特許第6087203号(P6087203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087203
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】縦ルーバー
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/092 20060101AFI20170220BHJP
   E06B 9/36 20060101ALI20170220BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20170220BHJP
【FI】
   E06B7/092
   E06B9/36 F
   F24F13/15 B
   E06B9/36 B
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-99895(P2013-99895)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2013-167151(P2013-167151A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2016年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】591078929
【氏名又は名称】菊川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・コッホ
(72)【発明者】
【氏名】宇津野 嘉彦
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−098999(JP,U)
【文献】 特開2005−308976(JP,A)
【文献】 特開2009−235811(JP,A)
【文献】 特開2011−184902(JP,A)
【文献】 実開平02−002997(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00 − 7/36
E06B 9/24 − 9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に形成される窓開口部に室外側から取り付けられる縦ルーバーであって、
外側羽板と、
前記外側羽板よりも前記建物側に配置される内側羽板と、を備え、
前記外側羽板と前記内側羽板は、前記建物の内外方向と直交する方向に所定間隔オフセットして配置され、
前記外側羽板の前記内側羽板と対面する側には、第1凹面部が形成され、
前記内側羽板の前記外側羽板と対面する側には、第2凹面部が形成され、
前記外側羽板と前記内側羽板は、異なる配置角度に設定されていることを特徴とする縦ルーバー。
【請求項2】
前記第2凹面部は、太陽光を前記第1凹面部に向かって反射させ、
前記第1凹面部は、前記第2凹面部によって反射された前記太陽光を前記窓開口部に向かって反射させることを特徴とする請求項1に記載の縦ルーバー。
【請求項3】
前記第1凹面部及び前記第2凹面部は、拡散反射面で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の縦ルーバー。
【請求項4】
前記外側羽板及び前記内側羽板は、鉛直軸周りに回転可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の縦ルーバー。
【請求項5】
前記外側羽板及び前記内側羽板を鉛直軸周りに回転させる回転手段をさらに備え、
前記回転手段は、前記外側羽板及び前記内側羽板を位相差を保ちながら同期して回転させることを特徴とする請求項4に記載の縦ルーバー。
【請求項6】
前記外側羽板が前記窓開口部に対し平行に配置された状態で、前記外側羽板及び前記内側羽板の水平方向一端同士は、前記建物の内外方向で重なることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の縦ルーバー。
【請求項7】
前記外側羽板の中心を挟んで前記第1凹面部と反対側の面には、太陽光発電素子が設置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の縦ルーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に形成される窓開口部に取り付けられる縦ルーバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物に形成される窓開口部の室外側に取り付けられ、窓開口部からの視界性を確保しつつ、窓開口部の遮光や目隠しを行える縦ルーバーが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の外側羽板とこの外側羽板よりも建物側に配置される複数の内側羽板とを備え、外側羽板と内側羽板が建物の内外方向と直交する方向に所定間隔オフセットして配置され、外側羽板の内面と内側羽板の外面に凹面部をそれぞれ形成した縦ルーバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−308976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の縦ルーバーでは、外側羽板及び内側羽板が窓開口部に対し平行に配置されているので、太陽光が隣り合う外側羽板の間に形成された隙間を通って内側羽板の凹面部に当たった後、前記隙間に戻るように反射してしまう。そのため、窓開口部から室内へ反射光を採り込めず、適度な明るさを確保することが困難であった。
【0006】
また、従来の縦ルーバーでは、外側羽板及び内側羽板が窓開口部に対し平行に配置されているので、建物の内外方向における外側羽板と内側羽板との間隔が小さくなってしまい、窓開口部からの視界性(眺望性)が悪かった。
【0007】
本発明は、このような観点から創案されたものであり、窓開口部から反射光を採り込みつつ、窓開口部からの視界性を向上させることができる縦ルーバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明は、建物に形成される窓開口部に室外側から取り付けられる縦ルーバーであって、外側羽板と、前記外側羽板よりも前記建物側に配置される内側羽板と、を備え、前記外側羽板と前記内側羽板は、前記建物の内外方向と直交する方向に所定間隔オフセットして配置され、前記外側羽板の前記内側羽板と対面する側には、第1凹面部が形成され、前記内側羽板の前記外側羽板と対面する側には、第2凹面部が形成され、前記外側羽板と前記内側羽板は、異なる配置角度に設定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、外側羽板に対する内側羽板の配置角度を調節することで、内側羽板の第2凹面部に当たった太陽光を外側羽板の第1凹面部に向かって反射させ、第1凹面部に当たった反射光を窓開口部に向かって導くことができる。したがって、窓開口部から室内へ反射光を採り込むことができるので、適度な明るさを確保しつつ、眩しさを軽減できる。
また、本発明によれば、外側羽板を窓開口部に対し平行に配置した場合には、外側羽板に対する内側羽板の配置角度を調節することで(つまり内側羽板の外側羽板寄りの端部が窓開口部に近付くように傾斜させることで)、建物の内外方向における外側羽板と内側羽板との間隔を従来よりも大きくして、窓開口部からの視界性を向上させることができる。
【0010】
また、前記第2凹面部は、太陽光を前記第1凹面部に向かって反射させ、前記第1凹面部は、前記第2凹面部によって反射された前記太陽光を前記窓開口部に向かって反射させる構成とするのが好ましい。
【0011】
かかる構成によれば、窓開口部から室内へ反射光を採り込むことができるので、適度な明るさを確保しつつ、眩しさを軽減できる。
【0012】
また、前記第1凹面部及び前記第2凹面部は、拡散反射面で構成されているようにするのが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、第1凹面部及び第2凹面部は、拡散反射面で構成されているので、第1凹面部及び第2凹面部に当たった太陽光が拡散反射する。これにより、太陽光が窓開口部に向かって均一に広がるため、室内を均一に明るくできるとともに、眩しさを軽減できる。
【0014】
また、前記外側羽板及び前記内側羽板は、鉛直軸周りに回転可能である構成とするのが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、外側羽板及び内側羽板は、鉛直軸周りに回転可能であるので、地域、季節、時間帯などに応じて、外側羽板及び内側羽板の配置角度を任意に設定することが可能となり、採光量(遮光量)を調節できる。
【0016】
また、前記外側羽板及び前記内側羽板を鉛直軸周りに回転させる回転手段をさらに備え、前記回転手段は、前記外側羽板及び前記内側羽板を位相差を保ちながら同期して回転させる構成とするのが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、回転手段は、外側羽板及び内側羽板を位相差を保ちながら同期して回転させるので、外側羽板及び内側羽板は、異なる配置角度を保持したまま回転することができる。
【0018】
また、前記外側羽板が前記窓開口部に対し平行に配置された状態で、前記外側羽板及び前記内側羽板の水平方向一端同士は、前記建物の内外方向で重なる構成とするのが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、外側羽板が窓開口部に対し平行に配置された状態で、外側羽板及び内側羽板の水平方向一端同士は、建物の内外方向で重なるので、内側羽板の水平方向一端が窓開口部に近付くように傾斜させると、内側羽板の水平方向一端に当たった太陽光を外側羽板の第1凹面部に向かって反射させることが可能となり、ひいては、窓開口部から室内へ反射光を採り込むことができる。
【0020】
また、前記外側羽板の中心を挟んで前記第1凹面部と反対側の面には、太陽光発電素子が設置されている構成とするのが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、外側羽板の中心を挟んで第1凹面部と反対側の面には、太陽光発電素子が設置されているので、遮光する太陽光を発電用エネルギーとして有効利用できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、窓開口部から反射光を採り込みつつ、窓開口部からの視界性を向上させることができる縦ルーバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態に係る縦ルーバーを建物の窓開口部に取り付けた状態を示す正面図である。
図2図1のI−I線断面図である。
図3】実施形態に係る外側羽板及び内側羽板を示す平面図である。
図4】実施形態に係る外側羽板と内側羽板と回転手段とを示す平面図である。
図5】実施形態に係る縦ルーバーの動作を示す説明図である。
図6】実施形態に係る縦ルーバーの動作を示す説明図である。
図7】実施形態に係る縦ルーバーの動作を示す説明図である。
図8】実施形態に係る縦ルーバーの動作を示す説明図である。
図9】実施形態に係る縦ルーバーの動作を示す説明図である。
図10】実施形態に係る縦ルーバーの動作を示す説明図である。
図11】変形例に係る外側羽板及び内側羽板を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の説明において、建物の内外方向を「内外方向X」といい、内外方向Xに直交する方向を「直交方向Y」という。
【0025】
図1は、実施形態に係る縦ルーバーを建物の窓開口部に取り付けた状態を示す正面図である。図2は、図1のI−I線断面図である。
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る縦ルーバー1は、建物Bに形成された窓開口部B1に室外側から取り付けられた部材であって、遮光や目隠しなどの機能を有している。縦ルーバー1は、枠10と、複数の外側羽板20と、複数の内側羽板30と、回転手段60(図4参照)と、を備えている。
【0026】
<枠>
枠10は、図1に示すように、正面視四角枠状に形成された金属製の部材である。枠10は、直交方向Yに沿って所定間隔を空けて配置された一対の縦枠11と、一対の縦枠11の上端同士及び下端同士を繋ぐ一対の横枠12と、から構成されている。枠10は、図2に示すように、連結部材50を介して、建物Bの外壁面に固定されている。横枠12の内部には、外側羽板20及び内側羽板30を回転させる回転手段60(図2図4参照)が設置されている。回転手段60については後に詳しく説明する。
【0027】
<外側羽板>
外側羽板20は、図1に示すように、上下の横枠12の間に鉛直に配置され、例えばアルミニウム合金などで形成された金属製の部材である。外側羽板20は、直交方向Yに沿って所定間隔を空けて並設されている。外側羽板20は、図2に示すように、中空四角柱状の外側本体部材21と、外側本体部材21の中心に設けられた外側回転軸22と、を有している。なお、外側羽板20は、例えば、樹脂製や木製でもよい。
【0028】
外側本体部材21の内側羽板30に対面する側には、円弧状(曲面状)の第1凹面部23が形成されている。第1凹面部23は、内側羽板30から遠ざかる方向に向かって凹状となるように湾曲形成されている。第1凹面部23には、例えばマット反射板などが取り付けられ、拡散反射面が形成されている。
【0029】
外側本体部材21の中心を挟んで第1凹面部23と反対側には、円弧状の第1凸面部24が形成されている。第1凸面部24は、内側羽板30から遠ざかる方向に向かって凸状となるように湾曲形成されている。第1凸面部24には、太陽光発電素子40が取り付けられている。なお、外側本体部材21は、外観デザイン性を考慮して自由に変更してもよく、例えば、第1凸面部24を形成せずに平面にしてもよい。
【0030】
外側回転軸22は、図1に示すように、外側本体部材21を上下に貫通するように設置され、図示しない取付プレート及びボルトで外側本体部材21に固定されている。外側回転軸22は、上端及び下端が上下の横枠12に対し鉛直軸周りに回転可能な状態で取り付けられている。このような構成により、外側回転軸22の回転に伴って外側本体部材21が回転するので、外側羽板20の配置角度を調節できる。外側回転軸22は、横枠12の内部に設けられた回転手段60に機械的に連結されている(図4参照)。すべての外側羽板20は、回転手段60によって同じ角度だけ回転する。また、すべての外側羽板20は、図2に示すように、回転中心(外側回転軸22)が直交方向Yに沿う同一直線上に位置するように並設されている。なお、外側羽板20の配置角度を調節できない固定式にしてもよい。
【0031】
<内側羽板>
内側羽板30は、図1に示すように、上下の横枠12の間に鉛直に配置され、例えばアルミニウム合金などで形成された金属製の部材である。内側羽板30は、直交方向Yに沿って所定間隔を空けて並設されている。内側羽板30は、図2に示すように、外側羽板20よりも建物B側に配置されるとともに、外側羽板20に対し直交方向Yに所定間隔オフセットして配置されている。内側羽板30は、中空四角柱状の内側本体部材31と、内側本体部材31の中心に設けられた内側回転軸32と、を有している。なお、内側羽板30は、例えば、樹脂製や木製でもよい。
【0032】
内側本体部材31の外側羽板20に対面する側には、円弧状の第2凹面部33が形成されている。第2凹面部33は、外側羽板20から遠ざかる方向に向かって凹状となるように湾曲形成されている。第2凹面部33には、例えばマット反射板などが取り付けられ、拡散反射面が形成されている。本実施形態では、第2凹面部33は、主として太陽光を第1凹面部23に向かって反射させる機能を有している。また、第1凹面部23は、主として第2凹面部33によって反射された太陽光を窓開口部B1に向かって反射させる機能を有している。
【0033】
内側本体部材31の中心を挟んで第1凹面部23と反対側には、円弧状の第2凸面部34が形成されている。第2凸面部34は、外側羽板20から遠ざかる方向に向かって凸状となるように湾曲形成されている。なお、内側本体部材31は、外観デザイン性を考慮して自由に変更してもよく、例えば、第2凸面部34を形成せずに平面にしてもよい。
【0034】
内側回転軸32は、図1に示すように、内側本体部材31を上下に貫通するように設置され、図示しない取付プレート及びボルトで内側本体部材31に固定されている。内側回転軸32は、上端及び下端が上下の横枠12に対し鉛直軸周りに回転可能な状態で取り付けられている。このような構成により、内側回転軸32の回転に伴って内側本体部材31が回転するので、内側羽板30の配置角度を調節できる。内側回転軸32は、枠10の内部に設けられた回転手段60に機械的に連結されている(図4参照)。すべての内側羽板30は、回転手段60によって同じ角度だけ回転する。また、すべての内側羽板30は、図2に示すように、回転中心(内側回転軸32)が直交方向Yに沿う同一直線上に位置するように並設されている。なお、内側羽板30の配置角度を調節できない固定式にしてもよい。
【0035】
図3は、実施形態に係る外側羽板及び内側羽板を示す平面図である。図4は、実施形態に係る外側羽板と内側羽板と回転手段とを示す平面図である。本実施形態では、図3図4の状態を縦ルーバー1の基準位置として以下の説明を進めることとする。
図3に示すように、外側羽板20の中心Caを通る直交方向Yに沿う中心線Ca1と、内側羽板30の中心Cbを通る直交方向Yに沿う中心線Cb1は、互いに平行となっているとともに、内外方向Xに所定間隔オフセットしている。また、第1凹面部23の両端を結ぶ線La2と平行であって、かつ、中心Caを通る外側基準線La1は、中心線Ca1と一致している。つまり、外側羽板20の配置角度が零となっている。さらに、第2凹面部33の両端を結ぶ線Lb2と平行であって、かつ、中心Cbを通る内側基準線Lb1は、中心線Cb1に対し所定の角度θ(例えばθ=15°)だけ傾斜している。つまり、内側羽板30の配置角度は、外側羽板20の配置角度よりも角度θ分だけ傾斜しており、外側羽板20の配置角度と異なるように設定されている。換言すると、内側羽板30は、外側羽板20寄りの端部(平面視にて長手方向一端)が窓開口部B1に近付くように傾斜している。
【0036】
このような構成により、図4に示すように、外側羽板20と内側羽板30との内外方向Xにおける間隔G1は、外側羽板20と内側羽板30を平行に配置した場合の外側羽板20と内側羽板30との内外方向Xにおける間隔G2よりも大きくなる。そのため、本実施形態によれば、窓開口部B1からの視界性を向上させることができる。ちなみに、角度θは、自由に設定してよいが、例えば0°を超えて20°以下の範囲内に設定されるのが好ましい。また、図3中の回転軌跡La3,Lb3で示すように、外側羽板20と内側羽板30は、互いに接触しない位置に設けられている。
【0037】
<回転手段>
図4に示すように、回転手段60は、外側羽板20と内側羽板30とを回転させる装置である。回転手段60は、外側羽板20の外側回転軸22に連結された第1ホイールギア61と、第1ホイールギア61に噛合する第1ウォームギア62と、内側羽板30の内側回転軸32に連結された第2ホイールギア63と、第2ホイールギア63に噛合する第2ウォームギア64と、第1ウォームギア62及び第2ウォームギア64を連結するシャフト65と、シャフト65を回転させるサーボモータ66と、サーボモータ66を制御する制御部67と、を主に有している。
【0038】
制御部67は、予め記憶された建物Bの位置座標データと日付時刻データから計算した日照角度に対して外側羽板20の第1凸面部24が直交するように、サーボモータ66を制御する装置である。これにより、第1凸面部24に設けられた太陽光発電素子40の発電効率が向上する。制御部67は、例えば汎用のコンピュータ装置に所定のプログラムを実行させることで実現される。本実施形態では、回転手段60は、すべての外側羽板20及び内側羽板30が同時に同じ角度だけ回転するように、第1ホイールギア61と第1ウォームギア62のギア比と、第2ホイールギア63と第2ウォームギア64のギア比とが設定されている。
【0039】
なお、回転手段60は、このような自動制御装置に限定されるものではなく、例えば手動の回転レバーでシャフト65を回転させることで、外側羽板20と内側羽板30とを回転させるようにしてもよい。また、他の駆動形式で、外側羽板20と内側羽板30とを回転させるようにしてもよい。さらに、外側羽板20と内側羽板30とを個別に回転させるようにしてもよい。
【0040】
本発明の実施形態に係る縦ルーバー1は、基本的に以上のように構成されるものであり、次に、図5乃至図10を参照して、その動作について説明する。なお、以下の説明では、建物Bの南面の窓開口部B1に縦ルーバー1を設置した場合を例にとって説明する。また、外側羽板20(内側羽板30)の角度は、中心線Ca1(Cb1)に対し反時計回りに回転させた場合をプラスとし、時計回りに回転させた場合をマイナスとする。さらに、図5乃至図10中の符号「Z」は、太陽光の入射方向を示す。
【0041】
図5乃至図10に示すように、制御部67は、予め記憶された建物Bの位置座標データと日付時刻データから計算した日照角度(太陽光の入射方向Z)に対して外側羽板20の第1凸面部24が直交するようにサーボモータ66を回転させる。
【0042】
図5に示すように、朝は太陽が東にあり、太陽光が窓開口部B1に対し略平行に近い角度で入射するため、外側羽板20を中心線Ca1から角度θa1(例えばθa1=75°)だけ回転させ、第1凸面部24を入射方向Zに直交させる。このように外側羽板20を回転させると、内側羽板30が中心線Cb1から角度θb1(例えばθb1=90°)だけ傾斜し、入射方向Zに対し外側羽板20の裏側に位置する。このとき、外側羽板20と内側羽板30の位相差(すなわちθb1−θa1)は15°である。これにより、第1凸面部24に設置された太陽光発電素子40のみに太陽光が当たるため、太陽光発電を行えるとともに、採光量を抑えることができる。
【0043】
続いて、図6に示すように、朝から昼へ移行するにつれて、太陽は東から南へ移動するので、太陽の動きに合わせて、外側羽板20及び内側羽板30を回転させる。具体的には、外側羽板20を中心線Ca1から角度θa2(例えばθa2=45°)だけ回転させ、第1凸面部24を入射方向Zに直交させる。このように外側羽板20を回転させると、内側羽板30が中心線Cb1から角度θb2(例えばθb2=60°)だけ傾斜し、第2凹面部33の平面視にて長手方向一端33a側に太陽光が当たる。このとき、外側羽板20と内側羽板30の位相差(すなわちθb2−θa2)は15°に保たれている。第2凹面部33に当たった太陽光は、外側羽板20の第1凹面部23に向かって反射した後、第1凹面部23から窓開口部B1に向かってさらに反射する。これにより、太陽光発電を行えるとともに、直射日光を遮光しつつ反射光を室内へ採り込むことができる。
【0044】
図7に示すように、太陽が東から南へさらに移動したとき、外側羽板20を中心線Ca1から角度θa3(例えばθa3=30°)だけ回転させ、第1凸面部24を入射方向Zに直交させる。このように外側羽板20を回転させると、内側羽板30が中心線Cb1から角度θb3(例えばθb3=45°)だけ傾斜し、第2凹面部33の長手方向一端33aから中央に亘って太陽光が当たる。このときも、外側羽板20と内側羽板30の位相差(すなわちθb3−θa3)は15°に保たれている(以下同様)。第2凹面部33に当たった太陽光は、外側羽板20の第1凹面部23に向かって反射した後、第1凹面部23から窓開口部B1に向かってさらに反射する。これにより、太陽光発電を行えるとともに、直射日光を遮光しつつ反射光を室内へ採り込むことができる。
【0045】
図8に示すように、太陽が東から南へさらに移動したとき、外側羽板20を中心線Ca1から角度θa4(例えばθa3=15°)だけ回転させ、第1凸面部24を入射方向Zに直交させる。このように外側羽板20を回転させると、内側羽板30が中心線Cb1から角度θb4(例えばθb4=30°)だけ傾斜し、第2凹面部33の長手方向一端33aから長手方向他端33b側に亘って太陽光が当たる。これにより、太陽光発電を行えるとともに、第2凹面部33の長手方向一端33a側に当たった太陽光を室外に向かって跳ね返すように反射させることができる。このとき、内側羽板30の配置角度が外側羽板20の配置角度よりもθ分だけ傾斜しているとともに(図3参照)、内側羽板30が第2凹面部33を有しているので、第2凹面部33の長手方向他端33b側に当たった太陽光を第1凹面部23に向かって反射させることができる。この結果、第1凹面部23に当たった反射光を窓開口部B1に向かって導くことができる。そのため、直射日光を遮光しつつ反射光を室内へ採り込むことができる。
【0046】
続いて、図9に示すように、太陽が南に位置したとき、太陽光が窓開口部B1に対し直交する方向から入射するため、外側羽板20を中心線Ca1に対し平行(角度θa5=0°)となるように回転させ、第1凸面部24を入射方向Zに直交させる。このように外側羽板20を回転させると、内側羽板30が中心線Cb1から角度θb5(例えばθb5=15°)だけ傾斜し、第2凹面部33の全体に亘って太陽光が当たる。これにより、太陽光発電を行えるとともに、第2凹面部33の長手方向一端33a側に当たった太陽光を室外に向かって跳ね返すように反射させることができる。このとき、内側羽板30の配置角度が外側羽板20の配置角度よりもθ分だけ傾斜しているとともに(図3参照)、内側羽板30が第2凹面部33を有し、更には外側羽板20及び内側羽板30の長手方向一端同士(水平方向一端同士)は、内外方向Xで重なるので、第2凹面部33の長手方向他端33b側に当たった太陽光を第1凹面部23に向かって反射させることができる。この結果、第1凹面部23に当たった反射光を窓開口部B1に向かって導くことができる。また、内側羽板30の配置角度が外側羽板20の配置角度よりもθ分だけ傾斜しているので、外側羽板20と内側羽板30を平行に配置した場合に比べ、外側羽板20と内側羽板30との内外方向Xにおける間隔G1を大きくできる。そのため、直射日光を遮光して反射光を室内へ採り込みつつ、窓開口部B1からの視界性を向上させることができる。
【0047】
続いて、図10に示すように、昼から夕方へ移行するにつれて、太陽は南から西へ移動するので、太陽の動きに合わせて、外側羽板20及び内側羽板30を回転させる。具体的には、外側羽板20を中心線Ca1から角度θa6(例えばθa6=−15°)だけ回転させ、第1凸面部24を入射方向Zに直交させる。このように外側羽板20を回転させると、内側羽板30が中心線Cb1に対し平行(θb6=0°)に位置し、第2凹面部33の全体に亘って太陽光が当たる。これにより、太陽光発電を行えるとともに、第2凹面部33に当たった太陽光を室外に向かって跳ね返すように反射させることができる。このとき、内側羽板30の配置角度が外側羽板20の配置角度よりもθ分だけ傾斜しているので、外側羽板20と内側羽板30を平行に配置した場合に比べ、外側羽板20と右隣の内側羽板30との内外方向Xにおける間隔G3を大きくできる。そのため、直射日光を遮光しつつ、窓開口部B1からの視界性を向上させることができる。
【0048】
なお、縦ルーバー1は、複数段階に切り替え可能に構成されてもよく、例えばハンドルなどの操作子を操作することで、図6の状態と図9の状態の2段階に切り替え可能に構成されてもよい。また、縦ルーバー1は、太陽の移動に応じて、外側羽板20の外面が入射方向Zに直交するように自動で回転制御されてもよい。このようにすると、発電効率を上げることができる。
【0049】
以上説明した本実施形態によれば、外側羽板20に対する内側羽板30の配置角度を調節することで、内側羽板30の第2凹面部33に当たった太陽光を外側羽板20の第1凹面部23に向かって反射させ、第1凹面部23に当たった反射光を窓開口部B1に向かって導くことができる。したがって、窓開口部B1から室内へ反射光を採り込むことができるので、適度な明るさを確保しつつ、眩しさを軽減できる。
また、本実施形態によれば、外側羽板20を窓開口部B1に対し平行に配置した場合には、外側羽板20に対する内側羽板30の配置角度を調節することで(つまり内側羽板30の外側羽板20寄りの端部が窓開口部B1に近付くように傾斜させることで)、外側羽板20と内側羽板30との内外方向Xにおける間隔G1を従来よりも大きくして、窓開口部B1からの視界性を向上させることができる。
【0050】
本実施形態によれば、第1凹面部23及び第2凹面部33には、拡散反射面が形成されているので、第1凹面部23及び第2凹面部33に当たった太陽光が拡散反射する。これにより、太陽光が窓開口部B1に向かって均一に広がるため、室内を均一に明るくできるとともに、眩しさを軽減できる。
【0051】
本実施形態によれば、外側羽板20及び内側羽板30は、鉛直軸周りに回転可能であるので、地域、季節、時間帯などに応じて、外側羽板20及び内側羽板30の配置角度を任意に設定することが可能となり、採光量(遮光量)を調節できる。
【0052】
本実施形態によれば、回転手段60は、外側羽板20及び内側羽板30を位相差を保ちながら同期して回転させるので、外側羽板20及び内側羽板30は、異なる配置角度を保持したまま回転することができる。
【0053】
本実施形態によれば、外側羽板20が窓開口部B1に対し平行に配置された状態で、外側羽板20及び内側羽板30の長手方向一端同士は、内外方向Xで重なるので、内側羽板30の長手方向一端が窓開口部B1に近付くように傾斜させると、内側羽板30の長手方向一端に当たった太陽光を外側羽板20の第1凹面部23に向かって反射させることが可能となり、ひいては、窓開口部B1から室内へ反射光を採り込むことができる。
【0054】
本実施形態によれば、外側羽板20の第1凸面部24には、太陽光発電素子40が設置されているので、遮光する太陽光を発電用エネルギーとして有効利用できる。
【0055】
本実施形態によれば、太陽光の入射方向Zに対する外側羽板20及び内側羽板30の配置角度を調節することで、直射日光を遮ったり、反射光を採り入れたりすることができる。そして、直射日光を遮ることで、夏場に室内温度の上昇を抑制して空調設備の電力使用量を抑制することができる。また、反射光を採り入れることで、冬場に室内温度の低下を抑制して空調設備の電力使用量を抑制することができる。したがって、省エネルギーに寄与することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0057】
本実施形態では、第1凹面部23及び第2凹面部33が円弧状に形成されたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、第1凹面部23は、外側本体部材21の中心を挟んで対称に設けられた一対の辺23a,23aを備え、くの字(V字状)を呈する凹面に形成されてもよい。第2凹面部33も同様に、内側本体部材31の中心を挟んで対称に設けられた一対の辺33c,33cを備え、くの字を呈する凹面に形成されてもよい。また、図示省略するが、第1凹面部23及び第2凹面部33は、外側本体部材21や内側本体部材31の中心を挟んで対称に設けられた複数辺(3辺以上)を備える凹面に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
B 建物
B1 窓開口部
1 縦ルーバー
10 枠
20 外側羽板
21 外側本体部材
22 外側回転軸
23 第1凹面部
24 第1凸面部
30 内側羽板
31 内側本体部材
32 内側回転軸
33 第2凹面部
34 第2凸面部
40 太陽光発電素子
60 回転手段
X 内外方向
Y 直交方向
Z 入射方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11