特許第6087166号(P6087166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6087166ワイヤ供給機構、ワイヤ送給装置、およびアークシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087166
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】ワイヤ供給機構、ワイヤ送給装置、およびアークシステム
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/133 20060101AFI20170220BHJP
   B23K 9/12 20060101ALI20170220BHJP
   B65H 49/20 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   B23K9/133 501A
   B23K9/133 503B
   B23K9/12 C
   B65H49/20
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-34684(P2013-34684)
(22)【出願日】2013年2月25日
(65)【公開番号】特開2014-161877(P2014-161877A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100115369
【弁理士】
【氏名又は名称】仙波 司
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】野田 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】辻井 元
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭38−014333(JP,Y1)
【文献】 実公昭38−014334(JP,Y1)
【文献】 特開2011−110590(JP,A)
【文献】 特開2007−030021(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0006425(US,A1)
【文献】 実開昭58−189096(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/133
B23K 9/12
B65H 49/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向周りに回転する送給ローラを含む送給部材と、
前記第1方向周りに回転する押圧ローラを含む押圧部材と、
前記第1方向周りに回転する荷重低減回転体を含む荷重低減部材と、を備え、
前記送給部材は、前記第1方向に沿って延びる、前記送給ローラの回転軸を含み、
前記押圧ローラは、前記送給ローラとの間にワイヤを挟んだ状態で、前記送給ローラに対し、前記第1方向に直交する第2方向に向かう力を与え、
前記荷重低減回転体は、前記送給部材に対し、前記第2方向とは反対の第3方向に向かう力を与え
前記荷重低減部材は、前記第1方向周りに回転する追加の荷重低減回転体を含み、
前記荷重低減回転体と、前記追加の荷重低減回転体とは、仮想平面に対して互いに反対側に位置しており、
前記仮想平面は、前記送給ローラの回転中心線を含み、且つ、前記第1方向および前記第2方向に平行である、ワイヤ供給機構。
【請求項2】
前記荷重低減回転体は、前記送給ローラに直接接する、請求項1に記載のワイヤ供給機構。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記押圧ローラを支持するローラ支持部品を含み、
前記荷重低減部材は、前記荷重低減回転体を支持する回転体支持部品を含み、
前記ローラ支持部品および前記回転体支持部品に連結された力付与機構を更に備え、
前記力付与機構は、前記ローラ支持部品に対し前記第2方向に向かって所定大きさの力を加え、且つ、前記回転体支持部品に対し前記第3方向に向かって前記所定大きさの力を加える、請求項1または請求項2に記載のワイヤ供給機構。
【請求項4】
前記力付与機構は、前記ワイヤが送給されるワイヤ送給経路を避ける位置に配置されている、請求項3に記載のワイヤ供給機構。
【請求項5】
前記ワイヤを挟んだ状態で、前記押圧ローラが前記送給ローラに与える前記第2方向に向かう力の大きさと、前記荷重低減部材が前記送給ローラに与える前記第3方向に向かう力の大きさと、は互いに同一である、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のワイヤ供給機構。
【請求項6】
前記荷重低減回転体は、前記押圧ローラの直径よりも直径の小さいローラである、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のワイヤ供給機構。
【請求項7】
前記送給部材と、前記押圧部材と、前記荷重低減部材と、を支持する支持部材を更に備える、請求項1ないし請求項のいずれかに記載のワイヤ供給機構。
【請求項8】
前記送給ローラを回転させる駆動機構を更に備える、請求項1ないし請求項のいずれかに記載のワイヤ供給機構。
【請求項9】
前記駆動機構は、モータを含み、前記モータは、前記回転軸に直接連結されている、請求項に記載のワイヤ供給機構。
【請求項10】
前記駆動機構は、モータと、前記モータの回転速度を減少させる減速機と、を含み、前記減速機は、前記回転軸に直接連結されている、請求項に記載のワイヤ供給機構。
【請求項11】
請求項1ないし請求項1のいずれかに記載のワイヤ供給機構と、
ワイヤが巻かれたワイヤリールを取り付けるワイヤリールハブと、を備える、ワイヤ送給装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項1のいずれかに記載のワイヤ供給機構と、
前記ワイヤ供給機構によって供給されたワイヤを用いてアーク処理を行うロボットと、を備える、アークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ供給機構、ワイヤ送給装置、およびアークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には溶接用ワイヤ送給装置が開示されている。同文献に開示された溶接用ワイヤ送給装置は、送給用ローラおよび加圧ローラを備えている。送給用ローラと加圧ローラとの間に溶接用ワイヤが挟み込まれた状態で、送給用ローラと加圧ローラとが回転する。これにより、溶接用ワイヤは所望の方向に送給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57−121880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献に開示の構成においては、溶接用ワイヤを挟み込むために、送給用ローラには加圧ローラから力が加えられる。これにより、送給部材(送給用ローラおよび送給用ローラの回転軸)はラジアル荷重を受ける。このようなことでは、送給用ローラの回転軸や、当該回転軸を保持するベアリングの摩耗が生じやすく、回転軸やベアリングの寿命が短くなってしまう。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、送給部材が受けるラジアル荷重を低減できるワイヤ供給機構を提供することをその主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によると、第1方向周りに回転する送給ローラを含む送給部材と、前記第1方向周りに回転する押圧ローラを含む押圧部材と、前記第1方向周りに回転する荷重低減回転体を含む荷重低減部材と、を備え、前記送給部材は、前記第1方向に沿って延びる、前記送給ローラの回転軸を含み、前記押圧ローラは、前記送給ローラとの間にワイヤを挟んだ状態で、前記送給ローラに対し、前記第1方向に直交する第2方向に向かう力を与え、前記荷重低減回転体は、前記送給部材に対し、前記第2方向とは反対の第3方向に向かう力を与える、ワイヤ供給機構が提供される。
【0007】
好ましくは、前記荷重低減回転体は、前記送給ローラに直接接する。
【0008】
好ましくは、前記押圧部材は、前記押圧ローラを支持するローラ支持部品を含み、前記荷重低減部材は、前記荷重低減回転体を支持する回転体支持部品を含み、前記ローラ支持部品および前記回転体支持部品に連結された力付与機構を更に備え、前記力付与機構は、前記ローラ支持部品に対し前記第2方向に向かって所定大きさの力を加え、且つ、前記回転体支持部品に対し前記第3方向に向かって前記所定大きさの力を加える。
【0009】
好ましくは、前記力付与機構は、前記ワイヤが送給されるワイヤ送給経路を避ける位置に配置されている。
【0010】
好ましくは、前記ワイヤを挟んだ状態で、前記押圧ローラが前記送給ローラに与える前記第2方向に向かう力の大きさと、前記荷重低減部材が前記送給ローラに与える前記第3方向に向かう力の大きさと、は互いに同一である。
【0011】
好ましくは、前記荷重低減回転体は、前記押圧ローラの直径よりも直径の小さいローラである。
【0012】
好ましくは、前記荷重低減部材は、前記第1方向周りに回転する追加の荷重低減回転体を含み、前記荷重低減回転体と、前記追加の荷重低減回転体とは、仮想平面に対して互いに反対側に位置しており、前記仮想平面は、前記送給ローラの回転中心線を含み、且つ、前記第1方向および前記第2方向に平行である。
【0013】
好ましくは、前記送給部材と、前記押圧部材と、前記荷重低減部材と、を支持する支持部材を更に備える。
【0014】
好ましくは、前記送給ローラを回転させる駆動機構を更に備える。
【0015】
好ましくは、前記駆動機構は、モータを含み、前記モータは、前記回転軸に直接連結されている。
【0016】
好ましくは、前記駆動機構は、モータと、前記モータの回転速度を減少させる減速機と、を含み、前記減速機は、前記回転軸に直接連結されている。
【0017】
本発明の第2の側面によると、本発明の第1の側面によって提供されるワイヤ供給機構と、ワイヤが巻かれたワイヤリールを取り付けるワイヤリールハブと、を備える、ワイヤ送給装置が提供される。
【0018】
本発明の第3の側面によると、本発明の第1の側面によって提供されるワイヤ供給機構と、前記ワイヤ供給機構によって供給されたワイヤを用いてアーク処理を行うロボットと、を備える、アークシステムが提供される。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態にかかるアークシステムの正面図である。
図2】本発明の第1実施形態にかかるワイヤ送給装置の正面図である。
図3図2に示したワイヤ供給機構の部分拡大図である。
図4図3のIV−IV線に沿う断面図(一部構成省略)である。
図5】本発明の第1実施形態にかかる、送給ローラ、押圧ローラ、および、荷重低減回転体の位置関係を模式的に示す図である。
図6】本発明の第1実施形態にかかるワイヤ供給機構の他の例を示す断面図(一部構成省略)である。
図7】本発明の第2実施形態にかかるワイヤ供給機構の正面図である。
図8】本発明の第3実施形態にかかるワイヤ供給機構の正面図である。
図9】本発明の第3実施形態にかかる、送給ローラ、押圧ローラ、荷重低減回転体、および、追加の荷重低減回転体の位置関係を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
<第1実施形態>
図1図6を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態にかかるアークシステムの正面図である。
【0024】
同図に示すアークシステムA1は、ロボット1と、ワイヤ送給装置2と、トーチ3と、を備える。
【0025】
ロボット1は母材Wに対してアーク処理を行う。このようなアーク処理としては、たとえば、溶接および溶射が挙げられる。本実施形態では、ロボット1は、母材Wに対して自動でアーク溶接を行う。ロボット1は、たとえば多関節ロボットである。
【0026】
ワイヤ送給装置2は、トーチ3にワイヤ891を送給するためのものである。図1では、ワイヤ送給装置2を模式的に示している。
【0027】
図2は、本発明の第1実施形態にかかるワイヤ送給装置の正面図である。
【0028】
ワイヤ送給装置2は、フレーム21と、ワイヤ供給機構23と、ワイヤガイド25と、ワイヤリールハブ27と、を含む。ワイヤ送給装置2はカバーも含んでいることが多いが、理解の便宜上、図2ではカバーの図示を省略している。
【0029】
フレーム21はたとえば金属よりなる。本実施形態では、フレーム21は底板および側板等を有する。各側板は、底板に立設されている。ワイヤリールハブ27は、フレーム21における側板に固定されている。ワイヤリールハブ27には、ワイヤ891が巻かれたワイヤリール29が取り付けられる。これにより、ワイヤリール29はフレーム21に回転可能に固定される。ワイヤガイド25はフレーム21に固定されている。ワイヤガイド25は送給されているワイヤ891をガイドする。具体的には、ワイヤガイド25にはワイヤ891を挿通させるための穴が形成されている。これにより、ワイヤガイド25は、ワイヤ供給機構23から送給されてきたワイヤ891を、ワイヤ送給装置2の外部に適切に案内する。
【0030】
ワイヤ供給機構23はワイヤ891を母材W(図1参照)側に供給するためのものである。本実施形態では、ワイヤ供給機構23はワイヤ891をトーチ3に供給する。ワイヤ供給機構23はフレーム21に固定されている。
【0031】
図3は、図2に示したワイヤ供給機構の部分拡大図である。図4は、図3のIV−IV線に沿う断面図(一部構成省略)である。
【0032】
図2図4に示すように、ワイヤ供給機構23は、支持部材51と、駆動機構52と、送給部材53と、押圧部材54と、荷重低減部材55と、力付与機構57と、ベアリング59と、を含む。
【0033】
支持部材51は、たとえば、金属よりなり、駆動機構52と、送給部材53と、押圧部材54と、力付与機構57と、ベアリング59とを支持している。支持部材51は、フレーム21に支持されている。
【0034】
送給部材53は、押圧部材54と協働して、ワイヤ891を所望の方向に送り出すための部材である。本実施形態においては、送給部材53は、第1方向X1周りに回転する部材である。送給部材53は、回転軸533と、送給ローラ535とを有する。送給部材53は、支持部材51に対して回転可能に支持されている。
【0035】
回転軸533は送給ローラ535の回転軸である。回転軸533は、第1方向X1に沿って延びている。回転軸533は、支持部材51に対し回転可能に支持されている。本実施形態では、回転軸533は、ベアリング59を介して支持部材51に対して支持されている。回転軸533は、第1方向X1周りに回転する。
【0036】
送給ローラ535は、回転軸533に固定されている。そのため、回転軸533が第1方向X1に回転することに伴い、送給ローラ535は第1方向X1周りに回転する。送給ローラ535は、押圧ローラ545(後述)とともに、ワイヤ891を送給する機能を果たす。本実施形態では、送給ローラ535は円盤状である。送給ローラ535はローラ周面535aを有する。ローラ周面535aは、回転軸533の軸線の径方向側を向いている。送給ローラ535には、溝535bが形成されている。溝535bは、ローラ周面535aから凹んでいる。溝535bはワイヤ891をガイドするために形成されている。
【0037】
駆動機構52は、送給ローラ535(本実施形態では送給部材53、すなわち、回転軸533および送給ローラ535)を回転させるためのものである。駆動機構52は支持部材51に固定されている。本実施形態においては、駆動機構52はモータ521および減速機523を有する。モータ521の回転は、減速機523によって回転速度が減少させられて、送給部材53(回転軸533および送給ローラ535)に伝達される。これにより、回転軸533および送給ローラ535が第1方向X1周りに回転する。このように、本実施形態では、送給ローラ535が駆動ローラとして機能する。モータ521および減速機523の位置関係はどのようなものであってもよい。本実施形態では、モータ521が減速機523に対し図4の上側に配置されている。図4に示す例では、減速機523が回転軸533に直接連結されている。また、図6に示すように、駆動機構52が減速機523を有していなくてもよい。図6に示す例では、モータ521が回転軸533に直接連結されている。
【0038】
押圧部材54は、送給ローラ535との間にワイヤ891を挟持して、ワイヤ891を溝535bの内面に押圧するためのものである。これにより、押圧部材54は、ワイヤ891を介して送給ローラ535を押圧する。押圧部材54は、ローラ支持部品541と、回転軸543と、押圧ローラ545と、を有する。
【0039】
ローラ支持部品541は、支持部材51に回動可能に支持されている。ローラ支持部品541は軸549周りに回動する。回転軸543は押圧ローラ545の回転軸である。回転軸543は、第1方向X1に沿って延びている。回転軸543は、ローラ支持部品541に固定されている。
【0040】
押圧ローラ545は、回転軸543に回転可能に支持されて、第1方向X1周りに回転する。図5は、送給ローラ535、押圧ローラ545、および、荷重低減回転体555(後述)の位置関係を模式的に示す図である。押圧ローラ545は、送給ローラ535との間にワイヤ891を挟んだ状態で、送給ローラ535を押圧する。具体的には、押圧ローラ545は、送給ローラ535との間にワイヤ891を挟んだ状態で、送給ローラ535に対し、第1方向X1に直交する第2方向X2に向かう力F1を与える。これにより、送給部材53は、第2方向X2に向かうラジアル荷重を受ける。なお、本実施形態において、第2方向X2は、押圧ローラ545の回転中心線L4から送給ローラ535の回転中心線L3に向かう方向に一致する。押圧ローラ545が送給ローラ535に力F1を与えるための機構(力付与機構57)については後述する。押圧ローラ545の回転方向は、送給ローラ535の回転方向とは反対である。本実施形態では、押圧ローラ545は、駆動ローラである送給ローラ535の従動ローラとして機能する。押圧ローラ545および送給ローラ535がワイヤ891を挟んだ状態で回転すると、押圧ローラ545および送給ローラ535からワイヤ891に摩擦力が働き、ワイヤ891が送給される。本実施形態では、ワイヤ891は図3の右方向に送給される。図3では、ワイヤ891が送給されるワイヤ送給経路P1およびワイヤ891を、2点鎖線で示している。ワイヤ送給経路P1は、送給ローラ535と押圧ローラ545との間から、図3の右方向に向かっている。
【0041】
図3図4に示すように、本実施形態では、押圧ローラ545は円盤状である。押圧ローラ545はローラ周面545aを有する。ローラ周面545aは、回転軸543の軸線の径方向側を向いている。ローラ周面545aは、送給ローラ535におけるローラ周面535aに対向している。ローラ周面545aと送給ローラ535との間にワイヤ891が挟まれた状態で押圧ローラ545および送給ローラ535が回転することにより、ワイヤ891が送給される。
【0042】
図3図5に示す荷重低減部材55は、送給部材53が受けるラジアル荷重を低減するためのものである。荷重低減部材55は、回転体支持部品551と、回転軸553と、荷重低減回転体555と、を有する。
【0043】
回転体支持部品551は、支持部材51に回動可能に支持されている。回転体支持部品551は軸559周りに回動する。回転軸553は荷重低減回転体555の回転軸である。回転軸553は、第1方向X1に沿って延びている。回転軸553は、回転体支持部品551に固定されている。
【0044】
荷重低減回転体555は、回転軸553に回転可能に支持されて、第1方向X1周りに回転する。本実施形態において荷重低減回転体555はローラである。図5に示すように、荷重低減回転体555は、送給部材53に対し、第2方向X2とは反対の第3方向X3に向かう力F2を与える。これにより、送給部材53が受けるラジアル荷重が低減される。なお、本実施形態において、第3方向X3は、荷重低減回転体555の回転中心線L5から送給ローラ535の回転中心線L3に向かう方向に一致する。本実施形態では、荷重低減回転体555は、送給ローラ535に直接接している。そして、荷重低減回転体555は送給ローラ535に対し直接、力F2を与えている。更に、押圧ローラ545と送給ローラ535とがワイヤ891を挟んだ状態で押圧ローラ545が送給ローラ535に与える第2方向X2に向かう力F1の大きさと、荷重低減部材55(本実施形態では荷重低減回転体555)が送給ローラ535に与える第3方向X3に向かう力F2の大きさと、が互いに同一であることが、好ましい。荷重低減回転体555の回転方向は、送給ローラ535の回転方向とは反対である。本実施形態では、荷重低減回転体555は、駆動ローラである送給ローラ535の従動ローラとして機能する。なお、本実施形態では、ローラである荷重低減回転体555の直径と、押圧ローラ545の直径は同一である。
【0045】
本実施形態では、荷重低減回転体555は円盤状である。荷重低減回転体555は、回転体周面555aを有する。回転体周面555aは、回転軸553の軸線の径方向側を向いている。回転体周面555aは、送給ローラ535におけるローラ周面535aに対向している。
【0046】
図3図4に示す力付与機構57は、押圧ローラ545を送給ローラ535に押し付けるためのものである。力付与機構57は、ローラ支持部品541および回転体支持部品551を連結している。図4に示すように、力付与機構57は、ワイヤ送給経路P1を避ける位置に配置されている。これは、力付与機構57がワイヤ891の送給を妨げることを防止するためである。力付与機構57の具体的構成はどのようなものであってもよいが、本実施形態においては次のとおりである。
【0047】
力付与機構57は、ハンドル571と、棒572と、バネ573と、ピン575と、中間部材579と、を有する。
【0048】
棒572は、ピン575を介して回転体支持部品551に連結されている。図3図4では、棒572は、回転体支持部品551から第3方向X3に沿って延びている。図4によく表れているように、棒572は、ワイヤ送給経路P1を避ける位置に配置されている。すなわち、上述のように、力付与機構57は、ワイヤ送給経路P1を避ける位置に配置されている。バネ573は棒572にはめ込まれており、棒572を囲んでいる。ハンドル571は棒572に固定されている。ハンドル571は、棒572の延びる方向周りに回転させられることにより、棒572の延びる方向に沿って棒572がハンドル571に対してわずかに進退する。これにより、バネ573の縮み具合(すなわちバネ573の生成する弾性力)が調整される。
【0049】
図4に示すように、力付与機構57においてバネ573は縮んだ状態に保たれているため、バネ573の下方は、中間部材579を介してローラ支持部品541の先端541aに対し下方に向かう力を与えている。これにより、ローラ支持部品541には、第2方向X2に向かって所定大きさの力F3が与えられる。一方、バネ573の上方は、ハンドル571に上方に向かう力を与えている。これにより、ハンドル571に固定された棒572を介して、回転体支持部品551には、第3方向X3に向かって前記所定大きさの力F4が与えられる。力F4および力F3の大きさは同一である。すなわち、ローラ支持部品541および回転体支持部品551には、バネ573を介して、互いに逆向きであり且つ互いに同一の大きさの力が与えられる。
【0050】
ローラ支持部品541は軸549を中心に回動可能に支持部材51に支持されているから、ローラ支持部品541に第2方向X2に向かう力F3が与えられると、ローラ支持部品541に固定された押圧ローラ545が送給ローラ535に押し付けられる。これにより、送給ローラ535には上述の力F1が与えられる。
【0051】
一方、回転体支持部品551は軸559を中心に回動可能に支持部材51に支持されているから、回転体支持部品551に第3方向X3に向かう力F4が与えられると、回転体支持部品551に支持された荷重低減回転体555が送給ローラ535に押し付けられる。これにより、送給ローラ535には上述の力F2が与えられる。そして、力F2と力F1の大きさが互いに同一となる。
【0052】
本実施形態とは異なり、力付与機構57は、バネ573等を有している必要は必ずしもない。たとえば、力付与機構57は、ローラ支持部品541および回転体支持部品551を上下から挟み込んだ状態で固定するだけの機構であってもよい。
【0053】
本実施形態とは異なり、押圧ローラ545が送給ローラ535を押圧するために1つの力付与機構を用いて、荷重低減回転体555が送給ローラ535を押圧するために他の力付与機構を用いてもよい。
【0054】
力F1と力F2の大きさが互いに同一であることが好ましいが、本実施形態とは異なり、力F1と力F2の大きさが互いに異なっていてもよい。たとえば、力F1の大きさが力F2の大きさよりも大きくてもよく、あるいは、力F2が力F1よりも大きくてもよい。
【0055】
図2に示すように、本実施形態においては、ワイヤ供給機構23は、2つのローラ58を更に備えている。ワイヤリール29に巻かれたワイヤ891は、各ローラ58にガイドされて、送給ローラ535と押圧ローラ545との間に導かれ、ワイヤガイド25からワイヤ送給装置2の外部に送り出される。なお、本実施形態とは異なり、ワイヤ供給機構23がローラ58を備えていなくてもよい。
【0056】
図1に示したトーチ3は、チューブおよびノズル等を有する。チューブおよびノズル内を挿通させられることにより、ワイヤ送給装置2によって送給させられたワイヤ891が、母材W側に供給される。
【0057】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0058】
本実施形態においては、ワイヤ供給機構23は荷重低減部材55を備える。荷重低減部材55は、第1方向X1周りに回転する荷重低減回転体555を含む。荷重低減回転体555は、送給部材53に対し、第2方向X2とは反対の第3方向X3に向かう力を与える。このような構成によると、送給部材53が受けるラジアル荷重を低減することができる。送給部材53が受けるラジアル荷重を低減できると、送給部材53における回転軸533の摩耗を防止することができる。
【0059】
また、送給部材53が受けるラジアル荷重を低減できると、駆動機構52におけるモータ521のパワーを小さくでき、モータ521の小型化を図ることができる。これにより、ワイヤ供給機構23の小型化を図ることができる。ワイヤ供給機構23の小型化を図ることができると、本実施形態ではワイヤ送給装置2の小型化を図ることができる。
【0060】
また、本実施形態のようにワイヤ供給機構23がベアリング59を含む場合においては、ベアリング59の摩耗を防止することができる。送給部材53が受けるラジアル荷重を低減できると、送給部材53を回転させるのに必要な駆動機構52のパワーを小さくできる。これにより、駆動機構52におけるモータ521の小型化を図ることができる。これは、ワイヤ供給機構23の小型化に資する。
【0061】
本実施形態においては、ローラ支持部品541および回転体支持部品551に連結された力付与機構57を備える。力付与機構57は、ローラ支持部品541に対し第2方向X2に向かって所定大きさの力F3を加え、且つ、回転体支持部品551に対し第3方向X3に向かって所定大きさの力F4を加える。このような構成によると、互いに反対側に向かう力F3および力F4を与えるのに、2つの力付与機構を用いる必要がない。これは、ワイヤ供給機構23の小型化に資する。
【0062】
本実施形態においては、ワイヤ891を挟んだ状態で、押圧ローラ545が送給ローラ535に与える第2方向X2に向かう力F1の大きさと、荷重低減部材55が送給ローラ535に与える第3方向X3に向かう力F2の大きさと、は互いに同一である。このような構成によると、送給部材53が受けるラジアル荷重をほぼ0にすることができる。その結果、送給部材53が受けるラジアル荷重を低減できることにより得ることのできる上述の利点を、より効果的に享受できる。
【0063】
以下に、ワイヤ供給機構の他の形態について説明する。なお、以下の説明では、上記と同一もしくは類似の構成については上記と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0064】
<第2実施形態>
図7を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
【0065】
図7は、本発明の第2実施形態にかかるワイヤ供給機構の正面図である。
【0066】
同図に示すワイヤ供給機構23Aでは、ローラである荷重低減回転体555の直径は、押圧ローラ545の直径および送給ローラ535の直径のいずれよりも小さい。このような構成によると、第1実施形態に述べた作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
【0067】
本実施形態においては、荷重低減回転体555の直径に比べて、押圧ローラ545の直径が比較的大きいといえる。このような構成は、ワイヤ891の送給時において、押圧ローラ545とワイヤ891とが擦れ合う部分を大きくするのに適する。これにより、押圧ローラ545からワイヤ891への摩擦力を大きくすることができ、よりしっかりとワイヤ891を送ることができる。一方、本実施形態では、ローラである荷重低減回転体555の直径は押圧ローラ545に比して、比較的小さいといえる。荷重低減回転体555は、押圧ローラ545とは異なり、ワイヤ891に接触するものではない。そのため、荷重低減回転体555が小さくてもワイヤ891の送給にはあまり影響はない。したがって、本実施形態によると、ワイヤ891の送給にあまり影響を与えることなく、ワイヤ供給機構23の小型化を図るのに適する。
【0068】
<第3実施形態>
図8図9を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。
【0069】
図8は、本発明の第3実施形態にかかるワイヤ供給機構の正面図である。図9は、本発明の第3実施形態にかかる、送給ローラ、押圧ローラ、荷重低減回転体、および、追加の荷重低減回転体の位置関係を模式的に示す図である。
【0070】
同図に示すワイヤ供給機構23Bでは、荷重低減部材55が、追加の回転軸557および追加の荷重低減回転体558を更に備えている点において、ワイヤ供給機構23Aと異なる。追加の回転軸557および追加の荷重低減回転体558は、上述の回転軸553および荷重低減回転体555とほぼ同様である。以下説明する。
【0071】
追加の荷重低減回転体558と、荷重低減回転体555とは、仮想平面VPに対して互いに反対側に位置している。仮想平面VPは、送給ローラ535の回転中心線L3を含み、且つ、第1方向X1および第2方向X2に平行な平面である。そして、本実施形態では、追加の荷重低減回転体558の回転中心線L52と、荷重低減回転体555の回転中心線L51とは、仮想平面VPに対して反対側に位置している。図8では、追加の荷重低減回転体558は、仮想平面VPの左側に位置している一方、荷重低減回転体555は仮想平面VPの右側に位置している。そのため、追加の荷重低減回転体558の回転中心線L52は、仮想平面VPの左側に位置している一方、荷重低減回転体555の回転中心線L51は仮想平面VPの右側に位置している。
【0072】
追加の荷重低減回転体558は、追加の回転軸557に回転可能に支持されて、第1方向X1周りに回転する。本実施形態において追加の荷重低減回転体558はローラである。図9に示すように、本実施形態においては、追加の荷重低減回転体558は、送給部材53に対し、第2方向X2とは反対の第3方向X3に向かう力F22を与える。一方、荷重低減回転体555は、送給部材53に対し、第2方向X2とは反対の第3方向X3に向かう力F21を与える。これにより、送給部材53が受けるラジアル荷重が低減される。なお、力F21と力F22との合計が、第1実施形態における力F2に相当する。本実施形態では、追加の荷重低減回転体558は、送給ローラ535に直接接している。更に、押圧ローラ545と送給ローラ535とがワイヤ891を挟んだ状態で押圧ローラ545が送給ローラ535に与える第2方向X2に向かう力F1の大きさと、荷重低減部材55(本実施形態では、荷重低減回転体555および追加の荷重低減回転体558)が送給ローラ535に与える第3方向X3に向かう力F2(上述の力F21と力F22との合力)の大きさと、が互いに同一であることが、好ましい。本実施形態では、追加の荷重低減回転体558は、駆動ローラである送給ローラ535の従動ローラとして機能する。
【0073】
本実施形態においても、第2実施形態と同様に、荷重低減回転体555および追加の荷重低減回転体558の直径は、送給ローラ535の直径および押圧ローラ545の直径のいずれよりも小さい。
【0074】
このような構成によると、第2実施形態に述べた作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
【0075】
本実施形態によると、送給ローラ535に対し、押圧ローラ545と、荷重低減回転体555と、追加の荷重低減回転体558の3つの部品が力を与える。そのため、送給部材53の位置のずれを防止できる。これにより、送給部材53が受けるラジアル荷重を低減できることにより得ることのできる上述の利点を、より効果的に享受できる。
【0076】
なお、本実施形態とは異なり、荷重低減回転体555および追加の荷重低減回転体558の直径が押圧ローラ545の直径と同一であってもよい。あるいは、荷重低減回転体555および追加の荷重低減回転体558の直径が、押圧ローラ545の直径よりも大きくてもよい。また、荷重低減回転体555の直径、追加の荷重低減回転体558の直径、および、押圧ローラ545の直径が、互いに異なっていてもよい。
【0077】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0078】
上述の実施形態においては、荷重低減回転体555および追加の荷重低減回転体558がローラである例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、荷重低減回転体555や追加の荷重低減回転体558が歯車のようなものであってもよい。
【0079】
上述の説明では、荷重低減回転体555および追加の荷重低減回転体558が送給ローラ535に直接接している例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、荷重低減回転体555や追加の荷重低減回転体558が回転軸533に直接接しており、荷重低減回転体555や追加の荷重低減回転体558が回転軸533に対し直接力を与えていてもよい。
【0080】
上述の説明では、送給ローラ535が駆動ローラであり、押圧ローラ545が従動ローラである例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、押圧ローラ545が駆動ローラであり、送給ローラ535が従動ローラであってもよい。
【0081】
上述の説明では、ワイヤ供給機構23が、ワイヤ891をプッシュするためのワイヤ送給装置2に用いられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ワイヤ供給機構23をワイヤプル装置に用いてもよい。そして、トーチにワイヤ供給機構23が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 ロボット
2 ワイヤ送給装置
21 フレーム
23,23A,23B ワイヤ供給機構
25 ワイヤガイド
27 ワイヤリールハブ
29 ワイヤリール
3 トーチ
51 支持部材
52 駆動機構
521 モータ
523 減速機
53 送給部材
533 回転軸
535 送給ローラ
535a ローラ周面
535b 溝
54 押圧部材
541 ローラ支持部品
541a 先端
543 回転軸
545 押圧ローラ
545a ローラ周面
549 軸
55 荷重低減部材
551 回転体支持部品
553 回転軸
555 荷重低減回転体
555a 回転体周面
557 追加の回転軸
558 追加の荷重低減回転体
559 軸
57 力付与機構
571 ハンドル
572 棒
573 バネ
575 ピン
579 中間部材
58 ローラ
59 ベアリング
891 ワイヤ
A1 アークシステム
F1,F2,F21,F22,F3,F4 力
P1 ワイヤ送給経路
VP 仮想平面
X1 第1方向
X2 第2方向
X3 第3方向
W 母材
L3 回転中心線
L4 回転中心線
L5 回転中心線
L51 回転中心線
L52 回転中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9