特許第6087232号(P6087232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6087232
(24)【登録日】2017年2月10日
(45)【発行日】2017年3月1日
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/04 20060101AFI20170220BHJP
【FI】
   F24F6/04
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-146269(P2013-146269)
(22)【出願日】2013年7月12日
(65)【公開番号】特開2015-17775(P2015-17775A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀米 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 直紀
(72)【発明者】
【氏名】阿部 利浩
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−147461(JP,A)
【文献】 特開2009−36407(JP,A)
【文献】 特開昭64−38325(JP,A)
【文献】 特開2011−257093(JP,A)
【文献】 特開2007−040570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に設けられた挿入口より挿脱自在に装着され、前記本体への挿脱方向に長手形状をなし、前記挿入口の開口よりも上下方向に広い外装面を備えた水槽部と、吸込口と吹出口を連通する送風経路に送風する送風機と、前記水槽部に一定量貯えられる水に下部が浸された状態で送風経路中に設置される気化フィルタと、前記水槽部が収容され、底面には前記挿入口側から奥方向に一段高くなる段差を設けた水槽収容部とを備えた加湿装置において、前記水槽収容部の段差の起立面が傾斜するとともに、前記水槽部が装着された状態では、前記水槽部の先端面と前記水槽収容部の最奥面とが隙間ができないように当接することを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記水槽部外装面は、前記本体に前記水槽部が装着された際には前記挿入口を閉塞することを特徴とする請求項1記載の加湿装置。
【請求項3】
前記水槽収容部の底面の奥側下部に電源コード取付部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の乾燥を防止するための加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示す従来の加湿装置は、加湿装置本体の下方に受液部である水槽部が挿脱自在に設けられており、この水槽部には気化促進材である気化フィルタが下部を水槽部内の水に浸漬した状態で設置されている。水槽部が装着された状態において、水槽部を介して加湿装置本体内部に吸込口と吹出口を連通する送風経路が形成され、吸込口から取り込んだ室内空気を気化フィルタに通過させる際に加湿空気として吹出口から排出する。また、水槽部の形状は加湿装置本体への挿脱する方向に長手形状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−309610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような水槽部を備える加湿装置においては、その長手形状のために水槽部が水平を保つように挿入するのが難しく、挿入する際に水槽部がふらついたり、加湿装置本体に水槽部を収容する水槽収容部の内壁にぶつかったりと挿入が不安定になることがあり、水槽部内に水がある場合には水槽部からこぼれることがあった。なお、水槽部を安定した姿勢で挿入できるように、水槽収容部の底面に水槽部の挿入口から奥方向に一段高くなる段差を設けることで水槽部の先端を下から支えて、水槽部の姿勢を略水平に保つものもあるが、挿入時に水槽部の先端がこの段差の起立面にぶつかって引っ掛かってしまい、スムーズに挿入できないという問題があった。
【0005】
そこで、図6のように、水槽収容部の内壁に当接する水槽部の先端に面取り部を設けたり、先端に向かって細くなる形状にしたりすることでスムーズに水槽部を挿入できるようにしているが、このような形状の水槽部が装着された状態では水槽部と水槽収容部の内壁との間に隙間が生じてしまう。水槽部と水槽収容部の内壁との間に隙間が生じると、気化フィルタを通過する送風経路よりも圧力損失の小さい隙間の方に空気は流れやすくなる。これにより、この隙間を通じて送風経路以外に空気が漏れてしまうため、気化フィルタを通過せずに空気が室内に排出され、加湿効率の低下を生じてしまう。以上のことから、水槽部の挿入しやすさと加湿効率の向上との両立が課題となっていた。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためのもので、水槽部の挿入時における引っ掛かりをなくしスムーズかつ安定した挿入を可能とすることができ、さらに水槽部が装着された状態において、本体内部に吸込んだ空気を無駄なく気化フィルタに通過させ高い加湿効率を発揮できる加湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、本体に設けられた挿入口より挿脱自在に装着され、前記本体への挿脱方向に長手形状をなし、前記挿入口の開口よりも上下方向に広い外装面を備えた水槽部と、吸込口と吹出口を連通する送風経路に送風する送風機と、前記水槽部に一定量貯えられる水に下部が浸された状態で送風経路中に設置される気化フィルタと、前記水槽部が収容され、底面には前記挿入口側から奥方向に一段高くなる段差を設けた水槽収容部とを備えた加湿装置において、前記水槽収容部の段差の起立面が傾斜するとともに、前記水槽部が装着された状態では、前記水槽部の先端面と前記水槽収容部の最奥面とが隙間ができないように当接することを特徴とする加湿装置に係わるものである。
【0008】
また、前記水槽部外装面は、前記本体に前記水槽部が装着された際には前記挿入口を閉塞することを特徴とする請求項1記載の加湿装置に係わるものである。
【0009】
また、前記水槽収容部の底面の奥側下部に電源コード取付部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の加湿装置に係わるものである。
【発明の効果】
【0010】
上述の構成にすることにより、水槽部の挿入時における引っ掛かりをなくしスムーズかつ安定した挿入を可能とすることができ、さらに水槽部が装着された状態において本体内部に吸込んだ空気を無駄なく気化フィルタに通過させるので、高い加湿効率を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明における加湿装置の外観斜視図である。
図2】本発明における加湿装置における気化フィルタ設置時の水槽部の上面図および側面図である。
図3】本発明における加湿装置の水槽収容部を示す断面構成図である。
図4】本発明における加湿装置の縦断面構成図である。
図5】本発明における加湿装置における水槽部挿入過程を示す断面拡大図である。
図6】従来の加湿装置における水槽部挿入過程を示す断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好適と考える本発明の最良の形態を、本発明の作用効果を示して簡単に説明する。
【0013】
本発明の加湿装置は、水槽収容部の段差の起立面を傾斜させるとともに、水槽部が装着された状態では水槽部の挿入方向の先端面と水槽収容部の最奥面とが隙間ができないように当接させるものである。つまり、水槽部を挿入するときに引っ掛かりを起こさないように段差に傾斜を設け、さらに水槽部が装着された状態においては気化フィルタに空気を通過させる送風経路以外への隙間を閉塞できるようにしたのである。
【0014】
水槽部が挿脱方向に長手形状の場合、挿入方向の先端側が下に傾いて挿入されて水槽収容部の底面と接触してしまうことがあるが、段差に傾斜があることによって水槽部は引っ掛かることなくスムーズに挿入できるようになる。加えて、水槽部の先端面に面取り部を設けるなどの挿入しやすい形状にする必要がないので、水槽部の先端面の形状を水槽収容部の最奥面と当接したときには隙間ができない構成にできることから、本体内部に吸込んだ空気を無駄なく気化フィルタに通過させて加湿するので、高い加湿効率を得ることができるのである。
【0015】
また、水槽部が本体に装着された状態で水槽部外装面が挿入口を閉塞することにより、加湿装置本体から外部への送風空気の漏れを防ぐことができるので、より一層、気化フィルタに空気を無駄なく通過させることができる。さらに、挿入口と水槽部外装面との合わせ目を隠すので、加湿装置の外観品質を低下させない。
【0016】
また、水槽収容部の底面が一段高くなった箇所の下部に電源コードの取付位置を設けるものであり、水槽収容部の底面を高くしたことによってできた空間を有効に活用して電源コードを配置することができる。さらに、加湿装置の最下面から電源コードの引き回しを行なうようにしたことで加湿装置の重心が安定し、加湿装置本体が転倒しにくい構造にすることができる。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0018】
図1は本発明における加湿装置の外観斜視図である。加湿装置は、本体1の正面および側面前部を形成する本体前枠1a、側面後部と背面を形成する本体後枠1bを有しており、本体1の天面には本体1内で加湿された加湿空気を室内に排出する吹出口2、運転スイッチ等が配置されている操作部3、図示しない給水タンクを本体1に着脱する際に開閉するタンクカバー4が設けられている。
【0019】
本体1側面の下部には挿入口5が設けられ、この挿入口5を介して本体1内の下部には水槽部6を収容する空間となる水槽収容部7が形成されている。水槽部6は本体1への挿脱方向に長手形状となるように形成されており、挿入口5から水槽収容部7に挿脱自在に装着される。水槽部6には図示しない給水タンクから供給された水を吸水して湿潤する気化フィルタ8が設けられ、本体1背面に設けられた図示しない吸込口から取り込まれた室内空気を気化フィルタ8に通過させることで水槽部6の水を気化させて加湿空気として吹出口2から放出する。
【0020】
図2は気化フィルタ8設置時の水槽部6の上面図(a)および側面図(b)である。水槽部6の内部は底面より立設する仕切板9によって区画されており、水槽収容部7への挿入方向の先端側には気化フィルタ8が設置される気化フィルタ収容部10が、手前側には図示しない給水タンクが装着される給水タンク収容部11が区画形成される。なお、仕切板9は気化フィルタ8の高さよりも高く形成されている。また、気化フィルタ8は略直方体形状をなし、気化フィルタ8の側面が水槽部先端面12と仕切板9に接するようにして配置される。さらに、水槽部先端面12と仕切板9には気化フィルタ8の移動を規制する保持片13が設けられており、気化フィルタ8を設置する際にはこの保持片13を目印にして保持片13の内側に上から挿入する。
【0021】
水槽部6装着状態において本体1側面の一部を形成する水槽部外装面14の上端は、仕切板9の高さよりも高く形成されており、また、この水槽部外装面14の下部に形成される水槽部取っ手15の下端は水槽部6の底面よりも下に突出するよう形成されている。このため、水槽部6を水平面に置くと、水槽部取っ手15が突出している分だけ水槽部6は挿入方向の先端側が下に傾くことになる。
【0022】
図3は水槽収容部7の断面構成図である。挿入口5開口の上辺および下辺には、本体1側面よりわずかに水槽収容部7内に入り込むようにして挿入口段差部16aおよび16bが屈曲形成されており、水槽部6を本体1に装着すると、水槽部外装面14の上端が挿入口段差部16aに、水槽部取っ手15の下端が挿入口段差部16bにそれぞれ当接して挿入口5が閉塞される。これにより、水槽部外装面14が水槽部6と挿入口5との合わせ目のわずかな隙間を隠すので、合わせ目から加湿装置内部が見えることがなく加湿装置の外観品質を低下させない。
【0023】
水槽収容部7の底面には、挿入口5から奥方向に入ると一段高くなる段差を設けており、この段差の起立面17には傾斜が付いている。なお、この段差は、水槽部6を挿入する際に水槽部先端面12を下から支えるものであり、挿入方向の先端側に傾きやすい水槽部6の姿勢を略水平に保つために設けている。水槽収容部7の最奥部には、水槽部6装着状態において水槽部先端面12が当接する水槽収容部最奥面18がある。
【0024】
図4は水槽部6装着状態における加湿装置の縦断面構成図である。送風機19の周囲には吹出口2と連通する送風ケース20が取り付けられており、送風ケース外壁面21と水槽部6の仕切板9とで略同一面が形成されている。これにより、本体1内部は送風ケース外壁面21と仕切板9とによって、送風機19が配置される送風経路空間22と、図示しない給水タンクが収容される給水タンク収容空間23の2つの空間に区画され、送風経路空間22において、本体1背面に設けられた図示しない吸込口、気化フィルタ8、送風機19、吹出口2の順に空気が通過する送風経路が送風ケース20を介して形成される。また、水槽部先端面12は水槽収容部最奥面18に当接しており、水槽部先端面12の形状が水槽収容部最奥面18に沿って構成されているため、水槽部6装着状態では水槽部先端面12と水槽収容部最奥面18との間には隙間は生じない。
【0025】
水槽収容部7の底面が一段高くなった箇所の下部には図示しない電源コードを固定する電源コード取付部24が設けられ、水槽収容部7の底面を高くしたことでできた下部空間を有効に活用している。さらにこの電源コード取付部24によって、加湿装置の最下面から電源コードの引き回しを行なうようにしたことで加湿装置の重心が安定するので、例えば電源コードに足が引っ掛かった場合にも加湿装置が転倒しにくい構造となる。
【0026】
次に、上記構成からなる加湿装置において水槽部6を挿入する過程を図5を用いて説明する。水槽部6を本体1に挿入する際、挿入口5より水槽部6を滑らせるように水槽収容部7へと挿入する。水槽部6は挿脱方向に長手形状であり、さらに水槽部取っ手15が水槽部6の底面よりも下に突出しているため、挿入方向の先端側が下に傾いた状態となる。この姿勢で水槽部6を挿入すると、水槽部6の下面が水槽収容部7底面と接触し、水槽部先端面12が水槽収容部7底面に設けた段差起立面17に当接する(図5(a))。しかし、段差起立面17には傾斜が付いているため、水槽部6は傾斜に沿って段差を乗り上げる(図5(b))ことができるので、水槽部6をスムーズに挿入することができるのである。なお、水槽部先端面12は段差に乗り上がる(図5(c))ことで水槽収容部7底面に支持されることになるため、水槽部6は挿入方向の先端側に傾くことなく略水平を保つことができ、安定した姿勢での挿入が可能となる。
【0027】
さらに水槽部6の挿入を進めると、水槽部先端面12が水槽収容部最奥面18に当接して、本体1への水槽部6の装着が完了する。図4に示すように、水槽部6装着状態においては水槽部先端面12は水槽収容部最奥面18および水槽収容部7底面との間に隙間ができないように当接しているため、圧力損失の小さい隙間の方へ空気が漏れてしまうことがなくなるので、本体1内部に吸込んだ空気を無駄なく気化フィルタ8に通過させて加湿することができるため、加湿効率を向上させることができるのである。
【0028】
また、水槽部6が本体1に装着された状態では水槽部外装面14および水槽部取っ手15が挿入口段差部16aおよび16bに当接して閉塞することにより、本体1外部への空気の漏れを防ぐことができるので、より一層、本体1内部に吸い込んだ空気を無駄なく気化フィルタ8に通過させることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 本体
5 挿入口
6 水槽部
7 水槽収容部
8 気化フィルタ
12 水槽部先端面
14 水槽部外装面
17 段差起立面
18 水槽収容部最奥面
19 送風機
24 電源コード取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6