(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1〜3に見られるように、従来は、道路リンクを通過するのに要する時間に着目した様々な手法が提案されていたが、道路リンクを走行する際の走行状態に着目したものは存在しなかった。
【0008】
ところで、本出願人は、予測される将来の走行状態に基づいて車両の運転に関するアドバイスを出力する発明を出願した(特願2012−076431)。この出願においては、将来の走行状態を、現在の走行状態と経路情報とに基づいて予測している。例えば、このようなアプリケーションにおいて、過去の走行履歴に基づいて将来の走行状態を精度良く予測することができれば、ドライバに適切なアドバイスを与えることが可能となる。
【0009】
そこで、本発明は、過去の走行実績に基づいて、将来の走行状態を精度良く予測することができる走行状態予測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の走行状態予測装置は、プローブカーに搭載されたデータ収集装置から、プローブカーが道路リンクを通過したときの車両の走行状態データを受信するプローブデータ受信部と、複数の道路リンクのそれぞれについて前記走行状態データを記憶する走行状態データベースと、ユーザ車両に搭載された装置から、走行予定の道路リンクを特定するデータを含む走行状態予測要求を受信する要求データ受信部と、前記走行状態データベースから、前記走行予定の道路リンクの走行状態データを読み出す走行状態データ読出部と、前記走行状態データをユーザ車両に搭載された装置に送信する走行状態データ送信部とを備えた構成を有する。前記走行状態データは、前記道路リンク内での走行速度変化を示すデータであってもよい。
【0011】
このようにプローブカーにて収集した実際の走行状態データを利用することで、走行予定の道路リンクの走行状態を適切に予測することが可能となる。走行状態データとは、例えば、車両の速度の変化を示すデータであり、車両の停止、発進、定常走行、加速、減速などを示すデータである。データの形式としては、道路リンク内の位置と速度の関係を示すデータであってもよいし、リンク内で定常走行、加速、減速を行った回数や割合を示すデータでもよい。
【0012】
本発明の走行状態予測装置において、前記プローブデータ受信部は、前記走行状態データと共に、その道路リンクを通過した後の進行方向のデータを受信し、前記走行状態データベースは、前記進行方向別に走行状態データを記憶し、前記要求データ受信部が受信する走行状態予測要求には、走行予定の道路リンクおよび当該道路リンクを通過した後の進行方向を特定するデータが含まれており、前記走行状態データ読出部は、前記走行状態データベースから、前記走行予定の道路リンクおよび当該道路リンクを通過した後の進行方向を特定するデータに対応する走行状態データを読み出してもよい。
【0013】
本発明者らは、道路リンク内での走行状態は、その道路リンクを通過した後に車両が進行する方向によって異なることを見出した。例えば、道路リンクを通過した後に直進する場合には、道路リンクの終端部分についても定常走行で通過するが、道路リンクを通過した後に右折する場合には、道路リンクの終端部分でいったん減速する傾向がある。本発明では、車両の進行方向別に走行状態データを記憶し、進行方向に応じた走行状態の予測を行うことで、予測の精度を高めることができる。
【0014】
本発明の走行状態予測装置において、前記プローブデータ受信部は、前記走行状態データと共に、その道路リンクを通過したときの時間帯、曜日または季節を特定するデータを受信し、前記走行状態データベースは、前記時間帯、曜日または季節の別に走行状態データを記憶し、前記走行状態データ読出部は、前記走行状態データベースから、前記走行予定の道路リンクおよび前記走行状態予測要求を受信した時間帯、曜日または季節に対応する走行状態データを読み出してもよい。
【0015】
時間帯、曜日または季節によって道路リンクの混雑度合いが異なったり、また時間帯によって見通しの良さが異なったりして、走行状態が変化することが考えられるので、時間帯、曜日または季節の別に記憶された走行状態データを用いることにより、走行状態の予測の精度を高めることができる。
【0016】
本発明の走行状態予測装置において、前記プローブデータ受信部は、前記走行状態データと共に、その道路リンクを通過したときの天候、気温または湿度のデータを受信し、前記走行状態データベースは、前記天候、気温または湿度の別に走行状態データを記憶し、前記要求データ受信部が受信する走行状態予測要求には、走行予定の道路リンクおよび天候、気温または湿度のデータが含まれており、前記走行状態データ読出部は、前記走行状態データベースから、前記走行予定の道路リンクおよび前記天候、気温または湿度のデータに対応する走行状態データを読み出してもよい。
【0017】
天候または気温によって道路リンクの混雑度合いが異なったり、天候、気温または湿度によって見通しの良さなどが異なったりして、走行状態が変化することが考えられるので、天候、気温または湿度の別に記憶された走行状態データを用いることにより、走行状態の予測の精度を高めることができる。
【0018】
本発明の走行状態予測装置において、前記プローブデータ受信部は、前記走行状態データと共に、車両の車種、重量または大きさのデータを受信し、前記走行状態データベースは、前記車種、重量または大きさの別に走行状態データを記憶し、前記要求データ受信部が受信する走行状態予測要求には、走行予定の道路リンクおよび車種、重量または大きさのデータが含まれており、前記走行状態データ読出部は、前記走行状態データベースから、前記走行予定の道路リンクおよび前記車種、重量または大きさのデータに対応する走行状態データを読み出してもよい。
【0019】
車両の車種、重量、大きさによって走行状態が変化することが考えられるので、車種、重量または大きさの別に記憶された走行状態データを用いることにより、走行状態の予測の精度を高めることができる。なお、車両の大きさは、車両の縦、横、高さのそれぞれの長さで表される。
【0020】
本発明の走行状態予測装置は、前記道路リンク毎に走行状態データをクラスタリングし、同一のクラスタに含まれる走行状態データの代表データを求める走行状態データ解析部を備え、前記走行状態データベースは、前記走行状態データの代表データを記憶し、前記要求データ受信部にて受信する走行状態予測要求には、前記ユーザ車両の現在の走行状態のデータが含まれており、前記走行状態データ読出部は、前記走行状態データベースから前記走行予定の道路リンクおよび現在の走行状態に対応する走行状態データの代表データを読み出してもよい。
【0021】
同じ道路リンクであっても、例えば、渋滞している場合、渋滞とまではいえないが混雑している場合、あるいは順調に流れている場合では、車両の走行状態が異なる。本発明の構成によれば、走行状態データをクラスタリングして同じ傾向を有するグループに分類し、各グループを代表するデータを用いることで、現在の走行状態と同様の傾向を有する走行状態データによって予測を行うことができ、予測精度を高めることができる。代表データは、同じクラスタに含まれる走行状態データの平均でもよいし、中央値や最頻値でもよい。
【0022】
本発明の運転支援システムは、上記の走行状態予測装置と、前記走行状態予測装置から受信した走行状態データに応じて、車両の運転に関するアドバイスを出力する運転支援装置とを備える。
【0023】
このように上記した走行状態予測装置を用いて求めた精度の高い走行状態データを用いることにより、適切なアドバイスを出力することができる。
【0024】
本発明の走行状態予測方法は、プローブカーから収集したデータに基づいて道路リンクにおける車両の走行状態を予測する方法であって、走行状態予測装置が、プローブカーに搭載されたデータ収集装置から、プローブカーが道路リンクを通過したときの走行状態データを受信するステップと、前記走行状態予測装置が、複数の道路リンクのそれぞれについて前記走行状態データを走行状態データベースに記憶するステップと、前記走行状態予測装置が、ユーザ車両に搭載された装置から、走行予定の道路リンクを特定するデータを含む走行状態予測要求を受信するステップと、前記走行状態予測装置が、前記走行状態データベースから、前記走行予定の道路リンクの走行状態データを読み出すステップと、前記走行状態予測装置が、前記走行状態データをユーザ車両に搭載された装置に送信するステップとを備えた構成を有する。
【0025】
このようにプローブカーにて収集した実際の走行状態データを利用することで、走行予定の道路リンクの走行状態を適切に予測することが可能となる。なお、本発明の走行状態予測方法に、上述した走行状態予測装置の各種の構成を適用することも可能である。
【0026】
本発明のプログラムは、プローブカーから収集したデータに基づいて車両の走行状態を予測するためのプログラムであって、コンピュータに、プローブカーに搭載されたデータ収集装置から、プローブカーが道路リンクを通過したときの走行状態データを受信するステップと、複数の道路リンクのそれぞれについて前記走行状態データを走行状態データベースに記憶するステップと、ユーザ車両に搭載された装置から、走行予定の道路リンクを特定するデータを含む走行状態予測要求を受信するステップと、前記走行状態データベースから、前記走行予定の道路リンクの走行状態データを読み出すステップと、前記走行状態データをユーザ車両に搭載された装置に送信するステップとを実行させる。
【0027】
このようにプローブカーにて収集した実際の走行状態データを利用することで、走行予定の道路リンクの走行状態を適切に予測することが可能となる。なお、本発明のプログラムに、上述した走行状態予測装置の各種の構成を適用することも可能である。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、プローブカーにて収集した実際の走行状態データを利用することで、走行予定の道路リンクの走行状態を適切に予測することができるという効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態に係る走行状態予測装置を用いた運転支援システムについて図面を参照しながら説明する。本実施の形態の走行状態予測装置は、走行状態として道路リンクにおける車両の走行速度の変化を予測する。運転支援システムは、予測された走行状態に基づいて、燃費が良くなるアドバイスを行う。例えば、走行状態として発進、停止が多いと予測された場合には、アクセルの踏み込み方に注意を促す等のアドバイスを出力する。
【0031】
(第1の実施の形態)
[運転支援システムの構成]
図1は、第1の実施の形態の運転支援システム1の構成を示す図である。運転支援システム1は、データ収集装置10と、走行状態予測装置20と、運転支援装置30とを有している。走行状態予測装置20と、データ収集装置10および運転支援装置30とは、ネットワークによって接続されており、データの送受信が可能な構成とされている。
【0032】
データ収集装置10は、いわゆるプローブカーに搭載され、プローブカーの走行に応じて走行状態データを取得する。走行状態予測装置20は、複数のプローブカーに搭載されたデータ収集装置10から走行状態データを収集し、走行状態データを用いて将来の走行状態を予測する。運転支援装置30は、運転支援を受けるユーザの車両(ユーザ車両)に搭載され、走行状態予測装置20にて予測された走行状態データに基づいてアドバイスを出力する。なお、運転支援装置30は、データ収集装置10が搭載されたプローブカーに搭載してもよい。つまり、ユーザ車両がプロープカーを兼ねてもよい。次に、各装置の構成について説明する。
【0033】
データ収集装置10は、車両センサ17から車両センサ情報を取得する車両センサ情報取得部11と、車両センサ情報取得部11にて取得した車両センサ情報に基づいて走行状態を算出する走行状態データ算出部12と、走行状態データ等を記憶する記憶部16と、図示しないGPS受信機で取得したGPS情報や上述した車両センサ情報に基づいて車両の現在位置を検出する現在位置検出部13と、走行状態予測装置20との通信を行う通信部14と、地図データを記憶した地図データベース(以下、「地
図DB」という)15とを有している。
【0034】
走行状態データ算出部12は、車両センサ情報に基づいて車両の走行速度を検知すると共に、走行速度のデータに基づいて道路リンク内における車両の現在位置を計算する。本実施の形態では、道路リンク内における車両の位置とその位置における車両の速度データとを関連付けた車速の変位を示すデータを「走行状態データ」として用いる。
【0035】
また、走行状態データ算出部12は、現在位置検出部13によって取得した現在位置のデータと地
図DB15とを照合して現在走行中の道路リンクを特定する。さらに、走行状態データ算出部12は、車両センサ情報または現在位置検出部13で検出した現在位置のデータに基づいて、特定された道路リンクを通過した後に車両が進行した方向を求める。例えば、特定された道路リンクの終端部が交差点の場合、当該道路リンクを通過した後、直進して次の道路リンクに進入したのか、左折または右折して次の道路リンクに進入したのかを求める。そして、走行状態データ算出部12は、特定された道路リンクのIDと、進行方向のデータと、走行状態データとを関連付けて記憶部16に記憶する。
【0036】
データ収集装置10は、記憶部16に記憶した走行状態データを走行状態予測装置20に送信する。走行状態データの送信は定期的に行ってもよいし、ある程度のデータ量が記憶された時点で行ってもよい。
【0037】
次に、走行状態予測装置20の構成について説明する。走行状態予測装置20は、データ収集装置10から送信される走行状態データを受信するプローブデータ受信部21と、受信した走行状態データを記憶する走行状態データベース(以下、「走行状態DB」という)26と、プローブデータ受信部21にて受信した走行状態データにて走行状態DB26を更新する走行状態データ更新部24とを有している。
【0038】
図2は、走行状態DB26に記憶されたデータの例を示す図である。
図2では、ある一つの道路リンクの走行状態データの例を示しているが、走行状態DB26には、地図データを構成する複数の道路リンクについて、
図2のような走行状態データが記憶されている。
【0039】
走行状態データは、その道路リンクを通過した後の進行方向毎に記憶されている。
図2に示す例では、道路リンクを通過した後に直進した場合の走行状態データ、左折した場合の走行状態データ、右折した場合の走行状態データを有している。
図2に示す例では、道路リンクの終端部が交差点(四差路)になっているので、直進、右折、左折の3つの場合があるが、三差路であれば2種類、5差路であれば4種類の走行状態データを有することになる。
【0040】
図2において、進行方向別の走行状態データは、各進行方向に進行した走行状態データの平均を表しているからである。例えば、走行状態予測装置20は、ある道路リンクを直進して通過した場合の走行状態データを複数のデータ収集装置10から受信し、走行状態データ更新部24は、受信した走行状態データの平均をとって、走行状態データを生成している。走行状態DB26には、走行速度の変位のデータを、道路リンク内での位置に関連付けて記憶している。
【0041】
図1に戻って、走行状態予測装置20の構成について説明する。走行状態予測装置20は、走行状態予測の要求を運転支援装置30から受信する要求データ受信部22と、当該要求を受信したときに走行状態DB26から走行状態データを読み出す走行状態データ読出部25と、走行状態データを要求元の運転支援装置30に送信する走行状態データ送信部23とを有する。
【0042】
要求データ受信部22が受信する走行状態予測の要求データには、走行状態の予測を求める道路リンクを特定するデータと、当該道路リンクを通過した後の進行方向を特定するデータとを含んでいる。道路リンクを特定するデータ及び進行方向を特定するデータは、ナビゲーション装置38にて設定された経路のデータであってもよい。経路のデータに基づいて、車両が進入する道路リンク(走行状態の予測対象となる道路リンク)と、その道路リンクを通過してどの方向に進行するかを特定することができる。
【0043】
走行状態データ読出部25は、走行状態予測の要求に含まれる道路リンクの特定データ及び進行方向の特定データに対応する走行状態データを走行状態DB26から読み出し、走行状態データ送信部23に渡す。走行状態データ送信部23は、走行状態データを運転支援装置30に送信する。
【0044】
次に、運転支援装置30の構成について説明する。運転支援装置30は、走行状態予測装置20と通信を行うための通信部31と、地図データを記憶した地
図DB37と、ナビゲーション装置38で設定された経路のデータを記憶した経路データ記憶部36と、所定の道路リンクの走行状態の予測を要求する走行状態予測要求部32と、図示しないGPS受信機で取得したGPS情報に基づいて車両の現在位置を検出する現在位置検出部33と、走行状態予測装置20から送信された走行状態データに基づいて運転のアドバイスを生成するアドバイス生成部34と、生成したアドバイスを出力するアドバイス出力部35とを有している。
【0045】
図3は、本実施の形態の走行状態予測装置20のハードウェア構成を示す図である。走行状態予測装置20は、CPU50と、メモリ51と、ROM52と、外部記憶装置54と、キーパッド55と、タッチパネル56と、通信部57とがバス58によって接続されて構成されている。ROM52には、上述した走行状態予測装置20の機能を実現するためのプログラム53が格納されている。このようなプログラム53も本発明の範囲に含まれる。外部記憶装置54は、走行状態DB26および地
図DB27を構成する。通信部57は、データ収集装置10、運転支援装置30と通信を行うためのインターフェースを提供している。
【0046】
[運転支援システムの動作]
次に、運転支援システム1の動作について説明する。以下では、運転支援システム1が走行状態を予測するために用いる走行状態データを収集する動作と、走行状態予測の要求を受けて走行状態を予測する動作に分けて説明する。
【0047】
図4は、走行状態予測装置20がデータ収集装置10から走行状態データを収集する動作を示すフローチャートである。プローブカーに搭載されたデータ収集装置10は、プローブカーの現在位置及び速度のデータを取得する(S10)。データ収集装置10は、プローブカーが道路リンクを通過したか否かを判定し(S12)、道路リンクを通過したと判定した場合に(S12でYES)、当該道路リンクを走行したときの走行状態データを生成し、生成された走行状態データを、道路リンクのID及び道路リンクを通過した後の進行方向に関連付けて記憶部16に記憶する(S14)。なお、道路リンクを通過していないと判定された場合(S12でNO)、データ収集装置10は、プローブカーの現在位置及び速度のデータを取得するステップS10に戻る。
【0048】
データ収集装置10は、送信タイミングか否かを判定する。送信タイミングは、例えば、1週間または1か月といった所定期間ごとであってもよいし、記憶部16に所定量のデータが蓄積されたときであってもよい。送信タイミングではないと判定された場合(S16でNO)、データ収集装置10は、プローブカーの現在位置及び速度のデータを取得するステップS10に戻る。
【0049】
データ収集装置10は、送信タイミングであると判定された場合(S16でYES)、道路リンクID及び進行方向に関連付けられた走行状態データを、走行状態予測装置20に送信する(S18)。走行状態予測装置20は、道路リンクID及び進行方向に関連付けられた走行状態データを受信し(S20)、受信したデータに基づいて、進行方向別の走行状態データを更新する(S22)。
【0050】
図5は、走行状態予測装置20が、運転支援装置30から走行状態予測の要求を受けて走行状態を予測する動作を示すフローチャートである。運転支援装置30は、現在位置を検出する(S30)。続いて、運転支援装置30は、走行状態予測装置20に、走行状態の予測要求を送信する(S32)。この走行状態の予測要求には、経路データ記憶部36から読み出した経路データと、車両の現在位置のデータとが含まれている。
【0051】
走行状態予測装置20は、運転支援装置30から送信される走行状態の予測要求を受信すると(S34)、当該予測要求に含まれている経路データと現在位置のデータとに基づいて走行予定の道路リンクと、その道路リンクを通過した後の進行方向を特定する(S36)。
【0052】
図6は、経路データと現在位置のデータの例を示す図である。
図6に示す例において、設定された経路は、道路リンクL001〜L002〜L212である。そして、車両Vの現在位置は、L001の道路リンクである。このような場合、走行状態予測装置20は、次に走行予定の道路リンクはL002であり、道路リンクL002を通過した後の進行方向は「右折」であると特定する。
【0053】
走行状態予測装置20は、走行予定の道路リンクを走行状態の予測対象の道路リンクとして、当該道路リンクIDとその後の進行方向に対応する走行状態データを走行状態DB26から読み出し、読み出した走行状態データを運転支援装置30に送信する(S38)。運転支援装置30は、走行状態予測装置20から送信された走行状態データを受信し(S40)、受信した走行状態データに基づいてアドバイスを生成して、出力する(S42)。以上、第1の実施の形態の運転支援システム1について説明した。
【0054】
第1の実施の形態の運転支援システム1は、プローブカーにて収集したデータに基づいて所定の道路リンクにおける走行状態を予測し、予測された走行状態に基づいて運転アドバイスを出力するので、道路リンクの幅員や種類といった画一的な情報ではなく、個々の道路リンクにおける走行状態に基づいて適切な運転アドバイスを提供できる。
【0055】
また、走行状態予測装置20は、道路リンクを通過した後の進行方向別に走行状態を分類し、進行方向に応じて走行状態を予測するので、走行状態の予測精度を高めることができる。例えば、道路リンクを通過した後の進行方向が右折の場合には、右折時に対向車が通過するのを待つために道路リンクの終端付近において、減速または停止する必要があるのに対し、進行方向が直進の場合には対向車の有無とはかかわりなく、次の道路リンクに進むことができる。また、進行方向が左折の場合には、歩道に近い左折レーンを走行する関係で、歩行者の飛び出しに注意したり、路肩に駐停車している車両のために徐行運転が必要になる可能性もある。本発明者らは、同じ道路リンクを走行する場合であっても、その道路リンクを通過した後の進行方向によって走行状態の傾向に違いがあることを見出した。本実施の形態の構成によれば、走行状態データを、道路リンクを通過した後の進行方向別に分類することで、上記したような傾向の相違を捉え、精度の良い予測を行うことができる(全進行方向をまとめて処理すると、走行状態データが平均化されてしまう)。
【0056】
なお、本実施の形態において、運転支援装置30は、予測対象となる走行予定の道路リンクのデータを、設定された経路及び現在位置のデータの形式で走行状態予測装置20に送信する例について説明したが、運転支援装置30の側で走行予定の道路リンクと進行方向とを求め、走行状態予測装置20に走行予定の道路リンクのIDと進行方向のデータを送信することとしてもよい。
【0057】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態の運転支援システムについて説明する。第2の実施の形態の運転支援システムの基本的な構成は第1の実施の形態と同じであるが、第2の実施の形態では、走行状態予測装置20に記憶された走行状態DB26の内容が異なる。
【0058】
図7は、第2の実施の形態の走行状態DB26に記憶された走行状態データの例を示す図である。走行状態DB26には、走行状態データが、その道路リンクを通過した時間帯別に記憶されている。
【0059】
第2の実施の形態においては、データ収集装置10は、道路リンクを通過した時間帯のデータに関連付けた走行状態データを走行状態予測装置20に送信する。また、走行状態予測装置20は、運転支援装置30から走行状態の予測要求を受信すると、当該予測要求を受信したときの時間帯に応じた走行状態データを走行状態DB26から読み出し、読み出した走行状態データを運転支援装置30に送信する。
【0060】
第2の実施の形態の運転支援システムは、第1の実施の形態と同様に、個々の道路リンクにおける走行状態に基づいて適切な運転アドバイスを提供できる。
【0061】
また、第2の実施の形態では、走行状態予測装置20は、時間帯別に走行状態を分類し、時間帯に応じて走行状態を予測するので、走行状態の予測精度を高めることができる。同じ道路リンクを走行する場合であっても、時間帯によって混雑度合が違っていたり、見通しの良さが異なったりするが、走行状態を時間帯別に分類することでこれらの相違を捉えて、予測精度を高めることができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、時間帯のデータを用いる例について説明したが、時間帯に代えて、または時間帯に加えて、曜日や季節のデータを用いて、走行状態データを分類してもよい。また、第2の実施の形態の構成に第1の実施の形態の構成を加えて、進行方向と時間帯の両方を使って走行状態データを分類してもよい。
【0063】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態の運転支援システムについて説明する。第3の実施の形態の運転支援システムの基本的な構成は第1の実施の形態と同じであるが、第3の実施の形態では、走行状態予測装置20に記憶された走行状態DB26の内容が異なる。
【0064】
図8は、第3の実施の形態の走行状態DB26に記憶された走行状態データの例を示す図である。走行状態DB26には、走行状態データが、その道路リンクを通過した天候別に記憶されている。
【0065】
第3の実施の形態においては、データ収集装置10は、道路リンクを通過した天候のデータに関連付けた走行状態データを走行状態予測装置20に送信する。また、走行状態予測装置20は、運転支援装置30から、天候データを含む走行状態の予測要求を受信する。走行状態予測装置20は、受信した天候データに応じた走行状態データを走行状態DB26から読み出し、読み出した走行状態データを運転支援装置30に送信する。
【0066】
第3の実施の形態の運転支援システムは、第1の実施の形態と同様に、個々の道路リンクにおける走行状態に基づいて適切な運転アドバイスを提供できる。
【0067】
また、第3の実施の形態では、走行状態予測装置20は、天候別に走行状態を分類し、天候に応じて走行状態を予測するので、走行状態の予測精度を高めることができる。同じ道路リンクを走行する場合であっても、天候によって見通しの良さが異なったり、道路のすべりやすさが異なったりするが、走行状態を天候別に分類することでこれらの相違を捉えて、予測精度を高めることができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、天候のデータを用いる例について説明したが、天候に代えて、または天候に加えて、気温や湿度のデータを用いて走行状態データを分類してもよい。また、第3の実施の形態の構成に第1の実施の形態、第2の実施の形態の構成を加えて、進行方向と天候、あるいは、時間帯と天候、あるいは、進行方向と時間帯と天候を使って走行状態データを分類してもよい。
【0069】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態の運転支援システムについて説明する。第4の実施の形態の運転支援システムの基本的な構成は第1の実施の形態と同じであるが、第4の実施の形態では、走行状態予測装置20に記憶された走行状態DB26の内容が異なる。
【0070】
図9は、第4の実施の形態の走行状態DB26に記憶された走行状態データの例を示す図である。走行状態DB26には、走行状態データが、その道路リンクを通過した車種別に記憶されている。
【0071】
第4の実施の形態においては、データ収集装置10は、道路リンクを通過した車種のデータに関連付けた走行状態データを走行状態予測装置20に送信する。また、走行状態予測装置20は、運転支援装置30から、車種データを含む走行状態の予測要求を受信する。走行状態予測装置20は、受信した車種データに応じた走行状態データを走行状態DB26から読み出し、読み出した走行状態データを運転支援装置30に送信する。
【0072】
第4の実施の形態の運転支援システムは、第1の実施の形態と同様に、個々の道路リンクにおける走行状態に基づいて適切な運転アドバイスを提供できる。
【0073】
また、第4の実施の形態では、走行状態予測装置20は、車種別に走行状態を分類し、車種に応じて走行状態を予測するので、走行状態の予測精度を高めることができる。車種によって性能が異なるので、同じ道路リンクを走行する場合であっても、走行状態に相違があるが、走行状態を車種別に分類することでこれらの相違を捉えて、予測精度を高めることができる。
【0074】
なお、本実施の形態において、車種に代えて、または車種に加えて、重量や大きさを用いてもよい。車両の重量や大きさによっても加減速時等の走行状態の傾向が異なるためである。
【0075】
また、第4の実施の形態の構成に第1の実施の形態〜第3の実施の形態の構成を加えてもよい。進行方向、時間帯、曜日、季節、天候、気温、湿度、車両の車種、重量または大きさのいずれの組合せで走行状態データを分類するかは、適宜決定することができる。ただし、走行状態データを細分化し過ぎると、プローブされた走行状態データ数が少なくなってしまうか、場合によってはデータがなくなってしまうグループができてしまうので、走行状態データの量に応じて組合せを決定してもよい。
【0076】
(第5の実施の形態)
図10は、第5の実施の形態の運転支援システム5の構成を示す図である。第5の実施の形態の運転支援システム5の基本的な構成は、第1の実施の形態と同じであるが、第5の実施の形態では、走行状態予測装置20が走行状態データ解析部28を有し、走行状態データをクラスタリングして複数のパターンに分類する点が異なる。
【0077】
図11は、走行状態DB26に記憶されたデータの例を示す図である。
図11に示す例では、走行状態DB26にはパターンA,B,Cの3パターンの走行状態データが記憶されている。この3つのパターンは、あらかじめ付加された進行方向、時間帯等のような関連データによって分類されたものではなく、走行状態データ解析部28が、多数の走行状態データをクラスタリングして近いもの同士をグループ化し、グループを代表するデータを求めることで得られたものである。各グループを代表するデータは、各グループに含まれる走行状態データの平均をとることで求めることができる。なお、代表データを求める方法は他にも考えられ、例えば、道路リンク内での各位置での走行状態データの中央値や最頻値を使ってもよい。
【0078】
走行状態データのクラスタリングの方法としては、例えば、K平均法などの公知の方法を用いることができる。なお、パターンA,B,Cの横に「(順調)」「(混雑)」「(渋滞)」と記載しているのは、パターンA,B,Cに分類された後に便宜的に付したものである。
【0079】
運転支援装置30は、現在の走行状態を求める構成として、車両センサ41から車両センサ情報を取得する車両センサ情報取得部40と、車両センサ情報取得部40にて取得した車両センサ情報に基づいて走行状態を算出する走行状態データ算出部39とを備えている。運転支援装置30は、現在の走行状態データを含む走行状態の予測要求を、走行状態予測装置20に送信する。
【0080】
図12は、第5の実施の形態の運転支援システム5によって走行状態DB26を生成する動作を示すフローチャートである。プローブカーに搭載されたデータ収集装置10は、プローブカーの現在位置及び速度のデータを取得する(S50)。データ収集装置10は、プローブカーが道路リンクを通過したか否かを判定し(S52)、道路リンクを通過したと判定した場合に(S52でYES)、当該道路リンクを走行したときの走行状態データを生成し、生成された走行状態データを道路リンクのIDに関連付けて記憶部16に記憶する(S54)。なお、道路リンクを通過していないと判定された場合(S52でNO)、データ収集装置10は、プローブカーの現在位置及び速度のデータを取得するステップS50に戻る。
【0081】
データ収集装置10は、送信タイミングか否かを判定する(S56)。送信タイミングは、例えば、1週間または1か月といった所定期間ごとであってもよいし、記憶部16に所定量のデータが蓄積されたときであってもよい。送信タイミングではないと判定された場合(S56でNO)、データ収集装置10は、プローブカーの現在位置及び速度のデータを取得するステップS50に戻る。
【0082】
データ収集装置10は、送信タイミングであると判定された場合(S56でYES)、道路リンクIDに関連付けられた走行状態データを、走行状態予測装置20に送信する(S58)。走行状態予測装置20は、道路リンクIDに関連付けられた走行状態データを受信し、蓄積する(S60)。
【0083】
走行状態予測装置20は、蓄積された走行状態データを解析する(S62)。具体的には、走行状態データ解析部28は、道路リンク毎に、蓄積された走行状態データをクラスタリングして、複数のグループに分類する。そして、それぞれのグループに含まれる走行状態データの平均を求めて、各グループを代表する走行状態データを生成する。走行状態予測装置20は、各グループを代表する走行状態データを走行状態DB26に記憶する(S64)。
【0084】
図13は、走行状態予測装置20が、運転支援装置30から走行状態予測の要求を受けて走行状態を予測する動作を示すフローチャートである。運転支援装置30は、現在位置及び速度のデータを取得し(S70)、取得した速度データの変化に基づいて、現在の走行状態データを生成する(S72)。続いて、運転支援装置30は、走行状態予測装置20に、走行状態の予測要求を送信する(S74)。この走行状態の予測要求には、ナビゲーション装置38等に設定された経路のデータと、車両の現在位置のデータ、現在の走行状態データとが含まれている。
【0085】
走行状態予測装置20は、運転支援装置30から送信される走行状態の予測要求を受信すると(S76)、当該予測要求に含まれている経路データと現在位置のデータとに基づいて走行予定の道路リンクを特定する(S78)。走行状態予測装置20は、走行状態DB26から、走行予定の道路リンクに対応する走行状態データをすべて読み出し(S80)、読み出した複数の走行状態データ(代表データ)のうち、現在の走行状態データに最も近い走行状態データを決定する(S82)。走行状態予測装置20は、決定された走行状態データを運転支援装置30に送信する(S84)。
【0086】
運転支援装置30は、走行状態予測装置20から送信された走行状態データを受信し(S86)、受信した走行状態データに基づいてアドバイスを生成して、出力する(S88)。以上、第5の実施の形態の運転支援システム5について説明した。
【0087】
第5の実施の形態の運転支援システム5は、第1の実施の形態と同様に、個々の道路リンクにおける走行状態に基づいて適切な運転アドバイスを提供できる。
【0088】
また、第5の実施の形態では、走行状態予測装置20は、収集した走行状態データをクラスタリングして、複数のパターンに分類することで、走行状態の予測精度を高めることができる。
【0089】
以上、本発明の運転支援システム及び走行状態予測装置について、実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0090】
上記した実施の形態においては、走行状態データとして、走行速度の変位をリンク内での位置に関連付けて記憶する例について説明したが、道路リンクの走行状態データは、例えば、道路リンク内における加速回数、減速回数、停止回数等のデータを記憶することとしてもよい。