【実施例】
【0033】
以下、具体的な実施例により、この発明をより詳細に説明するが、この発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1として、糖アルコールとしてのエリスリトール85gを水200gに均一に混合して、エリスリトールを30重量%含有する保冷剤を調製し、この保冷剤を0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
【0034】
実施例2として、糖アルコールとしてのキシリトール85gを水200gに均一に混合して、キシリトールを30重量%含有する保冷剤を調製し、この保冷剤を0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
【0035】
実施例3として、糖アルコールとしてのマンニトール85gを水200gに均一に混合して、マンニトールを30重量%含有する保冷剤を調製し、この保冷剤を0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
【0036】
実施例4として、糖アルコールとしてのソルビトール85gを水200gに均一に混合して、ソルビトールを30重量%含有する保冷剤を調製し、この保冷剤を0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
【0037】
実施例5として、糖アルコールとしてのエリスリトール35gを水200gに均一に混合して、エリスリトールを15重量%含有する保冷剤を調製し、この保冷剤を0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
【0038】
実施例6として、糖アルコールとしてのキシリトール35gを水200gに均一に混合して、キシリトールを15重量%含有する保冷剤を調製し、この保冷剤を0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
【0039】
実施例7として、糖アルコールとしてのエリスリトール6.2gを水200gに均一に混合して、エリスリトールを3重量%含有する保冷剤を調製し、この保冷剤を0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
【0040】
実施例8として、糖アルコールとしてのエリスリトール12.8gを水200gに均一に混合して、エリスリトールを6重量%含有する保冷剤を調製し、この保冷剤を0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
【0041】
実施例9として、糖アルコールとしてのエリスリトール19.8gを水200gに均一に混合して、エリスリトールを9重量%含有する保冷剤を調製し、この保冷剤を0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
【0042】
実施例10として、糖アルコールとしてのエリスリトール27.3gを水200gに均一に混合して、エリスリトールを12重量%含有する保冷剤を調製し、この保冷剤を0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
【0043】
実施例11として、糖アルコールとしてのエリスリトール200gを水200gに均一に混合して、エリスリトールを50重量%含有する保冷剤を調製し、この保冷剤を0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
【0044】
実施例12として、糖アルコールとしてのエリスリトール42.9gと糖アルコールとしてのキシリトール42.9gを水200gに均一に混合して、エリスリトールとキシリトールを各15重量%含有する保冷剤を調製し、この保冷剤を0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
【0045】
実施例13として、糖アルコールとしてのエリスリトール88.4g、ゲル化剤としてのカルボキシメチルセルロース2.9g、不凍剤としてのプロピレングリコール2.9g、ゲル化助剤としてのミョウバン0.4gを水200gに均一に混合して、エリスリトールを30重量%含有するゲル状保冷剤を調製し、この保冷剤を0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
【0046】
比較例1として、水200gを0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
比較例2として、芒硝85gを水200gに均一に混合して、芒硝を30重量%含有する保冷剤を調製し、この保冷剤を0.11m×0.15mのKOPフィルム製の袋に入れて密封し、保冷袋を製作した。
【0047】
[表3]は、実施例1〜13及び比較例1〜2の保冷袋を−20℃の冷凍庫で12時間静置したときの、実施例1〜13、及び比較例2の各サンプルにおける結晶の析出状態(析出の有無を○×)で示し、次に冷凍庫で冷却した保冷袋を室温(25℃、60%RH)に放置したときの、結晶の溶解状態(溶解の有無を○×、一部溶解を△)を示している。
【表3】
【0048】
[表3]に示すように、実施例1〜13、及び比較例2の各サンプルにおいて結晶の析出が確認でき、更に保冷袋を室温に放置して実施例1及び2、実施例4〜実施例10、実施例12及び13につき結晶の溶解を確認するとともに、保冷袋の表面温度の経時変化を測定し、冷却性能について評価した。
【0049】
図1は糖アルコールを30重量%含有する実施例1〜4と比較例1〜2の表面温度の変化を示すグラフである。
図2は糖アルコールを15重量%含有する実施例5〜6と比較例1の表面温度の変化を示すグラフである。
【0050】
図3は、エリスリトールをそれぞれ3重量%、6重量%、9重量%、12重量%、50重量%含有する実施例7〜11と比較例1の表面温度の変化を示すグラフである。
図4は、エリスリトールとキシリトールを各15重量%含有する実施例12と比較例1の表面温度の変化を示すグラフである。
【0051】
図5は、エリスリトールを30重量%とゲル化剤、及び不凍液を各1重量%含有する実施例13と比較例1の表面温度の変化を示すグラフである。
図6及び[表4]は、実施例1〜6と比較例1における表面温度の差([実施例1〜6]−[比較例1])の経時変化を示すものである。なお、[表4]は実施例1〜13と比較例1との差のデータを示しているが、
図6は実施例1〜6と比較例1との差のデータのみを示している。
【表4】
【0052】
図1より、エリスリトールを30重量%含有する実施例1及びマンニトールを30重量%含有する実施例3では測定開始後約5時間、キシリトールを30重量%含有する実施例2及びソルビトールを30重量%含有する実施例4では測定開始後約3時間〜3時間半、水の蓄冷効果のみを利用した比較例1と比較して低い温度で推移していることから、糖アルコールを含有する場合の冷却効果が高いことが分かる。
【0053】
また、冷凍庫で冷却することにより結晶を析出する芒硝を用いた比較例2と比較しても、実施例1〜4のいずれも低い温度で推移していることから、糖アルコールを含有する場合の冷却効果が高いことが分かる。
【0054】
図2により、エリスリトールを15重量%含有する実施例5、キシリトールを15重量%含有する実施例6においても、水の蓄冷効果のみを利用した比較例1と比較して低い温度で推移していることから、糖アルコールを30重量%含有する場合と同様、糖アルコールの含有量を15%としても冷却効果が高いことが分かる。
【0055】
図3により、糖アルコールの濃度をそれぞれ3重量%、6重量%、9重量%、12重量%、50重量%とした場合においても、水の蓄冷効果のみを利用した比較例1と比較して高い冷却効果が得られることが分かる。
【0056】
図4により、複数の糖アルコールを混合した場合においても、水の蓄冷効果のみを利用した比較例1と比較して高い冷却効果が得られることが分かる。
図5により、ゲル状の保冷剤とした場合においても、水の蓄冷効果のみを利用した比較例1と比較して高い冷却効果が得られることが分かる。
【0057】
実施例1〜6と比較例1における表面温度の差を示す
図6及び[表4]より、測定開始約4〜5時間において、エリスリトールを含有する実施例1及び実施例5では、比較例1と比較して−4.5℃前後、マンニトールを含有する実施例3では比較例1と比較して−3℃前後で推移している。
【0058】
このことから、糖アルコールとして水への溶解度が低いエリスリトールやマンニトールを選択した場合には、一度に多量には溶解せずに温度が上昇するにつれて少しずつ溶解していくので、使用開始から比較的長い時間にわたって糖アルコールを含まない水と比較して、ほぼ一定の温度差で水より低い温度で推移していくことがわかる。
【0059】
また、キシリトールを含有する実施例2及び実施例6、ソルビトールを含有する実施例4では使用開始直後に一気に温度が下がり、その後は右肩上がりに温度上昇しながら、実施例2及び実施例4では約3時間、実施例6では1時間半程度の間、比較例1より低い温度で推移している。
【0060】
このことから、糖アルコールとして、水への溶解度の高いキシリトールやソルビトールを選択した場合は、使用開始と同時に多量に溶解して急激に温度が下がり、高い初期効果が得られることがわかる。
【0061】
なお、[表5]は、上記の実施例1〜13及び比較例1〜2における保冷剤の表面温度の変化を10分ごとに測定した測定結果を示している。
図1〜
図6はこれらの表5の温度データ(策定値)に基づくものである。
【表5】
【0062】
本発明のいくつかの実施例を説明したが、これらの実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。