cに対する角度φ
cは44°である。放射源106dに対する角度φ
d(図示されていない)は42°である。この実施形態では、角度自体を記録するのではなく、各角度の正接が記録される。このとき、フレーム108の左側と、放射センサ102bと放射を遮る物体124の間の経路との間の角度φ
124の正接が以下のように推定されることができる。
Tan(φ
124)=0.63×tan(44°)+0.37×tan(42°)
=0.9415。
角度φ
124は43.27°である。
【0055】
角度自体が記録される一実施形態では、角度φ
124は以下のように推定されることができる。
φ
124=0.63×44°+0.37×42°
=43.26°。
【0056】
角度φ
124の推定値は、角度と角度の正接の間の非線形性により異なる。
【0057】
角度θ
124は、左側114と、放射センサ102aと放射を遮る物体124の間の線との間の角度に対して計算される。2つの計算された角度φ
124およびθ
124は、放射を遮る物体124の位置(x
b、y
b)を推定するために使用される。
【0058】
このやり方では、コントローラ104は、放射センサの一方で測定される2つ以上の放射源の減衰を使用して、異なる放射源の相対的減衰を正規化し、次にフレームの適切な側面および放射センサからのこれらの発生源の角度の加重平均を計算することにより、フレーム108の左側または右側、および放射センサ102の一方に対する放射を遮る物体の角度位置を推定することができる。
【0059】
この実施形態は、放射源106が置かれる特定の角度の間で角度θおよびφが推定されることができるようにすることにより、第1の実施形態よりも、放射を遮る物体124の位置がより正確に推定されることができるようにすることができる。
【0060】
システム100は、さまざまなタイプの放射を遮る物体124の位置を識別するためにさまざまな構成で使用されることができる。たとえば、システム100はホワイトボードまたは別の表示装置表面と共に使用されてもよい。フレーム108はホワイトボードの端またはフレームに取り付けられてもよい、あるいはさらにホワイトボードのフレームであってもよい。放射を遮る物体124はホワイトボード上に書くために使用されるペンでもよく、ペンがホワイトボードの表面をあちこち動かされるとき、ペンの位置がコントローラ104により推定される。コントローラ104は、ペンの位置の推定値を記録するためにホワイトボードシステムに結合されてもよい(またはその一部であってもよい)。ペンの位置の推定値を連続して記録することにより、ホワイトボード上の情報が電子的形式で再現されることができ、その後の使用のために記録されることができ、表示または印刷されることができる。ホワイトボードシステムは推定される位置の間のペンの動きの経路を計算するため、および計算された経路を平滑化するためのソフトウェアを含んでもよい。
【0061】
ホワイトボード上に書くためにペンが使用されるとき、ホワイトボード上のインクが、放射センサ102上に反射される周囲の光の量を変化させ得る、さらに、放射源106から放射センサ102に伝播する放射の量を変化させ得る、それにより、放射源106の一部またはすべてに対して測定される放射強度のレベルに影響を及ぼす。そのような実施形態では、放射源の一部またはすべてに対するベースライン強度レベルを周期的に更新することにより、放射を遮る物体の位置の推定値の精度を改善させることができる。
【0062】
別の実施形態では、システム100は、タッチスクリーンを形成するために表示モニタまたは表示スクリーンと共に使用されることができる。フレーム108は表示モニタに搭載されてもよい、または表示モニタのハウジングの一部であってもよい。放射を遮る物体124はこの場合、指であってもよく、人が自分の指を表示モニタの上へ、または表示モニタから離して動かすとき、指の存在が検出され、表示スクリーン上の指の位置がコントローラ104により推定される。コントローラ104はタッチ・スクリーン・システム(表示モニタも含む)に結合されてもよく(またはその一部であってもよく)、タッチ・スクリーン・システムに対する指の位置の推定値を提供することができる。指が表示スクリーン上をあちこち動かされたとき、指の位置の連続推定値が、指の動きの電子的記録を提供するためにタッチ・スクリーン・システム内に記録されることができ、推定された位置が表示モニタ上に表示されることができる。タッチ・スクリーン・システムは、指の連続して推定される位置の間の指の動きの経路を計算するため、および計算された経路を平滑化するためのソフトウェアまたは別の構成要素を含んでもよい。そのようなタッチ・スクリーン・システムは、システム100と組み合わせて、ユーザが、ユーザの指を使用して、表示モニタ上に書くまたは描く、あるいは表示モニタ上に表示される物体を操作することが効果的にできるようにする。
【0063】
タッチ・スクリーン・システムでは、放射源106および放射センサ102が表示スクリーンに比較的近接して置かれることができ、放射センサに入射する放射の量が、表示スクリーン上に表示される情報が変化するにつれて変わり得る。そのような実施形態では、放射源の一部またはすべてに対するベースライン強度レベルを更新することも有益であり得る。
【0064】
次に、
図5(A)および
図5(B)が参照される。
図5(A)は放射を遮る物体524の位置を推定するための別のシステム500を図示する。
図5(B)はシステム500の右下角をさらに詳細に図示する。システム500は、大部分はシステム100に類似し、対応する要素が対応する参照符号で識別される。システム500は放射源506に隣接して搭載されるディフューザ530を含む。ディフューザ530は、放射源により放出される放射を拡散させ、それにより、放射センサ502から見られたときに、放射源により見かけ上はフレーム508の左側、下側、および右側に沿って送出される放射の量を平滑化する。この実施形態では、フレームの左側および右側、ならびに放射センサに対する放射を遮る物体524の角度位置が、システム100に関連して上記で説明されたように推定される。本発明者らは、放射源506により放出される放射を拡散させることが、放射を遮る物体の位置のより正確な推定値を提供することができることを発見した。
【0065】
少し曇らされたまたは半透明のプラスチック、あるいは放射源からの放射を拡散させるが放射センサ102により正確に測定することができないほどに過度には散乱させない別の材料を含むさまざまな材料が、ディフューザ530として使用するのに適している。一部の実施形態では、ディフューザを通過する放射を拡散させるが、実質的に遮らない光学グレードのディフューザが、回折格子を含み効果的に使用されることができ、レンズ状のディフューザおよびレンズ状の回折格子がディフューザ530として使用されてもよい。
図5(B)は、フレーム508の下側512に取り付けられた連続したレンズ状のディフューザ530b、およびフレーム508の右側516に取り付けられた連続したレンズ状のディフューザ530rを図示する。
【0066】
図6は、
図5(B)で図示されるシステム500の一部に対応する別の実施形態600の一部を図示する。システム600では、個々のディフューザ630が各放射源506に近接して取り付けられる。
【0067】
本発明の一部の実施形態では、コントローラは放射源の一部またはすべてにより放出される放射の強度を変えることができる。これは、周囲の光の影響を克服するため、システムによる電力消費を低減するため、または別の理由のために、放射センサでの放射源に対する測定される強度レベルを変えるために行われることができる。
【0068】
上記で説明される実施形態では、フレームは長方形であり、放射センサはフレームの2つの角に搭載される。別の実施形態では、フレームは異なる形状を有してもよい。たとえば、本発明は掲示板、または任意の規則的または不規則な形状を有する別の物体と共に使用されてもよく、フレームは基になる物体の上にまたはそれを覆って合うように形作られ、または合うような大きさに作られてもよい。センサは、フレームの側面(直線でも曲線であってもよい)に沿うことを含み、フレーム上のさまざまな場所に置かれてもよい。いずれの場合も、各センサの位置、およびセンサから見える放射源の位置は、放射を遮る物体の存在および位置を幾何学的に識別するために使用される。
【0069】
長方形または別のフレーム形状を有する一部の実施形態では、追加のセンサが使用されることができる。たとえば、追加のセンサは、システム100(
図1)およびシステム500(
図5(A))の左下および右下の角に追加されることができる。一部の実施形態では、追加の放射源が、フレームの上側110に沿って追加されることができる。一部の実施形態では、追加のセンサからの放射を遮る物体124または524の位置に関する追加の情報が、放射を遮る物体の位置のより正確な推定値を提供するために組み合わせられることができる。
【0070】
長方形または別のフレーム形状を有する一部の実施形態では、センサはフレームの側面に沿って置かれてもよい。放射センサおよび放射源の位置決めは、放射を遮る物体が検出されるべき基になるシステム(たとえばホワイトボード、表示モニタ、または別のシステム)の部分に依存し得る。
【0071】
さまざまな実施形態では、本発明によるシステムが、放射源、放射センサ、およびディフューザを含むシステムの構成要素の一部またはすべてを隠すベゼル(フレームの一部であってもよい)を含むことができる。一部の実施形態では、ベゼルまたはフレームまたは両方は、放射を吸収する塗料で塗られるか、または別の方法で、ベゼルまたはフレームまたは両方から放射センサに向けて反射される放射の量を低減するように適合されることができる。
【0072】
一部の実施形態では、放射センサの一部またはすべてと、放射源の一部またはすべてとの間に光学フィルタが置かれることができる。たとえば、光学フィルタが、周囲放射の量、および放射センサに入射する別の望ましくない放射の量を低減するために、放射センサの周りに取り付けられることができる。
【0073】
次に、2つ以上の放射を遮る物体の位置を同時に追跡するためのシステム700を図示する
図7が参照される。システム700は、接続されるコンピュータまたは別の外部システムに対して入力機器としても出力機器としても動作するタッチスクリーンである。
【0074】
システム700は構造がシステム100およびシステム500に類似し、対応する構成要素が類似する参照符号により識別される。システム700は電子ホワイトボードシステムまたはLCDタッチスクリーンとして使用されることができる。
【0075】
システム700は、1対の放射センサ702a、702b、コントローラ704、フレーム708に搭載される複数の放射源706、およびLCD表示スクリーンを含む。放射源706はフレーム708の左側714、下側712、および右側716に搭載される。フレーム708はまた、上側710を有する。放射センサ702aはフレーム708の左上角に搭載され、放射センサ702bはフレーム708の右上角に搭載される。放射センサ702aおよび702bは距離dだけ分離される。コントローラ704は放射センサ702および放射源706に結合される。コントローラ704は放射源を制御し、システム100に関連して上記で説明されたように、放射センサから放射強度レベルを受け取る。
【0076】
フレーム708の側面はx−y平面の軸に平行である。1対の放射を遮る物体724aおよび724bが、放射を遮る物体724のそれぞれが放射源706の少なくとも1つと放射センサ702の間の直線経路を妨害するように置かれる。
【0077】
LCD表示スクリーンはフレーム708内部に搭載され、表示面728を有する。見通し経路の線に沿って、放射源706から放射センサ702への放射が表示面の上方を通過し、これは一般に表示面に平行である。LCD表示スクリーンはXの水平画素×Yの垂直画素の解像度を有する。たとえば、一部の実施形態では、LCD表示スクリーンは1280×1024画素、または1920×1080画素の解像度を有してもよい。多くの別の画素解像度がさまざまな表示パネルに対して可能である。さまざまな実施形態では、任意のタイプの表示パネルがLCDパネルの代わりに使用されてもよい。典型的には、フレーム708は表示パネルに搭載され、またはさらに表示パネルのハウジングの一部を形成する。
【0078】
システム700はディフューザを、たとえば
図5および
図6に図示されるディフューザ530および630を任意選択で含むことができる。
【0079】
システム700は典型的にはいくつかの入力/出力インタフェースを含む。本実施形態では、コントローラ704は、放射を遮る物体の位置をコンピューティング機器に送るためのインタフェース748を介してコンピューティング機器に結合される。たとえば、インタフェース748はシリアルインタフェースたとえばUSBインタフェース、または並列インタフェースであってもよい。LCD表示装置はビデオ信号を受け取るためにコンピューティング機器に結合され、ビデオ信号はビデオ信号インタフェース(図示されていない)を通して表示装置728上に表示される。
【0080】
次に、放射を遮る物体724aおよび724bの位置を識別または推定する方法800を図示する
図8が参照される。この実施形態では、方法800はコントローラ704により実行される。方法800の開始以前には、放射を遮る物体は表示面728上に置かれていない。
【0081】
方法800はステップ802で始まり、ステップ802では、最初に、第1の放射を遮る物体724aが表示面728上に置かれる。方法800を実行するための命令がメモリ721内に記録される。コントローラ720は記憶された命令にアクセスし、方法を実行するために命令を実行する。
【0082】
方法800は例によって説明され、例示の目的のために、最初に第1の放射を遮る物体が
図7に示される位置で表示面上に置かれる。このステップでは、放射を遮る物体724bは表示面728上に置かれない。
【0083】
放射を遮る物体724aが表示面728上に置かれた後の放射強度信号722aおよび722bを図示する
図9aおよび
図9bが参照される。
【0084】
放射強度信号722aは、放射源706i〜706kからの放射強度レベルが放射センサ702aで減衰させられることを示す。放射強度信号722bは、放射源706a〜406cからの放射強度レベルが放射センサ702bで減衰させられることを示す。
【0085】
コントローラ704は、システム100に関連して上記で説明されたように、放射強度信号722aおよび722bを使用して、放射を遮る物体724aの物理的位置P
724a(x
aa,y
aa)を推定する。位置P
724a(x
aa,y
aa)は、センサ702の位置に対して角度(θ
a,φ
a)に基づき計算された物理的(またはアナログの)位置である。
【0086】
コントローラ704は、表面728上で検出されたそれぞれの放射を遮る物体の最後の既知の位置が記録されるタッチテーブル(touch table)を維持する。典型的には、タッチテーブルはメモリ721内に記憶される1組の変数またはデータベースの一部でもよい。本実施形態では、タッチテーブルは、2つまでの放射を遮る物体の最後の既知の位置を記録するための2つのスロットAおよびBを含む。別の実施形態では、タッチテーブルは3つ以上のスロットを含むことができ、または可変の数のスロットを含むことができる。
【0087】
コントローラ704はタッチテーブル内のスロットA内に第1の放射を遮る物体724aの物理的位置P
724aを記録する。
【表2】
【0088】
物理的位置P
724a(x
aa,y
aa)はLCD表示装置728上の画素(またはデジタルの)位置P
724d(x
ad,y
ad)に対応する。コントローラ704は物理的位置P
724aを対応する画素位置P
724dに変換し、インタフェース748で画素位置P
724dを提供する。
【0089】
次に、方法800はステップ804に進む。ステップ804では、コントローラ704は放射源706および放射センサ702を動作させて、各放射センサ702からの、放射源706に関連する放射強度レベルを順次得る。各放射センサからの放射強度レベルは放射強度信号722の中に組み合わせられる。コントローラ704は各放射強度信号722を分析して、放射強度信号のそれぞれの中に表される放射を遮る物体の数を決定する。
【0090】
この実施形態では、2つまでの放射を遮る物体が表面728上に置かれることができる。
【0091】
2つの放射を遮る物体724aおよび724bが表面728上に置かれたときの例示的放射強度信号722aおよび722bを図示する
図10aおよび
図10bが参照される。放射強度信号722aおよび722bのそれぞれが、放射源702のそれぞれで減衰させられた放射強度レベルの2つの別個の範囲を有する。(放射強度レベルが減衰させられた放射源が、減衰させられた放射源として参照されてもよい)。各範囲の減衰させられた放射強度レベルが、別個の放射を遮る物体724に対応する。減衰させられた放射強度レベルの範囲は、減衰させられていない少なくとも1つの放射源により分離される。たとえば、さらに
図7を参照すると、放射強度信号722aでは、放射源706i〜706kおよび706p〜706rに対する放射強度レベルが放射センサ702aで減衰させられる。放射源706i〜706kの減衰は放射を遮る物体724aに対応する。放射源706p〜706rの減衰は、放射を遮る物体724bに対応する。コントローラ704は、減衰させられない範囲の間の少なくとも1つの放射源を識別することにより、2つの別個の範囲の減衰させられた放射源を識別するように構成される。一部の状況では、ある範囲の減衰させられた放射源が、単一の減衰させられた放射源からなることがあり得る。
【0092】
2つの放射遮断物が表面728上に置かれた別の状況を図示する
図11、
図12a、および
図12bが参照される。
図11では、放射を遮る物体724aおよび724bが、角度θ
aおよびθ
bが比較的小さな角度だけ分離されるように置かれる。
【0093】
図12aは、放射を遮る物体724aおよび724bが1つまたは複数の放射源からの放射強度レベルの減衰に重なる影響を及ぼすことを示す放射強度信号722aである。放射を遮る物体724aは放射源706i〜706lからの放射を減衰させるように見える。放射を遮る物体724bは放射源706l〜706oからの放射を減衰させるように見える。コントローラ704は、最低値のいずれよりも高い少なくとも1つの放射強度値により分離される、放射強度信号中の2つの別個の最低値を識別することにより、2つの範囲の減衰させられた放射信号を区別するように構成される。たとえば、
図12aでは、放射源706jおよび706nに対する放射強度レベルが局所的最低値である。これらの局所的最低値はいずれの最低値よりも高いいくつかの放射強度レベルにより分離される。さまざまな実施形態では、コントローラ704はさまざまな方法で2つの別個の範囲を識別するように構成されることができる。場合によっては、ある範囲の減衰放射強度レベルが単一の減衰させられた放射源だけを有することがあり得る。たとえば、一部の実施形態では、コントローラ104は、最低値を何らかの所定の量または比だけ超える、局所的最低値放射強度レベルの間の少なくとも1つの放射強度レベルを識別するように構成されることができる。一部の実施形態では、コントローラは局所的最低値の間の放射強度値の少なくとも2つ(またはそれより大きい数)を必要とするように構成されることができる。
【0094】
図12bは、
図11の放射を遮る物体724aおよび724bの位置に対応する放射強度信号722bを図示する。放射強度信号722bは、放射源706a〜706cおよび706g〜706iに2つの別個の範囲の減衰させられた放射強度レベルを含む。この2つの範囲は、減衰させられない1つまたは複数の放射強度レベルにより分離される。コントローラ704は、
図10aおよび
図10bに関連して上記で説明されたように、2つの範囲の減衰させられた放射強度レベルを区別するように構成される。
【0095】
したがって、コントローラ704は、
図10a、
図10b、
図12a、および
図12bに図示される放射強度信号のそれぞれで減衰させられた放射源の範囲を識別するように構成される。
【0096】
次に、2つの放射を遮る物体724aおよび724bが表面728上に置かれた別の状況を図示する
図13、
図14a、および
図14bが参照される。
【0097】
図13では、2つの放射を遮る物体724aおよび724bが、一般に放射センサ702aと同一直線上にある。一般に放射を遮る物体とさらに同一直線上にある放射源706jにより放出される放射が、放射を遮る物体724bにより放射センサ702aに到達するのを少なくとも部分的に遮られる。放射を遮る物体724aは、放射源706jからの追加の放射が放射源702aに到達するのを遮ることができるが、放射を遮る物体724aは、放射を遮る物体724bの少なくとも部分的に影の中にある。
【0098】
図14aは、
図13の放射を遮る物体724aおよび724bの位置に対応する放射強度信号722aを図示する。放射源706i〜706kに対する放射強度レベルは、放射を遮る物体724aおよび724bにより減衰させられる。放射強度信号722aは、表面728上の単一の放射を遮る物体に起因する放射強度信号に類似する。コントローラ704は放射強度信号722aを分析し、1つの明らかな放射を遮る物体だけを識別することができる。
【0099】
図14bは、
図13の放射を遮る物体724aおよび724bの位置に対応する放射強度信号722bを図示する。放射強度信号722bは、放射源706a〜706cおよび706d〜706fに2つの別個の範囲の減衰させられた放射強度レベルを含む。この2つの範囲は、減衰させられない1つまたは複数の放射強度レベルにより分離される。コントローラ704は、上記で説明されたように、2つの範囲の減衰させられた放射強度レベルを区別するように構成される。
【0100】
したがって、コントローラ704は、このステップ804で得られた放射強度信号722aおよび722bのそれぞれが、ゼロ、1つ、または2つの範囲の減衰させられた放射源を含むように見えるかどうかを決定する。
【0101】
方法800は、放射強度信号で識別された放射を遮る物体の数に応じてステップ804から以下のように続く。
放射強度信号722のそれぞれが(
図9aおよび
図9bに図示されるように)1つの範囲の減衰させられた放射源を含む場合、方法800はステップ806に進む。
放射強度信号722の両方が(
図10aおよび
図10b、ならびに
図12aおよび
図12bに図示されるように)2つの範囲の減衰させられた放射源を含む場合、方法800はステップ808に進む。
(
図14aおよび
図14bに図示されるように)放射強度信号722のどちらか一方が2つの範囲の減衰させられた放射源を含み、かつ他方の放射強度信号が1つの範囲の減衰させられた放射源を含む場合、方法800はステップ810に進む。
放射強度信号722の両方がゼロの範囲の減衰させられた放射源を含む場合、方法800はステップ820に進む。
そうでない場合、方法800はステップ804に戻る。
【0102】
ステップ806では、コントローラ704は、表示面728上の放射を遮る物体724の位置を決定する。コントローラ704は、放射強度信号722aおよび722bのそれぞれで、それぞれの範囲の減衰させられた強度レベルでの加重平均減衰に対応する角度θおよび角度φを計算する。放射を遮る物体724が、上記で説明されたように、角度θおよびφ、ならびに放射センサ702aおよび702bの位置に対応する1対の線746および732の交点に置かれていると考えられる。
【0103】
1つの放射を遮る物体に対応する1つの位置だけがタッチテーブル内に記録される場合、交点は放射を遮る物体の新しい物理的位置であると考えられる。新しい位置は、前に記録された位置の代わりにタッチテーブルに記録される。コントローラは放射を遮る物体の物理的位置を対応する画素位置に変換し、次に、画素位置がインタフェース748で提供される。
【0104】
2つの放射を遮る物体に対応する2つの位置がタッチテーブル内に記録される場合、コントローラは、前に記録された位置のどちらが交点に最も近いかを決定する。交点は、最も近い前に記録された位置に対応する放射を遮る物体の新しい位置であると考えられ、最も近い前に記録された位置はタッチテーブルで交点の位置と置換される。コントローラは放射を遮る物体の物理的位置を対応する画素位置に変換し、次に、画素位置はインタフェース748で提供される。
【0105】
さらに前に記録された位置がタッチテーブルから削除される。
【0106】
次に、方法800はステップ804に戻る。
【0108】
ステップ808で、コントローラ704は、ステップ804で放射強度信号722aおよび722bのそれぞれで識別された2つの範囲の減衰させられた放射源に基づき、放射を遮る物体724が置かれ得るさまざまな点を決定する。
【0109】
たとえば、放射強度信号722aでは、放射源706i〜406kおよび706p〜406rが放射センサ702aで減衰させられる。この2つの範囲の減衰させられた放射源が、減衰させられない少なくとも1つの放射源により分離される。
【0110】
コントローラ704は、各グループの減衰させられたセンサを独立に分析し、上記で角度θ
124に関連して説明されたように、発生源706i〜706kの減衰の加重平均に基づき角度θaを計算する。角度θ
aは放射センサ702aの位置を通って延在する線746aを画定する。
【0111】
コントローラ704はまた、発生源706p〜706rの減衰に基づき角度θ
bを計算する。角度θ
bは、センサ702aの位置を通って延在する線746bを画定する。
【0112】
放射強度信号722bでは、放射源706a〜706cおよび706g〜706iが放射センサ702bで減衰させられる。コントローラ704は、発生源706a〜706cの減衰に基づき角度φ
aを、および発生源706g〜706iの減衰に基づき角度φ
bを計算する。角度φ
aは、センサ702bの位置を通過する線732aを画定する。角度φ
bは、センサ702bの位置を通過する線732bを画定する。
【0113】
線746aは点734および736で線732aおよび732bと交差する。線746bは、線732aおよび732b、ならびに点738および740と交差する。4つの交点が以下のテーブルに示されている。
【表3】
4つの点734〜740は2対で考えられてもよい。放射を遮る物体724aおよび724bは点734および740にあるか、または点736および738にあり得る。
【0114】
次に、方法800は判断ステップ812に進む。
【0115】
ステップ810では、コントローラ704は、放射強度信号722の一方の中の2つの範囲の減衰させられた放射源、および他方の放射強度信号中の単一の範囲の減衰させられた放射源に基づき、放射を遮る物体724aおよび724bが置かれ得るさまざまな点を識別する。
【0117】
2つの減衰させられた範囲の放射源を有する放射強度信号722に対して、ステップ808に関連して説明されるように、各範囲が、2つの角度θaおよびθb、またはφaおよびφbを決定するために別個に分析される。たとえば、
図14bの放射強度信号722bは2つの別個の範囲の減衰させられた放射源を有し、
図13に図示される2つの角度φaおよびφbが、上記で説明されたように計算される。対応する放射センサ702から延在する2つの対応する線も計算される。この例では、線732aおよび732bが計算される。
【0118】
1つだけの範囲の減衰させられた放射源706を有する放射強度信号に対して、1つだけの対応する角度θまたはφが計算されることができる。この例では、放射強度信号722a(
図14a)が1つだけの範囲の減衰させられた放射源706i〜706kを有する。対応する角度θaおよび線746aが計算される。
【0119】
角度θaは角度θbとして複製され、線746aは線746bとして複製される。
【0120】
次に、コントローラ704は、ステップ808で説明されるように、線746aおよび746bと線732aおよび732bの交点に基づき点734〜740を計算する。
【0121】
次に、方法800はステップ812に進む。
【0122】
ステップ812では、コントローラ704はタッチテーブル内に記録された位置の数を決定する。1つだけの位置がタッチテーブル内に記録される場合、方法800はステップ812に進む。2つの位置がタッチテーブル内に記録される場合、方法800はステップ814に進む。
【0123】
ステップ814は、1つの放射遮断の位置がタッチテーブルに記録される場合に実行され、1つの追加の放射を遮る物体が、放射強度信号722aまたは722bの少なくとも一方、あるいは2つの範囲の減衰させられた放射源を有する両方に基づき新たに識別される。
【0124】
コントローラ704は、点734および740、または736および738のどちらが2つの放射を遮る物体724aおよび724bに対応するかを決定する。
【0125】
コントローラ704は、734〜440のどの点がタッチテーブル内に記録された位置に最も近いかを決定する。この例では、ステップ806で、放射を遮る物体724aの物理的位置P1aがステップ806でタッチテーブルのスロットAに記録された。前に知られた位置P1aに最も近い点(点734〜740の中から)が、第1の放射を遮る物体724aの現在位置P1aであると考えられる。位置P1aは点の対(734および740、または736および738)の一方のうちの一方の点に対応する。同じ対のもう一方の点は第2の放射を遮る物体724bの位置P2a(x
ba、y
ba)であると考えられる。たとえば、
図7に図示される例では、放射を遮る物体724aの最後の既知の位置P1aは位置734に最も近い。放射を遮る物体724aは点734に置かれると考えられ、第2の放射を遮る物体724bの位置P2aは点740にあると考えられる。
【0126】
コントローラ704は、タッチテーブルのスロットA内の第1の放射を遮る物体724aの位置P1aを使ってタッチテーブルを更新し、タッチテーブルのスロットB内の第2の放射を遮る物体724bの位置P2aを記録する。
【表4】
【0127】
コントローラ704は、放射を遮る物体724aおよび724bの物理的位置P1aおよびP1aを対応する画素位置P1dおよびP2dに変換し、画素位置P1dおよびP2dを、結合されるコンピューティング機器へのインタフェース748で提供する。
【0128】
次に、方法800はステップ804に戻る。
【0129】
ステップ816では、第1および第2の放射を遮る物体724の位置が、表示面728上を動かされるときに追跡される。
【0130】
タッチテーブルが2つの放射を遮る物体724の位置を使って以前に更新されたとき(ステップ814またはステップ816)、方法800はステップ816に到達する。2つの放射を遮る物体の位置はタッチテーブルで更新され、2つの放射を遮る物体のそれぞれの位置はインタフェース748で報告される。
【0131】
コントローラ704は、タッチテーブルで最後に記録された位置P1aおよびP2aからの動きの可能な組合せをそれぞれ分析する。この実施形態では、4つの可能な組合せが以下の通りである。
組合せ1:放射を遮る物体724aが位置734に動き、放射を遮る物体724bが位置740に動いた。
組合せ2:放射を遮る物体724aが位置740に動き、放射を遮る物体724bが位置734に動いた。
組合せ3:放射を遮る物体724aが位置736に動き、放射を遮る物体724bが位置738に動いた。
組合せ4:放射を遮る物体724aが位置738に動き、放射を遮る物体724bが位置736に動いた。
各組合せに対して、コントローラ704は、2つの放射を遮る物体724が動く総距離を計算するように構成される。たとえば、組合せ3では、第1の放射を遮る物体724aが位置P1aから位置736まで動き、第2の放射を遮る物体724bが位置P2aから位置738まで動く。それぞれの放射を遮る物体が動く距離が標準的な幾何学的手法を使用して計算されることができる。
【0132】
各組合せに対して、それぞれの放射を遮る物体が動く距離が一緒に合計される。この例では、各組合せが以下の総距離をもたらす。
組合せ1: 0.2mm
組合せ2: 82.4mm
組合せ3: 46.5mm
組合せ4: 85.3mm
【0133】
コントローラ704は、放射を遮る物体が、2つの放射を遮る物体の最短の総計の動きを必要とする組合せに従って動いたと考えるように構成される。本例では、これは組合せ1である。放射を遮る物体724aは点734に動いたと考えられる。放射を遮る物体724bは点740に動いたと考えられる。コントローラ704は、それぞれの放射を遮る物体の新しい位置を使ってタッチテーブルを更新する。コントローラ704は、放射を遮る物体724aおよび724bの新しい物理的位置P1aおよびP2aを対応する画素位置P1dおよびP2dに変換し、画素位置P1dおよびP2dを、結合されるコンピューティング機器へのインタフェース748で提供する。
【0134】
次に、方法800はステップ804に戻る。
【0135】
方法800は、両方の放射を遮る物体が表示面728から取り除かれた場合、ステップ820に到達する。コントローラは、タッチテーブル内のすべての記録された位置を削除し、放射を遮る物体が表示面728上に検出されなかったという指示をインタフェース748で提供することができる。
【0136】
方法800を使用して、コントローラ704は、1つまたは2つの放射を遮る物体が表示面728上に置かれ、表示面728をあちこち動かされたときに、1つまたは2つの放射を遮る物体の連続する位置を提供する。方法は、表示面上に放射を遮る物体が何も識別されないときを決定する。
【0137】
システム700および方法800では、物理的位置、およびさまざまな点の間の距離が物理的寸法で計算されるとき、放射を遮る物体の位置がタッチテーブル内に記録される。別の実施形態では、位置が記録されてもよく、距離が画素の寸法で計算されてもよい。
【0138】
本発明が例だけによって説明された。本発明の精神および範囲を逸脱することなくさまざまな修正および変形がこれらの例示的実施形態に行われることができる。