特許第6087231号(P6087231)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087231
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】建築用ルーバーパネル
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/01 20060101AFI20170220BHJP
【FI】
   E06B9/01 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-146006(P2013-146006)
(22)【出願日】2013年7月12日
(65)【公開番号】特開2015-17448(P2015-17448A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250432
【氏名又は名称】理研軽金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】杉山 修一
(72)【発明者】
【氏名】小池 夏樹
【審査官】 小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−225005(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3171186(JP,U)
【文献】 特開2002−034708(JP,A)
【文献】 特開2009−115228(JP,A)
【文献】 実開昭55−107416(JP,U)
【文献】 特開2006−70657(JP,A)
【文献】 特開2011−6854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面側の取付部を使用して建物躯体に取り付けられる建築用ルーバーパネルであって、
複数の長孔を平行に形成した正面部と、
前記正面部の両端から略直角方向に延設された一対の側面部と、
前記側面部の端部付近の内側に突出して設けられた一対の略L字形の突出片と、
が一部材で形成され
前記側面部と前記突出片とによって背面方向に開口するレール溝が形成され、
前記レール溝が前記取付部を構成していることを特徴とする、建築用ルーバーパネル。
【請求項2】
前記長孔は、正面から見たときに前記突出片に重ならない幅で形成されていることを特徴とする、請求項1記載の建築用ルーバーパネル。
【請求項3】
前記レール溝にボルト部材の頭部を挿入し、前記ボルト部材によって建物躯体側に取り付けたことを特徴とする、請求項1又は2記載の建築用ルーバーパネル。
【請求項4】
前記ボルト部材の頭部に緩衝材を設けたことを特徴とする、請求項3記載の建築用ルーバーパネル。
【請求項5】
前記長孔を金型加工で形成したことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の建築用ルーバーパネル。
【請求項6】
前記長孔は、直線部と円弧部とからなり、
前記金型加工は、バーリング加工であり、
前記バーリング加工によって内方へ切り起こされた前記長孔の周縁部は、前記直線部よりも前記円弧部の方が小さく切り起こされていることを特徴とする、請求項5記載の建築用ルーバーパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、背面側の取付部を使用して建物躯体に取り付けられる建築用ルーバーパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁や外階段、屋上、サッシの前等に建築用ルーバーパネルを取り付けて、化粧材、日除け材、目隠し材とし、通風性、遮光性、遮蔽性等を高めることが行われている。こうした建築用ルーバーパネルは、一般的には下地材を介して建物躯体に取り付けられる。
【0003】
この種のパネルとして、例えば特許文献1や特許文献2には、複数の長孔を平行に形成した上面板の左右両側端に、夫々同じ方向に屈曲したL形の側辺を垂直に一体に設けた構造が開示されている。これらのパネルは、側辺の端部をボルトなどで固定することで建物躯体に取り付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠公報第1265484号公報
【特許文献2】特開平8−21025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の構造では、長孔の奥にボルトなどの止具が露出しており、パネルの正面側から見たときに止具が視認できてしまうので、美観を損ない、意匠性が悪いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、パネルの正面側から止具が視認されないようにすることで、意匠性を向上させることができる建築用ルーバーパネルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0008】
(請求項1)
請求項1に記載の建築用ルーバーパネルは、背面側の取付部を使用して建物躯体に取り付けられる建築用ルーバーパネルであって、複数の長孔を平行に形成した正面部と、前記正面部の両端から略直角方向に延設された一対の側面部と、前記側面部の端部付近の内側に突出して設けられた一対の略L字形の突出片と、が一部材で形成され、前記側面部と前記突出片とによって背面方向に開口するレール溝が形成され、前記レール溝が前記取付部を構成していることを特徴とする。
【0009】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、前記長孔は、正面から見たときに前記突出片に重ならない幅で形成されていることを特徴とする。
【0010】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、前記レール溝にボルト部材の頭部を挿入し、前記ボルト部材によって建物躯体側に取り付けたことを特徴とする。
【0011】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項3記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、前記ボルト部材の頭部に緩衝材を設けたことを特徴とする。
【0012】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、前記長孔を金型加工で形成したことを特徴とする。
【0013】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項5記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
すなわち、前記長孔は、直線部と円弧部とからなり、前記金型加工はバーリング加工であり、前記バーリング加工によって内方へ切り起こされた前記長孔の周縁部は、前記直線部よりも前記円弧部の方が小さく切り起こされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、正面部の両端から略直角方向に延設された側面部と、側面部の端部付近の内側に設けられた略L字形の突出片と、を備え、前記側面部と前記突出片とによって背面方向に開口するレール溝が形成され、前記レール溝を使用して建築用ルーバーパネルを建物躯体に取り付けることができるようになっている。すなわち、取付部(レール溝)が正面方向から視認できないので、パネルの正面側から止具が視認されないようにすることができ、意匠性を向上させることができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記長孔は、正面から見たときに前記突出片に重ならない幅で形成されているので、長孔の奥に形成された突出片が視認しづらくなっており、意匠性が良い。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、前記レール溝にボルト部材の頭部を挿入して建物躯体に取り付けたので、任意の位置にボルト部材を固定することができ、様
々な施行条件に対応することができる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、前記ボルト部材の頭部に緩衝材を設けたので、レール溝内の遊びをなくすことができるので、レール溝の端部からボルト部材の頭部が抜け落ちることを防止できる。また、レール溝内でボルト部材を移動させる場合には、緩衝材が設けられていることによってスムーズにスライドさせることができる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は上記の通りであり、前記長孔を金型加工で1度に形成したので、的確且つ迅速に複数の長孔を製作できる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は上記の通りであり、前記長孔は、直線部と円弧部とからなり、前記金型加工はバーリング加工であり、前記バーリング加工によって内方へ切り起こされた前記長孔の周縁部は、前記直線部よりも前記円弧部の方が小さく切り起こされているので、円弧部が大きく引き延ばされることがないので、バーリング加工による割れやひびを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】建築用ルーバーパネルの施工例を示す図である。
図2】(a)図1の建築用ルーバーパネルをA方向から見た図(平面図)、(b)図1の建築用ルーバーパネルをB方向から見た図(正面図)である。
図3】建築用ルーバーパネルの一部拡大斜視図である。
図4】建築用ルーバーパネルの(a)一部拡大正面図、(b)X−X断面図である。
図5】バーリング加工前の建築用ルーバーパネルの一部拡大斜視図である。
図6】バーリング加工前の建築用ルーバーパネルの(a)一部拡大正面図、(b)Y−Y断面図である。
図7】建築用ルーバーパネルを下地材に固定する様子を示す図である。
図8】建築用ルーバーパネルの別の施工例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
本実施形態に係る建築用ルーバーパネル10は、化粧材、日除け材、目隠し材などとして、または、通風、遮光性、遮蔽性等を高めるために、建物の外壁や外階段、屋上、サッシの前等に取り付けられるものであり、図1及び図2に示すような長尺部材である。この建築用ルーバーパネル10は、例えば図1及び図2に示すように、建物躯体30に下地材31を介して垂直に取り付けられる。なお、建築用ルーバーパネル10の取り付け方法としては垂直方向に限らず、図8に示すように水平方向であってもよい。そして、この複数の建築用ルーバーパネル10は、隣り合う建築用ルーバーパネル10と平行となるように所定間隔を設けて列設されることで、壁面などを覆うように取り付け可能となっている。
【0022】
この建築用ルーバーパネル10は、図3及び図4に示すように、正面部11と、前記正面部11の両端から略直角方向に延設された側面部14と、前記側面部14の端部付近の内側に設けられた略L字形の突出片15と、を備えている。
【0023】
正面部11は、建物躯体30に建築用ルーバーパネル10を取り付けたときに、正面に臨む面を構成する部分である。この正面部11には複数の長孔12が平行に形成されている。正面部11に形成された長孔12の周縁は、直線部12aと円弧部12bとからなり、図4(a)に示すように、正面視で長方形の両端に半円形を組み合わせた略角丸長方形を形成している。
【0024】
なお、この長孔12は金型でバーリング加工される。具体的には、まず、図5及び図6に示すような下穴13を穿設した後に、金型を使用するバーリング加工によって複数の下穴13の周縁部を内方へ切り起し、図3及び図4に示すような長孔12を形成する。このように金型を使用して長孔12をバーリング加工で1度に形成することで、的確且つ迅速に複数の長孔12を製作できるようになっている。
【0025】
上記した下穴13は、図6に示すように、長孔12の直線部12aに対応する位置に形成された中央部13a及び斜部13bと、長孔12の円弧部12bに対応する位置に形成された半円部13cとを組み合わせた形状となっている。中央部13aと半円部13cとの間に斜部13bを設けることで、下穴13の形状は、両端部が拡開した細長形状となっている。
【0026】
このような下穴13に対してバーリング加工を施すことで、バーリング加工によって下穴13の周縁部を内方へ切り起したときに、直線部12aの部分よりも円弧部12bの部分の方が小さく切り起こされるようになっている。具体的には、建築用ルーバーパネル10の内側に切り起こされた長孔12の周縁部は、図3及び図4(b)に示すように、下穴13の中央部13aが切り起こされた中央部切り起こし12cと、下穴13の斜部13bが切り起こされた斜部切り起こし12dと、下穴13の半円部13cが切り起こされた半円部切り起こし12eと、からなる。そして、斜部切り起こし12dが段差を形成することで、中央部切り起こし12cよりも半円部切り起こし12eの方が小さく切り起こされている。
【0027】
このように中央部切り起こし12cよりも半円部切り起こし12eの方が小さく切り起こされることで、円弧部12bが大きく引き延ばされることがないので、バーリング加工による割れやひびを防ぐことができる。
【0028】
側面部14は、正面部11の短手方向(巾方向)の両端から略直角方向に延設されている。この側面部14は、正面部11と相俟って、図4(b)に示すような断面略コ字状を形成している。
【0029】
突出片15は、側面部14の端部付近において内側に突出して設けられた略L字形の部位である。この突出片15が設けられることで、側面部14と突出片15とによってコ字状のレール溝16が形成されている。このレール溝16は、背面方向に開口しており、建築用ルーバーパネル10を建物躯体30に取り付けるための背面側の取付部を形成している。
【0030】
この突出片15は、図2(b)に示すように、正面から見たときに長孔12の奥に見えない出量で内側に突出形成されている。言い換えると、長孔12は、正面から見たときに突出片15に重ならない幅で形成されている。このため、長孔12の奥に形成された突出片15が視認しづらくなっており、取り付けのための部位が目立たないので、意匠性が向上している。
【0031】
なお、上記した側面部14及び突出片15は、互いに背面方向に突出している。そして、図4(b)に示すように、側面部14及び突出片15の端部は、互いに対向する方向に略直角に曲折されて係合縁部14a、15aを形成している。この係合縁部14a、15aが形成されることで、レール溝16にボルト部材20の頭部21を挿入したときに、ボルト部材20の頭部21がレール溝16から抜けないように係合するようになっている。
【0032】
このレール溝16を使用して建築用ルーバーパネル10を取り付ける際には、図7に示すように、レール溝16にボルト部材20の頭部21を挿入し、ボルト部材20の軸部22を下地材31の固定部31aに貫通させる。そして、ボルト部材20にナット23を締め込むことで、ボルト部材20とナット23とで下地材31を挟み込んで保持する。このようにボルト部材20を取り付けることで、建築用ルーバーパネル10を下地材31に取り付けることができる。
【0033】
このとき、ボルト部材20はレール溝16に沿って摺動可能であるため、レール溝16の端部からボルト部材20の頭部21を挿入して、固定位置(例えば下地材31の固定部31aが形成された位置)まで移動させることができる。なお、上記したボルト部材20の頭部21は、レール溝16に沿って摺動させるために、図7に示すような四角柱状で形成されている。
【0034】
また、上記したボルト部材20の頭部21の上面には、図7に示すように、緩衝材24が設けられている。緩衝材24は、例えば合成樹脂やゴム、スポンジなどの弾性変形可能な材料で形成されており、レール溝16にボルト部材20の頭部21を挿入したときに弾性変形(圧縮変形)されて、レール溝16とボルト部材20の頭部21との間の間隙を埋めるようになっている。この緩衝材24を設けることで、レール溝16内の遊びをなくすことができるので、レール溝16の端部からボルト部材20の頭部21が抜け落ちることを防止できる。また、レール溝16内でボルト部材20を移動させる場合には、緩衝材24が設けられていることによってスムーズにスライドさせることができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、正面部11の両端から略直角方向に延設された側面部14と、側面部14の端部付近の内側に設けられた略L字形の突出片15と、を備え、前記側面部14と前記突出片15とによって背面方向に開口するレール溝16が形成され、前記レール溝16を使用して建築用ルーバーパネル10を建物躯体30に取り付けることができるようになっている。すなわち、取付部(レール溝16)が正面方向から視認できないので、パネルの正面側から止具が視認されないようにすることができ、意匠性を向上させることができる。
【0036】
また、前記レール溝16にボルト部材20の頭部21を挿入し、建物躯体30に取り付けたので、任意の位置にボルト部材20を固定することができ、様々な施行条件に対応することができる。
【0037】
また、前記ボルト部材20の頭部21に緩衝材24を設けたので、レール溝16内の遊びをなくすことができるので、レール溝16の端部からボルト部材20の頭部21が抜け落ちることを防止できる。また、レール溝16内でボルト部材20を移動させる場合には、緩衝材24が設けられていることによってボルト部材20が傾かず、スムーズにスライドさせることができる。
また、前記長孔12を金型を使用するバーリング加工で1度に形成したので、的確且つ迅速に複数の長孔12を製作できる。
【0038】
また、前記長孔12は、直線部12aと円弧部12bとからなり、バーリング加工によって内方へ切り起こされた前記長孔12の周縁部は、前記直線部12aよりも前記円弧部12bの方が小さく切り起こされているので、円弧部12bが大きく引き延ばされることがないので、バーリング加工による割れやひびを防ぐことができる。
【0039】
なお、特に図示しないが、建築用ルーバーパネル10の長手方向の端部には小口フタを取り付けてもよい。小口フタを取り付ければ、意匠性を向上できるとともに、レール溝16の端部を小口フタで塞ぐことができるので、ボルト部材20の脱落防止や、雨水・埃等の侵入を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0040】
10 建築用ルーバーパネル
11 正面部
12 長孔
12a 直線部
12b 円弧部
12c 中央部切り起こし
12d 斜部切り起こし
12e 半円部切り起こし
13 下穴
13a 中央部
13b 斜部
13c 半円部
14 側面部
14a 係合縁部
15 突出片
15a 係合縁部
16 レール溝(取付部)
20 ボルト部材
21 頭部
22 軸部
23 ナット
24 緩衝材
30 建物躯体
31 下地材
31a 固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8