(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この燃料電池システムが自動車に搭載される場合、燃料電池システムの各部の配置に制約が生じる。
【0007】
たとえば、燃料ポンプのエア噛みを考慮すれば、燃料ポンプは、燃料タンクよりも下方に配置することが好ましい。しかしながら、車両の最低地上高を確保しつつ、燃料ポンプを燃料タンクの下方に配置するには、燃料タンクの底面の位置を上げなければならない。燃料タンクの底面の位置を上げるために、燃料タンクの位置を上げると、車両の車高が大きくなるという不都合を生じる。また、燃料タンクの底面の位置を上げるために、燃料タンクの高さを小さくすると、燃料タンクの容量が小さくなるという不都合を生じる。そのため、燃料ポンプを燃料タンクよりも下方に配置することができない。
【0008】
本発明の目的は、燃料ポンプが燃料タンクの側方に配置されても、燃料ポンプのエア噛みの発生を防止できる、燃料供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明に係る燃料供給システムは、燃料電池に液体燃料を供給するためのシステムであり、上部空間で互いに連通する第1室および第2室を内部に有し、前記第1室に液体燃料が満杯に貯留され、前記第1室から前記第2室に液体燃料がオーバフローすることにより、前記第2室に液体燃料が貯留される燃料タンクと、前記燃料電池に供給される液体燃料が流通する燃料供給路と、前記燃料供給路に介装された燃料ポンプと、
前記燃料電池と前記第1室とに接続され、前記燃料ポンプの通常動作中、前記燃料電池から排出される液体燃料が前記第1室に向けて流通する燃料排出路と、前記第1室および前記第2室を前記燃料供給路と選択的に連通させる三方弁と、前記燃料ポンプの起動時には、前記第1室と前記燃料供給路とが連通し、前記燃料ポンプの通常動作中は、前記第2室と前記燃料供給路とが連通するように、前記三方弁を制御する三方弁制御手段とを含
み、前記燃料タンクには、前記燃料ポンプの起動時および通常動作中、前記第1室が液体燃料で満杯になり、前記燃料ポンプの通常動作中、前記燃料排出路から前記第1室に液体燃料が戻されることにより、前記第1室から前記第2室に液体燃料がオーバフローするように、液体燃料が貯留されている。
【0010】
この構成によれば、燃料タンクの内部には、第1室および第2室が形成されている。第1室と第2室とは、燃料タンク内の上部空間で互いに連通している。第1室には、液体燃料が満杯に貯留される。第2室には、第1室からオーバフローした液体燃料が貯留される。燃料ポンプは、燃料供給路に介装されている。三方弁により、第1室および第2室と燃料供給路とが選択的に連通される。
【0011】
燃料ポンプの起動時には、第1室が燃料供給路と連通される。第1室には、液体燃料が満杯に貯留されているので、燃料ポンプの起動時に、第1室から液体燃料が吸い出されることにより、燃料ポンプのエア噛みを防止することができる。
【0012】
燃料ポンプの通常動作中は、第2室が燃料供給路と連通される。これにより、第2室から液体燃料が吸い出され、液体燃料が第1室からオーバフローして第2室に供給される。よって、第1室および第2室に液体燃料が貯留し続けられることを防止でき、長時間の放置による液体燃料の劣化を防止することができる。
【0013】
燃料供給システムは、第1室と三方弁の第1入口ポートとに接続された第1送出管と、第2室と三方弁の第2入口ポートとに接続された第2送出管とをさらに含み、燃料供給路の一端は、三方弁の出口ポートに接続され、燃料ポンプは、燃料タンクの側方に配置され、第1送出管と第1室との接続部は、燃料ポンプの吸込口よりも高い位置に設けられていることが好ましい。
【0014】
燃料ポンプが燃料タンクの側方に配置されることにより、燃料供給システムが車両に搭載される場合に、燃料タンクを車体の最下部に配置することができる。そして、第1室と第1送出管との接続部が燃料ポンプの吸込口よりも高い位置に設けられているので、燃料ポンプの起動時に、第1送出管から燃料ポンプにエアが入ることを一層防止できる。
【0015】
燃料供給システムは、燃料タンク内に貯留されている液体燃料の温調のためのヒータを備えていてもよい。この場合、ヒータは、第1室に配置されることが好ましい。
【0016】
これにより、ヒータの空焚きを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、燃料ポンプの起動時のエア噛みを防止することができる。また、第1室および第2室に液体燃料が長時間放置されることによる液体燃料の劣化を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。
【0022】
燃料電池システム1は、液体燃料を用いる燃料電池システム(FCシステム)であり、たとえば、自動車に駆動源として搭載される。
【0023】
燃料電池システム1は、燃料電池11を備えている。
【0024】
燃料電池11は、所定数(たとえば、100〜200)のセルが一方向に積層された、いわゆるセルスタックを有している。各セルは、膜/電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)、膜/電極接合体の両側に配置されたセパレータ、および膜/電極接合体と各セパレータとの間に介在されたガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)を備えている。
【0025】
膜/電極接合体は、固体高分子膜の両側にアノード(燃料極)およびカソード(酸素極)を貼り合わせて一体化したものである。固体高分子膜は、たとえば、アニオン(OH
−)を透過させる性質を有する。
【0026】
セパレータの両面には、たとえば、葛折り状に屈曲した凹溝(図示せず)が形成されている。膜/電極接合体のアノードに対向する凹溝は、燃料流路として形成されている。燃料流路の一端および他端は、それぞれ燃料入口12および燃料出口13に接続されている。膜/電極接合体のカソードに対向する凹溝は、エア流路として形成されている。エア流路の一端および他端は、それぞれエア入口14およびエア出口15に接続されている。また、各セル間では、一方のセルのセパレータに形成された凹溝と他方のセルのセパレータに形成された凹溝とが重なり合い、それらの凹溝が冷却水流路を形成している。冷却水流路の一端および他端は、それぞれ冷却水入口16および冷却水出口17に接続されている。
【0027】
燃料電池システム1は、燃料循環システム20を備えている。
【0028】
燃料循環システム20には、第1燃料タンク21、第2燃料タンク22および燃料サブタンク23が含まれる。
【0029】
第1燃料タンク21には、液体燃料として、たとえば、常温のヒドラジン一水和物(N
2H
4・H
2O)が貯留されている。第1燃料タンク21には、第1燃料補給管24の一端が接続されている。第1燃料補給管24の他端は、燃料サブタンク23に接続されている。第1燃料補給管24の途中部には、第1燃料供給ポンプ25が介装されている。
【0030】
第2燃料タンク22には、電解液として、たとえば、常温の水酸化カリウム水溶液(KOH)が貯留されている。第2燃料タンク22には、第2燃料補給管26の一端が接続されている。第2燃料補給管26の他端は、燃料サブタンク23に接続されている。第2燃料補給管26の途中部には、第2燃料供給ポンプ27が介装されている。
【0031】
燃料サブタンク23内は、燃料サブタンク23内の底面に立設された仕切壁28により、A室29およびB室30に分けられている。仕切壁28の上端と燃料サブタンク23内の天面との間には、間隔が生じており、A室29とB室30とは、それらの上部で互いに連通している。A室29およびB室30には、電解液に混合された液体燃料(以下、単に「液体燃料」という。)、たとえば、水酸化カリウム水溶液に混合されたヒドラジン一水和物が貯留される。
【0032】
A室29の底部には、液体燃料の温度を調節するための燃料ヒータ31が設けられている。
【0033】
また、A室29には、液量センサ32が設けられている。液量センサ32は、たとえば、フロートガイドパイプ式のレベルスイッチからなる。液量センサ32は、燃料サブタンク23のA室29内の液体燃料の液面が所定のエンプティ位置よりも高いときにオンになる。
【0034】
さらに、A室29には、A室29内の液体燃料の温度を検出する燃料温度センサ33が設けられている。
【0035】
燃料サブタンク23には、A室29から液体燃料を送出するための第1送出管41の一端と、B室30から液体燃料を送出するための第2送出管42の一端とが接続されている。第1送出管41の他端は、三方弁43の第1入口ポート44に接続されている。第2送出管42の他端は、三方弁43の第2入口ポート45に接続されている。
【0036】
三方弁43の出口ポート46には、燃料供給路47の一端が接続されている。燃料供給路47の他端は、燃料電池11の燃料入口12に接続されている。燃料供給路47の途中部には、燃料循環ポンプ48が介装されている。また、燃料供給路47には、燃料循環ポンプ48と燃料電池11の燃料入口12との間に、燃料供給路47内の圧力(ゲージ圧)を検出するFC燃料入口圧力センサ49が設けられている。
【0037】
燃料電池11の燃料出口13には、燃料排出路50の一端が接続されている。燃料排出路50の他端は、燃料サブタンク23のA室29に接続されている。
【0038】
燃料電池システム1は、給気システム60を備えている。
【0039】
給気システム60には、コンプレッサ(図示せず)などが含まれる。給気システム60は、燃料電池11のエア入口14からエア流路に、コンプレッサによって圧縮されたエア(大気)を供給する。エアは、エア流路を流通した後、エア出口15から排出される。
【0040】
燃料電池システム1は、排気処理システム70を備えている。
【0041】
排気処理システム70には、排気処理装置(図示せず)などが含まれる。排気処理システムは、燃料電池11のエア出口15から排出されるエアから有害物質を除去するための処理などを行い、処理後のエアを大気に放出する。
【0042】
燃料電池システム1は、冷却システム80を備えている。
【0043】
冷却システム80には、ラジエータ(図示せず)などが含まれる。冷却システム80は、燃料電池11の冷却水入口16から冷却水流路に、冷却水を供給する。冷却水は、冷却水流路を流通した後、冷却水出口17から排出されて、冷却システム80に戻される。冷却水が冷却水流路を流通することにより、燃料電池11が冷却される。
【0044】
<燃料サブタンクの近傍のレイアウト>
【0045】
図2は、燃料サブタンクの近傍のレイアウトを示す斜視図である。
【0046】
燃料サブタンク23は、
図2に示されるように、上下方向に対向する上板91および底板92ならびに上板91と底板92とに挟まれる空間を取り囲む側板93を有する箱型に形成されている。燃料電池システム1が車両に搭載される場合、燃料サブタンク23は、車体の最下部に配置される。
【0047】
仕切壁28は、所定方向(たとえば、車幅方向。以下、「車幅方向」という。)に対向する側板93間に架設されている。
【0048】
車幅方向の一方側の側板93には、A室29に臨む部分の上端部に、第1接続口94が形成されている。第1接続口94には、第1送出管41の一端が接続されている。
【0049】
また、車幅方向の一方側の側板93には、B室30に臨む部分の下端部に、第2接続口95が形成されている。第2接続口95には、第2送出管42の一端が接続されている。
【0050】
三方弁43は、燃料サブタンク23に対して車幅方向の一方側であって、車幅方向および上下方向に直交する方向(たとえば、車両の前後方向。以下、「前後方向」という。)において、第2接続口95と同じ位置に配置されている。
【0051】
燃料循環ポンプ48は、燃料サブタンク23に対して車幅方向の一方側であって、三方弁43に対して前後方向のB室30側に間隔を空けた位置に配置されている。
【0052】
三方弁43と燃料循環ポンプ48との間において、燃料供給路47の一部を構成する燃料吸込管96が前後方向に延びている。燃料吸込管96の一端は、三方弁43の出口ポート46に接続されている。燃料吸込管96の他端は、燃料循環ポンプ48の吸込口97に接続されている。燃料循環ポンプ48の吸込口97は、第1接続口94よりも低く、第2接続口95よりも高い位置に位置している。
【0053】
また、燃料電池11は、燃料サブタンク23の上方に配置されている。上板91には、A室29に臨む部分に、燃料電池11から延びる燃料排出路50が接続される第3接続口98が形成されている。
【0055】
図3は、燃料循環システムの電気的構成の要部を示すブロック図である。
【0056】
燃料電池システム1は、CPUおよびメモリを含む構成のFC−ECU(電子制御ユニット)101を備えている。
【0057】
FC−ECU101には、液量センサ32、燃料温度センサ33およびFC燃料入口圧力センサ49が接続されている。
【0058】
FC−ECU101は、メモリに格納されたプログラムに従い、各種センサから入力される信号に基づいて、第1燃料供給ポンプ25、第2燃料供給ポンプ27、燃料ヒータ31および燃料循環ポンプ48の駆動を制御し、三方弁43の第1入口ポート44および第2入口ポート45の開閉を制御する。
【0060】
図3は、三方弁切替制御の流れを示すフローチャートである。
【0061】
燃料電池11での発電の開始に際しては、FC−ECU101により、三方弁切替制御が実行される。
【0062】
三方弁切替制御では、まず、燃料循環ポンプ48の駆動が開始されると、三方弁43の第1入口ポート44が開かれる。これにより、燃料サブタンク23のA室29が第1送出管41を介して燃料供給路47(燃料吸込管96)と連通する(ステップS1)。このとき、三方弁43の第2入口ポート45は閉じられている。
【0063】
次に、燃料循環ポンプ48が起動される(ステップS2)。燃料循環ポンプ48の起動により、A室29から燃料供給路47に液体燃料が吸い出されて、燃料供給路47を液体燃料が流通する。
【0064】
燃料循環ポンプ48の起動後、FC燃料入口圧力センサ49の出力が参照されて、燃料供給路47内の圧力が0kPaGよりも大きいか否か、つまり燃料供給路47内の絶対圧が大気圧よりも大きいか否かが判断される(ステップS3)。
【0065】
燃料供給路47内の圧力が0kPaG以下である間は(ステップS3のNO)、三方弁43の第1入口ポート44が開かれたままにされる。
【0066】
燃料供給路47内の圧力が0kPaGを超えると(ステップS3のYES)、燃料循環ポンプ48のエア噛みなどが発生することなく、燃料循環ポンプ48が正常に起動したと判断されて、三方弁43の第1入口ポート44が閉じられて、第2入口ポート45が開かれる。これにより、燃料サブタンク23のB室30が第2送出管42を介して燃料供給路47(燃料吸込管96)と連通する(ステップS4)。そして、この三方弁切替制御が終了される。
【0067】
その後は、B室30から燃料供給路47に液体燃料が吸い出されて、燃料供給路47を液体燃料が流通する。燃料供給路47を流通する液体燃料は、燃料電池11の燃料入口12から燃料電池11内の燃料流路に供給される。燃料流路を流通した液体燃料は、燃料出口13から燃料排出路50に排出され、燃料排出路50を通して燃料サブタンク23のA室29に戻される。A室29には、通常、液体燃料が満杯に溜められている。したがって、燃料排出路50からA室29に液体燃料が流入すると、A室29からB室30に仕切壁28を越えて、液体燃料がオーバフローする。
【0068】
こうして、液体燃料を含む液体は、燃料サブタンク23、燃料供給路47、燃料電池11の燃料流路および燃料排出路50を含む燃料循環路を循環する。
【0069】
一方、燃料電池11による発電のために、給気システム60により、エアが燃料電池11のエア流路に供給される。
【0070】
燃料電池11の燃料流路を液体燃料が流通し、エア流路をエアが流通すると、燃料電池11において、発電反応(電気化学反応)が生じ、その電気化学反応による起電力が発生する。
【0071】
具体的には、アノードにおいて、反応式(1)で示される反応が生じ、窒素ガス(N
2)、水(H
2O)および電子(e
−)が生成される。電子は、外部回路(図示せず)を介して、カソードに移動する。窒素ガスおよび水は、未反応の液体燃料とともに、燃料流路から燃料出口13を通して燃料排出管31に排出される。一方、カソードでは、反応式(2)で示される反応が生じ、アニオン(OH
−)が生成される。アニオンは、固体高分子膜を透過して、アノードに移動する。
【0072】
NH
2NH
2+4OH
−→N
2+4H
2O+4e
− ・・・(1)
O
2+2H
2O+4e
−→4OH
− ・・・(2)
【0073】
この結果、アノードとカソードとの間に、発電反応(電気化学反応)による起電力が発生する。
【0074】
また、燃料電池11の発電動作中は、FC−ECU101により、燃料温度センサ33の出力に基づいて、燃料ヒータ31が制御され、燃料サブタンク23のA室29内の液体燃料の温度が発電効率のよい温度に調節される。
【0075】
さらに、燃料電池11の発電動作中、FC−ECU101により、液量センサ32の出力が常に監視され、A室29内の液体燃料の液面が所定のエンプティ位置以下に低下したか否かが繰り返し判断される。そして、A室29内の液体燃料の液面が所定のエンプティ位置以下に低下すると、燃料ヒータFC−ECU101により、燃料ヒータ31の空焚きを防止するために、燃料電池システム1の動作が停止される。
【0076】
燃料電池システム1の動作が停止されると、燃料電池11の膜/電極接合体の劣化を防止するために、燃料電池11内の液体燃料が燃料サブタンク23に戻される。
【0077】
また、燃料電池システム1の動作中に、燃料サブタンク23に液体燃料を補給する必要が生じると、第1燃料供給ポンプ25および/または第2燃料供給ポンプ27が駆動される。
【0078】
第1燃料供給ポンプ25が駆動されると、第1燃料タンク21から第1燃料補給管24に液体燃料(ヒドラジン一水和物)が汲み出される。そして、その液体燃料が第1燃料補給管24を通して燃料サブタンク23に供給される。
【0079】
第2燃料供給ポンプ27が駆動されると、第2燃料タンク22から第2燃料補給管26に電解液(水酸化カリウム水溶液)が汲み出される。そして、その電解液が第2燃料補給管26を通して燃料サブタンク23に供給される。
【0081】
以上のように、燃料サブタンク23の内部には、A室29およびB室30が形成されている。A室29とB室30とは、燃料サブタンク23内の上部空間で互いに連通している。A室29には、液体燃料が満杯に貯留される。B室30には、A室29からオーバフローした液体燃料が貯留される。燃料循環ポンプ48は、燃料供給路47に介装されている。三方弁43により、A室29およびB室30と燃料供給路47とが選択的に連通される。
【0082】
燃料循環ポンプ48の起動時には、A室29が燃料供給路47と連通される。A室29には、液体燃料が満杯に貯留されているので、燃料循環ポンプ48の起動時に、A室29から液体燃料が吸い出されることにより、燃料循環ポンプ48のエア噛みを防止することができる。
【0083】
燃料循環ポンプ48の正常起動後の動作中、燃料循環ポンプ48の通常動作中は、B室30が燃料供給路47と連通される。これにより、B室30から液体燃料が吸い出され、液体燃料がA室29からオーバフローしてB室30に供給される。よって、A室29およびB室30に液体燃料が貯留し続けられることを防止でき、長時間の放置による液体燃料の劣化を防止することができる。
【0084】
燃料循環ポンプ48は、燃料サブタンク23の側方に配置されている。これにより、燃料電池システム1が車両に搭載される場合に、燃料サブタンク23を車体の最下部に配置することができる。そして、A室29と第1送出管41とを接続するための第1接続口94が燃料循環ポンプ48の吸込口97よりも高い位置に設けられているので、燃料循環ポンプ48の起動時に、第1送出管41から燃料循環ポンプ48にエアが入ることを一層防止できる。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0087】
前述の実施形態では、燃料供給路47内の圧力が0kPaGを超えると、燃料循環ポンプ48が正常に起動したと判断されて、三方弁43の第1入口ポート44が閉じられて、第2入口ポート45が開かれるとした。しかしながら、その三方弁43の開閉を切り替える条件は、これに限定されない。たとえば、燃料循環ポンプ48の起動開始から予め定められた時間が経過したことにより、三方弁43の第1入口ポート44が閉じられて、第2入口ポート45が開かれてもよい。
【0088】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。