(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1および第2の領域は、形状的に相互に非合同であり、前記第1の領域および前記第2の領域は、異なる周波数の無線信号を送信および/または受信する、請求項1または2に記載の窓組立体。
前記第1および第2のスリットは、それぞれ、インピーダンス整合素子および放射パターン変更素子の少なくとも一つである、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の窓組立体。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照すると、いくつかの視野において、同様の参照符号は、対応する部品を表し、窓組立体は、通常、20で表される。
図1に示すように、窓組立体20は、車両22に適する。
図1に示すように、窓組立体20は、フロントウィンドウ(フロントガラス)であってもよい。あるいは、窓組立体20は、リアウインドウ(後部窓)、ルーフウィンドウ(サンルーフ)、または車両22の他のいかなる窓であってもよい。通常、車両22は、開口を定め、窓組立体20は、この開口を封止する。開口は、通常、車両22の窓枠により定められる。
【0010】
窓組立体20は、基板24を有し、この基板は、実質的に透明である。本願において使用される、「透明」という用語は、光に対する視覚的な透明性を表す。「実質的に透明」と言う用語は、通常、60%を超える可視光透過率を有するものとして定められる。ある実施例では、基板24の可視光透過率は、75%を超える。さらに別の実施例では、基板24の可視光透過率は、90%を超える。
【0011】
ある実施例では、基板24は、単一の一体化形成されたピースである。別の実施例では、
図10および
図11に示すように、基板24は、外部基板26と、該外部基板に隣接して配置された内部基板28とを有する。外部基板26は、内部基板28と平行に、内部基板から離間して配置される。この実施例では、外部基板26および内部基板28が相互に接合され、基板24が形成される。外部基板26および内部基板28は、1枚ガラス(ガラスペイン)であることが好ましい。ガラスペインは、自動車ガラスであることが好ましく、ソーダライムシリカガラスであることがより好ましい。しかしながら、外部基板26および内部基板28は、プラスチック、ガラス繊維、または他の好適な非導電性の実質的に透明な材料であってもよい。
【0012】
通常、外部基板26および内部基板28は、非導電性である。本願において、「非導電性」と言う用語は、通常、異なる電気的電位で導体の間に配置された際に、材料を介して流れる電流が無視できる、絶縁体または誘電体のような材料を表す。また、外部基板26および内部基板28は、光に対して実質的に透明である。ただし、外部基板26および内部基板28は、着色または染められていてもよい。
【0013】
基板24は、複数の表面を有してもよい。例えば、
図10および
図11に示すように、外部基板26および内部基板28の各々は、内表面26a、28aと、外表面26b、28bとを有する。外部基板26の外表面26bは、通常、車両22の外部と面する。内部基板28の外表面28bは、通常、車両22の内部と面する。通常、外部基板26および内部基板28が相互に接合され、基板24が形成された際に、外部基板26および内部基板28の内表面26a、28aは、相互に対面する。
【0014】
図2乃至9に示すように、基板24は、周30を定める。代わりに、周30は、基板24の周端部として定められてもよい。周30は、通常、上側周端部30aと、対向する下側周端部30bとを有する。周30は、通常、対向する側周端部30c、30dを有し、これらは、上側および下側周端部30a、30bに接続される。本願において、「上側」および「下側」という用語は、地表に対して基板24の周30を配向する際に利用され、上側周端部30aは、下側周端部30bよりも地表に対して高い位置となるように配置される。ただし、「上側」および「下側」と言う用語は、上側および下側周端部30a、30bの配向を限定することを意味するものではない。従って、上側および下側周端部30a、30bは、本発明の範囲から逸脱しない範囲で、別の配置を有してもよい。また、上側、下側、および/または側周端部30a、30b、30c、30dは、曲線状であっても直線状であってもよい。
【0015】
車両22のフロントガラスとして利用される場合、基板24の周30は、通常、
図1乃至9に示すような台形状の構成を有する。ただし、基板24の周30は、本願には具体的には記載されていない他の形状を有してもよい。
【0016】
図3乃至
図5に示すように、軸40は、基板24の上側および下側周端部30a、30bの間を垂直に延伸する。
図3乃至
図5における軸40は、通常、基板24の周30を、2つの非合同領域に分割する。
図6では、軸40は、側周端部30c、30dの間を水平に延在する。この実施例では、軸40は、基板24の周30を、2つの非合同領域に分割する。
【0017】
図に示すように、窓組立体20は、透明層50を有する。透明層50は、基板24の表面に配置される。ある実施例では、
図10に示すように、透明層50は、内部基板28の外表面28bに配置される。別の実施例では、
図11に示すように、透明層50は、外部基板26の内表面26aと内部基板28の内表面28aの間に配置される。そのような例では、透明層50は、該透明層50に損傷を及ぼし得る環境因子との直接の接触から保護される。透明層50は、窓組立体20の他の表面に配置されてもよい。例えば、透明層50は、内部基板28の内表面28a、または外部基板26の内表面26もしくは外表面26bに配置されてもよい
必須ではないが、
図10および
図11に示すように、外部基板26と内部基板28の内表面26a、28aの間には、中間層29が配置されてもよい。中間層29は、外部基板26と内部基板28を結合し、窓組立体20が衝撃の際に粉砕されることを抑制することが好ましい。また、中間層29は、通常、光に対して透明であり、ポリビニルブチラール(PVB)のような、高分子または熱可塑性樹脂を含む。しかしながら、中間層29の実施の際には、他の好適な材料も利用可能である。通常、中間層29は、0.5mmから1mmの間の厚さを有する。
【0018】
中間層29は、透明層50に隣接して配置されてもよい。ある実施例では、
図10に示すように、中間層29は、透明層50と外部基板26の内表面26aの間に配置される。あるいは、透明層50は、中間層29と内部基板28の内表面28aとの間に配置されてもよい。窓組立体20は、外部基板26と内部基板28の間に挟まれた、透明層50および中間層29を有することが好ましく、この場合、中間層29および透明層50は、外部基板26および/または内部基板28の内表面26a、28aと接する。あるいは、図には示されていないが、透明層50は、中間層29内に埋設されてもよく、この場合、透明層50は、両側が中間層29の間に挟まれることが理解される。
【0019】
透明層50は、光に対して実質的に透明である。従って、車両22のドライバまたは乗員は、透明層50を有する基板24を介して、外を見ることができる。透明層50は、基板24に侵入する太陽からの熱を反射することが好ましい。その場合、透明層50は、基板24を介した赤外放射線の透過を抑制する。透明層50は、さらに、防曇素子または霜取り素子として作動され、基板24に加熱機能が提供されてもよい。
【0020】
ある実施例では、透明層50は、膜である。別の実施例では、透明層50は、コーティングである。透明層50は、例えば、化学気相成膜法、マグネトロンスパッタ気相成膜法、スプレー熱分解法など、いかなる好適な方法で基板24の表面に適用されてもよい。
【0021】
透明層50は、透明層50が導電性となるような金属化合物を含む。本願において、「導電性」と言う用語は、通常、導体のような、材料を通じて効果的に電流が流れる、低い電気抵抗を示す材料を表す。金属化合物は、金属酸化物を含むことが好ましい。ただし、金属化合物は、さらに、金属窒化物等を含んでもよい。金属酸化物は、インジウムスズ酸化物などのような、スズ酸化物を含んでもよい。しかしながら、透明層50は、他の金属酸化物を含んでもよく、これには、これに限られるものではないが、銀酸化物が含まれる。また金属化合物は、フッ素のような添加剤でドープされてもよい。特に、添加剤は、金属化合物に含まれ、透明層50の光透過性および電気抵抗を最適化してもよい。透明層50は、該透明層50を通る電流の流れに対抗するための透明層50の機能を定量化する、いかなる好適なシート電気抵抗を有してもよい。シート抵抗は、表面抵抗としても知られる。ある例では、透明層24は、0.5〜20Ω/□の間の範囲のシート抵抗を有してもよい。
【0022】
ある実施例では、透明層50は、基板24の表面の少なくとも大部分を占める。本願において、大部分とは、基板24の表面積の50%よりも大きいものとして定められる。通常、透明層50は、基板24を介した赤外放射線の透過を最大限抑制するため、表面の少なくとも大部分を被覆する。別の実施例では、透明層50は、表面の小部分を占めてもよい。あるいは、透明層50は、基板24の全体を占めてもよく、その場合、透明層50は、基板24の周30まで延伸する。透明層50は、基板24の周30と実質的に等しい形状を定めてもよい。あるいは、透明層50は、いかなる好適な形状を有してもよい。
【0023】
図1乃至
図9に示すように、基板24上の、透明層50と基板24の周30の間には、外側領域56が形成される。外側領域56は、透明層50が欠落している領域であり、従って、非導電性である。外側領域56は、透明層50と基板24の周30の間の距離として定められた幅を有する。幅は、0mmよりも大きく、200mmよりも小さいことが好ましい。
【0024】
ミラーまたは雨センサのような車両装置が、基板24に取り付けられ、または設置されてもよい。車両装置が基板24に取り付けられた位置における透明層50の存在により、車両装置の特性に悪影響が生じ得る。従って、透明層50は、通常基板24の上側周端部30aの近傍に開口を有し、基板24に車両装置のアタッチメントが収容される。ある実施例では、
図2乃至4に示すように、開口は、外側領域56が基板24の上側周30aの近傍で拡張されるように、外側領域56に開放されている。開口は、いかなる好適な形状を有しても良く、
図2乃至
図4に示すようなU字型等であってもよい。別の実施例では、開口は、該開口が外側領域56から分離され、外側領域56には延伸しないように、透明層50に取り囲まれる。開口が必要な場合、透明層50は、本発明が適正に機能するように、必要な範囲で変更されてもよい。
【0025】
透明層50は、第1の領域60および第2の領域62を定める。第1および第2の領域60、62は、相互に非合同である。第1および第2の領域60、62の各々は、面積と形状を定める。本願において、「非合同」と言う用語は、通常、第1および第2の領域60、62の形状またはサイズが一致しないことを意味する。換言すれば、第1および第2の領域60、62は、幾何学図形的に非合同である。
【0026】
ある実施例では、「非合同」と言う用語は、さらに、第1の領域60の面積が、第2の領域62の面積の少なくとも5%大きくまたは小さいことを意味するものとして規定される。別の実施例では、「非合同」と言う用語は、さらに、第1の領域60の形状が、第2の領域62の形状よりも少なくとも5%、幾何学的に異なることを意味するものとして規定される。幾何学的な差異は、第1および/または第2の領域60、62のスケール化(比例的拡大または縮小)、回転処理、平行移動処理、および/または反射処理により評価され、第1および第2の領域60、62の形状は、できる限り幾何学的に整列される。
【0027】
第1および第2の領域60、62は、各種構成を有してもよい。ある実施例では、
図5に示すように、第1および第2の領域60、62は、同様の形状を有するが、異なる面積を有し、第1および第2の領域60、62は、非合同である。別の実施例では、第1および第2の領域60、62は、同様の面積を有するものの、異なる形状を有するため、第1および第2の領域60、62は、非合同であってもよい。
図7では、第1の領域60は、第2の領域62を完全に取り囲んでいる。
図2では、第1の領域60は、第2の領域62を部分的に取り囲んでいる。
【0028】
別の実施例では、第1および第2の領域60、62は、透明層50に定められた複数の領域の一つであってもよい。例えば、
図8および
図9に示すように、透明層50は、第1の領域60、第2の領域62、および第3の領域を定める。
図8において、第1の領域60および第3の領域は、サイズおよび形状が実質的に合同であるものの、第2の領域62は、第1の領域60および第3の領域の関して、非合同である。
図9では、第1の領域60、第2の領域62、および第3の領域は、相互に非合同であり、いずれの2つの領域も、同じサイズおよび形状を有しない。
【0029】
第1の領域60は、第1の周囲70を定め、第2の領域62は、第2の周囲80を定める。第1および第2の周囲70、80の各々は、外側端部70a、80a、および内側端部70b、80bを有してもよい。第1および第2の周囲70、80の各々において、外側端部70a,80aは、通常、内側端部70b、80bと対向する。本願において、「内側」と言う用語は、第1および第2の周70、80の内側端部70b、80bが相互に隣接して対面するようにして、第1および第2の周囲70、80を配向する際に利用される。ある実施例では、第1および第2の周囲70、80の各々は、さらに、側端部70c、80cと、対向する側端部70d、80dとを有し、これらは、外側端部70a、80aおよび内側端部70b、80bに接続される。
【0030】
第1および第2の周囲70、80は、本発明の範囲から逸脱しないで、いかなる好適な形状を有してもよい。例えば、主に図面に示すように、第1および第2の周囲70、80は、四角形の構成を有する。ただし、第1および第2の周囲70、80は、他の構成を有しても良く、これには、これに限られるものではないが、円形または任意の多角形の構成が含まれる。
【0031】
第1および第2の周囲70、80は、各種異なる配置により、基板24の周30に対して配向されてもよい。例えば、
図1、3〜5、8、および9に示すように、第1および第2の周囲70、80の各々の内側端部70b、80bは、基板24の上側および下側周端部30a、30bと実質的に直交するように配置される。別の例では、
図6に示すように、第1および第2の周囲70、80の各々の内側端部70b、80bは、基板24の上側および下側周端部30a、30bと実質的に平行に配置される。
【0032】
ある実施例では、第1の周囲70の内側端部70bおよび第2の周囲80の内側端部80bの各々は、直線状の配置を有する。内側端部70b、80bは、実質的に相互に平行に延伸してもよい。
図3乃至
図6に示すように、第1の周囲70の内側端部70bおよび第2の周囲80の内側端部80bは、軸40から均等に離間されてもよい。換言すれば、軸40は、内側端部70b、80bから等距離にある。内側端部70b、80bは、10mm未満だけ離間されることが好ましい。別の実施例では、内側端部70b、80bは、非直線状の配置であり、内側端部70b、80bは、相互に平行に延伸しない。また、内側端部70b、80bは、
図5に示すように、10mmを超えるような、いかなる好適な距離だけ離間されてもよい。
【0033】
第1および第2の領域60、62は、各々、無線周波数信号を送信および/または受信する、アンテナ素子として作動するように構成される。第1および第2の領域60、62の各々は、直線偏向もしくは円偏向された無線周波数信号を、送信および/または受信するように構成されてもよい。特に、第1および第2の領域60、62により送信および/または受信される直線偏向されたRF信号は、これに限られるものではないが、AM、FM、RKE(リモートキーレスエントリ)、DAB(デジタルオーディオブロードキャスティング)、およびTV信号を含む。第1および第2の領域60、62により送信および/または受信される円偏向されたRF信号は、これに限られるものではないが、SDARS(衛星ラジオ)またはGPS信号を含む。
図1に示すように、第1および第2の領域60、62には、アンテナ受信器82が接続され、第1および第2の領域60、62により受信されるラジオ周波数信号が処理される。
【0034】
非合同の第1および第2の領域60、62により、該第1および第2の領域60、62は、異なる周波数で作動し、これにより、窓組立体20に、多様化された(diversified)アンテナ機能が提供される。例えば、第1の領域60は、該第1の領域60がTV信号を受信するように寸法化され、第2の領域62は、該第2の領域62がFM信号を受信するように寸法化される。通常、第1および第2の領域60、62の各々は、一つのタイプのアンテナ周波数用の送信および/または受信が可能となるように構成される。しかしながら、第1および第2の領域60、62の各々は、2種類以上のアンテナ周波数用に利用されてもよい。
【0035】
第1および第2の領域60、62は、区画カット部86により、相互に離間される。区画カット部86は、透明層50の欠落部分であり、非導電性である。通常、区画カット部86は、該区画カット部86および外側領域56が共通の非導電性領域を形成するようにして、外側領域56に開かれている。区画カット部86は、第1および第2の周囲70、80の各々の内側端部70b、80bにより定められる。
図1乃至
図9に示す実施例では、区画カット部86は、隣接する第1および第2の領域60、62により定められた、直線状の配置を有する。区画カット部86の直線状の配置は、第1および第2の周囲70、80の隣接する内側端部70b、80bにより定められてもよい。前述のように、内側端部70b、80bは、10mm未満だけ離間されることが好ましい。その場合、区画カット部86は、10mm未満の幅であることが好ましい。別の実施例では、区画カット部86は、曲線を有する配置など、非直線状の配置を有してもよい。前述のように、区画カット部86は、
図5に示すように、10mmよりも広くてもよい。区画カット部86は、必ずしも直線である必要はない。換言すれば、区画カット部86は、
図2に示すような多セグメント配置、または
図7に示す閉止ループ配置など、他の形態を取ってもよい。
【0036】
区画カット部86は、従来のいかなる好適な技術で、基板24上に形成されてもよい。例えば、区画カット部86を定める透明層50の領域の除去または削除は、マスク処理、レーザ、研磨ツール、化学的除去、機械的切断ツール等を用いて実施されてもよい。
【0037】
図1に示すように、窓組立体20は、給電配置90を有し、これは、透明層50に結合され、より具体的には、第1および第2の領域60、62に結合される。給電配置90は、第1および第2の領域60、62が無線周波数信号を送信および/または受信するように、第1および第2の領域60、62をエネルギー化する。第1および第2の領域60、62は、給電配置90を介して、アンテナ受信器82に接続される。
【0038】
給電配置90に関し、「エネルギー化」と言う用語は、給電配置90と第1および第2の領域60、62との間の電気的な関係を説明するものであり、これにより給電配置90は、無線波の送信のため第1および第2の領域60、62を励起し、入射する無線波の受信のため第1および第2の領域60、62と電気的に結合されることが理解される。
【0039】
給電配置90は、第1および第2の領域60、62をエネルギー化する、いかなる好適な構成を有してもよい。
図10および
図11に示すように、給電配置90は、通常、各領域60、62用の、少なくとも一つの給電素子92を有する。通常、第1および第2の領域60、62の各々には、一つの給電素子92のみが必要となる。しかしながら、本発明の範囲から逸脱しないで、第1および第2の領域60、62のいずれかに対して、複数の給電素子92を用いても良い。ある実施例では、
図1に示すように、給電配置90は、2つの別個の給電素子92を有し、各々は、第1および第2の領域60、62の一つに、別個に結合される。別の実施例では、給電配置90は、一つの給電素子90を有し、これは、第1および第2の領域60、62の両方に結合される。給電素子92は、第1および第2の領域60、62をエネルギー化する、いかなる好適な材料を含んでもよい。また、給電素子92は、いかなる好適な配置を有してもよく、これには、これに限られるものではないが、給電ストリップ、給電配線、またはこれらの組み合わせが含まれる。
【0040】
給電素子92は、基板24のいかなる表面に配置されてもよい。また、給電素子92は、透明層50と同一平面上に、または異なる平面上に、配置されてもよい。主として図に示したように、第1および第2の領域60、62の各々は、透明層50のタブ94を有し、これは、第1および第2の領域60、62のそれぞれから、一体的に延伸してもよい。タブ94は、第1および第2の周囲70、80のそれぞれを超えて、外側領域56に延伸する。タブ94により、給電素子92は、第1および第2の領域60、62と容易に接続され、基板24を介した視野が妨害されることもない。
【0041】
ある実施例では、
図10に示すように、給電素子92は、透明層50と境界を接し、透明層50と電気的に直接接触する。ここでは、給電素子92は、透明層50に直接配線され、または透明層50にはんだ付けされてもよい。給電素子92は、給電ストリップまたは配線のような、透明層50に物理的に取り付けられた導電性材料を介して、直接、透明層50に電流を供給する。給電素子92は、透明層50と境界を接し、電気的に直接接触するが、透明層50は、基板24のいかなる層の上に配置されてもよい。
【0042】
あるいは、
図11に示すように、給電素子92は、透明層50から離間され、透明層50と容量的に結合されてもよい。そのような例では、給電素子92は、外部または内部基板26、28のような、空気または誘電体材料を介して、透明層50に電流を誘導する。そのような実施例では、給電素子92は、通常、透明層50と直接配線されたり、直接接触したりすることはない。給電素子92は、通常、透明層50とは異なる平面上に配置される。第1および第2の領域60、62は、本願で具体的に示されていない、他の構成による給電配置90によりエネルギー化されてもよい。
【0043】
図面に示されているように、第1および第2の領域60、62の各々は、少なくとも一つの特性増強スリット96(以降、簡略化のため「スリット」と称される)を定め、ここには、透明層50は存在しない。換言すれば、第1の領域60は、少なくとも第1のスリット96aを定め、第2の領域62は、少なくとも第2のスリット96bを定める。スリット96a、96bは、インピーダンス整合素子および放射パターン変更素子の少なくとも一つとして作動するように構成される。ある実施例では、スリット96a、96bは、インピーダンス整合素子のみとして作動するように構成される。別の実施例では、スリット96a、96bは、放射パターン変更素子のみとして作動するように構成される。当然のことながら、スリット96a、96bは、インピーダンス整合素子および放射パターン変更素子の両方として、同時に作動するように構成されてもよい。また、スリット96aの一つはインピーダンス整合素子として作動し、他のスリット96bは放射パターン変更素子として作動し、またはその逆であってもよい。
【0044】
スリット96a、96bは、第1および第2の領域60、62のインピーダンスを、ケーブルのインピーダンスと整合させることにより、インピーダンス整合素子として作動する。ケーブルは、以下に示すように、例えば、第1および/または第2の領域60、62のエネルギー化に利用される同軸ケーブルであってもよい。
【0045】
スリット96a、96bは、第1および/または第2の領域60、62から送信および/または受信される無線信号の方向を変えることにより、放射パターン変更素子として作動する。より具体的には、スリット96a、96bは、第1および/または第2の領域60、62の放射パターンがより大きな全方向性を示すように、無線信号が送信および/または受信される方向を変更する。スリット96a、96bにより、アンテナ素子として作動する、第1および第2の領域60、62のインピーダンス特性および放射パターンにわたって、大きな制御が可能となる。スリット96a、96bは、電磁波干渉を低減することを助長し、最適な効率が得られる。従って、スリット96a、96bは、第1および/または第2の領域60、62の特性を高める。スリット96a、96bは、該スリット96a、96bにより、車両22のドライバまたは乗員の視界の妨害が最小限となるように配置されることが好ましい。
【0046】
前述のように、透明層50、より具体的には、第1および/または第2の領域60、62は、必要な場合、さらに、防曇素子また霜取り素子として作動されてもよい。そのような例では、本発明の範囲から逸脱しないで、第1の領域60、第2の領域62、および/またはスリット96a、96bは、透明層50の任意の防曇または霜取り機能を提供するように変更されてもよい。
【0047】
ある実施例では、スリット96a、96bは、第1および第2の領域60、62の一方の透明層50により定められるような、直線状の配置を有する。スリット96a、96bの配置状構成を定める透明層50は、2mm未満で均一に離間されることが好ましい。別の実施例では、スリット96a、96bは、曲線を有する配置、ジグザグ配置など、非直線状の配置を有する。
【0048】
スリット96a、96bは、各種好適な長さに延伸してもよい。主として図面に示すように、第1のスリット96aは、第1の長さで延伸し、第2のスリット96bは、第2の長さで延伸し、ここで、第1の長さは第2の長さとは異なってもよい。ある例では、スリット96aの一つは、100mm未満の長さを有し、他のスリット96bは、200mmを超える長さを有してもよい。第1のスリット96aおよび第2のスリット96bは、異なる長さであり、非合同の寸法の第1および第2の領域60、62が提供されてもよい。あるいは、
図3に示すように、第1のスリット96aは、第1の長さで延伸し、第2のスリット96bは、第2の長さで延伸し、ここで第1の長さは第2の長さと等しくてもよい。
【0049】
スリット96a、96bは、従来のいかなる好適な技術で基板24上に形成されてもよい。例えば、スリット96に対応する透明層50の選択部分の除去または削除は、マスク処理、レーザ、研磨ツール、化学的除去、機械的切断ツールなどを用いて行われてもよい。
【0050】
ある実施例では、
図3乃至
図5に示すように、第1の領域60は、第1のスリット96aを定め、第2の領域62は、第2のスリット96bを定める。第1および第2のスリット96a、96bは、相互に軸40に対して配置される。
図4、
図5に示すように、第1および第2のスリット96a、96bは、軸40と実質的に直交するように配向される。あるいは、
図3に示すように、第1および第2のスリット96a、96bは、軸40に対して実質的に平行に配向される。
【0051】
別の実施例では、
図1〜4、6、7、9に示すように、スリット96a、96bは、それぞれの第1および第2の周囲70、80から、第1および第2の領域60、62に延伸する。例えば、
図4に示すように、第1のスリット96aは、第1の周囲70から第1の領域60に延伸し、第2のスリット96bは、第2の周囲80から第2の領域62に延伸する。ここで、第1および第2のスリット96a、96bは、通常、外側領域56に開かれている。ある例では、第2のスリット96bではなく、第1のスリット96aが外側領域56に開かれている。例えば、
図7に示すように、第1の領域60は、第2の領域62を取り囲み、第2の領域62は、第1の領域60内に配置される。ここで、第1のスリット96aは、外側領域56に開かれている。第2のスリット96bは、外側領域56に開かれていない。代わりに、第2のスリット96bは、区画カット部86に対して開かれる。
【0052】
ある実施例では、第1のスリット96aは、第1の周囲70における一つの位置から、第1の領域60に延伸する。同様に、第2のスリット96bは、第2の周囲80の一つの位置から、第2の領域62に延伸する。換言すれば、そのような例では、第1および第2のスリット96a、96bは、該第1および第2のスリット96a、96bが、それぞれの第1および第2の領域60、62を、より小さな領域に完全に分割するほど、それぞれの第1および第2の領域60、62にわたって延伸しない。
【0053】
別の実施例では、
図5に示すように、スリット96a、96bは、第1および第2の周囲70、80の一方の内部に定められ、スリット96a、96bは、透明層50によって取り囲まれる。例えば、
図5において、第1のスリット96aは、第1の周囲70内に、第1のスリット96aが第1の領域60の透明層50で取り囲まれるように定められる。同様に、第2のスリット96bは、第2の周囲80内に、第2のスリット96bが第2の領域62の透明層50で取り囲まれるように定められる。ここで、第1および第2のスリット96a、96bは、外側領域56から離間され分離され、第1および第2のスリット96a、96bは、外側領域56で開かれていない。当然のことながら、第1および第2のスリット96a、96bの任意の単一のものが透明層50に取り囲まれ、第1および第2のスリット96a、96bの他のものは、それぞれの第1および第2の周囲70、80の一つから、第1および第2の領域60、62の一つに延伸してもよい。
【0054】
さらに別の実施例では、第1のスリット96aは、第1の周囲70の側端面70cまたは対向する側端面70dの少なくとも一つに略平行に延伸する。同様に、第2のスリット96bは、第2の周囲80の側端面80cまたは対向する側端面80dの少なくとも一つに略平行に延伸してもよい。あるいは、第1のスリット96aは、第1の周囲70の外側端部および内側端部70a、70bの一つと略平行に延伸してもよい。同様に、第2のスリット96bは、第2の周囲80の外側端部および内側端部80a、80bの一つと略平行に延伸してもよい。
【0055】
別の実施例では、第1または第2のスリット96a、96bは、第1および第2の周囲70、80、または周30の任意の所与の側または端部に対して、所定の角度で延伸してもよい。例えば、
図6に示すように、第1および第2のスリット96a、96bは、窓組立体20の中心に向かって内側に傾斜し、第1および第2のスリット96a、96bは、周30、または第1および第2の周囲70、80のいずれに対しても、平行にあるいは直交して延伸しない。
図6における所定の角度は、第2の周囲80の周端部30bおよび側部30bに対して約45゜である。所定の角度は、区画カット部86、外側領域56、または周囲70、80のような、窓組立体20の他の特徴物により定められてもよい。
【0056】
第1および第2の領域60、62は、2以上のスリット96を有してもよい。
図3乃至
図8に示すように、第1および第2の領域60、82の各々は、スリット96の組を有する。例えば、
図4の実施例では、第1の領域60は、第1のスリット96aおよび第3のスリット96cを定める。第2の領域62は、第2のスリット96bおよび第4のスリット96dを定める。
【0057】
第1の領域60および第2の領域62は、必ずしも同じ数のスリット96を有する必要はない。第1の領域60および第2の領域62は、異なる数のスリット96を定めてもよい。例えば、
図2に示すように、第1の領域60は、一つのスリット96aを有するのに対して、第2の領域62は、2つのスリット96b、96dを有する。本発明の範囲から逸脱しない限り、第1および第2の領域60、62は、本願で示すような、スリット96のいかなる組み合わせを有してもよい。
【0058】
本発明の窓組立体20は、通常の産業上の標準アンテナに比べて、良好なアンテナ特性を示す。
図12には、窓組立体20の垂直偏向アンテナゲイン特性を、通常の産業上の標準アンテナと比べて示したチャートを示す。
図13には、窓組立体20の水平偏向アンテナゲイン特性を、通常の産業上の標準的な特性と比べて示したチャートを示す。
図12および
図13では、
図4の実施例からの窓組立体20の特性が、通常の産業上の標準アンテナと比較される。ただし、図面に示され記載された、各種他の実施例の窓組立体20も、
図4の窓組立体20と同様の特性を示すことは明らかである。
図12および
図13のチャートに示されているように、窓組立体20は、87〜108MHzのFM周波数範囲において、dB単位で、通常の産業上の標準特性に比べて、良好な垂直および水平偏向の平均ゲインを示す。特に、
図12では、窓組立体20は、93〜108MHzの間における通常の産業上の標準特性に比べて、少なくとも10dB大きな垂直偏向平均ゲインを一貫して示す。
図13において、窓組立体20は、少なくとも10dBの平均値を一貫して示しており、ある周波数では、98〜108MHzの間で、通常の産業上の標準特性と比較して、25dBの大きな水平偏向平均ゲインが得られている。
【0059】
一例を示して、本発明について説明した。使用用語は、限定的なものではなく、記載の用語の性質を意図するものであることが理解される。前述の示唆に鑑みて、多くの変更および修正が可能であることは、明らかである。本発明は、添付の特許請求の範囲から逸脱せずに、具体的に示されたもの以外の方法で実施されてもよい。