【実施例】
【0023】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
【0024】
(実施例1)
平均繊維径0.65μmの極細ガラス繊維55部と、平均繊維径2.7μmの極細ガラス繊維35部と、平均繊維径6μmのチョップドガラス繊維10部とを、硫酸でpH2.8とした水中に分散し、パルパーを用いて離解し、固形分濃度が0.5%であるガラス繊維スラリーを得た。次に、得られたスラリーを、手抄筒を用いて抄紙して湿紙を得た。次に、アクリル樹脂エマルジョン(モビニールLDM7222、日本合成化学工業社製)100部と、アルキル硫酸ナトリウム塩界面活性剤(エマール10G、花王社製)2部とを水中に添加して調製した混合液を湿紙に含浸によって付着させ、余分な混合液を吸引除去した後、130℃の熱風乾燥機で乾燥して、坪量70g/m
2のエアフィルタ用濾材を得た。なお、混合液の付着量は固形分換算で3.85g/m
2であった。
【0025】
(実施例2)
アクリル樹脂エマルジョン(モビニールLDM7222、日本合成化学工業社製)100部と、アルキル硫酸ナトリウム塩界面活性剤(エマール10G、花王社製)2部と、フッ素系撥水剤(NKガードS−09、日華化学社製)10部とを水中に添加して調製した混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量70g/m
2のエアフィルタ用濾材を得た。なお、混合液の付着量は固形分換算で3.92g/m
2であった。
【0026】
(実施例3)
アクリル樹脂エマルジョン(モビニールLDM7222、日本合成化学工業社製)100部と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩界面活性剤(エマール20CM、花王社製)2部と、フッ素系撥水剤(NKガードS−09、日華化学社製)10部とを水中に添加して調製した混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量70g/m
2のエアフィルタ用濾材を得た。なお、混合液の付着量は固形分換算で3.85g/m
2であった。
【0027】
(実施例4)
アクリル樹脂エマルジョン(モビニールLDM7222、日本合成化学工業社製)100部と、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩界面活性剤(ネオペレックスGS、花王社製)2部と、フッ素系撥水剤(NKガードS−09、日華化学社製)10部とを水中に添加して調製した混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量70g/m
2のエアフィルタ用濾材を得た。なお、混合液の付着量は固形分換算で3.85g/m
2であった。
【0028】
(実施例5)
アクリル樹脂エマルジョン(モビニールLDM7222、日本合成化学工業社製)100部と、アルキルスルホコハク酸ナトリウム塩界面活性剤(ペレックスTR、花王社製)2部と、フッ素系撥水剤(NKガードS−09、日華化学社製)10部とを水中に添加して調製した混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量70g/m
2のエアフィルタ用濾材を得た。なお、混合液の付着量は固形分換算で3.85g/m
2であった。
【0029】
(実施例6)
アクリル樹脂エマルジョン(モビニールLDM7222、日本合成化学工業社製)100部と、アルキル硫酸ナトリウム塩界面活性剤(エマール10、花王社製)1部と、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩界面活性剤(ネオペレックスGS、花王社製)1部と、フッ素系撥水剤(NKガードS−09、日華化学社製)10部とを水中に添加して調製した混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量70g/m
2のエアフィルタ用濾材を得た。なお、混合液の付着量は固形分換算で3.85g/m
2であった。
【0030】
(実施例7)
アクリル樹脂エマルジョン(モビニールLDM7222、日本合成化学工業社製)100部と、アルキル硫酸アンモニウム塩界面活性剤(ラテムルAD−25、花王社製)2部と、フッ素系撥水剤(NKガードS−09、日華化学社製)10部とを水中に添加して調製した混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量70g/m
2のエアフィルタ用濾材を得た。なお、混合液の付着量は固形分換算で3.85g/m
2であった。
【0031】
(比較例1)
アクリル樹脂エマルジョン(モビニールLDM7222、日本合成化学工業社製)100部のみを水中に添加して調製した混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量70g/m
2のエアフィルタ用濾材を得た。なお、混合液の付着量は固形分換算で3.85g/m
2であった。
【0032】
(比較例2)
アクリル樹脂エマルジョン(モビニールLDM7222、日本合成化学工業社製)100部と、フッ素系撥水剤(NKガードS−09、日華化学社製)10部とを水中に添加して調製した混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量70g/m
2のエアフィルタ用濾材を得た。なお、混合液の付着量は固形分換算で3.92g/m
2であった。
【0033】
(比較例3)
アクリル樹脂エマルジョン(モビニールLDM7222、日本合成化学工業社製)100部と、脂肪酸カリウム塩界面活性剤(FR−14、花王社製)2部と、フッ素系撥水剤(NKガードS−09、日華化学社製)10部とを水中に添加して調製した混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量70g/m
2のエアフィルタ用濾材を得た。なお、混合液の付着量は固形分換算で3.85g/m
2であった。
【0034】
(比較例4)
アクリル樹脂エマルジョン(モビニールLDM7222、日本合成化学工業社製)100部と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤(エマルゲン120、花王社製)2部と、フッ素系撥水剤(NKガードS−09、日華化学社製)10部とを水中に添加して調製した混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして、坪量70g/m
2のエアフィルタ用濾材を得た。なお、混合液の付着量は固形分換算で3.85g/m
2であった。
【0035】
実施例及び比較例において得たエアフィルタ用濾材の評価は、次に示す方法を用いて行った。
【0036】
圧力損失は、有効面積100cm
2の濾材に、空気が面風速5.3cm/秒で通過する時の差圧として、マノメーター(マノスターゲージWO81、山本電機製作所社製)を用いて測定した。
【0037】
透過率(以降、粒子透過率ともいう。)は、有効面積100cm
2の濾材に、ラスキンノズルで発生させた多分散フタル酸ジオクチル(DOP)粒子を含む空気が面風速5.3cm/秒で通過する時の上流及び下流のDOP粒子個数を、レーザーパーティクルカウンター(KC−18、リオン社製)を用いて測定し、その個数値から計算して求めた。なお、対象粒子径は、0.30〜0.40μmとした。
【0038】
PF値は、圧力損失及び粒子透過率の値から、数1に示す式を用いて計算した。なお、対象粒子径は、0.30〜0.40μmとした。
【0039】
引張強さは、JIS P 8113:2006「紙及び板紙−引張特性の試験方法−第2部:低速伸張法」に準拠して、万能試験機(オートグラフAGS−X、島津製作所社製)を用いて測定した。
【0040】
撥水性は、MIL−STD−282に準拠して、自製の撥水性試験機を用いて測定した。
【0041】
実施例及び比較例で得られたエアフィルタ用濾材の評価結果を表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
表1に示した結果より明らかなように、各実施例のエアフィルタ用濾材は、いずれも各比較例のエアフィルタ用濾材よりもPF値が高かった。また、各実施例のエアフィルタ用濾材は、いずれも実用上必要とされる十分な濾材強度(例えば、引張強さ0.6kN/m以上)を有していた。本発明によれば、バインダー樹脂とともに硫酸エステル塩型又はスルホン酸塩型の少なくともいずれか一方の界面活性剤をガラス繊維に付着させることによって、従来のエアフィルタ用濾材よりも高いPF値を有するエアフィルタ用濾材を得ることができる。また、フッ素系撥水剤を併用することによって、更に高いPF値を有するエアフィルタ用濾材を得ることができる。