(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を説明するに当たって、各基板、層、膜、または電極などが各基板、層、膜、または電極などの“上(on)”に、または“下(under)”に形成されることと記載される場合において、“上(on)”と“下(under)”は、“直接(directly)”または“他の構成要素を介して(indirectly)”形成されることを全て含む。また、各構成要素の上または下に対する基準は、図面を基準として説明する。図面において、各構成要素のサイズは説明のために誇張することがあり、実際に適用されるサイズを意味するのではない。
【0015】
図1乃至
図9は、本発明の第1実施形態に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。
【0016】
まず、
図1に示すように、基板100の上に後面電極201を形成する。
【0017】
上記基板100は、ガラス(glass)が使われており、アルミナのようなセラミック基板、ステンレススチール、チタニウム基板、またはポリマー基板なども使用できる。
【0018】
ガラス基板にはソーダライムガラス(sodalime glass)を使用することができ、ポリマー基板にはポリイミド(polyimide)を使用することができる。
【0019】
また、上記基板100は、リジッド(rigid)またはフレキシブル(flexible)である。
【0020】
上記後面電極201は、金属などの導電体で形成される。
【0021】
例えば、上記後面電極201はモリブデン(Mo)ターゲットを使用して、スパッタリング(sputtering)工程により形成される。
【0022】
これは、モリブデン(Mo)が有する高い電気伝導度、光吸収層とのオーミック(ohmic)接合、Se雰囲気下での高温安全性のためである。
【0023】
また、図面に図示してはいないが、上記後面電極201は少なくとも1つ以上の層に形成される。
【0024】
上記後面電極201が複数個の層に形成される時、上記後面電極201をなす層は互いに異なる物質で形成される。
【0025】
そして、
図2に示すように、上記後面電極201にパターニング工程を進行して後面電極パターン200を形成する。
【0026】
また、上記後面電極パターン200は、ストライプ(stripe)形態またはマトリックス(matrix)形態に配置され、各々のセルに対応することができる。
【0027】
しかしながら、上記後面電極パターン200は上記の形態に限定されず、多様な形態に形成される。
【0028】
次に、
図3に示すように、上記後面電極201の上に、光吸収層300、及びバッファ層400を形成する。
【0029】
上記光吸収層300は、b−b−b系化合物で形成される。
【0030】
より詳しくは、上記光吸収層300は、銅−インジウム−ガリウム−セレナイド系(Cu(In、Ga)Se
2、CIGS系)化合物を含む。
【0031】
これとは異なり、上記光吸収層300は、銅−インジウム−セレナイド系(CuInSe
2、CIS系)化合物、または銅−ガリウム−セレナイド系(CuGaSe
2、CGS系)化合物を含むことができる。
【0032】
例えば、上記光吸収層300を形成するために、銅ターゲット、インジウムターゲット、及びガリウムターゲットを使用して、上記後面電極パターン200上にCIG系金属プリカーソル(precursor)膜が形成される。
【0033】
以後、上記金属プリカーソル膜は、セレン化(selenization)工程によって、セレニウム(Se)と反応してCIGS系光吸収層300が形成される。
【0034】
また、上記金属プリカーソル膜を形成する工程及びセレン化工程の間に、上記基板100に含まれたアルカリ(alkali)成分が上記後面電極パターン200を通じて、上記金属プリカーソル膜及び上記光吸収層300に拡散される。
【0035】
アルカリ(alkali)成分は、上記光吸収層300のグレーン(grain)サイズを向上させ、結晶性を向上させることができる。
【0036】
また、上記光吸収層300は、銅、インジウム、ガリウム、セレン(Cu、In、Ga、Se)を同時蒸着法(co-evaporation)により形成することもできる。
【0037】
上記光吸収層300は外部の光の入射を受けて、電気エネルギーに変換させる。上記光吸収層300は光電効果によって光起電力を生成する。
【0038】
上記バッファ層400は少なくとも1つの層に形成され、上記後面電極パターン200が形成された上記基板100の上に硫化カドミウム(CdS)、ITO、ZnO、i−ZnOのうち、いずれか1つまたはこれらの積層により形成される。
【0039】
上記バッファ層400は、透明な電極で形成される。
【0040】
この際、上記バッファ層400はn型半導体層であり、上記光吸収層300はp型半導体層である。したがって、上記光吸収層300及びバッファ層400はpn接合を形成する。
【0041】
即ち、上記光吸収層300と第2電極は、格子定数とエネルギーバンドギャップの差が大きいため、バンドギャップが2物質の中間に位置する上記バッファ層400を挿入して良好な接合を形成することができる。
【0042】
本実施形態では、1つのバッファ層を上記光吸収層300の上に形成したが、これに限定されず、上記バッファ層は2つ以上の層に形成されることもできる。
【0043】
そして、
図4に示すように、上記光吸収層300及びバッファ層400を貫通するコンタクトパターン310を形成する。
【0044】
上記コンタクトパターン310は、機械的(Mechanical)な方法により形成したり、レーザー(laser)を照射(irradiate)して形成することができ、上記コンタクトパターン310の形成により上記後面電極パターン200の一部が露出する。
【0045】
次に、
図5に示すように、上記バッファ層400の上に透明な導電物質を積層して、第2電極である前面電極500及び接続配線350を形成する。
【0046】
上記透明な導電物質を上記バッファ層400の上に積層させる時、上記透明な導電物質が上記コンタクトパターン310の内部にも挿入されて、上記接続配線350を形成することができる。
【0047】
上記後面電極パターン200と前面電極500は、上記接続配線350により電気的に連結される。
【0048】
上記前面電極500は、上記基板100の上にスパッタリング工程を進行してアルミニウムでドーピングされた酸化亜鉛で形成される。
【0049】
上記前面電極500は、上記光吸収層300とpn接合を形成するウィンドウ(window)層であって、太陽電池の前面の透明電極の機能をするため、光透過率が高く、電気伝導性の良い酸化亜鉛(ZnO)で形成される。
【0050】
この際、上記酸化亜鉛にアルミニウムをドーピングすることで、低い抵抗値を有する電極を形成することができる。
【0051】
上記前面電極500である酸化亜鉛薄膜は、RFスパッタリング方法によりZnOターゲットを使用して蒸着する方法と、Znターゲットを用いた反応性スパッタリング、そして有機金属化学蒸着法等により形成される。
【0052】
また、電気光学的特性に優れるITO(Indium tin Oxide)薄膜を酸化亜鉛薄膜の上に蒸着した2重構造を形成することもできる。
【0053】
そして、
図6に示すように、上記光吸収層300及びバッファ層400を貫通する分離パターン320を形成する。
【0054】
上記分離パターン320は機械的(Mechanical)な方法により形成したり、レーザー(laser)を照射(irradiate)して形成することができ、上記後面電極パターン200の上面が露出するように形成することができる。
【0055】
上記バッファ層400及び前面電極500は、上記分離パターン320により区分され、上記分離パターン320により各々のセルは互いに分離される。
【0056】
上記分離パターン320により上記バッファ層400及び光吸収層300はストライプ形態またはマトリックス形態に配置される。
【0057】
上記分離パターン320は、上記の形態に限定されず、多様な形態に形成される。
【0058】
この際、上記分離パターン320の幅を大きくして、太陽電池の透明開口部を広く形成することができる。
【0059】
上記分離パターン320により上記後面電極パターン200、光吸収層300、バッファ層400、及び前面電極500を含むセルが形成される。
【0060】
この際、上記接続配線350により各々のセルは互いに電気的に連結される。即ち、上記接続配線350は、第2セルの後面電極パターン200と上記第2セルに隣接する上記第1セルの前面電極500とを電気的に連結する。
【0061】
上記分離パターン320を形成することによって、基板100、後面電極パターン200、光吸収層300、バッファ層400、及び前面電極500からなる太陽電池セル10が形成される。
【0062】
次に、
図7に示すように、上記前面電極500上に透明な高分子樹脂層であるEVA(Ethylene Vinyle Acetate)フィルム600を形成し、上記EVAフィルム600に凹部パターン650を形成する。
【0063】
上記凹部パターン650は、モールド700を用いて、上記EVAフィルム600に圧力を与えて形成される。
【0064】
しかしながら、上記凹部パターン650の形成方法はこれに限定されず、熱圧搾機(hot press)による圧力でも形成できる。
【0065】
上記モールド700は支持部710及び複数個の突起720を含み、上記突起720は上記支持部710から突出するように形成される。
【0066】
この際、上記突起720は、上記支持部710と接する部分は広く、上記支持部710と遠ざかるほど小さくなる、断面が三角である構造からなることができる。
【0067】
上記突起720を用いて上記EVAフィルム600に圧力を加えれば、上記突起720の形状に上記EVAフィルム600に凹部パターン650が形成される。
【0068】
上記凹部パターン650は、太陽電池セルの非有効部である非活性領域(Non-active area;NAA)の上に形成される。
【0069】
上記凹部パターン650は、上記突起720の形状のように、上部が広く、下部が小さくなる、断面が三角構造で形成されて、上記凹部パターン650は側壁が傾斜するように形成される。即ち、凹部パターン650は断面がV字のノッチ形状を有することができる。
【0070】
この際、上記凹部パターン650の側壁が傾斜するように形成されて、上記凹部パターン650に入射される光の光経路が変更できる。
【0071】
図8は太陽電池セルに入射される光を図示したものであって、上記凹部パターン650の側壁が傾斜するように形成されて、非活性領域(NAA)に入射される光が活性領域(Active area;AA)に入射される。
【0072】
即ち、太陽電池セルの非活性領域(NAA)に入射される光経路を変更して、セル領域に入射させることによって、太陽電池の効率を向上させることができる。
【0073】
そして、
図9に示すように、上記凹部パターン650が形成された上記EVAフィルム600の上に上部基板800を形成する。
【0074】
上記上部基板800は、低鉄分強化ガラスまたは半強化ガラスで形成される。
【0075】
この際、上記EVAフィルム600に形成された上記凹部パターン650によって、上記EVAフィルム600と上部基板800との間にはエアーギャップ(air gap)670が形成される。
【0076】
図9を参照して前述した実施形態の太陽電池の製造方法により製造された太陽電池を説明すれば、次の通りである。
【0077】
実施形態に係る太陽電池は、太陽電池セル10の上にEVA(Ethyl Vinyl Acetate)フィルム600、及び上記EVAフィルム600の上に配置された上部基板800を含む。
【0078】
高分子樹脂層である上記EVAフィルム600は、凹部パターン650を含むパターンが形成され、上記凹部パターン650の側壁は傾斜するように形成される。
【0079】
この際、上記凹部パターン650は上部が下部より広く形成されるものを含み、上記EVAフィルム600のパターンにより上記EVAフィルム600と上部基板との間には空気(air)が挿入される。
【0080】
以上、説明した実施形態に係る太陽電池及びその製造方法は、側壁が傾斜した凹部パターンが形成されたEVAフィルムを太陽電池セルと上部基板との間に形成して、凹部パターンに入射される光の光経路が変更できる。
【0081】
特に、太陽電池セルの非活性領域(Non-active area)に入射される光経路を変更して、セル領域に入射させることによって、太陽電池の効率を向上させることができる。
【0082】
以下、第2及び第3実施形態に係る太陽電池及びその製造方法を説明する。第1実施形態と同一または類似な構成に対しては具体的な説明を省略し、異なる構成に対してのみ詳細に説明する。
【0083】
図10は、本発明の第2実施形態に係る太陽電池を示す断面図である。
【0084】
本実施形態では、凹部パターン652の断面が曲面構造を有するものを図示した。即ち、凹部パターン652の断面は、円形の一部、楕円の一部などの形状を有することができる。その他にも多様な形状を有することはもちろんである。この凹部パターン652の内には空気(air)が位置してエアーギャップが形成される。
【0085】
このような凹部パターン652を形成するステップは、第1実施形態と同一または類似しているので、詳細な説明を省略する。
【0086】
図11は、本発明の第3実施形態に係る太陽電池を示す断面図である。
【0087】
図11を参照すれば、本実施形態では、上部基板802に凹部パターン650に対応する突出部804が形成され、該突出部804が凹部パターン650に挿入される。これによって、外部の圧力などがある場合にも凹部パターン650を同一な状態に維持することができ、これによって、入射される光の経路を変更して効率を向上させる役割を続けて遂行することができる。
【0088】
この際、
図7に示すような突起が形成されたモールド(mold)に圧力を加えたり、または熱圧搾機(hot press)を用いて凹部パターン650を形成した後、上部基板802の突出部804を凹部パターン650に挿入しながら上部基板802を位置させることも可能である。
【0089】
または、太陽電池セルの上に高分子樹脂層600を形成した後、該高分子樹脂層600に突出部804が形成された上部基板802を位置させて、高分子樹脂層600に凹部パターン650を形成することができる。これによれば、上部基板802を位置させるステップで凹部パターン650を形成し、凹部パターン650を形成するための別途のステップが要求されないので、工程を単純化することができる。
【0090】
この際、突出部804が太陽電池セルの非活性領域の上部に位置して凹部パターン650が太陽電池セルの非活性領域に位置することができる。
【0091】
以上、本発明を好ましい実施形態をもとに説明したが、これは単なる例示であり、本発明を限定するのでない。本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲内で、多様な変形及び応用が可能であることが同業者にとって明らかである。例えば、実施形態に具体的に表れた各構成要素は変形して実施することができ、このような変形及び応用にかかわる差異点も、特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。