特許第6087121号(P6087121)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社コシダカホールディングスの特許一覧

<>
  • 特許6087121-カラオケ装置 図000002
  • 特許6087121-カラオケ装置 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087121
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20170220BHJP
   H04N 7/173 20110101ALI20170220BHJP
【FI】
   G10K15/04 302D
   H04N7/173 630
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-263873(P2012-263873)
(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公開番号】特開2014-109684(P2014-109684A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】511043437
【氏名又は名称】株式会社コシダカホールディングス
(72)【発明者】
【氏名】腰▲高▼ 博
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−241088(JP,A)
【文献】 特開2005−049887(JP,A)
【文献】 特開2008−033344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/00 − 15/06
H04N 7/14 − 7/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ曲演奏用の楽曲データに対応させる個別背景映像を記憶する外部サーバ装置とネットワークを介して互いに接続されるカラオケ装置において、 カラオケ曲演奏用の楽曲データを複数記憶する楽曲データ記憶手段と、
複数のカラオケ曲に対応する汎用映像データを記憶する映像データ記憶手段と、
任意のリモコン装置より、カラオケ曲演奏指示を行う際に背景映像として、前記外部サーバ装置に記憶された前記個別背景映像を選択して取得するデータ取得手段と、カラオケ曲及びカラオケ演奏順の演奏指示を受け付ける演奏曲予約受付手段と、予約に応じて演奏指示/データ取得指示等を行う制御手段を有して、順次演奏を行うカラオケ装置であって、
前記演奏曲予約受付手段に基づき、カラオケ曲を順次演奏させる際、ネットワークを介して前記サーバ装置に登録された個別背景映像の取得要求を行った場合であって、予約したカラオケ楽曲が演奏順に達しても個別背景映像の取得が完了していなかったとき、
1.そのままデータ転送を続け、転送が完了したら演奏する。
2.次の順の(映像データの転送が不要な)演奏曲を先に演奏させ個別背景映像の取得を継続し、取得した時点で演奏中のカラオケ曲の後に演奏させる。
3.個別背景映像を背景映像として演奏させることをあきらめ、カラオケ装置の汎用映像データで演奏を開始し、個別背景映像の取得は中止する。
4.その曲の演奏をやめ、次の順の曲を演奏する。
を選択できることを特徴とするカラオケ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記選択を前記カラオケ装置の初期設定に基づき行うことを特徴とする前記請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記制御手段は、カラオケ利用者によるカラオケ曲予約時の選択に基づき行うことを特徴とする前記請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前項記載のカラオケ利用者による選択を、前記請求項2記載のカラオケ装置の初期設定に優先させることを特徴とする前記請求項3記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラオケ装置におけるカラオケ背景映像の表示方法に関し、具体的には、個々のカラオケ装置において、サーバから取得した利用者の自作映像をカラオケ背景映像(個別映像)として表示するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばカラオケボックス等において使用されるカラオケ装置の表示映像には、カラオケ装置によるカラオケ演奏に同期して歌詞テロップが表示されると共に背景映像が表示されていた。この場合、背景映像は、記憶装置などに予め用意された動画などを背景映像として表示するようにしている。このカラオケ装置では、背景映像として表示される動画の種類は、予め曲を提供する業者側で曲のイメージに合うであろうと考えられて選定されたものであり、同一曲を再生すると、いつも同じ映像が表示されるようになっていた。
しかし、予め選定された映像では、毎回同じ映像が表示されるため歌っている本人のみならず、同席している友人などもこの背景映像に飽きてしまい、その場を盛り上げることができないという問題があった。
【0003】
しかも、その映像は演奏曲ごとにオリジナルに作成されている場合ばかりではなく、
何曲か歌っていると他の曲でも同じ映像が表示される場合もある。
【0004】
また、その映像はカラオケ業者によって割り付けられていることが多く、必ずしも曲にマッチした映像でないことも多かった。
【0005】
また、顧客が自分用にカスタマイズされた映像で歌いたいという希望を持ったり、顧客が思い入れのある曲を自分で撮影した映像で歌いたいという要望もあった。
【0006】
そこで、近年では、ユーザが独自に作成した背景映像を、カラオケ機器メーカーのサーバに登録(アップロード)し、カラオケ店にある機器に受信(ダウンロード)して独自映像でカラオケを楽しむ提案も行われている。(特許文献1乃至3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-366170号公報
【特許文献2】特開2003-076381号公報
【特許文献3】特許4311485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、カラオケにおいて使用されるオリジナル背景映像を、ネットワークを介して顧客に提供するというものである。しかし、ネットワークトラブルや転送処理の遅延によって演奏時までに背景映像の受信が完了しない場合の記述はない。
【0009】
さらに特許文献2では、自作映像をどこのカラオケ店でも利用できるように、自作映像を保管するための読み書き自在な大容量記憶装置を備えた映像サーバを公衆通信ネットワークを介して各地に散在するカラオケ装置が前記映像サーバにアクセスできるように構成し、リクエストされたある楽曲を演奏するのに際し、リクエストした利用者の利用者IDと自作映像要求イベントを受け付けたならば、その利用者IDを前記映像サーバに送達して該当する映像データを転送してもらい、その映像データを前記楽曲のカラオケ演奏時に歌詞の背景映像として表示するものであるが、こちらも演奏時までに背景映像の転送が完了しなかった場合の言及はない。
【0010】
特許文献3は、個別の映像データの取得に時間がかかる場合であっても、歌唱者を待たせずに、カラオケ曲の演奏を開始することができるカラオケ装置を提供することを目的とする。カラオケ装置は、汎用の映像データを記憶しておき、個別背景映像の転送を受けるまでの間、汎用映像データを用いてカラオケ曲の演奏をスタートするようにしたことにより、他のカラオケ装置から映像データを転送している場合でも待ち時間を短くカラオケ演奏をスタートすることができる。
【0011】
しかし、この場合、汎用映像を無条件に使用するため必ずしも顧客の希望しない映像で演奏しなければならないため、顧客は不満を持つことになる。顧客は自分の作成した背景映像でこそ演奏したいという可能性もあり、その画像が使えないのであれば、その曲の演奏は次の機会に廻したいなどと考えることも予想できる。これを一律に固定映像に差し替えるのは不親切ともいえる。
【0012】
本発明は、カラオケにおいて使用される個別背景映像を、ネットワークを介して顧客に提供するカラオケネットワークにおいて、演奏の順番が廻ってきたときに自分の個別背景映像がまだ受信完了となっていない場合の次のアクションが選択できるようにすることを目的としたものである。その選択は、顧客または店舗において事前に設定することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、演奏曲予約受付手段に基づき、カラオケ曲を順次演奏させる際、ネットワークを介して前記サーバ装置に登録された個別背景映像の取得要求を行った場合であって、予約したカラオケ楽曲が演奏順に達しても個別背景映像の取得が完了していなかったとき、
1.演奏を中断し、そのままデータ転送を続け、転送が完了したら再開する。
2.次の順の(映像データの転送が不要な)演奏曲を先に演奏させ個別背景映像の取得を継続し、取得した時点で演奏中のカラオケ曲の後に演奏させる。
3.個別背景映像を背景映像として演奏させることをあきらめ、カラオケ装置の汎用映像データで演奏を開始し、個別背景映像の取得は中止する。
4.その曲の演奏をやめ、次の順の曲を演奏する。
を選択できるようにした。
【0014】
請求項2では、請求項1のような選択を、カラオケ装置の初期設定で行うというものである。
【0015】
請求項3では、請求項1のような選択をカラオケ予約時にあらかじめカラオケ利用者が行うというものである。
【0016】
請求項4では請求項3のカラオケ利用者が選択した場合、請求項2のカラオケ装置の初期設定に優先するというものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、カラオケにおいて使用される個別背景映像を、ネットワークを介して顧客に提供するカラオケシステムにおいて、ネットワークトラブルや転送処理の遅延、映像の容量過多などの要因によって演奏時までに背景映像の受信が完了しない場合、顧客の選択により転送継続、代替映像による演奏、その曲の演奏中止などが自由に決めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例を示すネットワーク接続を示す説明図。
図2】予約曲順到来時に該当曲用の背景映像のダウンロードが未了の際の画面表示例。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施例を示す。
カラオケ機器メーカーの会員顧客は、カラオケ演奏時に背景にしたい映像を入手または撮影し、事前にサーバ1に登録しておく。カラオケ店に来店後、演奏したい曲を予約することにより、前記サーバ1からカラオケ機器4に顧客の登録した個別背景映像11が送られる。
例としては、顧客が結婚式で撮影した映像を昼のうちにサーバ1にアップロードしておき、その夜の二次会でカラオケの前記個別背景映像11に使うなどという使い方がある。
その顧客の演奏順が廻ってきたときに、前記個別背景映像11のダウンロードが完了していればそのまま演奏に入るが、もし何らかの理由でまだ個別背景映像データ11のダウンロードが終わっていなかった場合、顧客は下記の選択ができる。
1.このままダウンロードの完了を待って演奏する。
2.ダウンロードを継続し、次の曲を演奏する。
3.ダウンロードを中止して、汎用映像データ13で演奏を開始する。
4.ダウンロードを中止して、その曲の演奏を止める。
上記4つの選択肢がメニューとして現れ、顧客はそこから選択することで次のアクションを決めることができる。(メニュー例:図2
何も選択しない場合、または選択するまでの間は2.が選択されたものとしてダウンロードを継続する。
【0020】
上記4つの選択は、カラオケ機器4の初期設定データ14として事前になされてもよい。(請求項2)
【0021】
また、上記事前の選択はカラオケ店により、或いはカラオケ使用開始時に顧客によりなされてもよい。
【0022】
また、利用者が予約時に予め選択しておくこともできる。(請求項3)
【0023】
上記4つの選択が、カラオケ機器4の初期設定データ14で事前に選択されていた場合で、カラオケ予約時にも選択された場合は、予約時に選択されたほうを優先とする。(請求項4)
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明によれば、カラオケにおいて使用される顧客による個別背景映像11を、ネットワークを介してカラオケ装置に提供するカラオケシステムにおいて、ネットワークトラブルや転送処理の遅延、映像の容量過多などの要因によって演奏時までに個別背景映像11の受信が完了しない場合、顧客の選択により転送継続、代替映像による演奏、その曲の演奏中止などが自由に決めることができる。
【符号の説明】
【0025】
1…サーバ
2…ネットワーク
3…モニタ
4…カラオケ装置
5…リモコン
6…インターネット
7…パソコン
8…携帯端末装置
9、10、11、12…個別背景映像
13…汎用映像データ
14…初期設定データ
図1
図2