(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一絶縁性基板と、前記第一絶縁性基板の搭載面に設けられた第一導体層と、前記第一導体層に設けられた第一パワーデバイスと、前記第一パワーデバイスに接続された第一接続部と、を有する第一部材と、
第二絶縁性基板と、前記第二絶縁性基板の搭載面に設けられた第二導体層と、前記第二導体層に設けられた第二パワーデバイスと、前記第二パワーデバイスに接続された第二接続部と、を有する第二部材と、
前記第一部材と前記第二部材との間で上下方向に延在する導体柱と、
前記第一導体層、前記第一パワーデバイス、前記第二導体層、前記第二パワーデバイス及び前記導体柱を覆う封止樹脂と、
を備え、
前記第一パワーデバイスと前記第二パワーデバイスとが、対向して配置されるとともに、前記導体柱で互いに接続され、
前記第一パワーデバイスと前記第二パワーデバイスの水平面における位置がずれており、
前記第一接続部の上下方向には前記第二導体層が設けられておらず、
前記第二接続部の上下方向には前記第一導体層が設けられていないことを特徴とする半導体モジュール。
前記第一パワーデバイスと前記第一接続部との接続箇所から見て前記第一接続部が延在する水平面における方向と、前記第二パワーデバイスと前記第二接続部との接続箇所から見て前記第二接続部が延在する水平面における方向とは135度〜180度で異なることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、高い放熱性を実現するとともに、上下方向(厚み方向)の大きさを小さくすることができる半導体モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による半導体モジュールは、
第一絶縁性基板と、前記第一絶縁性基板の搭載面に設けられた第一導体層と、前記第一導体層に設けられた第一パワーデバイスと、前記第一パワーデバイスに接続された第一接続部と、を有する第一部材と、
第二絶縁性基板と、前記第二絶縁性基板の搭載面に設けられた第二導体層と、前記第二導体層に設けられた第二パワーデバイスと、前記第二パワーデバイスに接続された第二接続部と、を有する第二部材と、
前記第一部材と前記第二部材との間で上下方向に延在する導体柱と、
前記第一導体層、前記第一パワーデバイス、前記第二導体層、前記第二パワーデバイス及び前記導体柱を覆う封止樹脂と、
を備え、
前記第一パワーデバイスと前記第二パワーデバイスとが、対向して配置されるとともに、前記導体柱で互いに接続され、
前記第一パワーデバイスと前記第二パワーデバイスの水平面における位置がずれており、
前記第一接続部の上下方向には前記第二導体層が設けられておらず、
前記第二接続部の上下方向には前記第一導体層が設けられていない。
【0006】
本発明による半導体モジュールにおいて、
前記第一パワーデバイスは、第一高発熱面と、前記第一高発熱面と反対側の面であって前記第一高発熱面よりも発熱量が少ない第一低発熱面とを有し、
前記第二パワーデバイスは、第二高発熱面と、前記第二高発熱面と反対側の面であって前記第二高発熱面よりも発熱量が少ない第二低発熱面とを有し、
前記第一高発熱面と前記第二高発熱面とが、互いに対向するとともに、前記導体柱によって接続されてもよい。
【0007】
本発明による半導体モジュールにおいて、
前記第一パワーデバイス及び前記第二パワーデバイスはスイッチングデバイスであり、
前記導体柱の側面には、1つのソース電極に接続される柱接続部が設けられてもよい。
【0008】
本発明による半導体モジュールにおいて、
前記第一パワーデバイス及び前記第二パワーデバイスはスイッチングデバイスであり、
前記第一接続部及び前記第二接続部は制御電極に接続されてもよい。
【0009】
本発明による半導体モジュールにおいて、
前記第一パワーデバイスと前記第一接続部との接続箇所から見て前記第一接続部が延在する水平面における方向と、前記第二パワーデバイスと前記第二接続部との接続箇所から見て前記第二接続部が延在する水平面における方向とは135度〜180度で異なってもよい。
【0010】
本発明による半導体モジュールにおいて、
前記第一パワーデバイスは、前記導体柱に対して、水平面において前記第一接続部が設けられている方向に向かってずれて配置され、
前記第二パワーデバイスは、前記導体柱に対して、水平面において前記第二接続部が設けられている方向に向かってずれて配置されてもよい。
【0011】
本発明による半導体モジュールは、
複数のリードフレームをさらに備え、
各リードフレームは前記封止樹脂の一辺から外部に突出し、
前記第一パワーデバイスと前記第二パワーデバイスとは、前記一辺と平行な方向でずれてもよい。
【0012】
本発明による電子機器は、
前述したいずれかの半導体モジュールと、
前記半導体モジュールを挿入するための凹部が設けられたヒートシンクと、
を備える。
【0013】
本発明による電子機器において、
前記ヒートシンクの前記凹部と前記半導体モジュールとの間には潤滑剤が塗られてもよい。
【0014】
本発明による電子機器は、
前記ヒートシンクの前記凹部に挿入された前記半導体モジュールを覆う閉鎖部をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、第一パワーデバイスと第二パワーデバイスの水平面における位置がずれており、第一接続部の上下方向には第二導体層が設けられておらず、第二接続部の上下方向には第一導体層が設けられていない。このため、半導体モジュールの上下方向(厚み方向)の大きさを小さくすることができ、その結果、封止樹脂の量を減らすことができる。また、第一パワーデバイスと第二パワーデバイスの水平面における位置がずれていることで、第一パワーデバイス及び第二パワーデバイスの各々から発生する熱が相互に重なりあうことを極力防止することができる。これらのことから、発熱性の高い第一パワーデバイスと第二パワーデバイスとが対向して配置される態様であっても、熱が半導体モジュール内に籠ることを極力防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る半導体モジュールの第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態の半導体モジュール100は、第一部材10と、第二部材20と、第一部材10と第二部材20との間で上下方向に延在する導体柱31と、を有している。本実施の形態では、第一部材10の第一絶縁性基板11と第二部材20の第二絶縁性基板21とが平行に配置されている。本実施の形態では、第一絶縁性基板11及び第二絶縁性基板21の延在する面(
図1の左右方向に延在する面)を水平面と呼び、この水平面に直交する方向(つまり
図1の上下方向)を上下方向と呼ぶ。
【0019】
図2に示すように、第一部材10は、第一絶縁性基板11と、第一絶縁性基板11の搭載面に設けられた第一導体層12(12a―12c)と、第一導体層12の第一導体層部分12b(後述する)に設けられた第一パワーデバイス13と、第一パワーデバイス13に接続された第一接続部46と、を有している。本実施の形態では、
図2における第一パワーデバイス13の上面の左側略中央に第一接続部46が接続されている。
【0020】
図3に示すように、第二部材20は、第二絶縁性基板21と、第二絶縁性基板21の搭載面に設けられた第二導体層22(22b,22c)と、第二導体層22の第二導体層部分22b(後述する)に設けられた第二パワーデバイス23と、第二パワーデバイス23に接続された第二接続部56と、を有している。本実施の形態では、
図3における第二パワーデバイス23の上面の左側略中央に第二接続部56が接続されている。
【0021】
なお、本実施の形態では、第二部材20が反転されて第一部材10に重ねられる。このため、
図1に示す態様では、第一接続部46は第一パワーデバイス13の上面左側に接続されているが、第二接続部56は第二パワーデバイス23の下面右側に接続されている。
【0022】
パワーデバイスの一例としてはスイッチングデバイスを挙げることができる。より具体的には、パワーデバイスの一例として、MOSFET等のFET、バイポーラトランジスタ、IGBT等を挙げることができ、典型例を挙げるとするとMOSFETを挙げることができる。
【0023】
図5に示すように、本実施の形態の半導体モジュール100は、第一導体層12、第一パワーデバイス13、第二導体層22、第二パワーデバイス23及び導体柱31を覆う封止樹脂80も有している。
【0024】
図2に示すように、第一導体層12は、第一絶縁性基板11の搭載面に設けられた複数の第一導体層部分12a−12cを有している。
図3に示すように、第二導体層22は、第二絶縁性基板21の搭載面に設けられた複数の第二導体層部分22b,22cを有している。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態では、第一パワーデバイス13と第二パワーデバイス23とが、対向して配置されるとともに、導体柱31で互いに接続されている。そして、
図4に示すように、第一パワーデバイス13と第二パワーデバイス23の水平面における位置はずれている。そして、第一接続部46の上下方向には第二導体層22が設けられておらず、同様に、第二接続部56の上下方向には第一導体層12が設けられていない。
【0026】
第一パワーデバイス13は、導体柱31に対して、水平面において第一接続部46が設けられている方向(
図4の左方向)に向かってずれて配置されている。他方、第二パワーデバイス23は、導体柱31に対して、水平面において第二接続部56が設けられている方向(
図4の右方向)に向かってずれて配置されている。なお、本実施の形態の導体柱31の横断面は略矩形状になっている。
【0027】
第一パワーデバイス13は、第一高発熱面と、第一高発熱面と反対側の面であって第一高発熱面よりも発熱量が少ない第一低発熱面とを有している。同様に、第二パワーデバイス23は、第二高発熱面と、第二高発熱面と反対側の面であって第二高発熱面よりも発熱量が少ない第二低発熱面とを有している。そして、本実施の形態では、第一部材10の第一高発熱面が
図1の上側に位置し、第二部材20の第二高発熱面が
図1の下側に位置しており、第一高発熱面と第二高発熱面とは互いに対向している。これら第一高発熱面と第二高発熱面とは導体柱31によって接続されている。
【0028】
図2に示すように、導体柱31の側面には、第一導体層部分12aに接続された柱接続部47が設けられている。第一導体層部分12aには、ソース電極に接続されるリードフレーム41が設けられている。ソース電極から供給される電力は、第一導体層部分12a、柱接続部47及び導体柱31を介して第一パワーデバイス13及び第二パワーデバイス23に供給されることになる(
図6も参照)。なお、このように電力が供給されることが理由の一つとなって、導体柱31に接続されている第一パワーデバイス13の
図1における上面が第一高発熱面となり、第二パワーデバイス23の
図1における下面が第二高発熱面となっている。
【0029】
第一接続部46は、正面から見た場合に
図1に示すように略「コの字」形状となっている。第二接続部56も、正面から見た場合に
図1に示すように略「コの字」形状となっている。
図2に示すように、第一接続部46は第一導体層部分12cに接続されている。この第一導体層部分12cには、ゲート電極のような制御電極に接続されるリードフレーム42が設けられている。
図3に示すように、第二接続部56は第二導体層部分22cに接続されている。この第二導体層部分22cには、ゲート電極のような制御電極に接続されるリードフレーム52が設けられている。
【0030】
図2において、第一パワーデバイス13の下面に設けられた第一導体層部分12bは、ドレイン電極に接続されるリードフレーム43に接続されている。
図3において、第二パワーデバイス23の下面に設けられた第二導体層部分22bは、ドレイン電極に接続されるリードフレーム53に接続されている。
【0031】
本実施の形態では、第一絶縁性基板11の搭載面と反対側(
図1の下面側)には銅等からなる第一放熱板14が設けられている。第二絶縁性基板21の搭載面と反対側(
図1の上面側)には銅等からなる第二放熱板24が設けられている。
【0032】
図4に示すように、第一パワーデバイス13と第一接続部46との接続箇所から見て第一接続部46が延在する水平面における方向(以下「第一接続部延在方向」という。)と、第二パワーデバイス23と第二接続部56との接続箇所から見て第二接続部56が延在する水平面における方向(以下「第二接続部延在方向」という。)とは135度〜180度で異なるようになっている。
図4に示す態様では、第一接続部延在方向は左方向であり、第二接続部延在方向は右方向であり、これら第一接続部延在方向と第二接続部延在方向とは180度(本実施の形態の「180度」は「略180度」を含む概念である。)異なるようになっている。
図4に示す態様では、第一パワーデバイス13と第二パワーデバイス23とは、180度異なる方向でずれている。
【0033】
本実施の形態の半導体モジュール100は、前述した、2つのゲート電極に接続されるリードフレーム42,52、1つのソース電極に接続されるリードフレーム41、2つのドレイン電極に接続されるリードフレーム43,53、後述するリードフレーム44,49a,49b,54,59a,59bを含む、複数のリードフレームを有している。そして、各リードフレームは、封止樹脂80の一辺から外部に突出している。
図2及び
図3を用いて説明すると、各リードフレームは、
図2及び
図3の下方側で左右方向に延在する辺から、下方に突出している。なお、
図2及び
図3において下方側で左右方向に延在する辺は
図4の下方側で左右方向に延在する辺と同一のものである。
図4に示すように、第一パワーデバイス13と第二パワーデバイス23とは、当該辺と平行な方向(つまり
図4の左右方向)でずれている。
【0034】
図2に示すように、半導体モジュール100は、第一絶縁性基板11側に第一熱検出抵抗71を有している。この第一熱検出抵抗71には二つのリードフレーム49a,49bが接続されている。第一熱検出抵抗71は、ドレイン電極に接続される第一導体層部分12bの近傍に配置されており、当該第一導体層部分12bの温度を測定するために用いられる。また、
図3に示すように、半導体モジュール100は、第二絶縁性基板21側に第二熱検出抵抗72を有している。この第二熱検出抵抗72には二つのリードフレーム59a,59bが接続されている。第二熱検出抵抗72は、ドレイン電極に接続される第二導体層部分22bの近傍に配置されており、当該第二導体層部分22bの温度を測定するために用いられる。
【0035】
図2に示すように、ドレイン電極に接続される第一導体層部分12bには、センシングするためのリードフレーム44が設けられている。
図3に示すように、ドレイン電極に接続される第二導体層部分22bには、センシングするためのリードフレーム54が設けられている。
【0036】
《作用・効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による作用・効果について説明する。
【0037】
発熱性の高いデバイスが対向される場合、つまり本実施の形態のように第一パワーデバイス13と第二パワーデバイス23とが対向して配置される場合には、これらから発生される熱を如何に逃がすかが重要になる。
【0038】
本実施の形態では、第一パワーデバイス13と第二パワーデバイス23の水平面における位置がずれており、第一接続部46の上下方向には第二導体層22が設けられておらず、第二接続部56の上下方向には第一導体層12が設けられていない。このため、半導体モジュール100の上下方向(厚み方向)の大きさを小さくすることができ、その結果、封止樹脂80の量を減らすことができる。また、第一パワーデバイス13と第二パワーデバイス23の水平面における位置がずれていることで、第一パワーデバイス13及び第二パワーデバイス23の各々から発生する熱が相互に重なりあうことを極力防止することができる。これらのことから、発熱性の高い第一パワーデバイス13と第二パワーデバイス23とが対向して配置される態様であっても、熱が半導体モジュール100内に籠ることを極力防止できる。
【0039】
本実施の形態では、第一高発熱面と第二高発熱面とが互いに対向するようにして配置されている。このため、より一層、第一パワーデバイス13及び第二パワーデバイス23の各々から発生する熱が相互に重なりあうことになる。この点、本実施の形態では、半導体モジュール100の上下方向(厚み方向)の大きさを小さくすることで、封止樹脂80の量を減らし、かつ、第一パワーデバイス13と第二パワーデバイス23の水平面における位置をずらすことで、第一パワーデバイス13及び第二パワーデバイス23の各々から発生する熱が相互に重なりあうことを極力防止している。
【0040】
第一接続部46が延在する第一接続部延在方向と第二接続部56が延在する第二接続部延在方向とが135度〜180度で異なるようにした場合には(
図4参照)、水平面内の一方向(
図4の上下方向)に沿った半導体モジュール100の大きさを小さくできる。この結果、水平面における半導体モジュール100の形状を正方形ではなく長方形に近いものにすることができる。このため、全体として半導体モジュール100の大きさを小さくでき、ひいては、熱が半導体モジュール100内に籠ることを極力防止できる。なお、
図4に示すように、第一接続部46が延在する第一接続部延在方向と第二接続部56が延在する第二接続部延在方向とが180度異なる場合には、第一接続部延在方向及び第二接続部延在方向に直交する水平面内の方向(
図4の上下方向)において半導体モジュール100の大きさをより小さくすることができる。したがって、より一層、熱が半導体モジュール100内に籠ることを極力防止できる。
【0041】
導体柱31における抵抗を減らし、ひいては、熱が半導体モジュール100内に籠ることを極力防止するという観点からは、導体柱31の断面積は極力大きい方がよい。一例としては、導体柱31の断面積を第一パワーデバイス13及び/又は第二パワーデバイス23の水平面における面積の60%以上とすることが考えられる。導体柱31の断面積の上限としては、例えば、第一パワーデバイス13及び/又は第二パワーデバイス23の水平面における面積の80%とすることが考えられる。導体柱31の断面積を第一パワーデバイス13及び/又は第二パワーデバイス23の水平面における面積の80%以下とすることで、20%以上の領域で第一パワーデバイス13と第二パワーデバイス23とが水平方向で重複しないようにすることができる。このため、第一パワーデバイス13及び/又は第二パワーデバイス23の20%以上の領域でこれらを重複させないようにすることができる。
【0042】
図4に示すように、本実施の形態では、第一接続部46が、第一パワーデバイス13の上面であって、奥行き方向の略中央に接続されている。また、第二接続部56が、第二パワーデバイス23の下面であって、奥行き方向の略中央に接続されている。このように、本実施の形態では、第一パワーデバイス13、第一接続部46、第二パワーデバイス23及び第二接続部56が、導体柱31の中心点に対して点対称の構造になっている。このため、第一パワーデバイス13から発生する熱と第二パワーデバイス23から発生する熱を、導体柱31の中心点に対して点対称に伝達することができ、熱の伝達領域が極力重複しないようにすることができる。このため、放熱効率を高めることができる。
【0043】
なお、
図1乃至
図5に示す態様では、リードフレームが封止樹脂80から突出した方向から見たときに(
図1の正面から見たときに)、第一導体層部分12bに設けられた、センシングするためのリードフレーム44と、第二導体層部分22bに設けられた、センシングするためのリードフレーム54とが、導体柱31の中心点に対して点対称になっている。また、
図1の正面から見たときに、第一熱検出抵抗71に設けられた二つのリードフレーム49a,49bと、第二熱検出抵抗72に設けられた二つのリードフレーム59a,59bとが、導体柱31の中心点に対して点対称になっている。また、
図1の正面から見たときに、制御電極に接続されるリードフレーム42と、制御電極に接続されるリードフレーム52とが、導体柱31の中心点に対して点対称になっている。これらのことから、やはり、第一部材10と第二部材20から発生する熱を、導体柱31の中心点に対して点対称に伝達することができ、熱の伝達領域が極力重複しないようにすることができる。
【0044】
本実施の形態では、各リードフレームが封止樹脂80の一辺(
図2及び
図3の下側において左右方向に延在する辺)から外部に突出している。第一パワーデバイス13と第二パワーデバイス23とを、当該一辺と平行な方向でずらすことで、各リードフレームが配列される方向(
図2及び
図3の左右方向)における半導体モジュール100の大きさを大きくしつつ、各リードフレームが延在する方向(
図2及び
図3の上下方向)における半導体モジュール100の大きさを小さくできる。リードフレーム間には一定程度の距離が設けられていることが好ましい。このような態様を採用することで、リードフレーム間における距離を一定程度確保するという要件を満たしつつ、半導体モジュール100の大きさを全体的に小さくすることができる。
【0045】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0046】
図7に示すように、第2の実施の形態は、第1の実施の形態で説明した半導体モジュール100と、当該半導体モジュール100を挿入するための凹部210が設けられたヒートシンク200とを有する電子機器に関するものである。この凹部210の大きさは半導体モジュール100の大きさに合致するように作られている。したがって、半導体モジュール100を凹部210内に挿入することで、ヒートシンク200に対して半導体モジュール100を固定することができる。
【0047】
第2の実施の形態において、その他の構成は、第1の実施の形態と略同一の態様となっている。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
ヒートシンク200の凹部210にはシリコングリース等からなる潤滑剤が塗られていてもよい。このような潤滑剤を塗ることで、ヒートシンク200の凹部210の中に半導体モジュール100を容易に挿入することができる。また、潤滑剤を用いることで第二放熱板24及び第一放熱板14と凹部210の内面との密着性を高めることがき、ひいては、半導体モジュール100からヒートシンク200への熱伝導性を高めることができる。したがって、より高い放熱性を実現できる。
【0049】
なお、ヒートシンク200の凹部210の内面には半導体モジュール100の挿入方向(
図7の上下方向)に沿った複数の溝211が形成されていてもよい。凹部210内に潤滑剤を置いてから半導体モジュール100を挿入するような場合であっても、このような溝211を形成することで、毛細管現象によって潤滑剤を半導体モジュール100の挿入方向に沿って上方向に移動させることができるためである。
【0050】
ヒートシンク200の凹部210に挿入された半導体モジュール100を覆う閉鎖部260が設けられてもよい。この閉鎖部260は蓋部材であってもよいし、例えばセラミックを部分溶射することで蓋をするようにしてもよい。このようにヒートシンク200の凹部210に挿入された半導体モジュール100を閉鎖部260で覆うことで、半導体モジュール100を完全に覆うことができる。このため、仮に半導体モジュール100が発熱した場合であっても、当該熱がヒートシンク200及び閉鎖部260の外方に伝わることを防止できる。
【0051】
変形例
次に、本発明の変形例について説明する。
【0052】
第1の実施の形態では、第一パワーデバイス13及び第二パワーデバイス23という2つのパワーデバイスを用いた態様であったが、パワーデバイスは任意の数にすることができ、3つ以上のパワーデバイスを用いてもよい。一例としては4つのパワーデバイスを用いてもよいし、6つのパワーデバイスを用いてもよい。
【0053】
4つのパワーデバイスを用いる場合には、
図9に示すように、第一絶縁性基板11に第三導体層112を介して第三パワーデバイス113が設けられ、第二絶縁性基板21に第四導体層122を介して第四パワーデバイス123が設けられるようにしてもよい。
図9に示すように、第三パワーデバイス113及び第四パワーデバイス123は導体柱131を介して接続されてもよい。なお、この
図9は、背面側から見た図となっており、リードフレームや接続部等は省略している。
【0054】
また、
図10に示すような態様であってもよい。
図10に示す態様では、導体柱31及び接続体46aを介して第一パワーデバイス13に第二パワーデバイス23が設けられ、導体柱131及び接続体146aを介して第三パワーデバイス113に第四パワーデバイス123が設けられている。
図10に示す態様では、第二パワーデバイス23と第二導体層部分22bとの間に導体柱39が設けられており、第四パワーデバイス123と第四導体層122との間に導体柱139が設けられている。接続体46aは水平方向に延在しており、上方から見た場合には導体柱31の全体を覆うようにして設けられ、この接続体46aの上面の一部に第二パワーデバイス23が設けられることになる。同様に、接続体146aは水平方向に延在しており、上方から見た場合には導体柱131の全体を覆うようにして設けられ、この接続体146aの上面の一部に第二パワーデバイス123が設けられることになる。導体柱31,131は、完全な柱形状になっている必要はなく、切り欠きが設けられていたり空洞になっていたりしてもよい。
【0055】
図9及び
図10に示すように4つのデバイスを用いた場合の回路図は、一例として
図11のようになる。この
図11において点線で囲った箇所が本実施の形態の半導体モジュールに対応する箇所である。
【0056】
また、3つ以上のデバイスを積層するようにしてもよい。一例として4つのデバイスを積層した場合を挙げて説明する。この場合には、
図12に示すように、第一パワーデバイス13と第二パワーデバイス23とが180度異なる方向でずれ(
図12の左右方向でずれ)、第三パワーデバイス113と第四パワーデバイス123とが180度異なる方向でずれ(
図12の左右方向でずれ)、第一パワーデバイス13と第三パワーデバイス113とがずれず、第二パワーデバイス23と第四パワーデバイス123とがないようになっていてもよい。
図12に示す態様では、第三絶縁性基板111の下面に第四導体層122が設けられており、第二絶縁性基板21の上面に第三導体層112が設けられている。第三導体層112及び第三パワーデバイス113を含む第三部材110の水平方向における配置は第一部材10と全く同一又は同様になっている。また、第四導体層122及び第四パワーデバイス123を含む第四部材120の水平方向における配置は第二部材20と全く同一又は同様になっている。
【0057】
また、
図12のような態様とは異なり、第三部材110に含まれる部材(第三導体層112、第三パワーデバイス113等)の水平方向における配置が、第一部材10に含まれる部材(第一導体層12、第一パワーデバイス13等)の水平方向における配置と比較して、上方から見て時計回り方向で90度異なるようになり、第四部材120に含まれる部材(第四導体層122、第四パワーデバイス123等)の水平方向における配置が、第一部材10に含まれる部材(第一導体層12、第一パワーデバイス13等)の水平方向における配置と比較して、上方から見て時計回り方向で270度異なるようになってもよい。
【0058】
また、第三部材110に含まれる部材(第三導体層112、第三パワーデバイス113等)の水平方向における配置が、第一部材10に含まれる部材(第一導体層12、第一パワーデバイス13等)の水平方向における配置と比較して、上方から見て時計回り方向で270度異なるようになり、第四部材120に含まれる部材(第四導体層122、第四パワーデバイス123等)の水平方向における配置が、第一部材10に含まれる部材(第一導体層12、第一パワーデバイス13等)の水平方向における配置と比較して、上方から見て時計回り方向で90度異なるようになってもよい。
【0059】
これらのように4つのデバイスを積層した場合にも、回路図は一例として
図11のようになってもよい。
【0060】
最後になったが、上述した各実施の形態の記載、変形例の記載及び図面の開示は、請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。
半導体モジュール(100)は、第一部材(10)と、第二部材(20)と、第一部材(10)と第二部材(20)との間で上下方向に延在する導体柱(31)と、第一部材(10)の第一導体層(12)及び第一パワーデバイス(13)、第二部材(20)の第二導体層(22)及び第二パワーデバイス(23)並びに導体柱(31)を覆う封止樹脂(80)と、を有している。第一パワーデバイス(13)と第二パワーデバイス(23)の水平面における位置がずれており、第一パワーデバイス(13)に接続された第一接続部(46)の上下方向には第二導体層(22)が設けられておらず、第二パワーデバイス(23)に接続された第二部材(20)の第二接続部(56)の上下方向には第一導体層(12)が設けられていない。