(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087125
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】廃熱を回収するための閉サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
F01K 19/04 20060101AFI20170220BHJP
F01K 7/32 20060101ALI20170220BHJP
F01K 27/02 20060101ALI20170220BHJP
F01K 25/10 20060101ALI20170220BHJP
F02G 5/02 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
F01K19/04
F01K7/32
F01K27/02 D
F01K25/10 E
F02G5/02 B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-270876(P2012-270876)
(22)【出願日】2012年12月12日
(65)【公開番号】特開2013-124666(P2013-124666A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】CO2011A000063
(32)【優先日】2011年12月14日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】505347503
【氏名又は名称】ヌオーヴォ ピニォーネ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ラゼッシュ・マヴリ
(72)【発明者】
【氏名】バスカラ・コサマナ
【審査官】
山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−032954(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0137797(US,A1)
【文献】
特開2008−057453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 19/04
F01K 7/32
F01K 25/10
F01K 27/02
F02G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃熱回収用の閉サイクルシステムであって、当該システムが、
外部熱源から作動流体に熱を伝達するように構成された熱交換器と、
前記熱交換器の出口と流体接続していて前記作動流体を膨張させて機械エネルギーを生成するように構成された膨張器と、
前記膨張器の出口と流体接続していて前記作動流体からの熱を除去するように構成された復熱器と、
前記復熱器の出口と流体接続していて前記作動流体を凝縮するように構成された凝縮ユニットと、
前記凝縮ユニットの出口と流体接続していて前記凝縮された作動流体をポンプ送給して前記復熱器に戻すように構成されたポンプと、
を備え、
前記作動流体が閉鎖経路を辿るように前記復熱器が前記熱交換器と流体接続しており、
前記凝縮ユニットが、前記作動流体の状態を超臨界状態に変化させるように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記凝縮ユニットがさらに、
前記作動流体を加圧するように構成された多段圧縮機と、
前記多段圧縮機と流体接続していて前記作動流体を冷却するように構成された冷却器機構と、
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記多段圧縮機の上流側に配置されていて前記作動流体を冷却して所定温度に達するように構成された第1の冷却器機構と、
前記多段圧縮機の下流側に配置されていて前記作動流体を冷却して凝縮させるように構成された第2の冷却器機構と、
をさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
一体化ギア付き圧縮機が、隣接する段間に少なくとも1つの中間冷却器機構を含む、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
超臨界状態への前記作動流体の状態の変化が前記多段圧縮機で起こる、請求項1から4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
閉サイクルシステムの一部である廃熱回収の方法であって、
外部熱源から作動流体に熱を伝達するステップと、
加熱した作動流体を膨張させて機械エネルギーを生成するステップと、
膨張した作動流体を冷却するステップと、
冷却された作動流体を凝縮して前記作動流体の状態を超臨界状態に変化させるステップと、
凝縮した作動流体をポンプ送給するステップと、
膨張した作動流体から熱を伝達することによって、ポンプ送給された作動流体を加熱するステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
前記作動流体を凝縮するステップがさらに、
前記作動流体を所定温度まで冷却するステップと、
前記作動流体を加圧するステップと、
前記作動流体をさらに冷却して凝縮させるステップと
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
圧力対エンタルピー空間にプロットされた状態曲線を辿るように構成された、廃熱回収用の遷臨界閉サイクルシステムであって、当該システムが、
外部熱源から作動流体に熱を伝達するように構成された熱交換器と、
前記熱交換器の出口と流体接続していて前記作動流体を膨張させて機械エネルギーを生成するように構成された膨張器と、
前記膨張器の出口と流体接続していて前記作動流体からの熱を除去するように構成された復熱器と、
前記復熱器の出口と流体接続していて前記作動流体を凝縮するように構成された凝縮ユニットと、
前記凝縮ユニットの出口と流体接続していて前記凝縮された作動流体をポンプ送給して前記復熱器に戻すように構成されたポンプと、
を備え、
前記復熱器が、前記作動流体が閉鎖経路を辿るように前記熱交換器と流体接続していてており、前記状態曲線が、前記作動流体の臨界点を上回って位置する曲線の第1の部分と、前記作動流体の臨界点を下回って位置し且つ前記作動流体の蒸発ドームの右側にある曲線の第2の部分と、前記作動流体の臨界点布巾の少なくとも1つの点とを含む、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題の実施形態は、全体的に、方法及びシステムに関し、より詳細には、廃熱回収のための閉サイクルシステムを用いるプロセス及び技法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃熱を発生する幅広い種類の工業及び商業プロセスが存在する。用語「廃熱」とは、従来はエネルギー源として利用されていなかった一次プロセスによって放出される余熱を指す。生産工程における一般的な廃熱源には、暖房組立体、ボイラー、エンジン、及び冷却システムからの熱が挙げられる。ボトミング熱サイクルは、エンジン排出ガスのような熱源からの廃熱を使用して、当該熱エネルギーを電気に変換する。ボトミングサイクルとして使用される典型的な有機ランキンサイクル(ORC)が、
図1に示されている。
【0003】
図1は、熱源(例えば、ガスタービン排出ガス)からの廃熱を受け取るヒータ/ボイラー12を含む。加熱された作動流体がタービン14を通過し、ここで機械的出力に転換されて発電機16を駆動する。この結果として低下した温度及び圧力の作動流体は、凝縮器18を通過し、ここで液体に変換され、ポンプ20によってヒータ/ボイラー12に戻される。このようなシステムにおいて、一般的な作動流体は、n−ペンタンのような有機流体である。このようなサイクルは、有機作動流体の沸点よりも幾分高い温度で廃熱を受け入れることができ、典型的には、有機作動流体の沸点よりも幾分低い温度で周囲空気又は水に熱を放出する。
【0004】
ORCサイクルの欠点の1つは、ほとんどの有機作動流体が高度に可燃性であるか又は有害な点である。あらゆる漏洩又は熱源との有機流体の直接的な接触を回避するために、安全対策を追加することが必要となる。熱源と有機流体との間で閉伝熱オイルループのような中間熱伝達媒体を追加して使用することが一般的である。これにより、システムのコスト及び複雑さが増大し、効率が低下することになる。また、有機ボトミングサイクルの効率は、有機流体の選択に大きく依存し、これは、化学的特性によって決まる特定の作動温度範囲のみを可能とする。流体の化学的性質の限度に起因して、ほとんどの既存のORCシステムは、依然として比較的低い作動流体で作動している。エンジン排出ガスからの熱回収のような高温用途では、作動流体の化学的安定性及び自動点火温度などの問題に起因して、作動流体の選択が制限される。廃熱を効率的に回収し、上述の欠点に対処する簡単なシステム及び方法を有することが望ましいことになる。
【発明の概要】
【0005】
例示的な実施形態では、廃熱回収用の閉サイクルシステムが提供される。閉サイクルシステムは、外部熱源から作動流体に熱を伝達するように構成された熱交換器と、熱交換器と流体接続していて作動流体を膨張させて機械エネルギーを生成するように構成された膨張器と、膨張器と流体接続していて作動流体からの熱を除去するように構成された復熱器と、復熱器と流体接続していて作動流体を凝縮するように構成された凝縮ユニットと、凝縮ユニットと流体接続していて凝縮された作動流体をポンプ送給して復熱器に戻すように構成されたポンプとを含む。第1の熱交換器、膨張器、復熱器、凝縮ユニット、及びポンプを通過する作動流体の経路は、閉鎖されている。凝縮ユニットは、作動流体を加圧するように構成された多段圧縮機と、多段圧縮機の上流側に配置されていて作動流体を冷却して所定温度に達するように構成された少なくとも1つの冷却器機構と、多段圧縮機の下流側に配置されていて作動流体を冷却して凝縮させるように構成された少なくとも1つの冷却器機構とを含む。多段圧縮機の隣接する段間には、該隣接する段間の作動流体を所定温度まで冷却するように構成された少なくとも1つの中間冷却器機構がある。例示的な実施形態では、凝縮ユニットは冷却ユニットとすることができる。
【0006】
別の例示的な実施形態では、閉サイクルシステムの一部である廃熱を回収する方法が提供される。本方法は、外部熱源から作動流体に熱を伝達するステップと、加熱した作動流体を膨張させて機械エネルギーを生成するステップと、膨張した作動流体を冷却するステップと、冷却された作動流体を凝縮して作動流体を液相に変化させるステップと、凝縮した作動流体をポンプ送給するステップと、膨張した作動流体から熱を伝達することによってポンプ送給された作動流体を加熱するステップとを含む。作動流体を凝縮するステップがさらに、作動流体を所定温度まで冷却するステップと、作動流体を加圧するステップと、作動流体をさらに冷却して凝縮させるステップとを含む。
【0007】
本明細書に組み込まれ且つその一部を構成する添付図面は、1以上の実施形態を例証しており、本明細書と共にこれらの実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】公知の閉サイクル有機ランキンサイクルの概略図。
【
図2】例示的な実施形態による、廃熱回収用の閉サイクルシステムの概略図。
【
図3】典型的な一体化ギア付き多段圧縮機の概略図。
【
図4】例示的な実施形態による、廃熱回収用の閉サイクルシステムを通る作動流体の圧力対エンタルピー状態図
【
図5】例示的な実施形態による、特定の温度及び圧力で例示した廃熱回収用閉サイクルシステムの概略図。
【
図6】例示的な実施形態による、冷却ユニットを用いた廃熱回収用閉サイクルシステムの概略図。
【
図7】例示的な実施形態による、廃熱回収用閉サイクルシステムの構成要素の機械的構成を例示した図。
【
図8】例示的な実施形態による、廃熱を回収する方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示的な実施形態の以下の説明は、添付図面を参照する。異なる図面における同じ参照符号は同じ又は同様の要素とみなす。以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。むしろ、本発明の範囲は、添付の請求項によって定義される。以下の実施形態では、簡単にするために、一体式のギア付きの多段圧縮機、多段半径方向(又は軸方向)膨張器、及びポンプを有するシステムの用語及び構造に関して考察される。しかしながら、以下で考察されることになる実施形態は、これらのシステムに限定されず、閉サイクルにおける多段圧縮機、膨張器、及びポンプを使用する他のシステムにも適用することができる。
【0010】
本明細書を通して、「一実施形態」又は「実施形態」という場合、その実施形態に関して記載された特定の構成要素(特徴、構造及び/又は特性など)が、本明細書に記載された少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。従って、本明細書の様々な箇所で「一実施形態」又は「実施形態」という表現がみられるが、これらは必ずしも同じ実施形態について言及しているわけではない。さらに、本発明の複数の特徴、構造又は特性は、1以上の実施形態において適当に結合させることができる。
【0011】
本明細書で考察される実施形態に従って、廃熱回収システムが開示される。例示的な廃熱回収システムは、熱源を利用して、発電のための廃熱の高効率回収を可能にする。熱源は、燃焼エンジン、ガスタービン、地熱、太陽熱、工業及び住宅熱源などを含むことができる。
【0012】
図2を参照すると、本発明の例示的な実施形態による廃熱回収のための閉サイクルシステム10が例示されている。システム100は、閉ループを形成する直列流れ関係で、熱交換器25、膨張器27、復熱器29、凝縮ユニット31、及びポンプ39を含む。外部熱源23は、熱交換器25と熱交換関係にある。作動流体は、直列的に、熱交換器25、膨張器27、復熱器29、凝縮ユニット31、再度復熱器29を通過して、熱交換器25に戻る。従って、作動流体は、閉経路を辿り、外部環境又は他の何れかの流体と反応することはない。膨張器27は、多段膨張器とすることができ、ポンプ39は、多段ポンプとすることができる。凝縮ユニット31は、第1の冷却器機構33及び第2の冷却器機構37と流体接続した多段圧縮機35を含む。第1の冷却器機構33は、多段圧縮機の上流側に配置され、第2の冷却器機構37は、多段圧縮機の下流側に配置される。例示的な実施形態において、冷却器機構33及び37は、フィン及び管型及びシェル及び管型の熱交換器とすることができる。このような熱交換器は、冷却媒体として空気又は水を使用することができる。
【0013】
1つの用途において、多段圧縮機は、一体式のギア付き圧縮機である。一体式のギア付き圧縮機(イタリア国Florence所在のNuovo Pignone S.p.A.,によって製造されるSRL圧縮機など)は、低流量/高圧又は高流量/低圧何れかの条件の複数のオイル及びガス応用で使用される。
図3に例示されるこのタイプの圧縮機は、ブルギア66と、1〜4つの高速ピニオン68とを有する。
図3に示すように、各ピニオンシャフト上に1つ又は2つのインペラ70を装着することができる。中間冷却機構72は、作動流体を圧縮機のある段から別の段に通過する際に冷却するよう段間に設けることができる。例示的な実施形態において、中間冷却機構72は、フィン及び管型又はシェル及び管型の熱交換器とすることができる。このような熱交換器は、冷却媒体として空気又は水を用いることができる。
【0014】
一体式のギア付き圧縮機は、各段の後に中間冷却をもたらす可能性を提供し、これは、吸収される出力の低減及び全体効率の向上をもたらす。また、各段の後にガイドベーンを有することも可能であり、従って、従来の単一シャフトの多段圧縮機と比べて作動範囲の拡大をもたらす。
【0015】
再度
図2を参照すると、第1の冷却器機構33は、多段圧縮機35の上流側に配置され、作動流体を冷却するように構成される。
図2の第1の冷却器機構33及び
図3の中間冷却機構72は、作動流体の密度を増大させ、その結果、圧縮効率を高めるように構成される。第2の冷却器機構37は、多段圧縮機35の下流側に配置され、作動流体を冷却して気体から液体への作動流体の相変化を引き起こすように構成される。例示的な実施形態において、冷却器機構33及び37は、フィン及び管型又はシェル及び管型の熱交換器とすることができる。このような熱交換器は、冷却媒体として空気又は水を使用することができる。
【0016】
作動流体は、CO2であるか、又は高分子密度及び高温に耐える能力を有する別の何れかの非可燃性、非有毒性、及び非腐食性の流体(窒素又は、ヘリウムなどの他の不活性ガスとCO2の混合気など)とすることができる。本発明の例示的な実施形態における廃熱回収の閉サイクルシステムは、遷臨界サイクルである。遷臨界サイクルは、未臨界及び超臨界状態の両方になる熱力学サイクルである。超臨界状態は、流体の温度及び圧力の両方が臨界点を超えたときの流体の状態を指す。理解点は、流体が気体及び液体の平衡状態にあるものとして存在できる温度及び圧力の最高点である。超臨界状態では、流体は、液体と気体の両方の特性を示す。臨界点を下回る液体状態は、未臨界と呼ばれる。
【0017】
例示的な実施形態において、システム10の作動は以下のように説明することができる。すなわち、CO2が熱交換器25において超臨界状態で受けられ、ここで熱交換器は、外部熱源23から熱を受け取る。加熱されたCO2は、膨張器27に循環され、ここで冷却されて膨張器27のシャフトを駆動し、機械エネルギーを生成する。この段階で、CO2の圧力は、臨界点を下回り、従って、CO2は、膨張器の出口において気相(未臨界状態)状態になる。膨張器27は、発電ユニットに接続されて電気を生成することができる。膨張器27はまた、他の装置(例えば、圧縮機又はポンプ)に接続されてこれらを起動するのに必要なエネルギーを供給することができる。CO2蒸気は、復熱器29を通り、ここでさらに冷却されて凝縮ユニット31に循環される。凝縮ユニットでは、CO2蒸気は、第1の冷却器機構33によって冷却され、次いで、多段圧縮機35に循環される。多段圧縮機35は、CO2蒸気を加圧し、これを第2の冷却器機構37に循環する。加圧中、CO2は同様に超臨界状態に入る。中間冷却器機構72は、CO2が圧縮機の1つの段から別の段に通過したときにこれを冷却するために段間に設けることができる。第2の冷却器機構37は、CO2を冷却し、これを液相に変換させる。液体CO2は、ポンプを通過する。液体CO2は、ポンプ送給され、ポンプ39によって復熱器29に再循環される。ポンプの出口では、CO2はまた超臨界状態に入る。CO2は、膨張CO2からの熱を使用する復熱器29において加熱される。超臨界状態にあるCO2は、循環して熱交換器25に戻され、閉サイクルを完了する。
【0018】
例示的な実施形態では、
図4は、閉サイクルシステム10の作動流体(CO2)におけるP−H図(Pは圧力を示し、Hは特定の点での作動流体のエンタルピーを示す)を示している。上記で考察するように、
図4に示す熱力学的変化は理想であり、実際のシステム10で起こる実変形の近似を意味する点は当業者であれば理解されるであろう。しかしながら、これらの理想変化は、実際のシステムの性質の良好な指標である。
【0019】
例示的な実施形態では、
図5は、閉サイクルシステム50における種々の物理的位置での
図4のP−H図の種々の点を示す。廃熱源23(エンジン排出ガスなど)は、約500℃の温度にあるとみなすことができる。超臨界状態のCO2は、約200barの圧力及び135℃に近い温度(
図4において点9で示される)で熱交換器25に流入する。CO2は、熱交換器25において加熱され、約428℃の温度に達する。従って、CO2は、約428℃の温度及び約200barの圧力(
図4の点1で示される)で膨張器27に流入し、ここで膨張されて膨張器のシャフトを回転させ、機械エネルギーを生成する。ここでCO2蒸気の圧力は約40barに低下し、温度は約245℃(点2で示す)に低下し、未臨界状態に入る。次いで、CO2蒸気は、復熱器29を通過し、ここで温度は約60℃まで低下し、圧力は同じ(点3)である。次に、CO2蒸気は、凝縮ユニット31に入る。CO2蒸気が第1の冷却器機構33で冷却され、その温度が30℃(点4に相当する)まで低下するようになる。CO2は、30℃及び40barで多段圧縮機35に入り、ここで加圧される。圧縮機の段間に置かれた中間冷却機構は、圧縮中にさらにCO2を冷却し、システムの効率を向上させる(点5で示す)。圧縮機の出口では、CO2ガスが80barの圧力まで加圧され、温度は、52℃(点6で示す)まで上昇し、CO2が超臨界状態に入るようにする。次いで、CO2は第2の冷却器機構37を通り、ここで一定圧で30℃の温度まで冷却される。ここでCO2は液相に変化する。液相のCO2は、約30℃の温度及び約80barの圧力(点7に示す)でポンプ39を通過する。液相のCO2は、ポンプ39によってポンプ送給され、約200bar及び約50℃の温度(点8で示す)まで圧力を増大させ、再度超臨界状態に入る。次に、CO2が復熱器29を通過し、ここで加熱されて温度が約135℃まで上昇し、圧力は同じである(点9で示す)。次いで、超臨界状態のCO2は、熱交換器23に戻り、閉サイクルを完了する。
【0020】
再度、
図4のP−H図を参照すると、ドーム型曲線は、CO2の蒸気−液体平衡曲線(通常は「蒸気ドーム」と呼ばれる)を示す。CO2の臨界点は、ドームのピークに位置する。このドームより下の領域は、気体及び液体が平衡状態で共存できる圧力及びエンタルピー点を示している。蒸気ドームよりも上の領域は、CO2の超臨界状態を示し、臨界ゾーンより下のドームの右側の領域は、CO2の気体状態を示している。図で分かるように、本発明の熱力学サイクルは、部分的には蒸気ドームを上回り(超臨界)、部分的には蒸気ドームを下回る(未臨界)。
図4の点1、6、8、及び9は超臨界状態を示し、点2、3、4、及び5は、CO2の気体状態に相当する。点7は、CO2の温度が臨界温度の直ぐ下にある臨界点に近接している。この点では、CO2は、気体であるが、実質的に液体のような挙動を示す濃密相を達成する。従って、このステップではCO2を加圧するためにポンプを使用することが望ましい。
【0021】
作動流体としてCO2を使用し、多段圧縮機の段間で中間冷却を行って、閉サイクルの一部を通じて超臨界状態のCO2を有する閉サイクルシステムを稼働させるような新規の実施形態は、サイクル全体の効率を向上させることができる。例示的な実施形態では、これらの特徴要素全てを組合せることができる。
【0022】
図6は、本発明の例示的な実施形態による、廃熱回収のための閉サイクルシステム80を示す。システム80は、熱交換器25と熱交換関係にある外部熱源23を含む。作動流体は、熱交換器25、膨張器27、復熱器29、冷却ユニット45、ポンプ39、再び復熱器29を通った後、熱交換器25に戻って閉サイクルを完了する。冷却ユニット45は、作動流体を凝縮するように構成され、気体から液体への相変化を引き起こす。冷却ユニットは、スタンドアローンで、電気駆動のアンモニアベースの工業用冷却ユニットとすることができる。このような商業冷却ユニットは、市場ですぐに入手可能である(例えば、York Internationalから入手可能な工業用冷却ユニット)。システム80の作動は、
図2で説明したシステム10と同じであり、凝縮ユニット31が冷却ユニット45で置き換えられていることだけが異なる。熱力学サイクルの対応する変化は、
図4のP−H図の破線で示されている。
図4の点4aは、冷却ユニット45が凝縮ユニットとして使用されるときのポンプ送給相の始まりを示している。冷却ユニットの使用は、超高温周囲条件で必要とされ、この場合、以前の実施形態のシステム10で説明したような多段圧縮機と同時に冷却器機構を使用して凝縮を達成することは困難な場合がある。
【0023】
図7は、本発明の例示的な実施形態による廃熱回収用の閉サイクルシステムの構成要素の機械的構成を示している。膨張器27、多段圧縮機35、及びポンプ39は、一体化ギア付きシステムを通じて接続される。全てのターボ機械構成要素は、図示の中央ギアボックスの両側に配置される。これにより小型の構成になり、一体化ギア付きシステムの全体の占有面積が低減される。
【0024】
次に、
図8において、閉サイクルシステムを用いて廃熱を回収する方法を説明している。本方法は、外部熱源から作動流体に熱を伝達するステップ112と、加熱した作動流体を膨張させて機械エネルギーを生成するステップ114と、膨張した作動流体を冷却するステップ116と、冷却された作動流体を凝縮して作動流体を液相に変化させるステップ118と、凝縮した作動流体をポンプ送給するステップ120と、膨張した作動流体から熱を伝達することによって、ポンプ送給された作動流体を加熱するステップ122とを含む。作動流体を凝縮するステップ118は、作動流体を所定温度まで冷却し、該作動流体を加圧し、作動流体をさらに冷却して凝縮するステップを含む。
【0025】
開示の例示的な実施形態は、閉サイクルシステム及び廃熱回収方法を提供する。本明細書は、本発明を限定することを意図するものではない点は理解されたい。逆に、例示的な実施形態は、添付の請求項によって定義される本発明の技術的思想及び範囲に含まれる、代替形態、修正形態、及び均等形態を保護するものとする。さらに、例示的な実施形態の詳細な説明において、請求項に記載された本発明を包括的に理解するために多数の具体的な詳細事項が記載されている。しかしながら、種々の実施形態はこのような具体的な詳細事項がなくとも実施できる点は当業者であれば理解されるであろう。本発明の例示的な実施形態の特徴及び要素は、特定の組合せで実施形態において説明したが、各特徴又は要素は、実施形態の他の特徴及び要素を伴わず単独で、或いは本明細書で開示される他の特徴及び要素の有無に関わりなく種々の組合せで用いることができる。本明細書は、開示される主題の実施例を用いて、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること及びあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0026】
10 廃熱回収のための閉サイクルシステム
12 ヒータ/ボイラー
14 タービン
16 発電機
18 凝縮器
20 ポンプ
23 外部熱源
25 熱交換器
27 膨張器
29 復熱器
31 凝縮ユニット
33 第1の冷却器機構
35 多段圧縮機
37 第2の冷却器機構
39 ポンプ