特許第6087124号(P6087124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087124
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】耐摩耗機能傾斜材料及び方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 24/08 20060101AFI20170220BHJP
   F23R 3/42 20060101ALI20170220BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20170220BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   C23C24/08 C
   F23R3/42 D
   F02C7/00 C
   F02C7/00 D
   F01D25/00 L
   F01D25/00 X
   C23C24/08 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-268913(P2012-268913)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2013-122089(P2013-122089A)
(43)【公開日】2013年6月20日
【審査請求日】2015年12月7日
(31)【優先権主張番号】CO2011A000061
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】505347503
【氏名又は名称】ヌオーヴォ ピニォーネ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ヴィチェツォ・ブランチェッティ
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ・バルサモ
【審査官】 内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】 特公平03−064232(JP,B2)
【文献】 特開平01−191701(JP,A)
【文献】 特開平01−131081(JP,A)
【文献】 特開昭63−080916(JP,A)
【文献】 特公昭63−050402(JP,B2)
【文献】 特開平07−216412(JP,A)
【文献】 特開平04−225196(JP,A)
【文献】 特開2009−097511(JP,A)
【文献】 特開平01−111803(JP,A)
【文献】 特開昭63−206408(JP,A)
【文献】 特開昭61−026705(JP,A)
【文献】 特開平04−344219(JP,A)
【文献】 特開平05−269813(JP,A)
【文献】 特開平05−269812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C24/00−30/00
F01D13/00−15/12
F01D23/00−25/36
F02C1/00−9/58
F23R3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の耐摩耗性を高めるためのシステムであって、
皮膜(60)を受けるように構成される部品(30)と、
除去できるように構成されたミラー部品(56)であって、前記部品(30)の1以上の表面と鏡映である少なくとも1つのコート表面を有するミラー部品(56)と、
を備え、
前記皮膜が耐摩耗皮膜であり、
前記耐摩耗皮膜が炭化タングステン(WC)皮膜であり、
前記皮膜(60)が熱間静水圧プレス(HIP)によって前記皮膜(60)が前記ミラー部品(56)から前記部品(30)に転写される、
システム。
【請求項2】
前記部品が、ガスタービン燃焼器のトランジションピースを支持ピースに固定するように構成されるH形ブロックであり、
前記部品の1以上の表面が、第1の表面、第2の表面及び第3の表面を含んでおり、
前記第1の表面が前記第2の表面と直交し、
前記第2の表面が前記第3の表面と直交し、
前記第3の表面が前記第1の表面と平行で同じ表面積である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
部品の耐摩耗性を高めるための方法であって、
ミラー部品の1以上の表面に皮膜を設ける段階(78)と、
前記部品の1以上の表面と鏡映である前記皮膜を、熱間静水圧プレス(HIP)によって前記ミラー部品から前記部品に転写する段階(80)と、
前記ミラー部品を除去する段階(82)と、
を含み、
前記皮膜が耐摩耗皮膜であり、
前記耐摩耗皮膜が炭化タングステン(WC)皮膜である、
方法。
【請求項4】
前記部品が、ガスタービン燃焼器のトランジションピースを支持ピースに固定するように構成されるH形ブロックであり、
前記部品の1以上の表面が、第1の表面、第2の表面及び第3の表面を含んでおり、
前記第1の表面が前記第2の表面と直交し、
前記第2の表面が前記第3の表面と直交し、
前記第3の表面が前記第1の表面と平行で同じ表面積である、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
部品の耐摩耗性を高めるためのシステムであって、
皮膜を受けるように構成される部品(62)と、
前記ミラー部品(70)と前記部品(62)との間に間隙(74)を生じるように構成され、前記部品(62)の1以上の表面と鏡映である1以上の表面を有するミラー部品(70)と、
前記間隙(74)に配置される皮膜用粉体と、
を備え、
前記皮膜用粉体が炭化タングステン(WC)紛体であり、
前記皮膜用粉体を前記部品(62)の1以上の表面に施工するために熱間静水圧プレスが実施され、
システム。
【請求項6】
前記部品が、ガスタービン燃焼器のトランジションピースを支持ピースに固定するように構成されるH形ブロックであり、
前記部品の1以上の表面が、第1の表面、第2の表面及び第3の表面を含んでおり、
前記第1の表面が前記第2の表面と直交し、
前記第2の表面が前記第3の表面と直交し、
前記第3の表面が前記第1の表面と平行で同じ表面積である、
請求項5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題の実施形態は、全体的には摩耗保護に関する。
【背景技術】
【0002】
部品同士が接触する様々なシステムでは摩耗が生じるおそれがある。装置の寿命が縮まり、装置のダウンタイムが長くなり、コスト増を招くおそれがあるので、摩耗は概して望ましくない。部品が摩耗する装置の一例はガスタービンである。ガスタービンでは、高温燃焼ガスをタービンの第1段に供給するため燃焼器が用いられる。本装置で用いられる各燃焼器は、通例、1以上の燃料ノズルを有する燃料噴射装置と燃焼室とを含んでいる。典型的な燃焼室は、燃焼器ライナと、燃焼室とタービンの第1段との間に結合されてその間に延在するトランジションピースと、フロースリーブとを備える。燃焼器ライナとフロースリーブとの間には通路が形成され、燃料ノズルからシステムに噴射される燃料と混合するため及び冷却のため、圧縮機の吐出空気の少なくとも一部を燃焼器ライナに導入することができる。さらに、トランジションピースは、高温燃焼ガスを動力発生及び膨張のためにタービンの第1段に案内及び供給する。
【0003】
詳細には、図1を参照して、燃焼器とそれに付属するトランジションピースを説明する。ガスタービン用の燃焼器2は燃焼器ライナ6の内側に燃焼室4を有していて、燃焼器ライナ6は円筒形の形状とすることができる。燃料は、ノズルから燃焼室4に入る。燃焼器ライナ6は、実質的に円筒形のフロースリーブ8で囲繞される。ただし、燃焼器ライナ6と円筒形フロースリーブ8との間には半径方向のギャップが存在していて、燃料ノズル12から供給される燃料と混合される空気を燃焼室4に導入するための空気流路として機能する。トランジションピース10は、燃焼器ライナ6をタービンの第1段(図示せず)に結合する。
【0004】
運転時、ある種の燃焼部品は、例えば、ハードウェアの振動に起因する摩耗の影響を受ける。この摩耗は、ダウンタイム及び交換部品に関連する保守及び費用コストを発生させる。ガスタービンの燃焼部品を例示したが、他のタイプの機械の他の部品も同様に摩耗を生じる場合がある。部品の摩耗を低減するための可能な方法の一つは、部品の表面に耐摩耗性皮膜をスプレーすることである。このスプレー塗工メカニズムは、所望の塗工面に対して約90度の角度をなすスプレーノズルで実施される。コーナ部及び様々な曲面部を塗工することが望まれる部材の幾何形状によっては、(塗工スプレーノズルと部品表面との間で)常に所望の角度を達成できるとは限らないので、皮膜が薄くなったり、全く塗工されない部分が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、摩耗を低減し、部品の寿命を延ばして、コストを低減するためのシステム及び方法が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な実施形態では、部品の表面物性を高めるシステムを提供する。本システムは、皮膜を受けるように構成される部品と、除去できるように構成されたミラー部品であって、部品の1以上の表面と実質的に鏡映である1以上のコート表面を有するミラー部品とを備えており、皮膜は、部品の1以上の表面の表面物性を高めるためのものであり、熱間静水圧プレス(HIP)によって皮膜がミラー部品から部品に転写される。
【0007】
別の例示的な実施形態では、部品の表面物性を高める方法を提供する。本方法は、ミラー部品の1以上の表面に皮膜を設ける段階と、部品の1以上の表面と実質的に鏡映であって表面物性を高めるための皮膜を、熱間静水圧プレス(HIP)によって、ミラー部品から部品に転写する段階と、ミラー部品を除去する段階とを含む。
【0008】
さらに別の例示的な実施形態では、部品の表面物性を高めるシステムを提供する。本システムは、皮膜を受けるように構成される部品と、ミラー部品と部品との間に間隙を生じるように構成され、部品の1以上の表面と実質的に鏡映である1以上の表面を有するミラー部品と、間隙に配置され、部品の1以上の表面の表面物性を高める皮膜用粉体とを備えており、皮膜用粉体を部品の1以上の表面に施工するために熱間静水圧プレスが実施される。
【0009】
添付の図面は例示的な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来の燃焼器及びトランジションピースを示す。
図2】例示的な実施形態による、接触する2部品を示す図。
図3】例示的な実施形態による、フランジに取り付けられるH形ブロックを示す図。
図4】例示的な実施形態による、フォークを示す図。
図5】例示的な実施形態による、燃焼器ライナストップ及びその嵌合ピースを示す図。
図6】例示的な実施形態による、H形ブロックを示す図。
図7】例示的な実施形態による、ミラー部品への耐摩耗皮膜のスプレーを示す図。
図8】例示的な実施形態による、ミラー部品からH形ブロックへの耐摩耗皮膜の転写を示す図。
図9】例示的な実施形態による、ミラー部品の除去を示す図。
図10】例示的な実施形態による、耐摩耗皮膜を備えるH形ブロックを示す図。
図11】例示的な実施形態による、摩耗部品及びミラー部品を示す図。
図12】例示的な実施形態による、部品とミラー部品との間の間隙を示す図。
図13】例示的な実施形態による、間隙をタングステン炭素粉体で充填することを示す図。
図14】例示的な実施形態による、摩耗を低減する方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の例示的な実施形態の詳細な説明は添付の図面を参照する。異なる図面の同じ参照番号は同じ又は類似の部品を示す。さらに、図面は必ずしもスケール調整されていない。また、以下の詳細な説明は本発明を限定するものではない。その代わりに、本発明の範囲は、添付の請求項によって規定される。
【0012】
本明細書を通して「一実施形態」又は「実施形態」として言及することは、実施形態に関連して説明される具体的な特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通じて様々な箇所で表現「一実施形態では」又は「ある実施形態では」が出現するが、必ずしも同じ実施形態について言及している訳ではない。さらに、具体的な特徴、構造、又は特性は、1以上の実施形態ではあらゆる好適な様態で組み合わせてもよい。
【0013】
例示的な実施形態では、部品又は部品の1以上の表面物性を高めることができる。表面物性強化の例としては、摩耗環境、酸性環境、腐食環境で使用できる部品及び/又は熱障壁として使用される部品の強化を挙げることができる。これらの部品は、複数の表面を有することができ、機械の部品、配管、コネクタ等の種々の用途に利用できる。
【0014】
強化できる表面物性の一例は摩耗低減である。例示的な実施形態では、耐摩耗皮膜は、摩耗が生じる部品の表面に施工することができる。部品は、例えば、他の部品との物理的接触で摩耗が生じる1以上の表面を含むことができる。この2つの部品の間の物理的接触は、摩擦、起動/停止運動によって引き起こされる接触、振動等の種々のメカニズムで生じることができる。部品は、種々の形状又は寸法とすることができる。摩耗表面幾何形状の一例として、限定されるものではないが、平面、成形表面、内面、凹面、凸面及び他の幾何学的に成形された表面を含む。例えば、任意の2つの嵌合部品は、種々の環境下で摩耗を生じる場合がある。図2は互いに接触する2つの部品の実施例を示し、第1の部品14は第2の部品16と接触状態にあり、システムが、配置場所で例えば第1の部品14及び第2の部品18の振動の作用を受ける場合に、2つの部品の間で摩耗が生じる。摩耗は共通の接触表面6で両方の部品で生じる。
【0015】
例示的な実施形態では、摩耗部品に関連する接触点及び接触表面の摩耗特性は、有効寿命が延びるように変更できる。例示的な実施形態を説明する前に、図3図5は、ガスタービン燃焼システムにおいて摩耗する傾向にある部品に関する関連状况を説明する。部品が摩耗するシステムの単なる例示的な実施例としてガスタービン燃焼システムを用いるが、他のシステムの他の部品も摩耗を被る場合があることを理解されたい。種々の他の部品、機械及びシステムは、本明細書で説明する例示的な実施形態からの利益を享受することができる。
【0016】
まず、図3に示すように、トランジションピース10は、開口22を有するフランジセクション20を備えることができる。開口22内でフランジセクション20にはH形ブロック(又は実質的にH形ブロック)24が取り付けられる。図3では単一のH形ブロック24及び単一のフランジセクション20が示されるが、トランジションピース10に取り付けられる2つのピース/セクションとすることができる。フォーク26及び28は、フィンガー要素の対向する接面がH形ブロック24のクロスピース30の反対側に係合できるように、H形ブロック24内に摺動可能に収容される。摩耗は、フォーク26及び28が摺り合わさるか又は振動するH形ブロック24の内面で生じる場合がある。また、摩耗は、H形ブロック24の内面に接触するフォーク26及び28の接面で生じる場合がある。例示的な実施形態では、図4は、摩耗表面を有することができる内側U形表面32を含むフォーク26及び28を示す。
【0017】
図5は、燃焼器ライナストップ34及び雄嵌合ピース36を示す。これらの2つのピースが嵌合する箇所は燃焼器2の運転中に摩耗が起こり得る場所でもある。さらに、H形ブロック24、燃焼器ライナストップ34及びこれらのそれぞれの嵌合ピースは、例えば、L−605、Hastelloy X、又は他の所謂「超合金」のコバルト基超合金から作ることができる。
【0018】
運転時に、種々の摩耗部品のいくつかは、比較的寿命が短い場合があり、結果的に検査及び取り替え頻度が所望の頻度よりも高くなってしまう。例示的な実施形態では、耐摩耗皮膜の施工は、種々の摩耗部品の耐摩耗性を高めることができるので、種々の摩耗部品の検査及び取り替え頻度を少なくすることができる。使用する耐摩耗皮膜の量の考慮すべき事項は、限定されるものではないが、脆性、延性及び硬度である。適切な条件のための所望の特性を得るために、種々の合金化元素を耐摩耗皮膜に導入することができる。
【0019】
例示的な実施形態では、耐摩耗皮膜は、直接スプレー法では適切に塗工できない摩擦表面へ施工するために、例えば、低炭素鋼インサートのミラー部品上にスプレーすることができる。所謂「ミラー部品」の幾何形状は、皮膜が転写される部品表面の幾何形状をほぼ鏡映する。ミラー部品にスプレーされた耐摩耗皮膜の厚さは、皮膜材料、転写皮膜の所望の厚さ及び転写時の温度及び圧力に基づく望ましい転写特性、並びに摩耗部品を製造する際に使用する材料の拡散特性等の要因に基づいて変えることができる。炭化タングステン層は、熱間静水圧プレス(HIP)プロセスによりミラー部品から1以上の部品の摩耗表面に転写することができる。
【0020】
例示的な実施形態では、皮膜の利益を享受できる部品の実施例は、図6に示すような形状に適合可能なH形ブロック30である。H形ブロック30は、過剰な原材料量、約2mmを含むことができる。H形ブロック30の各半分は破線38で分割され、各「半部分」の内側に3つの摩耗表面を有する。H形ブロック30の第1の半部分40は、内側摩耗表面44、46及び48を有する。H形ブロック30の第2の半部分42は、3つの内側摩耗表面50、52及び54を有する。摩耗表面は、H形ブロック30の内側表面とすることができ、第1の表面46が第2の表面44に実質的に直交し、第2の表面44は第3の表面48に実質的に直交し、第3の表面48は第1の表面46に実質的に平行で同じ表面積を有している。
【0021】
前述のように、耐摩耗皮膜は、摩耗表面にスプレーすることができる。例示的な実施形態では、図8に示すように、耐摩耗皮膜は、ノズル58によってインサート56上に高速酸素燃料溶射法又はプラズマ溶射法で施工できる。ミラー部品56の幾何形状は、被覆される摩耗表面、本例の場合はH形ブロック30の摩耗表面44、46及び48の幾何形状のほぼ鏡映である。
【0022】
例示的な実施形態では、次に炭化タングステン皮膜60は、図8に示すように、HIPプロセスによってH形ブロック30の摩耗表面44、46及び48に転写できる。HIPプロセスは約1200°C及び100MPaで行うことができるが、炭化タングステン皮膜60のH形ブロック30への所望の拡散が確実に生じるよう、他の温度及び圧力を使用することができる。さらに、図示されていないが、この工程は、H形ブロック30の両側40及び42で行うことができる。さらに、異なる部品及び部品の組成物及び異なる耐摩耗皮膜の組成物(又は他のタイプの皮膜)に関して、HIPプロセスでは種々の温度及び圧力を使用できる。
【0023】
例示的な実施形態では、図9に示すように、ミラー部品56は、酸浸出(又はエッチング)及び/又は機械加工及び/又は他のプロセスによって除去することができる。ミラー部品56の周りの点線は、H形ブロック30からのミラー部品56の除去を示す。さらに、H形ブロック30の摩耗表面44、46及び48上の炭化タングステン皮膜60の存在は、所望のようにH形ブロック30内に拡散した炭化タングステン皮膜60によってこの表面が覆われていることを示す。酸浸出後、非保護及び/又は非被覆表面から例えば約2mmの酸浸出で変化した過剰な原材料を機械加工で除去することができる。次に、H形ブロック30は、所望の最終寸法に機械加工することができる。図10は完成したH形ブロック30を示し、全ての内側摩耗表面44〜54には炭化タングステン皮膜が施されている。前述のように、類似の方法をミラー部品からフォーク26及び28の1以上の摩耗表面へ、並びに燃焼器ライナストップ26及び28の摩耗表面32上へ耐摩耗皮膜を転写するために使用できる。炭化タングステン皮膜60は、皮膜の一例として考えることができるが、必要であれば、例えば部品の使用環境に基づいて表面物性の所望の強化をもたらす他の皮膜を使用できる。
【0024】
例示的な実施形によれば、図11図13に関して説明するように、部品の表面に皮膜を施工する他の方法を実施できる。この皮膜は、耐摩耗皮膜又は他の表面物性強化に関連する皮膜とすることができる。図11は、2つの内側表面64、66及び68を備える部品62を示す。また、低炭素鋼又は必要に応じて他の材料で作ることができるミラー部品70を示す。ミラー部品70は、3つの内側表面64、66及び68をほぼ鏡映し、ミラー部品70は、図12に示すように部品62の開口72内に配置される。例示的な実施形態では、3つの内側表面64、66、68とミラー部品70との間に間隙を設けることができる。間隙74の所望の寸法は、必要に応じて、ミラー部品70をサイズ調整することで管理できる。さらに、間隙74の寸法は、必要に応じて、種々の測定方法で確認することができる。この間隙74は、3つの内側表面64、66及び68に対して耐摩耗性又は他の表面物性強化をもたらす粉体で充填できる。
【0025】
例示的な実施形態では、図13に示すように、間隙74はWC粉体76で充填できる。次に、熱間静水圧プレスを行ってWC粉体76を部品62の3つの内側表面64、66及び68上の皮膜とすることができる。例示的な実施形態では、次に、酸浸出を使用してミラー部品70を除去することができ、その後に部品62の最終機械加工を行って所望の完成寸法を得ること及び/又は酸浸出プロセスで損傷した過剰の原材料を除去することができる。別の例示的な実施形態では、ミラー部品は、2以上のピースから作ることができ、そのうちのいくつかは機械的に除去することができる。このことは、酸浸出量を低減するために行うことができ、ミラー部品70の形状に基づいて望ましい場合がある。
【0026】
例示的な実施形態では、前述のように、皮膜は、金属ミラー部品上にスプレーすること、又はHIPプロセスを受ける前に粉体として施工することができる。皮膜は、炭化タングステンとすることができる。もしくは、必要に応じて、種々の他の元素及び合金を耐摩耗皮膜として使用できる。例えば、コバルト及び/又はクロムを炭化タングステンに添加して皮膜の所望の性質を得ることができる。例示的な実施形態では、コバルトを含有する炭化タングステンの含有組成範囲は、83%炭化タングステン及び17%コバルトから91%炭化タングステン及び9%コバルトまでとすることができる。もしくは、適宜、炭化タングステン及び/又はコバルトの割合を調整して、例えば4%のクロムを添加することができる。これらの組成範囲は限定的ではなく、他の組成範囲(及び/又は、材料)を使用して耐摩耗皮膜の所望の性質を得ることができることを理解されたい。さらに、所望の機械的/材料的性質をもたらし、VOF及び/又は溶射法で施工できる他の皮膜を使用できる。例示的な実施形態では、皮膜の厚さは表面上で実質的に均一の厚さとすることができる。別の例示的な実施形態では、種々の厚さの皮膜を使用できる。
【0027】
前述のように、ミラー部品は、実質的に他の表面(又は表面の一部)の鏡映として形作ることができ、HVOFの直接スプレー法及び/又はプラズマ法は望ましくない場合又は実行できない場合さえある。例示的な実施形態では、前述の他の形状は本明細書に開示する例示的なシステム及び方法からの利益を享受できる。例えば、平坦、湾曲、凹形(又は、管の内面のような閉じたもの)、又は他の所望の幾何形状とすることができる他の表面は、例示的な方法及びシステムを用いて施工された皮膜を有することができる。
【0028】
例示的な実施形態による前述の例示的なシステムを利用する、表面物性を高める方法を図14のフローチャートに示す。少なくとも1つの部品の表面物性を高める方法は、ステップ78のミラー部品の1以上の表面に皮膜を設ける段階と、ステップ80の熱間静水圧プレスによって、部品の1以上の表面と実質的に鏡映であって表面物性を高めるための皮膜をミラー部品から部品に転写する段階と、ステップ82のミラー部品を除去する段階とを含む。
【0029】
前述の例示的な実施形態は、限定的ではなく、全ての点で本発明を例示することが意図されている。従って、本発明は、具体的な実例において当業者であれば明細書の記載から導き出すことができる多数の変形例を含むことができる。全ての変形例及び変更例は、添付の請求項に規定する本発明の範疇及び精神の範囲内にあると見なされる。本出願明細書で使用する要素、作動、又は命令は、明示しない限り、発明に不可欠又は絶対に必要なものであると解釈すべきである。また、本明細書で使用する単数形態は、1以上の品目を含むことが意図されている。
【0030】
本明細書は、開示される主題の実施例を用いて、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること及びあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、本発明の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0031】
30 部品
56 ミラー部品
60 皮膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14