特許第6087102号(P6087102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社の特許一覧

特許6087102通信装置、通信システム、パス制御方法、及びプログラム
<>
  • 特許6087102-通信装置、通信システム、パス制御方法、及びプログラム 図000002
  • 特許6087102-通信装置、通信システム、パス制御方法、及びプログラム 図000003
  • 特許6087102-通信装置、通信システム、パス制御方法、及びプログラム 図000004
  • 特許6087102-通信装置、通信システム、パス制御方法、及びプログラム 図000005
  • 特許6087102-通信装置、通信システム、パス制御方法、及びプログラム 図000006
  • 特許6087102-通信装置、通信システム、パス制御方法、及びプログラム 図000007
  • 特許6087102-通信装置、通信システム、パス制御方法、及びプログラム 図000008
  • 特許6087102-通信装置、通信システム、パス制御方法、及びプログラム 図000009
  • 特許6087102-通信装置、通信システム、パス制御方法、及びプログラム 図000010
  • 特許6087102-通信装置、通信システム、パス制御方法、及びプログラム 図000011
  • 特許6087102-通信装置、通信システム、パス制御方法、及びプログラム 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087102
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】通信装置、通信システム、パス制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/911 20130101AFI20170220BHJP
   H04L 12/721 20130101ALI20170220BHJP
【FI】
   H04L12/911
   H04L12/721 Z
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-222453(P2012-222453)
(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公開番号】特開2014-75709(P2014-75709A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】新留 憲介
(72)【発明者】
【氏名】福田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昭二
(72)【発明者】
【氏名】上手 祐治
(72)【発明者】
【氏名】安藤 雅
(72)【発明者】
【氏名】吉本 義孝
(72)【発明者】
【氏名】増田 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】田中 陽介
【審査官】 速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−147925(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0250696(US,A1)
【文献】 特開2008−078910(JP,A)
【文献】 特開平09−135294(JP,A)
【文献】 久保庭 章子、他2名,プリエンプトされた低優先度LSPのための再ルーティングアルゴリズムの提案,電子情報通信学会技術研究報告 IN2006-123,日本,社団法人電子情報通信学会,2006年12月 7日,第106巻 第420号,pp.55-60
【文献】 野本 義弘、他3名,SIPデバイス管理機能を用いたVNCプロキシの実装,電子情報通信学会2011年総合大会講演論文集 通信2,社団法人電子情報通信学会,2011年 2月28日,p.588
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/911
H04L 12/721
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークにおけるパスの端点として機能する通信装置であって、
前記通信装置が、第1の対向装置との間で第1のパスを確立している状態において、第2の対向装置との間に第2のパスを確立する要求があったときに、前記第1のパス及び前記第2のパスのうちのどちらを優先させるかを判定する優先度判定手段と、
前記優先度判定手段により、前記第1のパスに対して前記第2のパスを優先させると判定した場合に、前記第1のパスを切断するとともに、前記第2のパスを確立するパス制御手段と
パスの確立を行う予約時刻を含む予約情報を格納する予約情報格納手段と、
前記第2のパスを確立する要求を、前記予約時刻の到来により検知する予約実行管理手段と、
前記第2の対向装置からパス確立要求メッセージを受信したときに、前記パス確立要求メッセージに含まれる情報と前記予約情報とを照合することにより、前記パス確立要求メッセージが前記予約情報と整合するかどうかを判定する整合性判定手段と
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第2のパスを確立し、前記第1のパスが切断している状態において、前記第2のパスを切断する要求があったときに、前記パス制御手段は、前記第2のパスを切断するとともに、前記第1のパスを確立する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記要求があったときのパスの確立又は切断のためのメッセージ送信を当該パスの対向装置に実行させる要求制御手段を更に備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信装置が、対向装置からパス確立要求メッセージを受信することにより、前記第2のパスを確立する要求があったことを検知したときに、前記優先度判定手段は、前記第1のパス及び前記第2のパスのうちのどちらを優先させるかを判定する
ことを特徴とする請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信装置は、前記通信ネットワークにおける受信側エッジ装置であり、前記対向装置は、前記通信ネットワークにおける送信側エッジ装置である
ことを特徴とする請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の通信装置と、当該通信装置との間でパスを確立することができる対向装置とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項7】
通信ネットワークにおけるパスの端点として機能する通信装置が実行するパス制御方法であって、
前記通信装置が、第1の対向装置との間で第1のパスを確立している状態において、第2の対向装置との間に第2のパスを確立する要求があったときに、前記第1のパス及び前記第2のパスのうちのどちらを優先させるかを判定する優先度判定ステップと、
前記優先度判定ステップにより、前記第1のパスに対して前記第2のパスを優先させると判定した場合に、前記第1のパスを切断するとともに、前記第2のパスを確立するパス制御ステップとを備えるパス制御方法であり、
前記通信装置は、
パスの確立を行う予約時刻を含む予約情報を格納する予約情報格納手段を備え、前記優先度判定ステップにおいて、前記第2のパスを確立する要求を、前記予約時刻の到来により検知し、
前記パス制御ステップにおいて、前記第2の対向装置からパス確立要求メッセージを受信したときに、前記パス確立要求メッセージに含まれる情報と前記予約情報とを照合することにより、前記パス確立要求メッセージが前記予約情報と整合するかどうかを判定する
ことを特徴とするパス制御方法。
【請求項8】
コンピュータを備える通信装置を、請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の通信装置における各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばMPLS通信システムのように、ノード装置間でパスを確立することにより通信サービスを提供する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MPLSが動作するネットワークにおけるパス(具体的にはLSP)の確立において、RSVP-TEというシグナリング技術が標準化されている。
【0003】
LSPはネットワークの端点となるノード装置間の単一方向の通信経路である。OSPF-TEを用いることにより、TEリンクの帯域使用状況をTE(トラフィックエンジニアリング)用データベースによりネットワーク内で共有することができ、このTE用データベースを用いてLSPの使用可能な経路をCSPF計算して、RSVP-TEのシグナリングによりLSPを確立する。RSVP-TEにより生成できるLSPとしては、point-to-point(1:1)のパスだけでなくpoint-to-multipoint(1:N)のパスも設定することができる。
【0004】
このようなLSPの管理は、端点装置に明示的にLSP設定コマンドを投入することで、行うことができる。例えば、LSPを確立するときは、発側ノード装置から受側ノード装置にPathメッセージを送信する。LSPを解放するときは、同様に発側ノード装置から受側ノード装置にPathTearメッセージを送信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】IETF RFC2205 http://www.ietf.org/rfc/rfc2205.txt
【非特許文献2】IETF RFC2205 http://www.ietf.org/rfc/rfc2205.txt
【非特許文献3】IETF RFC4875 http://www.ietf.org/rfc/rfc4875.txt
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LSPを使用するアプリケーションによっては、広帯域のトラフィックを常時疎通するLSPを複数確立する必要がある。しかし、ネットワークのリソースは有限であるので、確立したLSPにおいて常時トラフィック疎通を保証できるとは限らず、必要に応じてLSPの確立と切断を繰り返さなくてはならない。よって、ネットワーク運用者による管理が煩雑になる。特に、LSPの確立/切断が頻繁に発生する場合には、このデメリットが顕著になる。このような状況が生じる具体的な例としては、MPLSを用いて映像伝送ネットワークを構築するケースがある。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、パスの切断及び確立のためにネットワーク運用者が行う設定操作等の負担を軽減することを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、通信ネットワークにおけるパスの端点として機能する通信装置であって、
前記通信装置が、第1の対向装置との間で第1のパスを確立している状態において、第2の対向装置との間に第2のパスを確立する要求があったときに、前記第1のパス及び前記第2のパスのうちのどちらを優先させるかを判定する優先度判定手段と、
前記優先度判定手段により、前記第1のパスに対して前記第2のパスを優先させると判定した場合に、前記第1のパスを切断するとともに、前記第2のパスを確立するパス制御手段と
パスの確立を行う予約時刻を含む予約情報を格納する予約情報格納手段と、
前記第2のパスを確立する要求を、前記予約時刻の到来により検知する予約実行管理手段と、
前記第2の対向装置からパス確立要求メッセージを受信したときに、前記パス確立要求メッセージに含まれる情報と前記予約情報とを照合することにより、前記パス確立要求メッセージが前記予約情報と整合するかどうかを判定する整合性判定手段と
を備えたことを特徴とする通信装置として構成される。
【0009】
また、本発明は、上記通信装置と、当該通信装置との間でパスを確立することができる対向装置とを備える通信システム、上記通信装置が実行するパス制御方法、及び、コンピュータを備える通信装置を、上記通信装置における各手段として機能させるためのプログラムとして構成することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パスの切断及び確立のためにネットワーク運用者が行う設定操作等の負担を軽減することを可能にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの全体構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る受エッジノード装置の機能構成図である。
図3】本発明の実施の形態に係る発エッジノード装置の機能構成図である。
図4】パスの切り替えの概要を示す図である。
図5】動作例1を説明するためのシーケンス図である。
図6】パスの切り替えの概要を示す図である。
図7】動作例1を説明するためのシーケンス図である。
図8】動作例2を説明するためのシーケンス図である。
図9】動作例2を説明するためのシーケンス図である。
図10】動作例3を説明するためのシーケンス図である。
図11】動作例3を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
【0013】
例えば、以下の説明では、通信システムとしてMPLS通信システムを用い、MPLSにおけるLSP(パス)の生成のためのシグナリングプロトコルとして、RSVP-TEを使用することを想定しているが、本発明は、RSVP-TE以外のシグナリングプロトコルを使用する場合にも適用できる。また、MPLS以外の通信方式にも本発明を適用することが可能である。また、本実施の形態では、伝送するデータの例として映像を挙げているが、伝送されるデータは映像に限られない。
【0014】
(システム全体構成)
図1に、本発明の実施の形態に係る通信システムの全体構成例を示す。図1に示すように、本実施の形態に係る通信システムは、通信ネットワーク10におけるエッジノード装置A〜Eを有する。通信ネットワーク10(IP/MPLS網)内には、図示しない中継ノード装置が備えられており、各ノード装置は伝送路により接続される。各エッジノード装置の外側には、例えば映像等のデータを送受信するユーザ装置が接続されている。
【0015】
また、本実施の形態では、エッジノード装置C、D、Eが他のエッジノード装置(Igressノード装置)からデータを受信して配下のユーザ装置に転送するEgressノード装置であり、エッジノード装置A、Bは配下のユーザ装置から受信したデータをEgressノード装置に転送するIngressノード装置であるものとする。
【0016】
なお、実際には、各エッジノード装置は、Ingressノード装置の機能とEgressノード装置の機能の両方を有するが、本実施の形態では説明を分かり易くするために、上記の機能構成に着目している。以下、A、Bのエッジノード装置を受エッジノード装置と呼び、他のエッジノード装置を発エッジノード装置と呼ぶ。
【0017】
発エッジノード装置(A、B)と受エッジノード装置(C、D、E)との間で、シグナリングメッセージが送受信されることにより、パス(より具体的にはLSP)の設定、切断等が行われるが、本実施の形態においては、発エッジノード装置Aと受エッジノード装置Cとの間、発エッジノード装置Aと受エッジノード装置Dとの間、発エッジノード装置Aと受エッジノード装置Eとの間において、図示するようにパスが設定されているものとする。これらのパスをそれぞれデフォルトパスと呼ぶ。これらのデフォルトパスは、例えば、各エッジノード装置におけるコンフィグレーション設定等により固定的に設定されるパスであり、特別な指示を受けない限り、これらのデフォルトパスが設定された状態にある。なお、図1に示す複数のデフォルトパスは、まとめてマルチキャストパスを構成するものであってもよいし、それぞれがユニキャストパスであってもよい。また、デフォルトパスは複数である必要はなく、1本であってもよい。
【0018】
発エッジノード装置Aは、データの送出側のユーザ装置からデータを受信し、設定されたパスに送出し、受エッジノード装置C〜Eはそれぞれ、パスから受信したデータをデータの受信側のユーザ装置に送出する。本実施の形態における各中継ノード装置は、例えばLSR(Label Switched Router)である。
【0019】
本実施の形態では、各エッジノード装置のユーザ装置側の端点のインタフェースを端点ポートと呼ぶ。本実施の形態では、端点の設定をしてシグナリングすることにより、中継ノード装置の接続まで含めてEnd-Endのパス設定が可能となる。中継IP/MPLS網では、OSPF やPCE などによりシグナリングパケットをルーティングし、または明示的経路指定によりルーティングを行い、端点間の接続性を提供している。
【0020】
(装置構成例)
以下、本実施の形態に係る受エッジノード装置、及び発エッジノード装置の機能構成例について説明する。なお、以下で図示する構成は、本実施の形態に関わる機能を主に示すものである。MPLSのエッジノード装置としての処理動作を行うための図示しない既存機能も含まれている。例えば、デフォルトパスに関する情報を含むコンフィグ設定情報を格納する格納部等を有する。
【0021】
図2に、本実施の形態に係る受エッジノード装置(C、D、E)の機能構成例を説明する。図2に示すように、受エッジノード装置は、制御用インタフェース部21、予約情報格納部22、予約実行管理部23、優先度判定部24、要求制御部25、パス接続制御部26、データ転送制御部27、ユーザデータI/Oインタフェース部28、データ転送用情報格納部29を有する。以下、各部の機能の概要を説明する。詳細については、後述する動作例のところで説明する。
【0022】
制御用インタフェース部21は、外部システム等から予約情報(後述する<システム動作例1>にて内容を説明)や、リアルタイムのパス接続/切断の要求を受信する機能部である。予約情報は予約情報格納部22に格納される。
【0023】
予約実行管理部23は、予約情報に記述された予約時刻の到来を検知して、パスの接続/切断を要求制御部25に指示する機能部である。優先度判定部24は、パスの優先度(複数あるパスのうちのどのパスを優先させるか)を判定する機能部である。予約実行管理部23は、当該優先度に基づいて、パスの接続/切断を要求制御部25に指示する。
【0024】
要求制御部25は、予約実行管理部23からの指示に基づいて、制御メッセージ(接続要求、切断要求等)を生成し、当該制御メッセージを、予約実行管理部23から指示されたパスの始点の発エッジノード装置に送信する機能部である。この制御メッセージを受信した発エッジノード装置は、パス接続/切断のためのシグナリングメッセージを送信する。
【0025】
パス接続制御部26は、例えばRSVP-TEに基づくシグナリングメッセージを発エッジノード装置との間で送受信することによりパスの接続/切断を行う機能部である。
【0026】
データ転送制御部27は、発エッジノード装置から送信され、パスを介して転送されてきたデータを受信し、データ転送用情報格納部29に格納されたデータ転送用情報に基づいて、受信したデータをユーザ装置に接続されるユーザデータI/Oインタフェース部28に出力する機能部である。ユーザデータI/Oインタフェース部28は、ユーザ装置にデータを転送する機能部である。
【0027】
データ転送用情報格納部29は、設定されているパスを識別するラベル情報と、パスに対応する転送先のインタフェース等を対応付けて格納する。
【0028】
次に、本実施の形態に係る発エッジノード装置(A、B)の構成例を図3に示す。図3に示すように、発エッジノード装置は、制御用インタフェース部31、予約情報格納部32、予約実行管理部33、要求制御部34、パス接続制御部35、データ転送制御部36、ユーザデータI/Oインタフェース部37、データ転送用情報格納部38を有する。以下、各部の機能の概要を説明する。詳細については、後述する動作例のところで説明する。
【0029】
制御用インタフェース部31は、外部システム等から予約情報や、リアルタイムのパス接続/切断の要求を受信する機能部である。予約情報は予約情報格納部32に格納される。
【0030】
予約実行管理部33は、予約情報に記述された予約時刻の到来を検知して、パスの接続/切断をパス接続制御部35に指示する機能部である。
【0031】
要求制御部34は、受エッジノード装置から受信した制御メッセージに基づいて、パス接続制御部35に対してシグナリングメッセージの生成、送信を指示する機能部である。
【0032】
パス接続制御部35は、要求制御部34からの指示等に基づいて、例えばRSVP-TEに基づくシグナリングメッセージを受エッジノード装置との間で送受信することによりパスの接続/切断を行う機能部である。データ転送制御部36は、データ転送用情報格納部38に格納された情報に基づいて、ユーザ装置側から受信したデータを、設定されたパス上に送出する(つまり、パスに対応するラベルを付加してデータを送る)機能部である。ユーザデータI/Oインタフェース部37は、ユーザ装置からデータを受信し、受信したデータをデータ転送制御部36に渡す機能を有する。データ転送用情報格納部38は、例えば、データの宛先、設定されているパスのラベル情報、入力インタフェース、出力インタフェースを対応付けて格納する。
【0033】
なお、後述する動作例2、3においては、予約実行管理部23、33、及び予約情報格納部22、32を備えなくてもよい。また、上記の機能構成は一例に過ぎず、後述する動作を実現できる構成であればどのような装置構成でもよい。
【0034】
本実施の形態に係る各エッジノード装置は、コンピュータ(メモリ、CPU)の機能を含むルータ等の通信装置において、本実施の形態で説明する処理に対応するプログラムを実行させることにより実現可能である。当該プログラムは、可搬メモリ等の記憶媒体に格納して配布し、上記通信装置にインストールして用いてもよいし、ネットワーク上のサーバからダウンロードして上記通信装置にインストールしてもよい。また、本実施の形態で説明する処理をハードウェア回路として実現し、当該ハードウェア回路を通信装置に備えることとしてもよい。
【0035】
(システムの動作)
以下、本実施の形態に係る通信システムの動作例1〜動作例3を図4図11を参照して説明する。以下の説明において、図2図3に示した構成における機能部を適宜参照する。
【0036】
以下に示す動作例では、発エッジノード装置Aと受エッジノード装置E間のデフォルトパスA→Eを切断するとともに、発エッジノード装置Bと受エッジノード装置E間のパスB→Eを設定し、その後、発エッジノード装置Bと受エッジノード装置E間のパスB→Eを切断し、発エッジノード装置Aと受エッジノード装置E間のデフォルトパスA→Eを設定する動作について説明する。発エッジノード装置Bと受エッジノード装置E間のパスは、デフォルトパスと異なり、一時的に設定されるパスなので、これを一時パス(本例では一時パスB→E)と呼ぶ。
【0037】
<システムの動作例1>
動作例1について、図4図7を参照して説明する。なお、シグナリングメッセージは、中継ノード装置を経由して発エッジノード装置と受エッジノード装置間を送受信されるが、以下で説明するシーケンス図においては中継ノード装置の記載を省略している。他の動作例でも同様である。
【0038】
動作例1では、一時パスB→Eの発側である発エッジノード装置Bと受側である受エッジノード装置Eのそれぞれに対して、一時パスB→Eを設定することを予約する予約情報が外部システム等から通知され、それぞれの予約情報格納部(22、32)に格納されているものとする。
【0039】
この予約情報は、例えば、一時パスB→Eの始点の識別情報(例:発エッジノード装置Bのユーザ装置側端点ポートのIPアドレス)、一時パスB→Eの終点の識別情報(例:受エッジノード装置Eのユーザ装置側端点ポートのIPアドレス)、一時パスB→Eの開始時刻、一時パスB→Eの終了時刻を含む。
【0040】
各エッジノード装置に設定された予約情報に記述された開始時刻が到来すると、図4に示すように、デフォルトパスA→Eを切断するとともに、一時パスB→Eを設定する。この動作を図5のシーケンス図を参照して説明する。
【0041】
受エッジノード装置Eにおいて、予約実行管理部23が予約情報に記述された開始時刻の到来を検知すると、優先度判定部24に優先度判定を実行させる。本例では、優先度判定部24は、当該予約情報に係る一時パスB→Eは、終点が同じであるデフォルトパスA→Eよりも優先度が高いと判定する。この判定結果に基づき、予約実行管理部23は、デフォルトパスA→Eの切断シグナリングを要求する切断要求メッセージを発エッジノード装置Aに送信することを要求制御部25に指示する。指示を受けた要求制御部25は、当該切断要求メッセージを発エッジノード装置Aに送信する(ステップS1A)。
【0042】
なお、予約情報に係る一時パスとデフォルトパスの優先度の判定は、開始時刻が到来する前に行ってもよい。例えば、予約情報を外部システムから受信したときに判定を行ってもよい。また、予約時刻(ここでは開始時刻)の到来判定を所定のタイムスロット(例:1秒)毎に行うこととし、開始時刻を含むタイムスロットの開始時点で優先度の判定、及び切断要求メッセージの送信を行うこととしてもよい。
【0043】
また、優先度の判定については、特定の方法に限定されない。例えば、予約情報の中に、明示的に優先度を示す情報(例えば、一時パス接続時は、一時パスのほうがデフォルトパスより優先度が高いことを示す情報)を含め、この優先度に基づいて、判定を行うこととしてもよいし、発側の対地(エッジノード装置)毎に、予め優先度を定め、受エッジノード装置Eに設定しておき、この対地の優先度に基づいて、一時パスとデフォルトパス間の優先度の判定を行うこととしてもよい。また、一時パス接続時には、一時パスのほうがデフォルトパスよりも常に優先度が高いこととし、一時パスの開始時刻が到来した場合には、必ずデフォルトパスの切断、一時パスの設定を行う判定をするよう予め設定しておいてもよい。
【0044】
なお、優先度判定の結果によっては、一時パスを接続せずに、デフォルトパスの接続を継続する場合もある。
【0045】
切断要求メッセージを受信した発エッジノード装置Aの要求制御部34は、PathTearメッセージを受エッジノード装置Eに送信することをパス接続制御部35に対して指示し、指示を受けたパス接続制御部35が当該PathTearメッセージを受エッジノード装置Eに送信する(ステップS2A)。また、ステップS2AのPathTearと並行して、ラベル転送データを停止させるため、受エッジノード装置Eのパス接続制御部26によりResvTearメッセージが発エッジノード装置Aに向けて返される(ステップS3A)。これにより、デフォルトパスA→Eの切断が行われる。
【0046】
一方、上記の切断と並行して、一時パスB→Eの接続が行われる。すなわち、発エッジノード装置Bにおいて、予約実行管理部33が予約情報に記述された開始時刻の到来を検知すると、一時パスB→Eを設定するために、Pathメッセージを受エッジノード装置Eに送信するようパス接続制御部35に指示し、指示を受けたパス接続制御部35がPathメッセージを受エッジノード装置Eに送信する(ステップS1B)。なお、リンク上のトラフィック上限を意識する場合には、「デフォルトパスA→Eの切断」を実行してから一定時間(コンフィグ指定が可能)の後に「一時パスB→Eの接続」を行うことでもよい。Pathメッセージを受信した受エッジノード装置Eのパス接続制御部26は、Resvメッセージを発エッジノード装置Bに返す(ステップS2B)。これにより一時パスB→Eが設定され、発エッジノード装置Bから受エッジノード装置Eへのデータ転送が開始される(ステップS3B)。
【0047】
なお、上記の処理において、発エッジノード装置Bは、Pathメッセージの中に予約情報を識別できる情報(これを制御情報と呼び、例えば、予約情報に含まれる開始時刻、終了時刻、始点の識別情報、終点の識別情報の全部又は一部、予約パスの優先度などを含む)を含めて送信し、当該Pathメッセージを受信した受エッジノード装置Eが、当該Pathメッセージから制御情報を取り出し、取り出した制御情報と自ノード内の予約情報とを比較して両者の整合性をチェックし、当該Pathメッセージは確かに予約情報に係る一時パスB→Eを設定するためのメッセージであり、なおかつ、優先度判定の結果から、一時パスB→Eは設定すべきパスであることを確認し、その後に、Resvメッセージを返すようにしてもよい。この場合、受エッジノード装置Eは当該処理を実行するための情報照合判定部(整合性判定手段と呼んでもよい)を備える。
【0048】
その後、各エッジノード装置に設定された予約情報に記述された終了時刻が到来すると、図6に示すように、一時パスB→Eを切断するとともに、デフォルトパスA→Eを設定する。この動作を図7のシーケンス図を参照して説明する。
【0049】
受エッジノード装置Eの予約実行管理部23は、予約情報に記述された終了時刻が到来したことを検知すると、優先度判定部24に優先度判定を実行させる。本例では、優先度判定部24は、デフォルトパスA→Eを優先させる判定を行う。この判定結果に基づき、予約実行管理部23は、デフォルトパスA→Eの接続シグナリングを要求する接続要求メッセージを発エッジノード装置Aに送信することを要求制御部25に指示する。指示を受けた要求制御部25は、当該接続要求メッセージを発エッジノード装置Aに送信する(ステップS11A)。
【0050】
なお、優先度の判定は、終了時刻が到来する前に行ってもよい。例えば、予約情報を外部システムから受信したときに判定を行ってよい。また、予約時刻(ここでは終了時刻)の判定を所定のタイムスロット(例:1秒)毎に行うこととし、終了時刻を含むタイムスロットの開始時点で優先度の判定、及び接続要求メッセージの送信を行うこととしてもよい。
【0051】
なお、優先度判定の結果によっては、一時パスを切断せずに、一時パスの接続を継続する場合もある。
【0052】
また、一時パスの接続とデフォルトパスの切断を同時に行い、一時パスの切断とデフォルトパスの接続を同時に行うこととした場合には、一時パスの予約情報を受信したときなどに、受エッジノード装置Eにおいて予め切断要求メッセージと接続要求メッセージの組み合わせを用意しておいてもよい。
【0053】
接続要求メッセージを受信した発エッジノード装置Aにおける要求制御部34は、Pathメッセージを受エッジノード装置Eに送信することをパス接続制御部35に指示し、指示を受けたパス接続制御部35がPathメッセージを受エッジノード装置Eに送信する(ステップS12A)。そして、Pathメッセージを受信した受エッジノード装置EからResvメッセージが発エッジノード装置Aに返される(ステップS13A)。これにより、デフォルトパスA→Eの設定が行われ、データ転送が開始される(ステップS14A)。
【0054】
一方、上記のデフォルトパスの接続と並行して、一時パスB→Eの切断が行われる。すなわち、発エッジノード装置Bの予約実行管理部33は、予約情報に記述された終了時刻の到来を検知すると、一時パスB→Eを切断するために、PathTearメッセージを受エッジノード装置Eに送信することをパス接続制御部35に指示し、指示を受けたパス接続制御部35がPathTearメッセージを受エッジノード装置Eに送信する(ステップS11B)。なお、リンク上のトラフィック上限を意識する場合には、「一時パスB→Eの切断」を実行してから一定時間(コンフィグ指定が可能)の後に「デフォルトパスの接続」を行うことでもよい。受エッジノード装置Eのパス接続制御部26は、ステップS11BのPathTearと並行して、ラベル転送データを停止させるため、ResvTearメッセージを発エッジノード装置Bに向けて返す(ステップS12B)。これにより一時パスB→Eが切断され、発エッジノード装置Bから受エッジノード装置Eへのデータ転送が終了する。
【0055】
なお、上記の処理において、発エッジノード装置Bは、PathTearメッセージの中に予約情報を識別できる情報(これを制御情報と呼び、例えば、予約情報に含まれる開始時刻、終了時刻、始点の識別情報、終点の識別情報の全部又は一部、予約パスの優先度などを含む)を含めて送信し、当該PathTearメッセージを受信した受エッジノード装置Eが、当該PathTearメッセージから制御情報を取り出し、取り出した制御情報と予約情報とを比較することで、当該PathTearメッセージは確かに予約情報に係る一時パスB→Eを切断するためのメッセージであり、なおかつ、優先度判定の結果から、一時パスB→Eは切断すべきパスであることを確認し、その後に、ResvTearメッセージを返すようにしてもよい。この場合、受エッジノード装置Eは当該処理を実行するための情報照合判定部を備える。
【0056】
なお、動作例1において、予約情報を受エッジノード装置Eのみに設定し、デフォルトパス切断のための切断要求メッセージに加えて、接続要求メッセージを受エッジノード装置Eから発エッジノード装置Bに送ることで一時パスを設定し、デフォルトパス設定のための接続要求メッセージに加えて、切断要求メッセージを受エッジノード装置Eから発エッジノード装置Bに送ることで一時パスを切断するようにしてもよい。
【0057】
<システムの動作例2>
次に、動作例2について、主に図8図9を参照して説明する。
【0058】
動作例2では、一時パスB→Eの発側である発エッジノード装置Bと受側である受エッジノード装置Eのいずれにも予約情報は設定されておらず、受エッジノード装置Eが外部システム等から一時パスB→Eの接続要求/切断要求を受信することにより、一時パスB→Eの接続/切断、デフォルトパスA→Eの切断/接続を行う。
【0059】
受エッジノード装置Eが一時パスB→Eの接続要求(始点、終点の識別情報を含む)を外部システム等から受信すると、図4に示したように、デフォルトパスA→Eを切断するとともに、一時パスB→Eを設定する。この動作を図8のシーケンス図を参照して説明する。
【0060】
受エッジノード装置Eの要求制御部25が、制御用インタフェース部21を介して一時パスB→Eの接続要求を受信すると、優先度判定部24に優先度判定を行わせる。優先度判定部24は、当該接続要求に係る一時パスB→Eは、終点が同じであるデフォルトパスA→Eよりも優先度が高いと判断する。この判定結果に基づき、要求制御部25はデフォルトパスA→Eの切断シグナリングを要求する切断要求メッセージを発エッジノード装置Aに送信する(ステップS21A)。
【0061】
なお、優先度の判定については、特定の方法に限定されない。例えば、接続要求の中に、明示的に優先度を示す情報(例えば、一時パス接続時は、一時パスのほうがデフォルトパスより優先度が高いことを示す情報)を含め、この優先度に基づいて、判定を行うこととしてもよいし、発側の対地(エッジノード装置)毎に、予め優先度を定め、装置に設定しておき、この対地の優先度に基づいて、一時パスとデフォルトパスとの優先度の判定を行うこととしてもよい。また、一時パス接続時には、一時パスのほうがデフォルトパスよりも常に優先度が高いこととし、一時パスの接続要求が到来した場合には、必ずデフォルトパスの切断、一時パスの設定を行う判定をするよう予め設定しておいてもよい。
【0062】
なお、優先度判定の結果によっては、一時パスを接続せずに、デフォルトパスの接続を継続する場合もある。
【0063】
切断要求メッセージを受信した発エッジノード装置Aにおける要求制御部34は、PathTearメッセージを受エッジノード装置Eに送信することをパス接続制御部35に指示し、指示を受けたパス接続制御部35がPathTearメッセージを受エッジノード装置Eに送信する(ステップS22A)。受エッジノード装置Eは、ステップS22AのPathTearと並行して、ラベル転送データを停止させるため、ResvTearメッセージを発エッジノード装置Aに返す(ステップS23A)。これにより、デフォルトパスAの切断が行われる。
【0064】
一方、上記の切断と並行して、一時パスB→Eの接続が行われる。すなわち、優先度判定の結果に基づき、受エッジノード装置Eの要求制御部25は、一時パスB→Eの接続シグナリングを要求する接続要求メッセージを発エッジノード装置Bに送信する(ステップS21B)。なお、リンク上のトラフィック上限を意識する場合には、「デフォルトパスA→Eの切断」を実行してから一定時間(コンフィグ指定が可能)の後に「一時パスB→Eの接続」を行うことでもよい。接続要求メッセージを受信した発エッジノード装置Bの要求制御部34は、Pathメッセージを受エッジノード装置Eに送信することをパス接続制御部35に指示し、指示を受けたパス接続制御部35がPathメッセージを受エッジノード装置Eに送信する(ステップS22B)。Pathメッセージを受信した受エッジノード装置Eは、Resvメッセージを発エッジノード装置Bに返す(ステップS23B)。これにより一時パスB→Eが設定され、発エッジノード装置Bから受エッジノード装置Eへのデータ転送が開始される(ステップS24B)。
【0065】
その後、受エッジノード装置Eが、一時パスB〜Eを切断する切断要求を外部システム等から受信すると、図6に示したように、一時パスB→Eを切断するとともに、デフォルトパスA→Eを設定する。この動作を図9のシーケンス図を参照して説明する。
【0066】
受エッジノード装置Eの要求制御部25が、制御用インタフェース部21を介して切断要求を受信すると、優先度判定部24に優先度判定を行わせる。優先度判定部24はデフォルトパスA→Eを優先させる判定を行う。この判定結果に基づき、要求制御部25はデフォルトパスA→Eの接続シグナリングを要求する接続要求メッセージを発エッジノード装置Aに送信する(ステップ31A)。
【0067】
なお、優先度の判定については、例えば、切断要求の中に、明示的に優先度を示す情報(例えば、一時パス切断時は、一時パスのほうがデフォルトパスより優先度が低いことを示す情報)を含め、この優先度に基づいて、判定を行うこととしてもよいし、発側の対地(エッジノード装置)毎に、予め優先度を定め、装置に設定しておき、この対地の優先度に基づいて、一時パスとデフォルトパスとの優先度の判定を行うこととしてもよい。また、一時パス切断時には、一時パスのほうがデフォルトパスよりも常に優先度が低いこととし、一時パスの切断要求を受信した場合には、必ずデフォルトパスの接続、一時パスの切断を行う判定をするよう予め設定しておいてもよい。
【0068】
接続要求メッセージを受信した発エッジノード装置Aにおける要求制御部34は、Pathメッセージを受エッジノード装置Eに送信することをパス接続制御部35に指示し、指示を受けたパス接続制御部35がPathメッセージを受エッジノード装置Eに送信する(ステップS32A)。そして、Pathメッセージを受信した受エッジノード装置EからResvメッセージが発エッジノード装置Aに返される(ステップS33A)。これにより、デフォルトパスAの設定が行われ、データ転送が開始される(ステップS34A)。
【0069】
一方、上記のデフォルトパスの接続と並行して、一時パスB→Eの切断が行われる。すなわち、優先度判定の結果に基づいて、受エッジノード装置Eの要求制御部25は、一時パスB→Eの切断シグナリングを要求する切断要求メッセージを発エッジノード装置Bに送信する(ステップS31B)。なお、リンク上のトラフィック上限を意識する場合には,「一時パスB→Eの切断」を実行してから一定時間(コンフィグ指定が可能)の後に「デフォルトパスの接続」を行うことでもよい。切断要求メッセージを受信した発エッジノード装置Bの要求制御部34は、PathTearメッセージを受エッジノード装置Eに送信することをパス接続制御部35に指示し、指示を受けたパス接続制御部35がPathTearメッセージを受エッジノード装置Eに送信する(ステップS32B)。受エッジノード装置Eのパス接続制御部26は、ステップS32BのPathTearと並行して、ラベル転送データを停止させるため、ResvTearメッセージを発エッジノード装置Bに返す(ステップS33B)。これにより一時パスB→Eが切断され、発エッジノード装置Bから受エッジノード装置Eへのデータ転送が終了する。
【0070】
<システムの動作例3>
次に、動作例3について、主に図10図11を参照して説明する。
【0071】
動作例3では、一時パスB→Eの発側である発エッジノード装置Bと受側である受エッジノード装置Eのいずれにも予約情報は設定されておらず、発エッジノード装置Bが外部システムから一時パスB→Eの接続要求/切断要求を受信することにより、一時パスB→Eの接続/切断、デフォルトパスA→Eの切断/接続を行う。
【0072】
発エッジノード装置Bが一時パスB→Eの接続要求を外部システム等から受信すると、図4に示したように、デフォルトパスA→Eを切断するとともに、一時パスB→Eを設定する処理を行う。この動作を図10のシーケンス図を参照して説明する。
【0073】
発エッジノード装置Bにおけるパス接続制御部35は、制御用インタフェース部31を介して、一時パスB→Eの接続要求を受信すると、Pathメッセージ(パス確立要求メッセージ)を受エッジノード装置Eに送信する(ステップS41B)。Pathメッセージを受信した受エッジノード装置Eのパス接続制御部26は、Pathメッセージにより接続しようとしている一時パスB→Eと終点が同じであるデフォルトパスA→Eが接続されていることを検知する。そして、優先度判定部24に優先度を判定させ、優先度判定部24は、一時パスB→Eは、デフォルトパスA→Eよりも優先度が高いと判定する。この判定結果に基づき、パス接続制御部26は一時パスの接続処理を継続してResvメッセージを発エッジノード装置Bに返す(ステップS42B)。また、判定結果に基づき、要求制御部25は、デフォルトパスA→Eを切断するために、デフォルトパスA→Eの切断シグナリングを要求する切断要求メッセージを発エッジノード装置Aに送信する(ステップS41A)。
【0074】
なお、優先度の判定については、例えば、接続要求の中に、明示的に優先度を示す情報(例えば、一時パス接続時は、一時パスのほうがデフォルトパスより優先度が高いことを示す情報)を含め、この情報を発エッジノード装置BにおいてPathメッセージに含め、この優先度に基づいて、受エッジノード装置Eが判定を行うこととしてもよいし、発側の対地(エッジノード装置)毎に、予め優先度を定め、受エッジノード装置Eに設定しておき、この対地の優先度に基づいて、一時パスとデフォルトパスとの優先度の判定を行うこととしてもよい。また、一時パス接続時には、一時パスのほうがデフォルトパスよりも常に優先度が高いこととし、一時パス(デフォルトパスと同じ終点のパス)のPathメッセージが到来した場合には、必ずデフォルトパスの切断、一時パスの設定を行う判定をするように予め設定してもよい。
【0075】
切断要求メッセージを受信した発エッジノード装置Aの要求制御部34は、PathTearメッセージを受エッジノード装置Eに送信するようパス接続制御部35に指示し、指示を受けたパス接続制御部35がPathTearメッセージを受エッジノード装置Eに送信する(ステップS42A)。そして、受エッジノード装置Eのパス接続制御部26は、ステップS42AのPathTearと並行して、ラベル転送データを停止させるため、ResvTearメッセージを発エッジノード装置Aに返す(ステップS43A)。これにより、デフォルトパスA→Eの切断が行われる。
【0076】
また、受エッジノード装置Eから送信されたResvメッセージを発エッジノード装置Bが受信することにより(ステップS42B)、一時パスB→Eが設定され、発エッジノード装置Bから受エッジノード装置Eへのデータ転送が開始される(ステップS43B)。
【0077】
その後、発エッジノード装置Bが、一時パスB→Eを切断する切断要求を外部システム等から受信すると、図6に示したように、一時パスB→Eを切断するとともに、デフォルトパスA→Eを設定する。この動作を図11のシーケンス図を参照して説明する。
【0078】
発エッジノード装置Bにおけるパス接続制御部35は、制御用インタフェース部31を介して、一時パスB→Eの切断要求を受信すると、PathTearメッセージを受エッジノード装置Eに送信する(ステップS51B)。PathTearメッセージを受信した受エッジノード装置Eのパス接続制御部26は、PathTearメッセージにより切断しようとしている一時パスB→Eと終点が同じであるデフォルトパスA→Eが切断の状態にあることを検知する。そして、優先度判定部24に優先度を判定させ、優先度判定部24は、一時パスB→Eを切断して、デフォルトパスA→Eを接続することを決定する判定を行う。この判定結果に基づき、要求制御部25は、デフォルトパスA→Eを接続するために、デフォルトパスA→Eの接続シグナリングを要求する接続要求メッセージを発エッジノード装置Aに送信する(ステップS51A)。
【0079】
接続要求メッセージを受信した発エッジノード装置Aの要求制御部34は、Pathメッセージを受エッジノード装置Eに送信することをパス接続制御部35に指示し、指示を受けたパス接続制御部35が、Pathメッセージを受エッジノード装置Eに送信する(ステップS52A)。そして、Pathメッセージを受信した受エッジノード装置EからResvメッセージが発エッジノード装置Aに返される(ステップS53A)。これにより、デフォルトパスA→Eの設定が行われ、データ転送が開始される(ステップS54A)。
【0080】
また、発エッジノード装置Bから送信されたPathTearメッセージを受エッジノード装置Eが受信することにより(ステップS51B)、一時パスB→Eが切断され、発エッジノード装置Bから受エッジノード装置Eへのデータ転送が終了する。
【0081】
なお、上述した実施の形態の説明において、一時パスの接続/切断の予約時刻が到来したこと、予約情報に基づかないPathメッセージ/PathTearメッセージを受信したことは、いずれも一時パスの接続/切断の要求があったことの例である。
【0082】
なお、本実施の形態における切断要求メッセージ/接続要求メッセージに関し、メッセージ送信の方向は実施の形態に示した例に限られず、また、メッセージ自体も他の信号に含めてもよいし、他の信号で代用してもよい。
【0083】
(実施の形態の効果)
以上説明したように、本実施の形態では、パスを平常時に継続的に確立しておく種類のもの(デフォルトパス)と、臨時にデフォルトパスに割り込んで確立する種類のもの(一時パス)に分類できるケースに着目し、一時パスに対してのみ外部から予約情報や、接続/切断要求を与えることにより、デフォルトパスについては自動的に切断/接続の制御を行うことを可能にした。これにより、ネットワーク運用者の負担を軽減させることが可能となる。
【0084】
すなわち、本実施の形態に係る技術によれば、デフォルトパスに対しては予約情報や、接続/切断要求を外部から与えることなく切断/接続の制御を行うことができるので、デフォルトパスに対する予約情報や、接続/切断要求の設計及び投入の手間が省け、煩雑な管理が不要となる。
【0085】
以下、本明細書に開示される構成を列挙する。
(第1項)
通信ネットワークにおけるパスの端点として機能する通信装置であって、
前記通信装置が、第1の対向装置との間で第1のパスを確立している状態において、第2の対向装置との間に第2のパスを確立する要求があったときに、前記第1のパス及び前記第2のパスのうちのどちらを優先させるかを判定する優先度判定手段と、
前記優先度判定手段により、前記第1のパスに対して前記第2のパスを優先させると判定した場合に、前記第1のパスを切断するとともに、前記第2のパスを確立するパス制御手段と
を備えたことを特徴とする通信装置。
(第2項)
前記第2のパスを確立し、前記第1のパスが切断している状態において、前記第2のパスを切断する要求があったときに、前記パス制御手段は、前記第2のパスを切断するとともに、前記第1のパスを確立する
ことを特徴とする第1項に記載の通信装置。
(第3項)
前記要求があったときのパスの確立又は切断のためのメッセージ送信を当該パスの対向装置に実行させる要求制御手段を更に備える
ことを特徴とする第1項又は第2項に記載の通信装置。
(第4項)
パスの確立を行う予約時刻を含む予約情報を格納する予約情報格納手段と、
前記第2のパスを確立する要求を、前記予約時刻の到来により検知する予約実行管理手段と
を更に備えることを特徴とする第1項ないし第3項のうちいずれか1項に記載の通信装置。
(第5項)
前記第2の対向装置からパス確立要求メッセージを受信したときに、前記パス確立要求メッセージに含まれる情報と前記予約情報とを照合することにより、前記パス確立要求メッセージが前記予約情報と整合するかどうかを判定する整合性判定手段
を更に備えることを特徴とする第4項に記載の通信装置。
(第6項)
前記通信装置が、対向装置からパス確立要求メッセージを受信することにより、前記第2のパスを確立する要求があったことを検知したときに、前記優先度判定手段は、前記第1のパス及び前記第2のパスのうちのどちらを優先させるかを判定する
ことを特徴とする第1項ないし第5項のうちいずれか1項に記載の通信装置。
(第7項)
前記通信装置は、前記通信ネットワークにおける受信側エッジ装置であり、前記対向装置は、前記通信ネットワークにおける送信側エッジ装置である
ことを特徴とする第1項ないし第6項のうちいずれか1項に記載の通信装置。
(第8項)
第1項ないし第7項のうちいずれか1項に記載の通信装置と、当該通信装置との間でパスを確立することができる対向装置とを備えることを特徴とする通信システム。
(第9項)
通信ネットワークにおけるパスの端点として機能する通信装置が実行するパス制御方法であって、
前記通信装置が、第1の対向装置との間で第1のパスを確立している状態において、第2の対向装置との間に第2のパスを確立する要求があったときに、前記第1のパス及び前記第2のパスのうちのどちらを優先させるかを判定する優先度判定ステップと、
前記優先度判定ステップにより、前記第1のパスに対して前記第2のパスを優先させると判定した場合に、前記第1のパスを切断するとともに、前記第2のパスを確立するパス制御ステップと
を備えたことを特徴とするパス制御方法。
(第10項)
コンピュータを備える通信装置を、第1項ないし第7項のうちいずれか1項に記載の通信装置における各手段として機能させるためのプログラム。
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。

【符号の説明】
【0086】
10 通信ネットワーク
A、B 発エッジノード装置
C、D、E 受エッジノード装置
21 制御用インタフェース部
22 予約情報格納部
23 予約実行管理部
24 優先度判定部
25 要求制御部
26 パス接続制御部
27 データ転送制御部
28 ユーザデータI/Oインタフェース部
29 データ転送用情報格納部
31 制御用インタフェース部
32 予約情報格納部
33 予約実行管理部
34 要求制御部
35 パス接続制御部
36 データ転送制御部
37 ユーザデータI/Oインタフェース部
38 データ転送用情報格納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11